説明

包装媒体収納容器および包装媒体供給具

【課題】接着エリアの合計面積を少なくし、見栄えをよくし、剥取に際し力を増加させず、開封片の半分以上の剥取ができ、負担を軽減し、輸送時に開封片が外れない収納容器を提供する。
【解決手段】包装媒体12の巻回体2を収納する、開口面30と底板4と前板5と後板6を有する容器本体15と、後板に回動可能に連接され開口面を塞ぐ蓋板22と、蓋板に立設され、蓋板が開口面を塞いだとき、前板5に重なる蓋前板23とを有する蓋本体20と、蓋前板の一辺の切込線を介し蓋前板に連接される開封片26を備え、前板は、底板4の一辺31に平行な接着エリア34を有し、開封片が、開封片上に塗られた接着剤により接着エリアに接着され、開封片が開封開始部を有し、これを起点に切込線から分離され、接着エリアから剥離され、接着エリアは、前板の中心線と前板の端35の間で、中心線に隣合せの接着エリアが、端に隣合せの接着エリアより小さい収納容器3とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻かれた包装媒体、例えば、包装媒体に代表される樹脂製ラップフィルムやロール紙、アルミホイル等を包装するための包装媒体を収納するために好適な包装媒体収納容器に関し、特に、開封片が連接する部分に切込線が形成され、切込線から開封片を切り離すことで開封する包装媒体収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6(A)、(B)に従来の包装媒体供給具101を示す。図6(A)は開封前の開封片126が除去されていない状態の包装媒体供給具101を示し、図6(B)は、開封片126を除去して開封し、蓋本体120を開けた状態の包装媒体供給具101を示す。
【0003】
従来の包装媒体供給具101は、包装媒体巻回体102(図6(B)に破線で表示)(以下、適宜、巻回体102)と、巻回体102を収納する包装媒体収納容器103(以下、適宜、収納容器103)とを含んで構成される(例えば、特許文献1参照)。巻回体102は、食品包装用等に使用される包装媒体112を円筒状の巻芯(不図示)に巻きつけて巻回体102としたものである。巻回体102は、細長い直方体形状である紙製(コートボール紙)の収納容器103の中に収納される。
【0004】
収納容器103は、一面全体に渡って開口している一面130を、図中、上部に有する容器本体115と、容器本体115の開口している一面130を覆って蓋をするように形成され、一端が容器本体115に回動可能に連接された蓋本体120と、開封片126とを含んで構成されている。
【0005】
容器本体115は、底板104と、前板105とを有する。蓋本体120は、蓋本体120が開口している一面130を塞いだときに、前板105に重なる蓋前板123を有する。開封片126は蓋前板123の一辺に断続的に形成された切込線125(図6(A)に一点鎖線で表示)を介して蓋前板123に連接される。蓋前板123の一辺には、切込線125に重ねてカッター124が取り付けられている。カッター124は、切込線125を超えて底板104側に張り出して形成され、開封片126を除去したときに収納容器103から引き出した包装媒体112を切断できるように構成されている。
【0006】
なお、一般的に、容器本体115には、容器本体115の前板105に設けられた接着エリア134を除いて剥離オーバープリントニスで表面を塗工させることになる。そして、容器本体115と蓋本体120とを密閉させるためには、開封片126の裏側にライン状に接着剤を施し、該施した接着剤を介して容器本体115と、蓋本体120に連接された開封片126と、を接着させることになる。そして、開封片126を容器本体115から切り離すことで、蓋本体120が容器本体115に対して回動可能な状態を構築することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−97139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、開封の際、開封片126を剥ぎ取った場合、前板105の接着エリア134の表面が剥ぎ取られ、接着エリア134の表面を除いた部分が露出するので見栄えが良くなく、見栄えを良くしてほしいとの要望があった。また、開封片126を剥ぎ取った場合、力を更に増加させることなく、開封片126の半分以上の剥ぎ取りが一気にでき、開封片126を剥ぎ取ることの負担を軽減できるようにしてほしいとの要望があった。また同時に、開封片の剥ぎ取りの負担を軽減しながらも、輸送時等における衝撃等によって、開封片が外れてしまわないようにするための工夫も必要とされていた。
【0009】
そこで、本発明は、開封の際、開封片を剥ぎ取った場合、接着エリアの表面が剥ぎ取られるが、この表面が剥ぎ取られる接着エリアの合計面積を少なくし、見栄えをよくすることができ、開封片の剥ぎ取りに際し、力を増加させることなく、開封片の半分以上の剥ぎ取りが一気にでき、開封片を剥ぎ取ることの負担を軽減できる包装媒体収納容器であり、かつ、使用開始時以外の輸送時等の衝撃等によって開封片が外れてしまわない包装媒体収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば図1(A)、(B)、図2に示すように、包装媒体12が円筒状に巻かれた包装媒体巻回体2を収納する、一面30が開口された容器本体15であって、一面30に対向する底板4と、底板4の一辺31に立設された前板5と、一辺31に対向する底板4の他の一辺32に立設された後板6とを有する容器本体15と;底板4の他の一辺32に対向する連接辺39を有し、連接辺39において後板6に回動可能に連接され、開口された一面30を塞ぐよう構成された蓋板22と、連接辺39に対向する蓋板22の一辺40に立設され、蓋板22が一面30を塞いだ状態のとき、前板5に重なるよう配置された蓋前板23とを有する蓋本体20と;蓋板22の一辺40に対向する蓋前板23の一辺46に断続的に形成された切込線25を介して蓋前板23に連接される開封片26とを備え;前板5は、底板4の一辺31に平行に配置された複数の接着エリア34を有し;開封片26は、開封片26の裏側または複数の接着エリア34上に塗布された接着剤により複数の接着エリア34に接着され;開封片26は、開封が開始される開封開始部55を有し、開封開始部55を起点に、切込線25から分離されるとともに、複数の接着エリア34から剥離されるように構成され;連接辺39に沿った方向Xの前板5の中央部において前板5を方向Xに直角に横断する中心線45と、前板5の方向Xの端35との間で、中心線45に隣り合わせに配置された第2の接着エリア34−3が、前板5の端35に隣り合わせに配置された第1の接着エリア34−1よりも小さく形成される。
【0011】
このよう構成にすると、連接辺に沿った方向の前板の中央部において前板を前記方向に直角に横断する中心線と、前板の前記方向の端との間で、中心線に隣り合わせに配置された第2の接着エリアが、前板の前記方向の端に隣り合わせに配置された第1の接着エリアよりも小さく形成されているので、開封の際、開封片を開封開始部を起点に切込線から分離した場合、開封片が接着されていた前板の接着エリアの表面が剥ぎ取られるが、この表面が剥ぎ取られる接着エリアの合計面積が少なくなっているので、見栄えをよくすることができる。さらに開封片の剥ぎ取りに際し、力を増加させることなく、開封片の半分以上の剥ぎ取りを一気に行うことができ、開封片を剥ぎ取ることの負担を軽減できる包装媒体収納容器であり、かつ、使用開始時以外の輸送時等の衝撃等によって開封片が外れてしまわない包装媒体収納容器とすることができる。
【0012】
本発明の第2の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば図1(A)に示すように、第1の態様の包装媒体収納容器において、複数の接着エリア34は、前板5の方向Xの端35から中心線45に向かうにしたがい、徐々に小さく形成される。
【0013】
このように構成すると、開封片の半分以上の剥ぎ取りを確実に一気に行うことができる。
【0014】
本発明の第3の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば図1(A)、図2、図4に示すように、第1または第2の態様の包装媒体収納容器において、複数の接着エリア34には、ニック37を残して複数の接着エリア34の外縁を囲むように半切り線36がそれぞれ形成され;ニック37は、接着エリア34の外縁上にあり、開封片26の開封開始部55が配置される側の端27に重なる前板5の端35に対向する側であって、底板5の一辺31に対向する側に設けられる。
【0015】
このように構成すると、接着エリアの外縁の全周を半切り線が囲むように形成されている場合と相違し、包装媒体容器の組立時や運搬時などに包装媒体容器に衝撃が加わった際、接着エリア全体に包装媒体収納容器の素材の層間剥離が起こらないようにし、開封片が接着エリアから剥離してしまうのを、ニックを残して接着エリアの外縁を囲むように形成した半切り線により、より確実に防ぐことができる。
また、複数の接着エリアには、ニックを残して複数の接着エリアの外縁を囲むように半切り線がそれぞれ形成されているので、ニックの寸法を調整することにより開封片を剥ぎ取るのに必要な力を調整することができる。ニックは、開封片が接着エリアから剥ぎ取られる方向(開封片の開封開始部が設置される側の一方の端に重なる前板の一方の端から、前板の対向する他方の端に包装媒体収納容器の軸方向(長手方向)に沿って進む方向)によって決められる。
【0016】
本発明の第4の態様に係る包装媒体収納容器3は、例えば図1(A)、図2、図4に示すように、包装媒体12が円筒状に巻かれた包装媒体巻回体2を収納する、一面30が開口された容器本体15であって、一面30に対向する底板4と、底板4の一辺31に立設された前板5と、一辺31に対向する底板4の他の一辺32に立設された後板6とを有する容器本体15と;底板4の他の一辺32に対向する連接辺39を有し、連接辺39において後板6に回動可能に連接され、開口された一面30を塞ぐよう構成された蓋板22と、連接辺39に対向する蓋板22の一辺40に立設され、蓋板22が一面30を塞いだ状態のとき、前板5に重なるよう配置された蓋前板23とを有する蓋本体20と;蓋板22の一辺40に対向する蓋前板23の一辺に断続的に形成された切込線25を介して蓋前板23に連接される開封片26とを備え;前板5は、底板4の一辺31に平行に配置された複数の接着エリア34を有し;開封片26は、開封片26の裏側または複数の接着エリア34上に塗布された接着剤により複数の接着エリア34に接着され;開封片26は、開封が開始される開封開始部55を有し、開封開始部55を起点に、切込線25から分離されるとともに、複数の接着エリア34から剥離されるように構成され;複数の接着エリア34には、ニック37を残して複数の接着エリア34の外縁を囲むように半切り線36がそれぞれ形成され;ニック37が、接着エリア34の外縁上にあり、開封片26の開封開始部55が配置される側の端27に重なる前板5の端35に対向する側であって、底板4の一辺31に対向する側に設けられる。
【0017】
このように構成すると、接着エリアの外縁の全周を半切り線が囲むように形成されている場合と相違し、包装媒体容器の組立時や運搬時などに包装媒体容器に衝撃が加わった際、接着エリア全体に包装媒体収納容器の素材の層間剥離が起こらないようにし、開封片が接着エリアから剥離してしまうのを、ニックを残して接着エリアの外縁を囲むように形成した半切り線により、より確実に防ぐことができる。包装媒体収納容器の素材は、例えば、コートボール紙である。
【0018】
また、複数の接着エリアには、ニックを残して複数の接着エリアの外縁を囲むように半切り線がそれぞれ形成されているので、ニックの寸法を調整することにより開封片を剥ぎ取るのに必要な力を調整することができる。ニックの位置は、開封片が接着エリアから剥ぎ取られる方向(開封片の開封開始部が配置される側の端に重なる前板の端から、前板の対向する他方の端へ包装媒体収納容器の軸方向(長手方向)に沿って進む方向)によって決められる。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の第5の態様に係る包装媒体供給具1は、例えば図1(A)に示すように、第1の態様乃至第4の態様のいずれか1の態様の包装媒体収納容器3と;包装媒体12が円筒状に巻かれた包装媒体巻回体2とを備える。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の包装媒体収納容器によれば、連接辺に沿った方向の前板の中央部において前板を前記方向に直角に横断する中心線と、前板の前記方向の端との間で、中心線に隣り合わせに配置された第2の接着エリアが、前板の前記方向の端に隣り合わせに配置された第1の接着エリアよりも小さく形成されているので、開封の際、開封片を開封開始部を起点に切込線から分離した場合、開封片が接着されていた前板の接着エリアの表面が剥ぎ取られるが、この表面が剥ぎ取られる接着エリアの合計面積が少なくなっているので、見栄えをよくすることができる。さらに開封片の剥ぎ取りに際し、力を増加させることなく、開封片の半分以上の剥ぎ取りを一気に行うことができ、開封片を剥ぎ取ることの負担を軽減できる包装媒体収納容器であり、かつ、使用開始時以外の輸送時等の衝撃等によって開封片が外れてしまわない包装媒体収納容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(A)は、本発明の実施の形態に係る、包装媒体収納容器を備える包装媒体供給具の斜視図である。(B)は、(A)に示す包装媒体収納容器の長手方向に直角な方向の包装媒体供給具の断面図である。
【図2】図1(A)に示す包装媒体収納容器の蓋板を閉じた状態の包装媒体供給具の斜視図である。
【図3】図1(A)に示す包装媒体収納容器の開封片を途中まで開封した図である。
【図4】図1(A)に示す前板の接着エリアを拡大した斜視図である。
【図5】接着エリアの中心とニックの中心を結んだ線が、前板の端および底板の一辺となす角度の関係を説明する図である。
【図6】(A)は、開封前の従来の包装媒体供給具の斜視図である。(B)は、開封後の従来の包装媒体供給具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0023】
図1(A)、(B)を参照して、実施の形態に係る、包装媒体収納容器3を備える包装媒体供給具1の構成を説明する。図1(A)は、水平に配置された状態の包装媒体供給具1の斜視図であり、図1(B)は、図1(A)の包装媒体収納容器3の長手方向中央部における長手方向(軸方向)Xに直角な方向の断面図である。図1(A)では、後述の蓋板22は、開いた状態であり、図1(B)では、蓋板22は、部分的に閉まっている状態であり(すなわち、蓋板22が底板4に平行になっていない)、また後述の包装媒体12を包装媒体収納容器3から引き出した状態が示されている。
【0024】
包装媒体供給具1は、包装媒体巻回体2(以下、適宜、巻回体2)と、巻回体2を収納する包装媒体収納容器3(以下、適宜、収納容器3)とを含んで構成される。巻回体2は、食品包装用等に使用される包装媒体12を円筒状の巻芯10に巻きつけて巻回体2としたものである。巻回体2は、細長い直方体形状である紙製の収納容器3の中に収納される。包装媒体供給具は、一般に、コートボール紙のような表面側に白色系の表層、裏面側に古紙から再生された古紙層を有する厚紙から作られており、本実施の形態の包装媒体供給具1もコートボール紙から作られている。
【0025】
収納容器3は、容器本体15を備える。容器本体15は、包装媒体12が円筒状に巻かれた巻回体2を収容し、一面30が開口され、当該開口された一面30から巻回体2を出し入れすることができる。巻芯10に巻かれた包装媒体12は、ポリ塩化ビニリデンを原材料とする透明フィルムであるが、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、もしくはこれらを組み合わせた多層包装媒体であってもよい。また、包装媒体12は、ロール紙、キッチンペーパ、加熱用調理用紙シート、アルミホイル等であってもよい。容器本体15は、図1(A)中、底板4と、底板4の一辺31(長辺)に底板4に対し直角に立設された前板5と、一辺31に対向する底板4の他の一辺32(長辺)に底板4に対し直角に立設された後板6と、底板4の一辺31に対向する第1の連接辺38を有する副前板7を有する。底板4は、一面30に対向するよう配置されている。副前板7は、第1の連接辺38において前板5に連接される。底板4、前板5、後板6、蓋板22は、長方形である。前板5は、後板6に対向する側の第1の面8と、第1の面8の反対側の第2の面9とを有する。蓋前板7は、蓋板22が一面30を塞いだ状態のとき、前板5の第2の面9に沿って第2の面9に重なる。前板5は、第1の連接辺38に沿った方向Xの前板5の中央部において、前板5を第1の連接辺38に沿った方向Xに対して直角に横断する中心線45(図1(A)に一点鎖線にて表示)を有する。第1の面8が、前板5の容器本体15の内側の面(容器本体15の巻回体2が収納されている側の面)、第2の面9が、前板5の容器本体15の外側の面である。
【0026】
底板4は長辺である一辺31および他の一辺32に加えて、短辺61、62を有する。容器本体15は、側面板71、72を有する。側面板71、72は、それぞれ短辺61、62に立設されている。側面板71、72は略正方形である。
【0027】
収納容器3は、さらに蓋本体20を備え、蓋本体20は、蓋板22と、蓋前板23とを有する。蓋板22は、底板4の他の一辺32に対向する第2の連接辺39を有し、第2の連接辺39において後板6に回動可能に連接され、開口された一面30を塞ぐよう構成される。蓋前板23は、第2の連接辺39に対向する蓋板22の一辺40に立設され、さらに蓋板22に対して直角に立設され、蓋板22が一面30を塞いだ状態のとき、前板5に沿って前板5の外側に重なるよう配置される。
【0028】
蓋板22は長辺である第2の連接辺39と一辺40に加えて、短辺63、64を有する。容器本体15は、蓋側面板73、74を有する。蓋側面板73、74は、それぞれ短辺63、64に立設されている。蓋側面板73、74は略長方形である。
【0029】
蓋前板23には、蓋板22の一辺40に対向する一辺46がV字形状に形成されている。当該V字形状は、第2の連接辺39に沿った方向Xの蓋前板23の中央部において蓋板22の一辺40から遠ざかる方向に出っ張るよう形成されている。蓋前板23には、包装媒体12を切断するカッター24であって、蓋板22の一辺40から遠ざかる方向にV字形状からはみ出し、V字形状に沿って配置されたカッター24が取り付けられている。
【0030】
次に、さらに図2、図3をも参照して開封前の包装媒体供給具1の構成を説明する。図2は、図1(A)に示す収納容器3の蓋板22を閉じた状態の開封前の包装媒体供給具1の斜視図である。図3は、図2に示す収納容器3の開封片26を途中まで開封した図である。
【0031】
収納容器3は、開封片26を備え、開封片26は、蓋板22の一辺40に対向する蓋前板23の一辺46に断続的に切り込みが形成された切込線25を介して蓋前板23に連接されている。開封片26は、前板5の第2の面9に沿って第2の面9に重なるように配置されている。切込線において断続的に切り込みが形成されているとは、切込線25に切り込みが一定の間隔で繰り返し形成されていることをいう。切込線25において切り込みと切り込みとの間は切り込みは形成されていないが、開封のため開封片26を引っ張ることにより、この切り込みが形成されていない部分が破壊され、開封片26は蓋前板23より分離する。開封片26は、図2中、右側の端(短辺)27の側に印刷部53を有する。開封片26の印刷部53には矢印54が印刷されている。矢印54は、開封片26の開封を開始する開封開始部55を示し、印刷部53が同時に開封開始部55である。
【0032】
前板5は、前板5の容器本体15の外側に対応する面に、底板4の一辺31に平行に配置された複数(図2中、6個)の接着エリア34を有する。接着エリア34は、前板5の第2の面9の蓋前板23に重ならない部分に配置されている。接着エリア34は円形である。前板5の容器本体15の外側に対応する面とは、前板5の容器本体15の巻回体2を収納する側(内側)とは反対側の面をいう。接着エリア34が底板4の一辺31に平行に配置されるとは、接着エリア34の各中心42(図5)が底板の一辺31に平行に配置されていることをいう。接着エリア34のうち、前板5の端(短辺)35に隣り合わせに配置されたものを第1の接着エリア34−1といい、前板の中心線45に隣り合わせに配置されたものを第2の接着エリア34−3という。第1の接着エリア34−1と第2の接着エリア34−3との間にある接着エリアを符号34−2で表す。
【0033】
開封片26の裏側(前板5の第2の面9に沿って対向する面側)には、底板4の一辺31に平行に開封片26の長手方向Xの一方の端27から他方の端27まで帯状の接着部41が設けられ、接着剤が塗られている。接着部41の幅は11mmであり、接着エリア34が接着部41の部分に当たるように構成されている。接着剤としては、酢酸ビニル樹脂水性エマルジョン、変性酢酸ビニル−アクリル樹脂共重合体または酢酸ビニル−アクリル樹脂共重合体等をあげることができる。なお、図1(A)中、開封片26の端27は前板5の端35に重なる(図2、図3において同じ)。
【0034】
接着エリア34は、開封片26の端27から中央に向かって、それぞれ、9mm、7mm、5mmの直径を有する。すなわち、複数の接着エリア34は、前板5の底板4の一辺31に沿った方向X(第2の連接辺39に沿った方向Xでもある)に前板5の端35から前板5の中心線45に向かうにしたがい、徐々に小さく形成されている。また、接着エリア34は、第1の連接辺38に沿った方向Xの前板5の中央部において、前板5を第1の連接辺38に沿った方向Xに対して直角に横断する中心線45と、前板5の第1の連接辺38に沿った方向Xの端35との間で、中心線45に隣り合わせに配置された第2の接着エリア34−3(直径は5mm)が、前板5の第1の連接辺38に沿った方向Xの端35に隣り合わせに配置された第1の接着エリア34−1(直径9mm)よりも小さく形成されている。第1の接着エリア34−1は、接着エリア34の中で、第1の連接辺38に沿った方向Xに関して、端35に最も近く配置されている。第2の接着エリア34−3は、接着エリア34の中で、第1の連接辺38に沿った方向Xに関して、中心線45に最も近く配置されている。収納容器3は、複数の接着エリア34の大きさ、複数の接着エリア34の底板4の一辺31からの距離を調整することにより、蓋板22の一辺40から、蓋前板23の中央部の頂点44までの蓋前板23の長さHを調整することができる。本実施の形態では、包装媒体12を使用に際し切断したときに、蓋前板23の長さHを長くすることができるので(例えば、最大長さと最大長さの70%の間の長さ)、包装媒体12が収納容器3内に巻き戻りにくい構造とすることができる。
【0035】
なお、底板4の一辺31、他の一辺32、第1の連接辺38、第2の連接辺39、蓋板22の一辺40は、互いに平行である。
【0036】
前板5の接着エリア34を除く部分であって、接着部41が当たる部分には、接着防止用の透明塗料が塗布されている。すなわち、接着エリア34には接着防止用の透明塗料は塗布されない。したがって、開封片26は接着エリア34の部分で前板5に接着される。上述のように接着剤は開封片26の方に塗布するとして説明したが、接着エリア34の部分に塗布するようにしてもよい。この場合、接着剤の使用量を少なくすることができ、また接着防止用の透明塗料を使用する必要がなくなる。
【0037】
図4、図5を参照して、接着エリア34についてさらに説明する。前板5の外側にある接着エリア34には、ニック37を残して接着エリア34の外縁(円形の縁)を囲むように半切り線36がそれぞれ形成されている。ニック37は、接着エリア34の外縁の、開封片26の開封に際し使用者につままれる一方の端27(図2中、右側)に重なる前板5の一方の端35(図4中、右側)に対向する側であって、底板4の一辺31に対向する側に設けられる。例えば、接着エリア34の中心42とニック37の中心43を結んだ線Lが、端35に平行な線Mおよび一辺31に平行な線Nに対して45度の角度をなすように設けるとよい。
【0038】
ニック37は、図5中、接着エリア34の外縁を構成する円の3時方向(端35に直角な方向)と6時方向(一辺31に直角な方向)の間に形成される。開封片26の端27は、開封前は前板5の端35に隣り合わせに配置されている。なお、図5においては、12時(0時)方向が上側である。半切り線36とは、接着エリア34の外縁を囲むようにニック37を残して連続的に切り込みが入れられた線であり、ニック37には半切り線は形成されておらず、切り込みが入れられていない。開封片26は、開封前の使用者につままれる開封開始部55がある側である一方の端27から、他方の端27に向かう方向、すなわち開封片26の開封開始部55が設置される側の一方の端27に重なる前板5の一方の端35から、前板5の対向する他方の端35に収納容器3の軸方向X(長手方向X)に沿って進む方向に剥ぎ取られる。
【0039】
ニック37は、図5中、接着エリア34の外縁の右半分の位置のどこかに設ける(条件1)。図5中、右から左方向に開封片26(図3)を前板5から剥ぎ取っていくので、左半分にニック37を設けると、ニック37から収納容器3(図3)の素材の紙の表面層を細く引きずる現象が起こり、表面層に隣接する素材の層(例えば、古紙層)がむき出しになり見栄えが悪くなる可能性があるからである。ニック37は、接着エリア34の外縁の、図5中、下半分の位置のどこかに設ける(条件2)。製品の検品等の際、開封片26を蓋前板23(図3)から切り取らずに、図5中、下から、接着エリア34のみを前板5から外すことがある。その際、ニック37が、図5中、上半分にあると、前述同様にニック37から紙の表面を細く引きずる現象が起こる可能性があるからである。条件1および条件2を満たすために、ニック37は、前述のように、接着エリア34の外縁を構成する円の3時方向と6時方向の間のどこかの位置に設ける。ニック37は、好ましい実施の形態では、前述のとおり、図5中、右斜め下45度の位置に設け、さらに全てのニック37について同じ位置に設けるとよい。
【0040】
図1(A)、図1(B)、図2を参照して、実施の形態の作用について説明する。
包装媒体供給具1の使用者は、まず包装媒体供給具1の開封を行う。
使用者は収納容器3を片手で持ち、もう一方の手で収納容器3の開封片26の一方の端27(開封開始部55がある側の端27)をつまみ、切込線25を破壊して開封片26を引っ張る。これにより開封片26は前板の接着エリア34から剥離され、蓋前板23より分離され、包装媒体供給具1は開封される。剥離および分離はつままれた端に近い方の接着エリア34から起こり、順次前板5の中央部に近い接着エリア34に向かって起こる。接着エリア34の面積は端に近い方から中央部に向かうほど小さく形成されているので、開封片26を引っ張る力を増加させることなく、開封片26の半分以上の剥ぎ取りを一気に行うことができ、開封片26を剥ぎ取ることの負担を軽減できる。通常は手を動かす動きの慣性により、最初の接着エリア34(つままれた端27に最も近い接着エリア34)から始めて、最後の接着エリア34(つままれた端27の反対側の端27に最も近い接着エリア34)まで一気に、接着エリア34から開封片26を剥離させることができる。なお、開封片26を蓋前板23より分離する力より、開封片26を前板5の接着エリア34から剥離する力の方が大きな力を要する。
【0041】
接着エリア34は、前板5の端35から中央部に向かうに従い小さく形成されているので、表面が剥ぎ取られた接着エリア34の合計面積が、前板の端35から一定で同じ大きさで形成されている場合と比較して、少なく形成されているので、見栄えを良くすることができる。
【0042】
開封片26を剥ぎ取った後に、蓋本体20を開け、包装媒体12を必要な長さだけ、容器本体15から引き出し、再び蓋本体20を閉め、カッター24にて包装媒体12を切断して、使用する。
【0043】
実施の形態に係る包装媒体収納容器3によれば、接着エリア34は、連接辺に沿った方向Xの前板5の中央部において、前板5の長手方向X(第2の連接辺39に沿った方向X)の端35に最も近い接着エリア34よりも小さく形成されているので、開封の際、開封片26を剥ぎ取った場合、前板5の接着エリア34の表面が剥ぎ取られ、表面が剥ぎ取られた部分が露出するが、接着エリア34の合計面積が少なくなっているので、見栄えをよくすることができ、さらに開封片26の剥ぎ取りに際し、力を増加させることなく、開封片26の半分以上の剥ぎ取りを一気に行うことができ、開封片26を剥ぎ取ることの負担を軽減できる収納容器3であり、かつ、使用開始時以外の輸送時等の衝撃等によって開封片が外れてしまわない包装媒体収納容器とすることができる。接着エリア34の表面とは、収納容器3の素材の表面層をいい、表面が剥ぎ取られるとは、表面層(例えば、透明または白色層)が剥ぎ取られ(表面層の剥離)、表面層に隣接する素材の層(例えば、古紙層)がむき出しになることをいう。なお、本明細書において収納容器3の長手方向X、開封片26の長手方向X、前板5の長手方向Xは、連接辺38、39に沿った方向X、底板4の一辺31に沿った方向Xは、同じ方向である。
【符号の説明】
【0044】
1 包装媒体供給具
2 包装媒体巻回体
3 包装媒体収納容器
4 底板
5 前板
6 後板
7 副前板
8 第1の面
9 第2の面
10 巻芯
12 包装媒体
15 容器本体
20 蓋本体
22 蓋板
23 蓋前板
24 カッター
25 切込線
26 開封片
27 端
30 一面
31 一辺
32 他の一辺
34 接着エリア
35 端
36 半切り線
37 ニック
38 第1の連接辺
39 第2の連接辺
40 一辺
41 接着部
42、43 中心
44 頂点
45 中心線
46 一辺
53 印刷部
54 矢印
55 開封開始部
61、62、63、64 短辺
71、72 側面板
73、74 蓋側面板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装媒体が円筒状に巻かれた包装媒体巻回体を収納する、一面が開口された容器本体であって、前記一面に対向する底板と、前記底板の一辺に立設された前板と、前記一辺に対向する前記底板の他の一辺に立設された後板とを有する容器本体と;
前記底板の他の一辺に対向する連接辺を有し、前記連接辺において前記後板に回動可能に連接され、前記開口された一面を塞ぐよう構成された蓋板と、
前記連接辺に対向する前記蓋板の一辺に立設され、前記蓋板が前記一面を塞いだ状態のとき、前記前板に重なるよう配置された蓋前板とを有する蓋本体と;
前記蓋板の一辺に対向する前記蓋前板の一辺に断続的に形成された切込線を介して前記蓋前板に連接される開封片とを備え;
前記前板は、前記底板の一辺に平行に配置された複数の接着エリアを有し;
前記開封片は、前記開封片の裏側または前記複数の接着エリア上に塗布された接着剤により前記複数の接着エリアに接着され;
前記開封片は、開封が開始される開封開始部を有し、前記開封開始部を起点に、前記切込線から分離されるとともに、前記複数の接着エリアから剥離されるように構成され;
前記連接辺に沿った方向の前記前板の中央部において前記前板を前記方向に直角に横断する中心線と、前記前板の前記方向の端との間で、前記中心線に隣り合わせに配置された第2の接着エリアが、前記前板の前記端に隣り合わせに配置された第1の接着エリアよりも小さく形成された;
包装媒体収納容器。
【請求項2】
前記複数の接着エリアは、前記前板の前記端から前記中心線に向かうにしたがい、徐々に小さく形成された;
請求項1に記載の包装媒体収納容器。
【請求項3】
前記複数の接着エリアには、ニックを残して前記複数の接着エリアの外縁を囲むように半切り線がそれぞれ形成され;
前記ニックは、前記接着エリアの外縁上にあり、前記開封片の前記開封開始部が配置される側の端に重なる前記前板の前記端に対向する側であって、前記底板の一辺に対向する側に設けられた;
請求項1または請求項2に記載の包装媒体収納容器。
【請求項4】
包装媒体が円筒状に巻かれた包装媒体巻回体を収納する、一面が開口された容器本体であって、前記一面に対向する底板と、前記底板の一辺に立設された前板と、前記一辺に対向する前記底板の他の一辺に立設された後板とを有する容器本体と;
前記底板の他の一辺に対向する連接辺を有し、前記連接辺において前記後板に回動可能に連接され、前記開口された一面を塞ぐよう構成された蓋板と、
前記連接辺に対向する前記蓋板の一辺に立設され、前記蓋板が前記一面を塞いだ状態のとき、前記前板に重なるよう配置された蓋前板とを有する蓋本体と;
前記蓋板の一辺に対向する前記蓋前板の一辺に断続的に形成された切込線を介して前記蓋前板に連接される開封片とを備え;
前記前板は、前記底板の一辺に平行に配置された複数の接着エリアを有し;
前記開封片は、前記開封片の裏側または前記複数の接着エリア上に塗布された接着剤により前記複数の接着エリアに接着され;
前記開封片は、開封が開始される開封開始部を有し、前記開封開始部を起点に、前記切込線から分離されるとともに、前記複数の接着エリアから剥離されるように構成され;
前記複数の接着エリアには、ニックを残して前記複数の接着エリアの外縁を囲むように半切り線がそれぞれ形成され;
前記ニックは、前記接着エリアの外縁上にあり、前記開封片の前記開封開始部が配置される側の端に重なる前記前板の端に対向する側であって、前記底板の一辺に対向する側に設けられた;
包装媒体収納容器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の包装媒体収納容器と;
前記包装媒体が円筒状に巻かれた前記包装媒体巻回体とを備える;
包装媒体供給具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−101815(P2012−101815A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250533(P2010−250533)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】