効率が向上した有機発光ダイオード
一般的に、本明細書で提供されるデバイスは、正孔輸送層と、2個の発光層と、電子輸送層とを少なくとも備え、それぞれ、最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位および最低空軌道(LUMO)エネルギー準位をもち、少なくとも1つの発光層のHOMOエネルギー準位および/またはLUMOエネルギー準位のうち、少なくとも1つは、段階的な様式で低下しない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年2月5日に提出された米国仮出願第61/301,694号の利益を請求し、この内容全体が本明細書に参考により組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の実施形態は、有機発光ダイオード、例えば、正孔輸送層と、2個の発光層と、電子輸送層とを備える有機発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0003】
白色有機発光デバイス(WOLED)は、照明用途での重要性が増してきている。例えば、WOLEDは、エネルギーを節約するために、蛍光灯と交換することができるだろう。したがって、WOLEDの電力効率を高める必要性が依然として存在する。
【0004】
現行のWOLEDの多くは、正孔輸送層と、少なくとも2個の発光層と、電子輸送層とがこの順序で整列したものを備えている。これらのデバイスでは、それぞれの層が最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位と最低空軌道(LUMO)エネルギー準位とをもち、HOMOエネルギー準位および/またはLUMOエネルギー準位は、段階的な様式で低下する。言い換えると、第1の発光層のエネルギー準位が、正孔輸送層の対応するエネルギー準位より低いと(例えば、第1の発光層のHOMOが、正孔輸送層のHOMOよりも低く、第1の発光層のLUMOが、正孔輸送層のLUMOよりも低い)、第2の発光層のエネルギー準位は、第1の発光層の対応するエネルギー準位より低く、電子輸送層のエネルギー準位は、第2の発光層の対応するエネルギー準位より低い。これらのデバイスは、正孔輸送層を介し、発光層からアノードに電子が漏れ、電子輸送層を介し、発光層からカソードに正孔が漏れるという問題が生じ、これによって、デバイスの効率が低下することがある。伝統的に、この問題に対処しようとするために、時に、正孔を遮断する層と電子を遮断する層とが使用されるが、さらなる層は、デバイス製造の費用を増やし、複雑性を増してしまい、デバイスの効率を下げてしまうことがある。
【0005】
他のデバイスは、アノードに対する電子の漏れを遮断するために非常に高いLUMOをもつ正孔輸送層、および/またはカソードに対する正孔の漏れを遮断するために、非常に低いHOMOをもつ電子輸送層を利用してもよい。残念なことに、正孔輸送層または電子輸送層の対応する分子軌道と対応する電極とのエネルギーギャップが大きいと、正孔または電子の移動性が顕著に低下することがある。移動性が低下すると、デバイスの効率が低下してしまうことがある。また、エネルギーギャップが大きいと、駆動電圧がさらに大きくなることがある。したがって、このアプローチを用いて効率を高めることは難しい。
【0006】
したがって、これらの問題に対処する別の選択肢が必要である。
【発明の概要】
【0007】
一般的に、本明細書で提供されるデバイスは、正孔輸送層と、2個の発光層と、電子輸送層とがこの順序で整列したものを少なくとも備える。これらのデバイスでは、それぞれの層が最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位と最低空軌道(LUMO)エネルギー準位をもち、少なくとも1つの発光層のHOMOエネルギー準位および/またはLUMOエネルギー準位のうち、少なくとも1つは、段階的な様式で低下しない。言い換えると、第1の発光層のエネルギー準位の1つが、正孔輸送層の対応するエネルギー準位の1つより低くないと(例えば、第1の発光層のHOMOが、正孔輸送層のHOMOよりも低くなく、および/または第1の発光層のLUMOが、正孔輸送層のLUMOよりも低くない)、第2の発光層のエネルギー準位の1つは、第1の発光層の対応するエネルギー準位より低くなく、および/または電子輸送層のエネルギー準位の1つは、第2の発光層の対応するエネルギー準位の1つより低くない。
【0008】
例えば、ある実施形態は、カソードと、アノードと、アノードおよびカソードの間に配置された一連の有機層とを備え、この一連の有機層は、アノードおよびカソードの間に配置され、第1のホスト材料および第1の放射性材料を含む第1の発光層と;アノードおよび第1の発光層の間に配置される正孔輸送層と;第1の発光層およびカソードの間に配置され、第2のホスト材料および第2の放射性材料を含む第2の発光層と;第2の発光層およびカソードの間に配置される電子輸送層とを備え、正孔輸送層のHOMOエネルギー準位は、電子輸送層のHOMOエネルギー準位より高く、正孔輸送層のLUMOエネルギー準位は、電子輸送層のLUMOエネルギー準位より高く:、第1の発光層のHOMOエネルギー準位は、正孔輸送層のHOMOエネルギー準位より高い;第1の発光層のLUMOエネルギー準位は、第2の発光層のLUMOエネルギー準位より低い;第2の発光層のHOMOエネルギー準位は、第1の発光層のHOMOエネルギー準位より高い;または第2の発光層のLUMOエネルギー準位は、電子輸送層のLUMOエネルギー準位よりも低いという関係のうち、少なくとも1つが存在する、有機発光デバイスを提供する。
【0009】
これらの実施形態および他の実施形態を以下にかなり詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本明細書に記載のデバイスのある実施形態の構造の模式図を与える。
【0011】
【図2】図2は、ある実施形態について、異なる層の最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位および最低空軌道(LUMO)エネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0012】
【図3】図3は、ある実施形態について、異なる層のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0013】
【図4】図4は、ある実施形態について、異なる層のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0014】
【図5】図5は、ある実施形態について、異なる層のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0015】
【図6】図6は、ある実施形態について、異なる層のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0016】
【図7】図7は、ある実施形態について、異なる層のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0017】
【図8】図8は、ある実施形態について、異なる層のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0018】
【図9】図9は、本明細書に記載のデバイスの一実施形態の輝度(cd/m2)の関数としての、発光効率(cd/A)および電力効率(lm/w)のプロットである。
【0019】
【図10】図10は、本明細書に記載のデバイスの一実施形態の輝度(cd/m2)の関数としての、発光効率(cd/A)および電力効率(lm/w)のプロットである。
【0020】
【図11a】図11aは、本明細書に記載のデバイスの一実施形態の輝度(cd/m2)の関数としての、発光効率(cd/A)および電力効率(lm/w)のプロットである。
【0021】
【図11b】図11bは、本明細書に記載のデバイスの一実施形態のエレクトロルミネセンススペクトルのプロットである。
【0022】
【図12a】図12aは、本明細書に記載のデバイスの一実施形態の輝度(cd/m2)の関数としての、発光効率(cd/A)および電力効率(lm/w)のプロットである。
【0023】
【図12b】図12bは、本明細書に記載のデバイスの一実施形態のエレクトロルミネセンススペクトルのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本明細書に記載するデバイスのある実施形態の構造の模式図を与える。これらのデバイスは、アノード10と、カソード60と、アノード10およびカソード60の間に配置された一連の有機層5とを備える。これらの実施形態では、有機層5は、正孔輸送層20と、第1の発光層30と、第2の発光層40と、電子輸送層50とが記載した順序で配置されたものを少なくとも備えている。ある実施形態では、このデバイスは、アノードから第1の発光層および第2の発光層に正孔が輸送されることができ、また、カソードから第1の発光層および第2の発光層に電子が輸送されることができるような構成であってもよい。有機層は、場合により、以下の1つ以上のものをさらに備えていてもよい:アノード10および正孔輸送層の間に配置された第1の任意の層15;正孔輸送層20および第1の発光層30の間に配置された第2の任意の層25;第1の発光層30および第2の発光層40の間に配置された第3の任意の層35;第2の発光層40および電子輸送層50の間に配置された第4の任意の層45;ならびに電子輸送層50およびカソード60の間に配置された第5の任意の層55。これらの任意の層は、正孔を注入する層、正孔を遮断する層、励起子を遮断する層、電子を注入する層、電子を遮断する層など、任意の種類の層であってもよい。ある実施形態では、存在する場合、第1の任意の層15、存在する場合、第2の任意の層25、存在する場合、第3の任意の層35は、独立して、正孔を注入する層、電子を遮断する層、励起子を遮断する層から選択される。ある実施形態では、第3の任意の層35、第4の任意の層45、第5の任意の層55は、存在する場合、独立して、電子を注入する層、正孔を遮断する層、励起子を遮断する層から選択される。ある実施形態では、第1の任意の層15は、正孔を注入する層である。ある実施形態では、第5の任意の層55は、電子を注入する層である。
【0025】
図2〜8は、ある実施形態について、異なる層の最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位および最低空軌道(LUMO)エネルギー準位、アノード仕事関数10V、ならびにカソード仕事関数60Vを示す。用語「最高被占軌道エネルギー準位」または「HOMOエネルギー準位」は、当業者が理解している通常の意味をもつ。ある実施形態では、ある材料のHOMOエネルギー準位は、基底状態で少なくとも1個の電子に占有されている、その材料の最も高いエネルギー分子軌道のエネルギー準位を含む。用語「最低空軌道エネルギー準位」または「LUMOエネルギー準位」は、当業者が理解している通常の意味をもつ。ある実施形態では、ある材料のLUMOエネルギー準位は、基底状態に電子を含まない、その材料の最も低いエネルギー分子軌道のエネルギー準位を含む。金属または導電体の「仕事関数」は、金属または導電体の表面から電子を取り出すのに必要な最小エネルギーの指標である。
【0026】
これらの実施形態では、正孔輸送層20(HT)のHOMOエネルギー準位20Hは、電子輸送層50(ET)のHOMOエネルギー準位50Hより高く、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lは、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lより高い。ある実施形態では、アノード10の仕事関数10Vは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hより高くてもよく、カソード60の仕事関数60Vは、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lより低くてもよい。
【0027】
図2を参照すると、ある実施形態では、第1の発光層30(EM−1)のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hより高くてもよい。例えば、第1の発光層30(EM−1)のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hよりも約0.05eV〜約0.70eV、約0.1eV〜約0.3eV、または約0.1eV〜約0.2eV高くてもよい。ある実施形態では、以下の関係1、2、3、4または5が存在する:(1)電子輸送層50のHOMOエネルギー準位50Hは、第2の発光層40(EM−2)のHOMOエネルギー準位40Hよりも低い、(2)第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hよりも低い、(3)電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lよりも低い、(4)第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lよりも低い、(5)第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lよりも低い。
【0028】
図3を参照すると、ある実施形態では、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lより低くてもよい。例えば、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lより約0.05eV〜約0.70eV、約0.1eV〜約0.3eV、または約0.1eV〜約0.2eV低くてもよい。ある実施形態では、以下の関係1、2、3、4または5が存在する:(1)電子輸送層50のHOMOエネルギー準位50Hは、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hよりも低い、(2)第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hよりも低い、(3)第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hよりも低い、(4)電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lよりも低い、(5)第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lよりも低い。
【0029】
図4を参照すると、ある実施形態では、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hより高くてもよい。例えば、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hよりも約0.05eV〜約0.70eV、約0.1eV〜約0.3eV、または約0.1eV〜約0.2eV高くてもよい。ある実施形態では、以下の関係1、2、3、4または5が存在する:(1)電子輸送層50のHOMOエネルギー準位50Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hよりも低い、(2)第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hよりも低い、(3)電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lよりも低い、(4)第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lよりも低い、(5)第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lより低い。
【0030】
図5を参照すると、ある実施形態では、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lより低くてもよい。例えば、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lよりも約0.05eV〜約0.70eV、約0.1eV〜約0.3eV、または約0.1eV〜約0.2eV低くてもよい。ある実施形態では、以下の関係1、2、3、4または5が存在する:(1)電子輸送層50のHOMOエネルギー準位50Hは、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hよりも低い、(2)第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hよりも低い、(3)第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hよりも低い、(4)電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lは、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lよりも低い、(5)第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lよりも低い。
【0031】
図2〜5について、種々のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位の関係の組み合わせから、さまざまな異なるエネルギー構造が得られる。例えば、図6では、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hよりも高く、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lよりも低い。さらに、ある実施形態では、電子輸送層50のHOMOエネルギー準位50Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hよりも低く、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hよりも低く、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lよりも低く、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lよりも低い。
【0032】
図7は、ある実施形態のエネルギー構造を示す。これらのデバイスでは、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hより高く、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lより低い。さらに、ある実施形態では、電子輸送層50のHOMOエネルギー準位50Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hより低く、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hより低く、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lは、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lより低く、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lより低い。
【0033】
図8は、ある実施形態のエネルギー構造を示す。これらのデバイスでは、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hより高く、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lより低く、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lより低い。
【0034】
カソードは、アノード層よりも仕事関数が低い任意の材料を含んでいてもよい。カソード層に適した材料の例としては、1族のアルカリ金属、2族の金属、3族の金属、希土類元素、ランタノイドおよびアクチノイドを含む12族の金属;アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウムおよびマグネシウムなどの物質、ならびにこれらの組み合わせから選択されるものが挙げられる。操作電圧を下げるために、有機層とカソード層の間に、Liを含有する有機金属化合物、LiF、Li2Oを堆積させてもよい。仕事関数が低い適切な金属としては、限定されないが、Al、Ag、Mg、Ca、Cu、Mg/Ag、LiF/Al、CsF、CsF/Alまたはこれらの合金が挙げられる。ある実施形態では、カソード層は、厚みが約1nm〜約1000nmの範囲であってもよい。
【0035】
カソードに有用であり得るある材料の仕事関数の概算値が、以下の表1に含まれている。
【表1】
【0036】
アノード層は、カソード層よりも仕事関数が高い任意の材料を含んでいてもよい。ある実施形態では、アノード層は、金属、混合金属、合金、金属酸化物もしくは混合金属酸化物、または導電性ポリマーなどの従来の物質を含んでいてもよい。適切な金属の例としては、1族の金属、4族、5族、6族の金属、8〜10族の遷移金属が挙げられる。アノード層が光を伝達する場合、12族、13族、14族の金属の混合金属酸化物またはこれらの組み合わせの酸化物、例えば、Au、Pt、インジウム−スズ−オキシド(ITO)を使用してもよい。アノード層は、ポリアニリン(例えば、「Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer」、Nature、第357巻、pp.477−479(1992年6月11日)に記載されるような)、グラフェン(例えば、H.P.Boehm,R.Setton and E. Stumpp(1994).「Nomenclature and terminology of graphite intercalation compounds」Pure and Applied Chemistry 66:1893−1901に記載されるような)、および/またはカーボンナノチューブ(例えば、Juniら、米国出願番号第20080152573(WO/2008/140505号))などの有機材料を含んでいてもよい。仕事関数が高い適切な導電体の例としては、限定されないが、Au、Pt、インジウム−スズ−オキシド(ITO)、またはこれらの合金が挙げられる。一実施形態では、アノード層は、厚みが約1nm〜約1000nmの範囲であってもよい。
【0037】
アノードに有用であり得るある材料の仕事関数の概算値が、以下の表2に含まれている。
【表2】
【0038】
一連の有機層は、正孔輸送層と、電子輸送層と、第1の発光層と、第2の発光層とを備えており、また、これらの層の間の任意の位置に配置された任意の層を備えていてもよく、または、アノードもしくはカソードと接触する片方の外側層もしくは両方の外側層であってもよい。
【0039】
正孔輸送層は、接触する2つの層の間で正孔を輸送することが可能な任意の層であってもよい。正孔輸送層が接触してもよい2つの層の例としては、アノードおよび第1の発光層、正孔を注入する層および第1の発光層、アノードおよび電子を遮断する層、アノードおよび励起子を遮断する層などが挙げられる。正孔輸送層は、本明細書に記載のデバイスに適したHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位をもつ任意の物質を含んでいてもよく、当業者には既知の正孔輸送材料を含んでいてもよい。ある実施形態では、正孔輸送層は、HOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位をもつ正孔輸送化合物を含み、正孔輸送層のHOMOエネルギー準位は、正孔輸送化合物のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、正孔輸送層のLUMOエネルギー準位は、正孔輸送化合物のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい。
【0040】
ある実施形態では、正孔輸送化合物は、芳香族置換アミン、カルバゾール、ポリビニルカルバゾール(PVK)、例えば、ポリ(9−ビニルカルバゾール);ポリフルオレン;ポリフルオレンコポリマー;ポリ(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン−alt−ベンゾチアジアゾール);ポリ(パラフェニレン);ポリ[2−(5−シアノ−5−メチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン];ベンジジン;フェニレンジアミン;フタロシアニン金属錯体;ポリアセチレン;ポリチオフェン;トリフェニルアミン;オキサジアゾール;銅フタロシアニン;1,1−ビス(4−ビス(4−メチルフェニル)アミノフェニル)シクロヘキサン;2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン;3,5−ビス(4−tert−ブチル−フェニル)−4−フェニル[1,2,4]トリアゾール;3,4,5−トリフェニル−1,2,3−トリアゾール;4,4’,4’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’−ビス(3−メチルフェニル)N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD);4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD);4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)−トリフェニルアミン(TCTA);4,4’−ビス[N,N’−(3−トリル)アミノ]−3,3’−ジメチルビフェニル(HMTPD);4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP);1,3−N,N−ジカルバゾール−ベンゼン(mCP);ビス[4−(p,p’−ジトリル−アミノ)フェニル]ジフェニルシラン(DTASi);2,2’−ビス(4−カルバゾリルフェニル)−1,1’−ビフェニル(4CzPBP);N,N’N”−1,3,5−トリカルバゾロイルベンゼン(tCP);N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジンなどであってもよい。
【0041】
正孔輸送材料として有用であり得るある種の材料のLUMOエネルギー準位およびHOMOエネルギー準位の概算値が、以下の表3に含まれている。
【表3】
【化1】
【化2】
【0042】
ある実施形態では、正孔輸送層は、電子を遮断する層としても機能する材料から作られる。ある実施形態では、正孔輸送層は、励起子を遮断する層として機能することもできる材料を含む。
【0043】
電子輸送層は、接触する2つの層の間で電子を輸送することが可能な任意の層であってもよい。電子輸送層が接触してもよい2つの層の例としては、カソードおよび第2の発光層、電子を注入する層および第2の発光層、カソードおよび正孔を遮断する層、カソードおよび励起子を遮断する層などが挙げられる。電子輸送層は、本明細書に記載のデバイスに適したHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位をもつ任意の物質を含んでいてもよく、当業者には既知の電子輸送材料を含んでいてもよい。ある実施形態では、電子輸送層は、HOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位をもつ電子輸送化合物を含み、電子輸送層のHOMOエネルギー準位は、電子輸送化合物のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、電子輸送層のLUMOエネルギー準位は、電子輸送化合物のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい。
【0044】
ある実施形態では、電子輸送化合物は、2−(4−ビフェニルイル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD);1,3−ビス(N,N−t−ブチル−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(OXD−7)、1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン;3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ);2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−フェナントロリン(バトクプロインまたはBCP);アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノラート)(Alq3);1,3,5−トリス(2−N−フェニルベンズイミダゾリル)ベンゼン(TPBI);1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン(BPY−OXD)などであってもよい。
【0045】
電子輸送材料として有用であり得るある種の材料のLUMOエネルギー準位およびHOMOエネルギー準位が、以下の表3に含まれている。
【表3】
【化3】
【0046】
他の実施形態では、電子輸送層に含まれてもよい材料のLUMOと、カソード層の仕事関数とのエネルギー差は、カソードから電子を十分に輸送することができるほど十分に小さい。ある実施形態では、電子輸送層は、正孔を遮断する層としても機能する材料から作られる。ある実施形態では、電子輸送層は、励起子を遮断する層として機能することも可能な材料を含む。
【0047】
第1の発光層の第1のホスト材料は、1種類以上の正孔輸送材料、1種類以上の電子輸送材料、1種類以上の二極性材料のうち、少なくとも1つであってもよく、正孔および電子を輸送することが可能であると当業者に理解されている材料を含む。ある実施形態では、第1のホスト材料は、第1の放射性材料の三重項エネルギー(例えば、最も低い三重項状態から基底状態まで物質が緩和した結果、放射される光子のエネルギー)よりも大きな三重項エネルギーを特徴とするリン光発光性材料を含む。ある実施形態では、第1のホスト材料は、第1の発光層の少なくとも約50重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%であり、第1の発光層のHOMOエネルギー準位は、第1のホスト材料のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、第1の発光層のLUMOエネルギー準位は、第1のホスト材料のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい。
【0048】
第2の発光層の第2のホスト材料は、1種類以上の正孔輸送材料、1種類以上の電子輸送材料、1種類以上の二極性材料のうち、少なくとも1つであってもよい。ある実施形態では、第2のホスト材料は、第2の放射性材料の三重項エネルギーよりも大きな三重項エネルギーを特徴とするリン光発光性材料を含む。ある実施形態では、第2のホスト材料は、第2の発光層の少なくとも約50重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%であり、第2の発光層のHOMOエネルギー準位は、第2のホスト材料のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、第2の発光層のLUMOエネルギー準位は、第2のホスト材料のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい。
【0049】
第1のホスト材料および/または第2のホスト材料として有用であり得るある種の材料のLUMOエネルギー準位およびHOMOエネルギー準位が、以下の表4に含まれている。
【表4】
【化4】
【0050】
ある実施形態では、第1のホスト材料および/または第2のホスト材料は、4CzPBP、HO−2またはHO−1を含んでいてもよい。
【0051】
ある実施形態では、正孔輸送層はDTASiを含み、第1のホストは4CzPBPを含み、第2のホストはHO−2を含み、電子輸送層はTPBIを含む。ある実施形態では、正孔輸送層はDTASiを含み、第1のホストはHO−1を含み、第2のホストはHO−2を含み、電子輸送層はTPBIを含む。
【0052】
第1の放射性材料または第2の放射性材料には、任意の適切な放射性材料を使用してもよい。ある実施形態では、第1の放射性材料は、第2の放射性材料によって放射される可視光子よりも平均波長が短い可視光子を放射する。用語「平均波長」は、当業者が理解する通常の意味をもつ。ある実施形態では、平均波長は、材料の放射スペクトルの中で、平均波長よりも短い波長の可視範囲での曲線の下側の面積が、平均波長よりも長い波長の可視範囲での曲線の下側の面積にほぼ等しいような波長を含む。
【0053】
ある実施形態では、第1の発光層は、平均波長が約400nm〜約550nmの範囲の可視光子を放射する。ある実施形態では、第2の発光層は、平均波長が約500nm〜約750nmの範囲の可視光子を放射する。ある実施形態では、第1の発光層および/または第2の発光層は、イリジウム配位化合物、例えば、ビス(2−[4,6−ジフルオロフェニル]ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)ピコリナート(FIrPic)、ビス−{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)−ピコリナート、ビス(2−[4,6−ジフルオロフェニル]ピリジナト−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトナート)、イリジウム(III)ビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジナト)−3−(トリフルオロメチル)−5−(ピリジン−2−イル)−1,2,4−トリアゾラート、イリジウム(III)ビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジナト)−5−(ピリジン−2−イル)−1H−テトラゾラート、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラ(1−ピラゾリル)ボラート、ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート);ビス[(2−フェニルキノリル)−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート);ビス[(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)]イリジウム(III)(アセチルアセトナート);ビス[(ジベンゾ[f,h]キノキサリノ−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート);トリス(2,5−ビス−2’−(9’,9’−ジヘキシルフルオレン)ピリジン)イリジウム(III);トリス[1−フェニルイソキノリナト−N,C2’]イリジウム(III);トリス−[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III);トリス[1−チオフェン−2−イルイソキノリナト−N,C3’]イリジウム(III);トリス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)イソキノリナト−(N,C3’)イリジウム(III))、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート)[Ir(ppy)2(acac)]、ビス(2−(4−トリル)ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート)[Ir(mppy)2(acac)]、ビス(2−(4−tert−ブチル)ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート)[Ir(t−Buppy)2(acac)]、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)[Ir(ppy)3]、ビス(2−フェニルオキサゾリナト−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート)[Ir(op)2(acac)]、トリス(2−4−トリル)ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)[Ir(mppy)3]などを含む。
【0054】
ある実施形態では、第2の発光層は、黄色エミッタおよび/または赤色エミッタを含む。黄色エミッタの例としては、限定されないが、YE−1、ビス[(2−フェニルキノリル)−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)、Ir(pq)2acac;ビス[2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)、(bt)2Ir(III)(acac);ビス[2−(4−tert−ブチルフェニル)ベンゾチアゾラト−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)、(t−bt)2Ir(III)(acac);ビス[(2−(2’−チエニル)ピリジナト−N,C3’)]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)、(thp)2Ir(III)(acac);トリス[2−(9.9−ジメチルフルオレン−2−イル)ピリジナト−(N,C3’)]イリジウム(III)、[Ir(Flpy)3];トリス[2−(9.9−ジメチルフルオレン−2−イル)ピリジナト−(N,C3’)]イリジウム(III)、[Ir(Flpy)3];ビス[5−トリフルオロメチル−2−[3−(N−フェニルカルバゾリル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)、(Cz−CF3)Ir(III)(acac);(2−PhPyCz)2Ir(III)(acac)を含む。
【0055】
赤色エミッタの例としては、限定されないが、Ir(piq)2acac、ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート);ビス[(2−フェニルキノリル)−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート);ビス[(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)]イリジウム(III)(アセチルアセトナート);ビス[(ジベンゾ[f,h]キノキサリノ−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート);トリス(2,5−ビス−2’−(9’,9’−ジヘキシルフルオレン)ピリジン)イリジウム(III);トリス[1−フェニルイソキノリナト−N,C2’]イリジウム(III);トリス−[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III);トリス[1−チオフェン−2−イルイソキノリナト−N,C3’]イリジウム(III);トリス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)イソキノリナト−(N,C3’)イリジウム(III)]などが挙げられる。
【化5】
【化6】
【化7】
1.(Btp)2Ir(III)(acac);ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)
2.(Pq)2Ir(III)(acac);ビス[(2−フェニルキノリル)−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)
3.(Piq)2Ir(III)(acac);ビス[(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)
4.(DBQ)2Ir(acac);ビス[(ジベンゾ[f,h]キノキサリノ−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート)
5.[Ir(HFP)3],トリス(2,5−ビス−2’−(9’,9’−ジヘキシルフルオレン)ピリジン)イリジウム(III)
6.Ir(piq)3;トリス[1−フェニルイソキノリナト−N,C2’]イリジウム(III)
7.Ir(btp)3;トリス−[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)
8.Ir(tiq)3,トリス[1−チオフェン−2−イルイソキノリナト−N,C3’]イリジウム(III)
9.Ir(fliq)3;トリス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)イソキノリナト−(N,C3’)イリジウム(III)]
【化8】
【0056】
OLEDで使用する有機材料のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位は、例えば、溶液電気化学法、紫外光電子分光法(UPS)、逆光電子分光法などの当該技術分野で知られているいくつかの従来法によって得られてもよい。ある実施形態では、OLEDで使用する有機材料のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位は、Metrohm USA(リバービュー、FLA、USA)製のサイクリックボルタンメトリー(CV)装置(μAutolab II型モデル)を用い、GPES/FRAソフトウエア(バージョン4.9)と組み合わせて得られてもよい。
【0057】
本明細書に記載のデバイスは、当該技術分野で現在知られているデバイスと比べ、発光効率を改良し、演色評価数を良好にし、および/または色安定性を改良することができる。
【0058】
ある実施形態では、本発明で提供されるデバイスは、白色光を放射し、白色光とは、通常の観察者から見ると白色に見える光を意味する。ある実施形態では、白色光は、CIE色座標が(X=1/3、Y=1/3)の概算値を有する光である。CIE色座標は、放射した光の色を定量するのに有用であるとして当該技術分野で知られており、CIE色座標(X=1/3、Y=1/3)は、無色点として知られている。XおよびYの色座標は、色を合わせるためにCIE原色に適用される重みである。これらの用語のさらなる詳細な記載は、CIE 1971,International Commission on Illumination,Colorimetry:Official Recommendations of the International Commission on Illumination,Publication CIE No.15(E−1.3.1)1971、Bureau Central de la CIE、Paris、1971、およびF.W.Billmeyer,Jr.,M.Saltzman,Principles of Color Technology、第2版、John Wiley & Sons,Inc.、New York、1981中に見いだされ得、これら両方とも、全体が本明細書に参考により組み込まれる。演色評価数(CRI)は、さまざまな色にする能力を指し、0〜100の値を有し、100が最も良い。
【実施例】
【0059】
(実施例1)
デバイスを、一般的に以下のように製造した。
【0060】
ITOでコーティングされたガラス基材を、アセトン中、超音波で洗浄し、続けて2−プロパノール中で洗浄し、約110℃で約3時間焼き、その後、酸素プラズマで約30分間処理した。あらかじめ洗浄しておき、O2−プラズマ処理した(ITO)基材の上に、PEDOT:PSS層(H.C.Starck製のBaytron P)を約6000rpmでスピンコーティングし、約180℃で約30分間アニーリングし、厚み約20nmを得た。10−7torr(1torr=133.322Pa)の圧力で、減圧堆積システムを入れたグローブボックス内で、まず、4,4’4”−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)を堆積速度約0.06nm/sでPEDOT/PSS層の上部に堆積させ、40nmの厚い膜を得た。次いで、第1のホストを含む第1のエミッタ(約12%wt)を、TCTAの上部に一緒に堆積させ、5〜10nmの厚い膜を第1の発光層として作成し、次いで、第2のエミッタ(約5%wt)および第2のホストを一緒に堆積させ、1〜5nmの厚い膜を第2の発光層として作成した。第3の発光層(必要な場合)は、第3のエミッタおよび第3のホストを一緒に堆積させ、5〜10nmの厚い膜を作成することによって調製されてもよい。次いで、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBI)の40nmの厚い層を、ほぼ0.06nm/sの堆積速度で第2の発光層の上部に堆積させた。次いで、LiFおよびAlをそれぞれ0.005nm/sおよび0.2nm/sの堆積速度で連続して堆積させた。
【0061】
(実施例2)
以下のデバイスは、HOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位が従来のように段階的に低下するデバイスであるが、これを実施例1の手順にしたがって調製した。
【表5】
【0062】
I−V測定によって、Keithley 2400 Source Meterを用い、0〜10V電圧スキャンを適用し、同時に電流を測定することによって、このデバイスの性能を評価した。すべてのデバイスの操作は、窒素を充填したグローブボックス内で行った。図9は、さまざまな輝度でのデバイスの発光効率および電力効率のプロットである。図9は、約200cd/m2〜約1,000cd/m2の範囲の輝度で、発光効率が、一般的に約28cd/A〜約31cd/Aの範囲であり、電力効率が約19 lm/W〜約24 lm/Wの範囲であることを示す。輝度1,000cd/m2で、4.5V(電流密度3.4mA/cm2)で駆動すると、このデバイスは、28.4cd/Aの発光効率と、19.6 lm/Wの電力効率を示す。
【0063】
(実施例3)
以下のデバイスは、HOMOエネルギー準位が従来のように段階的に低下するデバイスであるが、これを実施例1の手順にしたがって調製した。
【表6】
【0064】
I−V測定によって、Keithley 2400 Source Meterを用い、0〜10V電圧スキャンを適用し、同時に電流を測定することによって、このデバイスの性能を評価した。すべてのデバイスの操作は、窒素を充填したグローブボックス内で行った。図10は、さまざまな輝度でのデバイスの発光効率および電力効率のプロットである。図10は、約200cd/m2〜約1,000cd/m2の範囲の輝度で、発光効率が、一般的に約37cd/A〜約42cd/Aの範囲であり、電力効率が、約24 lm/W〜約33 lm/Wの範囲であることを示す。輝度1,000cd/m2で、3.6Vで駆動すると、このデバイスは、37.0cd/Aの発光効率と、24.0 lm/Wの電力効率を示し、このデバイスは、実施例2のデバイスよりも効率が高い。
【0065】
(実施例4)
実施例1の手順にしたがって、以下のデバイスを調製した。
【表7】
【0066】
I−V測定によって、Keithley 2400 Source Meterを用い、0〜10V電圧スキャンを適用し、同時に電流を測定することによって、このデバイスの性能を評価した。すべてのデバイスの操作は、窒素を充填したグローブボックス内で行った。図11aは、さまざまな輝度でのデバイスの発光効率および電力効率のプロットである。図11aは、約200cd/m2〜約1,000cd/m2の範囲の輝度で、発光効率が、一般的に約58cd/A〜約62cd/Aの範囲であり、電力効率が、約44 lm/W〜約50 lm/Wの範囲であることを示す。輝度1,000cd/m2で、4.2V、電流密度1.7mA/cm2で駆動すると、このデバイスは、59.0cd/Aの発光効率と、44.0 lm/Wの電力効率を示し、したがって、実施例2および3のデバイスよりも効率が高い。図11bは、同じデバイスのエレクトロルミネセンススペクトルのプロットであり、可視範囲に強い発光を示し、CIE(0.334、0.396)、CRI(74)であった。
【0067】
(実施例5)
実施例1の手順にしたがって、以下のデバイスを調製した。
【表8】
【0068】
I−V測定によって、Keithley 2400 Source Meterを用い、0〜10V電圧スキャンを適用し、同時に電流を測定することによって、このデバイスの性能を評価した。すべてのデバイスの操作は、窒素を充填したグローブボックス内で行った。図12は、さまざまな輝度でのデバイスの発光効率および電力効率のプロットである。図12aは、約200cd/m2〜約1,000cd/m2の輝度で、発光効率が、一般的に約66cd/A〜約72cd/Aの範囲であり、電力効率が、約51 lm/W〜約70 lm/Wの範囲であることを示す。輝度1,000cd/m2で、4.1Vで駆動すると、このデバイスは、66.0cd/Aの発光効率と、51.0 lm/Wの電力効率を示し、したがって、実施例2および3のデバイスよりも効率が高い。図12bは、同じデバイスのエレクトロルミネセンススペクトルのプロットであり、可視範囲に強い発光を示し、CIE(0.35、0.43)、CRI(68)であった。
【0069】
本発明を特定の好ましい実施形態および実施例という観点で開示してきたが、本発明を、特定的に開示されている実施形態を超えて、他の代替的な実施形態および/または本発明の使用、およびこれらのさまざまな改変および等価物にまで拡張されることが当業者には理解されるだろう。したがって、本明細書に開示されている本発明の範囲は、上述の特定の開示されている実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲を正当に読むことによってのみ決定されるべきであることを意図している。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年2月5日に提出された米国仮出願第61/301,694号の利益を請求し、この内容全体が本明細書に参考により組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の実施形態は、有機発光ダイオード、例えば、正孔輸送層と、2個の発光層と、電子輸送層とを備える有機発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0003】
白色有機発光デバイス(WOLED)は、照明用途での重要性が増してきている。例えば、WOLEDは、エネルギーを節約するために、蛍光灯と交換することができるだろう。したがって、WOLEDの電力効率を高める必要性が依然として存在する。
【0004】
現行のWOLEDの多くは、正孔輸送層と、少なくとも2個の発光層と、電子輸送層とがこの順序で整列したものを備えている。これらのデバイスでは、それぞれの層が最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位と最低空軌道(LUMO)エネルギー準位とをもち、HOMOエネルギー準位および/またはLUMOエネルギー準位は、段階的な様式で低下する。言い換えると、第1の発光層のエネルギー準位が、正孔輸送層の対応するエネルギー準位より低いと(例えば、第1の発光層のHOMOが、正孔輸送層のHOMOよりも低く、第1の発光層のLUMOが、正孔輸送層のLUMOよりも低い)、第2の発光層のエネルギー準位は、第1の発光層の対応するエネルギー準位より低く、電子輸送層のエネルギー準位は、第2の発光層の対応するエネルギー準位より低い。これらのデバイスは、正孔輸送層を介し、発光層からアノードに電子が漏れ、電子輸送層を介し、発光層からカソードに正孔が漏れるという問題が生じ、これによって、デバイスの効率が低下することがある。伝統的に、この問題に対処しようとするために、時に、正孔を遮断する層と電子を遮断する層とが使用されるが、さらなる層は、デバイス製造の費用を増やし、複雑性を増してしまい、デバイスの効率を下げてしまうことがある。
【0005】
他のデバイスは、アノードに対する電子の漏れを遮断するために非常に高いLUMOをもつ正孔輸送層、および/またはカソードに対する正孔の漏れを遮断するために、非常に低いHOMOをもつ電子輸送層を利用してもよい。残念なことに、正孔輸送層または電子輸送層の対応する分子軌道と対応する電極とのエネルギーギャップが大きいと、正孔または電子の移動性が顕著に低下することがある。移動性が低下すると、デバイスの効率が低下してしまうことがある。また、エネルギーギャップが大きいと、駆動電圧がさらに大きくなることがある。したがって、このアプローチを用いて効率を高めることは難しい。
【0006】
したがって、これらの問題に対処する別の選択肢が必要である。
【発明の概要】
【0007】
一般的に、本明細書で提供されるデバイスは、正孔輸送層と、2個の発光層と、電子輸送層とがこの順序で整列したものを少なくとも備える。これらのデバイスでは、それぞれの層が最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位と最低空軌道(LUMO)エネルギー準位をもち、少なくとも1つの発光層のHOMOエネルギー準位および/またはLUMOエネルギー準位のうち、少なくとも1つは、段階的な様式で低下しない。言い換えると、第1の発光層のエネルギー準位の1つが、正孔輸送層の対応するエネルギー準位の1つより低くないと(例えば、第1の発光層のHOMOが、正孔輸送層のHOMOよりも低くなく、および/または第1の発光層のLUMOが、正孔輸送層のLUMOよりも低くない)、第2の発光層のエネルギー準位の1つは、第1の発光層の対応するエネルギー準位より低くなく、および/または電子輸送層のエネルギー準位の1つは、第2の発光層の対応するエネルギー準位の1つより低くない。
【0008】
例えば、ある実施形態は、カソードと、アノードと、アノードおよびカソードの間に配置された一連の有機層とを備え、この一連の有機層は、アノードおよびカソードの間に配置され、第1のホスト材料および第1の放射性材料を含む第1の発光層と;アノードおよび第1の発光層の間に配置される正孔輸送層と;第1の発光層およびカソードの間に配置され、第2のホスト材料および第2の放射性材料を含む第2の発光層と;第2の発光層およびカソードの間に配置される電子輸送層とを備え、正孔輸送層のHOMOエネルギー準位は、電子輸送層のHOMOエネルギー準位より高く、正孔輸送層のLUMOエネルギー準位は、電子輸送層のLUMOエネルギー準位より高く:、第1の発光層のHOMOエネルギー準位は、正孔輸送層のHOMOエネルギー準位より高い;第1の発光層のLUMOエネルギー準位は、第2の発光層のLUMOエネルギー準位より低い;第2の発光層のHOMOエネルギー準位は、第1の発光層のHOMOエネルギー準位より高い;または第2の発光層のLUMOエネルギー準位は、電子輸送層のLUMOエネルギー準位よりも低いという関係のうち、少なくとも1つが存在する、有機発光デバイスを提供する。
【0009】
これらの実施形態および他の実施形態を以下にかなり詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本明細書に記載のデバイスのある実施形態の構造の模式図を与える。
【0011】
【図2】図2は、ある実施形態について、異なる層の最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位および最低空軌道(LUMO)エネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0012】
【図3】図3は、ある実施形態について、異なる層のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0013】
【図4】図4は、ある実施形態について、異なる層のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0014】
【図5】図5は、ある実施形態について、異なる層のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0015】
【図6】図6は、ある実施形態について、異なる層のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0016】
【図7】図7は、ある実施形態について、異なる層のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0017】
【図8】図8は、ある実施形態について、異なる層のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位、アノード仕事関数、ならびにカソード仕事関数を示す。
【0018】
【図9】図9は、本明細書に記載のデバイスの一実施形態の輝度(cd/m2)の関数としての、発光効率(cd/A)および電力効率(lm/w)のプロットである。
【0019】
【図10】図10は、本明細書に記載のデバイスの一実施形態の輝度(cd/m2)の関数としての、発光効率(cd/A)および電力効率(lm/w)のプロットである。
【0020】
【図11a】図11aは、本明細書に記載のデバイスの一実施形態の輝度(cd/m2)の関数としての、発光効率(cd/A)および電力効率(lm/w)のプロットである。
【0021】
【図11b】図11bは、本明細書に記載のデバイスの一実施形態のエレクトロルミネセンススペクトルのプロットである。
【0022】
【図12a】図12aは、本明細書に記載のデバイスの一実施形態の輝度(cd/m2)の関数としての、発光効率(cd/A)および電力効率(lm/w)のプロットである。
【0023】
【図12b】図12bは、本明細書に記載のデバイスの一実施形態のエレクトロルミネセンススペクトルのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本明細書に記載するデバイスのある実施形態の構造の模式図を与える。これらのデバイスは、アノード10と、カソード60と、アノード10およびカソード60の間に配置された一連の有機層5とを備える。これらの実施形態では、有機層5は、正孔輸送層20と、第1の発光層30と、第2の発光層40と、電子輸送層50とが記載した順序で配置されたものを少なくとも備えている。ある実施形態では、このデバイスは、アノードから第1の発光層および第2の発光層に正孔が輸送されることができ、また、カソードから第1の発光層および第2の発光層に電子が輸送されることができるような構成であってもよい。有機層は、場合により、以下の1つ以上のものをさらに備えていてもよい:アノード10および正孔輸送層の間に配置された第1の任意の層15;正孔輸送層20および第1の発光層30の間に配置された第2の任意の層25;第1の発光層30および第2の発光層40の間に配置された第3の任意の層35;第2の発光層40および電子輸送層50の間に配置された第4の任意の層45;ならびに電子輸送層50およびカソード60の間に配置された第5の任意の層55。これらの任意の層は、正孔を注入する層、正孔を遮断する層、励起子を遮断する層、電子を注入する層、電子を遮断する層など、任意の種類の層であってもよい。ある実施形態では、存在する場合、第1の任意の層15、存在する場合、第2の任意の層25、存在する場合、第3の任意の層35は、独立して、正孔を注入する層、電子を遮断する層、励起子を遮断する層から選択される。ある実施形態では、第3の任意の層35、第4の任意の層45、第5の任意の層55は、存在する場合、独立して、電子を注入する層、正孔を遮断する層、励起子を遮断する層から選択される。ある実施形態では、第1の任意の層15は、正孔を注入する層である。ある実施形態では、第5の任意の層55は、電子を注入する層である。
【0025】
図2〜8は、ある実施形態について、異なる層の最高被占軌道(HOMO)エネルギー準位および最低空軌道(LUMO)エネルギー準位、アノード仕事関数10V、ならびにカソード仕事関数60Vを示す。用語「最高被占軌道エネルギー準位」または「HOMOエネルギー準位」は、当業者が理解している通常の意味をもつ。ある実施形態では、ある材料のHOMOエネルギー準位は、基底状態で少なくとも1個の電子に占有されている、その材料の最も高いエネルギー分子軌道のエネルギー準位を含む。用語「最低空軌道エネルギー準位」または「LUMOエネルギー準位」は、当業者が理解している通常の意味をもつ。ある実施形態では、ある材料のLUMOエネルギー準位は、基底状態に電子を含まない、その材料の最も低いエネルギー分子軌道のエネルギー準位を含む。金属または導電体の「仕事関数」は、金属または導電体の表面から電子を取り出すのに必要な最小エネルギーの指標である。
【0026】
これらの実施形態では、正孔輸送層20(HT)のHOMOエネルギー準位20Hは、電子輸送層50(ET)のHOMOエネルギー準位50Hより高く、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lは、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lより高い。ある実施形態では、アノード10の仕事関数10Vは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hより高くてもよく、カソード60の仕事関数60Vは、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lより低くてもよい。
【0027】
図2を参照すると、ある実施形態では、第1の発光層30(EM−1)のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hより高くてもよい。例えば、第1の発光層30(EM−1)のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hよりも約0.05eV〜約0.70eV、約0.1eV〜約0.3eV、または約0.1eV〜約0.2eV高くてもよい。ある実施形態では、以下の関係1、2、3、4または5が存在する:(1)電子輸送層50のHOMOエネルギー準位50Hは、第2の発光層40(EM−2)のHOMOエネルギー準位40Hよりも低い、(2)第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hよりも低い、(3)電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lよりも低い、(4)第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lよりも低い、(5)第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lよりも低い。
【0028】
図3を参照すると、ある実施形態では、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lより低くてもよい。例えば、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lより約0.05eV〜約0.70eV、約0.1eV〜約0.3eV、または約0.1eV〜約0.2eV低くてもよい。ある実施形態では、以下の関係1、2、3、4または5が存在する:(1)電子輸送層50のHOMOエネルギー準位50Hは、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hよりも低い、(2)第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hよりも低い、(3)第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hよりも低い、(4)電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lよりも低い、(5)第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lよりも低い。
【0029】
図4を参照すると、ある実施形態では、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hより高くてもよい。例えば、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hよりも約0.05eV〜約0.70eV、約0.1eV〜約0.3eV、または約0.1eV〜約0.2eV高くてもよい。ある実施形態では、以下の関係1、2、3、4または5が存在する:(1)電子輸送層50のHOMOエネルギー準位50Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hよりも低い、(2)第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hよりも低い、(3)電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lよりも低い、(4)第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lよりも低い、(5)第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lより低い。
【0030】
図5を参照すると、ある実施形態では、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lより低くてもよい。例えば、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lよりも約0.05eV〜約0.70eV、約0.1eV〜約0.3eV、または約0.1eV〜約0.2eV低くてもよい。ある実施形態では、以下の関係1、2、3、4または5が存在する:(1)電子輸送層50のHOMOエネルギー準位50Hは、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hよりも低い、(2)第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hよりも低い、(3)第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hよりも低い、(4)電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lは、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lよりも低い、(5)第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lよりも低い。
【0031】
図2〜5について、種々のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位の関係の組み合わせから、さまざまな異なるエネルギー構造が得られる。例えば、図6では、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hよりも高く、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lよりも低い。さらに、ある実施形態では、電子輸送層50のHOMOエネルギー準位50Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hよりも低く、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hよりも低く、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lよりも低く、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lよりも低い。
【0032】
図7は、ある実施形態のエネルギー構造を示す。これらのデバイスでは、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hより高く、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lより低い。さらに、ある実施形態では、電子輸送層50のHOMOエネルギー準位50Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hより低く、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hは、正孔輸送層20のHOMOエネルギー準位20Hより低く、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lは、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lより低く、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、正孔輸送層20のLUMOエネルギー準位20Lより低い。
【0033】
図8は、ある実施形態のエネルギー構造を示す。これらのデバイスでは、第2の発光層40のHOMOエネルギー準位40Hは、第1の発光層30のHOMOエネルギー準位30Hより高く、第1の発光層30のLUMOエネルギー準位30Lは、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lより低く、第2の発光層40のLUMOエネルギー準位40Lは、電子輸送層50のLUMOエネルギー準位50Lより低い。
【0034】
カソードは、アノード層よりも仕事関数が低い任意の材料を含んでいてもよい。カソード層に適した材料の例としては、1族のアルカリ金属、2族の金属、3族の金属、希土類元素、ランタノイドおよびアクチノイドを含む12族の金属;アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、サマリウムおよびマグネシウムなどの物質、ならびにこれらの組み合わせから選択されるものが挙げられる。操作電圧を下げるために、有機層とカソード層の間に、Liを含有する有機金属化合物、LiF、Li2Oを堆積させてもよい。仕事関数が低い適切な金属としては、限定されないが、Al、Ag、Mg、Ca、Cu、Mg/Ag、LiF/Al、CsF、CsF/Alまたはこれらの合金が挙げられる。ある実施形態では、カソード層は、厚みが約1nm〜約1000nmの範囲であってもよい。
【0035】
カソードに有用であり得るある材料の仕事関数の概算値が、以下の表1に含まれている。
【表1】
【0036】
アノード層は、カソード層よりも仕事関数が高い任意の材料を含んでいてもよい。ある実施形態では、アノード層は、金属、混合金属、合金、金属酸化物もしくは混合金属酸化物、または導電性ポリマーなどの従来の物質を含んでいてもよい。適切な金属の例としては、1族の金属、4族、5族、6族の金属、8〜10族の遷移金属が挙げられる。アノード層が光を伝達する場合、12族、13族、14族の金属の混合金属酸化物またはこれらの組み合わせの酸化物、例えば、Au、Pt、インジウム−スズ−オキシド(ITO)を使用してもよい。アノード層は、ポリアニリン(例えば、「Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer」、Nature、第357巻、pp.477−479(1992年6月11日)に記載されるような)、グラフェン(例えば、H.P.Boehm,R.Setton and E. Stumpp(1994).「Nomenclature and terminology of graphite intercalation compounds」Pure and Applied Chemistry 66:1893−1901に記載されるような)、および/またはカーボンナノチューブ(例えば、Juniら、米国出願番号第20080152573(WO/2008/140505号))などの有機材料を含んでいてもよい。仕事関数が高い適切な導電体の例としては、限定されないが、Au、Pt、インジウム−スズ−オキシド(ITO)、またはこれらの合金が挙げられる。一実施形態では、アノード層は、厚みが約1nm〜約1000nmの範囲であってもよい。
【0037】
アノードに有用であり得るある材料の仕事関数の概算値が、以下の表2に含まれている。
【表2】
【0038】
一連の有機層は、正孔輸送層と、電子輸送層と、第1の発光層と、第2の発光層とを備えており、また、これらの層の間の任意の位置に配置された任意の層を備えていてもよく、または、アノードもしくはカソードと接触する片方の外側層もしくは両方の外側層であってもよい。
【0039】
正孔輸送層は、接触する2つの層の間で正孔を輸送することが可能な任意の層であってもよい。正孔輸送層が接触してもよい2つの層の例としては、アノードおよび第1の発光層、正孔を注入する層および第1の発光層、アノードおよび電子を遮断する層、アノードおよび励起子を遮断する層などが挙げられる。正孔輸送層は、本明細書に記載のデバイスに適したHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位をもつ任意の物質を含んでいてもよく、当業者には既知の正孔輸送材料を含んでいてもよい。ある実施形態では、正孔輸送層は、HOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位をもつ正孔輸送化合物を含み、正孔輸送層のHOMOエネルギー準位は、正孔輸送化合物のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、正孔輸送層のLUMOエネルギー準位は、正孔輸送化合物のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい。
【0040】
ある実施形態では、正孔輸送化合物は、芳香族置換アミン、カルバゾール、ポリビニルカルバゾール(PVK)、例えば、ポリ(9−ビニルカルバゾール);ポリフルオレン;ポリフルオレンコポリマー;ポリ(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン−alt−ベンゾチアジアゾール);ポリ(パラフェニレン);ポリ[2−(5−シアノ−5−メチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン];ベンジジン;フェニレンジアミン;フタロシアニン金属錯体;ポリアセチレン;ポリチオフェン;トリフェニルアミン;オキサジアゾール;銅フタロシアニン;1,1−ビス(4−ビス(4−メチルフェニル)アミノフェニル)シクロヘキサン;2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン;3,5−ビス(4−tert−ブチル−フェニル)−4−フェニル[1,2,4]トリアゾール;3,4,5−トリフェニル−1,2,3−トリアゾール;4,4’,4’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’−ビス(3−メチルフェニル)N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD);4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD);4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)−トリフェニルアミン(TCTA);4,4’−ビス[N,N’−(3−トリル)アミノ]−3,3’−ジメチルビフェニル(HMTPD);4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP);1,3−N,N−ジカルバゾール−ベンゼン(mCP);ビス[4−(p,p’−ジトリル−アミノ)フェニル]ジフェニルシラン(DTASi);2,2’−ビス(4−カルバゾリルフェニル)−1,1’−ビフェニル(4CzPBP);N,N’N”−1,3,5−トリカルバゾロイルベンゼン(tCP);N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジンなどであってもよい。
【0041】
正孔輸送材料として有用であり得るある種の材料のLUMOエネルギー準位およびHOMOエネルギー準位の概算値が、以下の表3に含まれている。
【表3】
【化1】
【化2】
【0042】
ある実施形態では、正孔輸送層は、電子を遮断する層としても機能する材料から作られる。ある実施形態では、正孔輸送層は、励起子を遮断する層として機能することもできる材料を含む。
【0043】
電子輸送層は、接触する2つの層の間で電子を輸送することが可能な任意の層であってもよい。電子輸送層が接触してもよい2つの層の例としては、カソードおよび第2の発光層、電子を注入する層および第2の発光層、カソードおよび正孔を遮断する層、カソードおよび励起子を遮断する層などが挙げられる。電子輸送層は、本明細書に記載のデバイスに適したHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位をもつ任意の物質を含んでいてもよく、当業者には既知の電子輸送材料を含んでいてもよい。ある実施形態では、電子輸送層は、HOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位をもつ電子輸送化合物を含み、電子輸送層のHOMOエネルギー準位は、電子輸送化合物のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、電子輸送層のLUMOエネルギー準位は、電子輸送化合物のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい。
【0044】
ある実施形態では、電子輸送化合物は、2−(4−ビフェニルイル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD);1,3−ビス(N,N−t−ブチル−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(OXD−7)、1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン;3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ);2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−フェナントロリン(バトクプロインまたはBCP);アルミニウムトリス(8−ヒドロキシキノラート)(Alq3);1,3,5−トリス(2−N−フェニルベンズイミダゾリル)ベンゼン(TPBI);1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン(BPY−OXD)などであってもよい。
【0045】
電子輸送材料として有用であり得るある種の材料のLUMOエネルギー準位およびHOMOエネルギー準位が、以下の表3に含まれている。
【表3】
【化3】
【0046】
他の実施形態では、電子輸送層に含まれてもよい材料のLUMOと、カソード層の仕事関数とのエネルギー差は、カソードから電子を十分に輸送することができるほど十分に小さい。ある実施形態では、電子輸送層は、正孔を遮断する層としても機能する材料から作られる。ある実施形態では、電子輸送層は、励起子を遮断する層として機能することも可能な材料を含む。
【0047】
第1の発光層の第1のホスト材料は、1種類以上の正孔輸送材料、1種類以上の電子輸送材料、1種類以上の二極性材料のうち、少なくとも1つであってもよく、正孔および電子を輸送することが可能であると当業者に理解されている材料を含む。ある実施形態では、第1のホスト材料は、第1の放射性材料の三重項エネルギー(例えば、最も低い三重項状態から基底状態まで物質が緩和した結果、放射される光子のエネルギー)よりも大きな三重項エネルギーを特徴とするリン光発光性材料を含む。ある実施形態では、第1のホスト材料は、第1の発光層の少なくとも約50重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%であり、第1の発光層のHOMOエネルギー準位は、第1のホスト材料のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、第1の発光層のLUMOエネルギー準位は、第1のホスト材料のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい。
【0048】
第2の発光層の第2のホスト材料は、1種類以上の正孔輸送材料、1種類以上の電子輸送材料、1種類以上の二極性材料のうち、少なくとも1つであってもよい。ある実施形態では、第2のホスト材料は、第2の放射性材料の三重項エネルギーよりも大きな三重項エネルギーを特徴とするリン光発光性材料を含む。ある実施形態では、第2のホスト材料は、第2の発光層の少なくとも約50重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%であり、第2の発光層のHOMOエネルギー準位は、第2のホスト材料のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、第2の発光層のLUMOエネルギー準位は、第2のホスト材料のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい。
【0049】
第1のホスト材料および/または第2のホスト材料として有用であり得るある種の材料のLUMOエネルギー準位およびHOMOエネルギー準位が、以下の表4に含まれている。
【表4】
【化4】
【0050】
ある実施形態では、第1のホスト材料および/または第2のホスト材料は、4CzPBP、HO−2またはHO−1を含んでいてもよい。
【0051】
ある実施形態では、正孔輸送層はDTASiを含み、第1のホストは4CzPBPを含み、第2のホストはHO−2を含み、電子輸送層はTPBIを含む。ある実施形態では、正孔輸送層はDTASiを含み、第1のホストはHO−1を含み、第2のホストはHO−2を含み、電子輸送層はTPBIを含む。
【0052】
第1の放射性材料または第2の放射性材料には、任意の適切な放射性材料を使用してもよい。ある実施形態では、第1の放射性材料は、第2の放射性材料によって放射される可視光子よりも平均波長が短い可視光子を放射する。用語「平均波長」は、当業者が理解する通常の意味をもつ。ある実施形態では、平均波長は、材料の放射スペクトルの中で、平均波長よりも短い波長の可視範囲での曲線の下側の面積が、平均波長よりも長い波長の可視範囲での曲線の下側の面積にほぼ等しいような波長を含む。
【0053】
ある実施形態では、第1の発光層は、平均波長が約400nm〜約550nmの範囲の可視光子を放射する。ある実施形態では、第2の発光層は、平均波長が約500nm〜約750nmの範囲の可視光子を放射する。ある実施形態では、第1の発光層および/または第2の発光層は、イリジウム配位化合物、例えば、ビス(2−[4,6−ジフルオロフェニル]ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)ピコリナート(FIrPic)、ビス−{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)−ピコリナート、ビス(2−[4,6−ジフルオロフェニル]ピリジナト−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトナート)、イリジウム(III)ビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジナト)−3−(トリフルオロメチル)−5−(ピリジン−2−イル)−1,2,4−トリアゾラート、イリジウム(III)ビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジナト)−5−(ピリジン−2−イル)−1H−テトラゾラート、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラ(1−ピラゾリル)ボラート、ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート);ビス[(2−フェニルキノリル)−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート);ビス[(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)]イリジウム(III)(アセチルアセトナート);ビス[(ジベンゾ[f,h]キノキサリノ−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート);トリス(2,5−ビス−2’−(9’,9’−ジヘキシルフルオレン)ピリジン)イリジウム(III);トリス[1−フェニルイソキノリナト−N,C2’]イリジウム(III);トリス−[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III);トリス[1−チオフェン−2−イルイソキノリナト−N,C3’]イリジウム(III);トリス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)イソキノリナト−(N,C3’)イリジウム(III))、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート)[Ir(ppy)2(acac)]、ビス(2−(4−トリル)ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート)[Ir(mppy)2(acac)]、ビス(2−(4−tert−ブチル)ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート)[Ir(t−Buppy)2(acac)]、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)[Ir(ppy)3]、ビス(2−フェニルオキサゾリナト−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート)[Ir(op)2(acac)]、トリス(2−4−トリル)ピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)[Ir(mppy)3]などを含む。
【0054】
ある実施形態では、第2の発光層は、黄色エミッタおよび/または赤色エミッタを含む。黄色エミッタの例としては、限定されないが、YE−1、ビス[(2−フェニルキノリル)−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)、Ir(pq)2acac;ビス[2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)、(bt)2Ir(III)(acac);ビス[2−(4−tert−ブチルフェニル)ベンゾチアゾラト−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)、(t−bt)2Ir(III)(acac);ビス[(2−(2’−チエニル)ピリジナト−N,C3’)]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)、(thp)2Ir(III)(acac);トリス[2−(9.9−ジメチルフルオレン−2−イル)ピリジナト−(N,C3’)]イリジウム(III)、[Ir(Flpy)3];トリス[2−(9.9−ジメチルフルオレン−2−イル)ピリジナト−(N,C3’)]イリジウム(III)、[Ir(Flpy)3];ビス[5−トリフルオロメチル−2−[3−(N−フェニルカルバゾリル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)、(Cz−CF3)Ir(III)(acac);(2−PhPyCz)2Ir(III)(acac)を含む。
【0055】
赤色エミッタの例としては、限定されないが、Ir(piq)2acac、ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート);ビス[(2−フェニルキノリル)−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート);ビス[(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)]イリジウム(III)(アセチルアセトナート);ビス[(ジベンゾ[f,h]キノキサリノ−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート);トリス(2,5−ビス−2’−(9’,9’−ジヘキシルフルオレン)ピリジン)イリジウム(III);トリス[1−フェニルイソキノリナト−N,C2’]イリジウム(III);トリス−[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III);トリス[1−チオフェン−2−イルイソキノリナト−N,C3’]イリジウム(III);トリス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)イソキノリナト−(N,C3’)イリジウム(III)]などが挙げられる。
【化5】
【化6】
【化7】
1.(Btp)2Ir(III)(acac);ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)
2.(Pq)2Ir(III)(acac);ビス[(2−フェニルキノリル)−N,C2’]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)
3.(Piq)2Ir(III)(acac);ビス[(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)]イリジウム(III)(アセチルアセトナート)
4.(DBQ)2Ir(acac);ビス[(ジベンゾ[f,h]キノキサリノ−N,C2’)イリジウム(III)(アセチルアセトナート)
5.[Ir(HFP)3],トリス(2,5−ビス−2’−(9’,9’−ジヘキシルフルオレン)ピリジン)イリジウム(III)
6.Ir(piq)3;トリス[1−フェニルイソキノリナト−N,C2’]イリジウム(III)
7.Ir(btp)3;トリス−[2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)
8.Ir(tiq)3,トリス[1−チオフェン−2−イルイソキノリナト−N,C3’]イリジウム(III)
9.Ir(fliq)3;トリス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)イソキノリナト−(N,C3’)イリジウム(III)]
【化8】
【0056】
OLEDで使用する有機材料のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位は、例えば、溶液電気化学法、紫外光電子分光法(UPS)、逆光電子分光法などの当該技術分野で知られているいくつかの従来法によって得られてもよい。ある実施形態では、OLEDで使用する有機材料のHOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位は、Metrohm USA(リバービュー、FLA、USA)製のサイクリックボルタンメトリー(CV)装置(μAutolab II型モデル)を用い、GPES/FRAソフトウエア(バージョン4.9)と組み合わせて得られてもよい。
【0057】
本明細書に記載のデバイスは、当該技術分野で現在知られているデバイスと比べ、発光効率を改良し、演色評価数を良好にし、および/または色安定性を改良することができる。
【0058】
ある実施形態では、本発明で提供されるデバイスは、白色光を放射し、白色光とは、通常の観察者から見ると白色に見える光を意味する。ある実施形態では、白色光は、CIE色座標が(X=1/3、Y=1/3)の概算値を有する光である。CIE色座標は、放射した光の色を定量するのに有用であるとして当該技術分野で知られており、CIE色座標(X=1/3、Y=1/3)は、無色点として知られている。XおよびYの色座標は、色を合わせるためにCIE原色に適用される重みである。これらの用語のさらなる詳細な記載は、CIE 1971,International Commission on Illumination,Colorimetry:Official Recommendations of the International Commission on Illumination,Publication CIE No.15(E−1.3.1)1971、Bureau Central de la CIE、Paris、1971、およびF.W.Billmeyer,Jr.,M.Saltzman,Principles of Color Technology、第2版、John Wiley & Sons,Inc.、New York、1981中に見いだされ得、これら両方とも、全体が本明細書に参考により組み込まれる。演色評価数(CRI)は、さまざまな色にする能力を指し、0〜100の値を有し、100が最も良い。
【実施例】
【0059】
(実施例1)
デバイスを、一般的に以下のように製造した。
【0060】
ITOでコーティングされたガラス基材を、アセトン中、超音波で洗浄し、続けて2−プロパノール中で洗浄し、約110℃で約3時間焼き、その後、酸素プラズマで約30分間処理した。あらかじめ洗浄しておき、O2−プラズマ処理した(ITO)基材の上に、PEDOT:PSS層(H.C.Starck製のBaytron P)を約6000rpmでスピンコーティングし、約180℃で約30分間アニーリングし、厚み約20nmを得た。10−7torr(1torr=133.322Pa)の圧力で、減圧堆積システムを入れたグローブボックス内で、まず、4,4’4”−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)を堆積速度約0.06nm/sでPEDOT/PSS層の上部に堆積させ、40nmの厚い膜を得た。次いで、第1のホストを含む第1のエミッタ(約12%wt)を、TCTAの上部に一緒に堆積させ、5〜10nmの厚い膜を第1の発光層として作成し、次いで、第2のエミッタ(約5%wt)および第2のホストを一緒に堆積させ、1〜5nmの厚い膜を第2の発光層として作成した。第3の発光層(必要な場合)は、第3のエミッタおよび第3のホストを一緒に堆積させ、5〜10nmの厚い膜を作成することによって調製されてもよい。次いで、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBI)の40nmの厚い層を、ほぼ0.06nm/sの堆積速度で第2の発光層の上部に堆積させた。次いで、LiFおよびAlをそれぞれ0.005nm/sおよび0.2nm/sの堆積速度で連続して堆積させた。
【0061】
(実施例2)
以下のデバイスは、HOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位が従来のように段階的に低下するデバイスであるが、これを実施例1の手順にしたがって調製した。
【表5】
【0062】
I−V測定によって、Keithley 2400 Source Meterを用い、0〜10V電圧スキャンを適用し、同時に電流を測定することによって、このデバイスの性能を評価した。すべてのデバイスの操作は、窒素を充填したグローブボックス内で行った。図9は、さまざまな輝度でのデバイスの発光効率および電力効率のプロットである。図9は、約200cd/m2〜約1,000cd/m2の範囲の輝度で、発光効率が、一般的に約28cd/A〜約31cd/Aの範囲であり、電力効率が約19 lm/W〜約24 lm/Wの範囲であることを示す。輝度1,000cd/m2で、4.5V(電流密度3.4mA/cm2)で駆動すると、このデバイスは、28.4cd/Aの発光効率と、19.6 lm/Wの電力効率を示す。
【0063】
(実施例3)
以下のデバイスは、HOMOエネルギー準位が従来のように段階的に低下するデバイスであるが、これを実施例1の手順にしたがって調製した。
【表6】
【0064】
I−V測定によって、Keithley 2400 Source Meterを用い、0〜10V電圧スキャンを適用し、同時に電流を測定することによって、このデバイスの性能を評価した。すべてのデバイスの操作は、窒素を充填したグローブボックス内で行った。図10は、さまざまな輝度でのデバイスの発光効率および電力効率のプロットである。図10は、約200cd/m2〜約1,000cd/m2の範囲の輝度で、発光効率が、一般的に約37cd/A〜約42cd/Aの範囲であり、電力効率が、約24 lm/W〜約33 lm/Wの範囲であることを示す。輝度1,000cd/m2で、3.6Vで駆動すると、このデバイスは、37.0cd/Aの発光効率と、24.0 lm/Wの電力効率を示し、このデバイスは、実施例2のデバイスよりも効率が高い。
【0065】
(実施例4)
実施例1の手順にしたがって、以下のデバイスを調製した。
【表7】
【0066】
I−V測定によって、Keithley 2400 Source Meterを用い、0〜10V電圧スキャンを適用し、同時に電流を測定することによって、このデバイスの性能を評価した。すべてのデバイスの操作は、窒素を充填したグローブボックス内で行った。図11aは、さまざまな輝度でのデバイスの発光効率および電力効率のプロットである。図11aは、約200cd/m2〜約1,000cd/m2の範囲の輝度で、発光効率が、一般的に約58cd/A〜約62cd/Aの範囲であり、電力効率が、約44 lm/W〜約50 lm/Wの範囲であることを示す。輝度1,000cd/m2で、4.2V、電流密度1.7mA/cm2で駆動すると、このデバイスは、59.0cd/Aの発光効率と、44.0 lm/Wの電力効率を示し、したがって、実施例2および3のデバイスよりも効率が高い。図11bは、同じデバイスのエレクトロルミネセンススペクトルのプロットであり、可視範囲に強い発光を示し、CIE(0.334、0.396)、CRI(74)であった。
【0067】
(実施例5)
実施例1の手順にしたがって、以下のデバイスを調製した。
【表8】
【0068】
I−V測定によって、Keithley 2400 Source Meterを用い、0〜10V電圧スキャンを適用し、同時に電流を測定することによって、このデバイスの性能を評価した。すべてのデバイスの操作は、窒素を充填したグローブボックス内で行った。図12は、さまざまな輝度でのデバイスの発光効率および電力効率のプロットである。図12aは、約200cd/m2〜約1,000cd/m2の輝度で、発光効率が、一般的に約66cd/A〜約72cd/Aの範囲であり、電力効率が、約51 lm/W〜約70 lm/Wの範囲であることを示す。輝度1,000cd/m2で、4.1Vで駆動すると、このデバイスは、66.0cd/Aの発光効率と、51.0 lm/Wの電力効率を示し、したがって、実施例2および3のデバイスよりも効率が高い。図12bは、同じデバイスのエレクトロルミネセンススペクトルのプロットであり、可視範囲に強い発光を示し、CIE(0.35、0.43)、CRI(68)であった。
【0069】
本発明を特定の好ましい実施形態および実施例という観点で開示してきたが、本発明を、特定的に開示されている実施形態を超えて、他の代替的な実施形態および/または本発明の使用、およびこれらのさまざまな改変および等価物にまで拡張されることが当業者には理解されるだろう。したがって、本明細書に開示されている本発明の範囲は、上述の特定の開示されている実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲を正当に読むことによってのみ決定されるべきであることを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソードと、アノードと、アノードおよびカソードの間に配置された一連の有機層とを備え、この一連の有機層は、
アノードおよびカソードの間に配置され、第1のホスト材料および第1の放射性材料を含む第1の発光層と;
アノードおよび第1の発光層の間に配置される正孔輸送層と;
第1の発光層およびカソードの間に配置され、第2のホスト材料および第2の放射性材料を含む第2の発光層と;
第2の発光層およびカソードの間に配置される電子輸送層とを備え、
正孔輸送層のHOMOエネルギー準位は、電子輸送層のHOMOエネルギー準位より高く、正孔輸送層のLUMOエネルギー準位は、電子輸送層のLUMOエネルギー準位より高く、
第1の発光層のHOMOエネルギー準位は、正孔輸送層のHOMOエネルギー準位より高い;
第1の発光層のLUMOエネルギー準位は、第2の発光層のLUMOエネルギー準位より低い;
第2の発光層のHOMOエネルギー準位は、第1の発光層のHOMOエネルギー準位より高い;または
第2の発光層のLUMOエネルギー準位は、電子輸送層のLUMOエネルギー準位よりも低いという関係のうち、少なくとも1つが存在する、有機発光デバイス。
【請求項2】
前記第2の発光層のHOMOエネルギー準位は、前記第1の発光層のHOMOエネルギー準位より高く、前記第1の発光層のLUMOエネルギー準位は、前記第2の発光層のLUMOエネルギー準位より低い、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項3】
前記第2の発光層のHOMOエネルギー準位は、前記第1の発光層のHOMOエネルギー準位より高く、前記第2の発光層のLUMOエネルギー準位は、前記電子輸送層のLUMOエネルギー準位より低い、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項4】
前記第2の発光層のHOMOエネルギー準位は、前記第1の発光層のHOMOエネルギー準位より高く、前記第1の発光層のLUMOエネルギー準位は、前記第2の発光層のLUMOエネルギー準位より低く、前記第2の発光層のLUMOエネルギー準位は、前記電子輸送層のLUMOエネルギー準位より低い、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項5】
前記正孔輸送層が、HOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位をもつ正孔輸送化合物を含み、前記正孔輸送層のHOMOエネルギー準位が、前記正孔輸送化合物のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、前記正孔輸送層のLUMOエネルギー準位が、前記正孔輸送化合物のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項6】
前記電子輸送層が、HOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位をもつ電子輸送化合物を含み、前記電子輸送層のHOMOエネルギー準位が、前記電子輸送化合物のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、前記電子輸送層のLUMOエネルギー準位が、前記電子輸送化合物のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項7】
前記第1のホスト材料が、前記第1の発光層の少なくとも約50重量%であり、前記第1の発光層のHOMOエネルギー準位が、前記第1のホスト材料のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、前記第1の発光層のLUMOエネルギー準位が、前記第1のホスト材料のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項8】
前記第2のホスト材料が、前記第2の発光層の少なくとも約50重量%であり、前記第2の発光層のHOMOエネルギー準位が、前記第2のホスト材料のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、前記第2の発光層のLUMOエネルギー準位が、前記第2のホスト材料のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項9】
前記第1の放射性材料が、第2の放射性材料が放射する可視光光子よりも平均波長が短い可視光子を放射する、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項10】
前記第1の発光層が、平均波長が約400nm〜約550nmの範囲の可視光子を放射する、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項11】
前記第1の発光層が、イリジウム配位化合物を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項12】
前記イリジウム配位化合物がFIrPicである、請求項11に記載の有機発光デバイス。
【請求項13】
前記第2の発光層が、イリジウム配位化合物を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項14】
前記第2の発光層が、平均波長が約500nm〜約750nmの範囲の可視光子を放射する、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項15】
前記第2の発光層が、黄色エミッタと赤色エミッタとを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項16】
前記黄色エミッタが、YE−1またはIr(pq)2acacである、請求項15に記載の有機発光デバイス。
【請求項17】
前記赤色エミッタがIr(piq)2acacである、請求項15に記載の有機発光デバイス。
【請求項18】
前記正孔輸送層がDTASiを含み、前記第1のホストが4CzPBPを含み、前記第2のホストがHO−2を含み、前記電子輸送層がTPBIを含む、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項19】
前記正孔輸送層がDTASiを含み、前記第1のホストがHO−1を含み、前記第2のホストがHO−2を含み、前記電子輸送層がTPBIを含む、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項1】
カソードと、アノードと、アノードおよびカソードの間に配置された一連の有機層とを備え、この一連の有機層は、
アノードおよびカソードの間に配置され、第1のホスト材料および第1の放射性材料を含む第1の発光層と;
アノードおよび第1の発光層の間に配置される正孔輸送層と;
第1の発光層およびカソードの間に配置され、第2のホスト材料および第2の放射性材料を含む第2の発光層と;
第2の発光層およびカソードの間に配置される電子輸送層とを備え、
正孔輸送層のHOMOエネルギー準位は、電子輸送層のHOMOエネルギー準位より高く、正孔輸送層のLUMOエネルギー準位は、電子輸送層のLUMOエネルギー準位より高く、
第1の発光層のHOMOエネルギー準位は、正孔輸送層のHOMOエネルギー準位より高い;
第1の発光層のLUMOエネルギー準位は、第2の発光層のLUMOエネルギー準位より低い;
第2の発光層のHOMOエネルギー準位は、第1の発光層のHOMOエネルギー準位より高い;または
第2の発光層のLUMOエネルギー準位は、電子輸送層のLUMOエネルギー準位よりも低いという関係のうち、少なくとも1つが存在する、有機発光デバイス。
【請求項2】
前記第2の発光層のHOMOエネルギー準位は、前記第1の発光層のHOMOエネルギー準位より高く、前記第1の発光層のLUMOエネルギー準位は、前記第2の発光層のLUMOエネルギー準位より低い、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項3】
前記第2の発光層のHOMOエネルギー準位は、前記第1の発光層のHOMOエネルギー準位より高く、前記第2の発光層のLUMOエネルギー準位は、前記電子輸送層のLUMOエネルギー準位より低い、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項4】
前記第2の発光層のHOMOエネルギー準位は、前記第1の発光層のHOMOエネルギー準位より高く、前記第1の発光層のLUMOエネルギー準位は、前記第2の発光層のLUMOエネルギー準位より低く、前記第2の発光層のLUMOエネルギー準位は、前記電子輸送層のLUMOエネルギー準位より低い、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項5】
前記正孔輸送層が、HOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位をもつ正孔輸送化合物を含み、前記正孔輸送層のHOMOエネルギー準位が、前記正孔輸送化合物のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、前記正孔輸送層のLUMOエネルギー準位が、前記正孔輸送化合物のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項6】
前記電子輸送層が、HOMOエネルギー準位およびLUMOエネルギー準位をもつ電子輸送化合物を含み、前記電子輸送層のHOMOエネルギー準位が、前記電子輸送化合物のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、前記電子輸送層のLUMOエネルギー準位が、前記電子輸送化合物のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項7】
前記第1のホスト材料が、前記第1の発光層の少なくとも約50重量%であり、前記第1の発光層のHOMOエネルギー準位が、前記第1のホスト材料のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、前記第1の発光層のLUMOエネルギー準位が、前記第1のホスト材料のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項8】
前記第2のホスト材料が、前記第2の発光層の少なくとも約50重量%であり、前記第2の発光層のHOMOエネルギー準位が、前記第2のホスト材料のHOMOエネルギー準位にほぼ等しく、前記第2の発光層のLUMOエネルギー準位が、前記第2のホスト材料のLUMOエネルギー準位にほぼ等しい、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項9】
前記第1の放射性材料が、第2の放射性材料が放射する可視光光子よりも平均波長が短い可視光子を放射する、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項10】
前記第1の発光層が、平均波長が約400nm〜約550nmの範囲の可視光子を放射する、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項11】
前記第1の発光層が、イリジウム配位化合物を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項12】
前記イリジウム配位化合物がFIrPicである、請求項11に記載の有機発光デバイス。
【請求項13】
前記第2の発光層が、イリジウム配位化合物を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項14】
前記第2の発光層が、平均波長が約500nm〜約750nmの範囲の可視光子を放射する、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項15】
前記第2の発光層が、黄色エミッタと赤色エミッタとを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の有機発光デバイス。
【請求項16】
前記黄色エミッタが、YE−1またはIr(pq)2acacである、請求項15に記載の有機発光デバイス。
【請求項17】
前記赤色エミッタがIr(piq)2acacである、請求項15に記載の有機発光デバイス。
【請求項18】
前記正孔輸送層がDTASiを含み、前記第1のホストが4CzPBPを含み、前記第2のホストがHO−2を含み、前記電子輸送層がTPBIを含む、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【請求項19】
前記正孔輸送層がDTASiを含み、前記第1のホストがHO−1を含み、前記第2のホストがHO−2を含み、前記電子輸送層がTPBIを含む、請求項1に記載の有機発光デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−519209(P2013−519209A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552045(P2012−552045)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2011/023404
【国際公開番号】WO2011/097259
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2011/023404
【国際公開番号】WO2011/097259
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
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