説明

包装容器

【課題】帯状のプラスチックシートや粘着テープ等の簡易な包装材を採用しつつ、不正行為を有効に防止し得る包装容器を提供する。
【解決手段】上向きに開口した容器本体10と、該開口を閉塞する蓋体20とを備えてなり、該容器本体10には、底部101と、本体周壁部102と、本体第一フランジ部103と、本体第一垂下部104と、本体第二フランジ部105と、本体第二垂下部106とが備えられ、該蓋体20には、蓋周壁部202と、蓋第一フランジ部203と、蓋内側垂下部209と、蓋第一垂下部204と、蓋第二フランジ部205と、蓋第二垂下部206と、該蓋体20の周囲複数箇所において前記蓋第二フランジ部205と前記蓋第二垂下部206とに跨るように窪んだ第一窪み部208とが備えられたことを特徴とする包装容器1による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として種々の加工食品等を収容し、例えば弁当として陳列棚等に陳列し、販売に供することに適した包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
惣菜や弁当素材等の種々の加工食品を包装するための包装容器として、合成樹脂シートを熱成形した容器が知られている。この種の容器は、軽量でありながらも優れた強度を有し、使用するプラスチック材料の使用量をできるだけ削減して包装を簡素化するという要望に適した包装容器であるといえる。
しかるに、この種の包装容器が実際に陳列棚等で陳列、販売される場合には、主として内容物の衛生状態を保つことを目的として、容器本体に蓋体とを被せるとともに、その上から、ラッピング材等を用いて容器全体をに覆った状態として陳列、販売されることが多かった。
【0003】
しかしながら、このような容器全体を覆うようなラッピング材の使用は、包装材の使用量が増して地球環境保護の観点から望ましくないという問題がある。
【0004】
そこで従来、包装材の使用量を低減するべく、容器全体を覆うラッピング材に代えて、容器中央付近に巻きつける帯状のプラスチックシートを使用するようにした包装容器(下記特許文献1等)や、蓋体と容器本体とを部分的に粘着テープで止めるようにした包装容器(下記特許文献2等)などが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−35614号公報
【特許文献2】特開2008−222304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような帯状のプラスチックシートや粘着テープを使用した包装容器においては、蓋体を部分的に開封して内容物に悪戯を加えるといった不正行為が比較的容易となる。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑み、帯状のプラスチックシートや粘着テープ等の簡易な包装材を採用しつつ、不正行為の防止に有効な包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る包装容器は、上向きに開口した容器本体と、該開口を閉塞する蓋体とを備えてなり、該容器本体には、底部と、該底部の周囲から起立した本体周壁部と、該本体周壁部上端から外方へ向けて延出した本体第一フランジ部と、該本体第一フランジ部の外周から垂下した本体第一垂下部と、該本体第一垂下部の下端から外方へ向けて延出した本体第二フランジ部と、該本体第二フランジ部の外周から垂下した本体第二垂下部とが備えられ、該蓋体には、中央側から外側へ向かって傾斜した蓋周壁部と、前記本体第一フランジ部と当接される蓋第一フランジ部と、蓋第一フランジ部の内周から垂下した蓋内側垂下部と、該蓋第一フランジ部の外周から垂下した蓋第一垂下部と、該蓋第一垂下部の下端から外方へ延出した蓋第二フランジ部と、該蓋第二フランジ部の外周から垂下した蓋第二垂下部と、該蓋体の周囲複数箇所において前記蓋第二フランジ部と前記蓋第二垂下部とに跨るように窪んだ第一窪み部とが備えられたことを特徴とする。
【0009】
斯かる構成の包装容器によれば、本体第一フランジ部と蓋第一フランジ部、本体第一垂下部と蓋第一垂下部、本体第二フランジ部と蓋第二フランジ部、および本体第二垂下部と蓋第二垂下部が、それぞれ当接した構成となるため、容器の密封状態がより確実なものとなる。また、蓋内側垂下部と蓋第一フランジ部と蓋第一垂下部とを備えたことにより、これらが断面逆U字状の環状隆起部を構成することとなるため、容器の一部に備えた粘着テープ等による蓋固定作用が蓋体の全周に及ぶこととなり、蓋体を持ち上げて不正行為を働くことを有効に防止し得る。
さらに、該蓋体の周囲複数箇所において前記蓋第二フランジ部と前記蓋第二垂下部とに跨るように窪んだ第一窪み部が備えられたことにより、この第一隆起部がリブの如く作用し、蓋第二垂下部と蓋第二フランジ部とのなす角度を維持し、両者を離間させにくくする。つまり、不正行為を働こうとして蓋第二垂下部を捲り上げようとしても、該第一窪み部が蓋第二垂下部の上方への折れ曲がりを抑制し、不正行為をより一層効果的に防止し得る。
【0010】
本発明に係る包装容器は、好ましくは、前記蓋体に、蓋体の周囲複数箇所において前記蓋第一垂下部と前記蓋第二フランジ部とに跨るように隆起した第一隆起部が備えられたものとする。
【0011】
斯かる構成の包装容器によれば、蓋体の周囲複数箇所において前記蓋第一垂下部と前記蓋第二フランジ部とに跨るように蓋体の外側に向けて隆起した第一隆起部が備えられたことにより、この第一隆起部がリブの如く作用し、蓋第一垂下部と蓋第二フランジ部との角度を維持し、両者を近接させにくくする。つまり、不正行為を働こうとして蓋第二フランジ部を捲り上げようとしても、該第一隆起部が蓋第二フランジ部の上方への折れ曲がりを抑制し、不正行為をより一層効果的に防止し得る。
【0012】
本発明に係る包装容器は、好ましくは、該蓋体の周囲複数箇所において該蓋内側垂下部と前記蓋周壁部とに跨るように隆起した第二隆起部とが備えられたものとする。
【0013】
斯かる構成の包装容器によれば、蓋体の周囲複数箇所において蓋内側垂下部と蓋周壁部とに跨るように隆起した第二隆起部が備えられたことにより、この第二隆起部がリブの如く作用し、蓋内側垂下部と蓋周壁部との角度を維持し、両者を近接させにくくする。つまり、不正行為を働こうとして蓋内側垂下部を内側へ折り曲げようとしても、該第二隆起部が蓋内側垂下部の内方への折れ曲がりを抑制し、不正行為をより一層効果的に防止し得る。
【0014】
また、本発明に係る包装容器は、好ましくは、前記蓋第二垂下部に、本体第二垂下部の先端と係合可能な係合突起が備えられたものとする。
【0015】
斯かる構成の包装容器によれば、本体第二垂下部の先端と係合可能な係合突起が備えられたことにより、該係合突起と本体第二垂下部の先端とが係合し、前記蓋第二垂下部が上方へ移動することを抑制するため、本体第二垂下部を捲り上げて不正行為を働くことを防止し得る。
【0016】
さらに、本発明に係る包装容器は、好ましくは、前記包装容器が平面視矩形状であり、前記本体第一垂下部と前記蓋第一垂下部とが、互いに係止し得る構成を備えたものとする。前記本体第一垂下部と前記蓋第一垂下部とが、互いに係止し得る構成を備えたことにより、蓋体と容器本体との係合が二重となり、さらに効果的に不正行為を防止し得る。
【発明の効果】
【0017】
このように、本発明に係る包装容器によれば、帯状のプラスチックシートや粘着テープ等の簡易な包装材を採用した場合であっても、容器の蓋が容易に捲り上げられにくい構造となるため、不正行為を有効に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明に係る包装容器の一実施形態を示した斜視図であって、包装容器1の容器本体10と蓋体20と上下に取り外した状態を示したものである。また、図2は、該包装容器1の上面図である。なお、本発明において、外方とは、容器の内側から容器の外側へ向かって略水平に延びる方向をいう。
図1に示す如く、本実施形態に係る包装容器1は、略矩形状の容器本体1と、該容器本体1の開口を閉塞する蓋体20と備えたものであり、矩形の四辺中央部で容器本体10と蓋体20とを接着テープ30、・・・で止めるようにして使用される形態を示している。
【0019】
前記容器本体10は、食材等を載置する略矩形状の底部101と、該底部101の周囲から斜め上方へ向かって起立した本体周壁部102と、該本体周壁部102の上端から外方へ水平に延びた本体第一フランジ部103と、該本体第一フランジ部103の周囲から垂下した本体第一垂下部104と、該本体第一垂下部104の下端から外方へと水平に延びた本体第二フランジ部105と、該本体第二フランジ部105の周囲から垂下した本体第二垂下部106とを備えている。
尚、本発明において「垂下する」とは、厳密に鉛直方向に垂下する場合に限定されず、傾斜角度を有して下方へ傾斜する場合をも含む概念である。
【0020】
一方、前記蓋体20は、図1及び図2に示す如く、前記底部101に対向する天板部201と、該天板部201の周囲から外方へ向かって傾斜した蓋周壁部202を備えている。さらに、該蓋体20は、該蓋周壁部202の外側に、閉塞時において前記本体第一フランジ部103と当接する蓋第一フランジ部203と、蓋第一フランジ部203の内周から垂下する蓋内側垂下部209が備えられており、言い換えると、該蓋内側垂下部209と前記蓋周壁部202とで断面V字状の溝が形成された状態となっている。
さらに、該蓋体20は、該蓋第一フランジ部203から垂下した蓋第一垂下部204と、該蓋第一垂下部204の下端から外方へ略水平に延びた蓋第二フランジ部205と、該蓋第二フランジ部205の周囲から垂下した蓋第二垂下部206とを備えている。
【0021】
つまり、本実施形態に係る包装容器1は、前記容器本体10と前記蓋体20とが、前記本体第一フランジ部103と前記蓋第一フランジ部203とで当接し、前記本体第一垂下部204と前記蓋第一垂下部204とが略平行に延び、前記本体第二フランジ部105と前記蓋第二フランジ部205とで当接し、前記本体第二垂下部106と前記蓋第二垂下部206とが略平行に延びるようにして構成されている。
【0022】
斯かる構成の包装容器1において、本発明の特徴の一つである第一隆起部207,…が、該蓋体20の周囲複数箇所において、前記蓋第一垂下部204と前記蓋第二フランジ部205とに跨るように、部分的に隆起して形成されており、また、本発明の特徴の一つである第一窪み部208,…が、該蓋体20の周囲複数箇所において、前記蓋第二フランジ部205と前記蓋第二垂下部206とに跨るように、部分的に隆起して形成されている。
【0023】
さらに、本実施形態に係る包装容器1には、本発明の特徴の一つである第二隆起部209,…が、該蓋体20の周囲複数箇所において、蓋内側垂下部209と前記蓋周壁部202とに跨るように隆起して形成されている。
【0024】
ここで、該図1及び図2に加え、該図2の符号III-IIIで示される部分の矢視断面拡大図である図3、図2の符号IV−IVで示される部分の矢視断面拡大図である図4、V−Vで示される部分の矢視断面拡大図である図5、及びVI−VIで示される部分の矢視断面拡大図である図6を参照することにより、本実施形態に係る包装容器1についてより詳細に説明する。
【0025】
図3に示す如く、本実施形態における蓋体20には、蓋第一フランジ部203と、該蓋第一フランジ部203の内周から垂下した蓋内側垂下部209と、蓋第一フランジ部203の外周から垂下した蓋第一垂下部204とが、蓋体20の全周に亘って環状に備えらいる。即ち、これら蓋第一垂下部209、蓋第一フランジ部203及び蓋第一垂下部204は、全体として、断面逆U時状の環状隆起部220を構成している。
この環状隆起部220は、例えば蓋体20の四辺中央部に貼り付けられる上記粘着テープ30,・・・による蓋体20の固定作用を、四辺中央部以外の部分にも波及させるとともに、蓋体20の変形を防止し、該蓋体20を持ち上げて不正行為を働くことを有効に防止し得るという効果を奏するものである。
【0026】
図2の符号IV−IVで示される部分の矢視断面拡大図である図4は、図2からも明らかなように、前記蓋第一隆起部207の中央を通る蓋径方向縦断面図である。該図4に示す如く、本実施形態における蓋第一隆起部207,・・・は、その中央部において、蓋第一垂下部204の上端近傍と蓋第二フランジ部205の外周縁近傍とを直線的に結ぶような傾斜面を有するような蓋径方向縦断面形状となっている。なお、上記「蓋径方向縦断面」とは、蓋の外周縁と垂直に交わる断面をいい、以下同様である。
【0027】
また、該第一隆起部207の蓋周方向における間隔は、蓋体20の可撓性にもよるが、通常、2〜6cmの間隔で設けられる。
【0028】
このような断面形状を有する、外側へ膨出した第一隆起部207,・・・を備えたことにより、この傾斜面が、蓋第一垂下部204の上端近傍(即ち、蓋第一フランジ部203の外周縁)と蓋第二フランジ部205の周縁付近とが互いに近接され難くなり、蓋第二フランジ部205が上方へ折れ曲がり難くなるという作用がある。
【0029】
また、本実施形態における第一隆起部207,・・・は、図1に示す如く、水平断面における断面形状が円弧状であり、下方に向かって拡径したような形状、言い換えると、円錐を鉛直方向に切断したような形状で蓋第一垂下部204及び蓋第二フランジ部205から隆起した構成となっている。
斯かる構成の第一隆起部207,・・・を備えたことにより、不正行為を防止し得ると同時に、該蓋体20が積層しやすいものとなるため、保管及び運搬の際のスペース効率を向上させ得るという効果が発揮される。
【0030】
図2の符号V−Vで示される部分の矢視断面拡大図である図5は、図2からも明らかなように、前記第一窪み部208の中央を通る蓋径方向縦断面図である。該図5に示す如く、本実施形態における第一窪み部208は、その中央部において、蓋第二フランジ部205の内周縁近傍から垂下し、さらに外方へ略水平に延びて蓋第二垂下部206の中央部近傍に達するような断面形状となっている。また、本実施形態における第一窪み部208,・・・は、図1から明らかなように、蓋体20の周方向縦断面(前記蓋径方向縦断面と直角に交差する鉛直面)がU字状であり、水平断面が円弧状であるように構成され、言い換えると、円柱の一部分を構成するような形状で蓋第二フランジ部205及び蓋第二垂下部206から内方へ窪んだ状態となっている。
【0031】
斯かる構成の第一窪み部208,・・・を備えたことにより、蓋第二垂下部206と蓋第二フランジ部205とが互いに離間され難くなり、蓋第二垂下部206が上方へ折れ曲がり難くなるという作用がある。
【0032】
また、該第一窪み部208の蓋周方向における間隔は、前記第一隆起部207と同様に設定することができ、好ましくは、前記第一隆起部207の中間に位置するように設けられる。つまり本実施形態に係る包装容器のように、前記第一隆起部207,…と前記第一窪み部208,…とが、前記蓋体20の周囲において交互に備えられたものとすることにより、これら第一隆起部207,…および第一窪み部208,…による作用が好適に組み合わされ、蓋第二垂下部206と蓋第二フランジ部205とが、ともに捲り上げ難い構成となるため、不正行為をより効果的に防止し得るという効果がある。
【0033】
さらに、図2の符号VI−VIで示される部分の矢視断面拡大図である図6は、図2からも明らかなように、前記第二隆起部210の中央を通る蓋径方向縦断面図である。図6に示す如く、本実施形態における第二隆起部は、その中央部において、蓋内側垂下部209の上端近傍から蓋周壁部202へと水平に延びる直線状の断面形状を有して構成されている。このような断面形状の第二隆起部210,・・・を備えたことにより、蓋内側垂下部209の上端近傍(即ち、蓋第一フランジ部203の内周縁近傍)と蓋周壁部202とが互いに近接され難くなり、蓋内側垂下部209が内側へ折れ曲がり難い構成となっている。
【0034】
また、本実施形態における第二隆起部210,・・・は、図1からわかるように、単独では蓋周方向縦断面が弧状であるような形状を有し、蓋周方向に連続して形成されたことにより、全体として蓋周方向縦断面が波形状であるような形状を有して構成されている。このような断面形状の第二隆起部210,・・・を備えたことにより、蓋内側垂下部209を内側へ折れ曲げようとする力を周方向左右へ分散し、より確実に不正行為を防止し得るという効果がある。
【0035】
さらに、本実施形態に係る包装容器1の蓋体20には、図2及び図4に示す如く、前記蓋第二垂下部206の下側部分が、該蓋体20の周囲複数箇所において内側へ窪んで形成された係合突起211,…が備えられている。該係合突起211,…は、本体第二垂下部106の先端(即ち、容器本体10の外縁)と係合するように、該本体第二垂下部の先端よりも内側へ突出するように構成されており、これによって前記蓋第二垂下部206の上方への移動を規制し、蓋体20の外縁を捲り上げ難くするという効果がある。
【0036】
さらに、平面視矩形状である本実施形態の包装容器1には、前記本体第一垂下部104と前記蓋第一垂下部204とが、互いに係止し得る構成を備えており、具体的には、図2に示す如く、前記本体第一垂下部104の四隅角部には外方へ突出した係合突起112が備えられ、また、これと対応して、蓋第一垂下部204の四隅角部には、内側へ窪んだ係合突起212が備えられている。斯かる構成により、蓋体20に備えた係合突起212と容器本体10に備えた係合突起112とが係合し合い、蓋体20と容器本体10とを簡便に固定及び離間させ得るという効果がある。
【0037】
また、本実施形態に係る包装容器1には、容器本体10の本体第二垂下部106の下端縁や、蓋体20の蓋第二垂下部206の下端縁に、周方向において多数の微細な凹凸(図示しない)が交互に形成されており、これら本体第二垂下部106の下端縁(エッジ)や蓋第二垂下部206の下端縁(エッジ)で誤って手が切れないように構成されている。すなわち、容器本体10や蓋体20の周囲には、波形加工やエンボス加工等の凹凸加工により、全体が厚み方向に凹凸状(波形、正弦波、三角波、台形波等)に成形加工が施されている。
【0038】
なお、特に言及していないが、本実施形態における容器本体10および蓋体20は、例えば熱成型法によって成形され得るものであり、上述の各部の境界部分は連続しており、また、必要に応じた曲率半径で湾曲した(丸みを持たせた)態様で形成されている。
【0039】
本実施形態に係る包装容器1は、例えば、弁当素材等の食品を容器本体10に収容した後、蓋体20を被せ、該包装容器の四辺中央部に粘着テープ30,・・・を貼り付け、該容器本体10と該蓋体20とを固定する、という手順で使用され、食品入り容器が製造される。従って、このような食品入り容器として陳列棚等に陳列して販売に供される包装容器1は、四辺の中央部では粘着テープ30,・・・によって容器本体10と蓋体20とが強力に密着され、該粘着テープ30を切断又は剥離しない限り、蓋体20の端部を持ち上げることができない状態となるが、四辺の中央部以外の部分では、上記のような粘着テープ30が存在しないため、容器本体10と蓋体20とを密着させる力が中央部よりも比較的弱い状態となる。
しかしながら、本実施形態に係る包装容器1によれば、上記のような構成を備えたものであるため、粘着テープ30を貼り付ける四辺の中央部以外の部分でも、従来の包装容器と比較して、より確実に容器の蓋の捲り上げを防止し得る構成となっている。
【0040】
具体的には、環状隆起部220によって粘着テープ30等による蓋固定作用を蓋体の全周に波及させ、第一隆起部207,・・・によって蓋第二フランジ部205の上方への折れ曲がりを抑制し、第一窪み部208,・・・によって蓋第二垂下部206の上方への折れ曲がりを抑制し、第二隆起部210,・・・によって蓋内側垂下部209の内側への折れ曲がりを抑制し、さらに、係合突起211,・・・によって蓋第一垂下部204の上方への移動と蓋第二垂下部206の上方への移動を抑制し、これらの作用を組み合わせたことにより、四辺の中央部以外の部分でも、粘着テープ30を貼り付けた中央部に近い状態で容器本体10と蓋体20との密着を維持し得るようになる。
【0041】
また、本実施形態に係る包装容器1では、容器本体10及び蓋体20の両方に、二重のフランジ部が備えられ、しかも、内側のフランジ部である本体第一フランジ部103及び蓋第一フランジ部203には、何ら凹凸形状を形成することなく上記作用効果を発揮し得るため、不正行為防止のみならず、優れた密封性が発揮されるという効果がある。
【0042】
尚、本発明に係る包装容器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0043】
例えば、上記実施形態では、包装容器1の四辺中央部が粘着テープ30,・・・で固定されて食品入り容器とされる場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、包装容器1を、長辺の中央部で該容器を縦方向に巻回して固定する締着テープなどを使用する態様にも適用し得るものであり、このような場合においても、上記実施形態と同様に不正行為を有効に防止することができる。
【0044】
また、上記実施形態では、第一隆起部の形状を、水平断面が円弧状であり、下方に向かって拡径したような形状としたが、本発明は係る形状に限定されず、例えば、水平断面がU字状やV字状で下方に向かって拡径したような形状や、或いは、水平断面が円弧状、U字状、又はV字状であって上方から下方にかけて同一寸法であるような形状などを採用することもできる。
【0045】
また、第一窪み部、第二隆起部、及び係合突起の形状についても同様であり、上記実施形態と同様の作用効果を発揮しうる種々の形状とすることができる。例えば、第二隆起部の他の形態としては、単独では蓋周方向縦断面が山形であるような形状を有し、蓋周方向に連続して形成されたことにより、全体として蓋周方向縦断面が連続した山形状であるような形状を有したものを採用することもできる。
【0046】
また、上記実施形態では、前記本体第一垂下部104の四隅角部に外方へ突出した係合突起112を設けた場合について説明したが、このような係合突起は、角部以外の部分に設けても良い。
【0047】
また、上記実施形態では、容器本体10及び蓋体20が矩形状である場合について説明したが、本発明は容器の水平断面形状については何ら限定されず、任意の形状を採用することができ、例えば、多角形状や、楕円形、或いは円形等を採用しうる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る包装容器の一実施形態を示した斜視図であり、容器本体と蓋体とを上下に外した状態を示した図。
【図2】本発明に係る包装容器を上方から見た平面図。
【図3】図2の符号III-IIIで示される部分の矢視断面拡大図。
【図4】図2の符号IV-IVで示される部分の矢視断面拡大図。
【図5】図2の符号V-Vで示される部分の矢視断面拡大図。
【図6】図2の符号VI-VIで示される部分の矢視断面拡大図。
【符号の説明】
【0049】
1…包装容器、10…容器本体、20…蓋体、30・・・粘着テープ、101…底部、102…本体周壁部、103…本体第一フランジ部、104…本体第一垂下部、105…本体第二フランジ部、106…本体第二垂下部、112・・・係合突起、201…天板部、202…蓋周壁部、203…蓋第一フランジ部、204…蓋第一垂下部、205…蓋第二フランジ部、206・・・蓋第二垂下部、207・・・第一隆起部、208・・・第一窪み部、209・・・蓋内側垂下部、210・・・第二隆起部、211・・・係合突起、212・・・係合突起、220・・・環状隆起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向きに開口した容器本体と、該開口を閉塞する蓋体とを備えてなり、
該容器本体には、底部と、該底部の周囲から起立した本体周壁部と、該本体周壁部上端から外方へ向けて延出した本体第一フランジ部と、該本体第一フランジ部の外周から垂下した本体第一垂下部と、該本体第一垂下部の下端から外方へ向けて延出した本体第二フランジ部と、該本体第二フランジ部の外周から垂下した本体第二垂下部とが備えられ、
該蓋体には、中央側から外側へ向かって傾斜した蓋周壁部と、前記本体第一フランジ部と当接される蓋第一フランジ部と、該蓋第一フランジ部の内周から垂下した蓋内側垂下部と、該蓋第一フランジ部の外周から垂下した蓋第一垂下部と、該蓋第一垂下部の下端から外方へ延出した蓋第二フランジ部と、該蓋第二フランジ部の外周から垂下した蓋第二垂下部と、該蓋体の周囲複数箇所において前記蓋第二フランジ部と前記蓋第二垂下部とに跨るように窪んだ第一窪み部とが備えられたことを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記蓋体には、該蓋体の周囲複数箇所において前記蓋第一垂下部と前記蓋第二フランジ部とに跨るように隆起した第一隆起部とが備えられたことを特徴とする請求項1記載の包装容器。
【請求項3】
前記蓋体には、該蓋体の周囲複数箇所において該蓋内側垂下部と前記蓋周壁部とに跨るように隆起した第二隆起部とが備えられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記蓋第二垂下部には、前記本体第二垂下部の先端と係合可能な係合突起が備えられたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の包装容器。
【請求項5】
前記包装容器が平面視矩形状であり、該矩形の少なくとも角部において、前記本体第一垂下部と前記蓋第一垂下部とが、互いに係止し得る構成を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−132302(P2010−132302A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308611(P2008−308611)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】