説明

包被食品製造装置及び包被食品製造方法

【課題】板状の外皮材で内材を包み込んだ包被食品を製造するときに、外皮材の封着部側を反対側より薄く形成することのできる包被食品の製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】外皮材5でもって内材Fを包み込んだ包被食品Pを製造するための包被食品製造するにあたり、外皮材を搬送する成形コンベア51と、該成形コンベア51の上方に配置され、その回転軸58の軸方向に沿って中央部55Aが細く、その両端に該中央部55Aより太い端部55Cを備えた延展ローラ55とにより挟圧して延展し、さらに、延展された前記外皮材5を延展ローラ55により延展された延展方向に直交する方向から、再度、前記延展ローラ55により挟圧して延展することにより、外皮材5の中央部5Bが縁部5Cより厚い形状の板状の外皮材5を成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパン生地や中華饅頭生地などのごとき外皮材でもって、例えば餡などのごとき内材を包み込んだ形態の包被食品を製造するための包被食品製造装置および包被食品製造方法に関し、さらに詳しくは、外皮材の封着部側の厚さを、反対側の外皮材の厚さよりも薄く成形する包被食品製造装置および包被食品製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板状の食品生地である外皮材でもって内材を包み込んで包被食品を成形する包み込み成形装置がある(特許文献1)。
また、板状の食品生地片である外皮材でもって内材を包み込んで包被食品を成形するにあたり、外皮材の外周部に対しその中央部を厚く成形する成形装置がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4210779号公報
【特許文献2】特許第3421667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の構成は、中央部分に開口部が形成されるとともに円板状の外皮材が載置される載置部材と、載置部材の上方に配設されるとともに複数のシャッタ片を備えたシャッタと、シャッタ片を閉じる方向に動作させてその開口面積を縮小して外皮材が所定位置に収まるように位置調整するとともにシャッタを閉じ動作させることにより外皮材の周縁部を内材を包むように集めて封着するシャッタ駆動手段と、押し込み部材を下降させることにより載置部材の開口部に進入させて外皮材の中央部分を開口部に押し込み外皮材を椀状に形成するとともに押し込み部材を通して外皮材内に内材を供給する外皮材形成手段と、外皮材形成手段に設けられるとともに押え部材を外皮材の外周部に押し付けて外皮材を載置部材上に保持する保持手段と、載置部材の下方に配設されるとともに支持部材を上昇させて椀状形成された外皮材を支持し支持部材を下降させて成形品を搬送する支持手段とを備えている包被食品成形装置である。
【0005】
前述のごとく、円板状の外皮材の周縁部をシャッタ片の押圧面で中央部に集めて封着するものであるから、外皮材の厚さが全体に亘ってほぼ均等であると、中央部に集められた部分が厚肉になる。すなわち、内材を包み込んだ状態の包被食品においては上部側すなわち封着部側が厚肉になり、下側(生地片中央部)る。したがって、包被食品の製品として、封着部が下側になるように上下を反転すると、包被食品の製品においての外皮材は上側(生地片中央部)が薄肉であって下側(封着部)が厚肉の形態となる。よって、包被食品の上面に例えば襞などを形成する場合、薄肉の部分に襞等を形成することとなり、望ましいものではない。しかしながら、前記封着部を厚肉の形態とならぬように、載置部材上に載置される外皮材の外周部を少なく、つまり、外皮材の外径を小さくしたものから包み込み成形を行うと、外皮材の周縁部が中央部に集まらずに封着が難しくなるという問題があった。
【0006】
そこで、食品生地片である外皮材でもって内材を包み込んで包被食品を成形するにあたり、外皮材の外周部に対しその中央部を厚く成形する成形装置がある(特許文献2)。
前記特許文献2に記載の構成は、 互いに接近離反動作する複数の型片から成る外皮材の周囲を囲む横型と、下面中央に凹部が形成されるとともに外皮材を上方から押圧する上型と、前記横型を前記外皮材の周囲に囲むように配置した後前記外皮材を上方から押圧するように前記上型を駆動制御する駆動手段とを備えた型打装置である。
前述のごとく、外皮材の周囲を囲む横型と上方から押圧する上型とにより外皮材を押圧して成形するものであるから、パン生地や中華饅頭生地などの弾性力が強い食品生地を成形する場合には、それら型枠から開放された外皮材は、もとの円板状に復元する傾向が強く、外皮材の外周部に対しその中央部を厚く成形することができないという問題があった。また、外皮材の内部に存在する不必要な大きな空泡からガスを抜くことができないため、包み込み成形され、焼成や蒸成された最終製品に大きな空洞が残るという問題があった。
そこで、包被食品を製造する場合、外皮材でもって内材を包み込んで包被食品を成形する際に、包被食品の封着部側(上部側)の外皮材が反対側(下部側)の外皮材よりも薄肉に形成することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、外皮材でもって内材を包み込んだ包被食品を製造するための包被食品製造装置であって、中央部が縁部より厚い形状の板状の外皮材を成形するための食品生地片成形装置を備え、該食品生地片成形装置は、前記外皮材を搬送する成形コンベアと、該成形コンベアの上方に、前記外皮材を延展する二台の食品生地延展装置と、前記食品生地延展装置の間に配置され、一台目の延展装置により延展された外皮材をその延展方向に直交する方向と二台目の延展装置による延展方向とを位置あわせする生地搬送方向変換手段とを備え、前記各延展装置は、回転軸が前記搬送方向に直交する幅方向に沿って、かつ、前記搬送面に平行に配置された延展ローラを備え、該延展ローラは、前記回転軸の軸方向に沿って中央部が細く、その両端に該中央部より太い端部を備えていることを特徴とする包被食品製造装置である。
さらに、前記食品生地片成形装置の下流側に包み込み成形装置を備え、該包み込み成形装置は、上下方向の開口部を備えた載置部材と、前記開口部を覆うように前記載置部材上に偏平状の外皮材を移送する外皮材移送手段と、前記載置部材上の前記外皮材を前記開口部に対して位置決めするために、前記外皮材の周縁部を押圧自在な複数のシャッタ片を開閉自在に備えたシャッタ装置と、前記載置部材に対して相対的に上下動自在かつ前記外皮材上に内材を吐出するノズル部材とを備え、前記シャッタ装置は、前記外皮材でもって内材を包み込むために、当該シャッタ装置に開閉自在に備えた複数のシャッタ片が前記外皮材の周縁部を中央部側へ押圧する押圧面に、前記外皮材の周縁部を保持して中央部へ寄せ集めるための生地保持手段を備えていることを特徴とする包被食品製造装置
【0008】
また、外皮材でもって内材を包み込んだ包被食品を製造するための包被食品製造方法であって、外皮材を搬送する成形コンベアと、該成形コンベアの上方に配置され、その回転軸の軸方向に沿って中央部が細く、その両端に該中央部より太い端部を備えた延展ローラとにより挟圧して延展し、さらに、延展された前記外皮材を延展ローラにより延展された延展方向に直交する方向から、再度、前記延展ローラにより挟圧して延展することにより、外皮材の中央部が縁部より厚い形状の板状の外皮材を成形し、該外皮材に内材を配置した状態で複数のシャッタ片からなるシャッタ装置を閉動作させて前記内材を包み込むように前記外皮材の外周部を集束させて封着することにより、外皮材の封着部側の厚さを、反対側の外皮材の厚さよりも薄く成形することを特徴とする包被食品製造方法ことを特徴とする包被食品の製造方法である。
さらに、前記シャッタ片の押圧面に備えられた生地保持手段によって外皮材の外周縁部を中央部側へ引っ張り誘導することによって外皮材の封着部側の厚さを、反対側の外皮材の厚さよりも薄く成形することを特徴とする包被食品製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外皮材でもって内材を包み込んだ包被食品を製造するとき、外皮材を封着する封着部側、すなわち上部側の外皮材の厚さを下側の外皮材の厚さよりも薄くすることができ、前述したごとき従来の問題を解消することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る包被食品製造装置1の正面説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る包被食品製造装置1の平面説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る丸め成形装置13に備えたシャッタ装置13の開閉動作説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る丸め成形装置13に備えたシャッタ装置13の開閉動作説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る丸め成形装置13に備えたシャッタ装置13の開閉動作説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係る丸め成形装置13に備えたシャッタ装置13の開閉動作説明図である。
【図7】本発明の実施形態に係る丸め成形装置13に備えたシャッタ装置13の開閉動作説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る食品生地片成形装置50の説明図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る包み込み成形装置60により包被食品を製造する工程の説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係る包み込み成形装置60により包被食品を包被食品を製造する工程の説明図である。
【図11】本発明の実施形態に係る包み込み成形装置60により包被食品を包被食品を製造する工程の説明図である。
【図12】本発明の実施形態に係る包み込み成形装置60により包被食品を包被食品を製造する工程の説明図である。
【図13】本発明の実施形態に係る包み込み成形装置60により包被食品を包被食品を製造する工程の説明図である。
【図14】本発明の実施形態に係る包み込み成形装置60により包被食品を包被食品を製造する工程の説明図である。
【図15】本発明の実施形態に係る包み込み成形装置60により包被食品を包被食品を製造する工程の説明図である。
【図16】本発明の実施形態に係る包み込み成形装置60により包被食品を包被食品を製造する工程の説明図である。
【図17】本発明の実施形態に係る包み込み成形装置60により包被食品を包被食品を製造する工程の説明図である。
【図18】本発明の実施形態に係る包み込み成形装置60により包被食品を包被食品を製造する工程の説明図である。
【図19】本発明の実施形態に係る包み込み成形装置60により包被食品を包被食品を製造する工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、先ず、図1および図2を参照して包被食品製造装置1の全体的構成について概念的、概略的に説明する。この包被食品製造装置1は、所要の重量または大きさに分割された一塊の食品生地5(外皮材5)を略球状の食品生地5に丸く成形する丸め成形装置2、丸め成形された食品生地5(外皮材5)を生地片状の食品生地5(外皮材5)に圧延する食品生地片成形装置50と、該食品生地5(外皮材5)でもって内材Fを包み込んで包被食品Pを成形する包み込み成形装置60を備えている。
【0012】
前記丸め成形装置2は、図1乃至図7に概念的、概略的に示すように、箱状の本体フレーム3を備えており、この本体フレーム3の前面には、搬送コンベア7が備えられている。この搬送コンベア7は、例えば中華饅頭生地などのごとき一塊の食品生地5および丸められた食品生地5を支持部材として支持しながら断続的に搬送するために、前記本体フレーム3の内部に備えられたモータM1と連動連結されて無端回動するコンベアベルト9を備えている。
【0013】
前記搬送コンベア7の上方位置には、一塊の食品生地5を球形状に丸めるためのシャッタ装置13が備えられている。このシャッタ装置13は、前記本体フレーム3の前面に上下動自在に備えられた環状のシャッタフレーム15を備えている。そして、このシャッタフレーム15には複数の回動軸17が垂直にかつ周方向に等間隔に備えられており、例えばギア列、タイミングベルトなどの連動機構を介して互いに連動連結してある。さらに、前記本体フレーム3の内部には、前記連動機構と連動連結され、前記回動軸17を回動するためのモータM2が備えられている。
【0014】
前記各回動軸17の下端部にはそれぞれシャッタ片19が備えられている。複数の前記シャッタ片19は、各シャッタ片19によって囲繞された領域(空間)30が形成され、前記回動軸17の回動動作に伴って、前記領域(空間)30を拡大、縮径するように開閉動作を行うべく開閉自在に備えられている。そして、開閉動作を行うときには、各シャッタ片19の先端部19Eは、隣接した一方のシャッタ片19における押圧面23に接触した状態にあるものである。さらに、前記本体フレーム3には、前記シャッタ装置13を上下動するためのモータM3が備えられている。そして、前記各モータM1、M2、M3の動作を制御して丸め成形装置2の動作を制御するための制御装置91が前記包み込み成形装置60の内部に備えられている。
【0015】
前記シャッタ装置13の下方の対応位置には、前記搬送コンベア7によって搬送される食品生地5を検出するための光学センサ(図示省略)が備えられている。そして、この光学センサによって食品生地5の検出が行われると、前記制御装置91の制御の下にモータM1の駆動が停止され、前記シャッタ装置13の下方位置に食品生地5が位置決め停止されるものである。このように、食品生地5の位置決めが行われると、前記モータM3が駆動され、前記シャッタ装置13の前記各シャッタ片19の下面25が前記コンベアベルト9の上面(搬送面)に僅かに接触した状態となるまで前記シャッタ装置13が下降され、そして、前記モータM2が駆動され、シャッタ装置13に備えた複数のシャッタ片19が開閉動作を複数回行うことにより、一塊の前記食品生地5を丸く成形するものである。
【0016】
前記シャッタ片19の下面25L(図3参照)は、前記コンベアベルト9の水平な上面と摺接可能な平面に形成してあり、前記押圧面23は、図3に示すように傾斜面に形成してある。より詳細には、前記シャッタ片19の押圧面23は、シャッタ片19の基端部側の傾斜面27Aの水平面に対する傾斜角よりも、先端部側の傾斜面27Bの水平面に対する傾斜角の方が小さい角度に形成してある。すなわち、押圧面23は、基端部側の傾斜面27Aよりも先端部側の傾斜面27B側が次第に緩傾斜となる傾斜面に形成してある。そして、前記押圧面23の下部には、当該押圧面23から僅かに突出した突条部29が備えられている。また、前記押圧面23と水平な上面25Uとが交わった稜線28は前記基端部側から先端部19E側へ水平に延伸してある。
【0017】
既に理解されるように、前記各シャッタ片19の前記押圧面23は、各シャッタ片19によって囲繞した囲繞空間(囲繞領域)30における下部側の径よりも上部側の径が大きくなる傾斜面に形成してある。したがって、各シャッタ片19を閉動作すると、各シャッタ片19における下部側が先行して閉じた後に、各シャッタ片19の上部側が遅れて閉じることになるものである(図6参照)。
【0018】
前記構成において、複数のシャッタ片19によって囲繞された囲繞領域(囲繞空間)30を次第に縮径(縮小)し、囲繞領域30内の食品生地5を、各シャッタ片19の各押圧面23によって周囲から押圧すると、食品生地5における下側全周囲の表面部分(表面部)は下部中心側へ同時に押圧移動されることになる。この際、傾斜した押圧面23に作用する分力によって食品生地5は次第に上昇されることになる。
【0019】
前記構成において、前記シャッタフレーム15には、前記シャッタ片19が前記囲繞領域30内の前記食品生地5を押圧して丸め成形する際に、前記食品生地5の上昇は許容するものの、上部側を押えるための円板形状の生地押え部材31が備えられている。より詳細には、環状の前記シャッタフレーム15の上面には、当該シャッタフレーム15の中心部を横切るブラケット33が備えられている。そして、シャッタフレーム15の中心部に対応した位置に配置した昇降部材35は前記ブラケット33に上下動自在に支持されており、この昇降部材35の下端部に前記生地押え部材31が備えられている。前記生地押え部材31と前記ブラケット33との間にはスプリングなどのごとき弾性部材37が弾装してあり、生地押え部材31は常に下方向へ付勢されている。なお、前記弾性部材37を省略して、前記生地押え部材31等の自重でもって常に下方向へ付勢した構成とすることも可能である。
【0020】
前記生地押え部材31の下面は、球形状に丸め成形される食品生地5の上部に接触するもので、上記下面は、丸め成形される食品生地5の大きさに対応して、球状の凹曲面31Fに形成してある。なお、前記生地押え部材31は円板形状に限ることなく所望の形状とすることができる。そして、下面は、凹曲面31Fにかぎることなく平面等にすることも可能である。また、食品生地5の粘着を防止するために、生地押え部材31の下面に適宜の粘着防止手段を備えることが望ましいものである。
【0021】
以上のごとき構成において、適宜の食品生地供給手段から供給される適宜形状の食品生地、すなわち、例えば、連続した帯状の食品生地シートから所望の大きさ、又は重量に切断分割された矩形形状の一塊の食品生地5がシャッタ装置13に対応した位置に搬送(搬入)され、光学センサによって食品生地5が検出されると、前記シャッタ装置13の下方位置に位置決め停止される。その後、シャッタ装置13における各シャッタ片19を大きく開いた状態でもって下降され、前記食品生地5を、各シャッタ片19によって囲繞された囲繞領域30内に配置した形態となる。この際、シャッタ装置13における各シャッタ片19の下面25は、食品生地5を支持する支持部材としてのコンベアベルト9の上面に摺動自在に接触(摺接)した状態にある(図3参照)。
【0022】
上記状態において、各シャッタ片19を閉動作すると、前記囲繞領域30は縮径(縮小)されることとなり、前記囲繞領域30内の食品生地5の下部側の表面部は、各シャッタ片19における押圧面23及び稜線部28によって全周囲から中央部へ同時に押圧移動されることになる。この際、食品生地5は、下部側全周囲の表面部が押圧されて中央部側へ移動されることにより上下方向へ流動する傾向にあり、下方向への流動部は、コンベアベルト9と各シャッタ片19の下面25Lとの間に入り込む傾向にある。しかし、前記コンベアベルト9と各シャッタ片19の下面25Lはコンベアベルト9の上面に摺接した状態にあり、入り込みは防止されるものである。
【0023】
また、前記各シャッタ片19によって食品生地5の下部側全周囲の表面部を下部中央部へ押圧移動するとき、上方向への分力によって食品生地5は次第に上昇されることになる。そして、食品生地5の上部は生地押え部材31に当接し、当該生地押え部材31によって軽く押えられることになる。そして、前記食品生地5における下部側周囲の全周囲表面部が各シャッタ片19によって下部中心部側(下部中央部側)へ押圧される。そして、前記各シャッタ片19の開閉動作を適宜に数回繰り返すことによりことにより、食品生地5における下部側の全周囲の表面部の生地は、図4に矢印Aで示すように下部中央部側へ誘導されることになる。したがって、食品生地5の上部側外表面には均等的に張力が付与されることになる。
【0024】
前記各シャッタ片19の最初の閉動作は、図3に示すごとき大径D1の開状態から全閉状態になるまで閉動作を行うものではなく、図4に示すように、各シャッタ片19を僅かに開いた小径D2の状態に閉動作を行うものである。次に、図5に示すように、前記大径D1よりも小さな中径D3に開動作した後、再び閉動作を行うものである。なお、前記中径D3を大径D1と等しくすることも可能であるが、動作に無駄を生じることになるので、中径D3に開動作することが望ましいものである。
【0025】
前述したように、各シャッタ片19を中径D3の状態に開動作した後、各シャッタ片19を再度閉動作するものである。この場合は、二度目の閉動作であるので、前回の小径D2よりもさらに小径の小小径D4に閉動作するものである。この小小径D4の状態は、例えば図6に示すように、各シャッタ片19における押圧面23の下部側が間隙0の状態に閉作動した状態であって、前記押圧面23の上部側が僅かに開いた状態である。
【0026】
上述のように、小小径D4の状態となるように各シャッタ片19の閉動作を行う場合にも、食品生地5の下部側の周囲には、図6(B)に矢印Bで示すように、周囲の表面部の生地を下部中央側へ誘導する引き込みが作用するものである。したがって、食品生地5の上側外表面には、さらに均等に張力が付与されて、球形状の丸め成形が行われるものである。なお、各シャッタ片19を小小径D4の状態に閉動作したときには、各シャッタ片19によって囲繞された囲繞空間30の上部が僅かに開いた状態にあるので、球形状に丸め成形された食品生地5の下部には、前記囲繞空間30内へ入り込んだ突出部5Pが存在するものである。
【0027】
その後、各シャッタ片19を、前記中径D3の状態又は中径D3よりも僅かに小径の状態に開作動した後、前記囲繞空間30が消失するように再び閉作動すると(図7参照)、前記食品生地5における下部側の全周囲の生地を下部中心側へ押圧する誘導(下部中心側へ引き込む誘導)が繰り返されて、球形状に丸め成形された食品生地5の上側外表面にさらに均等に張力を付与して丸め成形を行うことになる。この際、食品生地5の下部における前記突出部5Pは、押圧面23に作用する上方向への分力によって上方向へ絞り出されて消失するものである。
【0028】
上述のように、食品生地5の下部の突出部5Pを消失した後、各シャッタ片19を前記中径D3の状態又は中径D3よりも僅かに小径の状態に開動作することと、前記囲繞空間30が消失する状態に閉動作することを適数回、例えば2〜3回繰り返して、球形状に丸め成形された食品生地5の上側外表面に張力を均等に付与することを繰り返すことにより、表面に張りを付与した艶のある状態に丸め成形することができるものである。このように丸められた食品生地5の下部の中央を集結部Cと称することとする。
【0029】
その後、各シャッタ片19を大径D1の状態に開動作し、シャッタ装置13を上昇する。そして、搬送コンベア7によって、球形状に丸め成形された食品生地5は、前記シャッタ片19の押圧作用によりその底部に集められた生地の集結部Cを下側にして前記食品生地片成形装置50へ搬送される。
【0030】
なお、所要重量に分割された生地塊を丸める丸め成形装置として、例えば、特許第2872052号公報に記載された従来技術がある。この従来技術文献に記載の構成は、コンベアベルト上の食品生地塊に丸めカップを被せ、この丸めカップ内に上下動自在に備えたパッドを前記食品生地塊に当てがいながら、前記丸めカップを水平面上でほぼ円を描く丸め運動を行うことによって、丸めカップ内の食品生地の丸め成形を行うものである。したがって、丸めカップの丸め運動を行うとき、丸めカップ内の食品生地塊は丸めカップの内周面に当接することを繰り返し、前記パッドとコンベアベルトとの間で転動されることを繰り返すことによって食品生地の丸め成形を行うものである。後述する食品生地片を成形するにあたり、この従来技術に基づいた装置により丸め成形された食品生地(従来食品生地)を用いることも可能である。しかしながら、従来食品生地では、丸められた食品生地の表面の張りが均等なものとはなり難いという場合がある。
したがって、本発明の実施の形態に基づく丸め成形装置2により丸め成形された食品生地5を用いることにより、丸められた食品生地5は縦横に均等に延展することが可能となり、板状の食品生地を成形することに適しているものである。また、丸め成形装置2により丸め成形された食品生地5の上面をビスケット生地で覆い、いわゆる、メロンパンを製造すると、該食品生地5は従来の食品生地に比べ大きく膨張し、口当たりの軟らかな食感の製品となる。このことからも、丸め成形装置2により丸め成形された食品生地5は、生地の内部にダメージのない、そして、外表面には均等な張力が付与されていることが理解できる。
【0031】
前記食品生地片成形装置50は、図1、図2および図8に概念的、概略的に示すように、搬送コンベアとしての成形コンベア51を備えている。この成形コンベア51は、丸められた前記食品生地5を支持部材として支持しながら連続的に搬送するために、コンベアフレーム52の側面に備えられたモータM4と連動連結されて無端回動するコンベアベルト51Cを備えている。また、前記コンベアベルト51Cの搬送面は、前記丸め成形装置2のコンベアベルト9の搬送面より低い位置に設けられている。この段差により、前記丸め成形装置2により丸め成形された食品生地5は、前記成形コンベア51に落下移載される際に前記集結部Cが上側に位置するように上下が反転されるものである。
【0032】
前記成形コンベア51の上方位置には、延展ローラ装置53が搬送方向に沿って2台連設されている。この延展ローラ装置53は、丸め成形され反転移載した前記食品生地5を板状の生地片としての食品生地5に延展するための延展ローラ55が回転可能に備えられている。前記延展ローラ55の回転軸58は、前記成形コンベア51の搬送方向に直交する幅方向に配置されるとともに、前記成形コンベア51のコンベアベルト51Cの搬送面に平行に配置されている。また、前記延展ローラ55の周面の形状は、その長手方向に沿って最も細い中央部55A、該中央部55Aから両端に向かってそれぞれ対称的に太く変化する傾斜面55B、そして、その両端に端部として円筒面55Cが形成されている。
【0033】
前記延展ローラ55は、前記回転軸58が前記コンベア本体フレーム52の側面に取り付けられた駆動ボックス54に備えたモータM5に連動連結され、前記コンベアベルト51Cの搬送面と対向する下方における周面が前記コンベアベルト51Cの搬送方向と同じ方向に回転する。前記延展ローラ55の周面の速度は、その径の最も細い中央部55Aにおいて、前記コンベアベルト51Cの搬送速度より速い速度に設定されている。また、前記延展ローラ55は、前記駆動ボックス54に備えられた上下動機構56のハンドル56Hの回転操作により上下動可能に備えられている。なお、前記上下動機構は公知の機構でよく、例えば、ねじ機構などの移動機構を利用したものでよい。
【0034】
そして、2台の延展ローラ装置53の間には、生地搬送方向変換手段としての生地旋回部材57が備えられている。この生地旋回部材57は、前記成形コンベア51のコンベア本体フレーム52の上面に取り付けられ、その一部がコンベアベルト51Cの搬送面の上方において前記コンベアベルト51Cと僅かな隙間を開けて覆うように設けられている。生地旋回部材57は、平面視すると台形をしており、台形の斜辺に相当する当接面57Aが前記成形コンベア51の上流側から下流側に沿って、前記コンベアベルト51Cの端部側から中央側に傾斜して設けられている。
【0035】
食品生地5は、前記成形コンベア51の搬送面と前記延展ローラ55より挟圧され、前記搬送面上で水平に縦横に延ばされる。また、延展された食品生地5は、前記延展ローラ55の周面の形状によりその中央が最も厚く、両端に向かって徐々に薄く変化し、両端部がほぼ一様な厚みをなしている。1台目の延展ローラ装置53により延展された食品生地5は、長軸が前記成形コンベア51の搬送方向に沿って若干の長円形に変形する。
【0036】
この食品生地5は、前記成形コンベア51に搬送されながら、食品生地5の側面である外周縁部の一部が前記生地旋回部材57の傾斜した当接面57Aに当接することにより、前記長円形の長軸が前記成形コンベア51の幅方向に沿うように前記コンベアベルト51Cの搬送面上で水平に90度旋回される。このとき、前記食品生地5の中央位置は幅方向に移動するため、該中央位置が2台目の延展ローラ55の中心部55Aを通過するように前記延展ローラ55が位置合わせされている。そして、前記食品生地5は、前記成形コンベア51にて搬送されながら、長円形の長軸が2台目の延展ローラ55の軸方向に沿った状態にて延展されることにより、四角形を帯びた略円形に変形する。この食品生地5は、その中央が最も厚く、該中央を頂点5Aとする四角錐状に上方に盛り上がった中央部5Bとその周りに一様な厚みの縁部5Cを有する生地片に成形される。
【0037】
前記食品生地5は、記成形コンベア51の搬送面と前記延展ローラ55とに挟圧されて延ばされるため、食品生地5内に不要な大きな空泡がある場合には、該空泡内のガスが食品生地5から外部へ排出されるため均質な生地に成形される。また、食品生地5は、一方向のみに延展するとその後に同方向に延展し難い傾向にあるが、前記食品生地片成形装置50によれば、一台目の延展ローラ55により一方向に強く延ばされ、その後、二台目の延展ローラ55により前記一方向に直交する方向に強く延ばされるため生地の延展が効率よく行われるため、延展された食品生地5が延展される前の形状に伸縮することを抑制する効果があり、大きさの揃った外皮材5を安定して成形することができる。また、その後の食品生地5のさらなる延展が容易にできるという効果もある。
【0038】
このように成形された食品生地5を用い、該食品生地に内材Fを配置した状態で複数のシャッタ片からなるシャッタ装置を閉動作させて前記内材を包み込むように前記外皮材5の外周部を集束させて封着することにより、封着部側の厚さを、反対側の外皮材5の厚さよりも薄く形成することができものである。さらに、以下に詳述する包み込み成形装置60を用いることにより、安定した包み込み成形ができるものである。
【0039】
なお、生地搬送方向変換手段、つまり、生地を水平方向に90度旋回する手段として生地旋回部材57を用いるよう説明したが、これに限ることなく、例えば、本特許出願人が特許出願した特開2011−36181号公報に記載された上下動かつ90度旋回可能な旋回装置を用いても前記食品生地5を旋回することは可能である。
【0040】
また、前記成形コンベア51は、一本のコンベアベルトが無端回動するベルトコンベアとして説明したが、これに限ることなく、例えば、前記延展ローラ55の下方に、該延展ローラ55と対向回転する円筒状のローラ、あるいは、該延展ローラ55と同様にその中央部が細く、両端側に向かって徐々に太くなる傾斜部を備えた鼓形状の回転ローラを備えてもよく、それらのローラの上流側、中央、下流側にそれぞれのベルトコンベアなどのコンベアを配置する構成であってもよい。
【0041】
また、二台の延展装置を一台の成形コンベア51上に直列に配置するよう説明したが、二台の成形コンベアを直交するように配置してもよい。つまり、一台目の成形コンベアの下流端側を2台目の成形コンベアの搬送面の上方にて往復動可能に備え、さらに、各成形コンベアの上方に延展装置を備え、一台目の成形コンベア上で延展された食品生地5を2台目の成形コンベア上に移載し搬送することにより、食品生地5を直交する二方向に延展することができるものである。この場合、二台の成形コンベアのそれぞれの一部を上下に重なるように配置することにより食品生地方向変換手段の機能を構成することとなる。上記各例から理解できるように、食品生地方向変換手段とは、一台目の延展装置により延展された食品生地をその延展方向に直交する方向と二台目の延展装置による延展方向とを位置あわせするためのものである。
【0042】
また、前記延展ローラ55の周面の形状は上記例に限定されることなく、例えば、前記中央部55Aは、前記延展ローラ55の長手方向の沿って長さを有する(幅を有する)形状であってもよく、さらには、前記傾斜面55Bを介さず、該幅の有する中央部から段付きを介して前記円筒部55Cが連設されてもよい。つまり、細い中央部55Aとその両端側に、該中央部55Aより太い端部を備えた延展ローラ55と、コンベアベルト51Cの搬送面や対向するローラとの間で前記外皮材5を挟圧して延展することにより、外皮材5の中央部5Bが縁部5Cより厚い形状の板状の外皮材5が成形されるものである。
さらには、前記延展ローラ55の断面形状(図1における正面からの形状)は、円形状に限ることなく、正多角形状や、円形状の外周面の複数箇所に平面(俗称:D面)、または、長手方向に沿った複数の溝などを適宜形成したローラであってもよく、外皮材5を挟圧する際に、延展ローラ55への入り込みを向上させることができるものである。
【0043】
前記包み込み成形装置60は、前記生地片成形装置50により略円形の板状に延展された食品生地5を外皮材として、餡などの内材Fを包み込んだ形態の包被食品Pを成形するものである。図1、図2および図9乃至図19に概念的、概略的に示すように、前記包み込み成形装置60は、箱状の本体フレーム61を備えており、この本体フレーム61の前面には、前記外皮材5の外周縁部5Eを中央部に集束して、当該外皮材5上へ供給された内材Fを包み込む作用をなすシャッタ装置63が上下動可能に備えられている。
また、前記本体フレーム61の前面には、前記外皮材5を前記シャッタ装置63の位置へ移送する外皮材移送手段65が備えられている。この外皮材移送手段65はベルトコンベアから構成してあって、前記食品生地片成形装置60から搬送される前記外皮材5を載置、移送するための第1ベルトコンベア65Aと、当該第1ベルトコンベア65Aから移載された外皮材5を前記シャッタ装置63の位置へ移送するために、下流端が前記シャッタ装置63の上方位置へ進退自在な第2ベルトコンベア65Bとを備えている。
【0044】
さらに、前記本体フレーム61には、前記シャッタ装置63の位置へ移送された外皮材5上へ内材を吐出する内材吐出ノズル67が、前記シャッタ装置63に対して相対的に上下動可能に備えられている。そして、この内材吐出ノズル67には内材供給手段71が接続してある。この内材供給手段71は、例えば、内材を収容するホッパー69等を備え、その内部にスクリューなどの輸送機構を備え、さらに、前記輸送機構の下流側にロータリーバルブおよびピストンを備えた定量押し出し機構を備えたものである。
【0045】
また、前記シャッタ装置63の下方であって前記本体フレーム61の前面には、前記シャッタ装置63の位置において製造される包被食品Pを下側から支持する支持手段73が上下動可能に備えられていると共に、前記支持手段73から移送された包被食品Pを次工程へ搬送する搬送手段75が備えられている。前記支持手段73や搬送手段75は、ベルトコンベア等の搬送装置である。
【0046】
前記シャッタ装置63の構成について詳細に説明するに、シャッタ装置63は、前記内材吐出ノズル67に対して相対的に上下動自在に、前記本体フレーム61の前面に備えられた昇降部材77に備えられているものである。そして、シャッタ装置63には、中央部に上下方向に貫通した円形の開口部79H(図10参照)を備えた載置部材79が備えられている。この載置部材79の上面には、複数のシャッタ片81によって囲繞された領域(空間)87を拡大、縮径するように開閉動作を行うべく開閉自在に備えられている。複数のシャッタ片81を同期連動して開閉する構成としては、枢軸83を中心として揺動(回動)自在に設けられた各シャッタ片81をリンク85を介して互に連動連結した構成とすることができる。なお、シャッタ装置において複数のシャッタ片を開閉する構成には種々の構成があり、それらを採用することも可能である。
【0047】
前記各シャッタ片81は、図9に示すように、シャッタ片本体89を備えており、このシャッタ片本体89の上面89U及び下面89Lは水平面に形成してある。そして、シャッタ片81が前記外皮材5の外周縁部5Eを押圧する押圧面93は垂直面に形成してある。
前記押圧面93は、前記シャッタ片本体89の表面をなすものであって、このシャッタ片本体89における裏面には、各シャッタ片81の先端部81E(シャッタ片本体89の先端部89E)に至る逃げ面95が形成してある。上記逃げ面95は、各シャッタ片81における先端部81Eが中央部にそれぞれ近接するときに、隣接するシャッタ片81の前記押圧面93との干渉を回避するためのものである。なお、各シャッタ片81における先端部81Eが中央部にそれぞれ近接したときに、前記各押圧面93と隣接するシャッタ片81の各逃げ面33とが整合する構成とすることも可能である。
【0048】
前記シャッタ片81における前記押圧面93の下部付近には、前記外皮材5の外周縁部5Eを中央部側へ押圧するとき、前記外周縁部5Eを保持して中央部へ寄せ集めるための生地保持手段97が備えられている。上記生地保持手段97として、本実施形態においては前記押圧面93の全長に亘って長溝84が形成してある。上記長溝84は、前記押圧面93における下部稜線(下部辺)99より上部側に形成してあり、この下部稜線99と前記長溝84の奥壁面(溝の底面)84Tとの間には、前記外皮材5の外周縁部5Eを中央部側へ押圧するときに、前記外周縁部5Eを掬い上げる作用をなす下傾斜面(掬面)84Lが前記下部稜線99から前記奥壁面84Tに向かって高くなる傾斜面に形成してある。
さらに、前記長溝84には、前記奥壁面84Tから前記押圧面93に向かって高くなる傾斜面としての上傾斜面84Uが形成されている。したがって、長溝84は、上下の傾斜面84U,84L及び奥壁面84Tを備えた構成である。
【0049】
ここで、前記内材吐出ノズル67の構成について説明するに、内材吐出ノズル67は、前記内材供給手段71から内材F(図10参照)の供給を受ける円筒形状のノズル本体45を備えており、このノズル本体45の下部にはノズル部材47が着脱可能に螺着固定してある。このノズル部材47の内孔47Hは下側が小径となるテーパ穴に形成してある。
そして、前記ノズル本体45の中心部には、当該ノズル本体45の上部に備えた流体圧シリンダなどのごとき上下動用アクチュエータ49(図1参照)によって上下動されるパイプ状の上下作動杆41が備えられている。そして、この上下作動杆41の下端部には、前記ノズル部材47の内孔47Hを開閉自在な弁部材43が備えられている。この弁部材43の中心部には、前記上下動杆41からのエアーを下方向へ噴出するエアー噴出孔43Hが備えられている。そして、前記弁部材43には、前記内孔47Hの最小内径部にほぼ等しい外径のストレート部43Sが上下方向に長く形成してある。
したがって、内材吐出ノズル67においては、弁部材43を上下動することによってノズル部材47における内孔47Hの開閉が行われるものである。なお、ノズル部材47からの内材Fの吐出は、内材Fの粘性等により、内孔47Hの内周面と弁部材43の外周面との間隙寸法が所定寸法以上になると行われるものである。
【0050】
以上のごとき構成において、図10に示すように、下降した状態のシャッタ装置63の上方位置へ外皮材移送手段65における第2ベルトコンベア65Bによって前記生地片成形装置50にて板状に延展された外皮材5を搬送し、前記第2ベルトコンベア65Bを後退することにより、開いた状態にある各シャッタ片81によって囲繞された領域87内に外皮材5を落下すると、外皮材5は開口部79Hを備えた載置部材79上に載置される(図11参照)このとき、板状の外皮材5の上面のほぼ中央には、前記丸め成形装置2にて丸め成形された際に外皮材の外表面が集められた集結部Cが位置することとなる。
【0051】
前述のように、載置部材79上に外皮材5を載置した後、シャッタ装置63における各シャッタ片81を閉動作すると、各シャッタ片81における各押圧面93でもって外皮材5の外周縁部5Eを中心側へ押圧する。この際、外皮材5の外周縁部5Eは、前記押圧面93に備えた下傾斜面84Lに掬い上げられる態様となって、鍔状に連なった生地保持手段97の1例としての長溝84内に入り込み保持されることになる。そして、前記各シャッタ片81が外皮材5を中央部へ押圧すると、外皮材5の中心部が載置部材79における開口部79Hの中心に合わされると共に、外皮材5の中央部は自重によって前記開口部79H内に入り込み、上面に凹部(窪み)を生じることになる(図12参照)。このとき、前記集結部Cは、この凹部(窪み)の内側に位置することとなる。
【0052】
前述のごとく、シャッタ装置63における各シャッタ片81を閉動作して、各シャッタ片81によって囲繞された領域87の直径が前記内材吐出ノズル67におけるノズル部材47における外径に対応した大きさに縮小すると、各シャッタ片81の閉動作が一時停止される。このように、各シャッタ片81の閉動作が一時停止された状態にあるときに、シャッタ装置63が内材吐出ノズル67に対して相対的に上昇される。すなわち、シャッタ装置63に対して内材吐出ノズル67が相対的に下降することとなり、前記ノズル部材47が各シャッタ片81によって囲繞された領域87に相対的に入り込む。そして、前記ノズル部材47の外周面に備えた環状の外皮材押え部47Pでもって外皮材5の外周部付近の上面を前記載置部材79に押圧することになる(図13照)。この際、外皮材5における外周縁部5Eの一部は、鍔状に連なった前記長溝84内へその全周に亘って押圧される。このとき、前記開口部79H内に入り込み下方に窪んだ生地は、前記開口部79H側から前記窪みの底部(略円形に形成された食品生地5の中央付近に相当)に向かってその厚さが徐々に厚くなる態様となっている。
【0053】
前述のように、ノズル部材47における外皮材押え部47Pでもって外皮材5の外周部付近の上面を載置部材79に押圧するときには、前記内材供給装置71の内材供給動作によって、ノズル部材47の内孔47H内に適量の内材Fが移送された状態にある。その後、ノズル部材47から外皮材5の前記凹部内へ内材Fが供給される(図14参照)。そして、内材Fが供給されるに従って外皮材5が次第に下方向へ膨張されると、前記シャッタ装置63の下方にて所要高さ位置で待機している前記支持手段73は、前記外皮材5の底部を下側から支持するものである(図15参照)。そして、前記内材吐出ノズル67から所定量の内材Fが外皮材5の凹部内へ供給されると、前記弁部材43が前記ノズル部材47の下端部から突出するように下降されて、内材Fの供給が停止されると共に、外皮材5内の内材Fが弁部材43によって押し込まれることになる。したがって、前記外皮材5内における内材Fの上面FUがより低くなり、外皮材5の封着を行うときに内材Fが飛び出すようなことがなくなるものである。
また、外皮材5が引き伸ばされることにより前記集結部Cが再び引き離され、外皮材5の表面から内部の生地が露出するような場合がある。しかしながら、外皮材5の前記集結部Cは前記袋状の内側(中側)にあるため、内材Fが外皮材5の凹部内へ供給され、外皮材5が袋状に膨張する際に、袋状の外皮材5の表側(外側)から内部の生地が露出することなく、滑らかな外表面とすることができる。
【0054】
前述のごとく、弁部材43を下降して内材Fの供給を停止すると同時に、又は内材Fの供給を停止した後に、シャッタ装置63及び支持手段73を下降することにより、内材吐出ノズル67におけるノズル部材47は外皮材5及び外皮材5内の内材Fから離脱することになる。この際、弁部材43の下面43L(図16参照)に対する内材Fの付着を抑制するために上記下面43Lの接触面積を小さくすることが望ましいものである。したがって、本実施形態においては、前記下面43Lは水平面に形成してある。
【0055】
また、前記弁部材43の下面43Lに対する内材Fの付着を抑制するために、前記弁部材43の下面43Lがノズル部材47から下方向へ突出するように下降した後に前記弁部材43を直ちに上昇させることが望ましいものである。この場合、弁部材43によって下方向へ押圧された内材Fには下方向への慣性力が作用しており、この状態で弁部材43を直ちに逆方向である上方向へ移動することにより、弁部材43の下面43Lと内材Fとの剥離を効果的に行うことができ、弁部材43の下面43Lに対する内材Fの付着を防止することができるものである。
【0056】
さらに、弁部材43の下面43Lに対する内材Fの付着を抑制するには、シャッタ装置63等の下降開始と前記弁部材43の上昇開始を同時に行うことや、シャッタ装置63等の下降開始直後に弁部材43の上昇を開始することも効果的である(図19参照)。
前述のごとく、シャッタ装置63等が下降し、内材吐出ノズル67における前記ノズル部材47の下端部(弁部材43の下面43L)が前記シャッタ装置63における各シャッタ片81の上面89Uにほぼ等しい高さ位置に相対的に上昇すると(図16参照)、シャッタ装置63における各シャッタ片81は停止状態にある閉動作位置から閉作動が再び開始されると共に、シャッタ装置63等の下降が継続される(図17参照)。したがって、シャッタ装置63における各シャッタ片81の閉動作が能率よく行われることになる。
【0057】
前述のごとく、シャッタ装置63における各シャッタ片81が閉作動するとき、外皮材5の外周縁部5Eは各シャッタ片81により環状に連なった下傾斜面84Lによって全周から掬い上げられ、外周縁部5Eが下傾斜面84Lにより支えられた状態となり、生地保持手段97の長溝84により全周から鍔状に保持された状態にある。したがって、外皮材5の外周縁部5Eが各シャッタ片81における垂直面としての押圧面93によって単に中央部側へ押圧移動される従来の場合とは異なり、前記外周縁部5Eが前記長溝84内に保持されながら中央部側へ引っ張り誘導される態様となる。よって、外皮材5における外周縁部5E付近の外周部は薄く伸ばされつつ中央部へ寄せ集められて封着されることになる(図18参照)。
【0058】
上述のごとく、外皮材5の外周縁部5E付近を薄く伸ばしつつ外周縁部5Eを中央部側へ引っ張り誘導するものであるから、図18に示されるように、外皮材5の上部側(封着部側)は下部側(封着部側の反対側)よりも薄肉になるものである。そして、外皮材5の封着部5S(図18参照)は、外周縁部5E付近が中央部に集束された部分であるから、前記長溝84よりも上側に突出して垂直な押圧面93によって押圧されるので、確実な封着を行うことができるものである。また、このように外皮材5でもって内材Fを包み込んだ包被食品Pは、前述のとおり、その外表面が滑らかに成形されるものである。
【0059】
前述のごとく、シャッタ装置63における各シャッタ片81が閉動作して、外皮材5の外周縁部5Eを中央部に集束して封着を開始すると、次の外皮材5を載置した第2ベルトコンベア65Bがシャッタ装置63の上方へ移動して、前記次の外皮材5の供給を行う待機状態となるものである。また、内材吐出ノズル67においては、弁部材43が初期状態の位置に上昇するものである(図18参照)。なお、内材吐出ノズル67において、前記弁部材43を初期状態の位置に上昇する時期は、シャッタ装置63を下降する時期、すなわち図16に示した状態のときであってもよいものである(図19参照)。
【0060】
前述したように、外皮材5でもって内材Fを包み込んだ包被食品Pが製造されて、この包被食品Pが前記支持手段73から搬送手段75へ移載されると共に、次の外皮材5がシャッタ装置63の上方に搬送され、かつシャッタ装置63における各シャッタ片81が開作動されると、図10に示す初期状態となるものである。
【0061】
以上のごとき説明より理解されるように、外皮材5の外周縁部5E付近を中央部へ集束して封着を行うとき、外周縁部5Eを中央部側へ引っ張り誘導するものであるから、ノズル部材47における外皮材押え部47Pによって押えられる部分の放射方向(径方向)への拡がりが小さい場合であっても容易に封着することができるものである。
換言すれば、前記ノズル部材47における外皮材押え部47Pの直径を、従来の構成に比較して小径にすることができるものであり、かつ外皮材5の封着を行うときの封着部側の厚さを、反対側の外皮材5の厚さよりも薄く形成することができ、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。なお、包み込み成形装置60に供給する外皮材5が略均一な厚みに成形された食品生地の場合であっても、外皮材5の外径を従来より小さくでき、従来より少量の外周縁部5E付近の外周部でもって内材Fを包み込むように封着できるものであるから、外皮材5の封着部側の厚さを、反対側の外皮材5の厚さよりも薄く形成することができるものである。
【0062】
ところで、前記説明においては、外皮材5及び外皮材5内の内材Fから内材吐出ノズル67におけるノズル部材47、弁部材43を離脱するとき(図16参照)、及び外皮材5の外周縁部25Eを中央部側へ集束するとき(図17参照)、弁部材43の下面43Lをノズル部材47よりも下側に保持した場合について説明したが、前記弁部材43は、図19に示すように、初期状態の位置へ予め戻した状態に保持してもよいものである。
なお、前述のごとく弁部材43を元の位置へ上昇するとき、弁部材43におけるストレート部43Sの外周面に付着した内材Fは、ノズル部材47の先端縁(先端部)によって削ぎ落とされものである。そして、エアー噴出孔43Hからエアーを噴出することにより、削ぎ落とされた内材Fは効果的に落下されるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 包被食品製造装置
2 丸め成形装置
5 食品生地、外皮材
5E 外周縁部
5S 封着部
13 シャッタ装置
19 シャッタ片
43 弁部材
47 ノズル部材
50 食品生地片成形装置
53 延展ローラ装置
55 延展ローラ
57 生地旋回部材
60 包み込み成形装置
63 シャッタ装置
67 内材吐出ノズル
79 載置部材
79H 開口部
81 シャッタ片
84 長溝
84L 傾斜面(掬い面)
84T 底部(奥壁面)
89 シャッタ片本体
93 押圧面
97 生地保持手段
F 内材
P 包被食品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外皮材でもって内材を包み込んだ包被食品を製造するための包被食品製造装置であって、中央部が縁部より厚い形状の板状の外皮材を成形するための食品生地片成形装置を備え、該食品生地片成形装置は、前記外皮材を搬送する成形コンベアと、該成形コンベアの上方に、前記外皮材を延展する二台の食品生地延展装置と、前記食品生地延展装置の間に配置され、一台目の延展装置により延展された外皮材をその延展方向に直交する方向と二台目の延展装置による延展方向とを位置あわせする生地搬送方向変換手段とを備え、前記各延展装置は、回転軸が前記搬送方向に直交する幅方向に沿って、かつ、前記搬送面に平行に配置された延展ローラを備え、該延展ローラは、前記回転軸の軸方向に沿って中央部が細く、その両端に該中央部より太い端部を備えていることを特徴とする包被食品製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の包被食品製造装置において、前記食品生地片成形装置の下流側に包み込み成形装置を備え、該包み込み成形装置は、上下方向の開口部を備えた載置部材と、前記開口部を覆うように前記載置部材上に偏平状の外皮材を移送する外皮材移送手段と、前記載置部材上の前記外皮材を前記開口部に対して位置決めするために、前記外皮材の周縁部を押圧自在な複数のシャッタ片を開閉自在に備えたシャッタ装置と、前記載置部材に対して相対的に上下動自在かつ前記外皮材上に内材を吐出するノズル部材とを備え、前記シャッタ装置は、前記外皮材でもって内材を包み込むために、当該シャッタ装置に開閉自在に備えた複数のシャッタ片が前記外皮材の周縁部を中央部側へ押圧する押圧面に、前記外皮材の周縁部を保持して中央部へ寄せ集めるための生地保持手段を備えていることを特徴とする包被食品製造装置。
【請求項3】
外皮材でもって内材を包み込んだ包被食品を製造するための包被食品製造方法であって、外皮材を搬送する成形コンベアと、該成形コンベアの上方に配置され、その回転軸の軸方向に沿って中央部が細く、その両端に該中央部より太い端部を備えた延展ローラとにより挟圧して延展し、さらに、延展された前記外皮材を延展ローラにより延展された延展方向に直交する方向から、再度、前記延展ローラにより挟圧して延展することにより、外皮材の中央部が縁部より厚い形状の板状の外皮材を成形し、該外皮材に内材を配置した状態で複数のシャッタ片からなるシャッタ装置を閉動作させて前記内材を包み込むように前記外皮材の外周部を集束させて封着することにより、外皮材の封着部側の厚さを、反対側の外皮材の厚さよりも薄く成形することを特徴とする包被食品製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の包被食品製造方法であって、前記シャッタ片の押圧面に備えられた生地保持手段によって外皮材の外周縁部を中央部側へ引っ張り誘導することによって外皮材の封着部側の厚さを、反対側の外皮材の厚さよりも薄く成形することを特徴とする包被食品製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−249596(P2012−249596A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125702(P2011−125702)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000115924)レオン自動機株式会社 (98)
【Fターム(参考)】