説明

包装容器

【課題】流動食品等を包装するための包装容器であって、片手で容易に取り扱うことが可能であり、かつ自立性、保形性及び内容物の取り出し容易性を備えた簡易な包装容器を提供すること。
【解決手段】本発明に係る包装容器1は、流動食品を封入するパウチ2と、中空筒形状を有し、パウチ2を折り曲げて収納するスリーブ4とから構成される。パウチ2を収納したスリーブ4は、切り取り部5が分離可能であり、分離後のスリーブ4は中空筒状態である第1の状態と略平坦形状である第2の状態とに自在に変形することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性を有する飲料や食品等を包装するために用いられる包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
流動食品を包装する食品容器として、パウチが広く用いられている。パウチは樹脂フィルム若しくは金属箔又はこれらを多層に貼り合わせたシートの周囲を熱シールし、袋状に形成した包装容器であり、包装する食品の保存性や加熱殺菌効率に優れ、また製造工程が簡易なことから、低コストで大量生産することに適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4035876号公報
【特許文献2】特許第4220216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなパウチには、素材が柔らかいため保形性(形状を保持できる性質)及び自立性に乏しいこと、片手での把持が困難であること、内容物を最後まで絞り出すためにはパウチを折り畳む等の作業を要し煩雑であること、食品容器の開口部より直に内容物を食することが困難であること等の問題がある。
【0005】
そこで近年では、パウチを紙製スリーブで包装した複合容器や、ラミネートチューブや口栓を備えたパウチが用いられる場合がある。
【0006】
しかしながら、複合容器では、紙製スリーブの特性によって容器の保形性や自立性が高められ、またスリーブの側面でパウチを押さえることで内容物を取り出し易くなっているが、平坦なパウチを包装するため、紙製スリーブのサイズが大きくなってしまうという問題がある。そのため、片手で手軽に食することを目的とした商品等の包装には不向きである。
【0007】
また、ラミネートチューブや口栓付きパウチでは、口栓部より直に内容物を食することが容易となるが、製造コストが高くなるという問題がある。
【0008】
そこで本発明は、片手で容易に取り扱うことが可能であり、かつ自立性、保形性及び内容物の取り出し容易性を備えた簡易な包装容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、流動食品を包装するための包装容器であって、流動食品を封入したパウチと、筒形状を有し、その内部にパウチを折り曲げた状態で収納するスリーブとを備える。スリーブは、上端を含む一部が分離可能であり、かつ、前記一部を分離した残りの部分が中空筒形状である第1の状態と、略平坦形状の第2の状態とに変形自在である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パウチを折り畳んでスリーブに収納させることで包装容器全体の大きさを小さくできるため、片手で容易に取り扱うことができる包装容器を実現できる。また、スリーブが中空筒形状から平坦形状へと自在に変形できるため、自立性、保形性及び内容物の取り出し容易性を兼ね備えた包装容器を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1に係る包装容器の斜視図
【図2】本発明の実施形態1に係るパウチの正面図
【図3】本発明の実施形態1に係るスリーブの正面図
【図4】本発明の実施形態1に係るスリーブの底面図
【図5】本発明の実施形態1に係る包装容器の使用状態を示す斜視図
【図6】本発明の実施形態1に係るスリーブの展開図
【図7】本発明の実施形態2に係るスリーブの正面図
【図8】本発明の実施形態2に係るスリーブの底面図
【図9】本発明の実施形態2に係るスリーブの展開図
【図10】本発明の実施形態3に係るスリーブの正面図
【図11】本発明の実施形態3に係るスリーブの底面図
【図12】本発明の実施形態3に係るスリーブの展開図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る包装容器1の斜視図である。
【0013】
包装容器1は、流動食品を封入するパウチ2と、中空筒形状を有し、その内部に折り畳んだ状態でパウチ2を収納するスリーブ4とから構成される。2つ折りにしたパウチ2をスリーブ4の中空筒内部に収納した後、スリーブ4の上端部が熱シールや接着等によって封止される。
【0014】
図2は、実施形態1に係るパウチ2の平面図である。
【0015】
パウチ2は、樹脂フィルム積層体からなる略長方形状の袋体であり、上辺の一部から突出する突出部3が設けられている。この突出部3は、直に咥えて、パウチ2の内容物を容易に食することができるように設けられているものである。また突出部3の外周縁のシール部には、引き裂き開封を容易にするための切り込み(図示せず)が設けられている。尚、突出部3はパウチ2の上辺に設けられていれば良く、形状等は特に限定されない。
【0016】
パウチ2の材料として用いる樹脂フィルム積層体の構成はレトルトパウチ等に一般的に用いられるもので良く、例えば二軸延伸ポリエチレンテレフタレート/ナイロン/アルミ蒸着無延伸ポリプロピレン積層体等、開封時における引き裂き性の良いものが好適である。
【0017】
上記構成の樹脂フィルム積層体をヒートシールして、所望の形状を有する袋体を形成する。積層樹脂フィルムをヒートシールする場合、同一形状の樹脂フィルム積層体を2枚重ねて4方をヒートシールしても良いが、図2のように、左右対称となる積層体を中心軸に沿って2つ折りにし、残りの3方向をヒートシールすることで、製造工程の簡略化及びコストの低減が可能である。
【0018】
尚、上記ヒートシール以外にも、例えば接着剤によって、積層樹脂フィルムをシールしても良い。
【0019】
図3は本発明の実施形態1に係るスリーブ4の正面図であり、図4は本発明の実施形態1に係るスリーブ4の底面図である。
【0020】
実施形態1に係るスリーブ4は、横断面が菱形の四角柱形状を有している。スリーブ4の材質は、簡易かつ保形性、自立性等を有しているものであれば良く、例えば、紙、或いは紙と樹脂フィルムとの積層体であれば、本発明に好適に用いることができる。
【0021】
スリーブ4の側面には、スリーブ4の中心軸に対して傾斜する平面でスリーブ4を分離可能とする切り取り線8が形成されている。スリーブ4の1辺(側板33及び34の境界線であって、後述する折り曲げ線14が形成された辺)にはノッチ7が形成されている。
【0022】
包装容器1を開封時には、このノッチ7を起点として、切り取り線8部分を切断すると、スリーブ4の上端の切り取り部5が残りの部分から分離される。
【0023】
切り取り部5が分離された状態のスリーブ4は、中空筒形状である第1の状態と、略平坦形状になるまで折り曲げ線12及び14に沿って折り曲げられた状態である第2の状態とに自在に変形することができる。この点については後述する。
【0024】
尚、実施形態1では、上記切り取り線8をミシン目によって形成しているが、他にも互いに平行なミシン目で帯状のジッパーを形成する等、スリーブ4の一部が分離可能に形成されていれば良い。
【0025】
切り取り線8の形成パターンは、スリーブ4の上端部分の分離が容易に行えるものであれば特に限定されず、例えば本実施形態のように、側板31〜34を斜めに横断する直線でも良いし、側板31〜34をその長手方向と直交する方向に横断する直線でも良い。
【0026】
また、ノッチ7はスリーブ4の切断開始を容易にするためのものであり、形状については、特に限定されない。
【0027】
図5は、本発明の実施形態1に係る包装容器の使用状態を示す斜視図である。
【0028】
まず、先述した方法によって、スリーブ4から切り取り部5を分離すると、図5(a)のように、パウチ2の突出部3を含む一部分がスリーブ4から露出した状態となる。
【0029】
次に、パウチ2の突出部3の外周縁に設けられた切り込みを起点として、突出部3の先端部を切り取り、パウチ2を開封する。これによって突出部3を直に咥えてパウチ2の内容物を食することが可能となる。
【0030】
この時、スリーブ4は、折り曲げ線によって4つの側板が形成された四角柱状の筒体であり、保形性及び自立性に優れる。そのため、飲食の途中でも、パウチ1が収納されたスリーブ4を立てた状態で置くことができる。
【0031】
また、図5(b)のように、スリーブ4の側面を押して、略平坦になるまで変形させることによって、容易に内容物を取り出すことが可能となる。
【0032】
図6は、実施形態1に係るスリーブ4の展開図である。
【0033】
スリーブ4は、図6の形状にカットされた1枚のシート体からなり、当該シート体に折り曲げ線11、12、13及び14を形成することで、側板31、32、33、34及びのり代51が区画されている。
【0034】
側板31及び33の下辺には、底板41及び42がそれぞれ接続され、境界に折り曲げ線21及び23が形成される。側板32及び34の下辺には、のり代52及び53がそれぞれ接続され、境界に折り曲げ線22及び24が形成される。また底板41と42には、折り曲げ線25と26が形成されている。
【0035】
また折り曲げ線14上には開口部6(組み立て時にノッチ7となる)が形成されており、開口部6を通過して側板31〜34及びのり代51を斜めに横断する切り取り線8が形成されている。
【0036】
組み立て時には、図6のシート体を折り曲げ線11〜14及び21〜24の各々において山折りにし、折り曲げ線25及び26において谷折りにする。そして、のり代51と側面34の裏面とを貼り合せ、底板41の裏面の一部(折り曲げ線25で谷折りにされた部分)と、のり代52とを貼り合せ、底板42の裏面の一部(折り曲げ線26で谷折りにされた部分)と、のり代53とを貼り合せる。このように組み立てることによって図3及び図4に示した筒形状で、平坦形状に変形可能なスリーブ4が得られる。
【0037】
以上説明したように、実施形態1に係る包装容器1では、パウチ2を折り曲げてスリーブ4に収納することで、包装容器1の寸法を小さくすることが可能となるので、片手でも持ち易くなり、使い勝手が良い。また、切り取り部5を分離した後は、スリーブ4からパウチ2の突出部3が露出しているため、この部分が口栓と同様に機能し、片手で容易に内容物を飲食することができる。
【0038】
また、包装容器1は、スリーブ4が筒形状を有し、かつスリーブ4の軸方向に沿って側面に折り曲げ線が形成されているため、保形性及び自立性に優れている。これによって、飲食の途中で包装容器1を立てて置くことができる。
【0039】
更に、切り取り部5を分離した状態のスリーブ4を中空筒形状である第1の状態から略平坦形状である第2の状態へと変形させることにより、開封後のスリーブ4の側面で食品が封入されたパウチ2を押し出すことが出来るため、容易かつ確実に内容物を取り出すことができる。
【0040】
加えて、本発明の包装容器1は、従来の汎用パウチ2と簡易なスリーブ4との組み合わせのみで実現されており、コストパフォーマンスにも優れるものである。
【0041】
(実施形態2)
図7は本発明の実施形態2に係るスリーブ4の正面図であり、図8は本発明の実施形態2に係るスリーブ4の底面図である。
【0042】
実施形態2に係る包装容器は、実施形態1に係るものに比べて、スリーブ4の形状と底板の形状及び組み立て方とが異なる。以下、本実施形態と実施形態1との相違点を中心に説明し、実施形態1に係るものと同様の構成については説明を省略する。
【0043】
実施形態2に係るスリーブ4は、横断面が瞳形状の中空筒形状を有している。また、底板41及び42は、のり付けではなく、差し込みによって折り畳み自在に組み立てられている。
【0044】
図9は実施形態2に係るスリーブ4の展開図である。
【0045】
スリーブ4は、図9の形状にカットされた1枚のシート体からなり、当該シート体に折り曲げ線11及び12を形成することで、側板31、32及びのり代51が区画されている。
【0046】
側板31及び32の下辺には、底板41及び42がそれぞれ接続され、境界に折り曲げ線21及び22が形成される。底板41には、スリット61が設けられており、底板42には差込部71が設けられている。
【0047】
また折り曲げ線11上には開口部6が形成されており、開口部6を通過して側板31、32及びのり代51を斜めに横断する切り取り線8が形成されている。
【0048】
組み立て時には、図9のシート体を折り曲げ線11、12、21及び22の各々において山折りにする。そして、のり代51と側面31の裏面とを貼り合せ、スリット61に先端部71が挿入される。このように組み立てることによって図7及び図8に示した筒形状で、平坦形状に変形可能なスリーブ4が得られる。
【0049】
折り曲げ線21及び22はスリーブ4の上端方向に凸の緩やかな曲線を描いているため、折り曲げ線21及び22を山折りに折り曲げると、側板31及び32の下端部分には、スリーブ4の外方側に向かって緩やかな凸面が形成される。
【0050】
実施形態2に係るスリーブ4もまた、切り取り部5を切り取った残りの部分が筒形状と平坦形状とに変形自在であるので、本実施形態に係る包装容器も実施形態1に係るものと同様の作用効果を奏することができる。これに加え、実施形態2に係るスリーブ4は側板、折り曲げ線の数が少なく、かつ、底板の組み立てに接着剤を要しないため、製造が容易となる利点がある。
【0051】
(実施形態3)
図10は本発明の実施形態3に係るスリーブ4の正面図であり、図11は本発明の実施形態3に係るスリーブ4の底面図である。
【0052】
実施形態3に係る包装容器は、実施形態1に係るものに比べて、スリーブ4の形状と底板の形状及び組み立て方とが異なる。以下、本実施形態と実施形態1との相違点を中心に説明し、実施形態1に係るものと同様の構成については説明を省略する。
【0053】
実施形態3に係るスリーブ4は、横断面が略六角形状の中空筒形状を有している。
【0054】
図12は実施形態3に係るスリーブ4の展開図である。
【0055】
スリーブ4は、図12の形状にカットされた1枚のシート体からなり、当該シート体に折り曲げ線11、12、13、14、15及び16を形成することで、側板31、32、33、34、35、36及びのり代51が区画されている。
【0056】
側板32及び35の下辺には、底板41及び42がそれぞれ接続され、境界に折り曲げ線21及び22が形成される。底板41には、折り曲げ線23が形成されている。
【0057】
また折り曲げ線13上には開口部6が形成されており、開口部6を通過して側板31〜36及びのり代51を斜めに横断する切り取り線8が形成されている。
【0058】
組み立て時には、図6のシート体を折り曲げ線11、12、13、14、15、16、21及び22の各々において山折りにし、折り曲げ線23において谷折りにする。そして、のり代51と側面31の裏面とを貼り合せ、底板41の裏面の一部(折り曲げ線23で谷折りにされた部分であって、図12において折り曲げ線より下側の部分)を底板42の表面の一部(折り曲げ線22に沿った部分)に糊付けする。このように組み立てることによって図10及び図11に示した筒形状で、平坦形状に変形可能なスリーブ4が得られる。
【0059】
実施形態3に係るスリーブ4もまた、切り取り部5を切り取った残りの部分が筒形状と平坦形状とに変形自在であるので、本実施形態に係る包装容器も、実施形態1に係る包装容器と同様の作用効果を奏する。これに加えて、実施形態3に係るスリーブ4は、実施形態1に係るものと比べて折り曲げ線の数(側板の数)が多いので、より良好な保形性及び自立性を発揮することができる。
【0060】
尚、上記の実施形態1〜3では、スリーブの断面形状、底板の組み方、パウチの形状、パウチの折り畳み方等を特定しているが、必ずしもこのような構成にする必要は無い。例えばスリーブについては、側面に折り曲げ線を設けず、スリーブの横断面を円筒形状にしても良いし、折り曲げが任意な折り曲げ線(組み立て時に折り曲げなくても良い)を備えても良い。また、パウチについても、長方形以外の形状でも良いし、折り畳み方も3つ折り等でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、おかゆ等の粘性を有する食品や保健機能食品等の流動性を有する食品や飲料を包装する包装容器に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1 包装容器
2 パウチ
3 突出部
4 スリーブ
5 切り取り部
6 開口部
7 ノッチ
8 切り取り線
11〜16、21〜26 折り曲げ線
31〜36 側板
41、42 底板
51〜53 のり代
61 スリット
71 差込部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動食品を包装するための包装容器であって、
流動食品を封入したパウチと、
筒形状を有し、その内部に前記パウチを折り曲げた状態で収納するスリーブとを備え、
前記スリーブは、上端を含む一部が分離可能であり、かつ、前記一部を分離した残りの部分が中空筒形状である第1の状態と、略平坦形状の第2の状態とに変形自在であることを特徴とする、包装容器。
【請求項2】
前記パウチは、略長方形状であって、その上辺の一部に突出する突出部を備え、
上端を含む前記一部が分離された状態の前記スリーブには、前記パウチの前記突出部が露出された状態で収納されていることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記スリーブには、その軸中心方向に延びる複数の折り曲げ線が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記スリーブには、その軸中心に対して傾斜する平面で前記一部を分離可能とする切り取り線が形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−241447(P2010−241447A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90390(P2009−90390)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000111487)ハウス食品株式会社 (262)
【Fターム(参考)】