説明

匂い抑制組成物

本発明は、吸水性ポリマー粒子及び少なくとも1のオキシダーゼを含む、匂い抑制組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、吸水性ポリマー粒子及び少なくとも1のオキシダーゼを含む、匂い抑制組成物に関する。
【0002】
吸水性ポリマー粒子は、おむつ、タンポン、生理用ナプキン及びその他の衛生用品を製造するために使用されるが、農業園芸における保水剤としても使用される。吸水性ポリマー粒子は超吸収体(Superabsorber)とも呼ばれる。
【0003】
吸水性ポリマー粒子の製造は、モノグラフィー"Modern Superabsorbent Polymer Technology",F.L.Buchholz及びA.T.Graham,Wiley−VCH,1998,第71頁〜第103頁に記載される。
【0004】
吸水性ポリマー粒子の特性は例えば使用される架橋剤量によって調節されることができる。架橋剤量が増加するとともに、この遠心保持容量(CRC)は減少し、圧力21.0g/cm2下での吸収(AUL0.3psi)は最大値を経過する。
【0005】
適用特性、例えばおむつ中での膨潤したゲル床の透過性(SFC)及び49.2g/cm2の圧力下の吸収(AUL0.7psi)を改善するために、吸水性ポリマー粒子は一般に表面後架橋される。それによって、粒子表面の架橋度が高まり、そうして圧力49.2g/cm2下での吸収(AUL0.7psi)と遠心保持容量(CRC)との関連性を少なくとも部分的に脱共役させることができる。この表面後架橋は、水性ゲル相中で実施することができる。しかし好ましくは、乾燥、粉砕及び篩分されたポリマー粒子(ベースポリマー)は、この表面が表面後架橋剤によりコーティングされ、熱により後架橋され、かつ乾燥される。このために適切な架橋剤は、吸水性ポリマー粒子のカルボキシレート基少なくとも2つと共有結合を形成することができる化合物である。
【0006】
WO99/08726A1は、匂い抑制のために、ハロペルオキシダーゼ及び過酸化水素供給源の組み合わせの使用を教示する。
【0007】
WO2004/112851A1は、例えば傷口覆いとして使用できる酵素含有組成物を記載する。特にラクテートオキシダーゼは傷口中に含まれるラクテートを分解し、かつ、アシドーシス(Uebersaeuerung)を予防するものである。
【0008】
WO2006/078868A2は、超吸収性材料及び細菌抑制剤からなる、食品のための保存系を開示する。
【0009】
本発明の課題は、匂いを抑制する吸水性ポリマー粒子の製造のための改善された方法を提供することであった。
【0010】
この課題は、吸水性ポリマー粒子及び少なくとも1のオキシダーゼを含む匂い抑制組成物であって、実質的にペルオキシダーゼ不含であるか、又は、この組成物のペルオキシダーゼ比触媒活性が0.001μmol基質g-1・-1より少ない組成物により解決された。
【0011】
オキシダーゼは基質の酸化の際に自由になる電子を過酸化水素の形成下に酸素へと受け渡す。国際生化学連合(IUB)の酵素委員会の体系的命名法によれば、このオキシダーゼは第1の酵素クラスに属する。
【0012】
適したオキシダーゼは、EC 1.1.3.x群のオキシダーゼ、例えばグルコースオキシダーゼ(EC番号1.1.3.4)、EC 1.3.3.x群のオキシダーゼ、例えばビリルビンオキシダーゼ(EC番号1.3.3.5)、EC 1.4.3.x群のオキシダーゼ、例えばグリシンオキシダーゼ(EC番号1.4.3.19)、EC 1.5.3.x群のオキシダーゼ、例えばポリアミンオキシダーゼ(EC番号1.5.3.1 1)、EC 1.6.3.x群のオキシダーゼ、例えばNAD(P)Hオキシダーゼ(EC番号1.6.3.1)、EC 1.7.3.x群のオキシダーゼ、例えばヒドロキシルアミノオキシダーゼ(EC番号1.7.3.4)、EC 1.8.3.x群のオキシダーゼ、例えばスルフィットオキシダーゼ(EC番号1.8.3.1)、EC 1.9.3.x群のオキシダーゼ、例えばチトクロムオキシダーゼ(EC番号1.9.3.1)、EC 1.10.3.x群のオキシダーゼ、例えばカテコールオキシダーゼ(EC番号1.10.3.1)、EC 1.16.3.x群のオキシダーゼ、例えばフェロオキシダーゼ(EC番号1.16.3.1)、EC 1.17.3.x群のオキシダーゼ、例えばキサンチンオキシダーゼ(EC番号1.17.3.2)、及びEC 1.21.3.z群のオキシダーゼ、例えばレチクリンオキシダーゼ(EC番号1.21.3.3)である。
【0013】
好ましくはグルコースオキシダーゼ(EC番号1.1.3.4)が使用される。さらに好ましくは、グルコースオキシダーゼがカタラーゼ(EC番号1.11.1.6)をほとんど含まないか又は全く含まない場合である。
【0014】
オキシダーゼはカプセル化しても使用でき、このため、これは液体の添加の際に初めて提供され、これは例えば水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコールでのコーティングによって行われる。
【0015】
匂い抑制組成物のオキシダーゼ比触媒活性は好ましくは0.01〜1000μmol基質g-1・-1、特に好ましくは0.1〜100μmol基質g-1・-1、特にとりわけ好ましくは1〜10μmol基質g-1・-1である。
【0016】
この組成物のオキシダーゼ比触媒活性は、通常の方法で測定されることができる。しかしより好ましくは、オキシダーゼの触媒活性自体は測定され、この組成物のオキシダーゼ比触媒活性は計算により算出される。
【0017】
この匂い抑制組成物はさらになお、オキシダーゼの基質を含むことができる。基質は、化学反応において酵素により変換される化合物である。酵素反応の第1の工程は、反応後に生成物及び酵素の放出を生じる酵素−基質−複合体の形成にあり、このため、この触媒作用サイクルは新たに続けることができる。酵素は場合によって、しばしば化学的に類似している複数の異なる基質を変換させることができる。本発明の意味合いにおいて基質は、本発明により使用可能なオキシダーゼの基質、例えばグルコースオキシダーゼのためのβ−D−グルコースである。
【0018】
好ましくは0.5〜25質量%、特に好ましくは5〜20質量%、特にとりわけ好ましくは8〜15質量%の基質が、そのつど吸水性ポリマー粒子に対して使用される。
【0019】
この基質はカプセル化しても使用でき、このため、これはオキシダーゼの液体の添加の際に初めて提供され、これは例えば水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコールでのコーティングによって行われる。しかしこの代わりに、又は、付加的に、本発明により使用すべきオキシダーゼをカプセル化することもできる。
【0020】
本発明は、オキシダーゼが不快な匂いを衛生用品中で減少させることができるとの認識に基づき、これは特に硫黄化合物により引き起こされる不快な匂いである。可能性としては、このことは、触媒性オキシダーゼ活性の結果生じる過酸化水素によって引き起こされる。ペルオキシダーゼは過酸化水素を分解する。したがって、ペルオキシダーゼの同時使用は回避すべきである。
【0021】
本発明の組成物は好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、特にとりわけ好ましくは少なくとも97質量%の吸水性ポリマー粒子を含む。
【0022】
この吸水性ポリマー粒子は好ましくは少なくとも50質量%が重合されたアクリル酸又はその塩を含む。さらに、吸水性ポリマー粒子は好ましくは表面後架橋されている。
【0023】
本発明の好ましい一実施態様において、この吸水性ポリマー粒子は亜鉛塩でコーティングされる。
【0024】
適した亜鉛塩は、例えば水酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛及び乳酸亜鉛である。好ましくは、脂肪酸、例えばリシノール酸の亜鉛塩が使用される。
【0025】
この亜鉛塩の使用される量は、そのつど吸水性ポリマー粒子に対して好ましくは0.01〜5質量%、特に好ましくは0.05〜3質量%、特にとりわけ好ましくは0.1〜1質量%である。
【0026】
この亜鉛塩は通常は適した溶媒、好ましくは水中の溶液として使用される。
【0027】
ポリマー粒子を亜鉛塩で更にコーティングすることによって、吸水性ポリマー粒子の変色傾向は有利に影響されることができる。
【0028】
以下においては、吸水性ポリマー粒子の製造方法がより詳細に説明される。
【0029】
この吸水性ポリマー粒子は、例えば、次のもの
a)少なくとも部分的に中和されていることができる、少なくとも1のエチレン性不飽和の、酸基を有するモノマー、
b)少なくとも1つの架橋剤、
c)少なくとも1種の開始剤、
d)任意に、a)で挙げたモノマーと共重合可能なエチレン性不飽和モノマー1種又は複数種、及び
e)任意に、水溶性ポリマー1種又は複数種、
を含有するモノマー溶液−又は懸濁液の重合により、
製造され、かつ通常は水不溶性である。
【0030】
モノマーa)は好ましくは水溶性であり、すなわち、23℃での水中溶解度は、典型的には少なくとも1g/100g 水、好ましくは少なくとも5g/100g 水、とりわけ有利には少なくとも25g/100g 水、極めて好ましくは少なくとも35g/100g 水である。
【0031】
適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、及びイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。アクリル酸が特にとりわけ好ましい。
【0032】
更なる適したモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和スルホン酸、例えばスチレンスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0033】
汚染物質は、重合に対して顕著な影響を有することができる。したがって、この使用される原料は、可能な限り高い純度を有するべきである。したがって、しばしば好ましくはモノマーa)は特殊に精製されるべきである。適した精製方法は、例えばWO2002/055469A1、WO2003/078378A1及びWO2004/035514A1に記載されている。適したモノマーa)は、例えばWO2004/035514A1により精製されたアクリル酸であって、99.8460質量%アクリル酸、0.0950質量%酢酸、0.0332質量%水、0.0203質量%プロピオン酸、0.0001質量%フルフラール、0.0001質量%無水マレイン酸、0.0003質量%ジアクリル酸及び0.0050質量%ヒドロキノンモノメチルエーテルを有する。
【0034】
モノマーa)の全量におけるアクリル酸及び/又はその塩の割合は、好ましくは少なくとも50モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%、とりわけ好ましくは少なくとも95モル%である。
【0035】
モノマーa)は通常は重合抑制剤、好ましくはヒドロキノン半エーテルを貯蔵安定剤として含む。
【0036】
このモノマー溶液は、そのつど中和していないモノマーa)に対して、好ましくは250質量ppmまでの、好ましくは最大130質量ppm、とりわけ好ましくは最大70質量ppm、好ましくは少なくとも10質量ppm、とりわけ好ましくは少なくとも30質量ppm、特に50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有する。例えば、モノマー溶液の製造のために、ヒドロキノン半エーテルの相応の含有量を有する、エチレン性不飽和の、酸基を有するモノマーを使用することができる。
【0037】
好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はアルファトコフェロール(ビタミンE)である。
【0038】
適した架橋剤b)は、少なくとも2個の、架橋に適した基を有する化合物である。この種の基は例えば、このポリマー鎖中にラジカル重合導入されることができるエチレン性不飽和基、及び、モノマーa)の酸基と共有結合を形成することができる官能基である。更に、モノマーa)の少なくとも2個の酸基と配位結合を形成することができる多価金属塩も架橋剤b)として適している。
【0039】
架橋剤b)は、好ましくは、このポリマー網目構造中にラジカル重合導入されることができる、少なくとも2個の重合可能な基を有する化合物である。適した架橋剤b)は、例えばエチレングリコールジメタクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、アリルメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウム塩化物、テトラアリルオキシエタン(例えばEP0530438A1に記載)、ジ−及びトリアクリラート(例えばEP0547847A1、EP0559476A1、EP0632068A1、WO93/21237A1、WO2003/104299A1、WO2003/104300A1、WO2003/104301A1及びDE10331450A1に記載)、アクリラート基以外に更なるエチレン性不飽和基を含有する混合アクリラート(例えばDE10331456A1及びDE10355401A1に記載)、又は架橋剤混合物(例えばDE19543368A1、DE19646484A1、WO90/15830A1及びWO2002/032962A2に記載)である。
【0040】
好ましい架橋剤b)は、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、テトラアルオキシエタン(Tetraalloxyethan)、メチレンビスメタクリルアミド、15回エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリラート、ポリエチレングリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート及びトリアリルアミンである。
【0041】
特にとりわけ好ましい架橋剤b)は、例えばWO2003/104301A1に記載されているような、アクリル酸又はメタクリル酸とジアクリラート又はトリアクリラートを得るためにエステル化された複数回エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンである。3〜10回エトキシル化されたグリセリンのジ−及び/又はトリアクリレートが特に好ましい。特にとりわけ好ましくは、1〜5回エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのジ−又はトリアクリラートである。最も好ましくは、3〜5回エトキシル化及び/又はプロポキシル化されたグリセリンのトリアクリラート、特に3回エトキシル化されたグリセリンのトリアクリラートである。
【0042】
架橋剤b)の量は、そのつどモノマーa)に対して、好ましくは0.05〜1.5質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%、特にとりわけ好ましくは0.3〜0.6質量%である。増加する架橋剤含有量とともに、この遠心保持容量(CRC)は減少し、圧力21.0g/cm2下での吸収は最大値を経過する。
【0043】
開始剤c)としては、重合条件下でラジカルを生じる化合物全体が使用されることができ、これは例えば熱開始剤、レドックス開始剤、光開始剤である。適したレドックス開始剤は、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、過酸化水素/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸ナトリウム/重亜硫酸ナトリウム及び過酸化水素/重亜硫酸ナトリウムである。好ましくは、熱開始剤及びレドックス開始剤から構成される混合物が使用され、例えばこれはペルオキソ二硫酸ナトリウム/過酸化水素/アスコルビン酸である。しかし還元性成分として、好ましくは、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸のナトリウム塩、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸の二ナトリウム塩及び重亜硫酸ナトリウムからの混合物も使用される。この種の混合物は、Brueggolite(R)FF6及びBrueggolite(R)FF7(Brueggeman Chemicals;Heilbronn;DE)として入手可能である。
【0044】
エチレン性不飽和の、酸基を有するモノマーa)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーd)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートである。
【0045】
水溶性ポリマーe)としてはポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、変性セルロース、例えばメチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリグリコール又はポリアクリル酸、好ましくはデンプン、デンプン誘導体及び変性セルロースが使用されることができる。
【0046】
通常は、モノマー水溶液が使用される。このモノマー溶液の水含有量は、好ましくは40〜75質量%、特に好ましくは45〜70質量%、特にとりわけ好ましくは50〜65質量%である。モノマー懸濁液、すなわち、過剰量のモノマーa)、例えばアクリル酸ナトリウムを有するモノマー溶液を使用することも可能である。増加する水含有量とともに、引き続く乾燥の際のエネルギー消費は、そして、減少する水含有量とともに、この重合熱は、なお不十分にしか排出されることができない。
【0047】
好ましい重合抑制剤は、最適な作用のために溶解された酸素を必要とする。従って、モノマー溶液が重合前に、不活性化、即ち不活性ガス、好ましくは窒素又は二酸化炭素を用いた貫流により溶解した酸素が取り除かれてよい。好ましくは、前記モノマー溶液の酸素含有量は重合前に、1質量ppm未満に、特に好ましくは0.5質量ppm未満に、とりわけ特に好ましくは0.1質量ppm未満に低下される。
【0048】
適した反応器は、例えばニーダー反応器又はベルト反応器である。ニーダー中では、水性モノマー溶液又は−懸濁液の重合に際して発生するポリマーゲルが、例えば、WO2001/038402A1に記載されているように、反転撹拌棒(gegenlaeufige Ruehrwelle)によって連続的に破砕される。ベルト上での重合は、例えばDE3825366A1及びUS6,241,928に記載される。重合の際にベルト式反応器中では、更なる方法工程において、例えば押出機又はニーダー中で破砕されなくてはならないポリマーゲルが生じる。
【0049】
しかし、水性モノマー溶液を滴化し、この生じる液滴を加熱したキャリアーガス流中で重合することもできる。この場合には、この方法工程は重合及び乾燥を一緒にすることができ、これはWO2008/040715A2及びWO2008/052971A1に記載されているとおりである。
【0050】
この得られたポリマーゲルの酸基は、通常は部分的に中和されている。この中和は好ましくは前記モノマーの段階で実施される。通常これは、中和剤を水溶液として又は好ましくは固形物質として混合導入することにより行われる。中和度は好ましくは25〜85mol%、「酸性」ポリマーゲルのために特に好ましくは30〜60mol%、特にとりわけ好ましくは35〜55mol%であり、「中性」ポリマーゲルのために特に好ましくは65〜80mol%、特にとりわけ好ましくは70〜75mol%であり、その際、この通常の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属カーボナート又はアルカリ金属ヒドロゲンカーボナート並びにその混合物が使用されることができる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することもできる。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属としてとりわけ好ましいが、しかしながら、極めて好ましいのは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにそれらの混合物である。
【0051】
しかし、この中和を重合後に、重合の際に発生するポリマーゲルの段階で実施することもできる。更に、重合前にこの酸基を40mol%まで、好ましくは10〜30mol%、特に好ましくは15〜25mol%、この中和剤の一部をモノマー溶液に既に添加することにより中和すること、及びこの所望の最終中和度を重合の後に初めてポリマーゲルの段階で調節することも可能である。前記ポリマーゲルを少なくとも部分的に重合の後に中和する場合、前記ポリマーゲルは好ましくは機械的に、例えば押出機を用いて破砕し、その際、中和剤を吹き付けるか、降りかけるか又は注ぎ込み、次いで入念に混合することができる。そのために、この得られたゲル材料をなお数回均質化のために押出することができる。
【0052】
次いで、前記ポリマーゲルを好ましくはベルト型乾燥機を用いて、この残留湿分含有量が好ましくは0.5〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%、特にとりわけ好ましくは2〜8質量%になるまで乾燥させ、その際、この残留湿分含有量はEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨された試験法Nr.WSP 230.2−05"Moisture content"に従って測定される。高過ぎる残留湿分では、この乾燥されたポリマーゲルは低過ぎるガラス転移温度Tgを有し、かつ更に後加工することは極めて困難である。低過ぎる残留湿分では、この乾燥されたポリマーゲルは脆すぎ、そして、この引き続く破砕工程において、不所望なことに小さ過ぎる粒径を有するポリマー粒子を(「fines」)多量に生じる。このゲルの固形物質含有量は、乾燥前に、好ましくは25〜90質量%、特に好ましくは35〜70質量%、特にとりわけ好ましくは40〜60質量%である。しかし、選択的に、乾燥のために流動床乾燥機又はパドル型乾燥器(Schaufeltrockner)も使用することができる。
【0053】
この後で、この乾燥させたポリマーゲルを粉砕及び分級し、その際、粉砕のために通常1段階又は複数段階のロールミル、好ましくは2段階又は3段階のロールミル、ピンミル、ハンマーミル又はスイングミルを使用することができる。
【0054】
生成物画分として分離されたポリマー粒子の平均粒径は、好ましくは少なくとも200μm、特に好ましくは250〜600μm、極めて好ましくは300〜500μmである。生成物画分の平均粒径は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法Nr.WSP 220.2−05"Partikel size distribution"に従って測定されることができ、その際、篩画分の質量割合が累積的にプロットされ、かつ平均粒度がグラフを用いて決定される。この場合、平均粒径は、累積して50質量%となるメッシュサイズの値である。
【0055】
少なくとも150μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、特にとりわけ好ましくは少なくとも98質量%である。
【0056】
小さ過ぎる粒径を有するポリマー粒子は、この透過性(SFC)を低下させる。したがって、小さ過ぎるポリマー粒子(「fines」)の割合は低いことが望ましい。
【0057】
したがって、小さ過ぎるポリマー粒子は、通常は分離され、本方法に返送される。これは、好ましくは、この重合の前、間又は直後に行われ、すなわち、ポリマーゲルの乾燥前である。この小さ過ぎるポリマー粒子は、この返送前又は間に、水及び/又は水性界面活性剤で湿潤させられることができる。
【0058】
後の方法工程において小さすぎるポリマー粒子を分離することも可能であり、例えばこれは表面後架橋又は他のコーティング工程の後である。この場合には、この返送された小さ過ぎるポリマー粒子は、表面後架橋されるか、又は他の方法でコーティングされ、例えば熱分解ケイ酸を用いて実施される。
【0059】
ニーダー反応器が重合のために使用される場合には、この小さ過ぎるポリマー粒子は好ましくはこの重合の最後の1/3の間に添加される。この小さ過ぎるポリマー粒子が極めて早期に、例えば既にモノマー溶液に添加される場合には、これにより、この得られた吸水性ポリマー粒子の遠心保持容量(CRC)は低下する。しかし、このことは、例えば架橋剤b)の使用量の適合によって補償されることができる。
【0060】
この小さすぎるポリマー粒子が極めて遅くに、例えば重合反応器中に後続する装置、例えば押出機中で初めて添加される場合には、この小さすぎるポリマー粒子はこの得られたポリマーゲル中に極めて困難にのみ組み込まれる。しかし、不十分に組み込まれた小さ過ぎるポリマー粒子は、この粉砕の間に再度乾燥したポリマーゲルから外れ、したがって分級の際に新たに分離され、返送すべき小さ過ぎるポリマー粒子の量を高める。最高で850μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、特にとりわけ好ましくは少なくとも98質量%である。
【0061】
最高で600μmの粒径を有する粒子の割合は、好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%、特にとりわけ好ましくは少なくとも98質量%である。
【0062】
大き過ぎる粒径を有するポリマー粒子は、この膨潤速度(Anquellgeschwindigkeit)を低下させる。したがって、大き過ぎるポリマー粒子の割合は同様に低いことが望ましい。
【0063】
したがって、大き過ぎるポリマー粒子は通常、分離され、かつ乾燥したポリマー粒子の粉砕へと返送される。
【0064】
このポリマー粒子は、特性のさらなる改善のために表面後架橋されることができる。適した後架橋剤は、ポリマー粒子の少なくとも2個のカルボキシレート基と共有結合を形成できる基を含有する化合物である。適した化合物は、例えば多官能性アミン、多官能性アミドアミン、多官能性エポキシド(例えばEP0083022A2、EP0543303A1及びEP0937736A2に記載)、二官能性又は多官能性アルコール(例えばDE3314019A1、DE3523617A1及びEP0450922A2に記載)、又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えばDE10204938A1及びUS6,239,230に記載)である。
【0065】
加えて、DE4020780C1の中で環状カーボネートが、DE19807502A1の中で2−オキサゾリドン及びその誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、DE19807992C1の中でビス−及びポリ−2−オキサゾリジノンが、DE19854573A1の中で2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体が、DE19854574A1の中でN−アシル−2−オキサゾリドンが、DE10204937A1の中で環状尿素が、DE10334584A1の中で二環状アミドアセタールが、EP1199327A2の中でオキセタン及び環状尿素が、またWO2003/31482A1の中でモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が、適した表面後架橋剤として記載されている。
【0066】
好ましい表面後架橋剤は、エチレンカーボナート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドとエピクロロヒドリンとの反応生成物、及びプロピレングリコール及び1,4−ブタンジオールからの混合物である。
【0067】
特にとりわけ好ましい表面後架橋剤は2−ヒドロキシエチルオキサゾリジン−2−オン、オキサゾリジン−2−オン及び1,3−プロパンジオールである。
【0068】
更に、付加的な重合可能なエチレン性不飽和基を有する表面後架橋剤、例えばDE3713601A1に記載のものも使用されることができる。表面後架橋剤の量は、そのつどポリマー粒子に対して、好ましくは0.001〜2質量%、特に好ましくは0.02〜1質量%、特にとりわけ好ましくは0.05〜0.2質量%である。
【0069】
本発明の好ましい一実施態様において、表面後架橋前、間又は後に、表面後架橋剤に加えて、多価カチオンがこの粒子表面上に設けられる。
【0070】
本発明による方法において使用することができる多価カチオンは、例えば二価カチオン、例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、鉄及びストロンチウムのカチオン、三価カチオン、例えばアルミニウム、鉄、クロム、希土類及びマンガンのカチオン、四価カチオン、例えばチタン及びジルコニウムのカチオンである。対イオンとして例えば塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、たとえば酢酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウム及び乳酸アルミニウムが好ましい。金属塩以外に、多価カチオンとしてポリアミンも使用することができる。
【0071】
多価カチオンの使用量は、そのつど前記ポリマー粒子に対して、例えば0.001〜1.5質量%、好ましくは0.005〜1質量%、とりわけ有利には0.02〜0.8質量%である。
【0072】
この表面後架橋は通常は、この表面後架橋剤の溶液がこの乾燥したポリマー粒子上に吹き付けられるように実施される。この吹付けに引続き、表面後架橋剤でコーティングされたポリマー粒子について加熱乾燥を行い、その際、表面後架橋反応は乾燥前でも乾燥中でも生じうる。
【0073】
この表面後架橋剤の溶液の吹付けは、好ましくは、可動式混合装置を有する混合機、例えばスクリュー混合機、ディスク混合機及びパドル型混合機中で実施される。特に好ましくは、水平型混合機、例えばパドル混合機、特にとりわけ好ましくは垂直型混合機である。水平型混合機と垂直型混合機の区別化は、この混合シャフトの位置により行われ、すなわち、水平型混合機は水平に配置された混合シャフトを、垂直型混合機は垂直に配置された混合シャフトを有する。適した混合機は例えば、Horizontale Pflugschar(R)混合機(Gebr.Loedige Maschinenbau GmbH;Paderborn;DE)、Vrieco−Nauta Continuous混合機(Hosokawa Micron BV;Doetinchem;NL)、Processall Mixmill混合機(Processall Incorporated;Cincinnati;US)及びSchugi Flexomix(R)(Hosokawa Micron BV;Doetinchem;NL)である。しかし、流動床中で表面後架橋剤溶液を吹き付けることも可能である。
【0074】
この表面後架橋剤は典型的には水溶液として使用される。非水性溶媒又は全溶媒量に関する含有量によって、ポリマー粒子中へのこの表面後架橋剤の侵入深さが調節されることができる。
【0075】
水のみが溶媒として使用される場合には、好ましくは界面活性剤が添加される。これにより、この湿潤挙動は改善され、塊形成傾向は減少する。しかし、好ましくは、溶媒混合物、例えばイソプロパノール/水、1,3−プロパンジオール/水及びプロピレングリコール/水が使用され、その際この混合質量比は好ましくは20:80〜40:60である。
【0076】
この加熱乾燥は、好ましくは接触乾燥器、特に好ましくはパドル型乾燥器、特に好ましくはディスク型乾燥器中で実施する。適した乾燥器は例えば、Hosokawa Bepex(R) Horizontal Paddle Dryer(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;DE)、Hosokawa Bepex(R) Disc Dryer(Hosokawa Micron GmbH;Leingarten;DE)及びNara Paddle Dryer(NARA Machinery Europe;Frechen;DE)である。さらに、流動床乾燥機も使用することができる。
【0077】
乾燥は、混合機それ自体中で、ジャケットの加熱又は熱空気の吹き込みによって行なうことができる。後接続された乾燥機、例えば箱形乾燥機、回転管炉又は加熱可能なスクリューは、同様に好適である。とりわけ好ましくは、流動層乾燥機中で混合及び乾燥される。
【0078】
好ましい乾燥温度は、100〜250℃、好ましくは120〜220℃、特に好ましくは130〜210℃、特にとりわけ好ましくは150〜200℃の範囲内にある。この温度での反応ミキサー又は乾燥器中での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分間、特に好ましくは少なくとも20分間、とりわけ好ましくは少なくとも30分間であり、通常は最高で60分間である。
【0079】
引き続き、この表面後架橋したポリマー粒子は新たに分級されることができ、その際小さ過ぎる及び/又は大き過ぎるポリマー粒子は分離され、本方法に返送される。
【0080】
この表面後架橋されたポリマー粒子は、特性のさらなる改善のためにコーティング又は後湿潤されることができる。
【0081】
この後湿潤は好ましくは30〜80℃、特に好ましくは35℃〜70℃、特にとりわけ好ましくは40〜60℃で実施される。低過ぎる温度では、この吸水性ポリマー粒子は塊形成する傾向があり、より高い温度では水が既に著しく蒸発する。後湿潤のために使用される水量は好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは2〜8質量%、特にとりわけ好ましくは3〜5質量%である。後湿潤により、このポリマー粒子の機械的安定性は高められ、その帯静電気傾向は減少する。
【0082】
膨潤速度並びに浸透性(SFC)を改善するための適したコーティングは、例えば無機不活性物質、例えば水不溶性金属塩、有機ポリマー、カチオン性ポリマー並びに二価又は多価の金属カチオンである。ダスト結合(Staubbindung)のための適したコーティングは例えばポリオールである。このポリマー粒子の不所望な粘着傾向(Verbackungsneigung)に対する適したコーティングは、例えば熱分解ケイ酸、例えばAerosil(R) 200及び界面活性剤、例えばSpan(R) 20である。
【0083】
吸水性ポリマー粒子は、湿分含有量好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは2〜10質量%、特にとりわけ好ましくは3〜5質量%を有し、その際この湿分含有量はEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨された試験法Nr.WSP 230.2−05"Moisture content"に従って測定される。
【0084】
吸水性ポリマー粒子は、典型的には少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、有利には少なくとも22g/g、とりわけ有利には少なくとも24g/g、極めて有利には少なくとも26g/gの遠心保持容量(CRC)を有する。吸水性ポリマー粒子の遠心保持容量(CRC)は通常は60g/g未満である。この遠心保持容量(CRC)は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法Nr.241.2−05"Centrifuge retention capacity"に従って測定される。
【0085】
吸水性ポリマー粒子は、一般に少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、好ましくは少なくとも22g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、特にとりわけ好ましくは26g/gの、圧力49.2g/cm2での吸収を有する。吸水性ポリマー粒子の、圧力49.2g/cm2での吸収は、通常は35g/g未満である。圧力49.2g/cm2での吸収は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)によって推奨された試験法Nr.242.2−05"Absorption under Pressure"と類似して測定され、その際21.0g/cm2の圧力の代わりに圧力49.2g/cm2に調整される。
【0086】
本発明の更なる一主題は、本発明の組成物の製造方法であり、その際、
i)少なくとも1のオキシダーゼを吸水性ポリマー粒子と一緒に混合する、及び/又は、
ii)少なくとも1のオキシダーゼを吸水性ポリマー粒子と一緒に粉砕する、及び/又は、
iii)少なくとも1のオキシダーゼを吸水性ポリマー粒子に吹付ける、
及び
iv)任意に、i)、ii)及び/又はiii)により得られる組成物を吸水性ポリマー粒子と一緒に混合する。
【0087】
変法i)及びiii)が好ましい。
【0088】
本発明の好ましい一実施態様においては、吸水性ポリマー粒子を更にオキシダーゼの基質と混合し、その際、同様に変法i)〜iv)が適している。
【0089】
この混合の種類は何ら制限を受けず、既に吸水性ポリマー粒子の製造の際に、例えば表面後架橋後の冷却又はこれに続く分級の際に、又は特殊な混合機中で行うことができる。適した混合機は既に吸水性ポリマー粒子の表面後架橋で上記している。
【0090】
粉砕の種類についてもやはり何ら制限を受けない。適した装置は既に吸水性ポリマー粒子の破砕で上記している。
【0091】
吹付けの種類については、何ら制限を受けない。
【0092】
本発明の更なる好ましい一実施態様において、吸水性ポリマー粒子及び少なくとも1のオキシダーゼを含む本発明による組成物A)、及び、吸水性ポリマー粒子及び少なくとも1のオキシダーゼの少なくとも1の基質を含む更なる組成物B)が別個に製造され、引き続き混合される。
【0093】
この組成物A)の組成物B)に対する混合比は好ましくは0.01〜100、特に好ましくは0.1〜10、特にとりわけ好ましくは0.5〜2である。
【0094】
混合の種類については、何ら制限を受けない。
【0095】
吸水性ポリマー粒子、少なくとも1のオキシダーゼ及び任意に少なくとも1の基質からの粉末混合物の製造の際には好ましくは脱塵剤が使用される。適した脱塵剤はポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのランダム又はブロックコポリマーである。更なるこの目的に適した脱塵剤は、ポリヒドロキシ化合物、例えばグリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン及びペンタエリトリトールのポリエトキシレート又はポリプロポキシレートである。適した例は、n回エトキシル化したトリメチロールプロパン又はグリセリンであり、その際、nは1〜100の整数である。更なる例はブロックコポリマー、例えば全部でn回エトキシル化し、次いでm回プロポキシル化したトリメチロールプロパン又はグリセリンであり、その際、nは1〜40の整数であり、mは1〜40の整数である。ブロックの順序は反対であってもよい。
【0096】
オキシダーゼは粗製抽出物として又は濃縮して使用されることができる。担体に固定化したオキシダーゼを使用することもできる。適した担体は例えば粘土鉱物、ベントナイト、シリカゲル、穀物粉(Mehl)、セルロース、水不溶性ホスフェート、カーボナート又はスルフェート、並びにカチオン性、非イオン性又はアニオン性ポリマー、活性炭、酸化アルミニウム、二酸化チタン、熱分解ケイ酸である。担体は顆粒であっても繊維状であってもよい。担体への結合は共有により又は吸着により行われてよい。
【0097】
更なる一実施態様において、より高いペルオキシダーゼ比触媒活性、通常は1〜10000μmol基質g-1・-1、好ましくは5〜5000μmol基質g-1・-1、特に好ましくは10〜1000μmol基質g-1・-1、を有する本発明による組成物が製造される。このように得られる高濃縮した組成物は次いで、更なる吸水性ポリマー粒子で所望の最終含有量へと希釈されることができる。
【0098】
更なる好ましい一実施態様において、吸水性ポリマー粒子を基礎とする少なくとも2つの組成物からの混合物が製造され、このうち一方は酵素を他方は基質を有する。この混合比は1対99〜99対1に変動できる。特に好ましくは類似のサイズの吸水性ポリマー粒子の混合物である。
【0099】
この混合の種類は何ら制限を受けず、両組成物のうちの1つの製造の際に既に、例えば表面後架橋後の冷却、これに続く分級の際に、又は特殊な混合機中で行うことができる。適した混合機は既に吸水性ポリマー粒子の表面後架橋で上記している。
【0100】
本発明の更なる主題は、少なくとも1の本発明による組成物を含む衛生用品、及び、吸水性ポリマー粒子、少なくとも1のオキシダーゼ及びこのオキシダーゼの基質を含む衛生用品であり、その際、このオキシダーゼは実質的にペルオキシダーゼ不含であるか、又は、このオキシダーゼのペルオキシダーゼ比触媒活性は0.001μmol基質g-1・-1より少なく、特に婦人衛生用の衛生用品、軽度及び重度の失禁のための衛生用品又は小動物用床材(Kleintierstreu)である。
【0101】
衛生用品は通常は水不透過性の裏側、水透過性の表側及びこの間に吸水性コアであって本発明の吸水性ポリマー粒子及びセルロース繊維から構成されるコアを含む。本発明による吸水性ポリマー粒子の割合は吸水性コア中で、好ましくは20〜100質量%、好ましくは50〜100質量%である。
【0102】
本発明による衛生用品は、本発明による組成物以外にも相応するオキシダーゼの基質を含むことができる。この場合には基質は液体負荷の際に初めてオキシダーゼへと輸送される。
【0103】
更に、吸水性ポリマー粒子、オキシダーゼ及び基質を別個に吸水性コア中に導入することもできる。
【0104】
吸水性ポリマー粒子は、以下で記載された試験法によって試験される。
【0105】
方法:
測定は、別記しない限り、23±2℃の周囲温度及び50±10%の相対空気湿度で実施されるものである。吸水性ポリマー粒子を測定前に十分に混合する。
【0106】
遠心保持容量(Centrifuge Retention Capacity)
遠心保持容量(CRC)をEDANAにより推奨される試験方法Nr. WSP 241.2−05「Centrifuge Retention Capacity」に応じて測定する。
【0107】
細菌が誘発するアンモニア放出
DSM1媒体(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)を、5.0g/lの肉由来ペプトン(Merck KGaA; Darmstadt; DE; Art. Nr. 1.07214)及び3.0g/lの肉エキス(Merck KGaA; Darmstadt;DE; Art. Nr. 1 103979)から製造し、pH=7.0に調節した。50mlのDSM1媒体をプロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)ATCC 14153を用いてOD=0.1に接種し、邪魔板を備えた250mlのエルレンマイヤーフラスコ中で15時間37℃で220rpmでインキュベーションした。このように製造した培養物は約109KBE/ml(OD=2.0〜2.5)の細胞密度を有した。
【0108】
合成した尿を、25g/lの尿素(滅菌済み)、9.0g/lの塩化ナトリウム、0.5g/lのβ−D−グルコース、1g/lの肉由来ペプトン及び1g/lの肉エキスから製造した。この合成した尿を滅菌済みの濃縮した尿素溶液の添加前にオートクレーブ処理した。
【0109】
125mlのポリプロピレン−組織学的ビーカー(Histologiebecher)をオートクレーブ処理し、50mlの合成尿の吸収のために必要な量の吸水性ポリマー粒子を装入した(遠心保持容量から計算)。次いで50mlの合成尿を50μlの細菌株溶液を用いて全濃度約106KBE/mlに相応して接種し、吸水性ポリマー粒子と混合し、すぐさま分散試験管(Draegerwerk AG & Co. KGaA; Luebeck; DE; Draeger−Roehrchen(R) Ammoniak 20/a−D; 事件番号8101301)を備えたふたを取り付けた。アンモニア発生を37℃で48時間にわたり観察した。
【0110】
実施例
実施例を、Hysorb(R) B7065(BASF SE; Ludwigshafen; DE)、市販の表面後架橋した吸水性ポリマー粒子(ナトリウムアクリラートベース、中和度70〜75mol%を有する)を用いて、実施した。
【0111】
このような表面後架橋した吸水性ポリマー粒子は、例えばBASF Aktiengesellschaft (商品名HySorb(R))、Stockhausen GmbH (商品名 Favor(R))及びvon Nippon Shokubai Co., Ltd. (商品名Aqualic(R))から商業的に入手可能である。
【0112】
実施例1
20gの吸水性ポリマー粒子を0.02gの「Gluzyme(R) Mono 10000 BG」(Novozymes A/S; Bagsvaerd; DK)と一緒に50mlのガラスフラスコ中へと量り取った。「Gluzyme(R) Mono 10000 BG」は、比触媒活性10000μmol基質g-1・-1を有するグルコースオキシダーゼである。引き続き、この混合物を大きな磁器乳鉢(16cmの内径)中に移し、ここで約5分間磨砕した。さらに、この試料を再度20分間46rpmで振盪混合機(Taumelmischer)中で均質化した。
【0113】
実施例2
0.33gの「Multifect(R) GO 5000L」(Genencor International B.V.; Leiden; NL)を25mlのペニシリンガラス(Penicillinglas)中に量り取り、超純水で10gに充填した。「Multifect(R) GO 5000L」は、比触媒活性4000μmol基質g-1・-1を有するグルコースオキシダーゼである。
【0114】
吸水性ポリマー粒子20.0gを、ステンレス鋼からなるパイプ(Aufsatz)を有する改造したコーヒーミル(Blender 8012 Model 34BL99; Waring Laboratory; US)(内径8cm、内部高さ4cm、器具直径7cm、ふた中の添加点は縁から1.3cm離れている、ふた中の流れ邪魔板(Stromstoerer))中に充填導入した。この改造されたコーヒーミルを段階3で運転した。カニューレを有するシリンジを介して0.60gの酵素溶液をゆっくりと添加した。この添加後に、吸水性ポリマー粒子をガラスシャーレ中へと移し替え、30分間換気室中で室温で放置した。
【0115】
実施例3
実施例2と同様の方法を実施したが、但し、0.33gの「GC 199 Enzyme Preparation」(Genencor International B.V.; Leiden; NL)を25mlのペニシリンガラス中に量り取り、超純水で10gに充填した。「GC 199 Enzyme Preparation」は、比触媒活性1500μmol基質g-1・-1を有するグルコースオキシダーゼである。
【0116】
実施例4
実施例1と同様の方法を実施したが、但し、吸水性ポリマー粒子を予め12.8質量%のβ−D−グルコースと混合し、合成尿の製造の際にβ−D−グルコースを取り除いた。
【0117】
実施例5
3.4gのリン酸水素カリウムを量り取り、脱イオン水を用いて250mlに充填した。第2のメスフラスコ中で5.7gのリン酸水素二カリウムを量り取り、同様に250mlに充填した。引き続き、リン酸水素カリウム溶液を、リン酸水素二カリウム溶液中へとpH7が達成されるまで添加した(緩衝液溶液)。
【0118】
267mgの「Gluzyme(R) Mono 10000 BG」(Novozymes A/S; Bagsvaerd; DK)を80gの緩衝溶液中でスラリー化した(酵素溶液)。
【0119】
270gの吸水性ポリマー粒子をBosch MultiMixx47、タイプCNUM5EV(Robert Bosch Hausgeraete GmbH; Muenchen;DE)中で3つのバー(strebig)の泡立て器を用いて充填し、段階3で撹拌した。8.1gの酵素溶液を噴霧分散機(800l/h、窒素)で吹き付けた。引き続き更なる10分間段階1で撹拌し、壁付着物をブラシで取り除いた後、再度10分間段階1で撹拌した。
【0120】
50gのこの混合物を磁器乳鉢(16cmの内径)中で1gのβ−D−グルコースと共に磨砕し、引き続き30分間32rpmで振盪混合機中で均質化した。合成尿の製造の際に細菌が誘発するアンモニア放出のためにβ−D−グルコースを除いた。
【0121】
第1表:試験結果
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性ポリマー粒子及び少なくとも1のオキシダーゼを含む匂い抑制組成物であって、実質的にペルオキシダーゼ不含であるか、又は、前記組成物のペルオキシダーゼ比触媒活性が0.001μmol基質g-1・-1より少ない組成物。
【請求項2】
前記オキシダーゼの基質を含むことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記オキシダーゼがグルコースオキシダーゼであることを特徴とする請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
前記オキシダーゼがグルコースオキシダーゼであり、前記組成物がグルコースを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物のオキシダーゼ比触媒活性が0.01〜1.000μmol基質g-1・-1であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも90質量%の吸水性ポリマー粒子を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
前記吸水性ポリマー粒子が、少なくとも50質量%重合したアクリル酸を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
前記吸水性ポリマー粒子が表面後架橋していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
吸水性ポリマー粒子が少なくとも15g/gの遠心保持容量を有することを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
以下の工程の少なくとも1つ
i)少なくとも1のオキシダーゼを吸水性ポリマー粒子及び任意に前記オキシダーゼの基質と一緒に混合する工程、及び/又は、
ii)少なくとも1のオキシダーゼ及び任意に前記オキシダーゼの基質を吸水性ポリマー粒子と一緒に粉砕する工程、及び/又は、
iii)少なくとも1のオキシダーゼ及び任意に前記オキシダーゼの基質を吸水性ポリマー粒子に吹付ける工程、及び
iv)任意に、i)、ii)及び/又はiii)により得られた組成物を更なる吸水性ポリマー粒子と一緒に混合する工程
を実施することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に定義した組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか1項記載の組成物少なくとも1つを含む衛生用品。
【請求項12】
吸水性ポリマー粒子、少なくとも1のオキシダーゼ及び前記オキシダーゼの基質を含む衛生用品であって、前記オキシダーゼが実質的にペルオキシダーゼ不含であるか、又は、前記オキシダーゼのペルオキシダーゼ比触媒活性が0.001μmol基質g-1・-1より少ない衛生用品。
【請求項13】
前記オキシダーゼがグルコースオキシダーゼであり、かつ、前記基質がグルコースであることを特徴とする請求項12記載の衛生用品。
【請求項14】
前記吸水性ポリマー粒子が少なくとも15g/gの遠心保持容量を有することを特徴とする請求項12又は13記載の衛生用品。
【請求項15】
衛生用品が、婦人衛生のための物品、軽度及び重度の失禁のための物品又は小動物用床材であることを特徴とする請求項11から14のいずれか1項記載の衛生物品。

【公表番号】特表2012−526877(P2012−526877A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510239(P2012−510239)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056313
【国際公開番号】WO2010/130666
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】