説明

動力循環式歯車試験装置

【課題】動力循環式歯車試験装置について、共試歯車に供給する潤滑油の温度を自由に設定することを可能にするとともに、共試歯車による潤滑油の温度上昇の高精度な測定を可能とする。
【解決手段】動力循環式歯車試験装置の潤滑油供給系5を共試歯車部給油ユニット24と循環歯車部給油ユニット25で構成する。その共試歯車部給油ユニットには、歯車用給油配管36と軸受用給油配管35を設ける。そして共試歯車である共試ギヤ11と共試ピニオン12には歯車用給油配管により専用的に潤滑油を供給するようにするとともに、共試歯車の軸受には軸受用給油配管により専用的に潤滑油を供給するようにする。また歯車用給油配管には、共試歯車に供給する潤滑油の温度を調節するオイルヒータ38を設け、さらに共試歯車からの歯車排油を専用的に排出する歯車排油経路を設けるとともに、軸受からの軸受排油を専用的に排出する軸受排油経路を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共試歯車に負荷トルクをかけた状態で所定の回転速度による運転を行って供試歯車を試験する動力循環式歯車試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5に、従来における動力循環式歯車試験装置の代表的な構成を模式化して示す。動力循環式歯車試験装置は、共試歯車部(共試歯車変速機)101と循環歯車部(循環歯車変速機)102を備えている。共試歯車部101には、共試歯車である共試ギヤ103と共試ピニオン104が噛合わされて納められ、循環歯車部102には、共試歯車に回転動力を循環的に伝える循環歯車である循環ギヤ105と循環ピニオン106が噛合わされて納められている。共試ギヤ103と循環ギヤ105は、ねじり軸107により互いに連結され、共試ピニオン104と循環ピニオン106は、ねじり軸108により互いに連結されている。したがって共試ギヤ103と共試ピニオン104の噛合い面および循環ギヤ105と循環ピニオン106の噛合い面には、ねじり軸107やねじり軸108によるねじりモーメントが付与され、これにより所定の負荷が作用する。このように共試歯車と循環歯車それぞれの噛合い面に負荷を作用させた状態で、図外の駆動源により循環歯車部102を介して共試歯車部101を回転駆動することにより共試ギヤ103と共試ピニオン104の試験を行ってその伝達効率、振動、騒音、強度、耐久性などを評価する(例えば特許文献1〜特許文献3)。
【0003】
また動力循環式歯車試験装置は、潤滑油供給系110を備えている。潤滑油供給系110は、潤滑油供給装置111、共試歯車部給油配管112、循環歯車部給油配管113、共試歯車部排油戻り配管114、および循環歯車部排油戻り配管115を備えている。そして潤滑油供給装置111でポンプアップした潤滑油を、共試歯車部給油配管112により共試歯車部101の共試ギヤ103と共試ピニオン104に供給するとともに、共試歯車部101における軸受116a〜116dにも供給し、また循環歯車部給油配管113により循環歯車部102の循環ギヤ105と循環ピニオン106に供給するとともに、循環歯車部102における軸受117a〜117dにも供給する。一方、共試歯車部101における歯車潤滑の排油と軸受潤滑の排油は共試歯車部排油戻り配管114で潤滑油供給装置111に戻り、循環歯車部102における歯車潤滑の排油と軸受潤滑の排油は循環歯車部排油戻り配管115で潤滑油供給装置111に戻る。
【0004】
【特許文献1】特開平8−145853号公報
【特許文献2】特開平6−317501号公報
【特許文献3】実公平6−42194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より有効な歯車試験を行えるようにするには、潤滑油温度が運転中の共試歯車に与える影響を広い温度域で評価できるようにすることが重要である。また歯車試験では、共試歯車の伝達効率も重要な評価項目であり、この伝達効率を高精度に評価できるようにすることが、より有効な歯車試験とする上で大切となる。伝達効率は、共試歯車の運転による潤滑油の温度上昇で評価できる。したがって伝達効率を高い精度で評価できるようにするには、共試歯車の運転による潤滑油の温度上昇を精度よく測定できるようにすることが重要である。
【0006】
しかるに従来の動力循環式歯車試験装置では、上述のように、共試歯車部の共試歯車とその回転を支える軸受に共通の給油配管で潤滑油を供給するようにされている。このため、共試歯車に供給する潤滑油の温度は、できるだけ低く抑える必要のある軸受における潤滑油の温度条件に制限されることになる。その結果、潤滑油温度が共試歯車に与える影響の高温域での評価が困難となっていた。また動力循環式歯車試験装置では、上述のように、共試歯車からの排油と軸受からの排油が共通の排油戻り配管で戻されるようにされている。このため、排油の温度上昇で共試歯車の伝達効率を評価する際に、その排油の温度に軸受による温度上昇分が含まれることになる。その結果、伝達効率の高精度な評価が困難となっていた。
【0007】
またより有効な歯車試験を行えるようにするについては、共試歯車の歯面に作用させる負荷の制御性の問題もある。すなわち、より高精度な試験とするには、運転中の共試歯車の歯面への負荷を任意に設定できるようにすることが求められるが、従来の動力循環式歯車試験装置では、共試歯車の歯面に作用させる負荷をねじり軸によるねじりモーメントで与えるだけであり、負荷の任意に設定に対応することに困難があった。
【0008】
本発明は、以上のような従来の動力循環式歯車試験装置における問題点に関する知見に基づいてなされたものであり、共試歯車に供給する潤滑油の温度を自由に設定することを可能にするとともに、共試歯車による潤滑油の温度上昇の高精度な測定を可能とする動力循環式歯車試験装置の提供を第1の目的とし、また運転中の共試歯車の歯面への負荷を任意に設定することを可能とする動力循環式歯車試験装置の提供を第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1の目的のために本発明では、軸受で軸支された共試歯車が納められる共試歯車部、前記共試歯車に回転動力を循環的に伝える循環歯車が納められる循環歯車部、および前記共試歯車部や前記循環歯車部に潤滑油を供給する潤滑油供給系を備えた動力循環式歯車試験装置において、前記潤滑油供給系は、共試歯車部給油ユニットと循環歯車部給油ユニットで構成され、前記共試歯車部給油ユニットは、歯車用給油配管と軸受用給油配管を備え、前記共試歯車には前記歯車用給油配管により専用的に潤滑油を供給するようにされるとともに、前記軸受には前記軸受用給油配管により専用的に潤滑油を供給するようにされ、また前記歯車用給油配管には、前記共試歯車に供給する潤滑油の温度を調節するオイルヒータが設けられ、さらに前記共試歯車からの歯車排油を専用的に排出する歯車排油経路が設けられるとともに、前記軸受からの軸受排油を専用的に排出する軸受排油経路が設けられていることを特徴としている。
【0010】
また本発明では上記のような動力循環式歯車試験装置について、前記軸受の周囲を密閉的に覆う軸受潤滑油分離構造部が前記共試歯車部に設けるようにしている。
【0011】
また本発明では上記のような動力循環式歯車試験装置について、前記共試歯車から流下する歯車排油の一部を受けて貯める排油受け溝を設けるようにしている。
【0012】
また本発明では上記のような動力循環式歯車試験装置について、前記循環歯車をその回転軸方向で押し引きすることにより、前記循環歯車の噛合い面に前記押し引きの状態に応じたトルクを負荷する歯面負荷調節手段を備えるものとしている。
【0013】
また本発明は上記第2の目的のために、軸受で軸支された共試歯車が納められる共試歯車部を備えるとともに、前記共試歯車に回転動力を循環的に伝える循環歯車が納められる循環歯車部を備えた動力循環式歯車試験装置において、前記循環歯車をその回転軸方向で押し引きすることにより、前記循環歯車の噛合い面に前記押し引きの状態に応じたトルクを負荷する歯面負荷調節手段を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、動力循環式歯車試験装置における潤滑油供給系を共試歯車部給油ユニットと循環歯車部給油ユニットで構成し、その共試歯車部給油ユニットに、歯車用給油配管と軸受用給油配管を設けることで、共試歯車部における共試歯車と軸受にそれぞれの潤滑油を混ざらないようにして供給できるようにするとともに、その歯車用給油配管にオイルヒータを設けて共試歯車用の潤滑油の温度を調節できるようにし、さらに歯車排油経路と軸受排油経路を設けることで、共試歯車からの歯車排油と軸受からの軸受排油を混ざらないようにして排出できるようにしている。このため本発明によれば、軸受における潤滑油の温度条件に制限されることなく、共試歯車への潤滑油の温度を自由に設定することが可能になるとともに、共試歯車による潤滑油の温度上昇の高精度な測定も可能となり、より有効的な歯車試験を行えるようになる。
【0015】
また本発明では、循環歯車を押し引きすることでその押し引きの状態に応じたトルクを循環歯車の噛合い面に負荷する歯面負荷調節手段を設けるようにしている。このため本発明によれば、運転中の共試歯車の歯面に作用させる負荷を任意に設定することが容易となり、より有効的な歯車試験を行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1に一実施形態による動力循環式歯車試験装置の全体構成を示し、図2に一部を拡大して示し、図3と図4に一部の断面構造を示す。本実施形態の動力循環式歯車試験装置は、共試歯車部(共試歯車変速機)1、循環歯車部(循環歯車変速機)2、回転駆動用電動機3、軸押し引き機4、潤滑油供給系5、および振動検出部6(6a〜6d)(図2)を備えている。
【0017】
共試歯車部1には、共試歯車である共試ギヤ11と共試ピニオン12が噛合わされて納められ、循環歯車部2には、循環歯車である循環ギヤ13と循環ピニオン14が噛合わされて納められている。共試ギヤ11は、カップリング15を介してねじり軸16に接続され、さらにねじり軸16は、ギヤカップリング17を介して循環ギヤ13に接続されている。すなわち共試ギヤ11は、カップリング15、ねじり軸16およびギヤカップリング17を介して循環ギヤ13に連結されている。共試ピニオン12は、カップリング18を介してトルク検出器19の入力軸に接続され、さらにトルク検出器19は、その出力軸がカップリング21を介して循環ピニオン14に接続されている。すなわち共試ピニオン12は、カップリング18、トルク検出器19およびカップリング21を介して循環ピニオン14に連結されている。
【0018】
また循環歯車部2には、回転入力歯車22も納められている。回転入力歯車22は、循環ギヤ13に噛合わされており、この噛合いで回転駆動用電動機3からの回転駆動力を循環ギヤ13に入力させて伝達できるようにさている。
【0019】
軸押し引き機4は、循環ギヤ13を、その回転軸13sを介して回転軸方向で押したり引いたりする、つまり押し引きすることで、歯面負荷調節手段として機能する。具体的にいうと、軸押し引き機4による循環ギヤ13に対する押し引きは、循環ギヤ13と循環ピニオン14をヘリカルギヤとすることで、循環ギヤ13と循環ピニオン14の噛合い面に押し引き状態に応じたトルクを負荷する。そしてこの負荷トルクは、ねじり軸16を介して伝わって共試ギヤ11と共試ピニオン12の噛合い面にも同様に作用する。したがって軸押し引き機4で循環ギヤ13を押し引きすることにより、運転中の共試歯車の歯面に作用させる負荷の任意な設定を容易に行うことができる。
【0020】
ここで、軸押し引き機4による押し引きで循環ギヤ13はその回転軸方向で位置を変えることになる。この位置変化の状態は、図1中に示してある。すなわち図1に矢印Aで示す部分は、ギヤカップリング17、循環ギヤ13、循環ギヤ13の回転軸13sを中心線で左右に2分して示してあり、左側が最も押し出された状態であり、右側が最も引かれた状態である。このような循環ギヤ13の位置変化は、ギヤカップリング17で吸収され、それがねじり軸16以降に及ばないようにされている。
【0021】
また軸押し引き機4で作用させる負荷トルクは押し引き状態で決まるものであるが、その負荷トルクが共試ギヤ11に伝わるまでにはギヤカップリング17やねじり軸16が不確定要素として介在する。そこで、共試ギヤ11と共試ピニオン12の噛合い面に実際に作用している負荷トルクをトルク検出器19で検出できるようにしている。このようにすることで、例えばトルク検出器19の検出値に基づくフィードバック制御を軸押し引き機4にかけるなどして、任意負荷の設定をより高精度に行うことが可能となる。
【0022】
潤滑油供給系5は、共試歯車部給油ユニット24と循環歯車部給油ユニット25からなる。共試歯車部給油ユニット24は、共試歯車部1の架台を兼用するオイルタンク26、オイルタンク26から潤滑油をポンプアップするオイルポンプ27、オイルタンク26とオイルポンプ27の間の吸込み配管28、吸込み配管28に設けられたバルブ29、オイルポンプ27の吐出側に接続された給油配管31、それぞれ給油配管31に設けられたオイルフィルタ32、オイルクーラ33、全体流量計34、全体流量計34の下流で給油配管31から分岐して設けられた軸受用給油配管35、軸受用給油配管35の分岐位置以降に給油配管31を延長した状態で設けられた歯車用給油配管36、歯車用給油配管36に設けられた歯車給油用流量計37、歯車給油用流量計37の下流で歯車用給油配管36に設けられたオイルヒータ38、および歯車用給油配管36とオイルヒータ38の接続部に設けられた流量調整バルブ39を主な要素としており、オイルクーラ33の出口付近で歯車用給油配管36に圧力計40が設けられ、また共試歯車に供給される潤滑油の温度を測定する温度計41がオイルヒータ38の出口に設けられている。
【0023】
こうした共試歯車部給油ユニット24は、歯車用給油配管36により、共試歯車部1における共試歯車に潤滑油を専用的に供給でき、また軸受用給油配管35により、共試歯車部1における後述のような軸受に潤滑油を専用的に供給できる。すなわち共試歯車部1における共試歯車と軸受にそれぞれの潤滑油を混ざらないように分離して供給することができる。そしてこの分離供給により、軸受における潤滑油の温度条件に制限されることなく、歯車用給油配管36に設置のオイルヒータ38で共試歯車用の潤滑油の温度を自由に調節して設定することが可能となる。
【0024】
循環歯車部給油ユニット25は、循環歯車部2の架台を兼用するオイルタンク42、オイルタンク42から潤滑油をポンプアップするオイルポンプ43、オイルタンク42とオイルポンプ43の間の吸込み配管44、吸込み配管44に設けられたバルブ45、オイルポンプ43の吐出側に接続された給油配管46、給油配管46に設けられたオイルフィルタ47、および給油配管45に設けられたオイルクーラ48を主な要素としており、その給油配管46には、温度計49と圧力計50が設けられている。
【0025】
図2には共試歯車部1を拡大して示してある。ここで、図1、図2では共試歯車部1の内部が見えるように示してあるが、実際には図3に示すように、共試歯車部1はギヤボックス57により密閉状に覆われている。このことは循環歯車部2についても同様である。
【0026】
図2に見られるように、共試ギヤ11の回転軸11sは、軸受51(51a〜51c)により軸支され、また共試ピニオン12の回転軸12sは、軸受52(52a〜52c)により軸支されている。そしてこれらの軸受51や軸受52の周囲には、軸受潤滑油分離構造部53が設けられている。軸受潤滑油分離構造部53は、軸受51(または軸受52)の周囲を覆う軸受カバー54、軸受カバー54と回転軸11s(または回転軸12s)の間に介在するオイルシール55、および同じく軸受カバー54と回転軸11s(または回転軸12s)の間に介在するラビリンス56により軸受51や軸受52の周囲を密閉状に覆うようにして形成されており、軸受51や軸受52の潤滑油を共試歯車の潤滑油から分離するのに機能する。ここで、図示は省略してあるが、軸受カバー54に軸受用給油配管35の先端を接続させて、軸受用の潤滑油を軸受潤滑油分離構造部53の内部に供給できるようにしてある。
【0027】
図3には、共試歯車部1を共試ピニオン12の中心に沿って断面した縦断面構造を示してある。この図3に見られるように、共試歯車部1のギヤボックス57の天井部にはその内部を穿つようにして歯車給油部58が設けられており、歯車用給油配管36で供給される潤滑油をこの歯車給油部58から流下させて共試ギヤ11や共試ピニオン12に供給できるようにされている。またギヤボックス57の側壁にはその内部を穿つようにして軸受排油経路59が設けられ、この軸受排油経路59により軸受の排油を共試歯車の排油から分離して専用的に排出できるようにされている。また軸受排油経路59は、図1中の軸受排油口61につながっており、この軸受排油口61からオイルタンク26に軸受排油を戻すようにされている。なお、軸受排油口61には温度計62が設けられ、軸受排油の温度をモニタできるようにされている。
【0028】
一方、共試歯車からの排油は、共試歯車への上記のような潤滑油の供給の流れの延長としてギヤボックス57の内部を流下し、ギヤボックス57の底部に設けてある流出孔63(図4)からオイルタンク26に戻るようにされている。すなわち共試歯車からの排油については、ギヤボックス57の内部が歯車排油を専用的に排出する歯車排油経路とされている。またこうした共試歯車からの排油については、ギヤボックス57の内部に設けられる梁状の補強リブ64に排油受け溝65を設けている。この排油受け溝65は、歯車排油の温度からの共試歯車による潤滑油の温度上昇の測定をより高精度で行えるようにするのに機能する。すなわち排油受け溝65は、図4に示すように、共試ギヤ11と共試ピニオン12の噛合い面の真下に位置するように設けられ、共試ギヤ11と共試ピニオン12の噛合い面から流下する歯車排油の一部を受けて貯める。この排油受け溝65に貯まった排油は、共試歯車に近接する位置での排油であり、しかも歯車の噛合い面からの排油である。すなわち共試歯車による温度上昇の状態をほぼそのまま維持している排油である。したがって排油受け溝65に貯まった排油に温度計を差し込んでその温度を測定すれば、共試歯車による潤滑油の温度上昇を高い精度で測定することができる。そしてその温度データと歯車給油用流量計37による流量データから共試歯車の伝達ロスによる発熱量を求めることで、高い精度で伝達効率を評価することが可能となる。
【0029】
振動検出部6(6a〜6d)は、共試ギヤ11と共試ピニオン12のそれぞれについて振動を検出するためのもので、振動検出部6a、6bは共試ギヤ11用であり、振動検出部6c、6dは共試ピニオン12用である。これらの振動検出部6は、共試ギヤ11や共試ピニオン12の回転軸11sや回転軸12sに円盤状の構造物をフランジ状に取り付けて構成されている。したがって、振動検出部6の周面や側面に例えば非接触式の振動計を近接させることで、共試ギヤ11や共試ピニオン12の半径方向(X方向、Y方向)や軸方向(Z方向)の振動を容易に検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、動力循環式歯車試験装置について、共試歯車に供給する潤滑油の温度を自由に設定することを可能にするとともに、共試歯車による潤滑油の温度上昇の高精度な測定を可能とし、また運転中の共試歯車の歯面への負荷を任意に設定することを可能とするものであり、歯車の製造分野などに広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一実施形態による動力循環式歯車試験装置の全体構成を簡略化して示す図である。
【図2】共試歯車部を拡大して示す図である。
【図3】共試歯車部を共試ピニオンの中心に沿って断面した縦断面構造を示す図である。
【図4】図3の縦断面構造に直交する縦断面構造を簡略化して示す図である。
【図5】従来の動力循環式歯車試験装置の代表的な構成を模式化して示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 共試歯車部
2 循環歯車部
4 軸押し引き機(歯面負荷調節手段)
5 潤滑油供給系
11 共試ギヤ(共試歯車)
12 共試ピニオン(共試歯車)
13 循環ギヤ(循環歯車)
14 循環ピニオン(循環歯車)
24 共試歯車部給油ユニット
25 循環歯車部給油ユニット
35 軸受用給油配管
36 歯車用給油配管
38 オイルヒータ
51、52 軸受
53 軸受潤滑油分離構造部
59 軸受排油経路
65 排油受け溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受で軸支された共試歯車が納められる共試歯車部、前記共試歯車に回転動力を循環的に伝える循環歯車が納められる循環歯車部、および前記共試歯車部や前記循環歯車部に潤滑油を供給する潤滑油供給系を備えた動力循環式歯車試験装置において、
前記潤滑油供給系は、共試歯車部給油ユニットと循環歯車部給油ユニットで構成され、前記共試歯車部給油ユニットは、歯車用給油配管と軸受用給油配管を備え、前記共試歯車には前記歯車用給油配管により専用的に潤滑油を供給するようにされるとともに、前記軸受には前記軸受用給油配管により専用的に潤滑油を供給するようにされ、また前記歯車用給油配管には、前記共試歯車に供給する潤滑油の温度を調節するオイルヒータが設けられ、さらに前記共試歯車からの歯車排油を専用的に排出する歯車排油経路が設けられるとともに、前記軸受からの軸受排油を専用的に排出する軸受排油経路が設けられていることを特徴とする動力循環式歯車試験装置。
【請求項2】
前記軸受の周囲を密閉的に覆う軸受潤滑油分離構造部が前記共試歯車部に設けられている請求項1に記載の動力循環式歯車試験装置。
【請求項3】
前記共試歯車から流下する歯車排油の一部を受けて貯める排油受け溝が設けられている請求項1または請求項2に記載の動力循環式歯車試験装置。
【請求項4】
前記循環歯車をその回転軸方向で押し引きすることにより、前記循環歯車の噛合い面に前記押し引きの状態に応じたトルクを負荷する歯面負荷調節手段を備えている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の動力循環式歯車試験装置。
【請求項5】
軸受で軸支された共試歯車が納められる共試歯車部を備えるとともに、前記共試歯車に回転動力を循環的に伝える循環歯車が納められる循環歯車部を備えた動力循環式歯車試験装置において、
前記循環歯車をその回転軸方向で押し引きすることにより、前記循環歯車の噛合い面に前記押し引きの状態に応じたトルクを負荷する歯面負荷調節手段を備えていることを特徴とする動力循環式歯車試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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