説明

包装容器

【課題】包み紙を携帯していることを把握するとともに、一度に多数個のガムが流出するのを防止する。
【解決手段】正面板4および背面板にそれぞれ貼着した糊代に内方側面板を連設して右側面板3との間に空間を形成し、この空間に包み紙100を収容する。また、左右の側面板にそれぞれ連設する糊代に内方上面板15を貼着して上面板側開口部を閉鎖する一方、正面板4の上面板側端部に取出口4xを形成する。さらに、背面板に上面板を、上面板に係止板10を順に連設するとともに、上面板および係止板10を接続板16および係止片を介して一体化し、背面板に対して上面板を回動して正面板4の取出口4xを係止板10によって開閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、下面板、左右の側面板、上面板、背面板および正面板を備え、内部にタブレット状のガムを収容してなる包装容器が知られている。このような包装容器においては、必要に応じて正面板を開放操作し、内部に収容されたガムを正面板側開口部を通して取り出すようにしている。
【0003】
ところで、包装容器にガムを収容する際、ガムを個別に包装することなく収容する場合がある。このため、ガムの噛みかすを廃棄する場合、ガムの包装紙が存在しないため、手持ちのティッシュペーパーを取り出して包み込む必要があり、取り扱いが煩雑であるという欠点があった。また、ガムの噛みかすが路上にポイ捨てされると、周囲の美観を損ねて見苦しいばかりでなく、路面に付着したガムの噛みかすを除去するため、多くの時間と費用を必要とするものとなる。
【0004】
このため、出願人は、包装容器にガムの包み紙を収容するための空間を形成し、その空間に包み紙を予め収容しておき、ガムの噛みかすを廃棄する際に、包装容器に収容された包み紙を取り出し、ガムの噛みかすを包み紙によって包み込んで廃棄することを提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−21821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述した包装容器においては、ガムの包み紙は、下面板と、該下面板に近接して配設された内面板とによって形成された空間に収容されている。したがって、購入したガムを取り出すため、正面板を開放操作した場合、収容されたガムが包み紙の上に積み重なって覆っており、予め包み紙が収容されている事実を把握することができないものであった。このため、購入当初は包み紙が収容されていることを把握することができないことから、ガムの噛みかすをティッシュペーパーなどに包み込んで廃棄するという煩わしい作業が必要になっていた。また、ときには、ガムの噛みかすが路上にポイ捨てされることも発生していた。
【0007】
さらに、正面板は、下面板、左右の側面板、上面板によって形成される開口部を開閉することから、包装容器を傾けた場合、その開口部を通して必要以上の多数個のガムが一度に流出し、場合によっては手で受け止めることができずに床面などに散乱するという欠点があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、ガムの包み紙を携帯していることを確実に把握することができるとともに、一度に多数個のガムの流出を抑えことのできる包装容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下面板、左右の側面板、上面板、背面板および正面板を備えた包装容器において、正面板および背面板にわたって内方側面板を配設して左右一方の側面板との間に空間を形成するとともに、少なくとも左右他方の側面板または内方側面板に連設する内方上面板を介して上面板側開口部を閉鎖する一方、正面板の上面板側端部に取出口を形成し、また、上面板および係止板を接続板および係止片を介して一体に連結するとともに、背面板に直接または糊代を介して上面板を連設してなり、左右一方の側面板と内方側面板との空間に包み紙を収容するとともに、背面板に対して上面板を回動して正面板の取出口を係止板によって開閉することを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、コートボールを展開図にしたがって打ち抜いた後、折り目に沿って折り込むこととともに、所定部分を貼着して包装容器が組み立てられる。この際、内方側面板が糊代を介して背面板および正面板にわたって配設されることにより、左右一方の側面板との間に設定された空間が形成される。また、左右他方の側面板または内方側面板に連設された内方上面板によって上面板側開口部が閉鎖される一方、正面板に取出口が形成され、この取出口は、背面板に直接または糊代を介して連設された上面板を回動させることにより、接続板および係止片を介して上面板と一体化された係止板により開閉される。
【0011】
この結果、左右一方の側面板と内方側面板との空間にガムの包み紙を収容して携帯することができるとともに、上面板を開放操作することにより、包み紙を携帯していることを確実に把握することができ、包み紙を取り出してガムの噛みかすを包み紙によって包み込んで廃棄することができる。また、正面板に取出口が形成されるため、左右の側面板、背面板および正面板からなる開口部に比較して開口面積を大きく減少させることができ、一度に流出するガムの個数を制限して適数個のガムを取り出すことができる。
【0012】
本発明は、下面板、左右の側面板、上面板、背面板および正面板を備えた包装容器において、正面板および背面板にわたって内方側面板を配設して左右一方の側面板との間に空間を形成するとともに、少なくとも左右他方の側面板または内方側面板に連設する内方上面板を介して取出口を残して上面板側開口部を閉鎖し、また、上面板および係止板を接続板および係止片を介して一体に連結するとともに、背面板に直接または糊代を介して上面板を連設してなり、左右一方の側面板と内方側面板との空間に包み紙を収容するとともに、背面板に対して上面板を回動して上面板側開口部の取出口を開閉することを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、コートボールを展開図にしたがって打ち抜いた後、折り目に沿って折り込むこととともに、所定部分を貼着して包装容器が組み立てられる。この際、内方側面板が糊代を介して背面板および正面板にわたって配設されることにより、左右一方の側面板との間に設定された空間が形成される。また、左右他方の側面板または内方側面板に連設された内方上面板によって取出口を残して上面板側開口部が閉鎖され、この取出口は、背面板に直接または糊代を介して連設された上面板を回動させることにより開閉される。この際、接続板および係止片を介して上面板と一体化された係止板も回動する。
【0014】
この結果、左右一方の側面板と内方側面板との空間にガムの包み紙を収容して携帯することができるとともに、上面板を開放操作することにより、包み紙を携帯していることを確実に把握することができ、包み紙を取り出してガムの噛みかすを包み紙によって包み込んで廃棄することができる。また、また、内方上面板によって左右の側面板、背面板および正面板からなる開口部を取出口を残して閉鎖することから、左右の側面板、背面板および正面板からなる開口部に比較して開口面積を大きく減少させることができ、一度に流出するガムの個数を制限して適数個のガムを取り出すことができる。
【0015】
本発明において、内方側面板の少なくとも上下方向略中間部に切れ目が形成されるともに、切れ目によって区画された部分の先端縁が左右一方の側面板の裏面に接触することが好ましい。これにより、左右一方の側面板と内方側面板との空間にガムの包み紙を収容した際に、包み紙を切れ目によって区画された部分の上端縁にそれ以上落下することなく支持することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガムを取り出すために上面板を回動操作すれば、ガムの包み紙を携帯していることを把握することができ、収容された包み紙によってガムの噛みかすを包み込んで廃棄することが可能となる。また、一度に必要以上の流出を抑えて適数個のガムを取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の包装容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の包装容器の上面板を回動して示す斜視図である。
【図3】図1の包装容器の内方側面板を一部省略して示す斜視図である。
【図4】図3のA矢視図である。
【図5】図1の包装容器の展開図である。
【図6】図1の包装容器の組立工程を示す説明図である。
【図7】図1の包装容器の組立工程を示す説明図である。
【図8】図1の包装容器の組立工程を示す説明図である。
【図9】図1の包装容器の組立工程を示す説明図である。
【図10】図1の包装容器の組立工程を示す説明図である。
【図11】本発明の包装容器の他の実施形態を上面板を回動して示す斜視図である。
【図12】図11の包装容器の展開図である。
【図13】本発明の包装容器のもう一つの実施形態を上面板を回動して示す斜視図である。
【図14】図13の包装容器の展開図である。
【図15】図13の包装容器の組立工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1乃至図4には、本発明の包装容器1の一実施形態が示されている。
【0020】
この包装容器1は、タブレット状のガムを収容するものであり、コートボールを図5に示す展開図にしたがって打ち抜いた後、折り目に沿って折り込むこととともに、所定部分を貼着して組み立てられる。そして、包装容器1にガムを収容して適宜包装した後、出荷される。
【0021】
この包装容器1は、図5の展開図において、背面板2の左端縁に、右側面板3、正面板4、左側面板5、第1糊代6、内方側面板7および第2糊代8が折り目a,b,c,d,e,fを介して順に連設される一方、背面板2の上端縁に上面板9および係止板10が折り目g,hを介して順に連設されるとともに、背面板2の下端縁にフラップ11が折り目iを介して連設され、また、右側面板3の下端縁に下面板12が折り目jを介して連設され、さらに、正面板4の上端縁に被係止片13が折り目kを介して連設されるとともに、正面板4の下端縁にフラップ11が折り目iを介して連設され、また、左側面板5の上下各端縁にそれぞれ上下の糊代14が折り目mを介して連設され、さらにまた、内方側面板7の上端縁に内方上面板15が折り目nを介して連設され、また、上面板9の左右各端縁にそれぞれ接続板16が折り目pを介して連設されて構成されている。
【0022】
そして、右側面板3の上端縁部には、弓形状の切欠部3aが形成される一方、正面板4の上端縁近傍には、正面板4の幅(折り目b,c間の距離)よりも若干小さな幅の方形の取出口4xが形成されている。また、内方側面板7には、上下方向略中間部およびその下方において、第1糊代6との折り目eから折り目fにかけて左右方向に延びる上下一対の切れ目q,qが形成されるとともに、これらの上下一対の切れ目q,q間において、左右方向右寄り端部が折り目eとの間で切除されている。
【0023】
さらに、接続板16には、上面板9と係止板10との折り目hに連続する折り目rを介して係止片17が連設され、また、左側面板5の上端縁に連設された上糊代14の上端縁部には、弓形状の切欠部14aが形成されている。また、内方側面板7および内方上面板15には、それらの折り目n上に共通の弦を有する弓形状の開口部7a,15aが形成されている。
【0024】
ここで、内方側面板7の弓形状の開口部7aの曲率半径は、右側面板3の上端縁部に形成された弓形状の切欠部3aの曲率半径よりも小さく設定され、内方上面板15の弓形状の開口部15aの曲率半径は、左側面板5の上端縁に連設された上糊代14の弓形状の切欠部14aの曲率半径と一致するように設定されている。
【0025】
また、第1糊代6の幅(折り目d,e間の距離)は、第2糊代8の幅(折り目fおよび第2糊代8の側端縁間の距離)よりも若干大きく、正面板4の幅(折り目b,c間の距離)よりも若干小さく設定されている。一方、第2糊代8は、上端部が正面板4の取出口4xを閉鎖しないように切除されている。
【0026】
また、各係止片17は、折り目hと折り目pとの交点から斜め外方に延びる斜辺と、上端縁から下方に向けて延びる縦辺によって切り欠かれており、係止板10の左右各側端縁から各係止片17の上端縁から下方に延びる縦辺までの距離δは、被係止片13の高さ(折り目kおよび被係止片13の上端縁間の距離)に略一致している。さらに、各係止片17の折り目rの距離は、係止板10の高さ(折り目hおよび係止板10の上端縁間の距離)にほぼ等しく、これらの距離は、正面板4の取出口4xを十分に覆う長さ、具体的には、折り目kおよび取出口4xの下端縁間の距離よりも若干大きく設定されている。
【0027】
また、内方側面板7と第2糊代8との折り目fは、切れ目qとの交点において段差が形成されている。具体的には、折り目fの上端縁から上方の切れ目qまでの上折り目f1および下端縁から下方の切れ目qまでの下折り目f2と、切れ目q,q間の中折り目f3とは、設定間隔をおいて平行に形成され、切れ目q,qは、折り目fの上折り目f1および下折り目f2との交点を越えて、中折り目f3との交点まで延設されている。したがって、折り目eから折り目fの上折り目f1および下折り目f2までの距離が、折り目eから折り目fの中折り目f3までの距離よりも若干小さく設定されている。
【0028】
次に、このように構成された包装容器1の組み立て手順について説明する。
【0029】
まず、図5の展開図にしたがってコートボールを打ち抜くとともに、裏面が上面を向くように反転させた後 内方側面板7を第2糊代8とともに第1糊代6に対して折り目eに沿って谷折りし(図6参照)、第2糊代8の表面に接着剤を塗布した後、左側面板5および第1糊代6を内方側面板7および第2糊代8とともに正面板4に対して折り目cに沿って谷折りし、第2糊代8を正面板4の裏面に貼着する(図7参照)。
【0030】
次いで、第1糊代6の表面に接着剤を塗布した後、背面板2を右側面板3に対して折り目aに沿って谷折りし、背面板2の裏面を第1糊代6の表面に貼着する(図8参照)。
【0031】
この後、背面板2が下面に位置するように配置し、右側面板3を背面板2に対して折り目aに沿って起立させることにより、長手方向の両端が開口された包装容器1が形成される。この際、第1糊代6の幅が背面板2および正面板4の幅よりも小さく設定されているため、内方側面板7が右側面板3との間に背面板2および正面板4の幅と第1糊代6の幅との差に相当する間隔をおいて配設される。
【0032】
次いで、包み紙100(図2参照)を内方側面板7と右側面板3との間に形成された空間に差し込んで収容する。ここで、内方側面板7は、正面板4に貼着された第2糊代8との折り目fの上折り目f1および下折り目f2と中折り目f3とに段差を有することにより、正面板4に貼着された第2糊代8を内方側面板7に対して折り目fの上折り目f1および下折り目f2に沿って谷折りすると、内方側面板7の上下の切れ目q,qで区画された部分が弾性によって第2糊代8に連続する平面に戻ろうとする復元力が作用し、その先端縁が右側面板3の裏面に接触するとともに、その際、折り目fの中折り目f3に沿って山折りされることになる(図3、図4参照)。このため、内方側面板7と右側面板3との空間に収容された包み紙100は、その下端縁が内方側面板7の上下一対の切れ目q,qで区画された部分の上端縁に支持される結果、それ以上の落下が阻止される。
【0033】
なお、包み紙100の大きさは、右側面板3の幅よりも若干小さな横寸法と、内方側面板7の上半部の高さ、すなわち、内方上面板15と内方側面板7との折り目nおよび内方側面板7の上方の切れ目q間の距離よりも若干小さな縦寸法に形成されている。したがって、包み紙100を内方側面板7と右側面板3との空間に収容した場合、その上端部表面側が右側面板3の切欠部3aを通して露出されるとともに、背面側が内方側面板7の開口部7aおよび内方上面板15の開口部15aを通して露出される。
【0034】
包み紙100が挿入されたならば、上糊代14を左側面板5に対して折り目mに沿って谷折りし、その表面に接着剤を塗布した後、内方上面板15を内方側面板7に対して折り目nに沿って谷折りし、上糊代14に貼着する(図9参照)。次いで、被係止片13を正面板4に対して折り目kに沿って谷折りする一方、各係止片17を各接続板16に対して折り目rに沿ってそれぞれ谷折りするとともに、上面板9に対して各接続板16を折り目pに沿ってそれぞれ谷折りし、さらに、上面板9を背面板2に対して折り目gに沿って谷折りする。
【0035】
この場合、図10に示すように、各係止片17の切り欠かれた鉛直な内端縁が被係止片13の先端縁に略当接する状態で、各係止片17が正面板4の取出口4xを覆うように載置される。この後、正面板4に載置された各係止片17の表面に接着剤を塗布し、係止板10を上面板9に対して折り目hに沿って谷折りし、各係止片17に係止板10を貼着する。
【0036】
その後、上面板9が下面に位置するように包装容器1を倒立させ、下面板12側開口部を通して設定個数のガムを供給する。次いで、各フラップ11を背面板2および正面板4に対して折り目iに沿ってそれぞれ谷折りした後、下糊代14を左側面板5に対して折り目mに沿って谷折りするとともに、その表面に接着剤を塗布し、下面板12を右側面板3に対して折り目jに沿って谷折りし、下面板12を下糊代14に貼着する。これにより、内部にガムが収容された包装容器1が形成される。この後、詳細には図示しないが、包装容器1はフィルムで包装されて出荷される。
【0037】
一方、店頭にてガムを購入した消費者はフィルムを剥離した後、左右の接続板16を把持して引き上げることにより、係止板10および上面板9を背面板2に対して折り目gに沿って回動させ、正面板4の取出口4xを開放させることができる(図2参照)。次いで、正面板4を下面側に配置して下面板12側を上方に持ち上げるように包装容器1を傾ければ、正面板4に形成された取出口4xを通してガムを取り出すことができる。この際、取出口4xは、正面板4の幅よりも小さく形成され、取出口4xを通して流出するガムの個数が制限されるため、適数個のガムを取り出すことができる。
【0038】
また、包装容器1における正面板4の取出口4xは、係止板10によって閉鎖されるとともに、係止板10の内面に貼着された各係止片17の内端縁が被係止片13の先端縁に係止されており、係止板10、すなわち、係止板10に連設された上面板9の意図しない開き出しが規制される。一方、係止板10を引き上げると、その内面に貼着された係止片17の内端縁が被係止片13の先端縁に係止して被係止片13を立ち上げつつ弾性変形させることにより、被係止片13を乗り越えることができ、係止板10に連設された上面板9を回動させることができる。
【0039】
ガムを取り出した後、正面板4の取出口4xを閉鎖する場合は、上面板9を押し下げることにより、上面板9と一体の係止板10が、該係止板10の内面に貼着された係止片17とともに被係止片13を押し倒して、被係止片13を乗り越える。このため、被係止片13の先端に、係止板10の内面に貼着された係止片17の内端縁が係止し、係止板10の開き出しを規制するとともに、係止板10が正面板4の取出口4xを閉鎖することができる。
【0040】
一方、前述したように、ガムを取り出すため、係止板10を引き上げて正面板9の取出口4xを開放すれば、内方側面板7と右側面板3との空間に収容された包み紙100は、その表面側が右側面板3の切欠部3aを通して露出されるとともに、背面側が内方側面板7の開口部7aおよび内方上面板15の開口部15aを通して露出されることから、包み紙100の存在を把握することができる。これにより、包み紙100の上端部表面側およびその背面側を指先で摘んで外方に引き出すことができる。あるいは、右側面板3の切欠部3aを通して露出された包み紙100に指先をあてがい、接触摩擦を利用して引き出すことができる。
【0041】
この結果、ガムの噛みかすを廃棄する場合は、包装容器1に収容されている包み紙100を取り出してガムの噛みかすを包み紙100を利用して包み込むことができる。したがって、ガムの噛みかすを包み紙100に包み込んで廃棄することができ、これにより、ガムの噛みかすのポイ捨てによって周囲の景観を損ねることもない。
【0042】
ところで、図11および図12には、本発明の包装容器1の他の実施形態が示されている。
【0043】
この包装容器1は、ガムの取出口を上面板側に形成した以外、先に説明した実施形態の包装容器1と同様であるため、同一の部材には同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、主に相違する部分について説明する。
【0044】
この包装容器1も、図12の展開図において、背面板2の左端縁に、右側面板3、正面板4、左側面板5、第1糊代6、内方側面板7および第2糊代8が折り目a,b,c,d,e,fを介して順に連設される一方、背面板2の上端縁に上面板9および係止板10が折り目g,hを介して順に連設されるとともに、背面板2の下端縁にフラップ11が折り目iを介して連設され、また、右側面板3の下端縁に下面板12が折り目jを介して連設され、さらに、正面板4の上端縁に被係止片13が折り目kを介して連設されるとともに、正面板4の下端縁にフラップ11が折り目iを介して連設され、また、左側面板5の上下各端縁にそれぞれ上下の糊代14が折り目mを介して連設され、さらにまた、内方側面板7の上端縁に内方上面板15が折り目nを介して連設され、また、上面板9の左右各端縁にそれぞれ接続板16が折り目pを介して連設されて構成されている。
【0045】
ここで、上糊代14および内方上面板15は、幅が左右の側面板3,5の幅の略半分の長さに設定されており、上糊代14に内方上面板15を貼着した際、左右の側面板3,5、背面板2および正面板4によって形成される上面板側開口部における正面板4側にその開口面積の略半分の大きさの取出口9x(図11参照)が形成される。
【0046】
また、内方側面板7の上端部には、内方上面板15の側端縁に連続して一定高さにわたる切欠部7bが形成されている。これにより、内方側面板7の切欠部7bを通して包み紙100の背面側が露出され、該切欠部7bおよび右側面板3の切欠部3aを通して包み紙100の背面側および表面側を確実に摘み上げることができる。
【0047】
なお、この包装容器1を組み立てる場合も、先に図6乃至図10に示した包装容器1の組立と同様に作業すればよい。すなわち、詳細には図示しないが、図12の展開図にしたがってコートボールを打ち抜くとともに、裏面が上面を向くように反転させた後、内方側面板7を第2糊代8とともに第1糊代6に対して折り目eに沿って谷折りし、第2糊代8の表面に接着剤を塗布した後、左側面板5および第1糊代6を内方側面板7および第2糊代8とともに正面板4に対して折り目cに沿って谷折りし、第2糊代8を正面板4の裏面にを貼着する。次いで、第1糊代6の表面に接着剤を塗布した後、背面板2を右側面板3に対して折り目aに沿って谷折りし、背面板2の裏面を第1糊代6の表面に貼着する。
【0048】
この後、背面板2が下面に位置するように配置し、右側面板3を背面板2に対して折り目aに沿って起立させた後、包み紙100を内方側面板7と右側面板3との間に形成された空間に差し込んで収容する。この際、包み紙100は、その下端縁が内方側面板7の下半部における上下一対の切れ目q,qに区画された部分の上端縁に支持される。
【0049】
包み紙100が挿入されたならば、上糊代14を左側面板5に対して折り目mに沿って谷折りし、その表面に接着剤を塗布した後、内方上面板15を内方側面板7に対して折り目nに沿って谷折りし、上糊代14に貼着する。次いで、被係止片13を正面板4に対して折り目kに沿って谷折りする一方、各係止片17を各接続板16に対して折り目rに沿ってそれぞれ谷折りするとともに、上面板9に対して各接続板16を折り目pに沿ってそれぞれ谷折りし、さらに、上面板9を背面板2に対して折り目gに沿って谷折りすることにより、各係止片17の切り欠かれた鉛直な内端縁が被係止片13の先端縁に略当接する状態で、各係止片17が正面板4上に載置される。この後、正面板4に載置された各係止片17の表面に接着剤を塗布し、係止板10を上面板9に対して折り目hに沿って谷折りし、各係止片17に係止板10を貼着する。
【0050】
その後、上面板9が下面に位置するように包装容器1を倒立させ、下面板12側開口部を通して設定個数のガムを供給し、次いで、各フラップ11を背面板2および正面板4に対して折り目iに沿ってそれぞれ谷折りした後、下糊代14を左側面板5に対して折り目mに沿って谷折りするとともに、その表面に接着剤を塗布し、下面板12を右側面板3に対して折り目jに沿って谷折りし、下面板12を下糊代14に貼着する。これにより、内部にガムが収容された包装容器1が形成される。
【0051】
さらに、図13乃至図15には、本発明の包装容器1のもう一つの実施形態が示されている。
【0052】
この包装容器1は、背面板2に連設した外方側面板18を利用して一方の接続板を形成するとともに、包み紙100の支持構造が若干相違する以外、先に説明した実施形態の包装容器1と同様であり、同一の部材には同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、主に相違する部分について説明する。
【0053】
この包装容器1は、図14の展開図において、背面板2の右端縁に外方側面板18が折り目sを介して連設されるとともに、この外方側面板18の上部には、その上端縁とともに接続板16に対応する形状の切り裂き目tが形成されており、後述するように、一方の接続板16を区画形成することができる。そして、外方側面板18の上端縁には、折り目pを介して上面板9が連設されるとともに、外方側面板18の下端縁には、下面板12が折り目uを介して連設されている他、外方側面板18の側端縁上部に折り目rを介して係止片17が連設されている。また、背面板2の上端縁には糊代19が折り目vを介して連設されている。
【0054】
なお、外方側面板18の上端縁に連設された上面板9には、同様に係止板10および他方の接続板16がそれぞれ連設されるとともに、他方の接続板16に係止片17が連設されている。また、右側面板3の下端縁には、左側面板5の下端縁に連設された下糊代14に代えて下糊代14が折り目jを介して連設されている。
【0055】
さらに、内方側面板7には、上下方向略中間部において、第1糊代6との折り目eから折り目fにかけて左右方向に延びる切れ目qが形成されるとともに、この切れ目qによって区画された内方側面板7の下半部における左右方向右寄り端部が折り目eとの間で切除されている。
【0056】
ここで、内方側面板7と第2糊代8との折り目fは、切れ目qとの交点において段差が形成されている。すなわち、折り目fの上端縁から切れ目qまでの上部折り目f4と、切れ目qから下端縁までの下部折り目f5とは、設定間隔をおいて平行に形成され、切れ目qは、折り目fの上部折り目f4との交点を越えて下部折り目f5との交点まで延設されている。したがって、折り目eから折り目fの上部折り目f4までの距離が、折り目eから折り目fの下部折り目f5までの距離よりも若干小さく設定されている。
【0057】
なお、この包装容器1を組み立てる場合も、先に図6乃至図10に示した包装容器1の組立と同様に作業すればよい。すなわち、詳細には図示しないが、図14の展開図にしたがってコートボールを打ち抜くとともに、裏面が上面を向くように反転させた後、内方側面板7を第2糊代8とともに第1糊代6に対して折り目eに沿って谷折りし、第2糊代8の表面に接着剤を塗布した後、左側面板5および第1糊代6を内方側面板7および第2糊代8とともに正面板4に対して折り目cに沿って谷折りし、第2糊代8を正面板4の裏面にを貼着する。次いで、第1糊代6の表面および左側面板5の略下半部に接着剤を塗布した後、背面板2を外方側面板18とともに右側面板3に対して折り目aに沿って谷折りし、背面板2の裏面を第1糊代6の表面に、外方側面板18の裏面を左側面板5の表面にそれぞれ貼着する。
【0058】
この後、背面板2が下面に位置するように配置して右側面板3を背面板2に対して折り目aに沿って起立させた後、包み紙100を内方側面板7と右側面板3との間に形成された空間に差し込んで収容する。この際、包み紙100は、その下端縁が内方側面板7に形成された切れ目qによって区画された略下半部の上端縁に支持される。
【0059】
包み紙100が挿入されたならば、上糊代14を左側面板5に対して折り目mに沿って谷折りし、その表面に接着剤を塗布した後、内方上面板15を内方側面板7に対して折り目nに沿って谷折りし、上糊代14に貼着する(図15参照)。次いで、糊代19を背面板2に対して折り目vに沿って谷折りするとともに、その表面に接着剤を塗布した後、被係止片13を正面板4に対して折り目kに沿って谷折りする一方、上面板9を外方側面板18に対して折り目pに沿って谷折りし、その裏面を糊代19に貼着する。さらに、上面板9に対して他方の接続板16を折り目pに沿って谷折りして右側面板3の表面に重ねた後、各係止片17を他方の接続板16および外方側面板18に対して折り目rに沿ってそれぞれ谷折りすることにより、各係止片17の切り欠かれた内端縁が被係止片13の先端縁に略当接する状態で、各係止片17が正面板4に載置される。この後、正面板4上に載置された各係止片17の表面に接着剤を塗布し、係止板10を上面板9に対して折り目hに沿って谷折りし、各係止片17に係止板10を貼着する。
【0060】
その後、上面板9が下面に位置するように包装容器1を倒立させ、下面板12側開口部を通して設定個数のガムを供給し、次いで、各フラップ11を背面板2および正面板4に対して折り目iに沿ってそれぞれ谷折りした後、下糊代14を右側面板3に対して折り目jに沿って谷折りするとともに、その表面に接着剤を塗布し、下面板12を外方側面板18に対して折り目uに沿って谷折りし、下面板12を下糊代14に貼着する。これにより、内部にガムが収容された包装容器1が形成される。
【0061】
一方、ガムを購入した消費者が右側の接続板16および外方側面板18の上端部を把持して引き上げれば、外方側面板18は、切り裂き目tに沿って切り裂かれ、係止片17を介して一体に貼着された係止板10とともに上方に移動し、接続板16として切り離される。この際、切り離された接続板16は、折り目pを介して上面板9に連設されるとともに、上面板9が背面板2に連設された糊代19に貼着されていることにより、上面板9、左右の接続板16および係止板10は一体となって背面板2に対して折り目vに沿って回動し、正面板4の取出口4xを開放させることができ、この取出口4xを通して適数個のガムを取り出すことができる。
【0062】
この実施形態において、上糊代14および内方上面板15の幅を、左右の側面板3,5の幅の略半分の長さに設定し、上糊代14に内方上面板15を貼着した際、左右の側面板3,5、背面板2および正面板4によって形成される上面板側開口部における正面板4側にその開口面積の略半分の大きさの取出口9x(図11参照)を形成するようにしてもよい。
【0063】
この際、内方側面板7の上端部に切欠部7bを形成し、この切欠部7bを通して包み紙100の背面側を露出させて摘み上げるようにすればよい。
【0064】
なお、前述した実施形態においては、右側面板3との間に包み紙100の収容空間を形成するように内方側面板7を配設する場合を説明したが、左側面板5との間に包み紙100の収容空間を形成するように内方側面板7を配設してもよい。その場合は、右側面板3に上糊代を連設するとともに、内方側面板7に内方上面板15を連設し、両者を貼着すればよい。
【0065】
また、上糊代14および内方上面板15を貼着することで上面板側開口部を閉鎖したり、取出口を残して上面板側開口部を閉鎖する場合を例示したが、内方上面板15の上端縁に差し込みフラップを連設する一方、上糊代14と左側面板5との折り目mに差し込みフラップに対応する切れ目を形成し、内方上面板15の差し込みフラップを切れ目に差し込んで内方上面板15を連結するようにしてもよい。
【0066】
この場合、上糊代14を省略するとともに、差し込みフラップを設けた内方上面板15を左側面板5(左側面板5との間に包み紙100の収容空間を形成する場合は右側面板3)または内方側面板7に連設し、差し込みフラップを有する内方上面板15のみによって上面板側開口部を閉鎖し、または、取出口を残して上面板側開口部を閉鎖することもできる。
【符号の説明】
【0067】
1 包装容器
2 背面板
3,5 側面板
4 正面板
4x,9x 取出口
6,8,14,19 糊代
7 内方側面板
9 上面板
10 係止板
12 下面板
13 被係止片
15 内方上面板
16 接続板
17 係止片
18 外方側面板
100 包み紙
a,b,c,d,e,f,f1,f2,g,h,j,k,n,p,r,s,u,v 折り目
q 切れ目
t 切り裂き目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面板、左右の側面板、上面板、背面板および正面板を備えた包装容器において、正面板および背面板にわたって内方側面板を配設して左右一方の側面板との間に空間を形成するとともに、少なくとも左右他方の側面板または内方側面板に連設する内方上面板を介して上面板側開口部を閉鎖する一方、正面板の上面板側端部に取出口を形成し、また、上面板および係止板を接続板および係止片を介して一体に連結するとともに、背面板に直接または糊代を介して上面板を連設してなり、左右一方の側面板と内方側面板との空間に包み紙を収容するとともに、背面板に対して上面板を回動して正面板の取出口を係止板によって開閉することを特徴とする包装容器。
【請求項2】
下面板、左右の側面板、上面板、背面板および正面板を備えた包装容器において、正面板および背面板にわたって内方側面板を配設して左右一方の側面板との間に空間を形成するとともに、少なくとも左右他方の側面板または内方側面板に連設する内方上面板を介して取出口を残して上面板側開口部を閉鎖し、また、上面板および係止板を接続板および係止片を介して一体に連結するとともに、背面板に直接または糊代を介して上面板を連設してなり、左右一方の側面板と内方側面板との空間に包み紙を収容するとともに、背面板に対して上面板を回動して上面板側開口部の取出口を開閉することを特徴とする包装容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の包装容器において、内方側面板の少なくとも上下方向略中間部に切れ目が形成されるともに、切れ目によって区画された部分の先端縁が左右一方の側面板の裏面に接触することを特徴とする包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−228769(P2010−228769A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76622(P2009−76622)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000106885)シグマ紙業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】