説明

勤怠管理システム、勤怠記録装置、勤怠管理システムの制御方法、プログラム

【課題】制御装置の稼動状態に拘らず、勤怠記録装置側で勤怠情報の入力が可能であり、
且つほぼリアルタイムに勤怠記録装置の勤怠情報を制御装置へ送信可能であるとともに、
勤怠記録装置に記憶された勤怠情報が記憶容量一杯となる虞を軽減し得る勤怠管理システ
ムを提供することをその課題とする。
【解決手段】入力された勤怠情報を記憶する勤怠記録装置10は、周期的に勤怠情報の送
信可否を制御装置に問い合わせる問合せ部32と、制御装置50による「送信可」の応答
に応じて、勤怠情報を送信する勤怠情報送信部33と、記憶した勤怠情報のうち、送信済
みの勤怠情報を削除する勤怠情報削除部34と、を備え、制御装置50は、問い合わせに
応じて勤怠情報の送信可否を勤怠記録装置10に応答する送信可否応答部71と、勤怠情
報を勤怠記録装置10から取り込む勤怠情報取込部72と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勤怠情報を記憶する勤怠記録装置と、当該勤怠記録装置の勤怠情報を取り込
む制御装置と、から成る勤怠管理システム、勤怠記録装置、勤怠管理システムの制御方法
、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、企業において従業員の勤怠を管理する勤怠管理システムの一例として、従業員が
勤怠情報を入力(打刻)する勤怠記録装置、いわゆるタイムレコーダに入力された勤怠情
報をタイムレコーダ自身が一時的に記憶しておき、記憶したこの勤怠情報をタイムレコー
ダから収集し、所定の集計プログラムを備えた制御装置に入力して勤怠情報を管理するシ
ステムが知られている。この種のシステムを利用することにより、従来のタイムカードに
よる打刻方式と比べて、勤務時間の集計を手作業で行う必要がないため、事務処理の負担
が大幅に軽減されるとともに、人為的なミスを防ぐことが可能となった。
【特許文献1】特開平09−044713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述のシステムにおいて、タイムレコーダの勤怠情報を制御装置へ移行する処
理は、主に人手を介して行われることが一般的である。具体的には、タイムレコーダの勤
怠情報を所定の記憶媒体に格納し、この記憶媒体を制御装置に装着する、といった作業を
必要とする。このような煩雑な作業が必要であることから、制御装置への勤怠情報の取り
込みは、例えば月に一回のように一括して行われることが多いため、制御装置側でリアル
タイムに勤怠情報を把握することが不可能であり、大変不便であった。また、タイムレコ
ーダに記憶された勤怠情報が記憶容量一杯となった場合、タイムレコーダが新たな勤怠情
報を記憶することが不能になる事態も想定される。
【0004】
そこで、人手を介することなくリアルタイムに勤怠情報をタイムレコーダから制御装置
へと送信可能にシステムを構成することが望ましいが、かかる場合、制御装置が非稼動状
態(電源OFF状態)である場合には、勤怠情報を制御装置に送信することができない。
そのため、タイムレコーダにおける勤怠情報の入力処理を停止せざるを得ず実用的でない

【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑み、勤怠情報を記憶する勤怠記録装置と、当該勤怠記録装
置の勤怠情報を取り込む制御装置と、から成る勤怠管理システムにおいて、制御装置の稼
動状態に拘らず、勤怠記録装置側で勤怠情報の入力が可能であり、且つほぼリアルタイム
に勤怠記録装置の勤怠情報を制御装置へ送信可能であるとともに、勤怠記録装置に記憶さ
れた勤怠情報が記憶容量一杯となる虞を軽減し得る勤怠管理システム、勤怠記録装置、勤
怠管理システムの制御方法、プログラムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の勤怠管理システムは、勤怠情報を記録する勤怠記録装置と、当該勤怠記録装置
の勤怠情報を取り込む制御装置と、がネットワーク接続された勤怠管理システムであって
、勤怠記録装置は、入力された前記勤怠情報を記憶する記憶手段と、周期的に勤怠情報の
送信可否を前記制御装置に問い合わせる問合せ手段と、制御装置による「送信可」の応答
に応じて、勤怠情報を送信する勤怠情報送信手段と、記憶した勤怠情報のうち、送信済み
の勤怠情報を削除する勤怠情報削除手段と、を備えるとともに、制御装置は、問い合わせ
に応じて、勤怠情報の送信可否を勤怠記録装置に応答する送信可否応答手段と、勤怠情報
を勤怠記録装置から取り込む勤怠情報取込手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
同様に、本発明の勤怠管理システムの制御方法は、勤怠情報を記録する勤怠記録装置と
、当該勤怠記録装置の勤怠情報を取り込む制御装置と、がネットワーク接続された勤怠管
理システムの制御方法であって、勤怠記録装置が、入力された勤怠情報を記憶する記憶工
程と、周期的に勤怠情報の送信可否を制御装置に問い合わせる問合わせ工程と、制御装置
による「送信可」の応答に応じて、勤怠情報を送信する勤怠情報送信工程と、記憶した勤
怠情報のうち、送信済みの勤怠情報を削除する勤怠情報削除工程と、を実行するとともに
、制御装置が、問い合わせに応じて、勤怠情報の送信可否を勤怠記録装置に応答する送信
可否応答工程と、勤怠情報を勤怠記録装置から取り込む勤怠情報取込工程と、を実行する
ことを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、勤怠記録装置において、制御装置へ勤怠情報の送信可否を問い
合わせ、制御装置による「送信可」の応答に応じて勤怠情報を送信するので、勤怠情報の
送信処理を確実なものとすることができる。すなわち、制御装置が非稼動状態(電源OF
F状態)であるときには、勤怠情報を送信することなく、制御装置が稼動状態(電源ON
状態)となるまで、勤怠記録装置において勤怠情報が記憶されていることから、制御装置
の稼動状態に拘らず、勤怠記録装置において勤怠情報の入力が可能となる。また、勤怠記
録装置に記憶した勤怠情報のうち、送信済みとなった勤怠情報を削除するので、故障や不
具合により制御装置の非稼動状態が長時間継続するといったトラブルが生じない限り、勤
怠記録装置に記憶した勤怠情報が記憶容量一杯となる虞がない。なお、勤怠情報の送信可
否を問い合わせる周期は、可能な限り短時間とすることが好ましい。これにより、ほぼリ
アルタイムに勤怠情報を制御装置に送信することができる。
【0009】
この場合、制御装置は、勤怠情報の取り込みを完了した旨を表す「取込完了」を勤怠記
録装置へ報告する取込完了報告手段、をさらに備え、勤怠情報削除手段は、制御装置によ
る「取込完了」の報告に応じて、送信済みの勤怠情報を削除することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、制御装置からの「取込完了」の報告に応じて、送信済みの勤怠情報
を削除するので、何らかの不具合により制御装置が取り込むことができなかった勤怠情報
が、勤怠記録装置において誤って削除される虞がない。
【0011】
また、この場合、記憶手段は、勤怠情報を一時的に格納する一時ファイル、および送信
対象となる勤怠情報を格納する送信ファイル、を有しており、勤怠情報削除手段は、制御
装置による「送信可」の応答に応じて、一時ファイルの勤怠情報を送信ファイルに移動す
るとともに、制御装置による「取込完了」の報告に応じて、送信ファイルの勤怠情報を削
除することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、勤怠情報を一時的に記憶する一時ファイルと、送信対象となる勤怠
情報を格納する送信ファイルと、を有することにより、勤怠情報の送信中に新たな勤怠情
報が入力されたとしても、入力された勤怠情報は一時ファイルに格納される。すなわち、
勤怠情報の送信処理と勤怠情報の入力処理とを並行して実行することが可能となる。また
、送信ファイルに移動された一時ファイルの勤怠情報が削除されるとともに、送信済みと
なった送信ファイルの勤怠情報が削除されるので、送信済みの勤怠情報が削除されること
はもちろん、一時ファイルおよび送信ファイルに同一のデータが重複して格納されること
もない。
【0013】
また、この場合、記憶手段は、一時ファイルおよび送信ファイルを日付単位で有してい
ることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、入力された勤怠情報を日にち単位で記憶および送信することができ
る。すなわち、異なる日付のデータが同一のファイルに混同することがないため、データ
の管理が容易となる。
【0015】
さらにこれらの場合、勤怠記録装置および制御装置が、無線LANによりネットワーク
接続されていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、勤怠記録装置および制御装置の設置場所を、無線LANの電波が届
く範囲において自在に設定することができる。例えば、制御装置が室内にあっても勤怠記
録装置を室内の出入口に設置するといったことが可能となる。
【0017】
この勤怠記録装置を用いることにより、制御装置の稼動状態に拘らず、勤怠記録装置側
で勤怠情報の入力が可能であり、且つほぼリアルタイムに勤怠記録装置の勤怠情報を制御
装置へ送信可能であるとともに、勤怠記録装置に記憶された勤怠情報が記憶容量一杯とな
る虞を軽減し得る勤怠管理システムを実現することができる。
【0018】
本発明のプログラムは、上記のいずれか1に記載の勤怠管理システムの勤怠記録装置ま
たは制御装置における各手段をコンピュータに実行させるためのものであることを特徴と
する。
【0019】
このプログラムをコンピュータが実行することにより、制御装置の稼動状態に拘らず、
勤怠記録装置側で勤怠情報の入力が可能であり、且つほぼリアルタイムに勤怠記録装置の
勤怠情報を制御装置へ送信可能であるとともに、勤怠記録装置に記憶された勤怠情報が記
憶容量一杯となる虞を軽減し得る勤怠管理システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る勤怠管理システム、勤怠記録装置、勤怠管理システム
の制御方法、プログラムについて、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る勤怠管理システム1のシステム構成図である。同図に示すよ
うに、本実施形態の勤怠管理システム1は、勤怠情報を記憶する勤怠記録装置10と、こ
の勤怠記録装置10に記憶された勤怠情報を取り込む制御装置50と、から構成されてお
り、両装置は通信インターフェース14,54を介して例えばBluetooth等の無線を介し
てネットワーク接続されている。なお、勤怠記録装置10および制御装置50の接続形態
は、無線接続に限らず他にもUSBやRS232C規格を採用した有線接続でもよい。
【0022】
勤怠記録装置10は、いわゆるタイムレコーダであり、カードリーダ等の入力デバイス
11、入力データや処理結果を表示するディスプレイ12、現在時刻を計時する時計回路
13、並びに通信インターフェース14を備え、これらはそれぞれ入出力インターフェー
ス15に接続されている。また勤怠記録装置10は、CPU16、ROM17、RAM1
8を備え、これらは内部バスを介して入出力インターフェース15と接続されている。な
お、RAM18は電源が切断されても記憶したデータを保持しておくよう常にバックアッ
プされている。
【0023】
CPU16は、ROM17内の制御プログラムに従って、入出力インターフェース15
を介し勤怠記録装置10の各部から各種信号・データを入力すると共に、入力した各種信
号・データに基づいてRAM18内の各種データを処理する。さらに、入出力インターフ
ェース15を介して勤怠記録装置10内の各部に各種信号・データを出力することにより
、各種処理の制御を行う。また、ROM17には、基本ソフトとなる組み込み用のOS1
9、および勤怠情報の入力や送信処理を行うための勤怠情報記録プログラム20が記憶さ
れている。
【0024】
一方、制御装置50は、キーボードやマウス等の入力デバイス51、入力データや処理
結果を表示するディスプレイ52、ハードディスク53(以下、「HD53」と表記する
)、および通信インターフェース54を備え、これらはそれぞれ入出力インターフェース
55に接続されている。また制御装置50は、CPU56、ROM57、RAM58を備
え、これらは内部バスを介して入出力インターフェース55と接続されている。
【0025】
HD53には、OS59および各種デバイスを制御するためのドライバ60が組み込ま
れるとともに、勤怠記録装置10から勤怠情報を取り込み、取り込んだ勤怠情報を入力デ
ータとして勤怠管理を行う勤怠管理プログラム61が記憶されている。なお、勤怠記録装
置10から取り込んだ勤怠情報はデータベースDBに保存される。
【0026】
続いて図2を参照し、本実施形態に係る勤怠管理システム1の機能構成について説明す
る。
【0027】
勤怠記録装置10は、記憶部31、問合せ部32、勤怠情報送信部33、勤怠情報削除
部34、を備えている。記憶部31は、上述のRAM18で構成されるものであり、勤怠
記録装置10に入力された勤怠情報を記憶する。また、記憶部31は勤怠情報を一時的に
格納する一時ファイル35と、制御装置50への送信対象とする勤怠情報を格納する送信
ファイル36と、を作成し記憶する。なお、一時ファイル35および送信ファイル36は
日付単位で作成され、本実施形態では送信ファイル36に限りさらに時間単位で作成され
るものとする。問合せ部32は、勤怠情報の送信可否を制御装置50へ問い合わせる。勤
怠情報送信部33は、後述する制御装置50の送信可否応答部71による「送信可」の応
答に応じて、送信ファイル36(に格納された勤怠情報)を制御装置50へ送信する。な
お、これら問合せ部32および勤怠情報送信部33は、CPU16が勤怠情報記録プログ
ラム20に従って、また通信インターフェース14と協働して各種の処理を実行すること
により実現されるものである。
【0028】
勤怠情報削除部34は、制御装置50の送信可否応答部71による「送信可」の応答に
応じて、一時ファイル35に格納された勤怠情報を送信ファイル36に移動する。また、
後述する制御装置50の取込完了報告部73による「取込完了」の報告に応じて、送信フ
ァイル36に格納された勤怠情報を削除する。なお、勤怠情報削除部34は、上述の問合
せ部32および勤怠情報送信部33と同様に、CPU16が勤怠情報記録プログラム20
に従って、各種の処理を実行することにより実現されるものである。
【0029】
一方制御装置50は、送信可否応答部71、勤怠情報取込部72、および取込完了報告
部73を有している。送信可否応答部71は、上述した勤怠記録装置10の問合せ部32
からの問い合わせに応じて、勤怠情報の送信可否を応答する。具体的には、制御装置50
が勤怠情報を取り込める状況である場合、例えば稼動状態(電源ON状態)であるときに
は「送信可」を応答し、制御装置50が勤怠情報を取り込ない状況である場合、例えば非
稼動状態(電源OFF状態)であるときには応答しない。勤怠情報取込部72は、勤怠記
録装置10から送信された勤怠情報を受信し、HD53のデータベースDBに保存する。
取込完了報告部73は、勤怠情報取込部72によって、勤怠情報の受信および保存処理が
正常に完了した場合、その旨を勤怠記録装置10へ報告する。
【0030】
なお、これら送信可否応答部71、勤怠情報取込部72、および取込完了報告部73は
、CPU56が勤怠管理プログラム61に従って、また通信インターフェース54と協働
して各種の処理を実行することにより実現されるものである。また、勤怠記録装置10の
問合せ部32による送信可否の問い合わせ、制御装置50の送信可否応答部71による送
信可否の応答、および同じく制御装置50の取込完了報告部73による取込完了の報告は
、制御装置50または勤怠記録装置10へ所定の信号を送信することにより実現されるこ
とは言うまでもない。なお、制御装置50が勤怠情報を取り込めない状況であるとき、「
送信不可」を勤怠記録装置10に送信してもよい。
【0031】
続いて、勤怠記録装置10における勤怠情報の入力処理について図3を参照して説明す
る。同図は、勤怠情報を入力するための勤怠情報入力画面D1を例示するものである。図
示するように、勤怠情報入力画面D1は、現在時刻を表示する時刻表示部D1a、勤怠情
報の入力区分を選択する入力区分選択部D1b、および入力ボタン101を有している。
【0032】
時刻表示部D1aには、時計回路13(図1参照)から取得した現在時刻が常時表示さ
れる。入力区分選択部D1bには入力区分として、出勤時刻を表す「出」、外出時刻を表
す「外」、外出からの戻り時刻を表す「戻」、退出時刻を表す「退」が表示されている。
そして、ユーザが勤怠情報を入力する場合、入力区分選択部D1bにおいて入力区分を選
択し、例えば自身を識別する社員カードをカードリーダに通し、入力ボタンを選択する。
例えば入力区分が「出」であった場合、入力ボタン選択時の時刻が、社員番号XXである
社員の出勤時刻としてデータベースDBに記憶される。
【0033】
なお、入力ボタンを省略し、社員カードがカードリーダに通された時刻をデータベース
DBに記憶する構成でもよい。さらに、社員番号(ユーザを識別するための識別情報)の
入力はカードリーダを介する入力に限らず、キーボードやバーコードリーダ、更には指紋
認証装置や静脈認証装置を介して入力してもよい。
【0034】
ここで、勤怠記録装置10および制御装置50に記憶される勤怠情報について具体的に
説明する。図4(a)は制御装置50に取り込まれる以前の勤怠情報を例示するものであ
り、図4(b)は制御装置50への取り込みが完了した勤怠情報を例示するものである。
同図(a)および(b)に示す勤怠情報は、「年月日」、「時刻」、「名前(ユーザID
)」、「入力区分」、「フラグ」といった各項目を有し、各項目に対応する項目情報が関
連付けられている。そして「フラグ」項目には、勤怠情報が制御装置50に取り込まれた
否かを表す情報が記憶される。図示の例では、制御装置50に取り込まれる前の状態では
、フラグ項目に「未済み」が格納され(同図(a)参照)、これが制御装置50へ送信さ
れ、HDのデータベースDBへの保存が完了すると、フラグ項目の「未済み」が「済み」
に置換えられる(同図(b)参照)。
【0035】
さらに、本実施形態に係る勤怠管理システム1における、勤怠情報の送受信処理を中心
とした全体処理について、図5および図6に示すタイムチャート図を参照しながら説明す
る。
【0036】
両図に示すタイムチャート図は、2005年9月27日午前7時から2005年9月2
8日午前9時頃までにおける、勤怠記録装置10および制御装置50の処理フローの一例
を表している。以下、順に説明する。
【0037】
図5に示すように、午前7時の段階では、勤怠記録装置10および制御装置50ともに
電源OFF状態となっている。そして、午前7時10分になると、勤怠記録装置10が起
動し、本日(2005年9月27日)に入力される勤怠情報を一時的に格納するための一
時ファイル35(20050927.txt)を作成する。そして、午前7時18分に社員番
号「005」の社員が、午前7時47分に社員番号「003」の社員が出勤時刻を入力し
た場合、入力された勤怠情報は一時ファイル35(20050927.txt)に保存される

【0038】
そして午前8時になると、勤怠記録装置10の問合せ部32は、制御装置50へ勤怠情
報の送信可否を問い合わせる。このとき、制御装置50は電源OFF状態であることから
、制御装置50からの応答はなく、勤怠記録装置10は勤怠情報が送信不可能であると判
断する。その後、午前8時20分に社員番号「001」の社員が、午前8時21分に社員
番号「008」の社員がそれぞれ出勤時刻を入力し、さらに午前8時50分に社員番号「
001」の社員が外出時刻を入力し、午前8時59分に社員番号「006」の社員が出勤
時刻を入力したとする。このとき、入力された勤怠情報は続けて一時ファイル35(20
050927.txt)に保存される。
【0039】
一方、制御装置50は午前8時30分に電源ONとなり、稼動状態となる。そして午前
9時になると、勤怠記録装置10の問合せ部32は、制御装置50へ勤怠情報の送信可否
を問い合わせる。このとき、制御装置50は電源ON状態であり、制御装置50の送信可
否応答部71により「送信OK」が勤怠記録装置10へ送信される。この「送信OK」に
応じて、勤怠記録装置10の勤怠情報削除部34は、送信ファイル36(2005092
7_0900.txt)を作成するとともに、一時ファイル35(20050927.txt)の
勤怠情報を送信ファイル36へ移動する(従って一時ファイル35(20050927.t
xt)の中身はクリアされる)(午前9時01分)。
【0040】
そして勤怠情報送信部33により、送信ファイル36(20050927_0900.t
xt)が制御装置50へ送信される(午前9時02分)。一方制御装置50は、送信ファイ
ル36(20050927_0900.txt)を受信し、HDのデータベースDBへ送信フ
ァイル36(20050927_0900.txt)の勤怠情報を取り込む(午前9時02分
)。また、このとき上述のように勤怠情報の「フラグ」項目が「未済み」から「済み」に
置換えられる(午前09時03分)。データベースDBへの勤怠情報の取り込みを完了す
ると、取込完了報告部73により、「取込完了」が勤怠記録装置10へ報告される(午前
9時03分)。これを受け、勤怠記録装置10の勤怠情報削除部34は、送信済みとなっ
た送信ファイル36(20050927_0900.txt)を削除する(午前09時04分
)。
【0041】
また、これに前後して、午前9時03分に社員番号「007」の社員が、午前9時18
分に社員番号「002」の社員が、午前9時28分に社員番号「004」の社員が、それ
ぞれ出勤時刻を入力した場合、入力された勤怠情報は中身をクリアされた一時ファイル3
5(20050927.txt)に保存される。
【0042】
続く図6に示すように、これらの処理が毎時間ずつ繰り返されることにより、午後9時
04分の時点で制御装置50には複数の送信ファイル36(20050927_0900
.txt〜20050927_2100.txt)の勤怠情報がデータベースDBへ取り込まれて
おり、また勤怠記録装置10では、送信ファイル36(20050927_2100.txt
)作成時に中身をクリアされた一時ファイル35(20050927.txt)のみが保存さ
れている(送信ファイル36(20050927_2100.txt)は既に削除されている
)。
【0043】
午後9時15分になると、制御装置50は再び電源OFF状態となる。一方勤怠記録装
置10では、午後9時10分に社員番号「003」の社員が退出時刻を入力し、午後9時
25分に社員番号「001」の社員が外出戻り時刻を入力し、午後9時50分に社員番号
「002」の社員が退出時刻を入力したとする。入力されたこれらの勤怠情報は上述した
様に一時ファイル35(20050927.txt)に保存される。
【0044】
そして午後10時になると、勤怠記録装置10の問合せ部32は、制御装置50へ勤怠
情報の送信可否を問い合わせる。このとき、制御装置50は電源OFF状態であることか
ら制御装置50からの応答はなく、勤怠記録装置10は勤怠情報が送信不可能であると判
断する。その後、午後10時07分に社員番号「004」の社員が、午後10時15分に
社員番号「001」の社員がそれぞれ退出時刻を入力したとする。このとき、入力された
勤怠情報は続けて一時ファイル35(20050927.txt)に保存される。
【0045】
さらに午前0時に達すると、勤怠記録装置10は、一時ファイル35を日付単位で作成
するため、本日(2005年9月28日)に入力される勤怠情報を一時的に格納するため
の一時ファイル35(20050928.txt)を作成する。また、これ以降入力される勤
怠情報は全て一時ファイル35(20050928.txt)に保存するため、勤怠情報削除
部34は、前日(2005年9月27日)分の一時ファイル35(20050927.txt
)の勤怠情報を送信ファイル36(20050927_2400.txt)へ移動し、前日分
の一時ファイル35(20050927.txt)を削除する。
【0046】
再び朝を迎え、午前7時15分に社員番号「005」の社員が、午前7時46分に社員
番号「003」の社員がそれぞれ出勤時刻を入力したとすると、入力された勤怠情報は午
前0時に作成された一時ファイル35(20050928.txt)に保存される。
【0047】
そして午前8時になると、勤怠記録装置10の問合せ部32は、制御装置50へ勤怠情
報の送信可否を問い合わせる。このとき、制御装置50は電源OFF状態であることから
、制御装置50からの応答はなく、勤怠記録装置10は勤怠情報が送信不可能であると判
断する。その後、午前8時18分に社員番号「001」の社員が、午前8時20分に社員
番号「008」の社員が、さらに午前8時57分に社員番号「006」の社員がそれぞれ
出勤時刻を入力したとする。このとき、入力された勤怠情報は続けて一時ファイル35(
20050928.txt)に保存される。
【0048】
一方、制御装置50は午前8時30分に電源ONとなり、稼動状態となる。そして午前
9時になると、勤怠記録装置10の問合せ部32は、制御装置50へ勤怠情報の送信可否
を問い合わせる。このとき、制御装置50は電源ON状態であり、制御装置50の送信可
否応答部71により「送信OK」が勤怠記録装置10へ送信される。この「送信OK」に
応じて、勤怠記録装置10の勤怠情報削除部34は、送信ファイル36(2005092
8_0900.txt)を作成するとともに、一時ファイル35(20050928.txt)の
勤怠情報を送信ファイル36へ移動する(従って一時ファイル35(20050928.t
xt)の中身はクリアされる)(午前9時01分)。
【0049】
ここで勤怠記録装置10は、送信ファイル36(20050928_0900.txt)を
送信する前に、前日(2005年9月27日)分の勤怠情報でまだ未送信である勤怠情報
(午後9時以降午前0時迄に入力された勤怠情報)が保存された送信ファイル36(20
050927_2400.txt)を先に送信し、続けて送信ファイル36(2005092
8_0900.txt)を送信する(午前9時02分)。
【0050】
一方制御装置50は、送信ファイル36(20050927_2400.txt)および送
信ファイル36(20050928_0900.txt)を受信し、HDのデータベースDB
へこれら送信ファイル36の勤怠情報を取り込む(午前9時02分)。また、このとき上
述のように勤怠情報の「フラグ」項目が「未済み」から「済み」に置換えられる(午前0
9時03分)。データベースDBへの勤怠情報の取り込みを完了すると、取込完了報告部
73により、「取込完了」が勤怠記録装置10へ報告される(午前9時03分)。これを
受け、勤怠記録装置10の勤怠情報削除部34は、送信済みとなった送信ファイル36(
20050927_2400.txt)および送信ファイル36(20050928_090
0.txt)を削除する(午前09時04分)。
【0051】
なお、説明の便宜上、勤怠記録装置10が指定された時間に電源OFFから電源ONに
なる場合(9月27日)と、常時電源ONである場合(9月28日)との双方を例示した
が、何れか一方に統一させてもよい。そして、勤怠記録装置10を指定された時間に電源
OFFから電源ONになるように設定した場合、日付が変わる午前0時に行う処理につい
ては、起動直後(電源ONになった直後)に実行すればよい。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る勤怠管理システム1は、勤怠記録装置10にお
いて、制御装置50へ勤怠情報の送信可否を問い合わせ、制御装置50による「送信可」
の応答に応じて勤怠情報を送信するので、勤怠情報の送信を確実なものとすることができ
る。
【0053】
すなわち、制御装置50が非稼動状態(電源OFF状態)であるときには、勤怠情報を
送信することなく、制御装置50が稼動状態(電源ON状態)となるまで、勤怠記録装置
10において勤怠情報が記憶されていることから、制御装置50の稼動状態に拘らず、勤
怠記録装置10において勤怠情報の入力が可能となる。また、勤怠記録装置10に記憶し
た勤怠情報のうち、送信済みとなった勤怠情報を削除するので、故障や不具合により、制
御装置50の非稼動状態が長時間継続するといったトラブルが生じない限り、勤怠記録装
置10に記憶した勤怠情報が記憶容量一杯となる虞がない。
【0054】
なお、本実施形態では、1時間毎に勤怠記録装置10が送信可否を問い合わせているが
、この問合せ周期をさらに短縮させてもよい。これによって、よりリアルタイムに制御装
置50が勤怠記録装置10から勤怠情報を取り込むことができる。
【0055】
また、上記の例に示した勤怠管理システム1の各機能をプログラムとして提供すること
も可能である。また、そのプログラムを記録媒体(図示省略)に格納して提供することも
可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コン
パクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリスティック等)、コンパクト
ディスク、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク
、ハードディスク等を利用可能である。
【0056】
なお、上記の実施形態における勤怠管理システム1の例によらず、装置構成や処理工程
等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】勤怠管理システムのシステム構成図である。
【図2】勤怠管理システムの機能構成図である。
【図3】勤怠情報入力画面の一例を示す図である。
【図4】未送信(a)および送信済み(b)である勤怠情報を例示する図である。
【図5】勤怠情報の送受信処理を中心とした全体処理の流れを示すタイムチャート図である。
【図6】図5に続くタイムチャート図である。
【符号の説明】
【0058】
1…勤怠管理システム 10…勤怠記録装置 31…記憶部 32…問合せ部 33…
勤怠情報送信部 34…勤怠情報削除部 50…制御装置 71…送信可否応答部 72
…勤怠情報取込部 73…取込完了報告部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
勤怠情報を記録する勤怠記録装置と、当該勤怠記録装置の勤怠情報を取り込む制御装置
と、がネットワーク接続された勤怠管理システムであって、
前記勤怠記録装置は、
入力された前記勤怠情報を記憶する記憶手段と、
周期的に前記勤怠情報の送信可否を前記制御装置に問い合わせる問合せ手段と、
前記制御装置による「送信可」の応答に応じて、前記勤怠情報を送信する勤怠情報送信
手段と、
記憶した前記勤怠情報のうち、送信済みの勤怠情報を削除する勤怠情報削除手段と、を
備えるとともに、
前記制御装置は、
前記問い合わせに応じて、前記勤怠情報の送信可否を前記勤怠記録装置に応答する送信
可否応答手段と、
前記勤怠情報を前記勤怠記録装置から取り込む勤怠情報取込手段と、を備えることを特
徴とする勤怠管理システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記勤怠情報の取り込みを完了した旨を表す「取込完了」を前記勤怠記録装置へ報告す
る取込完了報告手段、をさらに備え、
前記勤怠情報削除手段は、前記制御装置による「取込完了」の報告に応じて、前記送信
済みの勤怠情報を削除することを特徴とする請求項1に記載の勤怠管理システム。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記勤怠情報を一時的に格納する一時ファイル、および送信対象とな
る勤怠情報を格納する送信ファイル、を有しており、
前記勤怠情報削除手段は、前記制御装置による「送信可」の応答に応じて、前記一時フ
ァイルの勤怠情報を前記送信ファイルに移動するとともに、前記制御装置による「取込完
了」の報告に応じて、前記送信ファイルの勤怠情報を削除することを特徴とする請求項2
に記載の勤怠管理システム。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記一時ファイルおよび前記送信ファイルを日付単位で有しているこ
とを特徴とする請求項3に記載の勤怠管理システム。
【請求項5】
前記勤怠記録装置および前記制御装置が、無線LANによりネットワーク接続されてい
ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の勤怠管理システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の勤怠管理システムに用いられる勤怠記録装置

【請求項7】
勤怠情報を記録する勤怠記録装置と、当該勤怠記録装置の勤怠情報を取り込む制御装置
と、がネットワーク接続された勤怠管理システムの制御方法であって、
勤怠記録装置が、
入力された勤怠情報を記憶する記憶工程と、
周期的に前記勤怠情報の送信可否を前記制御装置に問い合わせる問合わせ工程と、
前記制御装置による「送信可」の応答に応じて、前記勤怠情報を送信する勤怠情報送信
工程と、
記憶した前記勤怠情報のうち、送信済みの勤怠情報を削除する勤怠情報削除工程と、を
実行するとともに、
前記制御装置が、
前記問い合わせに応じて、前記勤怠情報の送信可否を前記勤怠記録装置に応答する送信
可否応答工程と、
前記勤怠情報を前記勤怠記録装置から取り込む勤怠情報取込工程と、を実行することを
特徴とする勤怠管理システムの制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の勤怠管理システムの勤怠記
録装置または制御装置における各手段を機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−164316(P2007−164316A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357273(P2005−357273)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】