説明

動作情報無線送信装置

【課題】在席を検出する装置において、電源を不要にして、確実に着席と離席を検出できるようにする。
【解決手段】直流発電機と無線送信機を内蔵した在席センサ2を、椅子1の脚部と座席部の結合部に設ける。着席動作と離席動作により座席部が上下すると、発電機が発電する。発電機の発電電圧の極性により、着席か離席かを判断する。発電機の発電電力により無線送信機を動作させ、着席あるいは離席したという情報を、無線送信機により送信する。この情報を受信機3で受信して、ネットワーク4を経由して管理装置に送る。このようにして、電源がなくても、確実に着席と離席を検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作情報無線送信機に関し、特に、電源が不要な動作情報無線送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人が椅子に座っているかいないかを検出して、在席情報をセンター装置に送信する装置がある。例えば、焦電型赤外線センサで、人が椅子に座っているかいないかを検出する方法がある。また、超音波あるいは無線電波の反射により、人が椅子に座っているかいないかを検出する方法もある。さらに、感圧型の検知器により、椅子の座面で人の着座を検出する方法もある。以下に、在席を検出する従来技術の例を、いくつかあげる。
【0003】
特許文献1に開示された「自動在席表示システム」は、在席情報を本人が入力する必要のない煩雑な入力操作を排除した情報精度の高い自動在席表示システムである。体重により在・不在信号を検知する圧力リミットスイッチを椅子に取付ける。この圧力リミットスイッチを信号処理装置に接続する。圧力リミットスイッチにより検知した在・不在信号を電波で発信する発信装置を椅子に取付ける。この信号を受信する受信装置を机に取付ける。受信装置を信号処理装置に接続してもよい。更に、在席者に照射した赤外線ビームの反射を検知して在席者の在・不在を検出する赤外線センサを座席仕切り内に取付け、この赤外線センサを信号処理装置に接続してもよい。
【0004】
特許文献2に開示された「離席監視システム」は、オペレータが離席した場合でも短時間にオペレータに対して注意を与えることができる離席監視システムである。データベースが稼働しているサーバコンピュータと、データベースを操作するためのクライアントコンピュータとを備える。クライアントコンピュータをオペレータが椅子に腰掛けて操作を行う際の離席監視システムである。この椅子は、オペレータの在席を確認できる在席センサ付き椅子である。在席センサ付き椅子は、在席センサ検出信号を伝達する在席センサ検出信号ケーブルを介して、クライアントコンピュータに接続されている。クライアントコンピュータのオペレータの離席を、在席センサ付き椅子で検出すると、クライアントコンピュータ側より、サーバコンピュータとの接続を切断する。
【0005】
特許文献3に開示された「在席管理装置」は、不特定第三者による在席や離席の設定を確実に排除することができる在席管理装置である。指紋読取センサにより読み取られた社員の指紋と、社員カードに記録されている社員の指紋を照合して個人認証を実施する。その個人認証が得られたとき、社員による在席設定又は離席設定を受け付ける。ある社員に対する在席確認要求を受信すると、その社員の現在の設定内容を、在席確認要求元に通知する。これにより、社員カードが不特定第三者に盗難されても、不特定第三者による在席や離席の設定を確実に排除することができる。ある社員と通話を希望する者が、その社員の在席を確認することもできる。
【特許文献1】特開平7-37171号公報
【特許文献2】特開平11-296478号公報
【特許文献3】特開2004-363701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の在席検出方法には、以下のような問題がある。焦電型赤外線センサで検出する場合、ある程度大きな動作を続けていなければ検出されない。じっと書類に目を通しているときなどは、離席とみなされる可能性がある。反対に、席についていなくても、周囲を人が移動するたびに、在席と検出してしまう。超音波あるいは無線電波の反射により検出する場合、人体と他の物体、例えば、椅子などとの違いを識別することは困難なため、誤動作が避けられない。感圧型の検知器により椅子の座面で検出する場合、検出は確実であるが、電源のコードや電池を搭載しなければならない。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の問題を解決して、在席を検出する装置などの動作情報無線送信機において、電源を不要にして、確実に着席と離席など動作の方向を検出できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では、利用者の動作により動かされる可動部材と固定部材とに装着される動作情報無線送信装置に、可動部材の動きにより発電する直流発電機と、直流発電機の発電電力により動作する無線送信機と、直流発電機の発電電圧の極性により正方向の動作か逆方向の動作かを判断する判定手段と、判定手段からの動作方向情報を無線送信機により送信するように制御する制御手段とを具備する構成とした。
【0009】
また、椅子に装着される着席離席情報無線送信装置に、椅子に着席する動作と椅子から離席する動作により発電する直流発電機と、直流発電機の発電電力により動作する無線送信機と、直流発電機の発電電圧の極性により着席か離席かを判断する判定手段と、判定手段からの着席あるいは離席したという情報を無線送信機により送信するように制御する制御手段とを具備する構成とした。
【0010】
また、ゲートを出入りする人により動かされるゲート部材に装着される入出門情報無線送信装置を、入門動作と出門動作により発電する直流発電機と、直流発電機の発電電力により動作する無線送信機と、直流発電機の発電電圧の極性により入門か出門かを判断する判定手段と、判定手段からの入門あるいは出門したという情報を無線送信機により送信するように制御する制御手段とを具備する構成とした。
【発明の効果】
【0011】
このように構成したことにより、電源を不要にして、確実に着席と離席など動作の方向を検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図3を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1は、椅子の上下動に応じて回転する直流発電機で、着席動作と離席動作により発電し、発電電圧の極性により着席か離席かを判断し、発電電力により無線送信機を動作させて、着席あるいは離席したという情報を無線送信機により送信する着席離席情報無線送信椅子である。
【0014】
図1は、本発明の実施例1における着席離席情報無線送信椅子の構成を示す概念図である。図1において、椅子1は、在席センサを備えた椅子である。在席センサ2は、発電機と制御部と無線送信機とからなる着席離席検出手段である。受信機3は、在席センサ2からの着席離席情報を受信する無線受信機である。ネットワーク4は、受信機3で受信した着席離席情報を管理装置に送る通信手段である。
【0015】
図2は、本発明の実施例1における着席離席情報無線送信椅子の発電機構を示す概念図である。図2において、発電機5は、椅子の上下動により発電する直流発電機である。無線送信機6は、着席離席情報を送信する送信機である。制御部7は、発電機の発電電圧の極性により着席か離席かを判断する判定手段と、判定手段からの着席あるいは離席したという情報を無線送信機により送信するように制御する制御手段とからなる制御手段である。通常は、プロセッサを用いるが、他の回路素子でもよい。ラック付支柱8は、椅子の脚部に固定された支柱である。ピニオン9は、ラックと噛み合い、椅子の上下動を回転運動に変えるギアである。
【0016】
図3は、本発明の実施例1における着席離席情報無線送信椅子の発電回路を示す概念図である。図3において、整流器10は、発電機の出力を一定の極性にする素子である。抵抗器11は、発電機の出力極性を制御部に伝える素子である。コンデンサ12は、発電機の出力を一時的に蓄える素子である。
【0017】
上記のように構成された本発明の実施例1における着席離席情報無線送信椅子の動作を説明する。最初に、図1を参照しながら、動作の概略を説明する。人が椅子1に座るときと椅子1から立ち上がるときに、在席センサ2の中の発電機で発電される。その発電電圧の極性から着席と離席を判定し、無線で受信機3に、着席離席情報を送信する。受信機3は、ネットワーク4を介して、図示していない管理装置に着席離席情報を送る。これ以降の動作は従来の装置と同様であるので、詳しい説明は省略する。
【0018】
図2と図3を参照しながら、詳しい動作を説明する。人の体重が椅子1の座面にかかるときに、椅子1の座面が脚部に対して押し込まれる。反対に、椅子1から立ち上がるときに、座面が戻る。この動きを利用して、発電機5で発電する。直流発電機の回転方向(図1と図2では椅子1の上下)によって、発電電圧の極性が逆となる。
【0019】
非常にゆっくりした着席動作や離席動作では、発電機で十分な電圧を発生できないことがあるので、着席のあとでまた着席の動作が検出される可能性がある。このようなことを防ぐために、常にほぼ一定の電力を発生できるようにする必要がある。例えば、着席動作や離席動作による椅子のストロークが所定の長さになるまで、バネにエネルギーを蓄えておき、所定のストロークに達したときに、バネのエネルギーを解放して発電するように構成する。これは、シーソースイッチのバネ機構と同様な機構で実現できる。あるいは、非常にゆっくりした動作に対応させて発電するようにしておき、速い動きはダンパなどで遅くするようにすればよい。これは、ダンパ機構を、ラックピニオンギアと発電機との間に設けることで実現できる。
【0020】
発電および極性判定を行う回路の概要を、図3に示す。発電した電力を、整流器10で一定極性にして、コンデンサ12に一時的に蓄える。この電力により、無線送信機6と制御部7を動作させる。抵抗器11を介して発電電圧の極性を、制御部7に伝える。制御部7では、発電電圧の極性から、着席か離席かを判定する。この着席離席情報を、無線送信機6を介して送信する。
【0021】
着座している状態と、だれも椅子に腰掛けていない状態では、発電できない。しかし、着席離席情報は、着座したときと立ち上がったときだけ送信すればよい。すなわち、発電したときだけ情報を送信すればよいので、発電した電力を長時間保存しておく必要はない。また、発電機として直流型を使用するので、発電された直流電力の極性で、着席動作か離席動作かが判別できる。着座センサを別途用意する必要はない。
【0022】
複数の椅子1の情報を1台の受信機3で受信できるよう、各在席センサ2には、個別のIDを持たせる。着席離席情報とIDを同時に送信することで、受信機3は、個別に着席離席情報を得ることができる。複数の在席センサ2が、無線の同一チャネルを使用する場合、同時に着席すると、無線の衝突が発生する。在席センサ2に、受信機能も持たせ、必要により再送をするという方法がある。しかし、送信するデ−タ量が非常に少ないので、在席センサ2側は、送信機だけを持ち、IDごとに異なる時間間隔をおいて複数回送信することでも、確率的に充分な信頼性を得ることができる。
【0023】
椅子1の在席センサ2と受信機3により、各自が自席についているかいないかを、在席状態表示器などで一括表示・管理することができる。この着席離席情報を、電話システムヘリアルタイムに提供することもできる。この場合、着席時に電話をかけるように予めセットしておけば、相手が自席に戻ってきたタイミングで自動的に電話をかけることができる。
【0024】
上記のように、本発明の実施例1では、着席離席情報無線送信椅子を、発電機で着席動作と離席動作により発電し、発電電圧の極性により着席か離席かを判断し、発電電力により無線送信機を動作させて、着席あるいは離席したという情報を無線送信機により送信する構成としたので、電源がなくても、確実に着席と離席を検出できる。
【実施例2】
【0025】
本発明の実施例2は、ゲートバーに付けた発電機で、入門動作と出門動作により発電し、発電電圧の極性により入門か出門かを判断し、発電電力により無線送信機を動作させて、入門あるいは出門したという情報を無線送信機により送信する入出門情報無線送信ゲートである。
【0026】
人が通過する時に、人の動きにより回転するゲートバーに、直流発電機付無線送信機を設けたものである。ゲートバーの回転で発電し、回転方向で入出門の方向を検出し、発電した電力を使って、入出門情報を送信する。ゲートバーのみでなく、双方向に開く扉や門でもよい。扉や門のヒンジ部分に発電機付無線送信機を取り付ければ、同様の機能を果たすことができる。電池を設ける必要がないので、メンテナンスが楽である。電源線や通信線も不要であるので、設置工事が楽である。待機電力も不要であるので、維持費もかからない。
【0027】
同様の構成で、無人の建造物の扉などの開閉監視を行うことができる。また、発電機が動作する程度の動きがあれば検出できるので、フェンスのワイヤの動きを検出することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の着席離席情報無線送信椅子は、在席表示システムの在席センサとして最適である。動作情報無線送信機は、ゲートや扉の動きを検知して、門などを出入りする人数を計数する装置としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1における着席離席情報無線送信椅子の構成を示す概念図である。
【図2】本発明の実施例1における着席離席情報無線送信椅子の発電機構を示す概念図である。
【図3】本発明の実施例1における着席離席情報無線送信椅子の発電回路を示す概念図である。
【符号の説明】
【0030】
1・・・椅子、2・・・在席センサ、3・・・受信機、4・・・ネットワーク、5・・・発電機、6・・・無線送信機、7・・・制御部、8・・・ラック付支柱、9・・・ピニオン、10・・・整流器、11・・・抵抗器、12・・・コンデンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の動作により動かされる可動部材と固定部材とに装着される動作情報無線送信装置であって、前記可動部材の動きにより発電する直流発電機と、前記直流発電機の発電電力により動作する無線送信機と、前記直流発電機の発電電圧の極性により正方向の動作か逆方向の動作かを判断する判定手段と、前記判定手段からの動作方向情報を前記無線送信機により送信するように制御する制御手段とを具備することを特徴とする動作情報無線送信装置。
【請求項2】
椅子に装着される着席離席情報無線送信装置であって、前記椅子に着席する動作と前記椅子から離席する動作により発電する直流発電機と、前記直流発電機の発電電力により動作する無線送信機と、前記直流発電機の発電電圧の極性により着席か離席かを判断する判定手段と、前記判定手段からの着席あるいは離席したという情報を前記無線送信機により送信するように制御する制御手段とを具備することを特徴とする着席離席情報無線送信装置。
【請求項3】
ゲートを出入りする人により動かされるゲート部材に装着される入出門情報無線送信装置であって、入門動作と出門動作により発電する直流発電機と、前記直流発電機の発電電力により動作する無線送信機と、前記直流発電機の発電電圧の極性により入門か出門かを判断する判定手段と、前記判定手段からの入門あるいは出門したという情報を前記無線送信機により送信するように制御する制御手段とを具備することを特徴とする入出門情報無線送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−237911(P2006−237911A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48158(P2005−48158)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】