説明

匂いを抑制する吸水性ポリマー粒子の製造方法

エチレン性不飽和の、酸基を有するモノマーを基礎とする、匂いを抑制する吸水性ポリマー粒子の製造方法であって、その際前記酸基は35〜75mol%が中和されており、かつ前記ポリマー粒子はキレート形成剤でコーティングされている製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、エチレン性不飽和の、酸基を有するモノマーを基礎とする、匂いを抑制する吸水性ポリマー粒子であって、その際前記酸基は35〜75mol%が中和されており、かつ前記ポリマー粒子はキレート形成剤でコーティングされている吸水性ポリマー粒子の製造方法に関する。
【0002】
吸水性ポリマー粒子の製造は、モノグラフィー"Modern Superabsorbent Polymer Technology",F.L.Buchholz及びA.T.Graham,Wiley−VCH,1998,第71頁〜第103頁に記載される。
【0003】
吸水性ポリマーは、おむつ、タンポン、生理用ナプキン及びその他の衛生用品を製造するために使用されるが、農業園芸における保水剤としても使用される。
【0004】
WO2006/109842 A1は、吸水性ポリマー粒子の製造方法であって、モノマー溶液が定義された含有量のヒドロキノンモノメチルエーテル及び鉄及び少量のプロトアネモニン及びフルフラールを用いて重合される製造方法を記載する。
【0005】
本発明の課題は、匂いを抑制する吸水性ポリマー粒子の製造のための改善された方法を提供することであった。
【0006】
前記課題は、以下の工程
i)エチレン性不飽和の、酸基を有するモノマー少なくとも1種を塩基を用いて中和度35〜75mol%にまで中和する工程、その際、前記塩基は0.0005質量%より少ない鉄イオンを含み、かつ、前記塩基の運搬のために使用される導通部がステンレス鋼及び/又はポリマー材料から構成される、
ii)少なくとも1種の架橋剤及び少なくとも1種の開始剤の存在下でのこの中和したモノマーの重合工程、その際、前記開始剤は実質的に鉄イオン不含である、
iii)この得られたポリマーゲルの乾燥工程、
iv)この乾燥したポリマーゲルの、ポリマー粒子への破砕工程、
v)この得られたポリマー粒子の分級工程、及び
vi)任意に、この分級されたポリマー粒子の表面後架橋工程、
その際、前記ポリマー粒子は0.01〜1質量%の少なくとも1種のキレート形成剤でコーティングされる
を含む吸水性ポリマー粒子の製造方法により解決された。
【0007】
この中和度は、好ましくは40〜70mol%、より好ましくは45〜65mol%、特に好ましくは48〜62mol%、特にとりわけ好ましくは50〜60mol%である。
【0008】
この塩基は、好ましくは0.0001質量%未満、特に好ましくは0.00002質量%未満、特にとりわけ好ましくは0.00001質量%未満の鉄イオンを含む。
【0009】
適したステンレス鋼は、例えば少なくとも0.08質量%の炭素を有する、オーステナイト鋼である。好ましくは、このオーステナイト鋼は、鉄、炭素、クロム、ニッケル及び任意にモリブデンの他に、さらに更なる合金成分、好ましくはニオブ又はチタンを含む。
【0010】
この好ましいステンレス鋼は、DIN EN10020に応じた原材料番号1.45××を有するステンレス鋼であり、その際××は0〜99の自然数であることができる。特に好ましい原材料は、原材料番号1.4541及び1.4571を有する鋼、特に原材料番号1.4541を有する鋼である。
【0011】
適したポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルクロリド、エポキシド樹脂及びシリコーン樹脂である。特に極めて好ましくはポリプロピレンである。
【0012】
この使用される開始剤システムは実質的に鉄イオン不含であり、その際、この使用される開始剤システムは、そのつどこの開始剤システムの全量に対して、好ましくは0.1質量%未満、特に好ましくは0.01質量%未満、特にとりわけ好ましくは0.001質量%未満の鉄イオンを含む。
【0013】
キレート形成剤は、多価の金属イオンとキレート結合できる、少なくとも2個の官能基を有する化合物である。
【0014】
適したキレート形成剤は、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イミノ二酢酸、2,2′,2″−トリアミノトリエチルアミン、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ジメチルグリオキム、8−ヒドロキシキノリン、2,2′−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、ジメルカプトコハク酸である。
【0015】
官能基として、酸基、特にカルボン酸基が好ましい。
【0016】
この少なくとも1種のキレート形成剤は、好ましくは少なくとも1個の、特に好ましくは少なくとも2個のアミノカルボン酸基を含む。
【0017】
このアミノカルボン酸基は、好ましくはアミノ二酢酸基である。
【0018】
好ましくは、このキレート形成剤の酸基は中和されており、すなわち、このキレート形成剤は好ましくは中和された形で使用される。
【0019】
アミノ二酢酸基を有する適したキレート形成剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸の四ナトリウム塩、メチルグリシン二酢酸の三ナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸の三ナトリウム塩、及びジエチレントリアミン五酢酸の五ナトリウム塩である。
【0020】
前記ポリマー粒子は好ましくは、0.02〜0.5質量%、特に好ましくは0.05〜0.3質量%、特にとりわけ好ましくは0.1〜0.2質量%のキレート形成剤でコーティングされる。
【0021】
前記ポリマー粒子のコーティングは好ましくは、可動式混合装置を有する混合機を用いて実施される。この表面後架橋のために使用可能な混合機は、本発明によるコーティングのためにも使用されることができる。
【0022】
この分級v)の後に又はこの任意の表面後架橋vi)の後に得られるポリマー粒子を、錯体形成剤でコーティングすることも可能である。更に、このコーティングを、前記表面後架橋と同時に行うこともできる。
【0023】
好ましくは、このキレート形成剤は、ポリマー粒子へのコーティングのために、適した溶媒、好ましくは水中の溶液として吹付けられる。
【0024】
本発明の好ましい一実施態様において、この吸水性ポリマー粒子は還元剤及び/又は亜鉛塩でコーティングされる。
【0025】
適した還元剤は、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム(重亜硫酸ナトリウム)、ナトリウムジチオニット、スルフィン酸及びその塩、アスコルビン酸、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、並びにホスフィン酸及びその塩である。しかし、好ましくは、次亜リン酸(unterphosphorigen Saeure)の塩、例えば、次亜リン酸ナトリウム、及びスルフィン酸の塩が使用され、例えば、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸の二ナトリウム塩である。しかし還元剤として、好ましくは、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩及び重亜硫酸ナトリウムからの混合物も使用される。この種の混合物は、Brueggolite(R)FF6及びBrueggolite(R)FF7(Brueggeman Chemicals;Heilbronn;DE)として入手可能である。
【0026】
還元剤の使用量は、そのつどこの吸水性ポリマー粒子に対して、好ましくは0.01〜5質量%、特に好ましくは0.05〜2質量%、特にとりわけ好ましくは0.1〜1質量%である。
【0027】
適した亜鉛塩は、例えば水酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛及び乳酸亜鉛である。好ましくは、脂肪酸、例えばリシノール酸の亜鉛塩が使用される。
【0028】
亜鉛塩の使用量は、そのつどこの吸水性ポリマー粒子に対して、好ましくは0.01〜5質量%、特に好ましくは0.05〜2質量%、特にとりわけ好ましくは0.1〜1質量%である。
【0029】
この還元剤又は亜鉛塩は、通常は適した溶媒、好ましくは水中の溶液として使用される。
【0030】
本発明は、わずかに酸性の吸水性ポリマー粒子とキレート形成剤との組み合わせが、顕著に改善された匂い抑制を導くとの認識を基礎とする。キレート形成剤は、恐らくは必須のニッケルイオンの錯体化によりウレアーゼを不活性化する。同時に、吸水性ポリマー粒子中に存在する鉄イオンは、キレート形成剤と競合する。更に、キレート形成剤と連結して存在する鉄イオンは、不所望な変色の原因であることもある。鉄イオン量の厳密な制御により、一方では良好な匂い抑制を、他方ではわずかのみのキレート形成剤を含む吸水性ポリマー粒子が提供されることができる。
【0031】
鉄イオンのための供給源としては、例えば、しばしば塩基として使用される苛性ソーダ液(Natronlauge)が考えられる。本発明による方法の実施のためには、この使用される苛性ソーダ液が可能な限り少ない割合の鉄イオンを有することに注意しなくてはならない。
【0032】
更に、塩基が中和に供給される導管が決定的である。合金化されていない鋼に対して苛性ソーダ液は腐食性であると考えられず、それどころか不動化のために使用さえされる。但し、苛性ソーダ液は、合金化されていない鋼から少ない痕跡量の鉄イオンを溶かす。したがって、この塩基は、ステンレス鋼からの導管を用いて中和へと運搬されなくてはならない。これと関連したより少ない搬入量の鉄イオンのために、その他の、生成物と接触する、この製造方法の設備部分についても、原材料としてステンレス鋼又はポリマー材料を使用することが好ましい。
【0033】
更に、可能な限り鉄イオンを触媒として使用しない開始剤システムを使用すべきことに注意すべきである。
【0034】
還元剤及び/又は亜鉛塩を用いた前記ポリマー粒子の付加的なコーティングにより、この変色傾向は好ましく影響を及ぼされることができる。
【0035】
以下においては、吸水性ポリマー粒子の製造方法が詳細に説明される。
【0036】
前記吸水性ポリマー粒子は、例えば、
a)エチレン性不飽和の、酸基を有するモノマー少なくとも1種、その際、前記酸基は35〜75mol%が中和されている、
b)少なくとも1種の架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意に、a)で挙げたモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー1種又は複数種、及び
e)任意に、水溶性ポリマー1種又は複数種
を含有するモノマー溶液−又は懸濁液の重合により製造され、かつ通常は水不溶性である。
【0037】
モノマーa)は好ましくは水溶性であり、すなわち、23℃での水中溶解度は、典型的には少なくとも1g/100g 水、好ましくは少なくとも5g/100g 水、とりわけ有利には少なくとも25g/100g 水、極めて有利には少なくとも35g/100g 水である。
【0038】
適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、及びイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。特にとりわけ好ましくはアクリル酸である。
【0039】
更なる適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0040】
汚染物質は、重合に対して顕著な影響を有することができる。したがって、この使用される原料は、可能な限り高い純度を有するべきである。したがって、しばしば好ましくはモノマーa)は特殊に精製されるべきである。適した精製方法は、例えばWO2002/055469 A1、WO2003/078378 A1及びWO2004/035514 A1に記載されている。適したモノマーa)は、例えばWO2004/035514 A1によれば、精製されたアクリル酸であって、99.8460質量%アクリル酸、0.0950質量%酢酸、0.0332質量%水、0.0203質量%プロピオン酸、0.0001質量%フルフラール、0.0001質量%無水マレイン酸、0.0003質量%ジアクリル酸及び0.0050質量%ヒドロキノンモノメチルエーテルを有する。
【0041】
モノマーa)の全量に対するアクリル酸及び/又はその塩の割合は、好ましくは少なくとも50モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%、とりわけ特に好ましくは少なくとも95モル%である。
【0042】
モノマーa)は通常は重合抑制剤、好ましくはヒドロキノン半エーテルを、貯蔵安定剤として含む。
【0043】
このモノマー溶液は、そのつど中和していないモノマーa)に対して、好ましくは250質量ppmまでの、好ましくは最高130質量ppm、とりわけ好ましくは最高70質量ppm、好ましくは少なくとも10質量ppm、とりわけ好ましくは少なくとも30質量ppm、特に50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有する。例えば、モノマー溶液の製造のために、ヒドロキノン半エーテルの相応の含有量を有する、エチレン性不飽和の、酸基を有するモノマーを使用することができる。
【0044】
好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はアルファトコフェロール(ビタミンE)である。
【0045】
適した架橋剤b)は、少なくとも2個の、架橋に適した基を有する化合物である。この種の基は例えば、このポリマー鎖中にラジカル重合導入されることができるエチレン性不飽和基、及び、モノマーa)の酸基と共有結合を形成することができる官能基である。更に、モノマーa)の少なくとも2個の酸基と配位結合を形成することができる多価金属塩も架橋剤b)として適している。
【0046】
架橋剤b)は、好ましくは、このポリマー網目構造中にラジカル重合導入されることができる、少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えばエチレングリコールジメタクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、アリルメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウム塩化物、テトラアリルオキシエタン(例えばEP0530438A1に記載)、ジ−及びトリアクリラート(例えばEP0547847A1、EP0559476A1、EP0632068A1、WO93/21237A1、WO2003/104299A1、WO2003/104300A1、WO2003/104301A1及びDE10331450A1に記載)、アクリラート基以外に更なるエチレン性不飽和基を含有する混合アクリラート(例えばDE10331456A1及びDE10355401A1に記載)、又は架橋剤混合物(例えばDE19543368A1、DE19646484A1、WO90/15830A1及びWO2002/032962A2に記載)である。
【0047】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、テトラアルオキシエタン(Tetraalloxyethan)、メチレンビスメタクリルアミド、15回エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート及びトリアリルアミンである。
【0048】
特にとりわけ好ましい架橋剤b)は、例えばWO2003/104301A1に記載されているような、アクリル酸又はメタクリル酸とジアクリラート又はトリアクリラートを得るためにエステル化された複数回エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンである。3〜10回エトキシル化されたグリセリンのジ−及び/又はトリアクリラートが特に好ましい。特にとりわけ好ましくは、1〜5回エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのジ−又はトリアクリラートである。最も好ましくは、3〜5回エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリラート、特に3回エトキシル化されたグリセリンのトリアクリラートである。
【0049】
架橋剤b)の量は、そのつどモノマーa)に対して、好ましくは0.05〜1.5質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%、特にとりわけ好ましくは0.3〜0.6質量%である。増加する架橋剤含有量とともに、この遠心分離保持容量(CRC)は減少し、圧力21.0g/cm2下での吸収は最大値を経過する。
【0050】
開始剤c)としては、重合条件下でラジカルを生じる化合物全体が使用されることができ、これは例えば熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤である。適したレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウム及び過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。好ましくは、熱開始剤及びレドックス開始剤から構成される混合物が使用され、例えばこれはペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸である。しかし、還元性成分として、好ましくは、2−ヒドロキシ2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩、及び重亜硫酸ナトリウムから構成される混合物が使用される。この種の混合物は、Brueggolite(R)FF6及びBrueggolite(R)FF7(Brueggeman Chemicals;Heilbronn;DE)として入手可能である。
【0051】
エチレン性不飽和の、酸基を有するモノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルアクリラート、ジメチルアミノプロピルアクリラート、ジエチルアミノプロピルアクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジエチルアミノエチルメタクリラートである。
【0052】
水溶性ポリマーe)としてはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び変性セルロースが使用されることができる。
【0053】
通常は、水性モノマー溶液が使用される。このモノマー溶液の水含有量は、好ましくは40〜75質量%、特に好ましくは45〜70質量%、特にとりわけ好ましくは50〜65質量%である。モノマー懸濁液、すなわち、過剰量のモノマーa)、例えばアクリル酸ナトリウムを有するモノマー溶液を使用することも可能である。増加する水含有量とともに、引き続く乾燥の際のエネルギー消費が、そして、減少する水含有量とともに、この重合熱は更に不十分にしか排出されることができない。
【0054】
好ましい重合抑制剤は、最適な作用のために溶解された酸素を必要とする。従って、モノマー溶液が重合前に、不活性化、即ち不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素を用いた貫流により、溶解した酸素が取り除かれてよい。好ましくは、前記モノマー溶液の酸素含有量は重合前に、1質量ppm未満に、特に好ましくは0.5質量ppm未満に、とりわけ特に好ましくは0.1質量ppm未満に低下される。
【0055】
適した反応器は、例えばニーダー反応器又はベルト反応器である(Bandreaktor)。ニーダー中では、モノマー水溶液又は−懸濁液の重合に際して発生するポリマーゲルが、例えば、WO2001/038402A1に記載されているように、反転撹拌棒(gegenlaeufige Ruehrwellen)によって連続的に破砕される。ベルト上での重合は、例えばDE3825366A1及びUS6,241,928に記載される。重合の際にベルト式反応器中では、更なる方法工程において、例えば押出機又はニーダー中で破砕されなくてはならないポリマーゲルが生じる。
【0056】
しかし、水性モノマー溶液を滴化し、この生じる液滴を加熱したキャリアーガス流中で重合することもできる。この場合には、この方法工程は重合及び乾燥を一緒にすることができ、これはWO2008/040715 A2 及びWO2008/052971 A1に記載されているとおりである。
【0057】
この得られたポリマーゲルの酸基は、通常は部分的に中和されている。この中和は好ましくは前記モノマーの段階で実施される。通常これは、中和剤を水溶液として又は好ましくは固形物質として混合導入することにより行われる。この中和度は好ましくは40〜70mol%、より好ましくは45〜65mol%、特に好ましくは48〜62mol%、特にとりわけ好ましくは50〜60mol%であり、その際、この通常の中和剤が使用されることができ、これは好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属カーボナート又はアルカリ金属ヒドロゲンカーボナート並びにその混合物である。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することもできる。ナトリウム及びカリウムはアルカリ金属として特に好ましいが、しかし特にとりわけ好ましくは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにこの混合物である。
【0058】
しかし、この中和を重合後に、重合の際に発生するポリマーゲルの段階で実施することもできる。更に、重合前にこの酸基を40mol%まで、好ましくは10〜30mol%、特に好ましくは15〜25mol%、この中和剤の一部をモノマー溶液に既に添加することにより中和すること、及びこの所望の最終中和度を重合の後にすぐにポリマーゲルの段階で調節することも可能である。前記ポリマーゲルを少なくとも部分的に重合の後に中和する場合、前記ポリマーゲルは好ましくは機械的に、例えば押出機を用いて破砕し、その際、中和剤を吹き付けるか、降りかけるか又は注ぎ込み、次いで入念に混合することができる。そのために、この得られたゲル材料をなお数回均質化のために押出することができる。
【0059】
次いで、前記ポリマーゲルは、好ましくはベルト型乾燥機を用いて、この残留湿分含有量が好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%、特にとりわけ好ましくは2〜8質量%になるまで乾燥させられ、その際、この残留湿分含有量はEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨された試験法Nr.WSP 230.2−05"Moisture content"に従って測定される。高過ぎる残留湿分では、この乾燥されたポリマーゲルは低過ぎるガラス転移温度Tgを有し、かつ更に後加工することは極めて困難である。低過ぎる残留湿分では、この乾燥されたポリマーゲルは脆すぎ、そして、この引き続く破砕工程において、小さ過ぎる粒径を有する不所望なポリマー粒子を(「fines」)多量に生じる。このゲルの固形物質含有量は、乾燥前に、好ましくは25〜90質量%、特に好ましくは35〜70質量%、特にとりわけ好ましくは40〜60質量%である。しかし、選択的に、乾燥のために流動床乾燥機又はパドル型乾燥器(Schaufeltrockner)も使用することができる。
【0060】
この後で、この乾燥させたポリマーゲルを粉砕及び分級し、その際、粉砕のために通常1段階又は複数段階のロールミル、好ましくは2段階又は3段階のロールミル、ピンミル、ハンマーミル又はスイングミルを使用することができる。
【0061】
生成物分画として分離されたポリマー粒子の平均粒径は、好ましくは少なくとも200μm、とりわけ好ましくは250〜600μm、特に好ましくは300〜500μmである。生成物分画の平均粒径は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法Nr.WSP 220.2−05"Partikel size distribution"に従って算出されることができ、その際、篩分画の質量割合が累積的にプロットされ、かつ平均粒径がグラフを用いて決定される。この場合、平均粒径は、累積して50質量%となるメッシュサイズの値である。
【0062】
少なくとも150μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、特にとりわけ好ましくは少なくとも98質量%である。
【0063】
小さ過ぎる粒径を有するポリマー粒子は、この透過性(SFC)を低下させる。したがって、小さ過ぎるポリマー粒子(「fines」)の割合は低いことが望ましい。
【0064】
したがって、小さ過ぎるポリマー粒子は、通常は分離され、本方法に返送される。これは、好ましくは、この重合の前、間又は直後に行われ、すなわち、ポリマーゲルの乾燥前である。この小さ過ぎるポリマー粒子は、この返送前又は間に、水及び/又は水性界面活性剤で湿潤させられることができる。
【0065】
後の方法工程において小さ過ぎるポリマー粒子を分離することも可能であり、例えばこれは表面後架橋又は他のコーティング工程の後である。この場合には、この返送された小さ過ぎるポリマー粒子は、表面後架橋されるか、又は他の方法でコーティングされ、例えば熱分解ケイ酸を用いて実施される。
【0066】
ニーダー反応器が重合のために使用される場合には、この小さ過ぎるポリマー粒子は好ましくはこの重合の最後の1/3の間に添加される。
【0067】
この小さ過ぎるポリマー粒子が極めて早期に、例えば既にモノマー溶液に添加される場合には、これにより、この得られた吸水性ポリマー粒子の遠心分離保持容量(CRC)は低下する。しかし、このことは、例えば架橋剤b)の使用量の適合によって補償されることができる。
【0068】
この小さ過ぎるポリマー粒子が極めて遅くに、例えば重合反応器中に後続する装置、例えば押出機中で初めて添加される場合には、この小さ過ぎるポリマー粒子はこの得られたポリマーゲル中に組み込まれるのは極めて困難である。しかし、不十分に組み込まれた小さ過ぎるポリマー粒子は、この粉砕の間に再度乾燥したポリマーゲルから外れ、したがって分級の際に新たに分離され、返送すべき小さ過ぎるポリマー粒子の量を高める。
【0069】
最高で850μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、特にとりわけ好ましくは少なくとも98質量%である。
【0070】
最高で600μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、特にとりわけ好ましくは少なくとも98質量%である。
【0071】
大き過ぎる粒径を有するポリマー粒子は、この膨潤速度(Anquellgeschwindigkeit)を低下させる。したがって、大き過ぎるポリマー粒子の割合は同様に低いことが望ましい。
【0072】
したがって、大き過ぎるポリマー粒子は通常、分離され、かつ乾燥したポリマー粒子の粉砕に返送される。
【0073】
このポリマー粒子は、特性のさらなる改善のために後架橋されることができる。適した後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシラート基と共有結合を形成できる基を含有する化合物である。適した化合物は、例えば多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド(例えばEP0083022A2、EP0543303A1及びEP0937736A2に記載)、二官能性又は多官能性アルコール(例えばDE3314019A1、DE3523617A1及びEP0450922A2に記載)、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えばDE10204938A1及びUS6,239,230に記載)である。
【0074】
更に、DE4020780C1には環状カーボナートが、DE19807502A1には2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、DE19807992C1にはビス−及びポリ−2−オキサゾリジノンが、DE19854573A1には2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、DE19854574A1にはN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE10204937A1の中で環状尿素が、DE10334584A1には二環状アミドアセタールが、EP1199327A2にはオキセタン及び環状尿素が、またWO2003/31482A1にはモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が適した後架橋剤として記載されている。
【0075】
好ましい表面後架橋剤は、エチレンカーボナート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物、及びプロピレングリコール及び1,4−ブタンジオールからの混合物である。
【0076】
特にとりわけ好ましい表面後架橋剤は、2−ヒドロキシエチルオキサゾリジン−2−オン、オキサゾリジン−2−オン及び1,3−プロパンジオールである。
【0077】
更に、DE3713601A1に記載されているような、付加的な重合可能なエチレン性不飽和基を含有する表面後架橋剤も使用することができる。
【0078】
表面後架橋剤の量は、そのつど前記ポリマー粒子に対して、好ましくは0.001〜2質量%、特に好ましくは0.02〜1質量%、特にとりわけ好ましくは0.05〜0.2質量%である。
【0079】
本発明の好ましい一実施態様において、表面後架橋前、間又は後に、表面後架橋剤に加えて、多価カチオンがこの粒子表面上に設けられる。
【0080】
本発明による方法において使用することができる多価カチオンは、例えば二価カチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、三価カチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類及びマンガンのカチオン、四価カチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウム及び乳酸アルミニウムが好ましい。金属塩以外に、多価カチオンとしてポリアミンも使用することができる。
【0081】
多価カチオンの使用量は、そのつど前記ポリマー粒子に対して、例えば0.001〜1.5質量%、好ましくは0.005〜1質量%、とりわけ有利には0.02〜0.8質量%である。
【0082】
この表面後架橋は通常は、この表面後架橋剤の溶液がこの乾燥したポリマー粒子上に吹き付けられるように実施される。この吹付けに引続き、表面後架橋剤で被覆されたポリマー粒子について加熱乾燥を行い、その際、表面後架橋反応は乾燥前でも乾燥中でも生じうる。
【0083】
前記表面後架橋剤の溶液の吹付けは、好ましくは、可動式混合装置を有する混合機、例えばスクリュー混合機、ディスク混合機、及びパドル型混合機中で実施される。特に好ましくは、水平型混合機、例えばパドル混合機、特にとりわけ好ましくは垂直型混合機である。水平型混合機と垂直型混合機の区別化は、この混合シャフトの位置により行われ、すなわち、水平型混合機は水平に配置された混合シャフトを、垂直型混合機は垂直に配置された混合シャフトを有する。適した混合機は例えば、Horizontale Pflugschar(R)ミキサー(Gebr. Loedige Maschinenbau GmbH; Paderborn; DE), Vrieco-Nauta Continuousミキサー(Hosokawa Micron BV; Doetinchem; NL), Processall Mixmillミキサー(Processall Incorporated; Cincinnati; US)及びSchugi Flexomix(R)(Hosokawa Micron BV; Doetinchem; NL)である。しかし、流動層中においてこの表面後架橋剤溶液を吹き付けたり、又はWO2008/141821 A2に開示される混合機を使用することも可能である。
【0084】
この表面後架橋剤は典型的には水溶液として使用される。非水性溶媒又は全溶媒量に関する含有量によって、ポリマー粒子中のこの表面後架橋剤の侵入深さは調節されることができる。
【0085】
水のみが溶媒として使用される場合には、好ましくは界面活性剤が添加される。これにより、この湿潤挙動は改善され、塊形成傾向は減少する。しかし、好ましくは、溶媒混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水及びプロピレングリコール/水が使用され、その際この混合質量比は好ましくは20:80〜40:60である。
【0086】
この加熱乾燥は、好ましくは接触乾燥器、特に好ましくはパドル型乾燥器、特に好ましくはディスク型乾燥器中で実施する。適した乾燥器は例えば、Hosokawa Bepex(R) Horizontal Paddle Dryer (Hosokawa Micron GmbH; Leingarten; DE), Hosokawa Bepex(R) Disc Dryer (Hosokawa Micron GmbH; Leingarten; DE)及びNara Paddle Dryer (NARA Machinery Europe; Frechen; DE)である。さらに、流動床乾燥機も使用することができる。
【0087】
乾燥は、混合機それ自体中で、ジャケットの加熱又は熱風の吹き込みによって行なうことができる。後接続された乾燥機、例えば箱形乾燥機、回転管炉又は加熱可能なスクリューは、同様に適している。とりわけ好ましくは、流動層乾燥機中で混合及び乾燥される。
【0088】
好ましい乾燥温度は、100〜250℃、好ましくは120〜220℃、特に好ましくは130〜210℃、特にとりわけ好ましくは150〜200℃の範囲内にある。この温度での反応ミキサー又は乾燥器中での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分間、特に好ましくは少なくとも20分間、とりわけ好ましくは少なくとも30分間であり、通常は最高で60分間である。
【0089】
引き続き、この表面後架橋したポリマー粒子は新たに分級されることができ、その際小さ過ぎる及び/又は大き過ぎるポリマー粒子は分離され、本方法に返送される。
【0090】
この表面後架橋されたポリマー粒子は、特性のさらなる改善のために被覆又は後湿潤されることができる。
【0091】
この後湿潤は好ましくは30〜80℃、特に好ましくは35℃〜70℃、特にとりわけ好ましくは40〜60℃で実施される。低過ぎる温度では、この吸水性ポリマー粒子は塊形成する傾向があり、高過ぎる温度では水が既に著しく蒸発する。後湿潤に使用される水量は、好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは2〜8質量%、特にとりわけ好ましくは3〜5質量%である。後湿潤により、このポリマー粒子の機械的安定性は高められ、帯静電気傾向は減少する。
【0092】
膨潤速度並びに浸透性(SFC)を改善するための適したコーティングは、例えば無機不活性物質、例えば水不溶性金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマー並びに二価又は多価の金属カチオンである。ダスト結合(Staubbindung)のための適したコーティングは例えばポリオールである。このポリマー粒子の不所望な粘着傾向(Verbackungsneigung)に対する適したコーティングは、例えば熱分解ケイ酸、例えばAerosil(R) 200及び界面活性剤、例えばSpan(R) 20である。
【0093】
本発明の更なる一主題は、本発明による方法により製造された吸水性ポリマー粒子である。
【0094】
本発明による方法により製造された吸水性ポリマー粒子は、鉄イオンの低含有量を有する。鉄イオンの含有量は、0.001質量%未満、好ましくは0.0005質量%未満、特に好ましくは0.0001質量%未満、特にとりわけ好ましくは0.00002質量%未満である。
【0095】
重要なのは、鉄イオンに対するキレート形成剤の十分な過剰量でもある。鉄イオン対キレート形成剤の質量比は、0.02未満、好ましくは0.01未満、特に好ましくは0.005未満、特にとりわけ好ましくは0.001未満である。
【0096】
本発明による方法により製造された吸水性ポリマー粒子は、湿分含有量好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは2〜8質量%、特にとりわけ好ましくは3〜5質量%を有し、その際この水含有量はEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨された試験法Nr.WSP 230.2−05"Moisture content"に従って測定される。
【0097】
本発明による方法により製造された吸水性ポリマー粒子は、一般に少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、特にとりわけ好ましくは26g/gの遠心分離保持容量(CRC)を有する。吸水性ポリマー粒子の遠心分離保持容量(CRC)は通常は60g/g未満である。この遠心分離保持容量(CRC)は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法Nr.241.2−05"Centrifuge retention capacity"に従って測定される。
【0098】
本発明による方法により製造された吸水性ポリマー粒子は、一般に少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、特にとりわけ好ましくは26g/gの、圧力49.2g/cm2での吸収を有する。吸水性ポリマー粒子の、圧力49.2g/cm2での吸収は、通常は35g/g未満である。圧力49.2g/cm2での吸収は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法Nr.242.2−05"Absorption under Pressure"と類似して測定され、その際21.0g/cm2の圧力の代わりに圧力49.2g/cm2に調整される。
【0099】
実施例
以下の溶液を製造した:
1. 2,2′−ビピリジン(CAS no. [366-18-7]; Arcos Organics BVBA; Geel; BE)1.67gを広口ガラス容器中に秤量し、エタノールで10.02gに充填し、完全な溶液になるまで撹拌した。
2. 硫酸鉄水和物(86.0−89.0% FeSO4; CAS no. [13463-43-9]; Riedelde Haeen)0.167gを広口ガラス容器中に秤量し、蒸留水で10.10gに充填し、完全な溶液になるまで撹拌した。
3. 各5.0gの前記2,2′−ビピリジン溶液及び前記鉄溶液を混合した。
【0100】
吸水性ポリマー粒子(HySorb(R) B7065; BASF SE; DE)20.0gを、ステンレス鋼からなる部品(Aufsatz)(内径8cm、内部高さ4cm、装置直径7cm、添加点はふた中縁から1.3cm離れている、ふた中の流れ邪魔板(Stromstoerer))を有する改造したコーヒーミル(Blender 8012 Model 34BL99; Waring Laboratory; US)中に充填導入した。この改造されたコーヒーミルを段階3で運転した。カニューレを有するシリンジを介して、0.60gの溶液1又は2又は1.20gの溶液3をゆっくり添加した。この添加後に、吸水性ポリマー粒子をガラスシャーレ中へと移し替え、30分間50℃で乾燥棚中で乾燥した。
【0101】
この試料の色を分光光度計(LabScan XE; Hunter Associates Laboratory, Inc.; US)を用いて測定した。この吸水性ポリマー粒子(SAP)を、ポリスチレン−ペトリシャーレの蓋(内径3.9cm)中に充填し、以下設定を用いて測定した:
ポットサイズ(Potsize):1.2インチ
視界領域:1インチ
光源:C
オブザーバー:2°
UVフィルター:名目上(Nominal)
Stdzモード 0/45

【0102】
溶液3で処理した吸水性ポリマー粒子が、より小さいL値を有し、したがってあまり白くないことが認識される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程
i)エチレン性不飽和の、酸基を有するモノマー少なくとも1種を塩基を用いて中和度35〜75mol%にまで中和する工程、その際、前記塩基は0.0005質量%より少ない鉄イオンを含み、かつ、前記塩基の運搬のために使用される導通部がステンレス鋼及び/又はポリマー材料から構成される、
ii)少なくとも1種の架橋剤及び少なくとも1種の開始剤の存在下でのこの中和したモノマーの重合工程、その際、前記開始剤は実質的に鉄イオン不含である、
iii)この得られたポリマーゲルの乾燥工程、
iv)この乾燥したポリマーゲルの、ポリマー粒子への破砕工程、
v)この得られたポリマー粒子の分級工程、及び
vi)任意に、この分級されたポリマー粒子の表面後架橋工程、
その際、前記ポリマー粒子は0.01〜1質量%の少なくとも1種のキレート形成剤でコーティングされる
を含む、吸水性ポリマー粒子の製造方法。
【請求項2】
前記ポリマー粒子は、多価カチオンでコーティングされることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー粒子は、この吸水性ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシラート基と共有結合を形成できる少なくとも1種の化合物で表面後架橋されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
この表面後架橋されたポリマー粒子が、水溶液で後湿潤されることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマー粒子が、少なくとも1種の還元剤でコーティングされることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー粒子が、少なくとも1種の亜鉛塩でコーティングされることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
a)エチレン性不飽和の、酸基を有するモノマー少なくとも1種、その際、前記酸基は35〜75mol%中和されている、
b)少なくとも1種の架橋剤、及び
c)少なくとも1種の開始剤、
を含有する水性モノマー溶液又は−懸濁液の重合により得られる吸水性ポリマー粒子であって、
その際、前記ポリマー粒子は、0.001質量%より少ない鉄イオンを含み、かつ、0.01〜1質量%の少なくとも1種のキレート形成剤でコーティングされており、その際、鉄イオン対キレート形成剤の質量比は0.02より少ない、吸水性ポリマー粒子。
【請求項8】
前記ポリマー粒子は、多価カチオンでコーティングされていることを特徴とする請求項7記載のポリマー粒子。
【請求項9】
前記ポリマー粒子は、この吸水性ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシラート基と共有結合を形成できる化合物で表面後架橋されていることを特徴とする請求項7又は8記載のポリマー粒子。
【請求項10】
前記ポリマー粒子の少なくとも95%が、150〜600μmの粒径を有することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項記載のポリマー粒子。
【請求項11】
前記ポリマー粒子が、1〜10質量%の湿分含有量を有することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項記載のポリマー粒子。
【請求項12】
前記ポリマー粒子が、少なくとも1種の還元剤でコーティングされていることを特徴とする請求項7から11のいずれか1項記載のポリマー粒子。
【請求項13】
前記ポリマー粒子が、少なくとも1種の亜鉛塩でコーティングされていることを特徴とする請求項7から12のいずれか1項記載のポリマー粒子。
【請求項14】
前記ポリマー粒子が、15〜60g/gの遠心分離保持容量を有することを特徴とする請求項7から13のいずれか1項記載のポリマー粒子。
【請求項15】
前記ポリマー粒子が、49.2g/cm2の圧力下で15〜35g/gの吸収を有することを特徴とする請求項7から14のいずれか1項記載のポリマー粒子。
【請求項16】
請求項7から15までのいずれか1項に記載の吸水性ポリマー粒子を含有する衛生用品。

【公表番号】特表2012−514670(P2012−514670A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544830(P2011−544830)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067421
【国際公開番号】WO2010/079075
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】