説明

包装、特に食品包装を充填する方法

本発明は、使用時に開放される蓋を備えた薄い壁で囲まれた容器、特に金属缶を充填する方法であって、容器は、充填された閉鎖状態で必要な安定性を形成するために、内圧を必要とする。容器を、充填後に、使用時に開放される蓋で密閉し、緊密に閉鎖するまえに、充填物と、室温で圧力ガスとして用いられる物質とにより充填する。固体または液体の第1の充填物の他に、固体の炭酸を別の充填物として容器に充填し、薄い壁で囲まれた容器を密閉したあとで、炭酸が圧力ガスを形成するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時に開けられる蓋を備えた薄い壁で囲まれた容器を充填する方法に関する。容器は、薄い壁に起因して、充填状態で必要な安定性を得るために内圧を形成する必要がある。
【0002】
そのような薄い壁で囲まれたプルトップ開封式の容器は、たとえば飲料缶として公知である。このような飲料缶は、多くの場合炭酸含有飲料で充填され、飲料に含有される二酸化炭素により必要な内圧が形成される。さらにたとえば欧州特許公開第0906222号明細書において、薄い壁で囲まれた容器に、非炭酸含有飲料を充填して、追加的に、液体窒素を充填して、容器を閉鎖したあとで必要な内圧を形成することが公知である。
【0003】
この容器は、充填後に、蓋で密閉される。内容物を取り出すためには、蓋を開ける必要がある。開封時点で、容器の内側にある正圧が急激に失われる。内圧は、貯蔵および搬送時の安定化に役立ち、エアゾール容器とは異なって、使用期間にわたって継続して維持する必要はない。
【0004】
公知の構成では、所望の容器内圧を常時十分な程度正確に調節することができない、ということが判った。
【0005】
欧州特許公開第1686062号明細書において、容器内圧を形成するために、容器に活性炭ならびにドライアイスペレットとしての炭酸を導入する方法が公知である。容器内圧を下げようとする場合に、ドライアイスペレットから解放されたガス状の炭酸は、部分的に活性炭に吸収され、そして、活性炭から再び放出される。欧州特許公開第1686062号において公知の方法は、明確に、食品容器には全く適していないという欠点を有している。食品容器は、食品自体を含有する他は、活性炭を含有してはならない。
【0006】
したがって本願発明の課題は、包装、特に食品包装を充填する方法を改良して、充填され閉鎖された食品用の容器の内圧を正確に調節できるようにすることである。
【0007】
この課題を解決する本発明の方法によれば、薄い壁で囲まれた容器、たとえば金属缶に、先ず第1の充填物として内容物を充填し、次いで別の充填物として固体の炭酸、つまりドライアイスを充填し、最終的に容器を密閉する。ドライアイスは、既に容器を充填する間に蒸発し(昇華し)、容器を密閉したあとでも蒸発する。容器を密閉したあとのドライアイスの蒸発により、所望の内圧が形成される。公知の液体窒素の代わりに固体の炭酸を使用する利点によれば、固体の炭酸の蒸発率は、主に固体の炭酸の表面に関係し、充填物の種類には関係しない。落花生などの固体の充填物では、たとえば液体窒素の滴が、充填物にわたって分配され、大きな表面積が得られ、したがって迅速に蒸発するのに対して、ドライアイスの蒸発率は、たとえば殺菌牛乳のような液体の充填物でも落花生のような固体の充填物でも、常時、ほぼ同じである。つまり、炭酸を導入したあとで容器を密閉するまえに蒸発する炭酸の量はいつでもほぼ同じであり、どのような場合でも、容器を密閉したあとで依然として十分な量の炭酸が容器に留まり、その際、密閉された容器内の内圧は、所望に再現可能に調節することができる。もちろん炭酸を溶かす性質を有する液体の充填物では、飲料内で溶融する炭酸はがもはや圧力上昇のために提供されない、ということを考慮する必要がある。本発明による方法は、特に固体に適している。液体の場合には、ある程度の条件を満たす必要がある。
【0008】
容器には、実際の内容物(つまり容器に入れた状態で購入するかまたは搬送しようとする、包装されるべき中身)の他に、容器を閉鎖するまえに、唯一の別の充填物としてドライアイスが導入される。
【0009】
好適には、容器に導入されるドライアイスの量は、容器の総容量と液体または固体の充填物が占有する容量との間の差として形成されるガス室に関して1g/l〜4g/lである。このような量のドライアイスは、容器を閉鎖したあとで、薄い壁で囲まれた円筒区分状の容器壁を凹みから保護するために必要である所望の容器内圧を形成する。
【0010】
好適な方法は、たとえば以下の方法ステップ:
−薄い壁で囲まれた金属缶本体を準備し、
−第1の充填物で薄い壁で囲まれた金属缶本体を充填し、
−規定量のドライアイスで薄い壁で囲まれた金属缶本体を充填し、
−ドライアイスで薄い壁で囲まれた金属缶本体を充填したあとで最長500秒の間に、缶蓋により薄い壁で囲まれた金属缶本体をガス密に閉鎖する、
方法ステップを有している。
【0011】
このような好適な方法は、ドライアイスの昇華は、正常圧力(1013hPA)の場合、ドライアイスを充填したあとで500sec以内に缶本体の密閉を適時行い、次いで閉鎖した缶内に残るドライアイスの更なる昇華により、所望の高い内圧が形成されることを許容する時間長さで行われ、所望の内圧形成のために多すぎるドライアイスを缶に導入する必要はない、という思想に基づいている。その目標によれば、缶を閉鎖するまで、可能な限り、当初から缶に導入されるドライアイスの50%を超えない量が昇華するようにするのが望ましい。
【0012】
充填物は、好適には固まった物、食品(たとえばナッツ)であってよい。特定の条件下で、つまり、その都度用いられる液体に関する炭酸の水溶性を考慮することにより、本発明による方法は、液体を包装するために用いることもできる。
【0013】
本発明による方法により充填される容器は、好適にはスチール板またはアルミニウム板から成る薄い壁で囲まれた円筒形の缶本体を備えた容器であり、0.15l以上の総容量を成し、0.05mm〜0.12mmの中空円筒形壁部の壁厚を有している。缶本体を閉鎖するための缶蓋は、好適にはアルミニウム蓋であり、アルミニウム蓋は、缶本体を充填したあとで気密の二つ折り固定部により缶本体と気密に結合される。金属(たとえばアルミニウムまたはブリキ)から成る蓋で充填された容器を閉鎖することに対して選択的に、容器は、プラスチックから成る耐圧性の缶蓋により閉鎖してもよい。好適には蓋、特に溝を有する金属蓋が、使用時に蓋を開封するために用いられ、つまりいわゆるプルトップ開封式の蓋が用いられる。選択的に、溝のない蓋を用いることもできる。
【0014】
以下に、図示の実施の形態に基づいて、本発明を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による包装を充填する方法の様々な段階を示す。
【0016】
図1のaには、薄い壁で囲まれた、スチール板またはアルミニウム板から成る、充填されていない、上側で開いている缶本体を示す。缶本体10の円筒形の壁部12は、0.05mm〜0.12mmの壁厚を有している。
【0017】
図1のbには、固体または液体の充填物14が充填された、図1のaに示す缶本体10を示す。充填物14は、食品であり、缶本体10の総容量の一部16を占有するので、空間部16の上方にガス室18が残る。
【0018】
図1のcに示すように、充填物14で缶本体10を充填したあとで、ドライアイス20が缶本体10に導入される。ドライアイス20は、正常周辺圧力下で直ちに昇華しはじめるので、ガス室18は、ガス状の炭酸で充填される。
【0019】
図1のdに示すように、最終的に、固体の炭酸が全て昇華するまえに、缶本体10は、蓋22によりガス密に閉鎖される。蓋22は、二つ折り固定部24によりガス密に缶本体10と結合される。容器をガス密に閉鎖したあとで、残りの固体の炭酸20が持続的にガス状の炭酸に変化し、容器内圧は、最終的に、薄い壁で囲まれた円筒壁を安定化させるのに必要である所望の値を占めるようになる。ガス体積に関する適量の固体の炭酸は、1g/l(リットル)ガス室〜4g/lガス室である。蓋22は、固体の炭酸を缶本体10に導入したあとで可能な限り500sec内に閉じられる。
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図1d】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に開放される蓋を備えた薄い壁で囲まれた容器、特に金属缶を充填する方法であって、
該容器は、充填された閉鎖状態で必要な安定性を形成するために、内圧を必要とし、
該容器を、充填後に、使用時に開放される蓋で密閉し、
該容器を、密閉するまえに、充填物と、室温で圧力ガスとして用いられる物質とにより充填する、方法において、
固体または液体の第1の充填物の他に、固体の炭酸を別の充填物として容器に充填し、薄い壁で囲まれた容器を密閉したあとで、炭酸が圧力ガスを形成するようにする、
ことを特徴とする、使用時に開放される蓋を備えた薄い壁で囲まれた容器、特に金属缶を充填する方法。
【請求項2】
容器を、室温で固体または液体の第1の充填物で充填し、その際、第1の充填物が、容器の空間の総容量の一部を占有し、ガス室が、空間の総容量と第1の充填物の体積との差として残り、ガス室に関するドライアイスの量を、1g/l〜4g/lとする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
薄いで囲まれた金属缶本体を準備し、
第1の充填物で薄い壁で囲まれた金属缶本体を充填し、
規定量のドライアイスで薄い壁で囲まれた金属缶本体を充填し、
ドライアイスで薄い壁で囲まれた金属缶本体を充填したあとで最長500秒の間に、缶蓋により薄い壁で囲まれた金属缶本体を密閉する、
方法ステップを有する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
充填物が食品である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
充填されるべき容器は、スチール板またはアルミニウム板から成る、薄い壁で囲まれた円筒形の缶本体を備え、該容器は、0.2lより大きな総容量を成し、中空円筒形の壁部の厚さは、0.05mm〜0.12mmである、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
容器を充填したあとで、該容器をプルトップ蓋により密閉する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
当該方法を、不活性ガス雰囲気下で行う、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2012−509229(P2012−509229A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536827(P2011−536827)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065006
【国際公開番号】WO2010/057818
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(507389705)ボール パッケージング ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【氏名又は名称原語表記】Ball Packaging Europe GmbH
【住所又は居所原語表記】Kaiserswerther Str. 115, D−40880 Ratingen, Germany
【Fターム(参考)】