説明

動画記録装置、及び、プログラム

【課題】各種メモリデバイスのデータ転送や記録に係る特性を利用することで、制御部の処理負担を軽減させる。
【解決手段】フレームデータの蓄積が開始され、リングバッファからなるメモリバッファA9への格納が開始されると、定期的にメモリバッファA9の格納状況を参照する。フレームデータがある場合は、記録処理が進行している動画記録モードに応じて、メモリバッファB10の記憶単位を変えてバッファ取得するよう制御する。この後、メモリバッファA9に一時的に記憶されているフレームデータをコピーし、コピーされたフレームデータの先頭にファイルヘッダ情報を付加する。更にメモリカード13に転送に適当な所定のデータ量が蓄積されたか否かを判断し、蓄積されたと判断された場合には、メモリカードに転送し、リターンする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動画記録処理技術に関し、詳細には、順次撮像されるフレームデータのファイル化し記録する動画記録装置、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、静止画だけでなく動画像を撮像及び記録する機能を有した撮像装置が存在する。
このような装置においては、撮像からデジタル符号化、ファイル化、及び、記録処理までの処理過程において順序良く行わなければならないことから、制御部の処理負担が静止画撮影の時と比較して増大する方向にあり、処理の遅延を引き起こす可能性があるため、ビジー信号等の検出により各処理の状況を把握し、画像データの読み出しや書き込みを制御する発明が考えられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−322289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記発明技術においては、各処理の進行状況を常に把握しながら、全体の制御を行う必要があり、そのような制御に係る負担が問題視されることもあった。
【0005】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、各種メモリデバイスのデータ転送や記録に係る特性を利用することで、制御部の処理負担を軽減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、撮像手段と、この撮像手段によって連続的に撮像される複数のフレームデータを一時的に記憶する第1の記憶手段と、この第1の記憶手段に一時的に記憶された複数のフレームデータを順次読み出し、ヘッダ情報を付加する情報付加手段と、所定のデータ単位の整数倍からなる同じ記憶容量を備えた複数の第2の記憶手段と、前記情報付加手段によって情報が付加されたフレームデータを前記第2の記憶手段の一つに記憶させるとともに、この一つの第2の記憶手段が前記フレームデータの一部のデータで満たされたときには、他の空いている第2の記憶手段に続けて記憶させる第1の記憶制御手段と、前記複数のフレームデータを一つのファイルとして記憶する第3の記憶手段と、この第1の記憶制御手段による制御の間、前記一部のデータで満たされた第2の記憶手段から前記一部のデータを読み出し、前記第3の記憶手段に記憶するよう制御する第2の記憶制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記所定のデータ単位とは、前記第3の記憶手段へ転送されるデータの転送単位であることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、第1の記憶部、所定のデータ単位の整数倍からなる同じ記憶容量を備えた複数の第2の記憶部、及び、複数のフレームデータを一つのファイルとして記憶する第3の記憶部を備えた動画記録装置のコンピュータを、連続的に撮像される複数のフレームデータを一時的に前記第1の記憶部に記憶させる第1の記憶制御手段、この第1の記憶制御手段によって一時的に記憶された複数のフレームデータを順次読み出し、ヘッダ情報を付加する情報付加手段、前記情報付加手段によって情報が付加されたフレームデータを前記複数の第2の記憶部の一つに記憶させるとともに、この一つの第2の記憶部が前記フレームデータの一部のデータで満たされたときには、他の空いている第2の記憶部に続けて記憶させる第2の記憶制御手段、この第2の記憶制御手段による制御の間、前記一部のデータで満たされた第2の記憶部から前記一部のデータを読み出し、前記第3の記憶部に記憶するよう制御する第3の記憶制御手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各種メモリデバイスのデータ転送や記録に係る特性を利用することで、制御部の処理負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の回路構成図である。
【図2】本発明の実施形態におけるフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施する形態の一例として、本発明を撮像装置に適用した場合について詳述する。
図1は本発明の動画記録装置を実施した撮像装置1の回路構成を図示したものである。図示するように撮像装置1は、レンズ2、撮像部3、CDS/ADC4、制御部5、画像処理部6、ドライバ7、表示部8、メモリバッファA9、メモリバッファB10、プログラムメモリ11、コネクタ12、入力部12、及び、メモリーカード13を備える。
【0012】
レンズ2は、ズームレンズ群、フォーカスレンズ群を含み、図示しないレンズモータによりその位置が制御される。撮像部3は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子を含む。撮像部3から出力されたRGB成分よりなる画像信号は、CDS/ADC4にてデジタルのYUV(輝度色差)情報からなる画像データに変換される。
【0013】
制御部5は、プログラマブルなプロセッサを含む。制御部5は、撮像装置1全体を制御する。撮像装置1は、CDS/ADC4から出力された画像データを受け取り、表示部8で表示可能な形式に変換して、スルー画像として表示部8に出力するようドライバ7を駆動制御する。また、制御部5はその処理モジュールとして、YUV(輝度色差)情報からなるフレームデータから画像処理部6にて例えばJPEG形式でエンコード(圧縮符号化)されたフレームデータをメモリバッファA9に一時記憶させるための処理モジュール、メモリバッファA9から読み出したフレームデータにファイルヘッダ情報等の情報を付加しメモリバッファB10に格納する処理モジュール、及び、メモリバッファB10に格納されたフレームデータをコネクタ11を介しメモリカード13に転送して書込む処理モジュールを含んでいる。
【0014】
メモリバッファ9Aはリングバッファ等の循環記録型デバイスからなる。メモリバッファ10Bは、メモリカード13に転送するに際しデータ量の調整を行う手間を省くため、転送1セクタ長(16KB)の16倍、すなわち、256KBを一単位とした複数単位のメモリデバイスで構成されており、少なくとも2048KB(256×8倍)以上の総記録容量を有する。そして、後述の処理においては、必要最小限の記憶領域を用いて処理を行うとともに、必要に応じて、256KB毎の記憶領域の追加を行う。
【0015】
制御部5は、後述の動画ファイルのメモリカード13への転送書き込み処理において、記録指示検出以前から順次取り込まれていた動画の記録を行う過去動画記録モード、又は、通常の動画記録モードのどちらで記録処理が進行しているかに基づいて、メモリバッファ10Bに書込む記録単位を設定する。プログラムメモリ10は、制御部5のプログラムや各種の設定等を記憶する。
入力部12は、シャッターボタンや上下左右カーソルキーのような各種の操作キーやスイッチを含む。
【0016】
次に、本実施の形態における具体的な処理について図2を用いて説明する。
動画撮影モードおいて、制御部5は、シャッターボタン等の操作を検出することによりフレームデータの蓄積が開始され、メモリバッファA9への格納が開始されると、制御部5は、定期的にメモリバッファA9の格納状況を参照(ステップS1)し、メモリバッファA9にエンコードされたフレームデータが有るか否かを判断する(ステップS2)。フレームデータが無いと判断した場合(ステップS2→No)は、再度上記の格納状況の参照に戻るが、フレームデータが有ると判断した場合(ステップS2→Yes)は、そのフレームデータのサイズを取得する(ステップS3)。
【0017】
次いで、メモリバッファB10に以前のフレームデータが残っているか否かを判断する(ステップS4)。残っていない場合(ステップ4→No)はステップS7に移行するが、残っている場合(ステップS4→Yes)は、今回取得したフレームデータのサイズよりもメモリバッファB10の残容量の方が多いか否かを判断する(ステップS5)。今回取得したフレームデータのサイズよりもメモリバッファB10の残容量の方が多いと判断した場合(ステップS5→Yes)はステップS7に移行するが、メモリバッファB10の残容量よりも今回取得したフレームデータのサイズの方が多いと判断した場合、メモリバッファB10の記憶領域が足らなくなるので、所定単位分(256KBの整数倍)、記憶領域を追加し(ステップS6)、ステップS7に移行する。
【0018】
ステップS7では、制御部5は、上述の過去動画記録モード、又は、通常の動画記録モードのどちらで記録処理が進行しているかを判断するが、先ず、過去動画記録モードにて記録処理が進行している場合(ステップS7→Yes)について詳述する。
過去動画記録モードにて記録処理が進行している場合、メモリバッファB10について256KB単位でバッファ取得するよう対応するフラグをONにする(ステップS8)。そして、メモリバッファA9に一時的に記憶されているフレームデータをコピーし(ステップS9)、コピーされたフレームデータの先頭にファイルヘッダ情報を付加する(ステップS10)。
更にこのフレームデータをメモリバッファB10内で記憶管理するためにマーキングデータを生成し(ステップS11)、これからメモリバッファB10に格納可能なフレームデータのフレーム数とメモリバッファB10に格納済みのフレームデータのフレーム数とを比較し、格納済みのフレーム数が多いか否かを判断する(ステップS12)。
【0019】
格納済みのフレーム数の方が少ない場合(ステップS12→No)はステップS14に移行するが、格納済みのフレーム数の方が多い場合(ステップS12→Yes)は格納済みのフレームデータのうち、記録タイミングが最も古いフレームデータについてマーキングデータを削除し、対応するフレームデータをメモリバッファB10から削除する(ステップS14)。そして記憶領域を確保し、今回のフレームデータを格納する(ステップS14)。この後、メモリカード13に転送に適当な所定のデータ量が蓄積されたか否かを判断し(ステップS15)、蓄積されていないと判断された場合(ステップS15→No)にはステップS9の処理に戻る一方、蓄積されたと判断された場合(ステップS15→Yes)には、メモリカードに転送し(ステップS16)、リターンする。
【0020】
次に、過去動画記録モード以外、例えば、通常動画記録モードにて記録処理が進行している場合(ステップS7→No)について詳述する。
通常動画記録モードにて記録処理が進行している場合、メモリバッファB10について2048KB(2MB)単位でバッファ取得するよう対応するフラグをONにする(ステップS17)。そして、メモリバッファA9に一時的に記憶されているフレームデータをコピーし(ステップS18)、コピーされたフレームデータの先頭にファイルヘッダ情報を付加する(ステップS19)。
この後、メモリカード13に転送に適当な所定のデータ量が蓄積されたか否かを判断し(ステップS20)、蓄積されていないと判断された場合(ステップS20→No)にはステップS18の処理に戻る一方、蓄積されたと判断された場合(ステップS20→Yes)には、メモリカードに転送し(ステップS16)、リターンする。
【0021】
このように本実施形態によれば、メモリカード13への転送に適当なデータ量を記憶単位としたメモリバッファ(メモリバッファB10)を備えるので、メモリカードにフレームデータを転送するに際し、改めてデータサイズを調整する処理負担を軽減することができる。
また、過去動画記録モードにおいては、それ以外の動画記録モード(通常記録モード)と比較して、記憶単位の単位量を整数分の一に減少させたため、既に記録されたフレームデータを極力削除することなく新たなフレームデータをメモリバッファB10に書込むことができる。
【0022】
尚、本実施の形態では本発明を撮像装置に適用させた場合について述べたが、これに限ることなく、撮像素子を備えた電子機器や、そのような電子機器を制御するコンピュータのプログラムとして記述されたものであっても良い。
また、上記説明において、設計上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0023】
1・・・・・撮像装置
3・・・・・撮像部
5・・・・・制御部
6・・・・・画像処理部
8・・・・・表示部
9・・・・・メモリバッファA
10・・・・・メモリバッファB
13・・・・・メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
この撮像手段によって連続的に撮像される複数のフレームデータを一時的に記憶する第1の記憶手段と、
この第1の記憶手段に一時的に記憶された複数のフレームデータを順次読み出し、ヘッダ情報を付加する情報付加手段と、
所定のデータ単位の整数倍からなる同じ記憶容量を備えた複数の第2の記憶手段と、
前記情報付加手段によって情報が付加されたフレームデータを前記第2の記憶手段の一つに記憶させるとともに、この一つの第2の記憶手段が前記フレームデータの一部のデータで満たされたときには、他の空いている第2の記憶手段に続けて記憶させる第1の記憶制御手段と、
前記複数のフレームデータを一つのファイルとして記憶する第3の記憶手段と、
この第1の記憶制御手段による制御の間、前記一部のデータで満たされた第2の記憶手段から前記一部のデータを読み出し、前記第3の記憶手段に記憶するよう制御する第2の記憶制御手段と、
を備えたことを特徴とする動画記録装置。
【請求項2】
前記所定のデータ単位とは、前記第3の記憶手段へ転送されるデータの転送単位であることを特徴とする請求項1記載の動画記録装置。
【請求項3】
第1の記憶部、所定のデータ単位の整数倍からなる同じ記憶容量を備えた複数の第2の記憶部、及び、複数のフレームデータを一つのファイルとして記憶する第3の記憶部を備えた動画記録装置のコンピュータを、
連続的に撮像される複数のフレームデータを一時的に前記第1の記憶部に記憶させる第1の記憶制御手段、
この第1の記憶制御手段によって一時的に記憶された複数のフレームデータを順次読み出し、ヘッダ情報を付加する情報付加手段、
前記情報付加手段によって情報が付加されたフレームデータを前記複数の第2の記憶部の一つに記憶させるとともに、この一つの第2の記憶部が前記フレームデータの一部のデータで満たされたときには、他の空いている第2の記憶部に続けて記憶させる第2の記憶制御手段、
この第2の記憶制御手段による制御の間、前記一部のデータで満たされた第2の記憶部から前記一部のデータを読み出し、前記第3の記憶部に記憶するよう制御する第3の記憶制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−114505(P2011−114505A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268183(P2009−268183)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】