加飾成形体の製法およびそれによって得られる加飾成形体
【課題】低コストで簡単に、多種多様な印象を与えることのできる陰影模様を形成することのできる、優れた加飾成形体の製法と、それによって得られる加飾成形体を提供する。
【解決手段】蓋体4において、蓋板7を透明層8と非透明薄膜層9とで構成し、上記非透明薄膜層9の特定領域に対してCO2 レーザを照射し、上記特定領域の非透明薄膜層9除去と、その下の透明層8の部分的な除去加工とを同時に行うことにより、上記特定領域に透かし模様Pを形成するようにした。
【解決手段】蓋体4において、蓋板7を透明層8と非透明薄膜層9とで構成し、上記非透明薄膜層9の特定領域に対してCO2 レーザを照射し、上記特定領域の非透明薄膜層9除去と、その下の透明層8の部分的な除去加工とを同時に行うことにより、上記特定領域に透かし模様Pを形成するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形面の少なくとも一部に陰影模様を有する加飾成形体の製法およびそれによって得られる加飾成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料を収容したコンパクト容器や口紅容器等には、単に機能性だけでなく、見栄えがよい、商品イメージを反映したデザインである、といった意匠性も要求される。このような要求に応える技術として、例えば、コンパクト容器の蓋部に、接着剤を用いることなく装飾フィルムを一体化する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、蓋部の表面や裏面に設けられた薄膜層にレーザを照射し、その薄膜層に、微細な線や点で構成された図柄の透かし模様を形成する技術が開示されている(特許文献2、3参照)。
【特許文献1】特開2001−292827公報
【特許文献2】特開2006−34623公報
【特許文献3】特開2006−334122公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のように、装飾フィルムを用いたものは、経時的に装飾フィルム部が変質したり摩耗・損傷したりして、見栄えが悪くなるという問題がある。また、上記特許文献2のように、レーザで微細な透かし模様を形成したものは、美麗で耐久性にも優れているが、模様に立体感や陰影がなく、模様が単調になりやすいという問題がある。
【0005】
これに対し、上記特許文献3のものは、レーザで形成される微細な透かし模様と凹凸模様が組み合わせられており、立体感があって非常に興趣に富むものである。しかし、このものは、インモールド転写成形等において、透かし模様形成予定部に、予め微細な凹凸形状を付与しておく必要があり、また、次工程において、上記凹凸形状付与部に、適正な配置でレーザによる透かし模様を付与しなければならず、工程が複雑で、製造コストがアップするという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、低コストで簡単に、多種多様な印象を与えることのできる陰影模様を形成することのできる、優れた加飾成形体の製法と、それによって得られる加飾成形体の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の表面の少なくとも一部もしくは裏面の少なくとも一部に形成された非透明薄膜層とを有する成形体を準備し、上記非透明薄膜層の特定領域に対してCO2 レーザを照射し、上記特定領域の非透明薄膜層除去と、その下の透明層の部分的な除去加工とを同時に行うことにより、上記特定領域に陰影模様を形成するようにした加飾成形体の製法を第1の要旨とする。
【0008】
また、本発明は、透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の裏面の少なくとも一部に形成された金属薄膜層とを有する成形体を準備し、上記透明層表面の、上記金属薄膜層が形成された部分に対応する特定領域に対してCO2 レーザを照射し、上記透明層の部分的な除去加工を行うことにより、上記特定領域に陰影模様を形成し、透明層を通して裏面の金属薄膜層に映すようにした加飾成形体の製法を第2の要旨とする。
【0009】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記特定領域に対するCO2 レーザ照射において、線状溶融除去跡を密に並べて凹面を形成する第1の照射と、上記線状溶融除去跡より幅が太く深さの深い線状溶融除去跡からなる単一線を形成する第2の照射とを組み合わせるようにした加飾成形体の製法を第3の要旨とする。
【0010】
そして、本発明は、上記第1の要旨である製法によって得られる加飾成形体であって、透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の表面の少なくとも一部もしくは裏面の少なくとも一部に形成された非透明薄膜層とを有し、CO2 レーザの照射によって、上記非透明薄膜層の特定領域が除去されるとともにその下の透明層が部分的に除去加工されて、上記特定領域に陰影模様が形成されている加飾成形体を第4の要旨とし、上記第2の要旨である製法によって得られる加飾成形体であって、透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の裏面の少なくとも一部に形成された金属薄膜層とを有し、上記透明層表面の、上記金属薄膜層が形成された部分に対応する部分の特定領域が、CO2 レーザの照射によって部分的に除去加工されて、上記特定領域に陰影模様が形成され、この陰影模様が、透明層を通して裏面の金属薄膜層に映るようになっている加飾成形体を第5の要旨とする。
【0011】
また、本発明は、それらのなかでも、特に、上記特定領域における陰影模様が、CO2 レーザ照射による、線状溶融除去跡を密に並べて形成された凹面と、同じくCO2 レーザ照射による、上記線状溶融除去跡より幅が太く深さの深い線状溶融除去跡からなる単一線とで構成されている加飾成形体を第6の要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、透明層に積層された非透明薄膜層の特定領域に対してCO2 レーザを照射して、上記特定領域の非透明薄膜層を除去し、同時に、その下の透明層をも部分的に除去加工することにより、非透明薄膜層で覆われた部分に透かし模様を形成すると同時に、その模様の開口から露出する透明層表面も凹状に加工して立体形状を付与し、結果として、陰影ある透かし模様を一工程で形成するようにしたことを第1の特徴とするものである。
【0013】
また、本発明は、裏面側に金属薄膜層が形成された透明層の特定領域に対してCO2 レーザを照射して、上記透明層の表面に、上記と同様にして立体的な陰影模様を形成し、その陰影模様を、透明層を介して裏面側の金属薄膜層に映すようにしたことを第2の特徴とするものである。
【0014】
本発明の方法によれば、このような立体的な陰影模様(以下、陰影ある透かし模様も含めて「陰影模様」という)を、レーザ照射の一工程で形成することができ、製造の手間およびコストを大幅に削減することができる。しかも、上記レーザ照射の設定条件、陰影模様を形成する層と他の層の配置等を組み合わせることにより、全く異なる印象の陰影模様を付与することができることから、短期間で、ニーズに応じた多種多様な商品を納品することができるという利点を有する。
【0015】
そして、本発明のなかでも、特に、上記特定領域に対するCO2 レーザ照射において、線状溶融除去跡を密に並べて凹面を形成する第1の照射と、上記線状溶融除去跡より幅が太く深さの深い線状溶融除去跡からなる単一線を形成する第2の照射とを組み合わせるようにしたものは、微妙な凹凸を有する凹面に、輪郭線や強調線を加えた、複雑な印象の陰影模様を得ることができ、より興趣に富む加飾成形体を得ることができる。
【0016】
また、本発明の製法によって得られる加飾成形体は、ごく薄い透明層に、立体的な陰影模様を有するものであり、その表面もしくは裏面に設けられた非透明薄膜層や金属薄膜層との組み合わせによって、非常に興趣に富む外観を有するものである。そして、その立体的な陰影模様は、耐久性に優れており、長期にわたってその外観が美麗に維持されるという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明を実施するための最良の形態であるコンパクト容器の斜視図であり、図2は、そのX−X′断面図である。これらの図において、1は本体部で、その内側の向かって左側に設けられた凹部2には、ファンデーション等の化粧料が収容保持されるようになっている。また、向かって右側に設けられた凹部3には、化粧料を肌に塗布するためのパフが収容保持されるようになっている。
【0019】
そして、上記本体部1の上部開口を蓋する蓋体4は、その分解斜視図である図4に示すように、その全面にアルミニウム蒸着膜が形成されて金属光沢を有する蓋枠体6と、その蓋枠体6の上面に嵌合一体化される蓋板7とで構成されている。
【0020】
上記蓋枠体6の後端部には、下向きにヒンジ部6aが突設されており、このヒンジ部6aが本体部1の後端部を係合することにより、図1において鎖線で示すように、蓋体4が上方に開くようになっている。また、上記蓋枠体6の内側面には、鏡5が貼着されている(図2参照)。
【0021】
上記蓋板7は、透明アクリル樹脂成形体からなる透明層8と、その裏面に形成された白色印刷層からなる非透明薄膜層9(以下、単に「薄膜層」という)とで構成されており、上記薄膜層9の一部が、以下に述べる特殊な方法によって除去されて透明層8が露出し、陰影ある透かし模様Pが付与されている。なお、上記透かし模様Pの一部を、図3に示す。
【0022】
上記透かし模様Pは、例えばつぎのようにして得ることができる。すなわち、まず、蓋板7を賦形するための金型を用意する。そして、上記金型の、蓋板7の裏面を賦形する側に、白色転写フィルムを配置させた状態で金型を閉じ、透明層8の形成材料である透明アクリル樹脂材料を射出することにより成形を行う(インモールド転写成形)。これにより、図5に示すように、透明層8の裏面に白色の薄膜層9が一体的に形成された蓋板7を得ることができる。
【0023】
つぎに、図6(a)に示すように、上記薄膜層9のうち、透かし模様Pをつくろうとする領域Aの薄膜層9を、CO2 レーザの照射によって溶融除去し、さらに、薄膜層9の下(図面では上)の透明層8の露出表面を凹状に除去加工して、陰影ある透かし模様Pをつくる。上記領域Aを、図6(b)に示す。
【0024】
上記CO2 レーザの照射条件は、上記領域Aの薄膜層9全面を、面として除去するように設定される。より具体的には、線状の溶融除去跡が、密な間隔で平行に並ぶようレーザ光を走査して、領域Aの薄膜層9全面を除去するようにする。したがって、この照射によって露出する透明層8の表面には、レーザ光の走査ピッチにもとづいて平行な凹条が並ぶことにより、微妙な波打ち模様の陰影を有する凹面となる。
【0025】
なお、上記CO2 レーザの照射によって溶融除去する線状の溶融除去跡は、付与すべき陰影模様に応じて適宜に設定されるが、隣り合う溶融除去跡の間隔は、線状の溶融除去跡が、互いに重なり合う程度の密度となるよう設定することが好適である。ただし、本発明において、「溶融除去跡の深さ」とは、薄膜層9の表面から凹状に除去される透明層8の凹部底面までの深さをいい、図6(a)においては「D」、図7(a)においては「D′」でこれを示す。
【0026】
つぎに、図7(a)に示すように、領域Aの、薄膜層9全面が除去された部分に、さらに、透かし模様Pの輪郭線や、デザイン的にシャープな線を入れたい場合は、その部分を対象として、前記面除去の場合よりも鮮明な、線状の溶融除去跡を形成するために、CO2 レーザの照射を行う。これにより、透かし模様Pの輪郭が明確になるとともに、この例では、ダイヤモンドカットのエッジのようなシャープな切り込み線が入り、前記領域Aの全面に形成された微妙な波打ち模様の陰影を有する凹面と相俟って、全体として、非常に陰影に富んだ透かし模様Pが得られる。
【0027】
なお、この場合の、CO2 レーザの照射によって溶融除去する線状溶融除去跡は、前記面を凹状に除去するために、密な間隔で平行に形成した線状の溶融除去跡よりも、その幅が太く、深さが深くなるよう設定することが必要である。
【0028】
この構成によれば、上記蓋板7の透かし模様Pから、その下の蓋枠体6の金属光沢面が透けて見え、しかも、透かし模様Pの全面に付与された微妙な波打ち模様の陰影と、シャープな輪郭線およびダイヤモンドカットのエッジを示すような線の陰影とが、下側の金属光沢面からの反射光を受けて輝くため、従来にない、斬新で美麗な印象を与える。
【0029】
そして、上記透かし模様Pは、蓋板7の裏面側から形成されており、蓋板7の表面自体は、本来の平滑性が維持されているため、これらの模様が経時的に摩耗・損傷したり汚れたりすることがない。また、上記陰影ある透かし模様Pは、CO2 レーザの照射によって、簡単に形成することができ、大きなコストアップや製造ロットの制約を招くことがないという利点を有する。
【0030】
なお、上記の例において、蓋板7の透明層8を構成する透明部材は、従来から容器等の成形品に用いられる透明部材であれば、どのようなものであってもよく、アクリル樹脂の他、例えば、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート等があげられる。これらは、透かし模様Pの陰影を見せるために透明でなければならないが、無色である必要はなく、多少着色されていても、反対側が透けて見えるものであれば差し支えはない。
【0031】
また、上記透明層8の裏面に形成される薄膜層9は、上記の例では、白色転写フィルムから転写される白色印刷層を用いたが、その材料は、特に限定するものではなく、従来から成形体の加飾に用いられる、どのような薄膜層9であっても差し支えない。ただし、上記透明層8との対比から、非透明でなければならず、着色フィルム(シート)の他、ホログラムシート、金属箔、金属蒸着層、塗料塗膜等、各種のものが用いられる。もちろん、上記薄膜層9の形成方法も、インモールド転写成形の他、蒸着、スパッタリング、メッキ、ホットスタンプ、コーティング等、その材質に応じて適宜の方法が採用される。なお、「非透明」とは、上記薄膜層9の除去部と非除去部とを対比した場合に、その見え方に差異があることが認識できる程度に透明でないことをいい、いわゆる「半透明」も含む趣旨で用いている。
【0032】
なお、上記の例において、透かし模様Pの形成方法として、比較的浅く、凹状の面を形成するCO2 レーザ照射と、比較的深く、単一線を形成するCO2 レーザ照射とを組み合わせるようにしたが、必ずしもこの2つを組み合わせる必要はない。ただし、単一線を形成するCO2 レーザ照射のみで透かし模様Pをつくった場合、透かし模様Pが、肉眼では線のみで構成されているように見え、あまり興趣に富む透かし模様Pとはならないことから、一定の面積を有する凹状の面を含む模様にすることが好適である。
【0033】
また、上記の例では、まず凹面を形成するレーザ照射を行い、つぎに輪郭線等の単一線を形成するレーザ照射を行ったが、その順序は、逆であっても差し支えない。ただし、よりシャープな単一線を得るには、これを最後に形成する方が好ましい。
【0034】
そして、上記の例では、裏面側に薄膜層9を有する透明層8からなる蓋板7に、裏面側から透かし模様Pを形成し、これを、金属光沢を有する蓋枠体6の上から被せて嵌合一体化したが、透明もしくは着色された蓋枠体6と、蓋板7の間に、金属箔やホログラム箔、あるいは他の光沢シート、着色シート等を挟み込んで嵌合するようにしても差し支えない。あるいは、上記金属箔等の、非透明素材を、透かし模様Pが形成された蓋板7の裏面側に、直接貼着するようにしてもよい。この場合、蓋体4を、蓋枠体6と蓋板8の2つの部材に分ける必要がなく、単一の部材にすることができる。
【0035】
また、これらの着色シートや光沢シートを介在させるのではなく、蓋枠体6の上面に着色塗料を塗工して着色層を形成するようにしてもよい。あるいは、上記透かし模様Pの下側に、着色シート等の非透明層を介在させることなく、この透かし模様Pから、その下の、容器に収容される内容物の色等を見せるようにしても差し支えない。
【0036】
もちろん、上記着色シート等を介在させる場合、これらを、蓋板7の裏面側に直接当てるのではなく、一定の空間を隔てて対峙させるようにしてもよい。例えば、図8に示すように、透かし模様Pが形成された蓋板7′(それ自体が蓋体)と、中蓋30とを有するコンパクト容器等において、この中蓋30の上に、上記着色シート等20を挟むだけでも、前記の例と同様の効果を得ることができる。また、図9に示すように、上記中蓋30の上面に、直接着色シート等20を貼着したり、着色層を形成したりしても差し支えない。
【0037】
さらに、上記透かし模様Pから透かして見える色が単一色である必要はなく、その下に配置する着色シート等の非透明素材の色を、部分的に変えることにより、透かし模様Pから見える色を、模様の部分部分で異なる色にすることができる。このようにすると、より鮮やかな印象を与えることができる。
【0038】
また、上記一連の例では、蓋板7、7′において、透明層8の裏面側に設けられた薄膜層9に、透かし模様Pを形成して、その下側の色を透かして見るようになっているが、他の例として、透明層8の表面側に薄膜層9を設け、この薄膜層9に透かし模様Pを形成するようにしても差し支えない。
【0039】
そして、本発明の、異なる例として、例えば、図10(a)に示すように、透明層8の裏面側に金属薄膜層21を設け、上記透明層8の表面に、前記と同様にして、CO2 レーザの照射による除去加工を施すことにより、陰影模様P′を施すようにしてもよい。この例によれば、図10(b)に示すように、上記陰影模様P′の陰影が、透明層8を介して、裏面側の金属薄膜層21に映り、立体的な陰影が2重に見えるため、より興趣に富むものとなる。なお、図10(b)において、陰影模様P′が金属薄膜層21に映った像をQで示す。
【0040】
さらに、本発明において、CO2 レーザの照射によって、線状溶融除去跡を繰り返し並べて形成することにより凹状の面をつくる場合、例えば図11(a)に示すように、その線の走査方向の異なる面を組み合わせて配置させることにより、より印象深い陰影模様を得ることができる。また、例えば図11(b)に示すように、円や多角形の輪郭を有する面において、その中心から放射状に線状溶融除去跡を形成すると、面の中心から外側に拡がる印象の陰影模様を得ることができる。さらに、例えば図11(c)に示すように、縦横、あるいは斜めといった方向の異なる線状溶融除去跡を重ねることにより、より平滑な凹状面を得ることができる。
【0041】
なお、これらの例は、本発明をコンパクト容器に適用したものであるが、本発明を適用する成形体は、容器に限らず、各種の樹脂成形体、あるいは樹脂成形体に他の部材を組み合わせた成形体等、特に限定するものではない。例えば、携帯電話、文房具、家電製品、各種ケース等に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例の斜視図である。
【図2】図1のX−X′断面図である。
【図3】上記実施例における透かし模様の説明図である。
【図4】上記実施例における蓋体の分解斜視図である。
【図5】上記実施例における半透明部の形成方法の詳細説明図である。
【図6】(a)は、上記実施例における透かし模様の形成方法の説明図、(b)はその透かし模様の平面図である。
【図7】(a)は、上記実施例における透かし模様の形成方法の説明図、(b)はその透かし模様の平面図である。
【図8】本発明の他の実施例の説明図である。
【図9】本発明のさらに他の実施例の説明図である。
【図10】(a)は、本発明の他の実施例における陰影模様の形成方法の説明図、(b)はその陰影模様の見え方の説明図である。
【図11】(a)〜(c)は、いずれも本発明における模様形成方法の変形例の説明図である。
【符号の説明】
【0043】
4 蓋体
7 蓋板
8 透明層
9 非透明薄膜層
P 透かし模様
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形面の少なくとも一部に陰影模様を有する加飾成形体の製法およびそれによって得られる加飾成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料を収容したコンパクト容器や口紅容器等には、単に機能性だけでなく、見栄えがよい、商品イメージを反映したデザインである、といった意匠性も要求される。このような要求に応える技術として、例えば、コンパクト容器の蓋部に、接着剤を用いることなく装飾フィルムを一体化する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、蓋部の表面や裏面に設けられた薄膜層にレーザを照射し、その薄膜層に、微細な線や点で構成された図柄の透かし模様を形成する技術が開示されている(特許文献2、3参照)。
【特許文献1】特開2001−292827公報
【特許文献2】特開2006−34623公報
【特許文献3】特開2006−334122公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のように、装飾フィルムを用いたものは、経時的に装飾フィルム部が変質したり摩耗・損傷したりして、見栄えが悪くなるという問題がある。また、上記特許文献2のように、レーザで微細な透かし模様を形成したものは、美麗で耐久性にも優れているが、模様に立体感や陰影がなく、模様が単調になりやすいという問題がある。
【0005】
これに対し、上記特許文献3のものは、レーザで形成される微細な透かし模様と凹凸模様が組み合わせられており、立体感があって非常に興趣に富むものである。しかし、このものは、インモールド転写成形等において、透かし模様形成予定部に、予め微細な凹凸形状を付与しておく必要があり、また、次工程において、上記凹凸形状付与部に、適正な配置でレーザによる透かし模様を付与しなければならず、工程が複雑で、製造コストがアップするという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、低コストで簡単に、多種多様な印象を与えることのできる陰影模様を形成することのできる、優れた加飾成形体の製法と、それによって得られる加飾成形体の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の表面の少なくとも一部もしくは裏面の少なくとも一部に形成された非透明薄膜層とを有する成形体を準備し、上記非透明薄膜層の特定領域に対してCO2 レーザを照射し、上記特定領域の非透明薄膜層除去と、その下の透明層の部分的な除去加工とを同時に行うことにより、上記特定領域に陰影模様を形成するようにした加飾成形体の製法を第1の要旨とする。
【0008】
また、本発明は、透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の裏面の少なくとも一部に形成された金属薄膜層とを有する成形体を準備し、上記透明層表面の、上記金属薄膜層が形成された部分に対応する特定領域に対してCO2 レーザを照射し、上記透明層の部分的な除去加工を行うことにより、上記特定領域に陰影模様を形成し、透明層を通して裏面の金属薄膜層に映すようにした加飾成形体の製法を第2の要旨とする。
【0009】
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記特定領域に対するCO2 レーザ照射において、線状溶融除去跡を密に並べて凹面を形成する第1の照射と、上記線状溶融除去跡より幅が太く深さの深い線状溶融除去跡からなる単一線を形成する第2の照射とを組み合わせるようにした加飾成形体の製法を第3の要旨とする。
【0010】
そして、本発明は、上記第1の要旨である製法によって得られる加飾成形体であって、透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の表面の少なくとも一部もしくは裏面の少なくとも一部に形成された非透明薄膜層とを有し、CO2 レーザの照射によって、上記非透明薄膜層の特定領域が除去されるとともにその下の透明層が部分的に除去加工されて、上記特定領域に陰影模様が形成されている加飾成形体を第4の要旨とし、上記第2の要旨である製法によって得られる加飾成形体であって、透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の裏面の少なくとも一部に形成された金属薄膜層とを有し、上記透明層表面の、上記金属薄膜層が形成された部分に対応する部分の特定領域が、CO2 レーザの照射によって部分的に除去加工されて、上記特定領域に陰影模様が形成され、この陰影模様が、透明層を通して裏面の金属薄膜層に映るようになっている加飾成形体を第5の要旨とする。
【0011】
また、本発明は、それらのなかでも、特に、上記特定領域における陰影模様が、CO2 レーザ照射による、線状溶融除去跡を密に並べて形成された凹面と、同じくCO2 レーザ照射による、上記線状溶融除去跡より幅が太く深さの深い線状溶融除去跡からなる単一線とで構成されている加飾成形体を第6の要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、透明層に積層された非透明薄膜層の特定領域に対してCO2 レーザを照射して、上記特定領域の非透明薄膜層を除去し、同時に、その下の透明層をも部分的に除去加工することにより、非透明薄膜層で覆われた部分に透かし模様を形成すると同時に、その模様の開口から露出する透明層表面も凹状に加工して立体形状を付与し、結果として、陰影ある透かし模様を一工程で形成するようにしたことを第1の特徴とするものである。
【0013】
また、本発明は、裏面側に金属薄膜層が形成された透明層の特定領域に対してCO2 レーザを照射して、上記透明層の表面に、上記と同様にして立体的な陰影模様を形成し、その陰影模様を、透明層を介して裏面側の金属薄膜層に映すようにしたことを第2の特徴とするものである。
【0014】
本発明の方法によれば、このような立体的な陰影模様(以下、陰影ある透かし模様も含めて「陰影模様」という)を、レーザ照射の一工程で形成することができ、製造の手間およびコストを大幅に削減することができる。しかも、上記レーザ照射の設定条件、陰影模様を形成する層と他の層の配置等を組み合わせることにより、全く異なる印象の陰影模様を付与することができることから、短期間で、ニーズに応じた多種多様な商品を納品することができるという利点を有する。
【0015】
そして、本発明のなかでも、特に、上記特定領域に対するCO2 レーザ照射において、線状溶融除去跡を密に並べて凹面を形成する第1の照射と、上記線状溶融除去跡より幅が太く深さの深い線状溶融除去跡からなる単一線を形成する第2の照射とを組み合わせるようにしたものは、微妙な凹凸を有する凹面に、輪郭線や強調線を加えた、複雑な印象の陰影模様を得ることができ、より興趣に富む加飾成形体を得ることができる。
【0016】
また、本発明の製法によって得られる加飾成形体は、ごく薄い透明層に、立体的な陰影模様を有するものであり、その表面もしくは裏面に設けられた非透明薄膜層や金属薄膜層との組み合わせによって、非常に興趣に富む外観を有するものである。そして、その立体的な陰影模様は、耐久性に優れており、長期にわたってその外観が美麗に維持されるという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明を実施するための最良の形態であるコンパクト容器の斜視図であり、図2は、そのX−X′断面図である。これらの図において、1は本体部で、その内側の向かって左側に設けられた凹部2には、ファンデーション等の化粧料が収容保持されるようになっている。また、向かって右側に設けられた凹部3には、化粧料を肌に塗布するためのパフが収容保持されるようになっている。
【0019】
そして、上記本体部1の上部開口を蓋する蓋体4は、その分解斜視図である図4に示すように、その全面にアルミニウム蒸着膜が形成されて金属光沢を有する蓋枠体6と、その蓋枠体6の上面に嵌合一体化される蓋板7とで構成されている。
【0020】
上記蓋枠体6の後端部には、下向きにヒンジ部6aが突設されており、このヒンジ部6aが本体部1の後端部を係合することにより、図1において鎖線で示すように、蓋体4が上方に開くようになっている。また、上記蓋枠体6の内側面には、鏡5が貼着されている(図2参照)。
【0021】
上記蓋板7は、透明アクリル樹脂成形体からなる透明層8と、その裏面に形成された白色印刷層からなる非透明薄膜層9(以下、単に「薄膜層」という)とで構成されており、上記薄膜層9の一部が、以下に述べる特殊な方法によって除去されて透明層8が露出し、陰影ある透かし模様Pが付与されている。なお、上記透かし模様Pの一部を、図3に示す。
【0022】
上記透かし模様Pは、例えばつぎのようにして得ることができる。すなわち、まず、蓋板7を賦形するための金型を用意する。そして、上記金型の、蓋板7の裏面を賦形する側に、白色転写フィルムを配置させた状態で金型を閉じ、透明層8の形成材料である透明アクリル樹脂材料を射出することにより成形を行う(インモールド転写成形)。これにより、図5に示すように、透明層8の裏面に白色の薄膜層9が一体的に形成された蓋板7を得ることができる。
【0023】
つぎに、図6(a)に示すように、上記薄膜層9のうち、透かし模様Pをつくろうとする領域Aの薄膜層9を、CO2 レーザの照射によって溶融除去し、さらに、薄膜層9の下(図面では上)の透明層8の露出表面を凹状に除去加工して、陰影ある透かし模様Pをつくる。上記領域Aを、図6(b)に示す。
【0024】
上記CO2 レーザの照射条件は、上記領域Aの薄膜層9全面を、面として除去するように設定される。より具体的には、線状の溶融除去跡が、密な間隔で平行に並ぶようレーザ光を走査して、領域Aの薄膜層9全面を除去するようにする。したがって、この照射によって露出する透明層8の表面には、レーザ光の走査ピッチにもとづいて平行な凹条が並ぶことにより、微妙な波打ち模様の陰影を有する凹面となる。
【0025】
なお、上記CO2 レーザの照射によって溶融除去する線状の溶融除去跡は、付与すべき陰影模様に応じて適宜に設定されるが、隣り合う溶融除去跡の間隔は、線状の溶融除去跡が、互いに重なり合う程度の密度となるよう設定することが好適である。ただし、本発明において、「溶融除去跡の深さ」とは、薄膜層9の表面から凹状に除去される透明層8の凹部底面までの深さをいい、図6(a)においては「D」、図7(a)においては「D′」でこれを示す。
【0026】
つぎに、図7(a)に示すように、領域Aの、薄膜層9全面が除去された部分に、さらに、透かし模様Pの輪郭線や、デザイン的にシャープな線を入れたい場合は、その部分を対象として、前記面除去の場合よりも鮮明な、線状の溶融除去跡を形成するために、CO2 レーザの照射を行う。これにより、透かし模様Pの輪郭が明確になるとともに、この例では、ダイヤモンドカットのエッジのようなシャープな切り込み線が入り、前記領域Aの全面に形成された微妙な波打ち模様の陰影を有する凹面と相俟って、全体として、非常に陰影に富んだ透かし模様Pが得られる。
【0027】
なお、この場合の、CO2 レーザの照射によって溶融除去する線状溶融除去跡は、前記面を凹状に除去するために、密な間隔で平行に形成した線状の溶融除去跡よりも、その幅が太く、深さが深くなるよう設定することが必要である。
【0028】
この構成によれば、上記蓋板7の透かし模様Pから、その下の蓋枠体6の金属光沢面が透けて見え、しかも、透かし模様Pの全面に付与された微妙な波打ち模様の陰影と、シャープな輪郭線およびダイヤモンドカットのエッジを示すような線の陰影とが、下側の金属光沢面からの反射光を受けて輝くため、従来にない、斬新で美麗な印象を与える。
【0029】
そして、上記透かし模様Pは、蓋板7の裏面側から形成されており、蓋板7の表面自体は、本来の平滑性が維持されているため、これらの模様が経時的に摩耗・損傷したり汚れたりすることがない。また、上記陰影ある透かし模様Pは、CO2 レーザの照射によって、簡単に形成することができ、大きなコストアップや製造ロットの制約を招くことがないという利点を有する。
【0030】
なお、上記の例において、蓋板7の透明層8を構成する透明部材は、従来から容器等の成形品に用いられる透明部材であれば、どのようなものであってもよく、アクリル樹脂の他、例えば、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリカーボネート等があげられる。これらは、透かし模様Pの陰影を見せるために透明でなければならないが、無色である必要はなく、多少着色されていても、反対側が透けて見えるものであれば差し支えはない。
【0031】
また、上記透明層8の裏面に形成される薄膜層9は、上記の例では、白色転写フィルムから転写される白色印刷層を用いたが、その材料は、特に限定するものではなく、従来から成形体の加飾に用いられる、どのような薄膜層9であっても差し支えない。ただし、上記透明層8との対比から、非透明でなければならず、着色フィルム(シート)の他、ホログラムシート、金属箔、金属蒸着層、塗料塗膜等、各種のものが用いられる。もちろん、上記薄膜層9の形成方法も、インモールド転写成形の他、蒸着、スパッタリング、メッキ、ホットスタンプ、コーティング等、その材質に応じて適宜の方法が採用される。なお、「非透明」とは、上記薄膜層9の除去部と非除去部とを対比した場合に、その見え方に差異があることが認識できる程度に透明でないことをいい、いわゆる「半透明」も含む趣旨で用いている。
【0032】
なお、上記の例において、透かし模様Pの形成方法として、比較的浅く、凹状の面を形成するCO2 レーザ照射と、比較的深く、単一線を形成するCO2 レーザ照射とを組み合わせるようにしたが、必ずしもこの2つを組み合わせる必要はない。ただし、単一線を形成するCO2 レーザ照射のみで透かし模様Pをつくった場合、透かし模様Pが、肉眼では線のみで構成されているように見え、あまり興趣に富む透かし模様Pとはならないことから、一定の面積を有する凹状の面を含む模様にすることが好適である。
【0033】
また、上記の例では、まず凹面を形成するレーザ照射を行い、つぎに輪郭線等の単一線を形成するレーザ照射を行ったが、その順序は、逆であっても差し支えない。ただし、よりシャープな単一線を得るには、これを最後に形成する方が好ましい。
【0034】
そして、上記の例では、裏面側に薄膜層9を有する透明層8からなる蓋板7に、裏面側から透かし模様Pを形成し、これを、金属光沢を有する蓋枠体6の上から被せて嵌合一体化したが、透明もしくは着色された蓋枠体6と、蓋板7の間に、金属箔やホログラム箔、あるいは他の光沢シート、着色シート等を挟み込んで嵌合するようにしても差し支えない。あるいは、上記金属箔等の、非透明素材を、透かし模様Pが形成された蓋板7の裏面側に、直接貼着するようにしてもよい。この場合、蓋体4を、蓋枠体6と蓋板8の2つの部材に分ける必要がなく、単一の部材にすることができる。
【0035】
また、これらの着色シートや光沢シートを介在させるのではなく、蓋枠体6の上面に着色塗料を塗工して着色層を形成するようにしてもよい。あるいは、上記透かし模様Pの下側に、着色シート等の非透明層を介在させることなく、この透かし模様Pから、その下の、容器に収容される内容物の色等を見せるようにしても差し支えない。
【0036】
もちろん、上記着色シート等を介在させる場合、これらを、蓋板7の裏面側に直接当てるのではなく、一定の空間を隔てて対峙させるようにしてもよい。例えば、図8に示すように、透かし模様Pが形成された蓋板7′(それ自体が蓋体)と、中蓋30とを有するコンパクト容器等において、この中蓋30の上に、上記着色シート等20を挟むだけでも、前記の例と同様の効果を得ることができる。また、図9に示すように、上記中蓋30の上面に、直接着色シート等20を貼着したり、着色層を形成したりしても差し支えない。
【0037】
さらに、上記透かし模様Pから透かして見える色が単一色である必要はなく、その下に配置する着色シート等の非透明素材の色を、部分的に変えることにより、透かし模様Pから見える色を、模様の部分部分で異なる色にすることができる。このようにすると、より鮮やかな印象を与えることができる。
【0038】
また、上記一連の例では、蓋板7、7′において、透明層8の裏面側に設けられた薄膜層9に、透かし模様Pを形成して、その下側の色を透かして見るようになっているが、他の例として、透明層8の表面側に薄膜層9を設け、この薄膜層9に透かし模様Pを形成するようにしても差し支えない。
【0039】
そして、本発明の、異なる例として、例えば、図10(a)に示すように、透明層8の裏面側に金属薄膜層21を設け、上記透明層8の表面に、前記と同様にして、CO2 レーザの照射による除去加工を施すことにより、陰影模様P′を施すようにしてもよい。この例によれば、図10(b)に示すように、上記陰影模様P′の陰影が、透明層8を介して、裏面側の金属薄膜層21に映り、立体的な陰影が2重に見えるため、より興趣に富むものとなる。なお、図10(b)において、陰影模様P′が金属薄膜層21に映った像をQで示す。
【0040】
さらに、本発明において、CO2 レーザの照射によって、線状溶融除去跡を繰り返し並べて形成することにより凹状の面をつくる場合、例えば図11(a)に示すように、その線の走査方向の異なる面を組み合わせて配置させることにより、より印象深い陰影模様を得ることができる。また、例えば図11(b)に示すように、円や多角形の輪郭を有する面において、その中心から放射状に線状溶融除去跡を形成すると、面の中心から外側に拡がる印象の陰影模様を得ることができる。さらに、例えば図11(c)に示すように、縦横、あるいは斜めといった方向の異なる線状溶融除去跡を重ねることにより、より平滑な凹状面を得ることができる。
【0041】
なお、これらの例は、本発明をコンパクト容器に適用したものであるが、本発明を適用する成形体は、容器に限らず、各種の樹脂成形体、あるいは樹脂成形体に他の部材を組み合わせた成形体等、特に限定するものではない。例えば、携帯電話、文房具、家電製品、各種ケース等に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例の斜視図である。
【図2】図1のX−X′断面図である。
【図3】上記実施例における透かし模様の説明図である。
【図4】上記実施例における蓋体の分解斜視図である。
【図5】上記実施例における半透明部の形成方法の詳細説明図である。
【図6】(a)は、上記実施例における透かし模様の形成方法の説明図、(b)はその透かし模様の平面図である。
【図7】(a)は、上記実施例における透かし模様の形成方法の説明図、(b)はその透かし模様の平面図である。
【図8】本発明の他の実施例の説明図である。
【図9】本発明のさらに他の実施例の説明図である。
【図10】(a)は、本発明の他の実施例における陰影模様の形成方法の説明図、(b)はその陰影模様の見え方の説明図である。
【図11】(a)〜(c)は、いずれも本発明における模様形成方法の変形例の説明図である。
【符号の説明】
【0043】
4 蓋体
7 蓋板
8 透明層
9 非透明薄膜層
P 透かし模様
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の表面の少なくとも一部もしくは裏面の少なくとも一部に形成された非透明薄膜層とを有する成形体を準備し、上記非透明薄膜層の特定領域に対してCO2 レーザを照射し、上記特定領域の非透明薄膜層除去と、その下の透明層の部分的な除去加工とを同時に行うことにより、上記特定領域に陰影模様を形成するようにしたことを特徴とする加飾成形体の製法。
【請求項2】
透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の裏面の少なくとも一部に形成された金属薄膜層とを有する成形体を準備し、上記透明層表面の、上記金属薄膜層が形成された部分に対応する特定領域に対してCO2 レーザを照射し、上記透明層の部分的な除去加工を行うことにより、上記特定領域に陰影模様を形成し、透明層を通して裏面の金属薄膜層に映すようにしたことを特徴とする加飾成形体の製法。
【請求項3】
上記特定領域に対するCO2 レーザ照射において、線状溶融除去跡を密に並べて凹面を形成する第1の照射と、上記線状溶融除去跡より幅が太く深さの深い線状溶融除去跡からなる単一線を形成する第2の照射とを組み合わせるようにした請求項1または2記載の加飾成形体の製法。
【請求項4】
上記請求項1記載の製法によって得られる加飾成形体であって、透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の表面の少なくとも一部もしくは裏面の少なくとも一部に形成された非透明薄膜層とを有し、CO2 レーザの照射によって、上記非透明薄膜層の特定領域が除去されるとともにその下の透明層が部分的に除去加工されて、上記特定領域に陰影模様が形成されていることを特徴とする加飾成形体。
【請求項5】
上記請求項2記載の製法によって得られる加飾成形体であって、透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の裏面の少なくとも一部に形成された金属薄膜層とを有し、上記透明層表面の、上記金属薄膜層が形成された部分に対応する部分の特定領域が、CO2 レーザの照射によって部分的に除去加工されて、上記特定領域に陰影模様が形成され、この陰影模様が、透明層を通して裏面の金属薄膜層に映るようになっていることを特徴とする加飾成形体。
【請求項6】
上記特定領域における陰影模様が、CO2 レーザ照射による、線状溶融除去跡を密に並べて形成された凹面と、同じくCO2 レーザ照射による、上記線状溶融除去跡より幅が太く深さの深い線状溶融除去跡からなる単一線とで構成されている請求項4または5記載の加飾成形体。
【請求項1】
透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の表面の少なくとも一部もしくは裏面の少なくとも一部に形成された非透明薄膜層とを有する成形体を準備し、上記非透明薄膜層の特定領域に対してCO2 レーザを照射し、上記特定領域の非透明薄膜層除去と、その下の透明層の部分的な除去加工とを同時に行うことにより、上記特定領域に陰影模様を形成するようにしたことを特徴とする加飾成形体の製法。
【請求項2】
透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の裏面の少なくとも一部に形成された金属薄膜層とを有する成形体を準備し、上記透明層表面の、上記金属薄膜層が形成された部分に対応する特定領域に対してCO2 レーザを照射し、上記透明層の部分的な除去加工を行うことにより、上記特定領域に陰影模様を形成し、透明層を通して裏面の金属薄膜層に映すようにしたことを特徴とする加飾成形体の製法。
【請求項3】
上記特定領域に対するCO2 レーザ照射において、線状溶融除去跡を密に並べて凹面を形成する第1の照射と、上記線状溶融除去跡より幅が太く深さの深い線状溶融除去跡からなる単一線を形成する第2の照射とを組み合わせるようにした請求項1または2記載の加飾成形体の製法。
【請求項4】
上記請求項1記載の製法によって得られる加飾成形体であって、透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の表面の少なくとも一部もしくは裏面の少なくとも一部に形成された非透明薄膜層とを有し、CO2 レーザの照射によって、上記非透明薄膜層の特定領域が除去されるとともにその下の透明層が部分的に除去加工されて、上記特定領域に陰影模様が形成されていることを特徴とする加飾成形体。
【請求項5】
上記請求項2記載の製法によって得られる加飾成形体であって、透明部材を成形してなる透明層と、上記透明層の裏面の少なくとも一部に形成された金属薄膜層とを有し、上記透明層表面の、上記金属薄膜層が形成された部分に対応する部分の特定領域が、CO2 レーザの照射によって部分的に除去加工されて、上記特定領域に陰影模様が形成され、この陰影模様が、透明層を通して裏面の金属薄膜層に映るようになっていることを特徴とする加飾成形体。
【請求項6】
上記特定領域における陰影模様が、CO2 レーザ照射による、線状溶融除去跡を密に並べて形成された凹面と、同じくCO2 レーザ照射による、上記線状溶融除去跡より幅が太く深さの深い線状溶融除去跡からなる単一線とで構成されている請求項4または5記載の加飾成形体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−290416(P2008−290416A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140530(P2007−140530)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)
【Fターム(参考)】
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