包装材及びその製造方法
【課題】
包装材を開封する際の切断線が乱れることなく、良好に開封することのできると共に、衛生面でも安全な包装材及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】
包装シート2の表面と裏面の少なくとも一方に、該包装シートより幅の狭いカッティングシート1が接着され、該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されていることを特徴とする包装材3である。
包装材を開封する際の切断線が乱れることなく、良好に開封することのできると共に、衛生面でも安全な包装材及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】
包装シート2の表面と裏面の少なくとも一方に、該包装シートより幅の狭いカッティングシート1が接着され、該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されていることを特徴とする包装材3である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を包装する際に用いる包装材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品を包装する際に、開封のための切り込みが入ってる等種々の包装材が用いられ、また、コンビニやスーパーマーケット等で握り飯や寿司を販売するに際して、米飯部から生じる水分によって海苔が湿気ないように両者を分離して包装し、供食時に乾燥したままの海苔を米飯部に巻いて食することができるような包装材が用いられている。
【0003】
握り飯や寿司を食する際に包装材を開封する方法としては、例えば、包装材の米飯部と海苔とを分離するシート(内側包装シート)及び海苔を覆うシート(外側包装シート)に線状又は帯状の切断部を設け、該切断部を切断することで内側包装シート及び外側包装シートを同時に取り除き、米飯部と海苔とを一体として取り出して食する方法が提案されている。
【0004】
このような切断部の形成方法として、特許文献1では超音波を用いてハーフカットを形成する方法が開示されている。しかし、該形成方法によるとハーフカットの切断補助部は包装材の中央に1本のみ形成されるので、包装材を折り重ねたときに表裏の切断部がずれたり、ノッチ(切込み)からの開封裂が切断部に良好に伝わらない場合は切断補助部に沿って包装材を開封することができないという問題がある。
【0005】
これに対し、特許文献2では、内外側のシート・フィルムにおけるハーフカットの位置相互間にずれがあっても、ノッチからの開封裂を伝達できるように、外側シートに複数のハーフカットを形成してなる包装材が開示されている。しかし、ハーフカットが複数形成されていても、開封裂がハーフカットに対して垂直に近い角度で入ったり、勢いよく開封した場合には、やはりハーフカットに沿って良好に開封できないという問題がある。
【0006】
しかも、超音波カットによるハーフカットの形成は、非常に時間がかかり、高い精度も要求される。さらに、ハーフカットを使用した包装材は、包装作業や搬送作業、あるいは陳列作業に際して、包装材に引張り力が付加されると容易に裂けるため、衛生面で問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4264123号公報
【特許文献2】特許4467636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上述の問題を解消し、包装材を開封する際の切断線が乱れることなく、良好に開封することのできると共に、衛生面でも安全な包装材及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、包装シートの表面と裏面の少なくとも一方に、該包装シートより幅の狭いカッティングシートが接着され、該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されていることを特徴とする包装材である。
【0010】
請求項2に係る発明は、内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせ、周縁部を接着してシート状の物品を封入してなる包装材において、該内側包装シートと該外側包装シートの少なくとも一方には、当該包装シートの表面と裏面の少なくとも一方に、当該包装シートより幅の狭いカッティングシートが接着され、該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されていることを特徴とする包装材である。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の包装材において、該カッティングシートの左右側縁には、該カッティングシートを切断する際の切断線がカッティングシート外にはみだすことを防止するための保護加工が施されていることを特徴とする包装材である。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の包装材において、該保護加工は、保護テープが該カッティングシートに貼付けられていることであることを特徴とする包装材である。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の包装材において、該切断容易加工は、該カッティングシートに少なくとも1本以上のハーフカット線又はミシン線が形成されていることであることを特徴とする包装材である。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の包装材において、前記ハーフカット線又はミシン線の両端は、Y字状にハーフカット又は切断されていることを特徴とする包装材である。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の包装材において、該切断容易加工が、該カッティングシートに方向性シートを用いることであることを特徴とする包装材である。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項5乃至7のいずれかに記載の包装材において、該カッティングシートは、該カッティングシートが接着される該包装シートの長さよりも短いことを特徴とする包装材である。
【0017】
請求項9に係る発明は、請求項5乃至7のいずれかに記載の包装材において、該カッティングシートの端部付近には、切込みが形成されていることを特徴とする包装材である。
【0018】
請求項10に係る発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の包装材の製造方法において、該包装シートを搬送する方向に対して直角に該カッティングシートを配置し、接着することを特徴とする包材体の製造方法である。
【0019】
請求項11に係る発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の包装材の製造方法において、該包装シートを搬送する方向に対して平行に該カッティングシートを配置し、接着することを特徴とする包装材の製造方法である。
【0020】
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の包装材の製造方法において、該包装シートに対し、少なくとも2本以上のカッティングシートを平行に配置し、接着することを特徴とする包装材の製造方法である。
【0021】
請求項13に係る発明は、請求項2乃至9のいずれかに記載の包装材の製造方法において、該内側包装シートと該外側包装シートとを重ね合わせ、周縁部の少なくとも一部を接着する工程は、包装シートに該カッティングシートを接着させた後、連続して該包装シートの略中央で折り曲げ、該内側包装シートと該外側包装シートとを重ね合わせることを特徴とする包装材の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明により、包装材には、包装シートの表面と裏面の少なくとも一方に、該包装シートより幅の狭いカッティングシートが接着され、該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されているため、包装材を容易に開封することが可能となる。しかも、包装シートには、ハーフカット等の切断が容易となる加工が施されていないため、包装作業等により包装シートが裂けるなど、衛生上の不具合も発生しない。
【0023】
請求項2に係る発明により、内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせ、周縁部を接着してシート状の物品を封入してなる包装材において、該内側包装シートと外側包装シートの少なくとも一方には、当該包装シートの表面と裏面の少なくとも一方に、当該包装シートより幅の狭いカッティングシートが接着され、該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されているため、海苔等のシート状の物品を封入してある包装材においても、容易に開封することが可能となる。しかも、包装シートには、ハーフカット等の切断が容易となる加工が施されていないため、包装作業等により内側包装シート又は外側包装シートが裂け、衛生上の不具合が発生することもない。
【0024】
請求項3に係る発明により、カッティングシートの左右両側縁には、カッティングシートを切断する際の切断線が、カッティングシート外にはみ出すことを防止するための保護加工が施されているため、包装材を開封した際に生じる切断線がカッティングシート外にはみだすことなく、包装材を良好に開封することができる。
【0025】
請求項4に係る発明により、カッティングシートの左右両側縁には、保護加工として保護テープが貼り付けられているため、切断線がカッティングシート外にはみ出す危険性をより低くすることが可能となる。
【0026】
請求項5に係る発明により、カッティングシートには、切断容易加工として少なくとも1本以上のハーフカット線又はミシン線が形成されているため、カッティングシートを長手方向によりスムーズに切断することが可能となる。
【0027】
請求項6に係る発明により、カッティングシートに形成されたハーフカット線又はミシン線の両端は、Y字状にハーフカット又は切断されているため、包装材を開封した際の開封裂をスムーズにカッティングシートの切断容易加工部(ハーフカット線又はミシン線)に導くことができる。
【0028】
請求項7に係る発明により、カッティングシートには、切断容易加工として方向性シートが用いられているため、ハーフカット等の加工を施さずともカッティングシートを長手方向に容易に切断することが可能となる。
【0029】
請求項8に係る発明により、カッティングシートの長さは、カッティングシートが接着される包装シートの長さよりも短いため、包装シートの周辺を接着して物品を包装した際に、包装シートとカッティングシートが接着部で重なり、切断し難くなるなどの不具合が発生することを抑制することができる。
【0030】
請求項9に係る発明により、カッティングシートの端部付近には切込みが形成されているため、包装材を開封する際に容易に切断することができる。
【0031】
請求項10に係る発明により、包装材は、包装シートが搬送される方向と直角にカッティングシートを配置し、接着することにより製造されるため、包装材をロール状に巻いた場合でも、カッティングシートが特定位置に偏らず、均一に巻き取ることができ、保管や搬送時の安定性が高い。
【0032】
請求項11に係る発明により、包装材は、包装シートが搬送される方向と平行にカッティングシートを配置し、接着することにより製造されるため、カッティングシートと包装シートを連続的に搬送しながら両者を接着することができ、包装材を効率良く製造することが可能となる。
【0033】
請求項12に係る発明により、包装材は、包装シートに対して、少なくとも2本以上のカッティングシートを平行に配置し、接着することにより製造されるため、カッティングシートを1本だけ包装シートに対して平行に配置し、接着する場合に比べて、包装材を巻き取った際にカッティングシート部分だけが盛り上がって不安定になるという事態が避けられ、保管や搬送時の安定性が高い。
【0034】
請求項13に係る発明により、包装材を製造する工程において、内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせ、周縁部の少なくとも一部を接着する工程は、包装シートにカッティングシートを接着させた後、連続して包装シートの略中央で折り曲げ、内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせることにより行われるため、包装材を保管する必要がなく、需要に合わせて、包装シートとカッティングシートから連続して包装材を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る包装材において、1枚の包装シートを用いる場合を説明する図である。
【図2】本発明に係る包装材において、内側包装シートと外側包装シートとを用いる場合を説明する図である。
【図3】本発明に使用するカッティングシートの説明図である。
【図4】本発明に使用するカッティングシートにY字状のハーフカット等を設けた例を説明する図である。
【図5】本発明に使用するカッティングシートに保護テープを設けた例を説明する図である。
【図6】本発明に係る包装材に、切込みを設けた例を説明する図である。
【図7】本発明に係る包装材において、一方の包装シートの長さを他方より短くした場合を説明する図である。
【図8】本発明に係る包装材において、カッティングシートの長さを包装シートより短くした場合を説明する図である。
【図9】本発明に係る、1枚の包装シートを用いた包装材を用いて、握り飯を包装した例を説明する図である。
【図10】本発明に係る、内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせ、シート状の物品を封入してなる包装材を用いて、握り飯を包装した例を説明する図である。
【図11】本発明に係る包装材の製造方法において、包装シートの搬送方向に対して直角にカッティングシートを配置する第1の例を説明する図である。
【図12】本発明に係る包装材の製造方法において、包装シートの搬送方法に対して直角にカッティングシートを配置する第2の例を説明する図である。
【図13】本発明に係る包装材の製造方法において、包装シートの搬送方向に対して平行にカッティングシートを配置する例を説明する図である。
【図14】本発明に係る包装材の製造方法において、包装シートの搬送方向に対して平行に2本のカッティングシートを配置する例を説明する図である。
【図15】本発明に係る包装材の製造方法において、包装シートとカッティングシートとを熱融着する際に用いるヒーターの、包装シートと接する部分の形状並びにカッティングシートに形成される熱融着部について説明する図である。
【図16】本発明に係る、包装シートの搬送方向に対して平行にカッティングシートが配置された包装材の製造方法において、内側包装シートと外側包装シートとの間にシート状物品を封入する様子を説明する図である。
【図17】本発明に係る、包装シートの搬送方向に対して直角にカッティングシートが配置された包装材の製造方法において、内側包装シートと外側包装シートとの間にシート状物品を封入する様子を説明する図である。
【図18】本発明に係る包装材の製造方法において、内側包装シートと外側包装シートにカッティングシートを接着すると共に、連続して、2枚の包装シート間にシート状物品を封入する様子を説明する図である。
【図19】本発明に係る包装材の製造方法において、包装シートにカッティングシートを接着すると共に、連続して、当該包装シートを折り曲げて、内側包装シートと外側包装シートの重ね合わせを形成する工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明に係る包装材及びその製造方法について以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の包装材について、1枚の包装シートを用いる場合の例を説明する図である。図1(a)は、包装材3として、カッティングシート1を、包装シート2の略中央に、包装シート2の長手方向と平行に、接着した場合を示している。カッティングシート1は、包装シート2の表面(物品を包装した際に外気に触れる面)と裏面(物品を包装した際に物品に触れる面)の少なくとも一方に接着される。
【0037】
カッティングシート1は、後述するように、長手方向に切断容易加工が施されている。包装材3は、特許文献1又は2に示すように、握り飯等の物品を包装するのに使用される。包装後は、熱融着などで、包装材の周囲が封止される。包装材を開封する際には、カッティングシート1を長手方向に沿って切断することで、包装シート2自体にハーフカットなどの加工が施されていなくても、カッティングシートの切断に合せて、包装シート2も切断、開封することができる。また、後述するように、左右側縁に保護加工が施されているカッティングシートを用いれば、切断線がカッティングシート外にはみ出すという不具合を防止することができる。
【0038】
カッティングシート1は、包装シート2の表裏のいずれか一方に接着しても、また、両面に接着しても良い。包装シート2に対してカッティングシート1を接着させる位置は、包装する物品によって、図1(a)のように略中央でも、図1(b)のように中央からずれた位置にも接着することができる。さらに、図1(c)図のように、包装シート2の長手方向と角度をつけた向きで接着することもできる。また、図1(d)のように、包装する物品の種類や用途に応じて、一枚の包装シートに複数本のカッティングシート1を接着することもできる。
【0039】
図2は、本発明の包装材において、内側包装シート2b(物品を包装した際に物品と接するシート)と外側包装シート2a(物品を包装した際に外気と接するシート)とを重ね合わせた包装材を示している。図2(b)は、図2(a)の矢印A−A’における断面図である。
【0040】
内側包装シート2bと外側包装シート2aの各々には、カッティングシート1a及び1bが設けられている。カッティングシートは内側包装シート又は外側包装シートの何れか一方のみに設けても良いし、2枚の包装シートを重ね合わせた際に、カッティングシートが内側又は外側の何れに配置されても良い。
【0041】
内側包装シート2bと外側包装シート2aとの間には、海苔などのシート状物品4が封入され、当該包装シートの周縁部は、点線Bで示した位置を熱融着などで接着される。
【0042】
2枚の包装シート2a、2bを接着させて包装材5を形成する場合でも、図1の1枚の包装シート3と同様に、包装材5で握り飯などを包装し、包装材の周囲を熱融着などで、封止する。包装材を切断する際は、カッティングシートを境に包装シート2a,2bを両側に引張ることで、カッティングシート1a,1bを容易に切断でき、それに合わせて包装シートも同様に切断される。2枚の包装シート2a,2bが共に切断されることで、握り飯等の物品に対してシート状物品4を巻き付けた状態で、包装した物品を取り出すことができる。
【0043】
包装シートには、熱融着が可能なOPPフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)が好適に用いることが可能である。また、握り飯などの水分を含む物品を包装する場合には、物品と内側包装シート2bとの密着を防ぐため、エンボス加工等で細かな突起を形成したOPP製のマットフィルムなどが利用できる。
【0044】
次に、本発明の包装材に用いるカッティングシートについて説明する。図3に掲げたものは、本発明に使用するカッティングシートの1例である。カッティングシート1には長手方向に切断容易加工が施されており、例えば図3(a)に示すようにカッティングシート1の略中央に、長手方向と平行にハーフカット線6を形成してなるものである。ハーフカットはダイカット、レーザーカット、超音波カットなどが利用可能である。
【0045】
ハーフカット線6は、図3(b)のように複数本形成したり、図3(c)のように、カッティングシート1の長手方向と角度をつけて形成することも可能である。また、切断容易加工として、図3(d)に示すように、ミシン線7を形成しても良い。さらに、図3(e)のように、カッティングシートに一方向(矢印C)に裂け易くした方向性シートを用いることも可能である。カッティングシートとして方向性シートを使用する場合には、カッティングシートにハーフカット等の加工を施す必要がなくなり、製造プロセスの短縮を図ることができる。
【0046】
カッティングシートと包装シートとの接着は、熱融着等により行うことが可能であり、カッティングシート全体を包装シートに接着することも可能であるが、ハーフカット線などを設けた部分は、包装シートと接着せず、又は、接着部分を少なくし、ハーフカット線に沿って容易にカッティングシートが切断されるよう構成することが好ましい。
【0047】
本発明の包装材は、特許文献1又は2のように包装シートに切断容易加工を施さず、カッティングシートのみに切断容易加工を施すことで、包装作業中などにハーフカット線等で亀裂が生じた場合でも、包装シートには亀裂が入っていないため、衛生的にも安全に物品を包装することができる。
【0048】
カッティングシートについては、図4に示すように、ハーフカット線6又はミシン線の少なくとも一端に、符号8のようなY字状のハーフカット又は切断を入れることで、包装材を開封した際の開封裂を良好にカッティングシート1の切断容易加工部(ハーフカット線6等)につなげ、容易に切断、開封することが可能となる。
【0049】
また、カッティングシートには、当該シートの左右側縁に保護加工を施すことで、カッティングシートを切断した際の切断線がカッティングシート外にはみ出すという不具合を防止することができる。保護加工としては、例えば図5に示すように、カッティングシート1の左右側縁に保護テープ9を張り付ける方法や、カッティングシートの左右側縁部を包装シートと密に密着させ、切断に対する機械的強度を高める方法等がある。
【0050】
包装材については、図6に示すように、カッティングシート1の端部付近に切込み10を入れ、包装材に容易に開封裂を与えることができる。切り込み10は、カッティングシート1だけでなく包装シート2と一体化した部分に、形成することも可能である。また、包装シートをカッティングシートの長手方向に垂直な直線に沿って折り曲げ、当該折り曲げた部分に切り込みを形成することも可能である。
【0051】
図7に示すように、包装シートを2枚用いて包装材を製造する場合において、内側包装シート2bと外側包装シート2aの大きさが、各々異なるように設定することも可能である。この場合、内側包装シート2bと外側包装シート2aとからなる包装材5の周縁部の厚みは、包装シート(外側包装シート2a)の1枚分の厚さとなる。このため、包装材5によって物品を包装して、周縁部を接着する際に、多くのシートが重なり厚さが厚くなるために発生する、接着不良などの不具合を防止することが可能となる。また、内側包装シート2aと外側包装シート2bのどちらを大きくするか、どの程度大きさに差をつけるか、等は任意に選択できることは言うまでも無い。
【0052】
図8は、カッティングシート1の長さが、カッティングシートが貼り付けられる包装シート2aの大きさよりも短い場合の実施例である。カッティングシート1の長さを、カッティングシート1が貼り付けられる外側包装シート2aの長さよりも短くすることで、図7と同様に、包装材5の周縁部を熱融着するときに厚さによって不具合が生じることを防止できる。
【0053】
しかも、カッティングシート1を接着した場合には、カッティングシートが裂け難くなるため、切断容易機能が発揮されなくなるおそれがあるが、カッティングシート1の長さを短くすることで、このような不具合も回避することができる。カッティングシート1の長さは、包装材5の周縁部を接着した際に、カッティングシート1が接着部にかからなければ十分であるが、内側包装シート2bと外側包装シート2aとを重ね合わせ、周縁部を接着してシート状の物品4を封入してなる包装材5を形成する場合においては、当該シート状の物品4の長さよりも長くすることが好ましい。
【0054】
図9は、1枚の包装シートを用いた包装材を用いて、握り飯を包装した場合の実施例である。図9(a)は、一枚の包装シートを用いた包装材3で、握り飯12を包装し、熱融着等により包装材の周縁部11を接着し、包装材の端部中央付近に切込み10を形成して、握り飯を封入している様子を示している。この際、切込みを包装シートだけでなく、カッティングシートに至るように形成することで、カッティングシートに確実に裂け目を発生させて、包装材をより容易に開封することができるようになる。また、カッティングシートの長さを包装シートの長さよりも短くすることで、カッティングシートと包装材の周縁部11とが重なり、不要な厚みが生じることを避けられる。
【0055】
図9(b)は、図9(a)に示した包装材を開封した場合の様子を示している。包装シートとカッティングシートの重なり部に切込み10が形成されているため、切込み10が形成されている位置を中心に、包装材3を左右に引っ張ったり捻ったりすることで、包装シートとカッティングシートを、切込み10の位置から容易に裂くことができるようになる。そして、包装材3に接着されているカッティングシートに切断容易加工が施されているため、包装材3を左右に引っ張ることで、カッティングシートに沿って包装材を容易に裂くことができ、包装された握り飯12を露出させることができる。カッティングシートの左右両側縁に保護加工を施すことで、切断線がカッティングシート外にはみ出さず、カッティングシートに沿って確実に切断することができる。さらに、カッティングシートの端部又は端部近傍に切込み10を形成している場合には、包装材3を切込みから裂くことで、容易に開封することができる。さらに、包装シート自体にはハーフカット等の加工が施されていないため、包装作業中や搬送中に包装シートが裂ける等の衛生上の不具合も発生しない。
【0056】
図10は、内側包装シートと外側包装シートとの間に海苔などのシート状の物品4を封入してなる包装材5を用いて、握り飯を包装した場合の実施例である。図10(a)は、内側包装シートと外側包装シートを用いて、海苔4を封入し、包装材の端部中央付近に切込み10を形成してなる包装材5で、握り飯12を包装し、熱融着等により包装材の周縁部11を接着して握り飯を封入している様子を示している。この際、切込みを包装シートだけでなく、カッティングシートに至るように形成することで、カッティングシートに確実に裂け目を発生させて、包装材をより容易に開封することができるようになる。また、カッティングシートの長さを包装シートの長さよりも短くすることで、カッティングシートと包装材の周縁部11とが重なり、不要な厚みが生じることを避けられる。
【0057】
図10(b)は、図10(a)に示した包装材を開封した場合の様子を示している。包装シートとカッティングシートの重なり部に切込み10が形成されているため、切込み10が形成されている位置を中心に、包装材3を左右に引っ張ったり捻ったりすることで、包装シートとカッティングシートを、切込み10の位置から容易に裂くことが可能となる。そして、包装材5に接着されているカッティングシートに切断容易加工が施されているため、包装材5を左右に引っ張ることで、カッティングシートに沿って包装材を容易に裂くことができ、包装された握り飯12を露出させることができる。カッティングシートの左右両側縁に保護加工を施すことで、切断線がカッティングシート外にはみ出さず、カッティングシートに沿って確実に切断することができる。さらに、カッティングシートの端部又は端部近傍に切込み10を形成している場合には、包装材5を切込みから裂くことで、容易に開封することができる。さらに、包装シート自体にはハーフカット等の加工が施されていないため、包装作業中や搬送中に包装シートが裂ける等の衛生上の不具合も発生しない。
【0058】
次に、本発明の包装材の製造方法について図面に基づき説明する。図11は、包装シート2を搬送する方向(矢印D方向)に対して直角にカッティングシート1を配置し、接着する場合の第1の実施例である。この場合、包装材を開封する方向は矢印方向と直角であるため、包装する物品は矢印方向と直角に配置することになる。当然、カッティングシート1の角度は、搬送方向に対して厳密に直角である必要は無い。
【0059】
図11のように、包装シート2に対してカッティングシート1を配置することで、包装材をロール状に巻きとった際にも、カッティングシートが特定位置に偏らず、均一に巻き取ることができ、保管や搬送時の安定性を高くすることができる。
【0060】
図12は、包装シート2を搬送する方向に対して直角にカッティングシート1を配置し、接着する場合の第2の実施例である。第1の実施例ではテープ状のカッティングシートを用いたが、本実施例ではロール状のカッティングシートを用いている。図12では、ロール状のカッティングシートをロールの回転軸方向に切断しながら使用している。このように、カッティングシートをロール状に形成する方が、テープ状に形成するよりもカッティングシートを大量に生産できるので、本実施例により包装材をより効率的に生産できる。
【0061】
図12においてカッティングシートを包装シートに接着させる場合、破線Eで示された部分でカッティングシートを切断することになるが、カッティングシートを接着した後に切断することも可能であるが、包装シートも同時に切断することが危惧される場合には、カッティングシートを包装シートに接着させる前に切断しても良い。
【0062】
図13は、包装シート2の搬送方向(矢印D方向)と平行にカッティングシー1を配置し、接着する場合の実施例である。この場合には、包装シート2とカッティングシート1と連続して張り付けることができ、包装材を効率良く製造することが可能となる。また、包装材を製造しながら引き続き、包装対象の物品を包装する工程に移ることもできる。包装材をロール状に巻き取る場合には、カッティングシートの位置が重なり、ロール状の一部が局所的に盛り上がり、保管等の安定性に欠ける危険性がある。
【0063】
図14に示すように、包装シート2に対してカッティングシート1を少なくとも2本以上、平行に配置し、接着して包装材を形成することも可能である。このような場合には、ロール状に巻き取っても、保管等する際に安定性を高くすることができる。このロールは、後述するように、包装シート2にカッティングシート1を張り付けた後、連続して包装シートの略中央で折り曲げ、内側包装シートと外側包装シートを重ね合わせて包装材を形成することもできる。
【0064】
図11乃至14の場合において、カッティングシートと包装シートとを接着させる場合には、接着材等を用いることも可能であるが、接着材が溶け出して衛生上の問題が生じるおそれがあるので、ヒーターによる熱融着によって接着させる方法を採用する場合が多い。ヒーターを用いて熱融着する際には、カッティングシートの切断容易加工が施されている部分は、包装シートと熱融着しないか、融着の強さを弱くすることが好ましい。
【0065】
図15は、ヒーター15のカッティングシートと接する部分の形状と、ヒーター15によって包装シートと熱融着された、カッティングシートの熱融着の様子を示した図である。図15(a)は、カッティングシート1の左右両側縁部は包装シートと強く接着され、切断容易加工6が施されているカッティングシート中央の部分は包装シートと弱く接着されるように、ヒーター15の中央部の窪みを、ヒーターの左右両側縁部から少しだけ凹ませて形成した場合の例である。この場合、強い熱融着部13によりカッティングシート1と包装シートは強固に接着され、弱い熱融着部14により、切断容易加工6が施されているカッティングシート中央の部分は、包装シートと弱く接着されているため、切断容易加工6の切断容易機能が、強い熱融着によって損なわれることがない。
【0066】
図15(b)は、カッティングシートに、ハーフカット等の切断容易加工6が複数施されている場合に、切断容易加工6が施されていない部分を強く接着し、切断容易加工6が施されている部分は接着しないように、ヒーターに溝状の加工を施した場合の例である。この場合、切断容易加工6を避けて強い熱融着部13が形成されるため、切断容易加工6の切断容易機能が損なわれることなく、カッティングシート1と包装シートとを強固に接着することができる。また、ヒーター15の凸部の幅を左右両側縁部は太くし、内側の凸部の幅を細くすることで、両側縁部の熱融着部分は保護加工として機能し、内側の熱融着部は切断容易機能を損なうことが無い。また、ヒーターの種類は図15に記載された種類に限定されるものではなく、例えば図15(b)の場合において、切断容易加工が施されてない部分を強く接着し、切断容易加工が施されている部分を、図15(a)の弱い熱融着部14と同程度に弱く接着するよう構成することも可能である。
【0067】
図16は、内側包装シート2bと外側包装シート2aとを重ね合わせて包装材を形成する場合の第1の実施例である。図16は、図13で示した包装シート(包装材)を一旦、ロール状に巻き取ったものを使用している。2本のロール状の包装シート(包装材)を、順次引き出し、包装するシート状の物品4を内側包装シート2bと外側包装シート2aとの間に配置し、周縁部を接着して封止している。
【0068】
図17は、内側包装シート2bと外側包装シート2aとを重ね合わせて包装材を形成する場合の第2の実施例である。本実施例では図11又は12で示した包装シートを用いている。2本のロール状の包装シート(包装材)を、順次引き出し、包装するシート状の物品を内側包装シート2bと外側包装シート2aとの間に配置し、周縁部を接着して封止している。
【0069】
図18は、包装シート2a及び2bにカッティングシート1a及び1bを接着させる工程の後、連続して内側包装シート2bと外側包装シート2aとを重ね合わせ、シート状の物品4を封入して包装材を製造する例である。また、図19は、1枚の包装シート2に対し、カッティングシート1を2本、平行に配置し、各々を接着した後、連続して包装シートの略中央(一点鎖線F)で折り曲げて内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせた状態とし、包装材を製造することも可能である。
【0070】
図18で示した実施例においては、シートの搬送方向と平行にカッティングシートを配置する包装材の製造方法について説明したが、本実施例に示した方法を、シートの搬送方向と直角にカッティングシートを配置する包装材の製造方法に用いることも当然可能である。またこの際に、カッティングシートを包装シートに接着させる方法として、図11、12何れの方法も選択可能であることは言うまでもない。
【0071】
以上、本発明の包装材及びその製造方法について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、包装シートにカッティングシートを接着させる位置、方向、本数等は適宜変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明によれば、包装材を開封する際の切断線が乱れることなく、良好に開封することのできると共に、衛生面でも安全な包装材及びその製造方法を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1 カッティングシート
2 包装シート
2a 外側包装シート
2b 内側包装シート
3,5 包装材
4 シート状物品
6 ハーフカット線
7 ミシン線
9 保護テープ
10 切込み
11 シート周縁接着部
12 握り飯
13 強い熱融着部
14 弱い熱融着部
15 ヒーター
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を包装する際に用いる包装材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品を包装する際に、開封のための切り込みが入ってる等種々の包装材が用いられ、また、コンビニやスーパーマーケット等で握り飯や寿司を販売するに際して、米飯部から生じる水分によって海苔が湿気ないように両者を分離して包装し、供食時に乾燥したままの海苔を米飯部に巻いて食することができるような包装材が用いられている。
【0003】
握り飯や寿司を食する際に包装材を開封する方法としては、例えば、包装材の米飯部と海苔とを分離するシート(内側包装シート)及び海苔を覆うシート(外側包装シート)に線状又は帯状の切断部を設け、該切断部を切断することで内側包装シート及び外側包装シートを同時に取り除き、米飯部と海苔とを一体として取り出して食する方法が提案されている。
【0004】
このような切断部の形成方法として、特許文献1では超音波を用いてハーフカットを形成する方法が開示されている。しかし、該形成方法によるとハーフカットの切断補助部は包装材の中央に1本のみ形成されるので、包装材を折り重ねたときに表裏の切断部がずれたり、ノッチ(切込み)からの開封裂が切断部に良好に伝わらない場合は切断補助部に沿って包装材を開封することができないという問題がある。
【0005】
これに対し、特許文献2では、内外側のシート・フィルムにおけるハーフカットの位置相互間にずれがあっても、ノッチからの開封裂を伝達できるように、外側シートに複数のハーフカットを形成してなる包装材が開示されている。しかし、ハーフカットが複数形成されていても、開封裂がハーフカットに対して垂直に近い角度で入ったり、勢いよく開封した場合には、やはりハーフカットに沿って良好に開封できないという問題がある。
【0006】
しかも、超音波カットによるハーフカットの形成は、非常に時間がかかり、高い精度も要求される。さらに、ハーフカットを使用した包装材は、包装作業や搬送作業、あるいは陳列作業に際して、包装材に引張り力が付加されると容易に裂けるため、衛生面で問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4264123号公報
【特許文献2】特許4467636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上述の問題を解消し、包装材を開封する際の切断線が乱れることなく、良好に開封することのできると共に、衛生面でも安全な包装材及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、包装シートの表面と裏面の少なくとも一方に、該包装シートより幅の狭いカッティングシートが接着され、該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されていることを特徴とする包装材である。
【0010】
請求項2に係る発明は、内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせ、周縁部を接着してシート状の物品を封入してなる包装材において、該内側包装シートと該外側包装シートの少なくとも一方には、当該包装シートの表面と裏面の少なくとも一方に、当該包装シートより幅の狭いカッティングシートが接着され、該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されていることを特徴とする包装材である。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の包装材において、該カッティングシートの左右側縁には、該カッティングシートを切断する際の切断線がカッティングシート外にはみだすことを防止するための保護加工が施されていることを特徴とする包装材である。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の包装材において、該保護加工は、保護テープが該カッティングシートに貼付けられていることであることを特徴とする包装材である。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の包装材において、該切断容易加工は、該カッティングシートに少なくとも1本以上のハーフカット線又はミシン線が形成されていることであることを特徴とする包装材である。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の包装材において、前記ハーフカット線又はミシン線の両端は、Y字状にハーフカット又は切断されていることを特徴とする包装材である。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の包装材において、該切断容易加工が、該カッティングシートに方向性シートを用いることであることを特徴とする包装材である。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項5乃至7のいずれかに記載の包装材において、該カッティングシートは、該カッティングシートが接着される該包装シートの長さよりも短いことを特徴とする包装材である。
【0017】
請求項9に係る発明は、請求項5乃至7のいずれかに記載の包装材において、該カッティングシートの端部付近には、切込みが形成されていることを特徴とする包装材である。
【0018】
請求項10に係る発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の包装材の製造方法において、該包装シートを搬送する方向に対して直角に該カッティングシートを配置し、接着することを特徴とする包材体の製造方法である。
【0019】
請求項11に係る発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の包装材の製造方法において、該包装シートを搬送する方向に対して平行に該カッティングシートを配置し、接着することを特徴とする包装材の製造方法である。
【0020】
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の包装材の製造方法において、該包装シートに対し、少なくとも2本以上のカッティングシートを平行に配置し、接着することを特徴とする包装材の製造方法である。
【0021】
請求項13に係る発明は、請求項2乃至9のいずれかに記載の包装材の製造方法において、該内側包装シートと該外側包装シートとを重ね合わせ、周縁部の少なくとも一部を接着する工程は、包装シートに該カッティングシートを接着させた後、連続して該包装シートの略中央で折り曲げ、該内側包装シートと該外側包装シートとを重ね合わせることを特徴とする包装材の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明により、包装材には、包装シートの表面と裏面の少なくとも一方に、該包装シートより幅の狭いカッティングシートが接着され、該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されているため、包装材を容易に開封することが可能となる。しかも、包装シートには、ハーフカット等の切断が容易となる加工が施されていないため、包装作業等により包装シートが裂けるなど、衛生上の不具合も発生しない。
【0023】
請求項2に係る発明により、内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせ、周縁部を接着してシート状の物品を封入してなる包装材において、該内側包装シートと外側包装シートの少なくとも一方には、当該包装シートの表面と裏面の少なくとも一方に、当該包装シートより幅の狭いカッティングシートが接着され、該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されているため、海苔等のシート状の物品を封入してある包装材においても、容易に開封することが可能となる。しかも、包装シートには、ハーフカット等の切断が容易となる加工が施されていないため、包装作業等により内側包装シート又は外側包装シートが裂け、衛生上の不具合が発生することもない。
【0024】
請求項3に係る発明により、カッティングシートの左右両側縁には、カッティングシートを切断する際の切断線が、カッティングシート外にはみ出すことを防止するための保護加工が施されているため、包装材を開封した際に生じる切断線がカッティングシート外にはみだすことなく、包装材を良好に開封することができる。
【0025】
請求項4に係る発明により、カッティングシートの左右両側縁には、保護加工として保護テープが貼り付けられているため、切断線がカッティングシート外にはみ出す危険性をより低くすることが可能となる。
【0026】
請求項5に係る発明により、カッティングシートには、切断容易加工として少なくとも1本以上のハーフカット線又はミシン線が形成されているため、カッティングシートを長手方向によりスムーズに切断することが可能となる。
【0027】
請求項6に係る発明により、カッティングシートに形成されたハーフカット線又はミシン線の両端は、Y字状にハーフカット又は切断されているため、包装材を開封した際の開封裂をスムーズにカッティングシートの切断容易加工部(ハーフカット線又はミシン線)に導くことができる。
【0028】
請求項7に係る発明により、カッティングシートには、切断容易加工として方向性シートが用いられているため、ハーフカット等の加工を施さずともカッティングシートを長手方向に容易に切断することが可能となる。
【0029】
請求項8に係る発明により、カッティングシートの長さは、カッティングシートが接着される包装シートの長さよりも短いため、包装シートの周辺を接着して物品を包装した際に、包装シートとカッティングシートが接着部で重なり、切断し難くなるなどの不具合が発生することを抑制することができる。
【0030】
請求項9に係る発明により、カッティングシートの端部付近には切込みが形成されているため、包装材を開封する際に容易に切断することができる。
【0031】
請求項10に係る発明により、包装材は、包装シートが搬送される方向と直角にカッティングシートを配置し、接着することにより製造されるため、包装材をロール状に巻いた場合でも、カッティングシートが特定位置に偏らず、均一に巻き取ることができ、保管や搬送時の安定性が高い。
【0032】
請求項11に係る発明により、包装材は、包装シートが搬送される方向と平行にカッティングシートを配置し、接着することにより製造されるため、カッティングシートと包装シートを連続的に搬送しながら両者を接着することができ、包装材を効率良く製造することが可能となる。
【0033】
請求項12に係る発明により、包装材は、包装シートに対して、少なくとも2本以上のカッティングシートを平行に配置し、接着することにより製造されるため、カッティングシートを1本だけ包装シートに対して平行に配置し、接着する場合に比べて、包装材を巻き取った際にカッティングシート部分だけが盛り上がって不安定になるという事態が避けられ、保管や搬送時の安定性が高い。
【0034】
請求項13に係る発明により、包装材を製造する工程において、内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせ、周縁部の少なくとも一部を接着する工程は、包装シートにカッティングシートを接着させた後、連続して包装シートの略中央で折り曲げ、内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせることにより行われるため、包装材を保管する必要がなく、需要に合わせて、包装シートとカッティングシートから連続して包装材を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る包装材において、1枚の包装シートを用いる場合を説明する図である。
【図2】本発明に係る包装材において、内側包装シートと外側包装シートとを用いる場合を説明する図である。
【図3】本発明に使用するカッティングシートの説明図である。
【図4】本発明に使用するカッティングシートにY字状のハーフカット等を設けた例を説明する図である。
【図5】本発明に使用するカッティングシートに保護テープを設けた例を説明する図である。
【図6】本発明に係る包装材に、切込みを設けた例を説明する図である。
【図7】本発明に係る包装材において、一方の包装シートの長さを他方より短くした場合を説明する図である。
【図8】本発明に係る包装材において、カッティングシートの長さを包装シートより短くした場合を説明する図である。
【図9】本発明に係る、1枚の包装シートを用いた包装材を用いて、握り飯を包装した例を説明する図である。
【図10】本発明に係る、内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせ、シート状の物品を封入してなる包装材を用いて、握り飯を包装した例を説明する図である。
【図11】本発明に係る包装材の製造方法において、包装シートの搬送方向に対して直角にカッティングシートを配置する第1の例を説明する図である。
【図12】本発明に係る包装材の製造方法において、包装シートの搬送方法に対して直角にカッティングシートを配置する第2の例を説明する図である。
【図13】本発明に係る包装材の製造方法において、包装シートの搬送方向に対して平行にカッティングシートを配置する例を説明する図である。
【図14】本発明に係る包装材の製造方法において、包装シートの搬送方向に対して平行に2本のカッティングシートを配置する例を説明する図である。
【図15】本発明に係る包装材の製造方法において、包装シートとカッティングシートとを熱融着する際に用いるヒーターの、包装シートと接する部分の形状並びにカッティングシートに形成される熱融着部について説明する図である。
【図16】本発明に係る、包装シートの搬送方向に対して平行にカッティングシートが配置された包装材の製造方法において、内側包装シートと外側包装シートとの間にシート状物品を封入する様子を説明する図である。
【図17】本発明に係る、包装シートの搬送方向に対して直角にカッティングシートが配置された包装材の製造方法において、内側包装シートと外側包装シートとの間にシート状物品を封入する様子を説明する図である。
【図18】本発明に係る包装材の製造方法において、内側包装シートと外側包装シートにカッティングシートを接着すると共に、連続して、2枚の包装シート間にシート状物品を封入する様子を説明する図である。
【図19】本発明に係る包装材の製造方法において、包装シートにカッティングシートを接着すると共に、連続して、当該包装シートを折り曲げて、内側包装シートと外側包装シートの重ね合わせを形成する工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明に係る包装材及びその製造方法について以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の包装材について、1枚の包装シートを用いる場合の例を説明する図である。図1(a)は、包装材3として、カッティングシート1を、包装シート2の略中央に、包装シート2の長手方向と平行に、接着した場合を示している。カッティングシート1は、包装シート2の表面(物品を包装した際に外気に触れる面)と裏面(物品を包装した際に物品に触れる面)の少なくとも一方に接着される。
【0037】
カッティングシート1は、後述するように、長手方向に切断容易加工が施されている。包装材3は、特許文献1又は2に示すように、握り飯等の物品を包装するのに使用される。包装後は、熱融着などで、包装材の周囲が封止される。包装材を開封する際には、カッティングシート1を長手方向に沿って切断することで、包装シート2自体にハーフカットなどの加工が施されていなくても、カッティングシートの切断に合せて、包装シート2も切断、開封することができる。また、後述するように、左右側縁に保護加工が施されているカッティングシートを用いれば、切断線がカッティングシート外にはみ出すという不具合を防止することができる。
【0038】
カッティングシート1は、包装シート2の表裏のいずれか一方に接着しても、また、両面に接着しても良い。包装シート2に対してカッティングシート1を接着させる位置は、包装する物品によって、図1(a)のように略中央でも、図1(b)のように中央からずれた位置にも接着することができる。さらに、図1(c)図のように、包装シート2の長手方向と角度をつけた向きで接着することもできる。また、図1(d)のように、包装する物品の種類や用途に応じて、一枚の包装シートに複数本のカッティングシート1を接着することもできる。
【0039】
図2は、本発明の包装材において、内側包装シート2b(物品を包装した際に物品と接するシート)と外側包装シート2a(物品を包装した際に外気と接するシート)とを重ね合わせた包装材を示している。図2(b)は、図2(a)の矢印A−A’における断面図である。
【0040】
内側包装シート2bと外側包装シート2aの各々には、カッティングシート1a及び1bが設けられている。カッティングシートは内側包装シート又は外側包装シートの何れか一方のみに設けても良いし、2枚の包装シートを重ね合わせた際に、カッティングシートが内側又は外側の何れに配置されても良い。
【0041】
内側包装シート2bと外側包装シート2aとの間には、海苔などのシート状物品4が封入され、当該包装シートの周縁部は、点線Bで示した位置を熱融着などで接着される。
【0042】
2枚の包装シート2a、2bを接着させて包装材5を形成する場合でも、図1の1枚の包装シート3と同様に、包装材5で握り飯などを包装し、包装材の周囲を熱融着などで、封止する。包装材を切断する際は、カッティングシートを境に包装シート2a,2bを両側に引張ることで、カッティングシート1a,1bを容易に切断でき、それに合わせて包装シートも同様に切断される。2枚の包装シート2a,2bが共に切断されることで、握り飯等の物品に対してシート状物品4を巻き付けた状態で、包装した物品を取り出すことができる。
【0043】
包装シートには、熱融着が可能なOPPフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム)が好適に用いることが可能である。また、握り飯などの水分を含む物品を包装する場合には、物品と内側包装シート2bとの密着を防ぐため、エンボス加工等で細かな突起を形成したOPP製のマットフィルムなどが利用できる。
【0044】
次に、本発明の包装材に用いるカッティングシートについて説明する。図3に掲げたものは、本発明に使用するカッティングシートの1例である。カッティングシート1には長手方向に切断容易加工が施されており、例えば図3(a)に示すようにカッティングシート1の略中央に、長手方向と平行にハーフカット線6を形成してなるものである。ハーフカットはダイカット、レーザーカット、超音波カットなどが利用可能である。
【0045】
ハーフカット線6は、図3(b)のように複数本形成したり、図3(c)のように、カッティングシート1の長手方向と角度をつけて形成することも可能である。また、切断容易加工として、図3(d)に示すように、ミシン線7を形成しても良い。さらに、図3(e)のように、カッティングシートに一方向(矢印C)に裂け易くした方向性シートを用いることも可能である。カッティングシートとして方向性シートを使用する場合には、カッティングシートにハーフカット等の加工を施す必要がなくなり、製造プロセスの短縮を図ることができる。
【0046】
カッティングシートと包装シートとの接着は、熱融着等により行うことが可能であり、カッティングシート全体を包装シートに接着することも可能であるが、ハーフカット線などを設けた部分は、包装シートと接着せず、又は、接着部分を少なくし、ハーフカット線に沿って容易にカッティングシートが切断されるよう構成することが好ましい。
【0047】
本発明の包装材は、特許文献1又は2のように包装シートに切断容易加工を施さず、カッティングシートのみに切断容易加工を施すことで、包装作業中などにハーフカット線等で亀裂が生じた場合でも、包装シートには亀裂が入っていないため、衛生的にも安全に物品を包装することができる。
【0048】
カッティングシートについては、図4に示すように、ハーフカット線6又はミシン線の少なくとも一端に、符号8のようなY字状のハーフカット又は切断を入れることで、包装材を開封した際の開封裂を良好にカッティングシート1の切断容易加工部(ハーフカット線6等)につなげ、容易に切断、開封することが可能となる。
【0049】
また、カッティングシートには、当該シートの左右側縁に保護加工を施すことで、カッティングシートを切断した際の切断線がカッティングシート外にはみ出すという不具合を防止することができる。保護加工としては、例えば図5に示すように、カッティングシート1の左右側縁に保護テープ9を張り付ける方法や、カッティングシートの左右側縁部を包装シートと密に密着させ、切断に対する機械的強度を高める方法等がある。
【0050】
包装材については、図6に示すように、カッティングシート1の端部付近に切込み10を入れ、包装材に容易に開封裂を与えることができる。切り込み10は、カッティングシート1だけでなく包装シート2と一体化した部分に、形成することも可能である。また、包装シートをカッティングシートの長手方向に垂直な直線に沿って折り曲げ、当該折り曲げた部分に切り込みを形成することも可能である。
【0051】
図7に示すように、包装シートを2枚用いて包装材を製造する場合において、内側包装シート2bと外側包装シート2aの大きさが、各々異なるように設定することも可能である。この場合、内側包装シート2bと外側包装シート2aとからなる包装材5の周縁部の厚みは、包装シート(外側包装シート2a)の1枚分の厚さとなる。このため、包装材5によって物品を包装して、周縁部を接着する際に、多くのシートが重なり厚さが厚くなるために発生する、接着不良などの不具合を防止することが可能となる。また、内側包装シート2aと外側包装シート2bのどちらを大きくするか、どの程度大きさに差をつけるか、等は任意に選択できることは言うまでも無い。
【0052】
図8は、カッティングシート1の長さが、カッティングシートが貼り付けられる包装シート2aの大きさよりも短い場合の実施例である。カッティングシート1の長さを、カッティングシート1が貼り付けられる外側包装シート2aの長さよりも短くすることで、図7と同様に、包装材5の周縁部を熱融着するときに厚さによって不具合が生じることを防止できる。
【0053】
しかも、カッティングシート1を接着した場合には、カッティングシートが裂け難くなるため、切断容易機能が発揮されなくなるおそれがあるが、カッティングシート1の長さを短くすることで、このような不具合も回避することができる。カッティングシート1の長さは、包装材5の周縁部を接着した際に、カッティングシート1が接着部にかからなければ十分であるが、内側包装シート2bと外側包装シート2aとを重ね合わせ、周縁部を接着してシート状の物品4を封入してなる包装材5を形成する場合においては、当該シート状の物品4の長さよりも長くすることが好ましい。
【0054】
図9は、1枚の包装シートを用いた包装材を用いて、握り飯を包装した場合の実施例である。図9(a)は、一枚の包装シートを用いた包装材3で、握り飯12を包装し、熱融着等により包装材の周縁部11を接着し、包装材の端部中央付近に切込み10を形成して、握り飯を封入している様子を示している。この際、切込みを包装シートだけでなく、カッティングシートに至るように形成することで、カッティングシートに確実に裂け目を発生させて、包装材をより容易に開封することができるようになる。また、カッティングシートの長さを包装シートの長さよりも短くすることで、カッティングシートと包装材の周縁部11とが重なり、不要な厚みが生じることを避けられる。
【0055】
図9(b)は、図9(a)に示した包装材を開封した場合の様子を示している。包装シートとカッティングシートの重なり部に切込み10が形成されているため、切込み10が形成されている位置を中心に、包装材3を左右に引っ張ったり捻ったりすることで、包装シートとカッティングシートを、切込み10の位置から容易に裂くことができるようになる。そして、包装材3に接着されているカッティングシートに切断容易加工が施されているため、包装材3を左右に引っ張ることで、カッティングシートに沿って包装材を容易に裂くことができ、包装された握り飯12を露出させることができる。カッティングシートの左右両側縁に保護加工を施すことで、切断線がカッティングシート外にはみ出さず、カッティングシートに沿って確実に切断することができる。さらに、カッティングシートの端部又は端部近傍に切込み10を形成している場合には、包装材3を切込みから裂くことで、容易に開封することができる。さらに、包装シート自体にはハーフカット等の加工が施されていないため、包装作業中や搬送中に包装シートが裂ける等の衛生上の不具合も発生しない。
【0056】
図10は、内側包装シートと外側包装シートとの間に海苔などのシート状の物品4を封入してなる包装材5を用いて、握り飯を包装した場合の実施例である。図10(a)は、内側包装シートと外側包装シートを用いて、海苔4を封入し、包装材の端部中央付近に切込み10を形成してなる包装材5で、握り飯12を包装し、熱融着等により包装材の周縁部11を接着して握り飯を封入している様子を示している。この際、切込みを包装シートだけでなく、カッティングシートに至るように形成することで、カッティングシートに確実に裂け目を発生させて、包装材をより容易に開封することができるようになる。また、カッティングシートの長さを包装シートの長さよりも短くすることで、カッティングシートと包装材の周縁部11とが重なり、不要な厚みが生じることを避けられる。
【0057】
図10(b)は、図10(a)に示した包装材を開封した場合の様子を示している。包装シートとカッティングシートの重なり部に切込み10が形成されているため、切込み10が形成されている位置を中心に、包装材3を左右に引っ張ったり捻ったりすることで、包装シートとカッティングシートを、切込み10の位置から容易に裂くことが可能となる。そして、包装材5に接着されているカッティングシートに切断容易加工が施されているため、包装材5を左右に引っ張ることで、カッティングシートに沿って包装材を容易に裂くことができ、包装された握り飯12を露出させることができる。カッティングシートの左右両側縁に保護加工を施すことで、切断線がカッティングシート外にはみ出さず、カッティングシートに沿って確実に切断することができる。さらに、カッティングシートの端部又は端部近傍に切込み10を形成している場合には、包装材5を切込みから裂くことで、容易に開封することができる。さらに、包装シート自体にはハーフカット等の加工が施されていないため、包装作業中や搬送中に包装シートが裂ける等の衛生上の不具合も発生しない。
【0058】
次に、本発明の包装材の製造方法について図面に基づき説明する。図11は、包装シート2を搬送する方向(矢印D方向)に対して直角にカッティングシート1を配置し、接着する場合の第1の実施例である。この場合、包装材を開封する方向は矢印方向と直角であるため、包装する物品は矢印方向と直角に配置することになる。当然、カッティングシート1の角度は、搬送方向に対して厳密に直角である必要は無い。
【0059】
図11のように、包装シート2に対してカッティングシート1を配置することで、包装材をロール状に巻きとった際にも、カッティングシートが特定位置に偏らず、均一に巻き取ることができ、保管や搬送時の安定性を高くすることができる。
【0060】
図12は、包装シート2を搬送する方向に対して直角にカッティングシート1を配置し、接着する場合の第2の実施例である。第1の実施例ではテープ状のカッティングシートを用いたが、本実施例ではロール状のカッティングシートを用いている。図12では、ロール状のカッティングシートをロールの回転軸方向に切断しながら使用している。このように、カッティングシートをロール状に形成する方が、テープ状に形成するよりもカッティングシートを大量に生産できるので、本実施例により包装材をより効率的に生産できる。
【0061】
図12においてカッティングシートを包装シートに接着させる場合、破線Eで示された部分でカッティングシートを切断することになるが、カッティングシートを接着した後に切断することも可能であるが、包装シートも同時に切断することが危惧される場合には、カッティングシートを包装シートに接着させる前に切断しても良い。
【0062】
図13は、包装シート2の搬送方向(矢印D方向)と平行にカッティングシー1を配置し、接着する場合の実施例である。この場合には、包装シート2とカッティングシート1と連続して張り付けることができ、包装材を効率良く製造することが可能となる。また、包装材を製造しながら引き続き、包装対象の物品を包装する工程に移ることもできる。包装材をロール状に巻き取る場合には、カッティングシートの位置が重なり、ロール状の一部が局所的に盛り上がり、保管等の安定性に欠ける危険性がある。
【0063】
図14に示すように、包装シート2に対してカッティングシート1を少なくとも2本以上、平行に配置し、接着して包装材を形成することも可能である。このような場合には、ロール状に巻き取っても、保管等する際に安定性を高くすることができる。このロールは、後述するように、包装シート2にカッティングシート1を張り付けた後、連続して包装シートの略中央で折り曲げ、内側包装シートと外側包装シートを重ね合わせて包装材を形成することもできる。
【0064】
図11乃至14の場合において、カッティングシートと包装シートとを接着させる場合には、接着材等を用いることも可能であるが、接着材が溶け出して衛生上の問題が生じるおそれがあるので、ヒーターによる熱融着によって接着させる方法を採用する場合が多い。ヒーターを用いて熱融着する際には、カッティングシートの切断容易加工が施されている部分は、包装シートと熱融着しないか、融着の強さを弱くすることが好ましい。
【0065】
図15は、ヒーター15のカッティングシートと接する部分の形状と、ヒーター15によって包装シートと熱融着された、カッティングシートの熱融着の様子を示した図である。図15(a)は、カッティングシート1の左右両側縁部は包装シートと強く接着され、切断容易加工6が施されているカッティングシート中央の部分は包装シートと弱く接着されるように、ヒーター15の中央部の窪みを、ヒーターの左右両側縁部から少しだけ凹ませて形成した場合の例である。この場合、強い熱融着部13によりカッティングシート1と包装シートは強固に接着され、弱い熱融着部14により、切断容易加工6が施されているカッティングシート中央の部分は、包装シートと弱く接着されているため、切断容易加工6の切断容易機能が、強い熱融着によって損なわれることがない。
【0066】
図15(b)は、カッティングシートに、ハーフカット等の切断容易加工6が複数施されている場合に、切断容易加工6が施されていない部分を強く接着し、切断容易加工6が施されている部分は接着しないように、ヒーターに溝状の加工を施した場合の例である。この場合、切断容易加工6を避けて強い熱融着部13が形成されるため、切断容易加工6の切断容易機能が損なわれることなく、カッティングシート1と包装シートとを強固に接着することができる。また、ヒーター15の凸部の幅を左右両側縁部は太くし、内側の凸部の幅を細くすることで、両側縁部の熱融着部分は保護加工として機能し、内側の熱融着部は切断容易機能を損なうことが無い。また、ヒーターの種類は図15に記載された種類に限定されるものではなく、例えば図15(b)の場合において、切断容易加工が施されてない部分を強く接着し、切断容易加工が施されている部分を、図15(a)の弱い熱融着部14と同程度に弱く接着するよう構成することも可能である。
【0067】
図16は、内側包装シート2bと外側包装シート2aとを重ね合わせて包装材を形成する場合の第1の実施例である。図16は、図13で示した包装シート(包装材)を一旦、ロール状に巻き取ったものを使用している。2本のロール状の包装シート(包装材)を、順次引き出し、包装するシート状の物品4を内側包装シート2bと外側包装シート2aとの間に配置し、周縁部を接着して封止している。
【0068】
図17は、内側包装シート2bと外側包装シート2aとを重ね合わせて包装材を形成する場合の第2の実施例である。本実施例では図11又は12で示した包装シートを用いている。2本のロール状の包装シート(包装材)を、順次引き出し、包装するシート状の物品を内側包装シート2bと外側包装シート2aとの間に配置し、周縁部を接着して封止している。
【0069】
図18は、包装シート2a及び2bにカッティングシート1a及び1bを接着させる工程の後、連続して内側包装シート2bと外側包装シート2aとを重ね合わせ、シート状の物品4を封入して包装材を製造する例である。また、図19は、1枚の包装シート2に対し、カッティングシート1を2本、平行に配置し、各々を接着した後、連続して包装シートの略中央(一点鎖線F)で折り曲げて内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせた状態とし、包装材を製造することも可能である。
【0070】
図18で示した実施例においては、シートの搬送方向と平行にカッティングシートを配置する包装材の製造方法について説明したが、本実施例に示した方法を、シートの搬送方向と直角にカッティングシートを配置する包装材の製造方法に用いることも当然可能である。またこの際に、カッティングシートを包装シートに接着させる方法として、図11、12何れの方法も選択可能であることは言うまでもない。
【0071】
以上、本発明の包装材及びその製造方法について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、包装シートにカッティングシートを接着させる位置、方向、本数等は適宜変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明によれば、包装材を開封する際の切断線が乱れることなく、良好に開封することのできると共に、衛生面でも安全な包装材及びその製造方法を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1 カッティングシート
2 包装シート
2a 外側包装シート
2b 内側包装シート
3,5 包装材
4 シート状物品
6 ハーフカット線
7 ミシン線
9 保護テープ
10 切込み
11 シート周縁接着部
12 握り飯
13 強い熱融着部
14 弱い熱融着部
15 ヒーター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装シートの表面と裏面の少なくとも一方に、該包装シートより幅の狭いカッティングシートが接着され、
該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されていることを特徴とする包装材。
【請求項2】
内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせ、周縁部を接着してシート状の物品を封入してなる包装材において、
該内側包装シートと該外側包装シートの少なくとも一方には、当該包装シートの表面と裏面の少なくとも一方に、当該包装シートより幅の狭いカッティングシートが接着され、
該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されていることを特徴とする包装材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包装材において、該カッティングシートの左右側縁には、該カッティングシートを切断する際の切断線が、該カッティングシート外にはみだすことを防止するための保護加工が施されていることを特徴とする包装材。
【請求項4】
請求項3に記載の包装材において、該保護加工は、保護テープが該カッティングシートに貼付けられていることであることを特徴とする包装材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の包装材において、該切断容易加工は、該カッティングシートに少なくとも1本以上のハーフカット線又はミシン線が形成されていることであることを特徴とする包装材。
【請求項6】
請求項5に記載の包装材において、前記ハーフカット線又はミシン線の両端は、Y字状にハーフカット又は切断されていることを特徴とする包装材。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の包装材において、該切断容易加工が、該カッティングシートに方向性シートを用いることであることを特徴とする包装材。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載の包装材において、該カッティングシートは、該カッティングシートが接着される該包装シートの長さよりも短いことを特徴とする包装材。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれかに記載の包装材において、該カッティングシートの端部付近には、切込みが形成されていることを特徴とする包装材。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の包装材の製造方法において、該包装シートを搬送する方向に対して直角に該カッティングシートを配置し、接着することを特徴とする包装材の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかに記載の包装材の製造方法において、該包装シートを搬送する方向に対して平行に該カッティングシートを配置し、接着することを特徴とする包装材の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の包装材の製造方法において、該包装シートに対し、少なくとも2本以上のカッティングシートを平行に配置し、接着することを特徴とする包装材の製造方法。
【請求項13】
請求項2乃至9のいずれかに記載の包装材の製造方法において、該内側包装シートと該外側包装シートとを重ね合わせ、周縁部の少なくとも一部を接着する工程は、包装シートに該カッティングシートを接着させた後、連続して該包装シートの略中央で折り曲げ、該内側包装シートと該外側包装シートとを重ね合わせることを特徴とする包装材の製造方法。
【請求項1】
包装シートの表面と裏面の少なくとも一方に、該包装シートより幅の狭いカッティングシートが接着され、
該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されていることを特徴とする包装材。
【請求項2】
内側包装シートと外側包装シートとを重ね合わせ、周縁部を接着してシート状の物品を封入してなる包装材において、
該内側包装シートと該外側包装シートの少なくとも一方には、当該包装シートの表面と裏面の少なくとも一方に、当該包装シートより幅の狭いカッティングシートが接着され、
該カッティングシートは、長手方向に切断しやすくなる切断容易加工が施されていることを特徴とする包装材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包装材において、該カッティングシートの左右側縁には、該カッティングシートを切断する際の切断線が、該カッティングシート外にはみだすことを防止するための保護加工が施されていることを特徴とする包装材。
【請求項4】
請求項3に記載の包装材において、該保護加工は、保護テープが該カッティングシートに貼付けられていることであることを特徴とする包装材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の包装材において、該切断容易加工は、該カッティングシートに少なくとも1本以上のハーフカット線又はミシン線が形成されていることであることを特徴とする包装材。
【請求項6】
請求項5に記載の包装材において、前記ハーフカット線又はミシン線の両端は、Y字状にハーフカット又は切断されていることを特徴とする包装材。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかに記載の包装材において、該切断容易加工が、該カッティングシートに方向性シートを用いることであることを特徴とする包装材。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載の包装材において、該カッティングシートは、該カッティングシートが接着される該包装シートの長さよりも短いことを特徴とする包装材。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれかに記載の包装材において、該カッティングシートの端部付近には、切込みが形成されていることを特徴とする包装材。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の包装材の製造方法において、該包装シートを搬送する方向に対して直角に該カッティングシートを配置し、接着することを特徴とする包装材の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかに記載の包装材の製造方法において、該包装シートを搬送する方向に対して平行に該カッティングシートを配置し、接着することを特徴とする包装材の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の包装材の製造方法において、該包装シートに対し、少なくとも2本以上のカッティングシートを平行に配置し、接着することを特徴とする包装材の製造方法。
【請求項13】
請求項2乃至9のいずれかに記載の包装材の製造方法において、該内側包装シートと該外側包装シートとを重ね合わせ、周縁部の少なくとも一部を接着する工程は、包装シートに該カッティングシートを接着させた後、連続して該包装シートの略中央で折り曲げ、該内側包装シートと該外側包装シートとを重ね合わせることを特徴とする包装材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−184007(P2012−184007A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46466(P2011−46466)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(506293177)信和産業株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(506293177)信和産業株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
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