説明

勝敗によりキャラクタ能力を調整するゲーム機

【課題】キャラクタ毎の勝敗情報をネットワークを通じて収集し、勝率の低いキャラクタは強く、勝率の高いキャラクタは弱くすることにより、全体的なキャラクタの強さのバランスを自動的に調整することができるゲーム機を提供する。
【解決手段】ゲーム機10a,10bからサーバ装置30に対し選択したキャラクタの勝敗情報を要求する。ゲーム機は勝敗情報に基づきキャラクタの攻撃力,防御力の能力値を変更する。変更されたキャラクタの攻撃力,防御力を用いてゲームが進行する。ゲーム終了時には勝敗結果の勝敗情報がサーバ装置30に送られ、データベース上の選択したキャラクタの勝敗情報が更新される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに収集された各キャラクタの勝敗情報に基づき各ゲーム機でキャラクタの強い,弱いという能力を調整するゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
バトルゲームやレースゲームではゲーム結果として勝敗が表示されるが、この勝敗についてサーバ装置などでランキング表示するゲームシステムが一般的に採用されている。
勝敗についてはユーザの腕前に左右されるが、この他に予め決められたキャラクタの能力によることが大きい。
【0003】
勝敗に関連するデータを扱うゲームシステムとして特許文献1が提案されている。
これはインターネットを利用したゲームシステムに関し、ゲーム使用者の間でゲームが進行されることができる環境を提供して、ゲームが終了した場合には自動でゲーム結果を認識してランキングに反映してリアルタイムで自動ランキングサービスを行う自動勝敗認識機能を有するゲーム中継方式を実現するものである。
単にゲームの勝敗結果をランキング形式で表示するものであり、勝敗結果を直接ゲームの内容に反映するものではない。
【特許文献1】特開2002−35432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゲーム機において特定のキャラクタが勝ちすぎる場合、そのキャラクタを用いれば勝ちに結びつけることが容易となり、ユーザにとっては予め予想できることである。
そのため、キャラクタによって偏った勝ち負けが生ずることは好ましくない。そこで、勝敗が一方的にならないようなゲームシステムが要請される。
また、ゲームプログラムなどのトラブル(バグ)などにより、特定のキャラクタが強く設定されてしまった場合には、大きい勝率となることが予想されるが、このような場合にも、適切な強さにする必要がある。
本発明の目的はキャラクタ毎の勝敗情報をネットワークを通じて収集し、勝率の低いキャラクタは強く、勝率の高いキャラクタは弱くすることにより、全体的なキャラクタの強さのバランスを自動的に調整することができるゲーム機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、ゲーム機で登場するキャラクタについて勝率を含む勝敗情報をサーバ装置に蓄積するゲームシステムにおいて、ゲーム起動時に前記サーバ装置にアクセスし、サーバ装置のデータベースから要求するキャラクタの勝敗情報を要求する手段と、キャラクタ毎に各勝率に対するキャラクタの能力を増減する能力増減データを示すテーブルを格納する記憶手段と、前記要求する手段の要求によってサーバ装置から送られてくるキャラクタの勝敗情報を受信し、前記テーブルを参照することによりキャラクタの勝率または勝敗数に対応する能力増減データを得、この能力増減データによるキャラクタの能力値を変更するキャラクタ能力更新手段と、前記書き換えたキャラクタの能力値を用いてゲームを行うゲーム実行部とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2は請求項1記載の発明において、前記キャラクタの能力値の1つは攻撃力の値であり、前記能力増減データは、勝率または勝敗数が高い場合は、攻撃力の値を小さくし、勝率または勝敗数が低い場合は、攻撃力の値を高くするデータであることを特徴とする。
本発明の請求項3は請求項1記載の発明において、前記キャラクタの能力値の1つは防御力の値であり、前記能力増減データは、勝率または勝敗数が高い場合は、防御力の値を小さくし、勝率または勝敗数が低い場合は、防御力の値を高くするデータであることを特徴とする。
本発明の請求項4は請求項1,2または3記載の発明において、ゲーム実行により勝敗結果が出た場合、前記サーバ装置にアクセスしてデータベースの勝敗情報を書き換える勝敗情報書換要求手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
前記構成によれば、常にキャラクタの強さを調整するため、永久にキャラクタの強弱のバランスは崩れることはなく、例えばバグなどで特定のキャラクタが著しくなってしまっても、速やかに修正することができるので、ゲーム機管理の負担が軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は本発明によるゲーム機を用いたゲームシステムの概略を示す図である。
ゲームセンタなどの店舗Aにはゲーム機10aが、店舗Bにはゲーム機10bがそれぞれ配置されている。各ゲーム機10a,10bは通信ケーブル4によってサーバ装置30に接続されている。プレイヤはゲーム機10a,10bの図示しないコイン投入口にコインを投入し、操作部2の所定のボタンを操作することによりゲームを開始することができる。プレイヤがゲームを開始する際には、ゲーム機10a,10bはプレイヤが選択したキャラクタ(例えばA)に対する勝敗情報をサーバ装置30に要求し、送られてくるキャラクタAの勝敗情報の勝敗によってキャラクタAの能力,攻撃力,防御力などに変更する。この変更した能力のキャラクタによってゲームを進行する。
【0008】
サーバ装置30への通信は、有線または無線により通信を行うこともできる。このようなゲーム機10a,10bが店舗A,Bにこの他に多数存在し、同様にサーバ装置30と通信可能である。また、店舗A,B以外の店舗にも同種のゲーム機が設置されている。
【0009】
図2は、本発明によるゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
コイン投入部14からのコイン入力を検知するコイン関連装置(コインカウンタ,コインボックスなど)13が入出力制御装置24を介してバス25に接続されている。バックアップメモリ21は、コイン数の設定値が記憶されるものである。ジョイステックや多数のボタンから構成される操作部2は入出力制御装置24に接続されている。
サウンド処理部27はCPU20からの指示に基づき音声やBGMなどを処理し、スピーカ28はそれらのサウンドを出力する。
画像処理部26はCPU20から送られる画像信号を所定の形式に変換し画像表示部3に出力する。ROM29にはゲーム機の制御プログラム,ゲームプログラムおよびゲームデータ(キャラクタの攻撃力,防御力など)が格納されている。
【0010】
さらにゲーム機のキャラクタの勝率に対する、攻撃力,防御力のアップまたはダウンの率を示す勝率対能力(攻撃力,防御力)増減テーブルが格納されている。このテーブルはゲーム機でプレイヤが選択するキャラクタ毎に設けられている。図5にその一例を示す。
RAM17はCPU20がゲームプログラムの演算処理などを行うときに、一時的に用いる記憶部である。CPU20はゲーム全体の制御を司るゲーム制御部20aを有し、これはROM29より制御プログラムを読み出してCPU20がそのプログラムの処理を行うことにより実現されるものである。この他にゲームプログラムを読み出してCPU20がゲームプログラムの処理を行うことにより、ゲームに関する以下の勝敗情報読出し要求部20b,キャラクタ能力更新部20c,ゲーム実行部20dおよび勝敗情報書換え要求部20eの各機能が実現される。
【0011】
勝敗情報読出し要求部20bは、プレイヤがゲームを開始しキャラクタを選択すると、通信部22を介してそのキャラクタに対する勝敗情報をサーバ装置30に要求するものである。
キャラクタ能力更新部20cはサーバ装置30から通信部22を介して選択したキャラクタの勝敗情報をゲーム制御部20aが受信すると、CPU20に記憶する。ROM29からはキャラクタ選択時に、選択したキャラクタに対する攻撃力,防御力の数値(パラメータ)および勝率対能力増減テーブルが読み出されており、RAM17に格納されている。キャラクタ能力更新部20cは、サーバ装置30から送信された選択キャラクタの勝敗情報から、選択キャラクタの勝率対能力増減テーブル中の攻撃力および防御力のアップまたはダウン率を読み出し、アップまたはダウン率に対する攻撃力,防御力の増減値を算出する。そして、算出した増減値をRAM17中に読み出されている選択キャラクタの攻撃力,防御力の数値に加えることにより選択されたキャラクタの元の攻撃力,防御力を更新する。例えば、攻撃力が100,防御力が50で勝率が0.3であった場合、攻撃力および防御力を10パーセントアップとなり、攻撃力が110,防御力が55となる。
【0012】
ゲーム実行部20dはプレイヤの操作部の操作に従ってゲーム進行を行うもので、ゲームに登場する選択したキャラクタのパラメータ(能力値)はキャラクタ能力更新部20cで更新されたデータが用いられる。
勝敗情報書換え要求部20eはゲーム終了に伴い選択したキャラクタの勝敗結果が決定した場合、サーバ装置30に通信部22を介してアクセスし、サーバ装置内の勝敗情報の選択したキャラクタの勝敗情報を書き換えるよう要求する。
【0013】
図3は、サーバ装置の回路の実施の形態を示すブロック図である。
サーバ装置30はゲーム機の通信を行うためのインタフェース31,データを入出力するための入力部32および出力部33,データベース制御部38,データベース35,CPU34,メモリ部36およびバッファ部37を有している。
データベース35にはゲーム(1),(2)・・(n)毎に登場するキャラクタがあり、例えばゲーム(1)ではキャラクタA,B・・nであり、それぞれのキャラクタに対する勝敗データと勝率とが格納された勝敗テーブルを有している。データベース35はデータベース制御部38によりアクセスされ、各キャラクタ毎の勝敗データ,勝率が読み出され、更新された勝敗データ,勝率が書き込まれる。
【0014】
CPU34はメモリ部36に格納されているサーバ装置制御プログラムを読み出し、実行することにより要求受信部34a,要求解析部34b,サーバ制御部34cおよび出力制御部34dの各機能を備えている。バッファ部37は受信したデータを一時的に蓄積し、送信の場合にはCPU34からの送信データを一時的に蓄積するものである。
要求受信部34aは、インターフェース31,入力部32を介してゲーム機から勝敗情報の読出し要求,勝敗情報の書換え要求を受信するものである。要求受信部34aは、要求を受信すると、制御を要求解析部34bに渡す。要求解析部34bはどのような要求か、すなわち勝敗情報の読出し要求か、勝敗情報の書込み要求か、その他のデータの読出し,書込み要求かを判定するものである。サーバ制御部34cは要求の種類に応じて処理を実行するもので、例えば勝敗情報の読出し要求であれば、データベース制御部38に対し選択されたキャラクタの勝敗情報を読み出すようにコマンドによる指令を与える。また、勝敗情報の書込み要求であれば、同様にデータベース制御部38に対し選択されたキャラクタの勝敗情報を書込むようにコマンドによる指令を与える。
【0015】
つぎに図4を用いてプレイヤがゲームを行う場合のゲーム機およびサーバ装置の処理の流れを説明する。
ゲーム機10a,10bでは、CPU20のゲーム制御部20aが画像表示部3に待ち受け画面を表示している(ステップ(以下、「S」という)001)。この状態でプレイヤがコインを投入すると、その信号はCPU20に伝達され、ゲームが起動される(S002,003)。CPU20のゲーム制御部20aは画像表示部3にキャラクタを選択する画面を表示し、画面上の指示に従って、プレイヤが操作部2によってキャラクタを選択すると、勝敗情報読出し要求部20bはサーバ装置30に対し選択したキャラクタの勝敗情報(勝率なども含む)を要求する(S004)。
【0016】
サーバ装置30の要求受信部34aはデータ送信要求を受信したか否かを監視しており(S005)、データ送信要求を受けた場合、サーバ制御部34cに制御を渡す。サーバ制御部34cはデータベース35にアクセスし、該当するゲームの選択されたキャラクタの勝敗情報を読み出す。そして出力制御部34dが出力部33を制御しインタフェース31を介してゲーム機に送信する(S006)。
一方、ゲーム機側ではゲーム制御部20aが、要求したキャラクタの勝敗情報を受信したか否かを監視しており(S007)、受信した場合にはキャラクタ能力更新部20cがそのデータをCPU20に記憶する。
【0017】
このようにしてサーバ装置30から勝敗情報を受信すると、キャラクタ能力更新部20cは、サーバ装置30から送信された選択キャラクタの勝敗情報から、RAM17に読み出されている選択キャラクタの勝率対能力増減テーブル中の攻撃力および防御力のアップまたはダウン率を読み出し、アップまたはダウン率に対する攻撃力,防御力の増減値を算出する。そして、算出した増減値をRAM17中に読み出されている選択キャラクタの攻撃力,防御力の数値に加えることにより選択されたキャラクタの元の攻撃力,防御力を更新する(S009)。例えば、キャラクタAの勝率が図6に示すように0.8であれば、図5に示す勝率対能力増減テーブルでは攻撃力および防御力を15パーセントダウンさせるようにしている。
【0018】
これによりキャラクタの変更した能力はRAM17の所定のエントリに格納される(S010)。ゲームではこの更新したキャラクタの能力値が用いられる。
つぎにゲーム制御部20aはプレイヤがゲーム開始操作をした場合にはゲームを実行する(S011,S012)。プレイヤの操作に従ってゲームが進行する。ゲーム制御部20aはゲームを終了したか否かを監視し、ゲームを終了した場合にはゲーム機はサーバ装置30に勝敗の結果を送信する(S013,S014)。これによりサーバ装置30のサーバ制御部34cはデータベース35にアクセスし、勝敗情報を更新する(S015)。キャラクタAのゲーム勝敗結果は、例えば図6の例では、攻撃力,防御力がダウンしたため、(a)では当初8勝2敗,勝率0.8があったものが、(b)に示すように6勝4敗,勝率0.6になっている。
ゲーム機はゲーム制御部20aは画像表示部3にゲーム結果を表示し(S016)、ゲームを終了する。
【0019】
以上の実施の形態はキャラクタの能力を攻撃力,防御力の場合について説明したが、キャラクタの変更する能力は、攻撃の素早さ,成長の度合い,武器やアイテムの収集能力などであっても良い。また、勝敗情報として勝敗データ,勝率の他、勝敗に関する情報を含めることができる。
以上により、各キャラクタの勝敗は平均化され、バグなどにより一時的にあるキャラクタのみが極端に勝率か上がる,下がるという問題か生じた場合でも、本発明によりそのようなことは解消される。
【産業上の利用可能性】
【0020】
イベント会場やゲームセンタに設置され、ネットワークを介してサーバ装置に接続される、勝敗ゲームを行うことができるゲーム機である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるゲーム機とサーバ装置とからなるゲームシステムの概略を示す図である。
【図2】ゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
【図3】サーバ装置の回路の実施の形態示すブロック図である。
【図4】ゲームシステムの動作シーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図5】ゲーム機のキャラクタの勝敗対能力増減テーブルの一例を示す図である。
【図6】サーバ装置のデータベースに格納されているキャラクタ勝敗情報の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
2 操作部
3 画像表示部
4 通信ケーブル
13 コイン関連装置
14 コイン投入部
17 RAM
10a,10b ゲーム機
20,34 CPU
21 バックアップメモリ
22 通信部
24 入出力制御装置
25 バス
26 画像処理部
27 サウンド処理部
28 スピーカ
29 ROM
30 サーバ装置
31 インタフェース
32 入力部
33 出力部
35 データベース
36 メモリ部
37 バッファ部
38 データベース制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム機で登場するキャラクタについて勝率を含む勝敗情報をサーバ装置に蓄積するゲームシステムにおいて、
ゲーム起動時に前記サーバ装置にアクセスし、サーバ装置のデータベースから要求するキャラクタの勝敗情報を要求する手段と、
キャラクタ毎に各勝率に対するキャラクタの能力を増減する能力増減データを示すテーブルを格納する記憶手段と、
前記要求する手段の要求によってサーバ装置から送られてくるキャラクタの勝敗情報を受信し、前記テーブルを参照することによりキャラクタの勝率または勝敗数に対応する能力増減データを得、この能力増減データによるキャラクタの能力値を変更するキャラクタ能力更新手段と、
前記書き換えたキャラクタの能力値を用いてゲームを行うゲーム実行部と、
を備えたことを特徴とする勝敗によりキャラクタ能力を調整するゲーム機。
【請求項2】
前記キャラクタの能力値の1つは攻撃力の値であり、
前記能力増減データは、勝率または勝敗数が高い場合は、攻撃力の値を小さくし、勝率または勝敗数が低い場合は、攻撃力の値を高くするデータであることを特徴とする請求項1記載の勝敗によりキャラクタ能力を調整するゲーム機。
【請求項3】
前記キャラクタの能力値の1つは防御力の値であり、
前記能力増減データは、勝率または勝敗数が高い場合は、防御力の値を小さくし、勝率または勝敗数が低い場合は、防御力の値を高くするデータであることを特徴とする請求項1記載の勝敗によりキャラクタ能力を調整するゲーム機。
【請求項4】
ゲーム実行により勝敗結果が出た場合、前記サーバ装置にアクセスしてデータベースの勝敗情報を書き換える勝敗情報書換要求手段を有することを特徴とする請求1,2または3記載の勝敗によりキャラクタ能力を調整するゲーム機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate