説明

包装容器

【課題】包装した内容物を外部から確認することができる包装容器であって、簡易な構造を有しており、製造も容易であると共に低コストで製造することができ、取り扱いも容易な包装容器を提供する。
【解決手段】少なくとも正面部と底面部と背面部とが備えられていると共に各面部が折り曲げ自在な折線で区切られている略方形形状のシートを折り曲げて容器本体が構成されており、容器本体の内部には被包装物を収容する透明な袋体が設けられており、少なくとも正面部には開口が設けられ袋体に収容された被包装物を正面部の外側から視認できるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や花等の商品の包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば菓子、生鮮食料品又は惣菜等の食品や、花束又はフラワーアレンジメント等の花関連商品を販売する場合、これらの商品の形状や品質を保ちつつ持ち運ぶことのできる包装容器が用いられる。このような包装容器として、図4(a)及び図4(b)に示すごとき組立式の紙箱が広く用いられている。しかしながら、このような紙箱は、内容物を外部から確認することができないため、購入者の商品購買欲を高めることができない、商品受け渡しの際に取り間違いが生じる、内容物の状態を確認するためには包装容器をその都度開封しなければならない、という問題が生じていた。
【0003】
このような問題を解決するための包装容器として、特許文献1には、方形状の板状のカートンケースと蒲鉾型の透明カバーとからなる包装容器が記載されている。この包装容器は蒲鉾型の透明カバーを通して、収納した内容物を外部から認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3−15459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の包装容器は、透明カバー及びカートンケースの構造が複雑であって製造に手間がかかると共に、これらの素材がバリヤー性を有する樹脂であることから、包装容器自体のコストも高いという問題があった。また、透明カバーが蒲鉾型であって立体的な形状をしており嵩張るため、包装容器の保管スペースが多く取られてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は上述した点に鑑み案出されたもので、その目的は、収容した被包装物を外側から確認することができる包装容器であって、簡易な構造を有しており、製造も容易な包装容器を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、収容した被包装物を外側から確認することができる包装容器であって、低コストで製造することができる包装容器を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、収容した被包装物を外側から確認することができる包装容器であって、取り扱いが容易な包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の包装容器は、少なくとも正面部と底面部と背面部とが備えられていると共に各面部が折り曲げ自在な折線で区切られている略方形形状のシートを折り曲げて容器本体が構成されており、容器本体の内部には被包装物を収容する透明な袋体が設けられており、少なくとも正面部には開口が設けられて袋体に収容された被包装物を正面部の外側から視認できるように構成されている。
【0010】
本発明の包装容器を構成する容器本体は、正面部及び背面部に対する側部が開放された箱形に形成されている。すなわち、略方形形状のシートを正面部と底面部と背面部とを区切る折線で折り曲げることにより、側面のない3面又は4面からなる箱形の容器本体が形成される。それゆえ、簡単な構造で製造が容易でありかつ低コストであると共に取り扱いが容易である構造を実現すると共に、容器本体を嵩張らずに保管することができる。そして、略方形のシートには正面部に開口が設けられているため、正面部の外側から容器本体の内部を視認することができる。
【0011】
また、容器本体の内部には被包装物を収容する袋体が設けられることから、被包装物が容器本体の開放された側部及び開口が設けられた正面部から抜け落ちることを防ぐ。さらに、当該袋体は透明であることから、正面部に設けられた開口を通して、袋体の中に収容された被包装物を視認することができる。
【0012】
このように、本発明の包装容器は、収容された被包装物を包装容器の外側から視認できるものであるため、商品を収容した包装容器ごと陳列ケースに陳列し、購入者に商品を選んでもらうことが可能である。その際には、購入者が選択した商品をレジ周りで包装する手間を省くことができることから、商品の受け渡しもスムーズに行うことができる。さらに、商品が食品に係る分野では、調理場で包装作業を済ませておけることから、衛生的でもある。
【0013】
また、袋体の底部は容器本体の底面部に固着されていることも好ましい。袋体の底部が容器本体の底面部に固定されるため、袋体を容器本体の所定位置にセットする手間を省くことができる。さらに、被包装物を収容した袋体が容器本体内部で傾いたり、容器本体の側部から抜け落ちたりすることを防ぐことができる。
【0014】
また、底面部上に載置される底板をさらに備えており、袋体の底部はこの底板に固着されていることも好ましい。底板が容器本体の底面部に載置されて重なることで、底面部全体で被包装物の荷重を支えることができるため、包装容器を安定して持ち運ぶことができる。さらに、底板により袋体の底部が固定されるため、被包装物を収納するのも容易である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下のような優れた効果を有する包装容器を提供することができる。
(1)包装容器を開封等せずに、包装容器に収容された被包装物を外側から視認することができる。
(2)簡易な構造であるため、製造及び取り扱いが容易であり、低コストで製造できる。
(3)折り畳み構造であるため、少ないスペースで保管することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る包装容器の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る容器本体の組み立てを概略的に示す(a)展開図及び(b)斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る包装容器の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】従来用いられている一般的な包装容器を示す(a)斜視図及び(b)展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の包装容器1は、略方形形状のシートを折り曲げて形成された容器本体2と液体不通過性の透明な袋体3とを備えている。袋体3は、容器本体2の内部において底面部23に固着されている。
【0019】
まず、容器本体2について説明する。図2に示すように、容器本体2は、略方形形状のシート20から構成される。このシート20には、一方向に把持部27、天面部21、正面部22、底面部23、背面部24、天面部21及び把持部27が配置され、各面部及び把持部27との境界は折線26a〜26fで区切られている。折線26a〜26fは、シート20を所定の位置で折り曲げて容器本体2を簡易に形成できればよく、特に限定されないが、プレス折線や破線切り込み等により折り曲げが容易になる加工が施されていることが好ましい。
【0020】
正面部22には貫通された開口である開口部25が備えられている。開口部25は包装容器1に包装された被包装物を包装容器1の外側から視認するために備えられている。よって、開口部25の形状は特に限定されず、図2に示すような逆蒲鉾形をはじめ、楕円形、半楕円形、円形、半円形、矩形、台形又は星形などが挙げられるが、さらにそれらを複数組み合わせた形状であってもよい。また、本実施形態においては、開口部25は正面部22のみに備えられているが、背面部24にも同様に開口部を備えることができる。
【0021】
容器本体2は、まず、図2(a)に示すような外形形状を有すると共に開口部25及び折線26a〜26fを有するシート20を作製し、このシート20の隣接する各面部を折線26a〜26fで折り曲げることにより組み立てられる。折り曲げは、具体的には、図2(a)に示すように、底面部23に隣接する背面部24を折線26bで略直角又はこれより鋭角に折り曲げ、図2(b)に示すように底面部23に隣接する正面部22を折線26aで略直角又はこれより鋭角に折り曲げる。次に背面部24に隣接する天面部21を折線26dで、正面部22に隣接する天面部21を折線26cで略直角又はこれより鈍角に折り曲げる。さらに天面部21と隣接する把持部27を折線26eで略直角又はこれより鈍角に折り曲げ、もう一方の天面部21と隣接する把持部27も折線26fで同様に折り曲げて容器本体2が組み立てられる。
【0022】
本実施形態においては、容器本体2には2つの天面部21が備えられており、天面部21の奥行方向の長さ、すなわち折線26eから折線26dまでの長さ(及び折線26fから折線26cまでの長さ)は、容器本体2の奥行方向の長さの略半分の長さになるように調整されている。容器本体2が組み立てられる際には、天面部21と把持部27との間に備えられている係止片28同士が係止されて、天面部21と天面部21とが組み合わされる。なお、容器本体2をさらに簡素な構造とする場合には、天面部21を単一の天面部のみから構成することもでき、その際には、天面部21の奥行方向の長さは容器本体2の奥行方向の長さと略等しい長さになるよう調整される。
【0023】
さらに、容器本体2には2つの把持部27が備えられており、一方の把持部27が折線26e、他方の把持部27が折線26fで折り曲げられた後、天面部21と天面部21とが係止片28と係止片28とで係止されることにより、2つの把持部27が互いに重なるように構成されている。なお、容器本体2をさらに簡素な構造とする場合には、把持部27を備えないこともできる。
【0024】
容器本体2を構成するシート20の素材には、紙又はポリプロピレン等の樹脂等が用いられる。紙としては、特に限定されないが、板紙、ボール紙又は段ボール材等が挙げられる。さらに、耐候性を強化するため、紙にナイロンやポリプロピレン等の樹脂のラミネート加工がされていてもよい。他方、樹脂としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、高密度ポリエチレン、アクリル樹脂、ポリエステル又はポリエチレンテレフタラート等が挙げられる。
【0025】
次に図1及び図2を参照して、袋体3について説明する。袋体3は被包装物を収容できる大きさであって、かつ、被包装物を収容した袋体3は容器本体2の中に配置できる大きさに構成されている。袋体3は透明であるため、収容された被包装物を袋体の外側から視認することが可能である。
【0026】
袋体3の素材としては、液体不通過性でありかつ透明又半透明であれば特に限定されないが、樹脂又は半透明の紙に樹脂を積層加工したものが用いられる。樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート、ポリビニルアルコール、ナイロン又はポリ塩化ビニル等の樹脂が挙げられる。また、半透明の紙としては、例えば、パーチメント紙、硫酸紙又はグラシン紙等が挙げられ、上述の樹脂が積層されて耐水加工が施される。上述した素材のうち1種類を単独で使用してもよく、耐冷耐熱性や保香性、保存性、防湿性、又はガスバリア性を高めるため、これら素材のうち2種類以上を組み合わせて多層フィルムとして使用することもできる。さらに、被包装物の水分によって袋体3の内部が曇るのを防ぐため、防曇加工を施してもよい。また、袋体3の開口部が熱溶着等でシールされるような場合には開封性を高めるため、イージーピール機能を持ったプラスチックフィルムを開口部シール部分に使用してもよい。上述した素材は、液体不通過性であるため、食品や花材等の被包装物に付着又は含まれている水分が袋体3の外に漏出することを防止できる。
【0027】
また、袋体に収容され、封入された被包装物を取り出し易くするため、袋体3の開口部には、ミシン目加工や「マジックカット(登録商標)」加工を施してもよい。
【0028】
本実施形態においては、袋体3の底部は容器本体2の底面部23に固着されており、容器本体2と一体として構成されている。袋体3と容器本体2の底面部23とは、接着剤などで固着されている。袋体3が容器本体2に固定されるため、被包装物を収容した袋体3が容器本体2の内部で傾いたり、容器本体2の側部から抜け落ちたりすることを防ぐことができる。さらに、袋体3が容器本体2と一体として構成されているため、袋体3を容器本体2にセットする手間を省くことができる。
【0029】
本実施形態にかかる包装容器1を使用する際には、まず、平面シートの状態で納品されたシート20を折り曲げして、図2に示すように容器本体2を組立てる。その際、容器本体2の底面部23に固着されつつ平面状に折り畳まれて納品された袋体3を展開させ、袋体3の内部に被包装物を収容して封入し、容器本体2の天面部21と天面部21とを閉じ合わせる。これにより、容器本体2の開口部25から透明な袋体3に収容された被包装物を視認することができる。
【0030】
本実施形態にかかる包装容器1を使用した後には、容器本体2が紙素材の場合には、容器本体2の底面部23から袋体3を剥離し、紙リサイクルすることができる。また、残りの袋体3は、プラスチックとしてサーマルリサイクルすることができる。このように、本実施形態にかかる包装容器1はリサイクルや環境問題にも対応している。
【0031】
本実施形態にかかる包装容器1は、商品陳列のために使用することができる。すなわち、包装容器1で商品を予め包装して売場に陳列すると、購入者は開口部25から商品を確認して、商品を選ぶことができる。予め商品が包装されているため、レジ周りでの包装にかかる手間を省くことができ、商品の受け渡しをスムーズに行うことができる。また、食品に係る分野では調理場で包装作業を済ませておけることから衛生的である。さらに、本実施形態にかかる包装容器1は、購入者が買い求めた商品を包装する際にも用いることができる。包装容器1の組み立てや商品の収容が簡単であると共に、商品受け渡しの際にも開口部25から被包装物を確認できるため、包装容器を開封して被包装物を確認する手間を省くことができる。
【0032】
本実施形態にかかる包装容器1のその他の用途としては、冷凍食品の加工容器や保存容器として使用することもできる。すなわち、食品加工の現場において、包装容器1の袋体3の内部に生鮮食料品や惣菜等の食品を被包装物として収容した後、包装容器1ごと冷凍加工処理を行い、その後冷凍保存すること、又は冷凍加工された食品を包装容器1の袋体3の内部に収容して冷凍保存すること等により使用することができる。その際、開口部25から収容した食品を確認できるため、目視で収容された食品の種類や状態を確認しつつ、冷凍加工処理を行うことができる。このような冷凍食品を収容した包装容器1は、包装容器1ごと売場の冷凍ケース内に陳列され、購入者は開口部25から収容された食品を確認して商品を選ぶことができる。さらには、購入者の求めに応じて、レジ周りや店内に設置された電子レンジ等の加熱調理器具に包装容器1ごと入れて商品の解凍処理を行うこともできる。その際、冷凍食品の解凍処理の状態を開口部25から確認することができるため、包装容器を開封して確認する手間を省くことができる。
【0033】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0034】
図3に示すように、本実施形態の包装容器10は、略方形のシートを折り曲げて形成された容器本体2と液体不通過性の透明な袋体3とを備えている。袋体3は、容器本体2の内部に配設されており、袋体3の底部には底板4が備えられている。
【0035】
本実施形態において、容器本体2の構成並びに袋体3の大きさ及び素材については、上述した第1の実施形態の場合と同様である。
【0036】
本実施形態においては、袋体3の底部に底板4が備えられている。この底板4は、被包装物を収容した際に袋体3の底部から容器本体2の底面部23の一部分にかかる荷重を分散する。そのため、底面部23全体で被包装物の荷重を支えることができ、包装容器10を安定して持ち運ぶことができる。さらに、底板4により袋体3の底部が固定されるため、被包装物を収納するのも容易である。底板4は、被包装物の荷重を分散することができる強度を有していればよく、紙又はポリプロピレン等の樹脂等が挙げられるが、加工の容易さ及びコストの点から紙が好ましい。また、底板4は袋体3の底部と接着剤などで固着されている。
【0037】
本実施形態にかかる包装容器10を使用する際には、まず、平面シートの状態で納品されたシート20を折り曲げして容器本体2を組立てると共に平面状態で納品された底板4及び袋体3の袋体3内に被包装物を収容する。次いで、図3に示すように、被包装物が収容された袋体3及び底板4を開放した天面部21から、又は開放された側部から容器本体2の内部に入れ、容器本体2の底面部23の上に載置させる。これにより、容器本体2の開口部25から透明な袋体3に収容された被包装物を視認することができる。本実施形態においては、容器本体2の天面部21と天面部21とを閉じ合わせた後であっても、被包装物が収容された袋体3を開放された側部から容器本体2の内部に入れることができるため、包装作業も容易である。
【0038】
本実施形態にかかる包装容器10の用途については、上述した第一の実施形態の場合と同様である。
【0039】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態を技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0040】
1、10 包装容器
2 容器本体
20 シート
21 天面部
22 正面部
23 底面部
24 背面部
25 開口部
26a、26b、26c、26d、26d、26e、26f 折線
27 把持部
28 係止片
3 袋体
4 底板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも正面部と底面部と背面部とが備えられていると共に各面部が折り曲げ自在な折線で区切られている略方形形状のシートを折り曲げて容器本体が構成されており、該容器本体の内部には被包装物を収容する透明な袋体が設けられており、少なくとも前記正面部には開口が設けられ前記袋体に収容された被包装物を前記正面部の外側から視認できるように構成されていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記袋体の底部は該容器本体の底面部に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記底面部上に載置される底板をさらに備えており、前記袋体の底部は該底板に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−144268(P2012−144268A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3355(P2011−3355)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(503328702)株式会社アベシン (2)
【Fターム(参考)】