説明

包装容器

【課題】 蓋ラベルを包装容器の取り出し口に貼設後、ウエットティッシュ等の内容物を充填することができ、製品保管中に蓋ラベルが自然に剥れることがない包装容器を提供することにある。
【解決手段】 取り出し口を有する容器本体と、密閉用基材層の一方の面に感圧接着剤層が設けられた密閉用ラベルと開口用基材層の一方の面に再剥離再接着可能な粘着剤層が設けられ開口用ラベルからなり密閉用ラベルに開口用ラベルを積層させてなる蓋ラベルと、からなり蓋ラベルが取り出し口を被覆するように貼設された包装容器であって、蓋ラベルは感圧接着剤層により容器本体に固着され、密閉用基材層には取り出し口と対向する領域内に切目線が施され、開口用ラベルの一端部側より密閉用ラベルとの間で剥離可能で且つ、剥離部分が再接着可能なように構成されていることを特徴とする包装容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の取り出し口に密閉用基材層の一方の面に感圧接着剤層が設けられた密閉用ラベルと開口用基材層の一方の面に再剥離再接着可能な粘着剤層が設けられた開口用ラベルからなり密閉用基材層面に粘着剤層面が積層されてなる蓋ラベルを貼設した包装容器に関し、特には蓋ラベルの開口用ラベルが開閉自在に構成されることにより容器本体の取り出し口を繰返し開閉して内容物を取り出すことができる包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばウェットティッシュ等を収容するための容器として、容器本体の取り出し口に感圧接着剤層を有する開閉蓋用ラベル(蓋ラベル)を貼設し、取り出し口を自在に繰返し開閉して内容物を取り出すようにした包装容器が用いられている。
【0003】
このような包装容器には、内容物と蓋ラベルに設けた感圧接着剤層とが接触して接着することがないように内容物の上に処理を施した表出面を有するシートが表出面を感圧接着剤層側に位置するように設けられた包装容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、湿潤剤を含浸したナプキン様製品を市販するまでの在庫・保管時に、開閉用フラップ(蓋ラベル)の感圧接着剤層面に結露する水滴が付着し、蓋ラベルの接着不良による気密性の低下を防止するために、容器の天面に設けた取出し口を感圧接着剤を塗布した蓋ラベルを有する収納容器において、湿潤剤を含浸したナプキン様製品の上面に気密性のカバ−フイルムを載置した容器の取出し口が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、近年、商品の多様化に伴い、含浸させるアルコール等の薬液量を多くしたウェットティッシュ等も商品化され、これらの商品の場合には特許文献1、2に開示された技術では、蓋ラベルを自在に繰返し開閉できるように蓋ラベル裏面に再剥離再接着可能な弱粘着剤が使用されているために、容器本体の取り出し口の周縁表面に凹凸があると部分的に未接着部分が発生し、蓋ラベルと取り出し口周縁との間に隙間ができることが時たま発生し、該隙間からアルコール成分が浸透し、製品保管中に蓋ラベルが自然に剥れることが稀にあるという問題がある。
【特許文献1】特開2001−270547号公報
【特許文献2】実用新案登録第3080703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、蓋ラベルを包装容器の取り出し口に貼設後、ウエットティッシュ等の内容物を充填することができ、製品保管中に蓋ラベルが自然に剥れることがない包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、取り出し口を有する容器本体と、密閉用基材層の一方の面に感圧接着剤層が設けられた密閉用ラベルと開口用基材層の一方の面に再剥離再接着可能な粘着剤層が設けられた開口用ラベルからなり前記密閉用ラベルの前記密閉用基材層面に前記開口用ラベルの前記粘着剤層面を積層させてなる蓋ラベルと、からなり前記密閉用ラベルの前記感圧接着剤層面を前記取り出し口に当接させて前記蓋ラベルが前記取り出し口を被覆するように貼設された包装容器であって、前記蓋ラベルは前記密閉用ラベルの前記感圧接着剤層により前記容器本体に固着され、前記密閉用基材層には前記取り出し口と対向する領域内に開口用の切目線が施され、前記開口用ラベルの一端部側より前記密閉用ラベルとの間で剥離可能で且つ、剥離部分が再接着可能なように開閉自在に構成されていることを特徴とする包装容器である。
【0007】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の包装容器において、前記蓋ラベルの一端部に外方に延設した摘み部が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1又は2記載の包装容器において、前記密閉用ラベルの前記感圧接着剤層の前記取り出し口と対向する領域及び前記摘み部に前記感圧接着剤層の接着性を無効にする遮蔽層を形成すると共に、前記摘み部を区画する境界において前記密閉用基材層に切目線を施したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の包装容器は、取り出し口を有する容器本体と、密閉用基材層の一方の面に感圧接着剤層が設けられた密閉用ラベルと開口用基材層の一方の面に再剥離再接着可能な粘着剤層が設けられた開口用ラベルからなり密閉用ラベルの密閉用基材層面に開口用ラベルの粘着剤層面を積層させてなる蓋ラベルと、からなり密閉用ラベルの感圧接着剤層面を取り出し口に当接させて蓋ラベルが取り出し口を被覆するように貼設された包装容器であって、蓋ラベルは密閉用ラベルの感圧接着剤層により容器本体に固着され、密閉用基材層には取り出し口と対向する領域内に開口用の切目線が施され、開口用ラベルの一端部側より密閉用ラベルとの間で剥離可能で且つ、剥離部分が再接着可能なように開閉自在な構成とすることにより、蓋ラベルの開口用ラベルの一端部側より密閉用ラベルとの間で剥離でき、密閉用ラベルに施された開口用の切目線に囲まれた領域のみが切目線に沿って密閉用ラベルから切取られて開口用ラベルに接着したままとなって、密閉用ラベルに開口部が形成され、該開口部より容器本体の取り出し口を介して、内容物を容易に取り出せるという効果を奏するものである。また、密閉用ラベルに設けた感圧接着剤層により密閉用ラベルを容器本体に強接着させることができ、さらに、密閉用ラベルと開口用ラベルは積層されているので容器本体の凹凸の影響を受けることなく、隙間も発生することがなく、製品保管中に蓋ラベルの自然剥離を防止することができるものである。
【0010】
また、請求項2記載の本発明は、蓋ラベルの一端部に外方に延設した摘み部が設けられることにより、蓋ラベルの摘み部より開口用ラベルを剥離して摘みやすくなるので開封が容易となる。
【0011】
また、請求項3記載の本発明は、密閉用ラベルの感圧接着剤層の取り出し口と対向する領域に感圧接着剤層の接着性を無効にする遮蔽層を形成することにより、内容物が密閉用ラベルと接触しても内容物が直接感圧接着剤層に接することがなく内容物が密閉用ラベルに接着することが防止でき、蓋ラベルを剥離して密閉用ラベルに開口部が形成される際にスムーズに蓋ラベルを開けることができるという効果を奏する。また、内容物の上にシートを載置することが省略できるので工程が簡略化できる。さらに、摘み部に遮蔽層を形成することにより摘み部が容器本体に接着していないので摘み部を容易に摘むことができ、摘み部を区画する境界において密閉用基材層に切目線を施すことにより、摘み部を引張ると該切目線より開口用ラベルと密閉用ラベル間で容易に剥離できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に説明する。
図1は本発明にかかる包装容器の一実施形態を示す斜視図、図2は図1のX−X線の断面図、図3は本発明にかかる包装容器の蓋部を示す分解図、図4は本発明にかかる包装容器の蓋ラベルの未開封状態における蓋部の断面図、図5は本発明にかかる包装容器の蓋ラベルの一開封状態を示す断面図であり、図中の符号1は包装容器、2は容器本体、3は蓋ラベル、4は密閉用ラベル、5は開口用ラベル、6は内容物、7は密封材、21は取り出し口、22は上壁、23は周壁、24はフランジ部、31は摘み部、32は切刃、41は密閉用基材層、42は感圧接着剤層、43、47は遮蔽層、44、45は切目線、46は切取り片、51は開口用基材層、52は粘着剤層、Cは蓋部をそれぞれ示す。
【0013】
図1は本発明にかかる包装容器の一実施形態を示す斜視図であって、包装容器1は射出成形された合成樹脂製の容器本体2の取り出し口21に、密閉用ラベル4(図2参照)に開口用ラベル5を積層させてなる蓋ラベル3が、密閉用ラベル4を取り出し口21に当接させて該取り出し口21を被覆するように貼設されている。蓋ラベル3は方形状で一端部側に外方に延設した摘み部31が設けられている。蓋ラベル3の開口用ラベル5には摘み部31を摘み蓋ラベル3を剥離した際に、後述するように開口用ラベル5が密閉用ラベル4から剥離して開口用ラベル5が容器本体2から完全に分離されることを防ぐためのストッパーとして切刃32、32が剥離方向の開口用ラベル5の両端辺から設けられている。また、開口用ラベル5の表面には絵柄、文字や剥離方向を示す記号等が印刷されている。
【0014】
図2は図1のX−X線の断面図であって、包装容器1は、取り出し口21となる窓部を備えた平板状の突出部を有する上壁22と、該上壁22の周縁に連接して設けた周壁23と、該周壁23の自由な周縁に設けたフランジ部24とからなる容器本体2の取り出し口21を蓋ラベル3の密閉用ラベル4を取り出し口21に当接させて容器本体2に固着し、取り出し口21を被覆し、容器本体2のフランジ部24側から内容物6、たとえば、ウェットティッシュを所定枚数載置し、而して容器本体2のフランジ部24に密封材7を熱接着して封入したものであって、図1、2はこのようにして製造された包装容器1を使用時の状態、すなわち、蓋ラベル3が上側に位置するように置いた状態を示す。
【0015】
図3は本発明にかかる包装容器1の蓋部Cを示す分解図、図4は本発明にかかる包装容器1の蓋ラベル3の未開封状態における蓋部Cの断面図であって、図3、図4に示すように密閉用ラベル4は密閉用基材層41の一方の面全面に感圧接着剤層42が設けられ、該感圧接着剤層42の取り出し口21と対向する領域及び摘み部31の容器本体2側の面に感圧接着剤層42の接着性を無効にする遮蔽層43、47が各々形成された構成からなり、遮蔽層43と取り出し口21の位置合せをして感圧接着剤層42により容器本体2の上壁22に固着され、取り出し口21を密閉するものである。また、密閉用ラベル4の密閉用基材層41には取り出し口21と対向する領域内に四角形状で角丸の開口用の切目線44が施されている。さらに摘み部31を区画する境界には密閉用基材層41に切目線45が施されている。遮蔽層43は、遮蔽層43と取り出し口21の位置ずれが発生すると取り出し口21の周縁の一部に遮蔽層43が重なることとなり、ここに隙間を生じ、内容物の薬液が浸透することを考慮し、取り出し口21よりやや小さく形成するほうが好ましい。また、遮蔽層43は必須ではないが、内容物6が密閉用ラベル4と接触しても内容物が直接感圧接着剤層に接することがなく内容物が密閉用ラベル4に接着することを防止でき、さらには内容物6の上にシートを載置することが省略できるという効果があり、遮蔽層43を設けるほうが好ましい。また、切目線44、45はミシン目とすることもできるが、密閉用基材層41を略貫通する切目線の方が蓋ラベル3の開封が容易となるので好ましい。また、切目線44の形状は角丸の四角形状に限定されるものでなく、円形、楕円形等の曲線状や、長方形、六角形等の角形状やあるいはこれらの組合せ等、任意であるが、角形状の場合には角部は角丸にした方が開口部の形成がスムーズとなり、より好ましい。また、遮蔽層47及び切目線45は後述するように摘み部31を摘みやすく、且つ、蓋ラベル3の開封が容易となるので設けた方がより好ましい。
【0016】
図3、図4に示すように開口用ラベル5は開口用基材層51の一方の面全面に再剥離再接着可能な粘着剤層52が設けられ、開口用ラベル5の一端部側より密閉用ラベル4との間で剥離可能で且つ、剥離部分が再接着可能なように開閉自在に構成されている。なお、本願発明における蓋部Cとは、取り出し口21、容器本体2の上壁22を含む領域及び密閉用ラベル4に開口用ラベル5を積層させてなる蓋ラベル3を指す。
【0017】
次に、本発明の包装容器1を構成する各材料について説明する。まず、密閉用ラベル4の密閉用基材層41に用いる基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン等のプラスチックフィルムや合成紙、あるいは、これらの積層体ないしはこれらとアルミニウム箔や蒸着を施したプラスチックフィルムを適宜組合わせた積層体等が使用できる。
【0018】
密閉用基材層41の一方の面に設けられる感圧接着剤層42としては、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスあるいはアクリル系樹脂、ゴム系樹脂等にテルペン樹脂やロジン等の粘着付与剤を配合した合成樹脂等の従来から普通に使用されている粘着剤の中から任意に選んで、グラビアコート法、ロールコート法、あるいは、加熱溶融押し出し法等の周知の塗布方法で塗布することにより形成することができ、必要に応じて増粘剤、分散剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の添加剤を加えてもよく、塗布量は固形分として10〜30g/m2 が適当である。
【0019】
感圧接着剤層42の取り出し口21と対向する領域に形成される遮蔽層43、47は、感圧接着剤層42の接着性を無効にするものであり、いわゆる糊殺しと称するものである。これはあらかじめ形成された感圧接着剤層42面に例えば、紫外線硬化型インキを塗布することにより粘着面を非粘着面とする方法である。例えば、この糊殺しのための一部非粘着化の工程は、密閉用基材層41、感圧接着剤層42、剥離材(図示しない)が順次、積層された密閉用ラベルシートの剥離材を一旦分離する第1工程、感圧接着剤層42面の所定の位置に紫外線硬化型インキをパターン印刷する第2工程、紫外線を照射する第3工程と密閉用ラベルシートと剥離材を再び積層する第4工程からなる。上記方法により、遮蔽層43、47を感圧接着剤層42の面に形成することができる。また、密閉用ラベル4に施される切目線44、45は密閉用ラベル4に遮蔽層43、47を形成する工程、例えば第4工程後に所定の切目線の形状を備えた抜き型で遮蔽層43、47に見当を合せて所定位置に形成される。
【0020】
次に、開口用ラベル5の開口用基材層51としては、印刷適性があって機械的強度を有する材料が用いられ、密閉用基材層41に用いられるものや、あるいは、これらに紙等を適宜組み合わせた積層体等を用いることができる。また、開口用基材層51上に設けた印刷面の保護と表面光沢付与のためにポリプロピレンフィルム等の表面保護層を設けてもよい。
【0021】
開口用基材層51の一方の面に設けられる粘着剤層52としては、再剥離再接着可能な粘着剤が用いられ、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスあるいはアクリル系樹脂、ゴム系樹脂等にテルペン樹脂やロジン等の粘着付与剤を配合した合成樹脂等の従来から使用されている粘着剤の中から適宜選んで、感圧接着剤層42と同様の塗布方法により形成できる。本発明で重要なのは、粘着剤層52に用いられる粘着剤の密閉用ラベル4の密閉用基材層41に貼設される接着力が、感圧接着剤層42に用いられる粘着剤の容器本体2の上壁22に固着される接着力よりも弱くなるように形成することである。このように構成することにより、後述するように開口用ラベル5の一端部から剥離すると密閉用ラベル4に施された開口用の切目線44に囲まれた領域のみが切目線44に沿って密閉用ラベル4から切取られて開口用ラベル5に接着したままとなって、密閉用ラベル4に開口部が形成されると共に、開口用ラベル5を開閉自在な構成とすることが可能となる。粘着剤層52の粘着剤には、シリカ等の粘着阻害剤等の添加剤を添加してもよい。あるいは、密閉用ラベル4の密閉用基材層41の粘着剤層52と接する面にはコーティングにより表面層を設けて粘着剤層52の接着力が弱くなるようにしてもよい。
【0022】
容器本体2としては、射出形成可能な合成樹脂であれば、特に限定するものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS、ポリカーボネート等が適宜使用される。
【0023】
密封材7としては、少なくとも一方の表出面に容器本体2と熱接着可能な熱接着性樹脂層を有すると共に、印刷適性があって機械的強度を有する構成であれば、特に限定するものではなく、たとえば、容器本体2がポリプロピレンからなるものであれば、2軸延伸ポリエステルフィルム/印刷層/接着剤層/アルミニウム箔/接着剤層/無延伸ポリプロピレンフィルムのような構成のものを例示することができる。
【0024】
次に図4、図5を用いて包装容器の蓋部Cの開閉方法について説明する。図4は包装容器1の蓋ラベル3の未開封状態における蓋部Cの断面図、図5は包装容器1の蓋ラベル3の一開封状態を示す断面図である。図4に示すように、蓋ラベル3の摘み部31を摘み該摘み部31と対向する他方の端部に向かって引張り上げると図5に示すように先ず、切目線45より剥れ始め、粘着剤層52と密閉用ラベル4の密閉用基材層41との間で剥離し、切目線44に達すると切目線44に囲まれた領域の密閉用ラベル4が切取られ、切取られた密閉用ラベル4の密閉用基材層41面は開口用ラベル5の粘着剤層52に接着したまま開口用ラベル5と一体化されて切取り片46が形成され、それ以外の領域は粘着剤層52と密閉用ラベル4の密閉用基材層41との間で剥離し、密閉用ラベル4には切目線44に囲まれた領域に開口部が形成され、該開口部より容器本体2の取り出し口21を介して、内容物であるウェットティッシュを取り出すことができる。必要枚数を取り出した後に、開けた蓋ラベル3を元に戻すと密閉用ラベル4の密閉用基材層41に再接着されて図4に示す状態になり閉口できるものである。
【0025】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0026】
<蓋ラベルの作製>
密閉用ラベル基材に厚さ50μmの透明なポリエステルフィルム(PET)の片面に強接着性のアクリル系粘着剤をコートして粘着剤層を形成し、グラシン紙の片面にポリエチレンをラミネートして、ポリエチレン面に剥離処理をした剥離材の剥離処理面と貼り合せた基材(リンテック株式会社製、商品名:PET50(A)PAT1)を用い、公知のラベル印刷機で剥離材を剥離して、粘着剤層面の余白となる部分に光電管マークを、所定位置に遮蔽層を各々見当を合せてポリエステル系樹脂をバインダーとするインキ(東洋インキ製造株式会社製、商品名FDS−TKメジウム)を用いて凸版で印刷し、再び剥離した剥離材を貼り合せた後、所定の切目線の形状を備えた抜き型で遮蔽層に見当を合せて所定位置にPETを貫通する切目線44、45を形成した。次いで、開口用ラベル基材に厚さ50μmの乳白ポリエステルフィルム(WPET)の片面に弱接着性のアクリル系粘着剤をコートして感圧接着剤層を形成し、グラシン紙の片面にポリエチレンをラミネートして、ポリエチレン面に剥離処理をした剥離材の剥離処理面と貼り合せた基材(リンテック株式会社製、商品名:PET50(A)MW3)を用い、公知のラベル印刷機でWPET面に光電管マークと所定の印刷をすると共に、該印刷面に厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層し、所定の切刃の形状を備えた抜き型で光電管マークに見当を合せて所定位置にWPETを貫通する切刃を形成し、而して剥離材を剥離し、WPET面に印刷された光電管マークと密閉用ラベル基材であるPET面に印刷された光電管マークとを見当合せしてWPETの感圧接着剤層面をPET面に重ねて積層し、その後、所定の形状を備えた抜き型でWPET面に印刷された光電管マークに見当合せして所定位置にWPETを貫通する切刃32を形成すると共に、密閉用ラベルの剥離材以外の各層に切刃を施し、余白部分を剥離して、密閉用ラベルに開口用ラベルが積層され、密閉用ラベルの感圧接着剤層面に剥離材が積層された状態の一実施形態に示す剥離材付きの蓋ラベル3を作製した。
【0027】
<包装容器の作製>
ポリプロピレン樹脂を用いて射出成形し、幅100mm、長さ120mm、高さ50mmの外寸で周壁がやや下方に向かって拡開し、上面に取り出し口を有し、下面にフランジ部を有する一実施形態に示す角錐状の容器本体を作製した。その後、容器本体の取り出し口と蓋ラベルの遮蔽層の位置合せして、剥離材を剥離して感圧接着剤層面が容器本体に当接するようにして容器本体に固着して図1に示すような包装容器を作製した。なお、蓋ラベルと容器本体の取り出し口の寸法は以下の通りである。
取り出し口外寸法:60mm×45mm
蓋ラベル外寸法 :90mm×67mm(摘み部含まず)
遮蔽層を囲む切目線の寸法:59mm×44mm
なお、蓋ラベルの摘み部は長さ90mmの方向の一端部に10mm外方に延設させて設け、境界に摘み部を区画する切目線を形成した。
【実施例2】
【0028】
開口用ラベル基材に厚さ80μmのポリプロピレン系の合成紙(株式会社ユポ・コーポレーション製)の片面に弱接着性のアクリル系粘着剤をコートして感圧接着剤層を形成し、グラシン紙の片面にポリエチレンをラミネートして、ポリエチレン面に剥離処理をした剥離材の剥離処理面と貼り合せた基材(リンテック株式会社製、商品名:ユポ80(UV)MW2)を用いた。それ以外は実施例1と同じ材料で同じ方法で包装容器を作製した。
【0029】
[比較例1]
密閉用ラベル基材を用いず、実施例1で用いた開口用ラベル基材のみを用いて遮蔽層、切目線のない蓋ラベルを作製し、実施例1と同様に包装容器を作製した。
【0030】
[比較例2]
密閉用ラベル基材を用いず、実施例2で用いた開口用ラベル基材のみを用いて遮蔽層、切目線のない蓋ラベルを作製し、実施例1と同様に包装容器を作製した。
【0031】
上記実施例1、2及び比較例1、2の包装容器を室温(20℃)で2日間放置し、蓋ラベルの接着力を定着させた後、蓋ラベルの開閉性、耐内容物性を下記の方法で評価した。
(1)開閉性
包装容器の蓋部を上にして蓋ラベルの摘み部を指で摘み、該摘み部と対向する他方の端部に向かって引張り上げてその開口状況と再び蓋ラベルを元に戻し閉口状況を観察した。
(2)耐内容物性
包装容器の蓋ラベル側を下にして、上になった容器本体のフランジ部側から染料で着色した薬液を注入し、蓋ラベルの取り出し口と対向する面をディッピング状態にして30日間、静置して薬液の浸透状況を下記の評価基準で経時観察した。なお、エタノール40重量%、水50重量%、保湿剤(エチレングリコール)9重量%、添加剤(界面活性剤、殺菌剤、防腐剤、PH調整剤、香料清涼剤)1重量%を混合した混合液にメチレンブルーで着色して薬液とした。
<評価基準>
○:薬液の浸透が取り出し口周縁または取り出し口を囲む切目線から3mm以内。
△:3〜5mm以内。
×:5mm超以上。
上記の結果を表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
表1に示すように、実施例1、2の包装容器は、蓋ラベルの摘み部を摘み該摘み部と対向する他方の端部に向かって引張り上げると図5に示すように先ず、切目線45より剥れ始め、粘着剤層52と密閉用ラベル4の密閉用基材層41との間で剥離し、切目線44に達すると切目線44に囲まれた領域の密閉用ラベル4が切取られ、切取られた密閉用ラベル4の密閉用基材層41面は開口用ラベル5の粘着剤層52に接着したまま開口用ラベル5と一体化されて切取り片46が形成され、それ以外の領域は粘着剤層52と密閉用ラベル4の密閉用基材層41との間で剥離し、密閉用ラベル4には切目線44に囲まれた領域に開口部が形成され、開口性は良好であった。また、比較例1、2の包装容器も摘み部より容易に開口でき、開口性は良好であった。また、実施例1、2及び比較例1、2の包装容器とも蓋ラベルを元の戻すと容器本体に接着し閉口性も良好であった。一方、耐内容物性については、実施例1、2共に30日後も薬液の浸透が3mm以内で良好であった。比較例1、2については5日後までは良好であったが、比較例1、2共には10日後で一部に3mm以上の薬液浸透が見られ、20日後で5mmを超えるものが発生した。以上のように実施例1、2の包装容器は蓋ラベルの開閉性及び耐内容物性とも優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明にかかる包装容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のX−X線の断面図である。
【図3】本発明にかかる包装容器の蓋部を示す分解図である。
【図4】本発明にかかる包装容器の蓋ラベルの未開封状態における蓋部の断面図である。
【図5】本発明にかかる包装容器の蓋ラベルの一開封状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 包装容器
2 容器本体
3 蓋ラベル
4 密閉用ラベル
5 開口用ラベル
6 内容物
7 密封材
21 取り出し口
22 上壁
23 周壁
24 フランジ部
31 摘み部
32 切刃
41 密閉用基材層
42 感圧接着剤層
43、47 遮蔽層
44、45 切目線
46 切取り片
51 開口用基材層
52 粘着剤層
C 蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り出し口を有する容器本体と、密閉用基材層の一方の面に感圧接着剤層が設けられた密閉用ラベルと開口用基材層の一方の面に再剥離再接着可能な粘着剤層が設けられた開口用ラベルからなり前記密閉用ラベルの前記密閉用基材層面に前記開口用ラベルの前記粘着剤層面を積層させてなる蓋ラベルと、からなり前記密閉用ラベルの前記感圧接着剤層面を前記取り出し口に当接させて前記蓋ラベルが前記取り出し口を被覆するように貼設された包装容器であって、前記蓋ラベルは前記密閉用ラベルの前記感圧接着剤層により前記容器本体に固着され、前記密閉用基材層には前記取り出し口と対向する領域内に開口用の切目線が施され、前記開口用ラベルの一端部側より前記密閉用ラベルとの間で剥離可能で且つ、剥離部分が再接着可能なように開閉自在に構成されていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記蓋ラベルの一端部に外方に延設した摘み部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記密閉用ラベルの前記感圧接着剤層の前記取り出し口と対向する領域及び前記摘み部に前記感圧接着剤層の接着性を無効にする遮蔽層を形成すると共に、前記摘み部を区画する境界において前記密閉用基材層に切目線を施したことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−143590(P2009−143590A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−321572(P2007−321572)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】