説明

動植物性残渣物乾燥発酵飼料・乾燥発酵肥料等製造装置

【課題】 有機廃棄物処理において、初期投資及びランニングコストを抑え、動植物性残渣物から廉価で良質な乾燥発酵飼料・乾燥発酵肥料等を製造する。
【解決手段】 発酵槽内において貯留・堆積し、発酵熱を帯びた動植物性残渣物を、空気とともに発酵槽内の空間に放出・飛散させ、装置内を繰り返し循環させることにより、蒸発散作用を効率的に行い、且つ発酵に必要な酸素を満遍なく供給して良好な発酵環境を保ち、良質な乾燥発酵飼料・乾燥発酵肥料等を製造する装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機廃棄物の飼料化・肥料化等の機能を有する動植物性残渣物乾燥発酵飼料・乾燥発酵肥料等製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機廃棄物の処理システムの提案は数多くなされているが、初期投資額及びランニングコストが嵩み、有機廃棄物が再利用されることが少なく十分機能しているとは言えない。
【0003】
また、発酵・乾燥の方法及び装置の提案も数多くなされているが大きく分けると3つのグループに分けられる。
【0004】
第1は平盛や切り替えし作業等による自然発酵、第2は加熱・攪拌方式の装置、第3は減圧乾燥装置による発酵と乾燥を行う方法である。
【特許文献1】 特開2001−238664号公報
【特許文献2】 特公平7−74112号公報
【特許文献3】 特開2005−40738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自然発酵による従来の方法では飼料化・肥料化するまでに長期間を要し、且つ広い作業場、再三の切り返しによる酸素の供給・温度管理などが必要であり、時間及び作業コストが効率的ではない。
【0006】
加熱・攪拌方式の装置では加熱費が嵩み、攪拌では処理物が空気と接触する機会・面積が少なく蒸発散に向かず、エネルギー効率が悪い。
【0007】
減圧乾燥方式の装置においても加熱費が嵩み、初期投資も大きく、且つプラント内部の温度を発酵に適した状態に管理することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、細かく裁断・破砕された動植物性残渣物に、発酵環境を整えるための副資材を混入し、または酒粕、ビール粕、豆腐粕など副資材の必要のない動植物性残渣物に、公知の発酵菌を添加後、動植物性残渣物乾燥発酵飼料・乾燥発酵肥料等製造機の発酵槽に投入し、貯留・堆積後、最下部からスクリューコンベアで攪拌しながら少量・定量にて循環用ダクトに移送し、送風機等からの空気又はボイラー等の廃熱を利用した40度から50度程度の温風とともに循環用ダクト内を吹き上げ上部に位置する循環用投入口から発酵層内空間の空気中に放出・飛散させることにより、空気に接触する面積を増やし、また装置内を繰り返し循環させることで空気に接触する機会を増やし、蒸発散作用を効率的に行うことを特徴とする。
【0009】
動植物性残渣物を送風機等で空気又は温風とともに吹き上げて空気中に放出・飛散を繰り返すことにより、発酵に必要な酸素を満遍なく供給し、発酵環境を良好に保つ特徴を持ち、良質な乾燥発酵飼料・乾燥発酵肥料等を製造することができる。
【発明の効果】
【0010】
動植物性残渣物乾燥発酵飼料・乾燥発酵肥料等製造装置は、簡素な構造であり広い設置面積を必要とせず初期投資を低く抑えることができ、蒸発散作用を効率的に行うことで加熱乾燥や減圧乾燥に比べてランニングコストも低く抑えられ、酸素を満遍なく供給することにより発酵環境を良好に保つ特徴を持ち合わせているため、発酵に斑がなく、また60℃以下で乾燥させることができるため高温で乾燥する加熱乾燥や減圧乾燥に比べ発酵菌の死滅率が低く、安定した栄養価・消化率の高い良質な乾燥発酵飼料・乾燥発酵肥料等を製造することができ、且つ水分10%まで乾燥することにより通常50%程度の水分を含んでいる発酵肥飼料に比べ割安な輸送コストを実現し、有機廃棄物の再利用の大きな障害となっていた変質の防止と流通コストの改善に寄与することができ、また化石燃料等により直接加温・加熱をせず、製品以外では水蒸気しか出さず、一切の排水・廃液を伴わないため、地球の環境保全に寄与できる。
【実施例】
【0011】
添付の図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。図1に示すように動植物性残渣物乾燥発酵飼料・乾燥発酵肥料等製造装置は、発酵槽1と、スクリューコンベア2と、循環用ダクト3と、ブロワ4と、排気用ダクト5と、製品収容槽6から成る。発酵槽1は上部において動植物性残渣物投入口1aを有し、循環用投入口1bおいてスクリューコンベア2と連なる循環用ダクト3と連結し、下部では循環用ダクト3に連なるスクリューコンベア2と連結し、頂上部で製品収容槽6に連なる排気用ダクト5と連結している。なお、上記の形状、材質、規模、配置等は設計上の問題であってその他の形状、規模、配置においても本発明の範囲であって逸脱するものではなく、送風機はブロワをはじめ扇風機、フォーレージブロワ、除雪機等吹き上げるための風を作り出すものであれば利用可能であり、循環用ダクトにおいてもパイプ、ホース、煙突等循環用通路になるものであれば利用可能である。
【0012】
細かく裁断された動植物性残渣物に副資材を混入し、発酵菌を添加後、動植物性残渣物投入口1aより発酵槽1に投入し、貯留・堆積後、下部のスクリューコンベア2により循環用ダクト3まで移送し、ブロワ4で循環用ダクト3内を空気とともに吹き上げ、循環用投入口1bから発酵槽1内空間の空気中に放出・飛散させ、再び貯留・堆積し、装置内を繰り返し循環させる。
【0013】
循環しているうちに発酵、乾燥し製品となった動植物性残渣物乾燥発酵飼料・乾燥発酵肥料等は排気用ダクト5から排気とともに製品収容槽6に移送、分離収容され、排気は頂上部の排気口6aより排出される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 本発明の動植物性残渣物乾燥発酵飼料・乾燥発酵肥料等製造装置を示した断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 発酵槽
1a 動植物性残渣物投入口
1b 循環用投入口
2 スクリューコンベア
3 循環用ダクト
4 ブロワ
5 排気用ダクト
6 製品収容槽
6a 排気口
6b 製品排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動植物性残渣物を発酵槽内で貯留・堆積させることにより発酵熱を生じさせ、発酵槽下部からスクリューコンベアで攪拌しながら定量を循環用ダクトに移送し、送風機等により動植物性残渣物を空気又は温風とともに循環用ダクト内を吹き上げて発酵槽上部の循環用投入口から発酵槽内空間の空気中に放出・飛散させ、装置内を繰り返し循環させることにより、空気に接触する機会と面積を増やし蒸発散作用を効率的に行う特徴を持つ、動植物性残渣物投入口と循環用投入口を上部に有し下部に循環用排出口及びそれに連結したスクリューコンベアを有する発酵槽において、循環用ダクトと送風機及び排気用ダクトから連なる頂上部に排気口及び最下部に製品排出口を有する製品収容槽を具備している動植物性残渣物乾燥発酵飼料・乾燥発酵肥料等製造装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−290058(P2008−290058A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163142(P2007−163142)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(507206000)北海道特殊飼料株式会社 (8)
【Fターム(参考)】