説明

包あん機

【課題】スクリューコンベアからベーンポンプへ食材を送給するときに、食材の圧縮を抑制でき、かつ残量を少なくすることのできる包あん機を提供する。
【解決手段】包あん機における各ホッパー7,9内の底部に回転自在に備えたスクリューコンベア11A,11Bの先端側にスクリュー径が次第に小径になるテーパ部21を備え、ベーンポンプ15A,15Bの軸心を前記スクリューコンベア11A,11Bの軸心に対して傾斜して設けると共に、前記スクリューコンベア11A,11Bにおける前記テーパ部21によって先端側へ送られつつある食材を前記ベーンポンプ15A,15Bに直接受け入れるために、前記ベーンポンプ15A,15Bの入口を前記スクリューコンベア11A,11Bにおける前記テーパ部21の周縁部に近接して設け、前記ベーンポンプ15A,15Bの出口と前記重合ノズルとが管路を介して接続してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばまんじゅうのごとく、あんのごとき内包材をまんじゅう生地のごとき外皮材でもって包み込んだ食製品を製造するための包あん機に係り、さらに詳細には、食材としての内包材及び外皮材をそれぞれのホッパーから重合ノズルへ送給するとき、各食材への負荷の軽減を図ることのできる包あん機に関する。
【背景技術】
【0002】
包あん機は、食材としての内包材及び外皮材を個別に収容するホッパーを備え、各ホッパーにおける底部に備えたスクリューコンベアによって送り出された食材を、ベーンポンプによって重合ノズルへ送給し、当該重合ノズルにおいて、内包材の周面に外皮材を備えた棒状の食品を連続的に製造し、この棒状食品を、シャッター装置によって切断することにより、外皮材でもって内包材を適宜に包み込んだ食製品を製造している(例えば特許文献1、2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−107957号公報
【特許文献2】特許第3559222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の包あん機は、食材としての内包材及び外皮材をそれぞれ別個に収容するホッパーを備えており、各ホッパーの底部には、先端側が低くなるように傾斜した一対のスクリューコンベアが回転自在に備えられている。そして、前記スクリューコンベアによって送り出された食材を重合ノズルへ送給するために、前記各スクリューコンベアと前記重合ノズルとの間にはベーンポンプが備えられている。
【0005】
前記構成において、各ホッパーの底部に備えた一対のスクリューコンベアに対してベーンポンプは1個であり、前記スクリューコンベアの先端部と前記ベーンポンプとの間には、ベーンポンプの入口側が急激に狭くなる通路(特許文献1の図8参照)が形成してある。したがって、スクリューコンベアによってベーンポンプへ送り出される食材は前記通路の部分において大きな負荷が付与されて内部応力が大きくなるという問題がある。また、最終的には前記通路部分の食材はベーンポンプへ送り出すことができずに、残量になるという問題がある。
【0006】
前記特許文献2に記載の包あん機においても、一対のスクリューコンベアの先端から離れた位置にベーンポンプが配置してあり、スクリューコンベアの先端部とベーンポンプとの間には、ベーンポンプ側が急激に狭くなる通路が形成してあるので、特許文献2に記載の包あん機においても、前記特許文献1に記載の包あん機と同様の問題を有するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、内包材用のホッパー内の食材としての内包材を重合ノズルへ送給すると共に外皮材用のホッパー内の食材としての外皮材を前記重合ノズルへ送給し、前記外皮材でもって前記内包材を包み込んだ食製品を連続的に製造するための包あん機であって、前記各ホッパー内の底部に回転自在に備えたスクリューコンベアの先端側にスクリュー径が次第に小径になるテーパ部を備え、当該スクリューコンベアによって移送された食材を前記重合ノズルへ送給するためのベーンポンプの軸心を前記スクリューコンベアの軸心に対して傾斜して設けると共に、前記スクリューコンベアにおける前記テーパ部によって当該テーパ部の先端側へ送られつつある食材を前記ベーンポンプに直接受け入れるために、前記ベーンポンプの入口を前記スクリューコンベアにおける前記テーパ部の周縁部に近接して設け、前記ベーンポンプの出口と前記重合ノズルとが管路を介して接続してあることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記包あん機において、前記スクリューコンベアの軸心は水平に設けてあり、前記ベーンポンプは前記スクリューコンベアの前記テーパ部の下側に配置してあり、かつ前記ベーンポンプの軸心は、前記スクリューコンベアにおける先端側が高くなるように傾斜してあり、前記ベーンポンプと前記重合ノズルとを接続した前記管路は、前記重合ノズル側が低くなるように傾斜してあることを特徴とするものである。
【0009】
また、前記包あん機において、前記ホッパーの底部には一対のスクリューコンベアが回転自在に備えられており、一対のスクリューコンベアの先端部が共にテーパ部に形成してあり、この両テーパ部の間に対応して前記ベーンポンプが配置してあることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スクリューコンベアによって当該スクリューコンベアの先端側へ送られつつある食材をベーンポンプに直接受け入れるため、食材が急激に圧縮されることを抑制することができると共に、スクリューコンベアとベーンポンプとの間において残量となる食材をより少なくすることができ、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る包あん機の正面説明図である。
【図2】同包あん機の左側面図で一部断面して示した説明図である。
【図3】同包あん機の平面説明図である。
【図4】スクリューコンベアとベーンポンプとの関係を示す側断面説明図である。
【図5】同上の平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜図3を参照するに、本発明の実施形態に係る包あん機1は、複数のキャスター3を介して移動自在な箱状の本体フレーム5を備えており、このフレーム5の上部には、食材としての内包材を収容する内包材用のホッパー7を備えていると共に食材としての外皮材を収容する外皮材用のホッパー9を備えている。そして、上記各ホッパー7,9内の底部には、ホッパー7,9内の食材を送り出すため一対のスクリューコンベア11A,11Bがそれぞれ水平にかつ回転自在に備えられている。
【0013】
前記各スクリューコンベア11A,11Bによって各ホッパー7,9内から送り出された食材を、前記本体フレーム5の前面に備えた重合ノズル13へ送給するために、前記各スクリューコンベア11A,11Bと前記重合ノズル13との間には、ベーンポンプ15A,15Bがそれぞれ備えられている。なお、前記重合ノズル13及びベーンポンプ15A,15Bの構成は、公知の構成でよいものであるから、重合ノズル13及びベーンポンプ15A,15Bの構成についての詳細な説明は省略する。
【0014】
前記重合ノズル13は、前記ベーンポンプ15Aから送給された食材としての内包材の周面に、前記ベーンポンプ15Bから送給された食材としての外皮材を備えた棒状の食品素材を連続的に製造するものであって、この重合ノズル13の下側には、前記重合ノズル13から連続的に吐出される棒状の食品素材を、外皮材でもって内包材を適宜に包み込んだ状態に切断するための包被切断装置17が上下動自在に備えられている。この包被切断装置17は、前記食品素材を切断するための複数のシャッタ片を開閉自在に備えた構成であり、公知の構成でよいものであるから、前記包被切断装置17についてのより詳細な説明は省略する。
【0015】
前記包被切断装置17の下側には、当該包被切断装置17によって切断された食製品を次工程へ搬送するためのエンドレス状のコンベアベルト19が備えられている。そして、前記コンベアベルト19の、前記包被切断装置17に対応した部分を上下動するためのベルト上下動手段22が備えられている。前記コンベアベルト19の駆動手段や前記ベルト上下動手段22等の構成は、公知の構成でよいものであるから、コンベアベルト19やベルト上下動手段22等の構成についてのより詳細な説明は省略する。
【0016】
前記ホッパー7内へ食材としての内包材を収容し、かつホッパー9内へ食材としての外皮材を収容した状態において、各スクリューコンベア11A,11Bを回転して各ホッパー7,9内の食材を送り出すと、送り出された食材は、各ホッパー7,9に対応して設けられた各ベーンポンプ15A,15Bを介して前記重合ノズル13へ送給されることになる。ここで、前記各スクリューコンベア11A,11Bと各ベーンポンプ15A,15Bとの間に、ベーンポンプ15A,15B側が急激に狭くなる通路が存在すると、食材としての内包材,外皮材が上記通路において圧縮されることとなり望ましいものではない。
【0017】
そこで、本実施形態に係る包あん機1においては、図4に示すように、前記各スクリューコンベア11A,11Bの先端側にはスクリュー径が次第に小径になるテーパ部21が備えられている。そして、前記各ホッパー7,9には、前記各スクリューコンベア11A,11Bにおける各テーパ部21に対応したテーパ状の凹部23を内面に備えた端部ハウジング25が取付けてある。換言すれば、上記端部ハウジング25は、前記各スクリューコンベア11A,11Bにおけるテーパ部21に対応したテーパ状の前記凹部23を内面に備えたテーパ状ハウジング27A,27B(図1,図3参照)を一体に備えた構成である。
【0018】
そして、端部ハウジング25における前記テーパ状ハウジング27A,27Bの間で当該テーパ状ハウジング27A,27Bの下側に、ベーンポンプ15A,15Bのポンプハウジング29がそれぞれ配置してある。このポンプハウジング29内には、複数のベーン31を放射方向(径方向)へ移動自在に備えた回転筒33が回転自在に備えられている。そして前記ポンプハウジング29において前記ベーン31が摺接する摺接面は、前記ベーン31を径方向に移動するためのカム面に形成してある。なお、ベーンポンプ15A,15B自体の構成は、一般的な構成であるから、前記回転筒33を回転するための駆動機構などの詳細については説明を省略する。
【0019】
前記ベーンポンプ15A,15Bの軸心は、図4に示すように、水平なスクリューコンベア11A,11Bに対してスクリューコンベア11A,11Bの先端側が高くなるように傾斜してある。そして、前記スクリューコンベア11A,11Bにおける前記テーパ部21によって当該テーパ部21の先端側へ送られつつある食材を前記ベーンポンプ15A,15Bに直接受け入れるために、ベーンポンプ15A,15Bにおけるポンプハウジング29の上部側に設けた入口35は、前記端部ハウジング25におけるテーパ状ハウジング27A,27Bの下側に設けた出口と兼用してある。
【0020】
したがって、前記入口35は、ベーンポンプ15A,15B側から見ると食材の入口であり、スクリューコンベア11A,11B側から見るとスクリューコンベア11A,11Bの周縁部に近接して設けた食材の出口である。換言すれば、ホッパー7,9側からの食材の出口、より詳細には端部ハウジング25からの食材の出口とベーンポンプ15A,15Bの入口とを直接接続した態様である。そして、前記ベーンポンプ15A,15Bの出口は、前記重合ノズル13に対向した下側に設けてあって、この出口と前記重合ノズル13は、重合ノズル13側が低くなるように傾斜した管路37A,37B(図1参照)を介してそれぞれ接続してある。すなわち、ベーンポンプ15A,15Bの入口をスクリューコンベア11A,11Bにおけるテーパ部21の周縁部に近接した構成である。
【0021】
前記構成において、前述したように、スクリューコンベア11A,11Bを回転駆動してホッパー7,9内の食材を当該スクリューコンベア11A,11Bの先端部側へ送り出すと、送り出された食材は、各スクリューコンベア11A,11Bの先端側に備えたテーパ部21の部分において先端側へ送られつつ、端部ハウジング25におけるテーパ状ハウジング27A,27Bのテーパ状の凹部23内において圧縮される傾向にある。しかし、前記テーパ状ハウジング27A,27Bの下側には、ベーンポンプ15A,15Bの入口35に該当する出口が設けてあるので、前記スクリューコンベア11A,11Bのテーパ部21によって先端側へ送られつつある食材は、前記テーパ部21の周縁部に近接した出口から直ちに前記ベーンポンプ15A,15Bに直接受け入れられることとなり、大きな圧縮を受けることがないものである。
【0022】
より詳細には、前記スクリューコンベア11A,11Bの先端側のテーパ部21と、前記端部ハウジング25のテーパ状の凹部23との関係を模式的に平面図で示すと、前記端部ハウジング25内において食材が圧縮される傾向にある領域は、図5におけるハッチングで示した領域39となる。そして、この領域39のほぼ中央部の下側に前記ベーンポンプ15A,15Bが配置してある。
【0023】
したがって、前記スクリューコンベア11A,11Bによって送り出された食材が前記領域39内(端部ハウジング25内)において圧縮される傾向にあるとき、下側の出口から直ちにベーンポンプ15A,15Bに直接受け入れられることとなり、大きな圧縮を食材に付与するようなことがなく、食材の内部応力の増大を抑制できるものである。そして、スクリューコンベア11A,11Bにおけるテーパ部21によって先端側へ送られつつある食材は、内部応力を付与されることなく前記テーパ部21の周縁からベーンポンプ15A,15Bへ直ちに直接受け入れられるので、スクリューコンベア11A,11Bとベーンポンプ15A,15Bとの間の食材の残量を、従来に比較して極端に少なくすることができるものであり、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【符号の説明】
【0024】
1 包あん機
5 本体フレーム
7,9 ホッパー
11A,11B スクリューコンベア
13 重合ノズル
15A,15B ベーンポンプ
21 テーパ部
23 テーパ状の凹部
25 端部ハウジング
27A,27B テーパ状のハウジング
29 ポンプハウジング
35 入口
37A,37B 管路
39 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内包材用のホッパー内の食材としての内包材を重合ノズルへ送給すると共に外皮材用のホッパー内の食材としての外皮材を前記重合ノズルへ送給し、前記外皮材でもって前記内包材を包み込んだ食製品を連続的に製造するための包あん機であって、前記各ホッパー内の底部に回転自在に備えたスクリューコンベアの先端側にスクリュー径が次第に小径になるテーパ部を備え、当該スクリューコンベアによって移送された食材を前記重合ノズルへ送給するためのベーンポンプの軸心を前記スクリューコンベアの軸心に対して傾斜して設けると共に、前記スクリューコンベアにおける前記テーパ部によって当該テーパ部の先端側へ送られつつある食材を前記ベーンポンプに直接受け入れるために、前記ベーンポンプの入口を前記スクリューコンベアにおける前記テーパ部の周縁部に近接して設け、前記ベーンポンプの出口と前記重合ノズルとが管路を介して接続してあることを特徴とする包あん機。
【請求項2】
請求項1に記載の包あん機において、前記スクリューコンベアの軸心は水平に設けてあり、前記ベーンポンプは前記スクリューコンベアの前記テーパ部の下側に配置してあり、かつ前記ベーンポンプの軸心は、前記スクリューコンベアにおける先端側が高くなるように傾斜してあり、前記ベーンポンプと前記重合ノズルとを接続した前記管路は、前記重合ノズル側が低くなるように傾斜してあることを特徴とする包あん機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包あん機において、前記ホッパーの底部には一対のスクリューコンベアが回転自在に備えられており、一対のスクリューコンベアの先端部が共にテーパ部に形成してあり、この両テーパ部の間に対応して前記ベーンポンプが配置してあることを特徴とする包あん機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate