説明

効率的なプレ−トランス−スプライシング分子の同定のためのスクリーニング方法

本発明は、最適なプレ-トランス-スプライシング分子(PTM)を同定するための迅速大容量機能的スクリーニングのための方法および組成物を提供する。本発明の組成物は標的前駆体メッセンジャーRNA分子(標的プレmRNA)と相互作用し、新規なキメラRNA分子(キメラRNA)の形成をもたらすトランス-スプライシング反応を媒介するようデザインされている候補PTMをコードし得るPTM発現ライブラリーを含む。本発明の候補PTMは第1のリポーター分子の一部をコードし、かつ、最適なPTM(効率的かつ特異的)を発現する細胞を選択するために使用できる他の1以上のリポーター分子をコードし得る。本発明の組成物はまた、第1のリポーター分子の残部をコードする標的プレmRNAを発現する細胞も含む。
本発明のスクリーニング方法は、(i)PTM発現ライブラリーと標的プレmRNAを発現する細胞とを、最適PTM(ライブラリーベクターによって発現された)の存在下でトランス-スプライシング反応が起こり、それによって少なくとも1つのリポーター分子をコードし得る修復されたキメラRNA分子の形成がもたらされる条件下で接触させること;(ii) 修復されたリポーター分子を発現する細胞を選択すること(ここで、リポーター分子の発現は選択された細胞において最適なPTMが存在することを示す);および(iii)選択された細胞で発現された最適PTMを同定することを含む。さらなるリポーター分子を用いて、直接的PTM発現だけでなく、特異的および非特異的トランス-スプライシングの双方を評価することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.緒論
本発明は、最適なプレ-トランス-スプライシング分子(PTM)の迅速大容量機能的スクリーニングのための方法および組成物を提供する。本発明の組成物は標的前駆体メッセンジャーRNA分子(標的プレmRNA)と相互作用し、新規なキメラRNA分子(キメラRNA)の生成をもたらすトランス-スプライシング反応を媒介するようデザインされている候補PTMをコードし得るPTM発現ライブラリーを含む。本発明の候補PTMは第1のリポーター分子の一部をコードし、かつ、最適なPTM(効率的かつ特異的)を発現する細胞を選択するために使用できる他の1以上のリポーター分子をコードし得る。本発明の組成物はまた、第1のリポーター分子の残部をコードする標的プレmRNAを発現する細胞も含む。
【0002】
本発明のスクリーニング方法は、(i)PTM発現ライブラリーと標的プレmRNAを発現する細胞とを、最適PTM(ライブラリーベクターによって発現された)の存在下でトランス-スプライシング反応が起こり、それにより少なくとも1つのリポーターをコードし得る修復されたキメラRNA分子の形成がもたらされる条件下で接触させること;(ii) 修復されたリポーター分子を発現する細胞を選択すること(ここで、リポーター分子の発現は選択された細胞において最適なPTMが存在することを示す);および(iii)選択された細胞で発現された最適PTMを同定すること、を含む。さらなるリポーター分子を用いて、直接的PTM発現だけでなく、特異的および非特異的トランス-スプライシングの双方を評価することができる。
【0003】
本発明の方法および組成物を用いれば、最適PTMをそれらの効率的かつ特異的なトランス-スプライシング反応を媒介する能力に基づいて迅速に評価、比較および同定することができる。本発明のスクリーニング方法を用いて同定された最適PTMは、癌などの増殖性疾患の治療、または遺伝疾患、自己免疫疾患もしくは感染性疾患の治療のための遺伝子調節、遺伝子修復、および自殺遺伝子療法に使用できる。
【背景技術】
【0004】
2.発明の背景
染色体中のDNA配列は、コード領域(エキソン)を含み、かつ一般的には介在する非コード領域(イントロン)もまた含むプレmRNAへと、転写される。イントロンはスプライシングと呼ばれる精密なプロセスでプレmRNAから除去される(Chowら, 1977, Cell 12:1-8;およびBerget, S.M.ら, 1977, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:3171-3175)。スプライシングはいくつかの核内低分子リボ核タンパク質粒子(snRNP)と、集合体となってスプライセオソームとして知られている酵素複合体を形成する多くのタンパク質因子との協調した相互作用によって行われる(Mooreら, 1993, in The RNA World, R.F. GestlandおよびJ.F. Atkins編 (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.); Kramer, 1996, Annu. Rev. Biochem., 65:367-404; StaleyおよびGuthrie, 1998, Cell 92:315-326)。
【0005】
多くの場合、スプライシング反応は同じプレmRNA分子内で起こり、これはシス-スプライシングと呼ばれる。独立に転写された2つのプレmRNA間のスプライシングはトランス-スプライシングと呼ばれる。トランス-スプライシングはトリパノソーマで最初に発見され(SuttonおよびBoothroyd, 1986, Cell 47:527; Murphyら, 1986, Cell 47:517)、その後、線虫(KrauseおよびHirsh, 1987, Cell 49:753)、扁形動物(Rajkovicら, 1990, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA, 87:8879; Davisら, 1995, J. Biol. Chem. 270:21813)および植物のミトコンドリア(Malekら, 1997, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 94:553)で発見された。この形態のトランス-スプライシングは特殊なプレmRNAを要する。
【0006】
トランス-スプライシングはまた、あるプレmRNAのイントロンが第2のプレmRNAのイントロンと相互作用して、2つの従来型のプレmRNAの間でのスプライス部位の組換えを促進するという、2つの従来型のプレmRNAの間で起こる別のプロセスもさす。この種のトランス-スプライシングは、トランスジェニックマウスにおいて内因性の定常領域と結合したヒト免疫グロブリン可変領域配列をコードする転写物を説明するために仮定されたものである(Shimizuら, 1989, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 86:8020)。さらに、c-mybプレ-RNAのトランス-スプライシングが実証されており(Vellard, M.ら, Proc. Nat'l. Acad. Sci., 1992 89:2511-2515)、より最近では、互いにトランス-スプライスされたクローン化SV40からのRNA転写物が培養細胞および核抽出物において検出された(Eulら, 1995, EMBO. J. 14:3226)。内因性トランス-スプライシングの最近の報告としては、Takahara Tら, (2002 Biochem Biophys Res Commun. 298:156); Flouriot G,ら (2002 J Biol Chem. 277:26244-51);およびKikumori T,ら (2002 FEBS Lett. 522:41-6)が挙げられる。しかし、哺乳類プレmRNAの天然のトランス-スプライシングは極めてまれな事象であると考えられる。
【0007】
無細胞核抽出物におけるin vitroトランス-スプライシングが、いくつかのグループよりスプライシングのメカニズムを調べるためにモデル系として用いられている(KonarskaおよびSharp, 1985, Cell 46:165-171 Solnick, 1985, Cell 42:157; ChiaraおよびReed, 1995, Nature 375:510)。互いに塩基対合可能なRNAの間ではかなり効率的なトランス-スプライシング(シス-スプライスされた類似体の30%)が達成されたが、一方、塩基対合によってつなぎ止められないRNAのスプライシングは1/10まで少なくなった。基質間の明確なRNA-RNA相互作用を必要としない別のin vitroトランス-スプライシング反応がChiaraおよびReed (1995, Nature 375:510)、Bruzik J.P.およびManiatis T. (1992, Nature 360: 692)ならびにBruzik J.P.およびManiatis T. (1995 Proc. Natl. Acad. Sci USA 92:7056-7059)によって見出された。これらの反応は比較的低頻度で起こり、下流の5'スプライス部位またはエキソン型スプライシングエンハンサーなどの特殊なエレメントを必要とする。
【0008】
最近まで、特定の標的遺伝子を改変するためのターゲッティングされたトランス-スプライシングの実用的適用は、グループIリボザイムに基づく機構に限られていた。テトラヒメナ(Tetrahymena)グループIリボザイムを用い、ターゲッティングされたトランス-スプライシングが大腸菌(E. coli)(Sullenger B.A.およびCech. T.R., 1994, Nature 341:619-622)、マウス繊維芽細胞(Jones, J.T.ら, 1996, Nature Medicine 2:643-648)、ヒト繊維芽細胞(Phylacton, L.A.ら Nature Genetics 18:378-381)およびヒト赤血球前駆細胞(Lanら, 1998, Science 280:1593-1596)で実証されている。
【0009】
スプライセオソームにより媒介されるRNAトランス-スプライシングはRNA療法、自殺遺伝子療法、分子進化および生細胞における遺伝子発現のリアルタイムイメージングを含む幅広い用途を持つ新規なプラットフォーム技術である(Ottoら, Current Drug Discovery 2003)。スプライセオソームにより媒介されるRNAトランス-スプライシングはプレ-トランス-スプライシング分子(PTM)と呼ばれるRNAを細胞へ導入することにより達成される。米国特許第6,083,702号、同第6,013,487号および同第6,280,978号は、標的前駆体mRNAを接触させることによってトランス-スプライシング反応を媒介して新規なキメラRNAを生成するためのPTMの使用を記載している。
【0010】
PTMは通常、アンチセンス結合ドメイン(BD)、スプライス部位、およびトランス-スプライスされるコード遺伝子からなる3モジュールドメインを有する。異なる遺伝子のターゲッティングは結合ドメインを変更することによって達成される。PTMが送達するトランス-スプライスされる配列を変更すれば、種々の用途にそれを使用することが可能である。PTMのスプライス部位はこのプロセスを行うために、細胞の内因性スプライシング装置、すなわちスプライセオソームを集める。ヒト細胞は、一細胞当たり平均100,000〜200,000個のスプライセオソームを形成するための構成成分を含む。これまで、スプライセオソームにより媒介されるRNAトランス-スプライシングは、in vitroおよびin vivoにおいて癌関連プレmRNAであるβHCG6内へ強力な毒素のコード配列をトランス-スプライシングさせることにより、自殺遺伝子療法に用いられてきた(Puttarajuら, Nature Biotechnology 1999)。さらに、スプライセオソームにより媒介されるRNAトランス-スプライシング療法では、嚢胞性繊維症(CF)を引き起こす突然変異が修正され、ヒト分極性気道上皮細胞培養物およびヒトCF気管支異種移植片における塩素イオンチャネル活性の治療レベルが回復し(Liu X.ら, Nature Biotechnology 2002 20:47-52)、また、A型血友病ノックアウトマウスにおいて因子VIII産生が回復し、表現型が修正された(Chao H.ら, Nature Medicine 2003 9:1015-1019)。ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)配列をターゲッティングする培養モデル系では、標的プラスミドおよびPTMプラスミドで同時トランスフェクトされた細胞では最大80%のトランス-スプライシング効率が達成され、PTMおよび内因的に産生されるHPVプレmRNAを含む細胞では15%であった(未公開データ)。さらにまた、ヒトCFTRイントロン9部分の上流にlacZ遺伝子の5'部分を作成したトランスジェニックマウスモデルでもトランス-スプライシングが実証されている。CFTRイントロン9をターゲッティングし、かつ、LacZ配列の3'部分をコードするPTMを、アデノウイルスまたはAAVにより肺の上皮へ送達したとこ
ろ、内因性のプレmRNA標的が修復され、β-ガラクトシダーゼ機能が回復した。最後に、マウスにおいてリポーター遺伝子をコードするPTMを用いて、ヘミリポーター遺伝子の発現をイメージングすることに成功している(Bhaumikら Mol. Imaging and Biology 2002; Bhaumikら Mol. Therapy 2003)。これらの結果は、スプライセオソームにより媒介されるRNAトランス-スプライシング技術の種々の用途に対する有用性を実証している。
【0011】
これまでにモデル系で最大80%、そして内因性のmRNAをターゲッティングする場合では約15%のトランス-スプライシング効率が達成されているが、トランス-スプライシング効率と特異性のさらなる改良が望ましいと考えられる。HPVのターゲッティングにおいて、ランダムに選択したトランス-スプライスされたクローンの配列解析を行ったところ、標的とPTMを同時送達したモデル系においてはトランス-スプライシングの特異性は約53%であることが明らかになった。内因性のHPV mRNAをターゲッティングした場合には、特異性は<1%まで低下した。同様の結果が、内因性のErbB2プレmRNAにターゲッティングされたPTMでも得られた。Kikumoriら, (2001)によるまた別の研究も、低レベルなトランス-スプライシング特異性を報告している。これらの知見は、極めて多数の配列の組合せを迅速に試験することができるハイスループットスクリーニングが、高い特異性と効率をもってPTM分子を同定するのに有用であり得ることを強く示唆している。
【0012】
現在、トランス-スプライシング効率および特異性に基づいてPTMをスクリーニングまたは評価するのに利用できる迅速大容量機能的スクリーニング法は存在しない。大容量スクリーニングによってもたらされる主な利点は、(i)その同じ時間枠内でいくつかの別個の合理的に構築されたPTMしか試験できないことに対して、1回のスクリーニングで106以上の配列の組合せを試験できること、(ii)トランス-スプライシングに影響を及ぼす重要な配列エレメントに関する事前の知識が必要ないこと、および(iii)種々の配列エレメント(例えば、BD長、二次構造、3'スプライス部位の強度、スペーサー長など)を同時に評価できることである。本発明は、向上した特異性および効率でPTMを評価および同定するための新規な効率的方法および組成物を提供する。小さな、または大きなプレmRNAを有する遺伝子、特に大きなイントロンを含むものに関しては、本発明を用いて、トランス-スプライシング反応を効率的に生じさせるためにどのイントロンが、より具体的にはそのイントロンのどこが、PTMの結合をターゲッティングするのに最適な領域かを同定することができる。
【発明の開示】
【0013】
3.発明の概要
本発明は、最適なプレ-トランス-スプライシング分子(PTM)の迅速大容量機能的スクリーニングのための組成物および方法に関する。本発明の組成物は、標的プレmRNA分子と相互作用し、スプライセオソームに基づくトランス-スプライシング反応を媒介して新規なキメラRNA分子の生成をもたらすようデザインされた候補PTMのライブラリーを含む。本発明の候補PTMは第1のリポーター分子の一部をコードし、1以上のさらなるリポーター分子を含んでもよく、それらは各々、最適なPTMを発現する細胞を選択するために使用できる。本発明の組成物はまた、第1のリポーター分子の一部を含む標的プレmRNAを発現するように操作された標的細胞も含む。トランス-スプライシング反応の存在下で、標的プレmRNAは、スプライシング基質として機能し、それにより、発現される少なくとも1つのリポーター分子をコードし得る修復されたキメラRNAの形成をもたらすようデザインされる。
【0014】
通常、PTMに関連する構造エレメントとしては、いくつか挙げると、標的結合ドメイン、3'スプライス領域、5'スプライス領域、RNAスプライス部位を標的結合から隔てるスペーサー領域、および「セーフティー配列」がある。本発明の候補PTMは、これらの構造エレメントのうち1以上がランダムなヌクレオチド配列または選択された遺伝子配列に由来するヌクレオチド配列で置換されたものを含む。このようなヌクレオチド配列の使用は、異なるトランス-スプライシング能力を有する膨大な候補PTMを作製するようにデザインされる。さらに、本発明の候補PTMは最適なPTMを発現する細胞を選択するために使用できる1以上のリポーター分子をコードするようにデザインされている。このリポーター分子はそれ自体が検出可能なシグナルを提供する場合もあるし、リポーター分子に対して親和性を有するリポータープローブが検出可能なシグナルを提供する場合もある。これらの候補PTMは、トランス-スプライシングの特異性を評価するための第2の(または付加的な)全長リポーター分子の発現を促進するようにデザインされた内部リボソーム侵入部位をさらに含んでもよい。スプライシングはmRNAの細胞質への輸送を促進する。従って、修復されたPTMリポーター遺伝子の発現はトランス-スプライシングのレベル(効率)と相関しているはずであり、標的の不在下での全長リポーターの発現は、PTMトランス-スプライシングの特異性および直接的PTM発現を評価する上で有用であるはずである。
【0015】
本発明の組成物およびスクリーニング方法は、最適なPTMを、効率的かつ特異的なトランス-スプライシング反応を媒介するそれらの能力に基づいて迅速に評価、比較および同定するために使用できる。特に、本発明は、PTMの種々のエレメントまたは領域を改変することによって生じた大きなライブラリー、すなわち、106〜107またはそれ以上の候補PTMを機能的に評価するための手段を提供する。
【0016】
本発明のスクリーニング方法は、(i)PTM発現ライブラリーと標的プレmRNAを発現する細胞とを、リポーター分子をコードし得るキメラRNA分子の形成をもたらす最適なPTMの存在下でトランス-スプライシング反応が起こる条件下で接触させること;(ii)修復されたリポーター分子を発現する細胞を選択すること(ここで、そのリポーターの発現が、選択された細胞において最適PTMが存在することを示す);および(iii)選択された細胞において発現された最適PTMを同定すること、を含む。本発明の方法は、トランス-スプライシング反応の効率および特異性を決定するために使用できる最適PTMによってコードされている任意の追加的リポーター分子の発現を評価することをさらに含んでもよい。
【0017】
本発明の方法および組成物は、遺伝子調節、遺伝子修復およびターゲッティングされた細胞死に用いるために最適なPTMを同定するために使用できる。このような方法および組成物は、限定されるものではないが、遺伝疾患、感染症、または自己免疫疾患、および癌などの増殖性疾患をはじめとする種々の疾病の治療のため、ならびに植物において遺伝子発現を調節するために使用できる。
【0018】
4.図面の簡単な説明
図1A。3'エキソン置換型スプライセオソーム媒介RNAトランス-スプライシングのモデル。効率的なトランス-スプライシングが、ヘミリポーターを修復する。
【0019】
図1B。5'エキソン置換型スプライセオソーム媒介RNAトランス-スプライシングのモデル。効率的なトランス-スプライシングが、ヘミリポーターを修復する。
【0020】
図2A。結合ドメインライブラリーに挿入するためのプロトタイプ3'PTMカセットのモデル。(i)標的遺伝子(約20〜300塩基対)に由来するランダム配列に由来する可変結合ドメイン配列;(ii)トランス-スプライシングの効率を評価するためのリポーター分子の一部(ヘミリポーター)をコードする配列;(iii)内部リボソーム侵入部位(IRES);および(iv)トランス-スプライシングの特異性を評価するための全長リポーターをコードする配列、を含む3'PTMカセット。
【0021】
図2B。結合ドメインライブラリーに挿入するためのプロトタイプ5'PTMカセットのモデル。(i)標的遺伝子(約20〜300塩基対)に由来するランダム配列に由来する可変結合ドメイン配列;(ii)トランス-スプライシングの効率を評価するためのリポーター分子の一部(ヘミリポーター)をコードする配列;(iii)内部リボソーム侵入部位(IRES);および(iv)スプライシングの特異性を評価するための全長リポーターをコードする配列、を含む5'PTMカセット。
【0022】
図3。可変結合ドメインを含むライブラリーの構築のためのPTMカセット。PTMは可変結合ドメインのクローニングを助ける制限酵素部位、スペーサー領域、3'スプライスエレメント(例えばスプライシング分岐点、ポリピリミジン領域およびアクセプターAGジヌクレオチドが挙げられる)を含む配列を含む。
【0023】
図4。PTM選択の模式図。標的細胞を、第1のリポーター分子の一部(例えば、ヘミまたは部分緑色蛍光タンパク質, GFP)、IRES、および第2の全長リポーター分子(例えば、赤色蛍光タンパク質, RFP)をコードする配列を含むPTMのライブラリーでトランスフェクトまたは形質導入する。この標的細胞は、第1のリポーターの残部(例えば、ヘミ緑色蛍光タンパク質の、PTMによってコードされていない領域)、標的イントロンおよび末端エキソンをコードする配列を含む誘導性プロモーターの制御下にある標的プレmRNAを発現する。インデューサーの存在下で、標的プレmRNAが発現する。候補PTMの、標的プレmRNAへのトランス-スプライシングの結果、第1のリポーター分子(GFP)が発現し、そのレベルは特異的トランス-スプライシングの効率の指標となる。標的ヘミリポータープレmRNAの存在下では、特異的トランス-スプライシングにより、修復されたヘミリポーター(GFP)の発現が生じるであろう。PTMにコードされている全長リポーター(この例の場合、第2のリポーター分子はRFP)の発現がIRES配列により排除される(driven off)のは、非特異的トランス-スプライシングおよび直接的PTM発現だけでなく、特異的トランス-スプライシングの結果であろう。効率的PTMは、高レベルの修復されたヘミリポーターと低(適度な)レベルの第2の全長リポーターを生じる。(全長リポーターの発現の際にIRESが有する作用を、修復されたヘミリポーターの発現と比較して考慮すれば)完全に特異的なPTMは、修復されたヘミリポーターの発現レベルと同等のレベルで第2のリポーターを発現するはずである。インデューサーの不在下では、標的プレmRNAは発現されず、第2のリポーター(RFP)の発現レベルはトランス-スプライシングの特異性と相関する。標的プレmRNAの不在下では、全長(第2の)PTMにコードされているリポーターの発現レベルは、非特異的トランス-スプライシングまたは直接的PTM発現の結果である。この方法は、所望の、または最適な特異性を有するPTMの同定を容易にすることができる。標的誘導の存在下および不在下で試験することにより、トランス-スプライシングの特異性を評価することができる。
【0024】
図5Aは最適なPTMを同定するためにデザインされた大容量スクリーニング法のラウンドIを示したものである。スクリーニングのラウンドIは、第1のリポーター分子(例えば、GFP)の高レベル発現によって示されるような高効率でトランス-スプライスするPTMを同定するようにデザインされている。産生されたGFPのレベルに不釣り合いなレベル(PTMによって産生されたGFPのレベルに対して過剰量)でのRFPの発現は、非特異的トランス-スプライシングまたは直接的PTM発現のいずれかからの追加的な寄与を示すことから、PTMの相対的特異性も評価することができる。
【0025】
図5Bは最適なPTMを同定するためにデザインされた大容量スクリーニング法のラウンドIIを示したものである。スクリーニングのラウンドIIは、第2のリポーター(PTMによりコードされている全長リポーター、例えば、RFP)の低レベル発現によって示されるような、高い特異性でトランス-スプライスするPTMを同定するようにデザインされている。ラウンドIとその後のラウンドIIの一連の組合せにより、高い効率および特異性の双方を有するPTMが得られる(それを同定するのに使用することができる)。
【0026】
図6はラウンドIIスクリーニングの代替的な陽性選択戦略を示したものである。
【0027】
図7はCFTRイントロン9をターゲティングするセーフティーPTMのライブラリーを示したものである。このセーフティーPTMは上記と同じ主鎖構造を有する。プロトタイプ3'セーフティーPTMライブラリーのモデル。(i)単一の、または可変の結合ドメイン配列、(ii)標的もしくはPTMに相補的な、またはそのいずれにも相補的でない、1以上のランダム化された「セーフティー」配列、(iii)トランス-スプライシングの効率を評価するためのリポーター分子の一部(ヘミリポーター)をコードする配列、(iv)内部リボソーム侵入部位(IRES);および(v)スプライシングの特異性を評価するための全長リポーターをコードする配列、を含む3' PTM。このライブラリーはステムループの形成を容易にし得る配列の多くの可能性のある変異型を含むが、そのようなステムループはPTMのスプライス部位上でのスプライセオソームの形成を様々な程度で妨害する。効率にほとんど影響を与えない「セーフティー」ステムループはヘミリポーター(この例では、GFP)を最も高いレベルで生成させるとともに、全長PTMリポーター(この例では、RFP)の最低の(適度な)発現をもたらす。
【0028】
図8は最適なセーフティー配列を同定するための選択スキームを示す。標的細胞を、第1のリポーター分子の一部(例えば、ヘミまたは部分緑色蛍光タンパク質, GFP)、IRES、および第2の全長リポーター分子(例えば、赤色蛍光タンパク質, RFP)をコードする配列から構成されるセーフティーPTMのライブラリーでトランスフェクトまたは形質導入する。これらの標的細胞は、誘導性プロモーターの制御下にあり、かつ、第1のリポーターの残部(例えば、ヘミ緑色蛍光タンパク質の、PTMによってコードされていない領域)、標的イントロンおよび末端エキソンをコードする配列から構成される標的プレmRNAを発現する。インデューサーの存在下で、標的プレmRNAが発現される。候補PTMの、標的プレmRNAへの特異的トランス-スプライシングの結果、第1のリポーター分子(GFP)が発現し、そのレベルはトランス-スプライシング効率の指標となる。標的ヘミリポータープレmRNAの存在下では、特異的トランス-スプライシングにより、修復されたヘミリポーター(GFP)の発現がもたらされ、そのGFPの発現レベルが効率を示す。ここでPTMにコードされている全長リポーター(この例の場合、第2のリポーター分子はRFP)の発現がIRES配列により排除される(driven off)のは、非特異的ランス-スプライシングおよび直接的PTM発現だけでなく、特異的トランス-スプライシングの結果であろう。効率的PTMは高レベルの修復されたヘミリポーターと低(適度な)レベルの第2の全長リポーターを生じる。(全長リポーターの発現の際にIRESが有する作用を、修復されたヘミリポーターの発現と比較して考慮すれば)完全に特異的なPTMは、修復されたヘミリポーターの発現レベルと同等のレベルで第2のリポーターを発現するはずである。インデューサーの不在下では、標的プレmRNAは発現されず、第2のリポーター(RFP)の発現レベルはトランス-スプライシングの特異性と相関する。標的プレmRNAの不在下では、全長PTMにコードされているリポーターの発現レベルは、非特異的トランス-スプライシングまたは直接的PTM発現の結果である。この方法は、所望の、または最適な特異性を有するPTMの同定を容易にすることができる。誘導の存在下および不在下で試験することにより、トランス-スプライシングの特異性を評価することができる。GFPの発現は特異的トランス-スプライシングと相関し、GFPの発現レベルはPTMの特異性に依存する。特異的トランス-スプライシングでは、GFP発現 = yRFP発現であり、ここで、y = 同じ構築物における、GFPの発現と比較した、IRESにより駆動されるRFP発現の相対的発現である。全RFP発現 = yRFP + [非特異的トランス-スプライシングRFP発現] + [IRES-RFPの直接的PTM発現]。
【0029】
図9は標的とPTMを含む組込型FRTベクターを示す。
【0030】
図10A。大容量スクリーニングに用いるプレmRNA標的の模式図。略号:SDはスプライス供与部位、SAはスプライス受容部位。点線は標的シス-スプライス部位を示す。実線の矢印はシス-スプライシングを測定するために用いるプライマー部位を、点線状の矢印はトランス-スプライシングを測定するために用いるフォワードプライマーを示す。
【0031】
図10B。大容量ライブラリースクリーニングに用いるPTMカセットの模式図である。PTMカセットは、トランス-スプライスドメイン(TSD)(結合ドメインクローニング部位、短いスペーサー、BP、PPTを含む)、zsGreenのコード配列の3'側半分、脳心筋炎(脳心筋炎ウイルス)IRESと、その後ろの第2のリポーターDsRedExpressの全長コード配列からなる。略号:3'zsGは、zsGreen蛍光タンパク質コード配列の3'側半分;IRESは、内部リボソーム侵入部位、BDは、結合ドメイン;BPは、分岐点;PPTは、ポリピリミジン領域;Nは、NheI;Pは、PmeI;Sは、SacII;およびSAは、スプライス受容部位。点線状の矢印は、トランス-スプライシング効率を測定するために用いるリバースプライマーを示す。
【0032】
図10C。HPV-16 E6/E7標的プレmRNAに向けたPTMに対する、FACSに基づく選択戦略の模式図である。
【0033】
図11A。反復したラウンドで行う選択がトランス-スプライシングを富化させる。プロトプラストを用いてHPV PTM ライブラリーでトランスフェクトした293TE67アッセイ細胞。トランスフェクションの24時間後、細胞をFACSにより分析した。参照として全長緑色-IRES-DsRedexpのFACSプロフィール(100%のトランス-スプライシング効率と特異性とする)を用い、ライブラリーから高度に緑色の細胞と適度な赤色細胞(ゲート領域)を回収し、HIRT DNAを抽出し、次のラウンドの選択に用いた。挿入されているグラフは、富化レベルの指標となる全体の緑色/赤色比率を示している。参照:全長GFP-IRES-RFPプラスミドは293T細胞における陽性対照プラスミド構築物のFACSを示す。この対照は、一定の効率を上回って、完全に特異的な(理想的な)PTMトランス-スプライシングから予測される適度な比率のGFP/RFPを発現する。このプロフィールを用いて、最適PTMを同定および選択するためのPTMライブラリースクリーニングのゲートを設定した。
【0034】
図11B。パネルA:反復したラウンドで行う選択が、トランス-スプライシングの向上したPTMを富化する。実験詳細は上記と同様である。R0、R1およびR2ラウンドから得られたGFP+細胞の割合%を示す。陽性の細胞集団だけを用いてGFP+細胞のパーセンテージを算出する。同様の結果は平均蛍光値を用いても得られた。パネルB:反復したラウンドで行う選択が、トランス-スプライシングの向上したPTMを富化する。実験詳細は上記と同様である。分子レベルでのトランス-スプライシング効率はR0、R1およびR2ラウンドのRT-qPCRによって定量化した。全集団(陽性細胞と陰性細胞の双方を含む)からの全RNAを用いて、RT-qPCRによりトランス-スプライシング効率を定量化した。トランス-スプライシング効率は、トランス-スプライシングの量をシス-スプライシングとトランス-スプライシングの双方を含む全スプライシングで除算することにより算出した。
【0035】
図12A。大容量スクリーニングが効率的PTMを富化する。最初のライブラリーと富化したライブラリーのランダムな20のPTMから得たDNAを293TE67-12安定細胞へトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞をFACSによりGFP発現に関して分析した。パネルaは最初のライブラリーからのクローン、パネルbは富化ライブラリーからのクローンを示す。
【0036】
図12B。スクリーニングは相補的結合ドメインを富化する。個々のライブラリーのBDサイズ、配向および位置の比較。元のライブラリー(パネルa)、および富化ライブラリー(パネルb)からのランダムなクローンを配列決定し、HCSで用いるHPV標的(HPV-16 E6/E7)に対してアラインした。最初のライブラリーでは2/14個が正しい配向であるが、富化ライブラリーでは100%が正しい配向である。
【0037】
図12C。HCSから回収されるPTMは、好ましい標的部位のホットスポットを示す。パネルa:富化ライブラリー由来のPTMの、HPV標的に対する配列アライメント。パネルb:同じグループからのFACS結果。配列アライメントは、BDの位置とトランス-スプライシング効率との間の良好な相関を明示した。
【0038】
図12D。大容量スクリーニングから回収されるPTMは、機能と分子のトランス-スプライシング効率との間の良好な相関を明示した。
【0039】
5.発明の詳細な説明
本発明は、最適なプレ-トランス-スプライシング分子の迅速大容量機能的スクリーニングのための方法および組成物を提供する。本発明の組成物は、標的プレmRNAと相互作用し、新規なキメラRNA分子の生成をもたらすトランス-スプライシング反応を媒介するようデザインされている候補PTMをコードし得るPTM発現ライブラリーを含む。以下に詳細に記載するように、本発明の組成物およびスクリーニング法を用いて、最適なPTMを、効率的かつ特異的なトランス-スプライシング反応を媒介するそれらの能力に基づいて迅速に評価、比較および同定することができる。
【0040】
5.1.候補プレ-トランス-スプライシング分子の発現ライブラリー
本発明は、最適PTMの迅速大容量機能的スクリーニングのための組成物を提供する。本発明の組成物は、候補PTMをコードし得るPTM発現ライブラリーを含む。一般に、PTMは、以下の構造エレメント:(i)PTMの結合をプレmRNAへターゲッティングする1以上の標的結合ドメイン、(ii)3'スプライス領域および/または5'スプライス供与部位、(iii)RNAスプライス部位を標的結合ドメインから隔てるための1以上のスペーサー領域、ならびに(iv)「セーフティー配列」のうちの、1以上を含む。この3'スプライス領域は分岐点、ピリミジン領域および/または3'スプライス受容部位を含み得る。PTMはまた、ミニイントロン、ISAR(イントロンスプライシングアクチベーターおよびリプレッサー)コンセンサス結合部位、リボザイム配列、および、標的イントロンの3' スプライスシグナルに近接するイントロン配列へとターゲッティングされている結合ドメインを含んでもよい。このようなPTMの全体的設計、構築および遺伝子操作、ならびに細胞内でのそれらの首尾よくトランス-スプライシング反応を媒介する能力の証明は、米国特許第6,083,702号、同第6,013,487号および同第6,280,978号、ならびに特許出願番号09/941,492(これらは各々、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に詳細に記載されている。
【0041】
本発明の候補PTMは、PTMと通常関連する1以上の構造エレメントを含むようにデザインされるが、少なくとも1つのエレメントがランダムな、または多様なヌクレオチド配列で置換されている。ランダムヌクレオチド配列は、置換されるエレメントに応じて、少なくとも15〜30、最大数百までのヌクレオチドを含む。候補PTM分子に用いるためのランダムヌクレオチド配列は、限定されるものではないが、制限エンドヌクレアーゼによるDNAの部分消化、DNAの機械的剪断、DNAの超音波処理、または化学合成などの種々の異なる方法を用いて作製することができる。このようなランダムヌクレオチド配列の使用は、細胞内で発現される任意の所定の標的プレmRNAに対して異なるトランス-スプライシング能力を有する膨大なPTM分子を作製するようにデザインされている。あるいは、オリゴヌクレオチドのランダム化されたライブラリーは、PTM分子中へクローニングするために各末端に適当な制限エンドヌクレアーゼ認識部位を有するように合成することができる。ランダム化されたオリゴヌクレオチドがライゲートされ(litigated)、発現されることにより、候補PTMのランダム化ライブラリーが作製される。
【0042】
特異的な標的プレmRNAに対する最適な標的結合ドメインを同定することを目的とする場合、候補PTM分子において用いるためのランダムヌクレオチド配列は、限定されるものではないが、標的プレmRNAをコードするDNAの制限エンドヌクレアーゼによる部分消化、または標的プレmRNAをコードするDNAの機械的剪断もしくは超音波処理をはじめとする種々の異なる方法を用いて、作製することができる。適当な制限エンドヌクレアーゼ認識部位を、PTM分子中へクローニングするためにランダムヌクレオチド配列の各末端にクローニングしてもよい。
【0043】
さらに、本発明の候補PTM分子は、効率的トランス-スプライシング反応の存在下で1以上のリポーター分子を発現させ、それにより最適なPTMを発現する細胞の選択手段が提供されるようにデザインされる。よって、リポーター分子の一部(ヘミリポーター)または完全なリポーター分子のいずれかをコードするヌクレオチド配列が本発明の候補PTMに含まれる。このようなリポーター分子としては、限定されるものではないが、生物発光分子および蛍光分子、受容体、酵素、およびタンパク質/ペプチドタグが挙げられる(Yuら, 2000 Nature Medicine 6:933-937; MacLarentら, 2000 Biol Psychiatry 48:337-348; Zaretら, 2001 J. Nuclear Cardiology March/April 256-266; Rayら, 2001 Seminars in Nuclear Medicine 31:312-320; Lok, 2001 Nature 412:372-374; Allportら, 2001 Experimental Hematology 29:1237-1246; BergerおよびGambhir, 2000 Breast Cancer Research 3:28-35; CherryおよびGambhir, 2001, ILAR Journal 42:219-232)。生物発光分子としては、限定されるものではないが、ホタル、ウミシイタケ(Renilla)または細菌のルシフェラーゼが挙げられる。蛍光分子としては、例えば、緑色蛍光タンパク質または赤色蛍光タンパク質が挙げられる。
【0044】
本発明のさらにもう1つの実施形態では、リポーター分子は、いくつか挙げれば、β-ガラクトシダーゼ(Louieら, 2000 Nature Biotechnology 15:321-325)、シトシンデアミナーゼ、I型単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、クレアチンキナーゼ(Yaghoubiら, 2001 Human Imaging of Gene Expression 42:1225 1234; Yaghoubiら, 2001 Gene Therapy 8:1072-1080; Iyerら, 2001 J. Nuclear Medicine 42:96-105)、またはアルギニンキナーゼなどの酵素であり得る。この酵素は選択されたトレーサーに対するその酵素の作用により特異的な放射性標識トレーサーを捕捉するその能力のために選択される。
【0045】
あるいは、これらのヌクレオチド配列は、発現されるマーカータンパク質に対して結合親和性を有する標識トレーサーと結合し得る受容体などの細胞外マーカータンパク質をコードしてもよい。そのようなタンパク質としては、例えば、ドーパミン2受容体、ソマトスタチン受容体、オキソテクネチウム結合-融合タンパク質、ガストリン放出ペプチド受容体、カテプシンD、トランスフェリン受容体またはCFTR Clイオンチャネルが挙げられる。
【0046】
本発明のさらにもう1つの実施形態では、リポーター分子はまた、ハイグロマイシンなどの抗生物質耐性またはその他の選択マーカーを付与するタンパク質または酵素であってもよい。
【0047】
ペプチドタグ(エピトープタグとも呼ばれる)をコードするヌクレオチド配列もまた、リポーター分子として機能するように本発明のPTM構造に含めてもよい。本発明の好ましい実施形態では、エピトープは特定の抗体によって認識されるか、または特定のリガンドと結合するものであり、それら抗体やリガンドの各々が標識されて、それにより標的プレmRNAを発現する細胞を選択するための方法が提供される。用い得るエピトープとしては、限定されるものではないが、AU1、AU5、BTag、c-myc、FLAG、Glu-Glu、HA、His6、HSV、HTTPHH、IRS、KT3、プロテインC、S-Tag、T7、V5、またはVSV-Gが挙げられる。
【0048】
さらに、候補PTMは、脳心筋炎ウイルスまたはポリオウイルスIRESなどの内部リボソーム侵入部位(IRES)と、その後ろにトランス-スプライシングの特異性を評価するために使用できる第2のリポーター分子をさらに含んでもよい(例えば、米国特許第4,937,190号、W09811241およびPestova TVら (2001, Proc Natl Acad Sci U S A.98:7029-36)参照)。IRES配列とその後ろの第2のリポーター分子の存在により、トランス-スプライシングの特異性を評価することが可能となる。例えば、分割されたヘミリポーターの発現レベルが特異的トランス-スプライシングの指標となる。PTM全長リポーターの発現レベルは特異的事象と非特異的事象の和となる。従って、第2のリポーターにより、非特異的PTM発現の程度の測定が可能になる。スプライシングはmRNAの細胞質への輸送を促進することから、プレmRNA標的の不在下での第2のリポーター分子の発現レベルは、トランス-スプライシング反応の特異性と逆相関にあるはずである。
【0049】
本発明の発現ライブラリーを形成するために、膨大な目的の候補PTMをコードする核酸分子を、大スケールでのDNAの複製も提供し、かつ、トランスフェクトまたは形質導入された細胞内で候補PTMの転写を指令するための必須エレメントを含む種々の宿主ベクター系中へと、遺伝子操作する。組換えDNA技術の分野で一般に知られている使用可能な方法が、Ausubelら(編), 1993, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY;およびKriegler, 1990, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NYに記載されている。
【0050】
候補PTMをコードするベクターは、哺乳類細胞、または植物細胞などのその他の細胞タイプでの複製および発現のために用いられる、プラスミド、ウイルスまたは当技術分野で既知のその他のものであってよい。PTMをコードする配列の発現は、哺乳類細胞、または好ましくはヒト細胞であり得る適当な細胞タイプにおいて作用することが当技術分野で知られている任意のプロモーターによって調節することができる。このようなプロモーターは誘導性のものであっても構成性のものであってもよい。このようなプロモーターとしては、限定されるものではないが、SV40初期プロモーター領域(Benoist, C.およびChambon, P. 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3'長末端反復配列に含まれているプロモーター(Yamamotoら, 1980, Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:14411445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら, 1982, Nature 296:39-42)、ウイルスCMVプロモーター、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン-βプロモーター(Hollenbergら, 1994, Mol. Cell. Endocrinology 106:111-119)などが挙げられる。本発明のPTM発現ライブラリーを構成する組換えDNA構築物を作製するには、いずれのタイプのプラスミド、コスミド、またはウイルスベクターを用いてもよい。
【0051】
このような構築物を用いて標的プレmRNAを発現する細胞をトランスフェクトまたは形質導入すると、十分な量の候補PTMが転写され、ここで、最適PTMは、内因的に発現された標的プレmRNAと相補塩基対を形成し、それにより複合体化した核酸分子間のトランス-スプライシング反応を促進することとなる。
【0052】
本発明はさらに、本発明のライブラリースクリーニング方法において使用できる標的プレmRNAを発現するように組換え操作された標的細胞を提供する。標的プレmRNAは一時的に導入してもよいし、安定的に導入してもよい。本発明の目的では、標的プレmRNAの発現レベルは、評価する全ての細胞で同等であることが重要である。標的プレmRNAは、最適な候補PTMの存在下でトランス-スプライシングの基質として働くようにデザインされる。さらに、標的プレmRNAはヘミリポーター分子の一部(ヘミリポーター標的プレmRNA)をコードするように操作され、ここで、特異的トランス-スプライシング反応の結果、リポーター分子をコードし得る修復されたキメラmRNAが生じる。本発明の好ましい実施形態では、標的プレmRNAの発現は誘導性プロモーターの制御下にある。当技術分野でよく知られているこのような誘導性プロモーターとしては、例えば、熱、ステロイドホルモン、重金属イオンおよびインターフェロンに応答するプロモーターが挙げられる。さらに、誘導性プロモーター配列としては、大腸菌(E.coli)ラクトース(Lac)またはTn10由来テトラサイクリン耐性オペロン応答性リプレッサーエレメントのいずれかを利用するものが挙げられる。標的プレmRNAの誘導性発現により、標的プレmRNAの存在下および不在下で観察されたリポーター分子のレベルを比較することにより、トランス-スプライシング反応の特異性を試験することが可能となる。
【0053】
あるいは、標的プレmRNAをコードする核酸を、宿主細胞の染色体に組み込ませることによりin vivoにおいてウイルスによってコードされている導入遺伝子、すなわち標的プレmRNAを安定的に維持するガットレス(gutless)アデノウイルス・トランスポゾンベクター中に組換え操作してもよい(Yantら, 2002, Nature Biotechnology 20:99-1005)。
【0054】
ヘミリポーター標的もしくはPTM、またはその双方の発現カセットには、外部レギュレーター配列からの転写に対する位置的影響を最小にするため、ニワトリβ-グロビンインスレーターなどの転写インスレーター配列が隣接していてもよい。Recillas-Targa F, Pikaart MJ, Burgess-Beusse B, Bell AC, Litt MD, West AG, Gaszner M, Felsenfeld G.。ニワトリβ-グロビンインスレーターによる位置的影響の保護とエンハンサーの阻止は別個の活性である。Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 May 14;99(10):6883-8。他のインスレーター配列も使用できる。本主題に関する総説としては、Genes Dev 2002 Feb 1;16(3):271-88. Insulators: many functions, many mechanisms. West AG, Gaszner M, Felsenfeldがある。
【0055】
本発明の特定の実施形態では、PTMおよびプレmRNAの双方をコードする配列を、細胞へのトランスフェクションまたは形質導入のために単一の発現ベクター中へ組み込んでもよい。単一のプラスミドを用いることにより、PTMライブラリーをスクリーニングするよりも迅速な方法が提供される。
【0056】
本発明は、最適なPTMを、効率的および特異的なトランス-スプライシング反応を媒介するそれらの能力に基づいて同定するための新規な選択系を提供する。本発明のこの選択系は、(i)候補PTMをコードし得るPTM発現ライブラリー、および(ii)標的プレmRNAを発現するように遺伝的に操作された細胞を含む。発現ライブラリーのPTMと標的プレmRNAは双方とも、リポーター分子の一部(ヘミリポーター分子)を発現するようにデザインされ、ここで、特異的トランス-スプライシング反応の存在下で、リポーター分子をコードし得る修復されたキメラRNAが生じる。
【0057】
in vivoスクリーニングアッセイに加えて、本発明はまた、トランス-スプライシング反応を媒介するPTMを同定するようにデザインされたin vitroスクリーニング法にも関する。このような例では、このin vitroアッセイは、(i)標的プレmRNA;(ii)1以上の被験PTM;およびスプライセオソームにより媒介されるトランス-スプライシングに必要な成分の混合物、の存在下で行われる。そのような成分は細胞抽出物に由来するものであってもよい。
【0058】
本発明の特定の実施形態では、標的プレmRNA、被験PTM、またはその双方を、マトリックスに結合させてもよい。さらに、これらの標的プレmRNA、被験PTM、またはその双方を、首尾よいトランス-スプライシング反応を容易に同定できるような方法で標識してもよい。
【0059】
5.2.最適なPTMの同定のためのPTMライブラリーのスクリーニング
本発明は、PTMを、標的プレmRNAとのトランス-スプライシング反応を媒介し得るその能力に基づいて迅速に同定、評価および比較するために使用できるスクリーニング方法を提供する。本発明の好ましい実施形態では、本発明のスクリーニング方法を用いて、標的プレmRNAとのトランス-スプライシング反応を同様に媒介し得る他のPTM分子と比較した場合に、より効率的かつ/またはより特異的なトランス-スプライシング反応を媒介するその能力に基づいて最適なPTMを同定することができる。本発明のこのスクリーニング方法は、(i)PTMライブラリーと標的プレmRNAを発現する標的細胞とを、リポーター分子をコードし得るキメラRNA分子の形成をもたらすPTMの存在下でトランス-スプライシング反応が起こる条件下で接触させること;(ii)リポーター分子を発現する細胞を選択すること(ここで、そのリポーター分子の発現は選択された細胞においてトランス-スプライシング反応を媒介し得るPTMが存在することを示す);および(iii)選択された細胞で発現されたPTMを同定すること、を含む。
【0060】
目的の標的プレmRNAを発現する細胞(本明細書では「標的細胞」とも呼ばれる)へPTM発現ライブラリーを導入するためには、種々の異なる方法を用い得る。このような方法としては、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウムまたはDEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、細菌プロトプラスト融合またはウイルス感染が挙げられる。いくつかの例では、その導入方法はリポーター分子(PTMによってコードされているリポーター分子とは異なる)を細胞へ導入することを含む。次に、これらの標的細胞を、候補PTMを取り込んでそれを発現している細胞を単離するために、選択下に置く。
【0061】
PTMライブラリーを標的細胞へ導入した後、被験細胞を、PTMによりコードされているリポーター分子を発現する細胞について、選択する。最適なPTMを発現している細胞の選択に用いるスクリーニング法は、PTMによりコードされている選択可能なリポーター分子のタイプによって異なる。例えば、蛍光マーカーを用いる場合には、蛍光活性化セルソーター(FACS)を用いて細胞を選別することができる。あるいは、抗体を用いて、ポリペプチドマーカーを発現している細胞を選別することもできる。このような細胞はパンニングまたはアフィニティークロマトグラフィーなどの方法を用いて抗体親和性に基づいて選別してもよい。種々の薬剤耐性を付与する酵素をコードする遺伝子を選択マーカーとして用いる場合には、そのような通常は有毒な薬剤の存在下での生存能または増殖能を選択に利用することができる。他の方法も当業者には自明である。
【0062】
第2のリポーター/選択マーカーを用い、修復されたヘミリポーターに比例した第2のリポーター分子の平衡発現に基づいて、細胞を選択することもできる。この二重選択法を用いる場合、細胞は、第1のリポーター分子の高度の発現と第2のリポーター分子の適度な発現に基づいて選択される。トランス-スプライスされたヘミリポーターと全長リポーターの間の発現の比例レベルを決定するのに好ましい方法としては、(i)誘導性プロモーター、(ii)GFPなど、全長の第1のリポーター分子、(iii)IRES、および(iv)RFPなど、全長の第2のリポーターを含む、リポーター発現調節ベクターを構築するというものである。例えば、細胞内で、特にある範囲のmRNA発現を超えて産生されたRFPに対するGFPのレベルを測定することにより、RFP発現に対するGFP発現の比を求めることができる。よって、修復された(トランス-スプライスされた)GFPを発現する細胞では、特異的トランス-スプライシングによって予測されるRFP発現のレベルについて推定を行うことができる。PTMライブラリースクリーニングに関しては、このRFP発現レベルを上回るか、または下回る逸脱は、非特異的トランス-スプライシング、直接的PTM発現、またはPTMの突然変異によって生じるものであると考えられる。
【0063】
選択後、選択された細胞で発現されるPTM、すなわちリード候補、つまり可能性のある最適なPTMを同定するのに用いるために、選別された細胞のクローン集団を拡張する。あるいは、標的の不在下で第2の(全長)リポーター分子の発現に基づいて、もう一度細胞を選択してもよい。第2の(全長)リポーター分子をコードする核酸配列は、候補3'エキソン置換PTM中のIRES配列から下流に位置する。第2のリポーター分子の発現は、(i)正確なトランス-スプライシングが起こった細胞の一部で、(ii)誤ったスプライシングが起こった細胞の一部で、また、(iii)PTMが輸送されて自己発現した細胞中で起こる。よって、第2の選択プロトコールでは、特異的トランス-スプライシングのレベルを、標的プレmRNAのレベルが最小となるようにインデューサーを除去することにより最小とし、そして細胞を第2のリポーター分子の発現が最小レベルであることに基づいて選択する。この二重選択プロセスを用い、存在する標的プレmRNAのレベルに応じ、第1のリポーター分子の高度の発現と、第2のリポーター分子の適度なまたは低い発現に基づいて細胞を選択する。
【0064】
一度、選択された細胞のクローン集団が得られたら、通常の方法を用いてPTMを回収し、配列を決定する。例えば、好ましい実施形態では、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて、可変領域にフランキングするプライマーを用い、リード結合ドメインを同定することができる。あるいは、PTMベクター骨格はそれがエピソームプラスミドであれば、またはアフィニティーハイブリダイゼーションにより、回収することができる。トランス-スプライスされたRNAは逆転写とcDNA末端(5' RACEまたは3'RACE)の迅速増幅の後、ランダムに選択したクローンの統計学的に適切なサンプルのクローニングおよび配列決定により評価することができる。
【0065】
5.3. 本発明のスクリーニング法によって同定されたPTMの使用
本発明の方法および組成物を用いて同定された最適なPTMは、遺伝子修復、遺伝子調節およびターゲッティングされた細胞死をはじめとする種々の異なる用途を持つ。例えば、トランス-スプライシングを用いて毒性を有するタンパク質を細胞に導入することができる。さらに、PTMを、ウイルスmRNAと結合してウイルスmRNAの機能を破壊するか、あるいはウイルスmRNAを発現する細胞を破壊するように操作することができる。本発明のさらに別の実施形態では、有害なmRNA転写物中に終止コドンを配置し、それによりその転写物の発現を低下させるようにPTMを操作することができる。
【0066】
二重トランス-スプライシング反応をはじめとするターゲッティングされたトランス-スプライシング、3'エキソン置換および/または5'エキソン置換を用い、末端切断されているか、または点突然変異を含む転写物を修復または修正することができる。本発明のPTMは、特定の突然変異の上流もしくは下流、または未熟な3'終止コドンの上流に標的転写物をトランス-スプライスするために、スプライセオソームを誘導し、突然変異を含む転写物の一部を機能的配列に置換することにより突然変異転写物を修正するようにデザインする。
【0067】
種々の送達系が知られており、例えばリポソーム封入、マイクロパーティクル、マイクロカプセル、組成物を発現し得る組換え細胞、受容体により媒介されるエンドサイトーシス(例えば、WuおよびWu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432参照)、レトロウイルスまたはその他のベクターの一部としての核酸の構築、DNAの注入、細菌性プロトプラスト融合エレクトロポレーション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクションなどが、本発明の組成物を細胞に導入するために使用できる。
【0068】
これらの組成物および方法は、癌およびその他重篤なウイルス感染症、自己免疫疾患、および特定の細胞タイプの変更または除去が有益であるような病的状態を治療するために使用できる。さらに、これらの組成物および方法は生物学的に活性な機能的分子をコードする遺伝子を、欠失遺伝子産物または変異遺伝子産物を発現させると正常な表現型をもたらすような遺伝性遺伝的疾患を有する個体の細胞に提供するために使用することができる。
【0069】
ある好ましい実施形態では、PTMをコードする配列を含む核酸を投与し、宿主細胞への遺伝子送達および発現を経て、PTM機能を促進する。本発明のこの実施形態では、核酸はPTM産生を促進することにより作用を媒介する。当技術分野で利用可能な宿主細胞への遺伝子送達の方法はいずれも本発明に従って使用することができる。遺伝子送達法の一般的な総説としては、Strauss, M.およびBarranger, J.A., 1997, Concepts in Gene Therapy, by Walter de Gruyter & Co., Berlin; Goldspielら, 1993, Clinical Pharmacy 12:488-505; WuおよびWu, 1991, Biotherapy 3:87-95; Tolstoshev, 1993, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 33:573-596; Mulligan, 1993, Science 260:926-932;ならびにMorganおよびAnderson, 1993, Ann. Rev. Biochem. 62:191-217; 1993, TIB TECH 11(5):155-215を参照。方法例を以下に記載する。
【0070】
核酸の宿主細胞への送達は、宿主がその核酸または核酸担持ベクターに直接曝される場合には直接的であり、あるいは宿主細胞がまずin vitroでその核酸により形質転換された後に宿主に移植される場合には間接的であり得る。これら2つのアプローチはそれぞれin vivoまたはex vivo遺伝子送達として知られている。
【0071】
特定の実施形態では、核酸は直接in vivo投与し、そこで発現してPTMを産生する。これは当技術分野で既知の多くの方法のいずれかによって、例えばそれを適当な核酸発現ベクターの一部として構築し、細胞内のものとなるようにそれを投与することにより、あるいは例えば欠陥もしくは弱毒レトロウイルスまたはその他のウイルスベクターを用いた感染(米国特許第4,980,286号参照)により、あるいは裸のDNAの直接注入により、あるいは微粒子衝撃法(例えば、遺伝子銃; Biolistic, Dupont)の使用により、あるいは脂質もしくは細胞表面受容体またはトランスフェクション剤によるコーティング、あるいはリポソーム、微粒子または微小カプセルへの封入により、あるいは核へ入ることが知られているペプチドに結合させて投与することにより、あるいは受容体によって媒介されるエンドサイトーシスを受けるリガンドへ結合させて投与する(例えば、WuおよびWu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432)ことにより、達成することができる。
【0072】
特定の実施形態では、PTMを含むウイルスベクターを使用することができる。例えば、ウイルスゲノムのパッケージングに必要でないレトロウイルス配列を削除するように改変されたレトロウイルスベクターを用いることができる(Millerら, 1993, Meth. Enzymol. 217:581-599参照)。あるいは、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスベクターを細胞または組織への遺伝子送達に使用することができる(アデノウイルスに基づく遺伝子送達の総説としては、KozarskyおよびWilson, 1993, Current Opinion in Genetics and Development 3:499-503参照)。
【0073】
細胞への遺伝子送達の別のアプローチでは、エレクトロポレーション、細菌プロトプラスト融合、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、またはウイルス感染などの方法により、組織培養中の細胞へ遺伝子を導入することを含む。通常、この導入方法はリポーター分子を細胞へ導入することを含む。次に、これらの細胞を導入遺伝子を取り込んで発現している細胞を単離するための選択下に置く。得られた組換え細胞は、当技術分野で既知の種々の方法により宿主に送達することができる。ある好ましい実施形態では、遺伝子送達に用いる細胞は宿主細胞に対して自己のものである。PTMの組み込みは、Flp組換え部位またはCre-Lox部位などの特異的な組み込み部位を標的細胞系またはPTMベクター自体に組み込むことで達成することができる。
【0074】
本発明はまた、有効量のPTMまたはPTMをコードする核酸と医薬上許容される担体を含む医薬組成物も提供する。ある特定の実施形態では、「製薬上許容される」とは、連邦政府もしくは州政府の規制当局が認可したか、または米国薬局方もしくは動物、およびより好ましくはヒトにおける使用に関して一般に認められているその他の薬局方に列挙されていることを意味する。用語「担体」とは、治療薬が一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルをさす。好適な医薬担体の例は、E.W. Martinによる"Remington's Pharmaceutical sciences"に記載されている。
【0075】
特定の実施形態では、医薬組成物は、(1)例えば内因性タンパク質が欠損しているか、遺伝的に欠陥があるか、生物学的に不活性であるか、または活性が低下しているか、または発現が低下している宿主における、その内因性タンパク質もしくは機能が存在しないかまたはそのレベルが低下している(正常または望ましいレベルと比較して)疾病または障害において;あるいは(2)in vitroまたはin vivoアッセイによって特定のタンパク質の機能を阻害するPTMの有用性が示される疾病または疾患において、投与される。PTMにより媒介されるトランス-スプライシング反応によって生じるキメラmRNAにコードされているタンパク質の活性は、例えば宿主の組織サンプルを得て(例えば、生検組織から)、それを、発現したキメラmRNAのmRNAレベルもしくはタンパク質レベル、構造および/または活性についてin vitroアッセイすることにより、容易に検出することができる。すなわち、限定されるものではないが、キメラmRNAにコードされるタンパク質を検出および/または可視化するための免疫アッセイ(例えば、ウエスタンブロット、免疫沈降、その後のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫組織化学など)、および/またはキメラmRNAの存在を検出および/または可視化することによりキメラmRNA発現の形成を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、in situハイブリダイゼーション、および逆転写PCRなど)などをはじめとする当技術分野で標準的な多くの方法を用いることができる。
【0076】
本発明はまた、有効量のPTMまたはPTMをコードする核酸と医薬上許容される担体を含む医薬組成物も提供する。ある特定の実施形態では、「製薬上許容される」とは、連邦政府もしくは州政府の規制当局が認可したか、または米国薬局方もしくは動物、およびより好ましくはヒトにおける使用に関して一般に認められているその他の薬局方に列挙されていることを意味する。用語「担体」とは、治療薬が一緒に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルをさす。好適な医薬担体の例は、E.W. Martinによる"Remington's Pharmaceutical sciences"に記載されている。 特定の実施形態では、本発明の医薬組成物を治療を必要とする局所的に領域に投与することが望ましい。これは例えば、限定されるものではないが、手術の際の局所注入により、局所適用(例えば、外科術後の創傷包帯と組み合わせて)により、注射により、カテーテルを用いて、座薬を用いて、インプラントを用いて(このインプラントはシラスティック(sialastic)膜のような膜または繊維をはじめとする、多孔質、無孔質またはゼラチン質の素材である)、達成できるであろう。その他の制御放出薬物送達系としては、例えばナノ粒子、制御放出ポリマーのようなマトリックス、ヒドロゲルなどがある。
【0077】
PTMは標的細胞において所望の作用をもたらすのに有効な量で投与される。PTMの有効投与量は、生物学的半減期、バイオアベラビリティーおよび毒性などのパラメーターに取り組むための、当業者によく知られている手法により決定することができる。本発明の組成物の有効量は治療する疾病または障害の性質によって異なり、標準的な臨床技術によって決定することができる。さらにまた、所望により、最適な用量範囲を判定する助けとするためにin vitroアッセイを用いてもよい。
【実施例】
【0078】
6.実施例:嚢胞性繊維症トランスメンブランレギュレーター (CFTR) mRNAを修復する最適なトランス-スプライシングPTM分子の選択
本明細書に記載のライブラリースクリーニング法は、機能が改善されたCFTRに基づくPTMを選択するために使用できる。結合ドメインの他、PTMライブラリー内の他の構造エレメントをランダムなヌクレオチド配列で置換して、異なるトランス-スプライシング能力を有する膨大な候補PTMを作製することができる。このようなエレメントの1つであるセーフティー配列は、PTM分子内で二次構造を形成することができ、それにより、PTMのスプライシングエレメントは、結合ドメインが標的プレmRNAと相互作用するまでスプライシングから遮断される。機能が改善されたCFTRに基づくPTMは、既存のPTMであるCF PTM24に基づいたランダム化された「セーフティーな」PTM結合ドメインのライブラリーをスクリーニングし、蛍光リポーターの発現の修復において最も効率的かつ特異的なものを選択することによりトランス-スプライシングの特異性を向上させること、および(ii)クローン化された非選択のトランス-スプライスされたmRNA産物を配列決定することによりリードセーフティーPTMの特異性を定量化することにより、同定することができる。この方法では、結果として、既存のCFにターゲッティングされるPTM 24よりも著しく性能の向上したPTMが同定され、臨床治療薬の開発の成功の確率が向上する。
【0079】
これまでに、主としてCFTRプレmRNAに対する塩基対合の長さと領域が互いに異なる、CFにターゲッティングされた3'PTMが、実験的に30を超えて構築されてきた。既存のPTMのトランス-スプライシング効率はかなり様々である。培養細胞は通常CFTRを発現しないことから、被験PTMのトランス-スプライシングを研究するためにCFTRイントロン9標的を構築した。この標的はイントロン9の5'末端の250個のヌクレオチドと3'末端の270個のヌクレオチドからなり、これまでに構築されたPTMの効率を迅速に評価するために極めて有効であった。
【0080】
本明細書に記載のハイスループットスクリーニングによって同定される新規なPTMはCFTR機能を回復するそれらの能力に関して評価される。これにより、前臨床試験および最終的にはヒト臨床試験に入る可能性について評価される最適なCFターゲッティングPTMの選択を可能とする。
【0081】
6.1.ライブラリースクリーニング
本明細書に記載の新規なライブラリースクリーニングアッセイは、効率および特異性の点で最適なPTMを迅速に選択するようにデザインされる。このアッセイは、1時間当たり数千万の細胞を評価し、所望の特性を有する数個の細胞を回収するFACS選別の能力に基づく。このアッセイでは、各形質導入細胞は、2つの蛍光マーカーの読み出しに基づいて個々のPTMの効率および特異性を評価するのに用いる別個の実験となる。これにより、コスト効率のよい方式での数百万のPTMの迅速なスクリーニング、および臨床開発経路に入るのに最適なPTMを同定するためにさらに特性解析され得るリードPTMの選択が、可能となる。
【0082】
6.2.セーフティーPTMライブラリー
セーフティーPTMターゲッティングCFTRイントロン9のライブラリーは、10〜300bpの範囲の長さのセーフティーステムを生成するようにCF PTM24の結合ドメインに隣接するランダム化配列を組み込むことにより構築される。経験的にデザインされたセーフティーPTMを用いたこれまでの試験に基づけば、この大きさの範囲のステムループが最適であると考えられている。これらのランダム配列は、CMVプロモーターの後に、CF PTM24の結合ドメイン、ランダム化セーフティー配列、スペーサー領域、強力な3'スプライス部位(酵母コンセンサス分岐点、強力なポリピリミジン領域およびスプライス受容部位を含む)、および増強された緑色蛍光タンパク質(eGFP)の'コード配列を含むCF PTM24発現カセットにクローニングされる(図7)。eGFPの下流には、細胞質に達して翻訳され得るPTMについて赤色蛍光タンパク質の発現を指示する内部リボソーム侵入部位(IRES)が続く。特異的トランス-スプライシングは緑色および赤色蛍光の双方のレベルを生じる。非特異的トランス-スプライシン、PTMシス-スプライシングまたは直接的PTM翻訳は赤色蛍光だけに寄与する。最適なPTMは以下に記載されるように高度な緑色/適度な(proportionate)赤色シグナルに基づいて選択される。得られるライブラリーは独立したセーフティーPTMを105〜106の範囲の複雑性を有すると考えられる。
【0083】
6.3.標的細胞の産生
CFイントロン9の一部に結合された5'ヘミeGFP遺伝子を含む標的細胞系を構築する(図8)。この標的細胞系は、これまでに構築されているPTMの機能を評価するのにこれまでに用いられてきたミニ-イントロン9標的配列を含む。増強された緑色蛍光タンパク質(eGFP)のコード配列の5'側半分とCFTRミニ-イントロンを含む標的発現ベクターを293細胞に安定的に組み込む。集団中の各細胞で一貫したレベルのCFTR標的を産生するクローン細胞系を確立する。このことは、トランス-スプライシング効率が標的プレmRNAとPTMの双方の濃度によって異なり得ることから重要である。このアッセイはこれらの変数を最小にするよう構成される。
【0084】
標的プレmRNAの発現はテトラサイクリンリプレッサーの制御下にある。高い標的濃度の条件下、tetの不在下(ファーストパス)で細胞に対してFACS選別を行う。次に、選択された細胞をtetの存在下で増殖させ、標的の発現を抑制する。これにより標的プレmRNAの濃度は実質的に低くなり、非標的プレmRNAへのトランス-スプライシングまたはPTM自体の直接的翻訳による非特異的PTM発現の評価が可能となる。
【0085】
6.4.標的細胞へのPTMライブラリーの送達
PTMライブラリーを送達するにはレトロウイルスを使用することができる。この方法は、PTMライブラリーの1つのメンバーを1つの標的細胞に送達するその能力のため、有用である。これらのレトロウイルスは、レトロウイルスの組み込みのランダムな性質による転写における可能性のある影響を最小にするためにニワトリβ-グロビン由来のインスレーター配列を含むようにデザインされる。トランス-スプライシングの特異性と効率の比較のためにリポーター遺伝子の発現を信頼性を持って用いるためには、各細胞で標的とPTM双方に関して一貫した発現レベルを維持することが重要である。異なる細胞間で標的PTMの濃度が異なる場合、読み出しも実質的に影響を受け得る。
【0086】
自己不活型(SIN)ネズミレトロウイルスを生成するため、セーフティーPTM蛍光リポーターライブラリーをレトロウイルス産生細胞系にトランスフェクトする。これらのウイルスは、組み込み部位による転写に対する可能性のある影響を最小にするために インスレーター配列を含み得る。これらのレトロウイルスを用いて293細胞に形質導入する。次に、得られた細胞にFACS選別を行う。
【0087】
6.5.最も効率的かつ特異的なトランス-スプライシングに関するセーフティーPTMライブラリーのスクリーニング
PTMセーフティーライブラリーを上記のように作出した標的細胞系へトランスフェクトする。その標的に対するPTMの特異的トランス-スプライシングにより、eGFPの完全なコード配列が生じる。RFP発現は、(i)特異的トランス-スプライシングに加えて、(ii)正確なプレmRNAへのトランス-スプライシング(いずれのリーディングフレームでもよい)および(iii)PTMの直接的翻訳を含む非特異的事象が全て組合せられることによって生じる。リード候補セーフティーPTMは、PTMの特異的トランス-スプライシングを最大にし(高度に緑色)、非特異的発現を最小にする(適度な(proportionate)赤/緑色比)ように選択される。FACS選別を行い、最大レベルのeGFPと適度なレベルのRFPを発現する(また1つのGFPが1つのRFPを産生するはずである)PTMを形質導入された細胞を同定および選択する。これらの細胞を、FACS機器により、適当な増殖培地を含む混合集団としてまたは個々に(96ウェルプレート中など)回収する。このリードセーフティーPTM候補を互いに、そしてCF PTM24(これもスクリーニングに含める)と比較して、さらに特性決定を行うべき1つまたは数個のリードセーフティーCF PTMを同定する。回収された混合集団またはテトラサイクリンの存在下で増殖させたクローン選抜細胞に対して、特異性に関するスクリーニングの第2のラウンドを行う。この条件下では、tetリプレッサーはGFP-CFTR標的の産生を顕著に低下させる。これにより、CFTR標的の不在下でRFP発現の定量化が可能となる。第1ラウンドのスクリーニングでは、正確なトランス-スプライシングによって生じたRFPシグナルが低下しているか、または消失している場合には、最も効率的かつ特異的なPTMと、同じく効率的ではあるが不適当なPTM発現によって生じた若干非特異性の高いRFPシグナルを生じるPTMとを識別するのは困難であると思われる。
【0088】
6.6.トランス-スプライシングの特異性の定量化
リードセーフティーPTMの特異性を次のように定量化し、第II相での機能的試験の最終的なリードPTMを選択する。Tetを用いずに(CFTR標的は存在する)増殖させた細胞から、FACSで選択した10の細胞系に由来する全RNAを単離する。このRNAを、市販のキット(Ambion)を用いる5' RACE法で使用する。得られたcDNAをクローニングする。各リードPTMから5' RACEによって生じた非選択トランス-スプライス産物に由来する96の独立したクローンを配列決定し、特異的および非特異的にトランス-スプライスされた事象の数を定量する。PTM 24の特異性もこの方法によって定量する。次に、リポーター分子を、修復すべきCFTRの部分をコードするエキソンで置換する第II相において、CFTR機能を回復させる能力に関して最も特異的なPTMを評価する。CF患者由来の細胞について、これらのPTMを、Liu, X, Q. Jiang, S.G. Mansfield, M. Puttaraju, Y. Zhang, W. Zhou, M. A. Garcia-Blanco, L.G. Mitchell and J.F. Engelhardt. Functional Restoration of CFTR Chloride Conductance in Human CF Epithelia by Spliceosome-mediated RNA Trans-splicing. Nature Biotechnology 20(1): 47-52, 2002に記載されている、これらの細胞における突然変異を修正し、機能を回復させるその能力に関して試験する。
【0089】
7.実施例:標的プレmRNAとPTMをコードする単一のプラスミドベクター
7.1.ベクターの説明
ベクター骨格は部位特異的な組み込みのためのpcDNA5-FRT/TO、またはランダム組み込みのためのpcDNA5-TO(Invitrogen)からなる。各ベクターは、各々異なるプロモーター/エンハンサーを用いて反対方向でPTMおよび標的プレmRNAを転写するように再操作される。標的の転写レベルはベクター中に存在するTet-on/Tet-off誘導性プロモーターにより制御されるが、PTMの転写の方は種々の継続的に活性なプロモーターにより制御される。後者は標的とPTMプロモーターの間の干渉が小さくなるように慎重に選択する。
【0090】
7.2.クローニングの詳細
標的プレmRNAをコードする配列をCMV誘導性プロモーターの上流にクローニングする。結合ドメイン以外の全てのエレメントを含むPTMカセットを様々なプロモーターの制御下の異なる位置にクローニングする。次に、この構築物をPTM結合ドメインのクローニング部位で線状化し、種々の配列の挿入によりベクターのライブラリーを構築する。次に、これらのプラスミドを293 Flp-In T-Rex 細胞系(Invitrogen)にトランスフェクトして、その細胞系の内因性FRT部位(図9参照)に、またはランダムな部位にPTMおよび標的の単一の統合化されたコピーが組み込まれたものを得る。
【0091】
8.実施例:HBV-16 E6/E7標的プレmRNAに基づく最適なトランス-スプライシングPTM分子の選択
以下に記載されるように、本発明のライブラリースクリーニング方法を用い、機能の向上したヒト乳頭腫ウイルス(HPV)に基づくPTMを選択することができる。大容量スクリーニングでは、数百万の異なる配列の組合せを迅速に評価し、最適なPTMを同定するための反復したサイクルで行う選択と組み合わせて、蛍光活性化細胞選別(FACS)の力を利用する。このアプローチはヘミリポーターに基づくものである。しかしながら、この設計にはまた、1回のスクリーニングでトランス-スプライシング特異性を同時に評価することが可能な第2のリポーターも含む。この大容量スクリーニングの2つの主要な構成要素は、(i)意図するプレmRNA標的を発現する細胞系(アッセイ細胞)と(ii)PTMライブラリーである。
【0092】
8.1.アッセイ細胞
ヒト乳頭腫ウイルス16 E6/E7型(HPV-16)遺伝子の上流の非コード配列と連結された緑色蛍光タンパク質(GFP)(Clontech, Palo Alto, Ca.製の「zsGreen」)のコード配列の5'側半分を発現する安定な標的細胞系を確立した。この標的プレmRNAは、開始ATGコドンの後にHPV 16 E6/E7遺伝子のヌクレオチド226〜880を含む、zsGreenコード配列のヌクレオチド1〜210を含む(図10A)。標的プラスミド(pc5'GE67)でトランスフェクトされた細胞由来の全RNAを逆転写(RT)PCRにより分析したところ、GFP機能が検出されなかったこと以外は、予測したシス-スプライスされた産物が得られた。GFP-HPV 16 E6/E7プレmRNA標的のスプライシングパターンを確認する上で、293T細胞において、標的プラスミドをトランスフェクトした後にハイグロマイシン選択を行うことにより、安定した細胞系を確立した。数個の別個のクローンを単離し、RT-PCRにより特性決定した。これらの結果に基づき、最も高度な標的プレmRNA発現を示した1つのクローン(293TE67-12)を大容量スクリーニングのために選択した。トランス-スプライシングはより高濃度の標的の存在下で促進される。
【0093】
8.2.PTMカセット
HBV-16 E6/E7標的プレmRNAに向けられたPTMの大容量スクリーニングに用いられるPTMカセットの模式図は図10Bに示されている。このPTMカセットはランダム化結合ドメイン(BD)のクローニングのためのユニークなPmeI制限部位を含むトランス-スプライシングドメイン(TSD)からなる。PmeI部位に隣接して、さらなる試験のためにリードBDを抽出するのに使用できるユニークNheIとSacII部位が存在する。この後ろに、24ヌクレオチドのスペーサー領域、強力な3'スプライス部位(コンセンサス酵母分岐点(BP)、延長されたポリピリミジン領域(19ヌクレオチド長)、スプライス受容部位(CAGジヌクレオチド)を含む)、HBV-16 E6/E7標的プレmRNAには存在しないzsGreen蛍光タンパク質の残りの3'コード配列(487ヌクレオチド)、その後に脳心筋炎ウイルス(ECMV)内部リボソーム侵入部位(IRES)およびDsRedExpress蛍光タンパク質の完全なコード配列(Clontech)が続く。後者はトランス-スプライシング特異性の評価に用いられる。意図したプレmRNA標的とPTMの間の特異的トランス-スプライシングにより、緑色蛍光および適度な(proportionate)量の赤色蛍光の両方が生じる。非標的mRNAに対する非特異的トランス-スプライシングまたはPTMの直接的翻訳は赤色蛍光しか生じない。
【0094】
8.3.PTMライブラリーの構築および送達
HPV-16 E6/E7遺伝子配列(ヌクレオチド79〜1071、全部で992bp)を超音波処理により小片に断片化し、3%アガロースゲルで分画した。50〜250ヌクレオチドのサイズ範囲の断片をゲル精製し、溶出させた。断片の末端をクレノウ酵素を用いて修復し、上記のPTMカセット中へクローニングした(図10B)。これらのライブラリーコロニーをPCR分析したところ、組換え効率>95%が示され、50〜250ヌクレオチドの様々な大きさのBDを有する最大106個の独立したクローンのライブラリーが作製された。この一次ライブラリーを細菌内で増幅させ、PTMのスクリーニングに用いた。このPTMライブラリーを細菌プロトプラストを用いてアッセイ細胞に送達した。細胞間で比較的一定した標的発現を維持することが重要である。細胞間で標的濃度を変えること、または細胞に1を超えるPTMライブラリーを送達することにより、異なる細胞間のトランス-スプライシングのレベルを効率的に評価できるかどうかは影響を受け得る。
【0095】
8.4.FACSに基づくPTMの選択戦略
HBV-16 E6/E7標的プレmRNAに向けられるPTMの、FACSに基づく選択戦略は図10Cに示されている。まず、PTMライブラリーを、プレmRNA標的を発現するアッセイ細胞にトランスフェクトした。24時間後、FACSを用い、緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現に関して細胞を分析した。プレmRNA標的とPTMの間の特異的トランス-スプライシングの結果、GFPおよび適度なレベルの赤色蛍光タンパク質(RFP)が発現する。緑色蛍光の強度を特異的トランス-スプライシング効率の指標として用いる。誤った標的プレmRNAへのPTMの非特異的トランス-スプライシング、またはPTMの直接的発現は、RFPの発現は引き起こすが、GFPの発現は引き起こさない。本スクリーニングにおけるリードPTMの選択には、発現パターンの違い(すなわち、高度のGFPおよび適度なRFPに対して、高度のRFP発現)を利用した。図10Cに示すように、高度にGFPと適度にRFPを発現する細胞を回収し、高度にRFPを発現する細胞を排除した。全長GFP-IRES-全長RFPを発現する陽性対照プラスミドを、高度の緑色と適度な赤色の細胞を選択するための領域(ゲート)を決定するための参照として用いた。陽性対照は100%のトランス-スプライシング効率を有し、非特異的活性をもたない理想的なPTMに相当する。対照PTM FACSプロフィールを参照として用い、リードPTMを回収した。これらのPTMを、HIRT DNA抽出とその後のDpn I処理によりレスキューして、インプットライブラリーPTMを排除した。ラウンドIから得られた富化PTMライブラリーを細菌内で増幅させ、プロトプラストを調製し、スクリーニングにおける次のラウンドにおいて標的細胞のトランスフェクションに用いた。このトランスフェクションサイクルの後、緑色/赤色の比率が十分向上するまでFACS選択を繰り返した。この選択プロセスを繰り返す主な目的はノイズと偽陽性を最小化し、かつ/または排除するためであった。例えば、高度なGFP発現が、細胞当たり1を超えるPTMライブラリーメンバーが存在するためか、または標的発現が変動するために生じるのであれば、反復したサイクルで選択を行うことにより、次のラウンドで偽陽性は排除されるはずである。最後に、所望の緑色/赤色比率が達成されたところで、個々のクローンを単離し、トランス-スプライシングの特異性と効率を評価した。
【0096】
8.5.結果:反復したラウンドで行う選択はトランス-スプライシングを富化する
HPV PTM-BDライブラリーは、ヘミGFP-HPV-16 E6/E7プレmRNA標的を発現するアッセイ細胞を用いて試験した。図11A−Bは、2ラウンドの選択から得られた結果を示し、これらの選択は、最初のライブラリー(R0)に比べ、2回の富化ラウンド後(R2)に機能レベルに約5〜7倍の向上をもたらした。GFP細胞の割合%を陽性細胞集団だけを考慮して算出した(図11B)。エンドポイントとして平均蛍光値を用いた場合にも同様の結果が得られた。予測されたとおり、R0において99%を超えるPTMライブラリーが著しいRFP発現を生じ、かつ、GFP発現はほとんど生じないか、または全く生じなかったが、このことはライブラリー中の大部分のBDが、(a)無効なトランス-スプライサーであるか、(b)誤った配向であるか、(c)非標的プレmRNAへと非特異的にトランス-スプライスされたか、または(d)PTM BDまたはベクター骨格およびPTM受容部位内でシス-スプライシングによって直接的に発現されたかのいずれかであったことを示す。機能的レベルでの富化に加えて、本発明者らは、R2に比べてR0からの緑色/赤色比率の顕著な逆転も観察した。すなわち、富化ライブラリーの4.9に対して最初のライブラリーでは0.1の緑色/赤色比率が得られた(図11Aの挿入図)。R0では、いくつかのGFP発現細胞が見られるとしても、ほとんどの細胞で極めて高いRFP発現が検出された。しかし、2ラウンドの選択後、R2では全く異なるパターンが観察され、すなわち、適度なレベルでGFP/RFPを発現し、かつより高度にGFPを発現する細胞がより多く観察された(図11B)。この観察は、特異的トランス-スプライシング(GFPコード配列の回復)の効率を測定するための逆転写(RT)リアルタイム定量的PCR(RT-qPCR)分析により、分子レベルで確認した。全細胞集団(GFP+と陰性細胞の双方を含む)からRNAを単離し、全長GFP mRNAの量をRT-qPCRにより定量した。特異的トランス-スプライシングを測定するためには、標的とPTM特異的プライマーを用いた。全シス-、トランス-および非スプライス標的RNAは、5'zsGreenエキソンに特異的なプライマーを用いて測定した(図10A−B)。このqPCR結果に基づけば、最初のライブラリー(R
0)に比べ富化ライブラリー(R2)ではトランス-スプライシング効率において約6〜7倍の向上が検出された(図11B)。これらのqPCR結果はFACS(機能的)結果と密接に一致する。
【0097】
8.6.富化PTMは優れたトランス-スプライサーである
反復選択の結果は、集団レベルでのトランス-スプライシング効率における有意な向上を示した。またスプライシング効率は、個々のPTMに関しても試験した。富化ライブラリー(R2)からの20個のランダムなPTMおよび最初のライブラリー(R0)からの20個のランダムなPTMを、並行トランスフェクションによるさらなる試験のために選択した。GFP-HBV-16 E6/E7標的プレmRNAを発現する安定な細胞を、これらのライブラリーから単離した選択されたPTMによってトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、FACSにより細胞をGFPの発現に関して分析した。予測されたように、最初のライブラリーでは10%に過ぎないのに対し、富化ライブラリーでは90%を超えるPTMがバックグラウンドを超えるトランス-スプライシング活性を示した(図12A)。これらの結果を分子レベルでさらに確認した。個々のPTMでトランスフェクトされた細胞からの全RNAを単離し、上記のようにRT-qPCRによりトランス-スプライシング効率を測定した。このqPCRの結果を、PTM発現を定量化することによりトランスフェクション効率に関して標準化した。トランスフェクション効率に関して補正したところ、qPCRの結果から、トランス-スプライシングのレベルがFACSの結果(GFPの産生=機能)と同等であることが証明された。機能レベルでより高いトランス-スプライシング効率を示したPTMはまた、分子レベルでもトランス-スプライシングにおいて効率が高かった。これは最初のライブラリーからのPTMについても富化ライブラリーからのPTMについてもその通りであった。
【0098】
BDの配向とPTM結合ドメインの位置がトランス-スプライシング効率および特異性に対して何らかの影響を与えるかどうかを調べる試験を行った。最初のPTMライブラリーからのランダムなPTMの配列を富化ライブラリーと比較すると、トランス-スプライシングに対するBD配向および位置に関して驚くべきパターンが明らかになった。これらの結果を図12Bにまとめた。また、配列解析によっても、富化ライブラリーでは90%であるのに対して最初のライブラリーPTMの10%だけがGFP+であった理由も明らかになった。これらのデータは配列解析と関連づけられたが、その配列解析では、最初のライブラリーでは14%(14のうち2)に過ぎなかったのに対し、富化ライブラリーからのBDはその100%が正しい(アンチセンス)配向であったことが示された。さらに、平均BD長は最初のライブラリーにおけるよりも有意に長く(105ヌクレオチドに対して164ヌクレオチド)、これは特定の長さのBDがより効率的であることを示すこれまでの研究と一致している(Puttarajuら, 2001)。さらにまた、配列アライメントでもBDの位置とトランス-スプライシング効率の間の相関が明らかになった。これらの結果に基づけば、富化ライブラリー由来のBDは、(i)供与部位の最も近くに位置するBD、(ii) ヌクレオチド位526の3'スプライス部位を妨害し、E6/E7領域に及ぶBD、(iii)3'スプライス部位の下流にあり、主としてE7領域に結合するBD、および(iv)標的プレmRNAのE1領域と結合するBD、の4つのサブグループに分類することができた(図12C)。最初のライブラリーおよび富化ライブラリーの双方から最も高いトランス-スプライシング効率を有するPTMは、標的のE6/E7領域中およびその前後に位置しており、一方、この領域から離れて位置したBDを有するPTMは十分なトランス-スプライシング効率を示さなかった。これらの結果はHPV-16 E6/E7標的プレmRNA内により接近しやすい結合部位である「ホットスポット」が存在しうることを示している。選択された(R2)PTMの結果も、分子トランス-スプライシングと機能の間の良好な相関を示し(図12D)、このことはリードPTMを同定するためにFACSに用いた選択基準が有効であったことを示している。
【0099】
8.6.大容量スクリーニングから単離されたBDは増強されたトランス-スプライシング特異性を示す
本発明は、高いトランス-スプライシング特異性および効率を有する最適なPTMを単離するためのツールとしての大容量スクリーニングを提供する。5'RACE技術を用いてトランス-スプライスされた分子のライブラリーを構築し、次いで配列解析を用うことにより、トランス-スプライシングの特異性を定量した。特異的にトランス-スプライスされたmRNAの数に対する非特異的にトランス-スプライスされたmRNAの数を定量した。トランス-スプライシングの特異性を評価するためには、適度なGFP/RFPを産生する富化画分(R2)から、また、濃赤色領域(大部分は高度にRFPを発現する細胞を含む)から回収した細胞より全RNAを抽出し、5'RACE ライブラリーの構築に用いた。特異的トランス-スプライシングについて96個の独立したクローンをスクリーニングした予備的なPCR結果は、高度にRFPを発現する細胞を用いて構築したライブラリーに比べ、富化ライブラリーでは少なくとも10倍のトランス-スプライシング特異性の増強を示した。これらの結果は、IRESにより駆動される第2のリポーターが、高い特異性および効率を示すPTMを選択する上で有用であり得ることを示唆している。さらに、5'RACEの結果は、ライブラリーの反復ラウンドで行う選択が最終的なライブラリー中のスプライスされていないPTMの数を減少させるか、または排除することも示している。最後に、ここに示した結果は、高度な複雑性を示すPTMライブラリーの大容量スクリーニングが、潜在的リードPTMを同定する上で有効であることを明らかに示している。
【0100】
本発明は本明細書に記載される特定の実施形態によってその範囲を限定されるものではない。実際、本明細書に記載のものに加えて、当業者には以上の記載および添付の図面から本発明の種々の変形が明らかとなろう。そのような改変は添付の特許請求の範囲の技術範囲内にあるものとする。本明細書には種々の参照文献が挙げられているが、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1A】3'エキソン置換型スプライセオソーム媒介RNAトランス-スプライシングのモデルを示した図である。
【図1B】5'エキソン置換型スプライセオソーム媒介RNAトランス-スプライシングのモデルを示した図である。
【図2A】結合ドメインライブラリーに挿入するためのプロトタイプ3'PTMカセットのモデルを示した図である。
【図2B】結合ドメインライブラリーに挿入するためのプロトタイプ5'PTMカセットのモデルを示した図である。
【図3】可変結合ドメインを含むライブラリーの構築のためのPTMカセットを表す図である。
【図4】PTM選択の模式図である。
【図5A】最適なPTMを同定するためにデザインされた大容量スクリーニング法のラウンドIを示した図である。
【図5B】最適なPTMを同定するためにデザインされた大容量スクリーニング法のラウンドIIを示した図である。
【図6】ラウンドIIスクリーニングの代替的な陽性選択戦略を示した図である。
【図7】CFTRイントロン9をターゲティングするセーフティーPTMのライブラリーを示した図である。
【図8】最適なセーフティー配列を同定するための選択スキームを示す図である。
【図9】標的とPTMを含む組込型FRTベクターを示す図である。
【図10A】大容量スクリーニングに用いるプレmRNA標的の模式図である。
【図10B】大容量ライブラリースクリーニングに用いるPTMカセットの模式図である。
【図10C】HPV-16 E6/E7標的プレmRNAに向けたPTMに対する、FACSに基づく選択戦略の模式図である。
【図11A】反復したラウンドで行う選択がトランス-スプライシングを富化させることを表す図である。
【図11B】反復したラウンドで行う選択が、トランス-スプライシングの向上したPTMを富化することを表す図である。
【図12A】大容量スクリーニングが効率的PTMを富化することを表す図である。
【図12B】スクリーニングは相補的結合ドメインを富化することを表す図である。
【図12C】HCSから回収されるPTMは、好ましい標的部位のホットスポットを示すことを表す図である。
【図12D】大容量スクリーニングから回収されるPTMが、機能と分子のトランス-スプライシング効率との間の良好な相関を明示したことを表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランス-スプライシング反応を媒介し得るPTMを同定する方法であって、
(i) PTM発現ライブラリーと標的プレmRNAを発現する細胞とを、トランス-スプライシング反応を媒介し得る1以上のPTMの存在下でトランス-スプライシング反応が起こる条件下で、接触させる工程であって、ここで、前記PTMが(i)標的結合ドメイン;(ii)3'スプライス領域および/または5'スプライス領域;ならびに(iii)リポーター分子の一部をコードし得る少なくとも1つの核酸またはリポーター分子のコード配列全体;を含んでなり、かつ、トランス-スプライシング反応の結果、完全なリポーター分子をコードし得るキメラRNA分子が形成される前記工程、
(ii) リポーター分子を発現する細胞を選択する工程であって、ここで、リポーター分子の発現が、選択された細胞においてトランス-スプライシング反応を媒介し得るPTMが存在することを示す前記工程、および
(iii) 選択された細胞において発現されたPTMを同定する工程、
を含む前記方法。
【請求項2】
前記PTMが、スプライス領域を標的結合ドメインから隔てるスペーサー領域をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PTMがセーフティー配列をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記PTMが内部リボソーム侵入部位をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記リポーター分子が、(i)生物発光分子;(ii)蛍光分子;(iii)受容体分子;(iv)酵素分子;および(v)タンパク質/ペプチドタグからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
PTM分子が、全長リポーター分子をコードし得る第2の核酸分子をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
標的プレmRNAを発現する細胞が、標的プレmRNAを発現するように遺伝的に操作されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記PTM分子が、ランダム化された核酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記PTMが、標的プレmRNAに相補的な核酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
トランス-スプライシング反応を媒介し得る候補PTMをコードし得るPTM発現ライブラリーであって、前記候補PTMが(i)標的結合ドメイン;(ii)3'スプライス領域および/または5'スプライス領域;ならびに(iii) リポーター分子の一部をコードし得る少なくとも1つの核酸配列またはリポーター分子のコード配列全体を含む、前記PTM発現ライブラリー。
【請求項11】
前記PTMが、スプライス領域を標的結合ドメインから隔てるスペーサー領域をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記PTMがセーフティー配列をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記PTMが内部リボソーム侵入部位をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
リポーター分子が、(i)生物発光分子;(ii)蛍光分子;(iii)受容体分子;(iv)酵素分子;および(v)タンパク質/ペプチドタグからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
PTM分子が、全長リポーター分子をコードする第2の核酸分子をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
標的プレmRNAを発現する細胞が、標的プレmRNAを発現するように遺伝的に操作されている、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記PTM分子が、ランダムな核酸配列を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記PTMが、標的プレmRNAに相補的な核酸配列を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
その細胞がPTM発現ライブラリーのメンバーを含む、哺乳類細胞の培養物。
【請求項20】
蛍光細胞選別によって最適なPTMを発現する細胞を選択する、請求項1に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【公表番号】特表2006−506984(P2006−506984A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547220(P2004−547220)
【出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/034102
【国際公開番号】WO2004/038380
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(504443949)イントロン,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】