説明

包装体

【課題】 係止片の決定の自由度が高い包装体を提供する。
【解決手段】 包装体13はその間に製品を収納する第1シート体15と第2シート体16とから構成される。第1シート体15は、第1ベースシート17と第1ベースシート17の上方の一辺に折り返し自在に接続された上部折返片18と第1ベースシート17と上部折返片18との境界位置に沿うように形成されたスリット19とを備えている。第2シート体16は、第2ベースシート21と第2ベースシート21に接続され、第2シート体16を第1シート体15に重ね合わせた時、スリット19から突出するように係合する二重構造の係止片22を備えたものである。これによって、係止片22の形状等の決定の自由度が増し、陳列棒28に陳列した際の係止片22の信頼性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は包装体に関し、特に薄板状の製品を収納して陳列棒に係止するための包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は従来の包装体の外観形状を示した斜視図であり、図8は図7の状態から内部を開けるための展開途中の状態を示した図であり、図9は図7の包装体を完全に展開した状態を示した図である。
【0003】
まず図9を参照して、この包装体は1枚の薄いポリプロピレンよりなる透明シートを打ち抜くことによって形成される。包装体は、第1シート体65と第2シート体66とが折り曲げ自在に接続されて構成されている。尚、図9において一点鎖線は谷折に折り曲げ可能な箇所を示している。
【0004】
具体的には、第1シート体65の上辺には弓形状の上部折返片68が折り曲げ自在に接続されており、その頂部は長円状の舌片70が接続されている。又、上部折返片68の折り曲げ位置において下端が接するような矩形形状の三辺が切目78として形成されており、これによって係止片72が形成されている。係止片72の中央部には挿通穴73が形成されている。
【0005】
一方、第2シート体66の下方部には矩形状の開口76が形成されており、第1シート体65を折り返した状態でその舌片70が係合できるように構成されている。
【0006】
このように形成された第1シート体65及び第2シート体66を図8に示された状態に各部分を折り曲げる。この時、係止片72は折り曲げず上部折返片68のみを折り曲げると、係止片72が図のように突き出た状態となる。
【0007】
次に、図8の状態から第2シート体66を上部折返片68の折り返しの内側にセットし、上部折返片68の舌片70の両耳部分を第2シート体66の開口76に挿入することで図7に示すような完成状態となる。
使用時にあっては、図8の段階で、例えばIHクッキングヒーター用の下敷マットのような薄手の円盤状の製品を収納させ、図7の状態に第1シート体65と第2シート体66とを重ね合わせる。そして、第1シート体65の係止片72の挿通穴73を陳列棒28に挿通させることによって包装体63を陳列する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような包装体にあっては、通常の使用にあっては問題が無いが、包装体に収納する製品に例えば色違い等のバリエーションがあり、これらを同一の陳列棒で陳列する時に使い勝手が悪くなる。即ち、内方に陳列されている製品を取り出そうとする場合、手前の製品を全て一旦取り出す必要があるからである。
【0010】
図10はこのような問題から提案された包装体の外観形状を示した斜視図である。
【0011】
図を参照して、この包装体は基本的な構造は図7の包装体と同一であるが、係止片72の形状が異なっている。即ち、係止片72には図7のような挿通穴73の代わりに側辺から内部に延びる切欠80が形成されている。これによって内方に陳列される製品であっても、その製品だけを容易に取り出すことが可能となる。
【0012】
しかしながら、図10の構造でも図9に示されていたように、係止片72は1枚の薄手のシートにより形成されているため、切欠80を陳列棒28に係合させた時、強度的に不安定となって製品を収納した包装体が陳列棒から落下してしまう虞がある。
【0013】
尚、この問題は係止片72が第1シート体に含まれる上部折返片68の一部に切目を入れて形成されているため、その大きさ、厚さ等に制約があることに起因しているとも言える。
【0014】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、係止片の決定の自由度の高い包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、第1シート体と第2シート体との間に、製品を収納する包装体であって、第1シート体は、第1ベースシートと、第1ベースシートの上方の一辺に折り返し自在に接続された上部折返片と、第1ベースシートと上部折返片との境界位置に、一辺に沿うように形成されたスリットとを備え、第2シート体は、第2ベースシートと、第2ベースシートに接続され、第2ベースシートを第1ベースシートに重ね合わせた時、スリットから突出するように係合する係止片とを備えたものである。
【0016】
このように構成すると、係止片は第2シート体に形成される。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、係止片は、第2ベースシートに接続する接続片と、接続片に折り曲げ自在に接続され、折り返し位置において接続片に対して線対称形状を有する連結片と、連結片に対して接続片とは反対方向に接続される共に、スリットを通過し得ない大きさを有する拡大片とを含むものである。
【0018】
このように構成すると、係止片が接続片と連結片との二枚重ねの構造となる。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の構成において、係止片には側辺から内方に延びる切欠が形成されるものである。
【0020】
このように構成すると、陳列棒に対して直交する方向からの係合が可能となる。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、第1シート体及び第2シート体は1枚の合成樹脂シートの打ち抜きによって形成され、その境界は折り曲げ自在に構成されるものである。
【0022】
このように構成すると、包装体は1枚のシートから形成される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、係止片は第2シート体に形成されるため、係止片の構造が第1シート体によって制約を受けることが無く、係止片の決定の自由度が高まる。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、係止片が二枚重ねの構造となるため、係止片の強度が向上する。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の効果に加えて、陳列棒に対して直交する方向からの係合が可能となり、又、強度的に係止片に不安が無くなり、使い勝手の良い包装体となる。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、包装体は1枚のシートから形成されるため、コスト的に有利な包装体となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の第1の実施の形態による包装体の外観形状を示した斜視図である。
【図2】図1の状態から内部を開けるための展開途中の状態を示した包装体の斜視図である。
【図3】図1で示した包装体を完全に展開した状態を示した図である。
【図4】図1で示したIV−IVラインの拡大端面図である。
【図5】図1で示したV−Vラインの拡大断面図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態による包装体の概略形状を示した斜視図である。
【図7】従来の包装体の外観形状を示した斜視図である。
【図8】図7の状態から内部を開けるための展開途中の状態を示した包装体の斜視図である。
【図9】図7の包装体を完全に展開した状態を示した図である。
【図10】従来の他の例による包装体の外観形状を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1はこの発明の第1の実施の形態による包装体の外観形状を示した斜視図であり、図2は図1の状態から内部を開けるための展開途中の状態を示した斜視図であり、図3は図1で示した包装体を完全に展開した状態を示した図である。
【0029】
まず図3を参照して、包装体13は、1枚の薄いポリプロピレンよりなる透明シートを打ち抜くことによって形成される。包装体13は第1シート体15と第2シート体16が折り曲げ自在に接続されて構成されている。尚、図3において一点鎖線は谷折に折り曲げ可能な箇所を示している。
【0030】
具体的には、第1シート体15はほぼ正方形形状の第1ベースシート17と、第1ベースシート17の左右両辺の各々に接続されている側部折返片25a,側部折返片25bと、第1ベースシート17の上辺に接続されている弓形状の上部折返片18と、上部折返片18の頂部に接続されている、横方向に長い長円形状の舌片20とから構成されている。尚、第1ベースシート17と上部折返片18との境界の辺には、この辺に沿うようにほぼ中央部にスリット19が打ち抜かれて形成されている。
【0031】
一方、第2シート体16は、第1ベースシート17にほぼ対応する大きさであるが、若干下方に行くにつれて先細りとなっている第2ベースシート21と、第2ベースシート21の下辺のほぼ中央に接続されており、その接続幅がスリット19の横幅にほぼ一致する逆台形形状の接続片31と、接続片31の下辺に折り返し自在に接続され、この折り返し位置において接続片31に対して線対称形状を有する台形形状の連結片32と、連結片32の下辺に対して接続片31とは反対方向に接続されると共に、その幅方向の長さが第1シート体15のスリット19の横幅に対して大きな寸法に設定されている拡大片34とから構成されている。
【0032】
尚、第2ベースシート21の下方部中央には、第1シート体15を第2シート体16に対して折り返した状態で、その舌片20が係合する大きさの矩形形状の開口26が形成されている。
【0033】
次に、図3の状態から図2の状態にセットする手順について説明する。
【0034】
まず、第1シート体15にあっては、第1ベースシート17に対してその両側に位置する側部折返片25a,側部折返片25bを内方に折り返す。次に、第1ベースシート17の上方に位置する上部折返片18を舌片20と共に内方側に折り返す。すると、スリット19は図2に示されているように上部折返片18の折返辺に沿って露出することになる。
【0035】
次に、第2シート体16にあっては、接続片31に対して連結片32及び拡大片34を一体として内方に折り返して係止片22を形成する。この時、接続片31に形成されている、側辺から内方に延びる切欠23aと、連結片32に形成されている切欠23bとは折返辺に対して線対称に形成されている。そのため、連結片32を接続片31に折り返した状態にあっては、切欠23aと切欠23bとは図2に示すように重なり合うことになる。
【0036】
このようにして図3から図2の状態に折り畳んだ後、第2シート体16の上部を第1シート体15の上部折返片18の内側に潜り込ませ、係止片22をスリット19から突出するように係合させる。この時、第2ベースシート21の下辺は第1ベースシート17の上辺の長さにほぼ対応し、且つ、第2シート体16の拡大片34の幅方向の長さは、上述のようにスリット19の長さより大きくなるように設定されている。従って、係止片22をスリット19に挿通させると、第2ベースシート21や拡大片34が上部折返片18の折返位置の内面に当接した状態となり、係止片22の更なる進行が停止することになる。
【0037】
第2シート体16の係止片22のスリット19への挿通が終了すると、第1シート体15の舌片20を第2シート体16の開口26にその両耳部分を挿入することによって図1に示すような完成状態となる。
【0038】
使用時にあっては、図2の段階で、従来例と同様に例えばIHクッキングヒーター用の下敷マットのような薄手の円盤状の製品を収納させ、図1の状態に第1シート体15と第2シート体16とを重ね合わせる。そして、係止片22の切欠23の部分を陳列棒28に係合させることによって包装体13が陳列され、その陳列状態から容易に包装体13を取り出すことが可能となる。
【0039】
図4は図1で示したIV−IVラインの拡大端面図であり、図5は図1で示したV−Vラインの拡大断面図である。
【0040】
これらの図を参照して、包装体13を陳列棒28に係合させた状態にあっては、陳列棒28の上部に接続片31及び連結片32が接触した状態となっている。このように係止片22は二枚重ねの状態で陳列棒28に係合することになり、強度が向上し、使用状態の信頼性が増すことになる。又、図5に示されているように、第1ベースシート17から上部折返片18への折り返し部分の下面には第2ベースシート21及び拡大片34の各々の端部が当接した状態となり、係止片22の二重構造と相俟ってより信頼性の高い構造となる。
【0041】
尚、これらの構造に加えて、接続片31、連結片32の形状を矩形形状ではなく台形形状に設定しているため、切欠23a,切欠23bの形成辺に対して反対側の傾斜辺の構造によって係止片22の全体の強度が更に向上する。
【0042】
このように接続片31及び連結片32の構造、そして拡大片34の構造が係止片22として自由に選択できるのは、従来例のように第1シート体15を打ち抜いて形成するものではなく、第2シート体16に対して付加的に形成されている構造となっているためである。
【0043】
図6はこの発明の第2の実施の形態による包装体の外観形状を示した斜視図である。
【0044】
図を参照して、包装体13の構造は先の第1の実施の形態による包装体と基本的に同一であるが、係止片22の形状のみが異なっている。係止片22が接続片31と連結片32との二枚重ねで構成されている点は先の実施の形態と同一であるが、先の実施の形態の切欠23の代わりに従来例のような挿通穴36a,挿通穴36bが形成されている。このような構造であっても、係止片22の強度が従来例に比べて格段に向上し、包装体13自体の陳列棒28への係合時の信頼性を向上する。
【0045】
尚、上記の各実施の形態では、第1シート体と第2シート体とは一枚の合成樹脂シートから一体的に形成されているが、これらは別体のものであっても良い。
【0046】
又、上記の各実施の形態では、係止片は2枚重ねの構造となっているが、1枚構造のものであっても良い。
【0047】
更に、上記の各実施の形態では、係止片は2枚重ねの構造となっているが、3枚重ね以上の構造にしても良い。この場合、各構成片同士を接着剤等で貼り合わせればより使い勝手が向上する。
【0048】
更に、上記の各実施の形態では、連結片及び拡大片は内方側に折り返しているが、外方側に折り返しても同様の効果を奏する。
【0049】
更に、上記の各実施の形態では、係止片は包装体に付き一箇所としているが2箇所以上としても良い。
【0050】
更に、上記の各実施の形態では、包装体を合成樹脂シートから形成しているが、紙シート等の他のシート材料であっても折り返し自在なものであれば同様に適用できる。
【0051】
更に、上記の各実施の形態では、包装体は矩形シート状に構成されているが、他の形状の包装体にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0052】
13…包装体
15…第1シート体
16…第2シート体
17…第1ベースシート
18…上部折返片
19…スリット
21…第2ベースシート
22…係止片
23…切欠
31…接続片
32…連結片
34…拡大片
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シート体と第2シート体との間に、製品を収納する包装体であって、
前記第1シート体は、
第1ベースシートと、
前記第1ベースシートの上方の一辺に折り返し自在に接続された上部折返片と、
前記第1ベースシートと前記上部折返片との境界位置に、前記一辺に沿うように形成されたスリットとを備え、
前記第2シート体は、
第2ベースシートと、
前記第2ベースシートに接続され、第2ベースシートを前記第1ベースシートに重ね合わせた時、前記スリットから突出するように係合する係止片とを備えた、包装体。
【請求項2】
前記係止片は、
前記第2ベースシートに接続する接続片と、
前記接続片に折り曲げ自在に接続され、折り返し位置において前記接続片に対して線対称形状を有する連結片と、
前記連結片に対して、前記接続片とは反対方向に接続される共に、前記スリットを通過し得ない大きさを有する拡大片とを含む、請求項1記載の包装体。
【請求項3】
前記係止片には、側辺から内方に延びる切欠が形成された、請求項2記載の包装体。
【請求項4】
前記第1シート体及び前記第2シート体は1枚の合成樹脂シートの打ち抜きによって形成され、その境界は折り曲げ自在に構成される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−42379(P2011−42379A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190603(P2009−190603)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000222141)東洋アルミエコープロダクツ株式会社 (106)
【Fターム(参考)】