説明

包装品

【課題】梱包材を不要としつつ、包装物品の高い保持性と簡便な包装解除の両立を可能とする新たな包装手法を提供する。
【解決手段】包装品100は、下面からの通気を許容する台紙110の上面に商品群200を載置して備え、この商品群200に含まれる贈答商品201〜205を、カゴ盛りの形態でフィルム120にて包装する。フィルム120は、非通気性を備えた透明のフィルムであり、台紙110の上面を商品群200と共に覆い、台紙下面からの吸引を経たスキン包装により、商品群200のカゴ200Kはもとよりそれぞれの贈答商品201〜205の表面と台紙110の上面に密着している。こうしてフィルム密着の状態において、台紙110は、商品群200の載置領域を挟んで向かい合う一方の台紙縁部112が台紙下面の側にフィルム120と一緒に山折りに折り返されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙の上面に物品を載置した形態でフィルムにて該物品を包装した包装品と包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、贈答品等の種々の物品の包装にあっては、物品を複数個一纏めにして包装箱に詰め、その隙間に梱包材を詰めることが通常なされていた(特許文献1)。また、饅頭などの食料品にあっては、上下の包装フィルムで覆った食料品をいわゆる真空引きして包装する形態も取られていた(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録3108181号公報
【特許文献2】特開2002−193211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1で提案されたような包装形態では、梱包材の詰め込み、その除去・廃棄等が必要なため、梱包材を用いない梱包手法が望まれている。特許文献2で提案された包装形態では、梱包材が不要ではあるものの、包装する商品が贈答品、贈呈品、記念品等の物品の包装に特許文献2の包装手法をそのまま適用することには難点があった。例えば、贈答品・贈呈品・記念品の包装では、これら商品の贈答、贈呈と言った性質上、包装形態での見栄えを損なうことは望ましくない。また、結婚式などの引き出物の包装に用いる場合には、引き出物は種々の商品が組み合わされるので、上下の包装フィルムだけで包装したのでは、箱詰め等の取り扱いに際してフィルム内で商品が動いてしまい、商品の損傷を招くことが危惧される。
【0005】
本発明は、上記した問題を踏まえ、梱包材を不要としつつ、包装物品の高い保持性と簡便な包装解除の両立を可能とする新たな包装手法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明では、以下の構成を採用した。
【0007】
[適用例1:包装品]
台紙の上面に物品を載置した形態でフィルムにて該物品を包装した包装品であって、
前記台紙は、台紙下面の側からの吸引を許容する通気性を備え、
前記フィルムは、非通気性を備え、前記台紙の上面に載置済みの前記物品に被せられて前記台紙の上面を覆うと共に、前記台紙下面からの吸引を経て前記物品の表面と前記台紙の上面に密着しており、
前記フィルムが密着した状態の前記台紙は、前記物品の載置領域を挟んで向かい合う台紙縁部が前記台紙下面の側に前記フィルムと一緒に山折りに折り返された状態とされている
ことを要旨とする。
【0008】
上記構成の包装品では、台紙の上面に載置した物品を、台紙下面からの吸引を経て物品の表面と台紙の上面に密着した非通気性のフィルムで覆う。これにより、物品を台紙上面にフィルムにて保持することができる。このように非通気性のフィルムで覆っただけの状態では、既述した特許文献2における上下の包装フィルムの一方を台紙に代え、この台紙上に載置した商品をフィルムで覆って吸引することと代わりはない。よって、従来であれば、商品が台紙上で動かないようにするには、台紙にフィルムを接着剤にて接着させたりする必要性があり、煩雑であると予想される。また、包装を解く際には、接着剤で接着済みのフィルムを剥がす必要があり、その作業の繁雑さや、接着済みフィルム剥離の際に、その衝撃により包装済み商品同士の接触による損傷も危惧される。
【0009】
しかしながら、上記構成の包装品では、台紙下面からの吸引を経て物品の表面と台紙の上面に密着した非通気性のフィルムにて、台紙上面に載置済みの物品を台紙上面に保持した状態のまま、フィルム密着済みの台紙は、物品の載置領域を挟んで向かい合う台紙縁部が台紙下面の側にフィルムと一緒に山折りに折り返されるので、この折り返しにより、フィルムにはテンションが掛かる。よって、フィルムは、このテンションを受けて、物品の表面と台紙の上面に密着したままの状態で維持されることになるので、台紙上面における物品の保持性は高まる。そして、包装解除の際には、台紙の山折り折り返しを元に戻して、フィルムを台紙上面から剥がすことになる。フィルムは台紙上面に密着しているものの、接着剤等は未使用なため、フィルムは容易に台紙から剥がれる。この結果、フィルム剥離の際に不用意に物品を動かさないようにできるので、包装解除時の物品の損傷を抑制しつつ、容易に包装解除を行うことができる。
【0010】
台紙は、既述したフィルム密着のための吸引を許容する通気性を備えるので、既述したようにフィルムと一緒に山折りに折り返された状態(以下、説明の便宜上、包装完了状態と呼ぶ)であっても、この台紙は通気性を呈する。このため、この包装完了状態において台紙下面側からフィルム側への通気は起き得るが、この通気は大気圧に依存することから、上記のようにテンションが掛かったフィルムを膨らませるほどの通気は起きない。つまりは、物品の表面と台紙の上面へのフィルムの密着は維持されて物品の保持性も維持されるので、不用意な物品のズレも起きないようになる。このことは、包装完了状態での取り扱いや搬送、発送等に支障がないことを意味する。
【0011】
上記した包装品は、次のような態様とすることができる。例えば、前記台紙の前記山折りの折り返し箇所に予め山折り折り目を設けておけば、この山折り折り返しが容易となり好ましい。
【0012】
また、通気性を有する容器に物品を並べた状態で前記台紙の上面に載置するようにもできる。こうすれば、容器に並べた状態のまま物品をフィルムにて台紙に保持できるので、見栄えの向上を図ることができる。しかも、物品を並べた状態の容器を台紙に載置すればよいことから、簡便である。
【0013】
更に、箱体を備えた包装品とした上で、前記台紙を、前記箱体の対向する一組の箱体側面の間隔に合わせた間隔で前記山折りに折り返しつつ、前記箱体の対向する他の組の箱体側面の間隔に合わせた間隔で折り返し、こうして折り返した台紙を前記箱体の内部に前記物品を載置した形態で収納するようにもできる。こうすれば、箱体のまま搬送や発送ができ簡便であると共に、この間においても物品を好適に保持したままとできる。しかも、箱体の空隙に梱包材を詰める必要がない。
【0014】
[適用例2:物品の包装方法]
物品の包装方法であって、
下面の側からの吸引を許容する通気性を備える台紙に物品を載置する工程と、
非通気性のフィルムを、前記台紙の上面に載置済みの前記物品に被せつつ前記台紙の上面を覆う工程と、
前記フィルムで覆われた前記台紙の下面から吸引して、前記フィルムを前記物品の表面と前記台紙の上面に密着させる工程と、
前記フィルムが密着した状態の前記台紙を、前記物品の載置領域を挟んで向かい合う台紙縁部において前記台紙下面の側に山折りに折り返す工程とを備える
ことを要旨とする。
【0015】
上記構成の物品の包装方法によれば、包装対象である物品の高い保持性と簡便な包装解除を併せ持った包装品を容易に提供できる。そして、前記台紙を前記山折りに折り返すに際して、用意された箱体の対向する一組の箱体側面の間隔に合わせた間隔での前記台紙の前記山折りの折り返しと、前記箱体の対向する他の組の箱体側面の間隔に合わせた間隔での前記台紙の折り返しとを行って、前記二つの折り返しがなされた前記台紙を、前記箱体の内部に前記物品を載置した形態で収納すれば、梱包材を用いることなく、箱体の状態で搬送および発送ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。図1は本発明の実施例としての包装品100を斜視にて概略的に示しつつその断面の一部を拡大して示す説明図、図2は包装品100の構成を示すための概略斜視図である。
【0017】
図示するように、包装品100は、台紙110の上面にカゴ盛りの商品群200を載置して備え、この商品群200に含まれる複数の贈答商品201〜205を、カゴ盛りの形態でフィルム120にて包装する。台紙110は、段ボール性の台紙であり、ライナや中しんの紙繊維の漉き具合を調整することで、台紙下面の側からの吸引を許容する通気性を備える。この場合、段ボール自体に細孔を多列に配置するようにして、台紙110に通気性を付与するようにすることもできる。
【0018】
商品群200は、竹籤やワイヤにて編み上げたカゴ200Kに、贈り主が贈呈品として選定した、例えばシュガースティック1箱と、カップ&ソーサー2組の贈答商品201〜205をカゴ盛りして構成される。カゴ200Kは、選定された商品の数やその大きさ、嵩等を考慮して、各商品が見栄え良く収納される大きさのものが選択される。なお、商品群200は、上記の贈答商品201〜205がカゴ盛りされただけであり、従来、取り扱い時や運搬時での商品のズレや接触を回避するための梱包材を一切含まない。
【0019】
フィルム120は、非通気性を備えた透明のフィルムであり、贈呈品の包装に用いるという性質上、光沢性をも備えている。そして、後述するスキン包装での商品表面、台紙表面への密着性を高めるため、深絞り性にも富む。このフィルム120は、台紙110の上面にカゴ盛りの形態で載置済みの商品群200に被せられて台紙110の上面を覆うと共に、台紙下面からの吸引を経たスキン包装により、商品群200のカゴ200Kはもとよりそれぞれの贈答商品201〜205の表面と台紙110の上面に密着している。
【0020】
このようにフィルム120が密着した状態において、台紙110は、商品群200の載置領域を挟んで向かい合う一方の台紙縁部112が台紙下面の側にフィルム120と一緒に山折りに折り返されている。よって、図1に示すように、この台紙110では、台紙縁部112の山折り折り返しによる稜線112Yで図における前後寸法L1が定まる。また、台紙110は、台紙縁部112の山折り折り返しに加えて、台紙110は、商品群200の載置領域を挟んで向かい合う他方の台紙縁部116についても谷折りに折り返して、この台紙縁部116により商品群200を取り囲むようにしている。台紙縁部116の谷折りの様子については後述する。
【0021】
この他、台紙110は、台紙縁部112の山折り折り返しや、台紙縁部116の谷折り折り返しに備えて、台紙下面に凹状の筋とされた二筋の山折り折り筋114と、台紙上面に凹状の筋とされた二筋の谷折り折り筋118とを備えている。そして、台紙110では、この二筋の谷折り折り筋118での台紙縁部116の後述の谷折り折りよる稜線118Y(図6参照)で図における左右寸法L2と折り返し寸法L3が定まる。前後寸法L1等については後述する。
【0022】
次に、上記した包装品100の製造手順を説明する。図3は実施例の包装品製造手順を示す手順図、図4はこの製造手順におけるフィルム120を用いたスキン包装の様子を示す説明図である。包装品100を製造する際には、まず、包装対象となる商品を準備すると共に、その商品のカゴ盛りを行う(ステップS100)。つまり、図2に示すように、それぞれの贈答商品201〜205をカゴ200Kに並べて入れてカゴ盛りし、商品群200を作成する。次いで、この商品群200と台紙110とを図示しないスキン包装機にセットする(ステップS110)。この状態は図4(A)に示されており、ステップS110では、スキン包装機の吸引プレートSPの上面に台紙110が載置され、更に当該台紙の所定位置、例えば台紙中央領域に商品群200が載置される。この場合、フィルム120は、台紙110よりを大きな枠状とされたフレームSFで把持されて、商品群200の上方に待機状態とされている。
【0023】
次に、スキン包装機によるスキン包装を行う(ステップS120)。このスキン包装では、まず、図示しないヒータにてフィルム120を加熱して軟化させ、この状態でフィルム120をフレームSFにて降下させる。これにより、図4(B)に示すように、商品群200はフィルム120によりその上方から覆われ、台紙110にあっては、商品群200の載置領域の周囲に亘ってフィルム120で覆われる。フィルム降下に続いては、スキン包装機の吸引ポンプPを駆動して、吸引プレートSP下面の吸引室SR内の空気を吸引する。台紙110は既述したように通気性を有することから、吸引ポンプPによる吸引により、台紙110の表面とフィルム120との間に残ったエアおよびフィルム120により取り囲まれていた商品群200の周囲に残っていたエアが吸引プレートSPの吸引孔SPHを経て吸引される。よって、図4(C)に示すように、フィルム120は、商品群200の表面のみならず、台紙110の表面にも密着することになる。この場合、カゴ200Kを通してカゴ内部まで吸引されるので、フィルム120は、カゴ200Kの表面や、商品群200を構成する贈答商品201〜205のそれぞれの商品の表面に密着することになる。
【0024】
吸引ポンプPによる吸引は所定時間に亘って行われ、フィルム120は加熱により軟化していることから、商品群200を構成する贈答商品201〜205の個々の商品表面はもとより、カゴ表面および台紙表面にも確実に密着する。これにより、商品群200を構成する個々の贈答商品201〜205は、台紙110の上面にカゴ200Kごとフィルム120にて保持される。この場合、フィルム120は冷えて硬化することから、このフィルム硬化によっても、商品群200を構成する個々の贈答商品201〜205の保持性は確保される。
【0025】
スキン包装に続いては、スキン包装機から包装済み商品群200を取り出す(ステップS130)。この取出に当たっては、吸引ポンプPを停止した上で吸引孔SPHを閉鎖して、吸引室SRに空気を導入する。こうすることで、吸引プレートSPの上面の台紙110をプレート側に吸引する力(吸引力)は小さくなるので、包装済み商品群200を、台紙110と共に容易にスキン包装機から取り出すことができる。
【0026】
図5はスキン包装機から取り出したスキン包装済みの商品群200を台紙110と共に概略的に示す説明図である。図示するように、フィルム120は台紙110の周縁から外側に飛び出しており、この状態のまま、台紙110を第1の折り返しに処する(ステップS140)。この台紙の第1折り返しでは、台紙110の下面において商品群200の載置領域を挟んで向かい合うよう形成済みの山折り折り筋114にて、台紙縁部112を台紙下面の側にフィルム120と一緒に山折りに折り返す。これにより、台紙110は、図1に示すように、台紙縁部112の山折り稜線112Yを前後端縁とし、台紙110および商品群200は、本実施例としての包装品100の形態となる。
【0027】
次いで、台紙110を第2の折り返しに処する(ステップS150)。この台紙の第2折り返しでは、台紙110の上面において商品群200の載置領域を挟んで向かい合うよう形成済みの谷折り折り筋118にて、台紙縁部116を台紙上面の側にフィルム120と一緒に谷折りに折り返す。図6は台紙縁部の折り返しが完了した包装完了状態の台紙110を商品群200と共に概略的に示す説明図である。図示するように、上記の第1、第2の折り返しにより、台紙110は、台紙縁部112の山折り稜線112Yを前後端縁としつつ、台紙縁部116の谷折り稜線118Yを左右端縁とする。
【0028】
このように台紙縁部112と台紙縁部116が折り返されると、図1および図6に示すように、包装品100の(詳しくは台紙110の)前後寸法L1や左右寸法L2、および台紙縁部116の折り返し寸法L3は、稜線112Yや稜線118Yで定まる。本実施例では、後述するように包装品100の箱詰め発送を予定していることから、発送箱130の内寸に合わせて前後寸法L1と左右寸法L2および台紙縁部116の折り返し寸法L3が規定されている。図7は包装品100を発送箱130と共に示しつつ箱詰めの様子を示す説明図である。この図7に示すように、前後寸法L1は発送箱130の内寸前後寸法U1と合致するよう、左右寸法L2は発送箱130の内寸左右寸法U2と、台紙縁部116の折り返し寸法L3は発送箱130の内寸深さ寸法U3と合致するよう、それぞれ定められている。より具体的には、台紙110の縦横寸法、および山折り折り筋114と谷折り折り筋118の形成位置が、発送箱130の内寸に合わせて規定されている。
【0029】
上記した第1、第2の折り返し後には、包装品100を図7に示すように発送箱130に収納し(ステップS160)、発送箱130の蓋を閉じた後に発送処理を行う(ステップS170)。これにより、贈答商品201〜205の梱包・発送が終了する。
【0030】
以上説明したように、本実施例の包装品100では、通気性を有する台紙110の下面の側からの吸引を経てフィルム120を商品群200の個々の贈答商品201〜205およびカゴ200Kの表面に密着させて、フィルム120にて商品群200の個々の贈答商品201〜205をカゴ200Kごと台紙110に保持することができる。しかも、こうしてフィルム120にて贈答商品201〜205を台紙上面に保持した状態のまま、フィルム密着済みの台紙110を、商品群200の載置領域を挟んで向かい合う台紙縁部112が台紙下面の側にフィルム120と一緒に山折りに折り返す。そして、この台紙縁部112の山折り折り筋114での折り返しによりフィルム120にテンションを掛けるので、フィルム120は、このテンションを受けて、商品群200の個々の贈答商品201〜205の表面と台紙110の上面に密着したままの状態で維持される。この結果、台紙上面に商品群200を高い実効性で保持できる。
【0031】
しかも、本実施例では、台紙縁部112の山折り折り返しに加え、当該縁部が山折り折り返しされた状態で、更に、台紙縁部116についても谷折り折り筋118にて谷折りする。この谷折りの際には、フィルム120は台紙上面に密着したままであることから、台紙縁部116の谷折り折り返しは、台紙縁部112の山折り折り返しの際にフィルム120に掛かるテンションの維持、および台紙縁部112の山折り折り返しと異なる方向でのフィルム120へのテンションにも寄与する。よって、台紙縁部112の山折り折り返しに続く台紙縁部116の谷折り折り返しにより、台紙上面における商品群200の保持性をより高めることができる。
【0032】
そして、フィルム120による包装を解除して商品群200の贈答商品201〜205を台紙110から取り出す際には、台紙縁部112と台紙縁部116の折り返しを元に戻して、フィルム120を台紙上面から剥がす。本実施例では、フィルム120による台紙110への商品群200の保持に際して、台紙下面からの吸引によりフィルム120を台紙上面に密着させるものの、フィルム120と台紙110との間に接着剤等を介在させない。よって、フィルム120を容易に台紙110から剥がすことができるので、フィルム剥離の際に不用意に贈答商品201〜205を動かさないようにできる。この結果、本実施例の包装品100によれば、包装解除時の物品の損傷を抑制しつつ、容易に包装解除を行うことができる。
【0033】
ところで、台紙110は通気性を備えるので、ステップS140〜150での端部折り返しを行った後の包装完了状態であっても、台紙下面の側から台紙上面の側、詳しくは、台紙上面とフィルム120との間に向けた通気は起き得る。しかしながら、包装完了状態での通気は大気圧に依存することから、上記のようにテンションが掛かったフィルム120を膨らませるほどの通気は起きない。よって、商品群200の個々の贈答商品201〜205の表面と台紙110の上面へのフィルム120の密着は維持されて物品の保持性も維持される。この結果、包装完了状態での不用意な物品のズレを起こさないようにできるので、包装完了状態での取り扱いや搬送、発送等に特段の支障は生じない。
【0034】
また、本実施例では、台紙縁部112や台紙縁部116の折り返しを行うに当たり、予め台紙110に山折り折り筋114や谷折り折り筋118を設けたので、台紙縁部112の山折り折り返しと台紙縁部116の谷折り折り返しを、容易に行うことができ、好ましい。しかも、これら折り筋の形成箇所を包装品100の収納対象となる発送箱130の内寸寸法に合わせて規定したので、折り筋で台紙縁部を折り返すだけで、包装品100の前後寸法L1と左右寸法L2および折り返し寸法L3を発送箱130への収納に適った寸法に規定できる。よって、台紙縁部の折り返し後の包装品100の発送箱収納も簡便となり、好ましい。
【0035】
加えて、本実施例では、商品群200を構成する贈答商品201〜205を通気性のあるカゴ200Kにカゴ盛りするようにしたので、カゴ200Kに並べた状態のまま贈答商品201〜205をフィルム120にて台紙110に保持できる。この結果、カゴ盛りの仕方を工夫して見栄えを高めておくことで、見栄えの高い状態で商品群200を保持でき、贈答品や記念品等としての付加価値も高まる。また、贈答商品201〜205をカゴ盛りして並べた状態のカゴ200Kを台紙110に載置すればよいことから、簡便である。
【0036】
更に、本実施例では、台紙縁部112の山折り折り返しと台紙縁部116の谷折り折り返しを行った上で、包装品100を発送箱130に収納したので、発送箱130のまま搬送や発送ができ簡便であると共に、この間においても贈答商品201〜205を好適に保持したままとできる。しかも、商品群200を保持済みの包装品100を発送箱130に収納した状態にあっても、商品群200を構成する贈答商品201〜205はフィルム120にて保持されたままであることから、発送箱130の空隙に梱包材を詰める必要がない。よって、梱包材が不要となり、省資源の観点からももとより、梱包作業の軽減からも好適である。また、台紙縁部112の山折り折り返しと台紙縁部116の谷折り折り返しを行うだけで、発送箱130の内寸寸法に適った前後寸法L1や左右寸法L2および折り返し寸法L3の包装品100とできる。この結果、箱詰めが容易となる共に、箱詰め後の状態において、台紙110を箱内で上下左右および前後にも動かないようにできるので、発送過程での商品損傷をも回避できる。
【0037】
そして、発送箱130の状態で商品群200を受け取った商品受け取り者は、発送箱130の蓋を開くと、光沢と透明のフィルム120で保持された商品群200のそれぞれの贈答商品201〜205をその場で目の当たりにできると共に、包装品100を即座に発送箱130から取り出すことができる。つまり、商品受け取り者の側での梱包材の除去や梱包材処置も不要となる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、上記した実施例では、複数個の贈答商品201〜205をカゴ200Kにカゴ盛りした形態の商品群200について説明したが、単独の商品を台紙110に保持する形態や、複数の商品をカゴを用いずに台紙110の上面に直接載置して保持する形態とすることもできる。また、台紙110の左右寸法を発送箱130の内寸左右寸法U2に予め合わせておけば、台紙縁部116の折り返しを省くことができる。なお、この場合には、商品のカゴ盛り高さを発送箱130の内寸深さ寸法U3に合わせておいたり、台紙110の下にかさ上げ用の段ボール台座や箱体内折り返しを設けることで、発送箱130の内部で包装品100が上下に動かないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施例としての包装品100を斜視にて概略的に示しつつその断面の一部を拡大して示す説明図である。
【図2】包装品100の構成を示すための概略斜視図である。
【図3】実施例の包装品製造手順を示す手順図である。
【図4】この製造手順におけるフィルム120を用いたスキン包装の様子を示す説明図である。
【図5】スキン包装済みの商品群200を台紙110と共に概略的に示す説明図である。
【図6】台紙縁部の折り返しが完了した包装完了状態の台紙110を商品群200と共に概略的に示す説明図である。
【図7】包装品100を発送箱130と共に示しつつ箱詰めの様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
100…包装品
110…台紙
112…台紙縁部
112Y…稜線
114…山折り折り筋
116…台紙縁部
118…谷折り折り筋
118Y…稜線
120…フィルム
130…発送箱
200…商品群
200K…カゴ
201〜205…贈答商品
U1…内寸前後寸法
L1…前後寸法
U2…内寸左右寸法
L2…左右寸法
U3…内寸深さ寸法
L3…折り返し寸法
SF…フレーム
SP…吸引プレート
SR…吸引室
P…吸引ポンプ
SPH…吸引孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙の上面に物品を載置した形態でフィルムにて該物品を包装した包装品であって、
前記台紙は、台紙下面の側からの吸引を許容する通気性を備え、
前記フィルムは、非通気性を備え、前記台紙の上面に載置済みの前記物品に被せられて前記台紙の上面を覆うと共に、前記台紙下面からの吸引を経て前記物品の表面と前記台紙の上面に密着しており、
前記フィルムが密着した状態の前記台紙は、前記物品の載置領域を挟んで向かい合う台紙縁部が前記台紙下面の側に前記フィルムと一緒に山折りに折り返された状態とされている
包装品。
【請求項2】
請求項1に記載の包装品であって、
前記台紙は、前記山折りの折り返し箇所に予め山折り折り目を有する
包装品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の包装品であって、
前記物品は、通気性を有する容器に並べられた状態で前記台紙の上面に載置されている
包装品。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれかに記載の包装品であって、
箱体を備え、
前記台紙は、前記箱体の対向する一組の箱体側面の間隔に合わせた間隔で前記山折りに折り返され、前記箱体の対向する他の組の箱体側面の間隔に合わせた間隔で折り返されて、前記箱体の内部に前記物品を載置した形態で収納されている
包装品。
【請求項5】
物品の包装方法であって、
下面の側からの吸引を許容する通気性を備える台紙に物品を載置する工程と、
非通気性のフィルムを、前記台紙の上面に載置済みの前記物品に被せつつ前記台紙の上面を覆う工程と、
前記フィルムで覆われた前記台紙の下面から吸引して、前記フィルムを前記物品の表面と前記台紙の上面に密着させる工程と、
前記フィルムが密着した状態の前記台紙を、前記物品の載置領域を挟んで向かい合う台紙縁部において前記台紙下面の側に山折りに折り返す工程とを備える
物品の包装方法。
【請求項6】
請求項5に記載の物品の包装方法であって、
前記台紙を前記山折りに折り返す工程では、
用意された箱体の対向する一組の箱体側面の間隔に合わせた間隔での前記台紙の前記山折りの折り返しと、前記箱体の対向する他の組の箱体側面の間隔に合わせた間隔での前記台紙の折り返しとを行って、前記二つの折り返しがなされた前記台紙を、前記箱体の内部に前記物品を載置した形態で収納する
物品の包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−214888(P2009−214888A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57493(P2008−57493)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(593014266)株式会社瓶屋 (5)
【Fターム(参考)】