説明

包装体

【課題】今までにない奇抜な包装体を提供し、ホームパーティを盛り上げる等、魅力的な商品形態を提供する。
【解決手段】包装体は、変形可能な受皿部10と、当該受皿部を所定の形態に保持する保持手段50と、を備える。受皿部10は、六角形の底壁11と、当該底壁11の六個の各辺を折罫として可動に連設された六個の側壁15a〜fと、隣接する側壁の間に延在するフィルムシート20と、を備える。蓋部材(保持手段)は、底壁11に対して各側壁15a〜fを立ち上げた状態で保持する。保持を解除したとき、受皿部10は、各側壁が倒れて自然と拡がり、内容物が皿に盛られた状態となる。このような開封の手軽さ、および形態変化の奇抜さが相俟って、パーティを盛り上げることができる。また、消費者を惹きつける魅力的な商品を提供することができ、販売促進も期待できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形可能な受皿部と、当該受皿部を所定の形態に保持する保持手段と、を備えた包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子等を収容した状態で販売され、消費者が開封して内容物を喫食する包装体は、従来より、種々のものが提案されている。そして、主として販売促進効果を狙い、形状を奇抜にしたものや、開封操作を簡便あるいは風変わりに工夫し、消費者の関心を惹きつけんとする包装体も多く提案されている。
【0003】
本発明も、今までにない奇抜な包装体を提供し、ホームパーティを盛り上げる等、魅力的な商品形態を提供することを目的としている。
【0004】
なお、後述するように、本発明の包装体は、拡がるように変形可能な受皿部を備えており、当該受皿部は、複数の側壁の間にフィルムシートを備えている。
一方、特許文献1、2に開示されたトレー状容器は、組立前のブランクにおいて、いずれも複数の側壁の間にフィルムシートを備えており、その点において一見、本発明と共通しているように思えるかも知れない。しかしながら、そのトレー状容器は、最終的にトレー状の容器として一定の形状を有するように各側壁同士が固定されるもので、フィルムシートも容器のバリア性向上等を目的としており、本発明とは全く異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−189031号公報
【特許文献2】特開2010−260621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、今までにない奇抜な包装体を提供することで、ホームパーティを盛り上げる等、魅力的な商品形態を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装体は、「変形可能な受皿部」と「当該受皿部を所定の形態に保持する保持手段」とを備える。
【0008】
(1)受皿部は、「N角形の底壁(Nは3以上の整数)」と、「当該底壁のN個の各辺を折罫として可動に連設されたN個の側壁」と、「隣接する側壁の間に延在するフィルムシート」とを備える。
【0009】
(2)保持手段は、底壁に対して各側壁を立ち上げた状態で、各側壁を保持する。保持手段による保持を解除したとき、受皿部は、各側壁が倒れて自然に拡がる。
【発明の効果】
【0010】
上記構成を備えた本発明の包装体によれば、受皿部の側壁が持ち上げられた状態で(すなわち、縮径した状態で)、内容物が収容され、保持手段で当該状態に保持される。保持手段による保持を解除したとき、受皿部が自然と拡がって、これと同時に、内容物が皿に盛られた状態となる。
このような開封の手軽さ、および形態変化の奇抜さが相俟って、パーティを盛り上げることができる。また、消費者を惹きつける魅力的な商品を提供することができ、販売促進も期待できる。
【0011】
また、包装体の受皿部において、隣接する側壁間にフィルムシートが配置されているので、受皿部を「拡がった状態」から「縮径した状態」へと移行させる際の抵抗が少ない。このため、製造ラインにおいて、保持手段で保持する前段階で、受皿部を縮径した状態に維持することが容易になる。これは、ラインの簡素化および製造コストの低減において有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装体の斜視図。
【図2】図1の包装体から蓋部材を外して、受皿部だけを示す斜視図。
【図3】図2の状態から、受皿部がやや拡がった状態を示す斜視図。
【図4】図3の状態から、受皿部がさらに拡がった状態を示す斜視図。
【図5】受皿部をさらに拡げて真上から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る包装体を示している。
包装体は、変形可能な受皿部10と、当該受皿部を所定の形態に保持する保持手段50と、を備える。図示の例では、蓋部材50が保持手段50として機能する。この包装体には、例えば、キャンディ等、個別に包装された菓子が収容されており、蓋部材50を取り去ると、受皿部10が自然に拡がり、即座に複数人で取り囲んで菓子を摘み取ることができる。
【0014】
図2は、図1の状態から蓋部材50を外した直後の状態を示している。その後、受皿部10は、図3、図4に示したように拡がることが可能である。図中に内容物は図示していないが、図1の状態から蓋部材50部材を取り去ると受皿部10が拡がり、自動的に内容物が受皿部10に盛られた状態となる。このような包装体は、ホームパーティ等に適しており、その形態変化の奇抜さで、パーティを盛り上げることができる。
なお、図5は、受皿部10を全体がほぼ平坦になるまで拡げた状態で真上から図示している。
【0015】
≪受皿部10≫
受皿部10は、六角形の底壁11と、底壁11の6つの各辺を折罫として可動に連設された6個の側壁15a〜15fを含む。各側壁15a〜15fは、略矩形であって、底壁11に対して上下に回動する。
図5は、受皿部10を拡げた展開図であり、各側壁15a〜15fが倒れて、底壁11に対してやや立ち上がった状態にある。各側壁15a〜15fを底壁11に対して直角となるように立ち上げると、図2の状態となる。この状態で蓋部材50を被せて封止することができる(図1)。
【0016】
6つの側壁15a〜15fは、底壁11から放射状に延びており、隣接する2つの側壁間にはフィルムシート20を設けている。フィルムシート20は、受皿部10の表面側、あるいは裏面側に1枚のフィルムシートを貼り付けてもよいし、複数の個別のシート材を所定位置に貼り付けてもよい。
【0017】
底壁11および側壁15a〜15fは、厚紙等、ある程度の剛性を有する素材で構成され、フィルムシート20は、それらに比べて柔らかく容易に変形する。つまり、受皿部10は、その全体が1枚の厚紙で構成される場合と比較して、開いた状態から萎んだ状態へと変形させる場合の抵抗が小さく、容易に変形させることができる。これは、製造ラインで生産する上で大きなメリットとなる。
また、フィルムシート20は容易に変形するので、受皿部10の拡がり具合に応じて多様な形状変化が得られ、デザイン性が高まる。
【0018】
≪隣接する側壁同士を連結する連結部30≫
図示した実施形態では、受皿部10において、隣接する側壁同士が細長い連結部30で連結されている。すなわち、隣接する2つの側壁と連結部30により開口が形成されており、この開口を塞ぐようにフィルムシート20が貼り付けられている。
この連結部30は、受皿部10全体を補強すると同時に、フィルムシート20を破れ等から保護する。仮に連結部30が存在しない場合には、フィルムシート20の外周端縁から破れ等が生じ易くなる。連結部30を設けることで、そのような不都合を防ぐことができる。
【0019】
図示した例では、連結部30は、受皿部10の中心に向かって「くの字状」に折れ曲がっていて、その頂点に折罫を設けている(図5)。折罫が存在することで、連結部30を内側に折り畳むことが容易となり、図2の縮径状態に変形させることがスムーズとなる。
ただし、連結部30の具体的形状は、折り畳み易さ、デザイン性等を考慮して、適宜変更することが可能である。
【0020】
≪蓋部材50(保持手段)≫
図1に示したように、受皿部10が縮径した状態にあるときに、蓋部材50を被せることで、受皿部10の形態が保持される。すなわち、蓋部材50は、受皿部10の形態を保持する保持手段として機能し、当該保持が解除されたとき(すなわち、蓋部材50を外したとき)、各側壁15a〜15fが倒れて、受皿部10が自然に拡がる(図2→図3→図4)。これと同時に、拡がった受皿部10上に、内容物が皿に盛られたように現れる。
【0021】
蓋部材50は、受皿部10の底壁11と実質的に同一形状である六角形の天壁51と、この天壁51に対して直角に延在する六角筒状の周壁52と、を備える(図1)。天壁51と底壁11の形状および面積的拡がりは、厳密には若干の相違があっても、実質上同じであれば良い。
そのような天壁51に連なる周壁52は、直角に立ち上げられた受皿部10の各側壁15a〜15fを外側から覆って(外接して)、その形態を保持することができる。
【0022】
≪他の実施形態≫
図示した例では、受皿部10の底壁11は、6角形形状であったが、理論的には、3角形以上の多角形に対して、同様の構成を実現することができる。すなわち、底壁11をN角形として、Nは3以上の整数であればよい。
【0023】
受皿部10の各側壁15a〜15fは、先端が湾曲しているものの実質的に矩形であって、鉛直に立ち上げられたときに、隣接する側壁同士が接して6角筒状の形態を為すものであった。
しかしながら、各側壁15a〜15fは、三角形や台形等、他の形状であってもよく、封止時の側壁の立ち上がり角度についても、鉛直である必要はない。
【0024】
受皿部10の形態を保持する保持手段としては、図示したような蓋部材50に限らず、適宜の構成を採用できる。例えば、「複数の側壁を外周側から固定するベルト部材または枠体」、「輪ゴム等の弾性環状体」、「受皿部の全体または一部を覆って保持するシュリンクフィルム」、その他を挙げることができる。
【符号の説明】
【0025】
10 受皿部
11 底壁
15a〜15f 側壁
20 フィルムシート
30 連結部
50 蓋部材
51 天壁
52 周壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な受皿部(10)と、当該受皿部(10)を所定の形態に保持する保持手段(50)と、を備えた包装体であって、
(1)受皿部は、
N角形の底壁(11)と(Nは3以上の整数)、
当該底壁のN個の各辺を折罫として可動に連設されたN個の側壁(15a〜f)と、
隣接する側壁の間に延在するフィルムシート(20)と、を備え、
(2)保持手段は、底壁(11)に対して各側壁(15a〜f)を立ち上げた状態で、各側壁を保持し、
保持手段(50)による保持を解除したとき、受皿部(10)は、各側壁(15a〜f)が倒れて拡がることを特徴とする、包装体。
【請求項2】
上記受皿部の隣接する2つの側壁は、互いに連結部(30)で連結されており、
上記フィルムシート(20)は、当該2つの側壁および連結部(30)で周囲が固定されている、請求項1記載の包装体。
【請求項3】
上記保持手段(50)は、受皿部の底壁と実質的に同一形状であるN角形の天壁(51)と、当該天壁に対して直角に延在する周壁(52)と、を備える蓋部材であって、
当該蓋部材の周壁(52)が、受皿部の立ち上がった各側壁(15a〜f)を外側から覆うことで、受皿部(10)の形態を保持する、請求項1または2記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−201372(P2012−201372A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64531(P2011−64531)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】