説明

動力伝達ガイド用摺動部材

【課題】
射出成形が容易な熱可塑性樹脂の母材に潤滑性に優れたフッ素樹脂を粒子状態で複合化した複合樹脂組成物を用いて、自動車エンジンのタイミングチェーンに使用するチェーンガイドやチェーンテンショナーとして用いることが可能な動力伝達ガイド用摺動部材を提供する。
【解決手段】
母材樹脂にフッ素樹脂粒子を配合した複合樹脂組成物を用いて成形した動力伝達ガイド用摺動部材であって、前記母材樹脂は熱可塑性樹脂であり、フッ素樹脂粒子は電子線照射によって変性され平均粒子径10μm以下のものであり、該フッ素樹脂粒子の含有量が前記複合樹脂組成物の全量を基準として5〜50重量%である。フッ素樹脂粒子が一次粒子径が5μm以下のPTFE粒子であり、50kGy以上の放射線量の電子線照射によって末端にカルボキシル基及び/又はハロゲン化カルボン酸基を官能基として有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達ガイド用摺動部材に係わり、更に詳しくは例えば自動車エンジンのタイミングチェーンに使用するチェーンガイドやチェーンテンショナーとして用いる動力伝達ガイド用摺動部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、内燃機関のタイミングチェーンの揺動を防止するため、あるいはチェーンにテンションを付与するためにチェーンガイド、あるいはチェーンテンショナーが使用されている。これらの部材は、例えば雰囲気温度が−40℃〜170℃で、油が付着するといった過酷な環境で長時間使用され、しかもチェーンにテンションを付与して摺動するため、機械的強度は勿論のこと、耐熱性、摺動性、耐油性に優れていることが要求される。
【0003】
従来の内燃機関用チェーンガイドは、アルミダイキャスト製等の金属製支持部材の外面に、合成樹脂製のシューが接合された構造が一般的であったが、支持部材に金属材を用いているため全体として重量増となったり、また材質が樹脂と金属の両方を用いているためにコスト高になっていた。さらに樹脂材と金属との結合部は両者で熱膨張率が異なっているため、使用中に剥離が生じてしまうという問題がある。
【0004】
そこで、ポリアミド樹脂にガラス繊維もしくはカーボン繊維を10〜60重量%含有したポリアミド樹脂組成物を、製品体積の50〜98%に用いた構造支持部材と、チェーンガイド面のスライドライニング部材およびチェーンガイド表面部分が非強化ポリアミド樹脂とを、同時成形もしくは段階的成形方法により製作されたエンジン用樹脂製チェーンガイドが提案されている。ところが、ポリアミド樹脂(代表的にはPA66)は、温度が上昇すると曲げ弾性率が急激に低下し、カーボン繊維を含有したPA66でも100℃を超えると常温のときの半分以下になり、機械的強度が不足し、変形が大きくなる。更に、ポリアミド樹脂は、吸水性があり、吸水による物性変化が激しい材料であることが知られており、吸水によっても曲げ弾性率が大きく低下するといった問題を有している。
【0005】
この改善策として、特許文献1には、チェーンシステムに用いられ、樹脂組成物から成る摺動部材であって、上記樹脂組成物は、母材樹脂とフッ素樹脂とを含有し、該フッ素樹脂の含有量が当該樹脂組成物の全量を基準として5〜40%であり、上記母材樹脂は、数平均分子量が20000以上の熱可塑性樹脂であり、上記フッ素樹脂は、該フッ素樹脂の表面エネルギーが200〜400μN/cmであり、且つ波長600nmにおける可視光透過率が10%以上である、ことを特徴とするチェーンシステム用摺動部材が開示されている。具体的には、フッ素樹脂は、平均粒径1〜50μmであり、含有量が樹脂組成物の全量を基準として10〜20%である。更に、母材樹脂がポリアミド樹脂であり、フッ素樹脂がテトラフルオロエチレン樹脂である。
【0006】
一方、特許文献2には、ポリアミド物質とペルフルオロアルキル物質とから成るコンパウンドおよびこのコンパウンドと他のポリマー物質との混合物において、変性されたペルフルオロアルキル物質とポリアミド化合物とを溶融物の形で、反応により均質化させることを特徴とする、ポリアミド物質とペルフルオロアルキル物質とから成るコンパウンドおよびこのコンパウンドと他のポリマー物質との混合物が開示されている。ここで、ペルフルオロアルキル物質として、50kGy以上の放射線線量を用いて、かつ有利には100kGy以上の放射線線量を用いて、放射線化学的に分解されかつ変性されたPTFEの微粉末を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−177037号公報
【特許文献2】特表2002−516374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法で作製した摺動部材は、表面に10μmより大きなPTFE粒子がそのまま現れているため、表面粗さが粗くなり、それが摩擦係数の低減に限界を与えている。従来のPA66を主体とした摺動部材よりも摩擦係数は低く、摩耗も改善されてはいるが、十分ではない。自動車のエンジンでは、燃費向上のために小型軽量化に対する要請は特に強い。そのため、耐衝撃性や機械的強度を維持しつつ摺動特性を改善した射出成形可能な摺動部材用樹脂組成物とそれを用いた樹脂製摺動部材の出現が望まれている。また、特許文献2は、ドライ摺動における優位性のみ言及されており、オイル潤滑下で使用できるかどうかは明らかでない。
【0009】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、射出成形が容易な熱可塑性樹脂の母材に潤滑性に優れたフッ素樹脂を粒子状態で複合化した複合樹脂組成物を用いて、オイル潤滑下での摺動特性の問題を解消し、自動車エンジンのタイミングチェーンに使用するチェーンガイドやチェーンテンショナーとして用いることが可能な動力伝達ガイド用摺動部材を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述の課題解決のために、母材樹脂にフッ素樹脂粒子を配合した複合樹脂組成物を用いて成形した動力伝達ガイド用摺動部材であって、前記母材樹脂は熱可塑性樹脂であり、前記フッ素樹脂粒子は電子線照射によって変性され平均粒子径10μm以下のものであり、該フッ素樹脂粒子の含有量が前記複合樹脂組成物の全量を基準として5〜50重量%であることを特徴とする動力伝達ガイド用摺動部材を構成した(請求項1)。
【0011】
ここで、前記フッ素樹脂粒子の一次粒子径が5μm以下であることがより好ましい(請求項2)。
【0012】
ここで、前記フッ素樹脂粒子がポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子であり、50kGy以上の放射線量の電子線照射によって末端に少なくともカルボキシル基及び/又はハロゲン化カルボン酸基を官能基として有するものである(請求項3)。
【0013】
また、前記母材樹脂がポリアミド樹脂であり、好ましくはPA66樹脂であることがより好ましい(請求項4)。
【0014】
そして、母材樹脂とフッ素樹脂粒子とからなる混合物を、溶融混練を行い反応押出しを行うことによって、フッ素樹脂粒子の最大粒子径を5μm以下に微細化した複合樹脂組成物のペレットとし、このペレットを用いて成形してなるのである(請求項5)。
【0015】
このような複合樹脂組成物を用いて成形した動力伝達ガイド用摺動部材は、表面粗さを算術平均粗さ0.1μm以下にすることが可能である(請求項6)。
【発明の効果】
【0016】
本発明の動力伝達ガイド用摺動部材は、耐衝撃性や機械的強度を維持しつつ摺動特性が優れているので、自動車エンジンのタイミングチェーンに使用するチェーンガイドやチェーンテンショナーとして好適に用いることができる。本発明では、熱可塑性樹脂の母材樹脂と、電子線照射によって変性され平均粒子径10μm以下のフッ素樹脂粒子とを、母材樹脂の融点以上の温度で溶融混練すると、母材樹脂とフッ素樹脂粒子とが直接結合して一体化した複合樹脂組成物が得られ、この複合樹脂組成物を用いて成形すると母材樹脂の機械的性質を損なわずに、平滑性に優れた表面が得られ、そしてフッ素樹脂粒子の含有量を複合樹脂組成物の全量を基準として5〜50重量%の範囲で調製することにより、所望の摺動特性を備えた摺動部材を得ることができる。
【0017】
ここで、フッ素樹脂粒子の平均粒子径とは、より小さな一次粒子が凝集した二次粒子の粒径を示している。本発明では、母材樹脂と電子線照射によって変性されたフッ素樹脂粒子とからなる混合物を、溶融混練を行い反応押出しを行うことによって、フッ素樹脂粒子は一次粒子よりも更に微細化され、母材樹脂中に均一に分散することが分かった。それにより、摺動部材の摺動界面に微細化されたフッ素樹脂粒子が均一に露出し、摺動特性、耐衝撃性を格段に向上させるのである。
【0018】
本発明では、フッ素樹脂粒子の一次粒子径を5μm以下としているが、粒径が小さい方が表面粗さをより改善できるので、1μm以下とすることがより好ましい。しかし、フッ素樹脂粒子の一次粒子径が必要以上に小さくなると、それにつれて二次粒径も小さくなり、浮遊等の問題で取り扱いが難しくなるとともに、母材樹脂と混練することも難しくなる。
【0019】
ここで、前記フッ素樹脂粒子がポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子であり、50kGy以上、より好ましくは500kGy以上の放射線量の電子線照射によって末端に少なくともカルボキシル基及び/又はハロゲン化カルボン酸基を官能基として有するものであると、特に摺動特性に優れ、また母材樹脂との分散性、結合性にも優れている。そして、前記母材樹脂がポリアミド樹脂であり、好ましくはPA66樹脂であると、耐熱性、耐油性、機械特性や摺動特性に優れたものとなる。
【0020】
そして、平均粒子径10μm以下、好ましくは5μm以下、あるいは一次粒子径を5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下のフッ素樹脂粒子と母材樹脂とからなる混合物を、溶融混練を行い反応押出しを行うことによって、フッ素樹脂粒子の最大粒子径を5μm以下に微細化することができ、この複合樹脂組成物のペレットを用いて摺動部材を成形すれば、成形性に優れ、また表面粗さを改善できるのである。このような複合樹脂組成物を用いて成形した動力伝達ガイド用摺動部材は、表面粗さを算術平均粗さ0.1μm以下にすることができ、摩擦係数が低く、摩耗量も抑制されて、摺動特性が優れたものになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】スラスト試験機により摺動特性を調べるための試験体の形状を示す斜視図である。
【図2】成形物の破断面をSEMで観察した結果を示し、(a)は本発明品の切断面のSEM像、(b)は特許文献1の材料の切断面のSEM像である。
【図3】本発明の成形物の表面をTEMで観察した結果を示し、(a)は5000倍のTEM像、(b)は10000倍のTEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の動力伝達ガイド用摺動部材は、母材樹脂にフッ素樹脂粒子を配合した複合樹脂組成物を用いて成形した動力伝達ガイド用摺動部材であって、前記母材樹脂は熱可塑性樹脂であり、前記フッ素樹脂粒子は電子線照射によって変性され平均粒子径10μm以下のものであり、該フッ素樹脂粒子の含有量が前記複合樹脂組成物の全量を基準として5〜50重量%である。ここで、フッ素樹脂粒子の平均粒子径が10μmより大きいと、摺動界面の平坦度を改善できない。また、フッ素樹脂粒子の含有量が5重量%より少ないと、十分な摺動特性が得られず、50重量%より多いと母材樹脂の機械的性質を維持できなくなる。
【0023】
一般的に、微粒子は、粒径が小さくなると、一次粒子が凝集して二次粒子の状態になり、この二次粒子が原料として取り扱われている。本発明では、平均粒子径10μm以下のフッ素樹脂粒子を用いるが、一次粒子径は5μm以下である。
【0024】
前記フッ素樹脂粒子として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子(以下、「PTFE粒子」と表す)を用いることがより好ましい。そして、本発明のPTFE粒子は、50kGy以上の放射線量の電子線照射によって末端に少なくともカルボキシル基及び/又はハロゲン化カルボン酸基を官能基として有することが特徴である。更に、PTFE粒子は、電子線照射によって微粉化が容易になる。
【0025】
一方、前記母材樹脂として、ポリアミド樹脂を用いることが好ましい。特に、母材樹脂として、PA66樹脂を用いれば、耐熱性、耐油性、機械特性や摺動特性に優れているのでより好ましい。
【0026】
その他の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂等を使用することができ、これらを単独で又は混合して用いることができる。
【0027】
そして、母材樹脂とフッ素樹脂粒子とからなる混合物を、母材樹脂の溶融温度以上で2軸混練押出機を用いて、溶融混練を行い反応押出しを行うことによって、フッ素樹脂粒子の最大粒子径を5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下に微細化した複合樹脂組成物を得ることができる。この複合樹脂組成物のペレットを用いて動力伝達ガイド用摺動部材を成形する。具体的には、自動車エンジンのタイミングチェーンに使用するチェーンガイドやチェーンテンショナー(共に図示せず)を成形する。
【0028】
このような複合樹脂組成物を用いて成形した動力伝達ガイド用摺動部材は、表面粗さを算術平均粗さ0.1μm以下にすることができる。母材樹脂の中にフッ素樹脂粒子が均一に分散され、互いに強固に結合した組織となっている。後述するように、成形物の破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で2000倍に拡大して観察してもPTFE粒子を確認することができないほど、PTFE粒子が微分散化されているのである。
【実施例1】
【0029】
本発明の摺動部材に用いる複合樹脂組成物は以下のようにして製造する。
(材料作製法)
母材樹脂として、PA66(宇部興産製 UBE2026B)を用いる。
フッ素樹脂粒子として、PTFE粒子を用いる。PTFE粒子は、一次粒子径が0.2μm、平均粒径が3μm(二次粒子)、比表面積が9m2/gのものを用い、電子線照射量は1000kGyである。
PA66とPTFE粒子の配合比は、PA66が90重量部、PTFE粒子が10重量部である。
【0030】
(混練)
前述のPA66とPTFE粒子の混合物を2軸混練押出機で溶融混練し反応押出しを行う。ここで用いた押出機は、株式会社プラスチック工学研究所製BT−30 (L/D:30)である。混練条件は、シリンダ温度:280℃、スクリュ回転数:300rpmである。この2軸混練押出機で混合物を押出して複合樹脂組成物のペレットを作製した。
【0031】
(成形)
次に、前述のペレットを60トン射出成形機で所定形状に成形する。ここで用いた成形機は、日精樹脂工業株式会社製のPS60E5Hである。成形条件は、シリンダ温度:280℃、金型温度:80℃であり、金型としてφ20ブッシュ状テストピース成形型を用いた。この金型で成形した試験体1を図1に示している。この試験体1は、円筒状の部材であり、摺動面2に半径方向の内外に連通した4つの溝3を等角位置に形成したものである。
【0032】
比較例として、PA66非強化材を用いた試験体と、特許文献1の材料を用いた試験体を用意した。
【0033】
先ず、射出成形物を液体窒素に浸漬して冷却後、破断し、破断面をSEMで観察した。SEMは、株式会社日立ハイテクノロジーズ製(型番:S−3400N)であり、加速電圧は10kVである。図2(a)は、本発明品の破断面を示し、上段が500倍、下段が2000倍である。本発明品の破断面には、明確なPTFE粒子は観察されず、切断面も全体が引きちぎられたような細かな凹凸になっている。これは、母材のPA66樹脂中に、PTFE粒子の最大粒子径が1μm以下で均一に分散されていることと、PA66とPTFE粒子が強固に結合していることを示す証拠である。それに対して、図2(b)は、特許文献1の材料の破断面を示しているが、切断面は比較的滑らかであり、所々に粒径10μm以上のPTFE粒子が明確に分離されて出現している。つまり、これは、母材のPA66樹脂中に、PTFE粒子が原料の粒子径のままで存在し、しかもPA66樹脂とPTFE粒子の界面で分離していることから結合は非常に弱いと推測できるのである。
【0034】
次に、本発明品の射出成形物の表面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果を図3に示している。図3(a)は5000倍、図3(b)は10000倍のTEM像であり、PTFE粒子の最大粒子径は高々500nmとなっていることが分かる。実際には、本発明品の成形物の表面に現れているPTFE粒子の粒子径は、数十nm〜500nm程度であり、非常に緻密で平坦性に優れた摺動面となっている。
【0035】
次に、図1に形状の各試験体の摺動特性を試験した。スラスト試験機は、高千穂精機株式会社製(型式:TRI−S−500N)である。試験条件は、表1に示している。
【0036】
【表1】

【0037】
試験体の摺動特性の試験結果を表2、表3に示している。表2は、摩擦係数の結果であり、表3は、摩耗長さの結果である。摩耗長さとは、試験体と相手材質(S45C)の摩耗厚さの和である。
【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
以上の結果より、特許文献1の材料は、PA66非強化材よりも摩擦係数と摩耗長さが改善されているが、本発明品は特許文献1の材料よりも更に摩擦係数と摩耗長さが改善されていることが確認できた。更に、本発明品は摩擦係数及び摩耗共に速度依存性が小さく安定していることが確認できた。
【符号の説明】
【0041】
1 試験体
2 摺動面
3 溝


【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材樹脂にフッ素樹脂粒子を配合した複合樹脂組成物を用いて成形した動力伝達ガイド用摺動部材であって、前記母材樹脂は熱可塑性樹脂であり、前記フッ素樹脂粒子は電子線照射によって変性され平均粒子径10μm以下のものであり、該フッ素樹脂粒子の含有量が前記複合樹脂組成物の全量を基準として5〜50重量%であることを特徴とする動力伝達ガイド用摺動部材。
【請求項2】
前記フッ素樹脂粒子の一次粒子径が5μm以下である請求項1記載の動力伝達ガイド用摺動部材。
【請求項3】
前記フッ素樹脂粒子がポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子であり、50kGy以上の放射線量の電子線照射によって末端に少なくともカルボキシル基及び/又はハロゲン化カルボン酸基を官能基として有する請求項1又は2記載の動力伝達ガイド用摺動部材。
【請求項4】
前記母材樹脂がポリアミド樹脂であり、好ましくはPA66樹脂である請求項1〜3何れかに記載の動力伝達ガイド用摺動部材。
【請求項5】
母材樹脂とフッ素樹脂粒子とからなる混合物を、溶融混練を行い反応押出しを行うことによって、フッ素樹脂粒子の最大粒子径を5μm以下に微細化した複合樹脂組成物のペレットとし、このペレットを用いて成形してなる請求項1〜4何れかに記載の動力伝達ガイド用摺動部材。
【請求項6】
表面粗さが算術平均粗さ0.1μm以下である請求項1〜5何れかに記載の動力伝達ガイド用摺動部材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−84679(P2011−84679A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239888(P2009−239888)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000107619)スターライト工業株式会社 (62)
【Fターム(参考)】