説明

包装材及びその製造方法

【課題】アクリロニトリル共重合体の非吸着性を十分維持しつつ、品質良く多層共押出する。
【解決手段】非吸着性包装材1は、基材フィルム2及び非吸着性シーラントフィルム3が順次積層された包装材であって、非吸着性シーラントフィルム3が、ポリオレフィン樹脂4、接着性樹脂5、及びアクリロニトリル共重合体樹脂6の順序で積層されており、アクリロニトリル共重合体樹脂6の平均分子量が、60000以上から140000以下の範囲内である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非吸着性に優れた包装材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物の有効成分に対する非吸着性に優れた包装材(以下、非吸着性包装材)として、金属箔を含む積層体や金属の蒸着層を形成したプラスチックフィルムを含む積層体が広く使用されており、袋状の容器に成形されて使用されている(例えば特許文献1〜4参照)。ここで、前記金属としては、コストや加工性の点でアルミニウム箔が多く使用されている。
【0003】
ところが、金属箔や金属蒸着層は、非吸着性を発揮する厚さとした場合には不透明となり、包装材として使用した際の内容物の視認の妨げになったり、内容物への金属混入を避けるための金属探知の妨げになったりする欠点があった。
さらに、非吸着性包装材のヒートシール性を保ちつつ最内面に金属箔や金属蒸着層を設けることが困難なため、金属箔や金属蒸着層の持つ非吸着性を最大限に発揮させることが難しかった。
【0004】
これに対し、アクリロニトリル共重合体の樹脂は、前述のような問題が無く、十分に非吸着性材料として実用できるため、非吸着性包装材の構成中に一般的に使用されている。さらに、アクリロニトリル共重合体は、香気成分を透過させない、保香性材料としても知られている。
このアクリロニトリル共重合体は、例えば20μm以上から30μm以下の範囲内のフィルムとして提供されており、他の基材フィルムとドライラミネート、あるいはサンドラミネートされ、包装材の一部を構成するのが一般的である。
【0005】
また、アクリロニトリル共重合体を溶液化しコーティングする方法も提案されているが、アクリロニトリル共重合体は、量産適性のある一般的な溶媒には溶解しないため、コーティングにより膜成型させることは容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-170445号公報
【特許文献2】WO2003/043895号公報
【特許文献3】特開2004−210356号公報
【特許文献4】特開2007−099324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アクリロニトリル共重合体は、前述のようにフィルム状態で使用され、包装材とするために、基材フィルムとラミネートする方法が一般的であるが、近年工程数削減のため、基材フィルムとアクリロニトリル共重合体を含む複数種樹脂とを多層共押出ラミネートする方法が試みられている。
一般に、アクリロニトリル共重合体樹脂は、ポリオレフィン樹脂等と比較して溶融粘度が高く、また、溶融粘度を低下させるために過剰に加熱すると炭化し硬化してしまう。
【0008】
そのため、アクリロニトリル共重合体樹脂を含む複数種樹脂を多層共押出するのは困難であったが、誠意研究を重ねた結果、アクリロニトリル共重合体の分子量を選択することによって、アクリロニトリル共重合体の非吸着性を十分維持しつつ、品質良く多層共押出する方法を見出した。
本発明の目的は、アクリロニトリル共重合体の非吸着性を十分維持しつつ、品質良く多層共押出することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、基材フィルム及び非吸着性シーラントフィルムが順次積層された包装材であって、前記非吸着性シーラントフィルムが、ポリオレフィン樹脂、接着性樹脂、及びアクリロニトリル共重合体樹脂の順序で積層されており、前記アクリロニトリル共重合体樹脂の平均分子量が、60000以上から140000以下の範囲内であることを特徴とする包装材である。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記非吸着性シーラントフィルムは、前記ポリオレフィン樹脂の面が前記基材フィルムに対して積層されていることを特徴とする包装材である。
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記基材フィルムは、延伸フィルムからなり、前記基材フィルムの前記非吸着性シーラントフィルムが積層される面に印刷層が形成されることを特徴とする包装材である。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の包装材の製造方法であって、前記非吸着性シーラントフィルムが、前記ポリオレフィン樹脂、前記接着性樹脂、及び前記アクリロニトリル共重合体樹脂の順で共押出製膜されており、前記基材フィルムと前記非吸着性シーラントフィルムとを押出ラミネートすることを特徴とする包装材の製造方法である。
【0012】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の包装材の製造方法であって、前記非吸着性シーラントフィルムが、ポリオレフィン樹脂、前記接着性樹脂、及び前記アクリロニトリル共重合体樹脂の順で共押出製膜されており、前記基材フィルムと前記非吸着性シーラントフィルムとをニーラムラミネートすることを特徴とする包装材の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アクリロニトリル共重合体の非吸着性を十分維持しつつ、シーラントフィルムの強度低下や、包み込み現象、ネックイン等の押出外観不良のない、アクリロニトリル共重合体を含む複数種樹脂を多層共押出製膜した非吸着シーラントフィルムを得ることができる。
また、本発明によれば、基材フィルムを延伸フィルムとし、基材フィルムの非吸着性シーラントフィルムが積層される面に印刷層を形成することにより、印刷層が保護され、医薬品等の包装に適した包装材となる。
【0014】
また、本発明によれば、包装材の製造方法では、基材フィルムと非吸着性シーラント多層共押出フィルムとを同一工程にて、共押出ラミネートあるいはニーラムラミネートするため、基材フィルムと非吸着性シーラントフィルムを別工程にてラミネートする必要が無く、包装材の製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の非吸着性包装材の構成例を示す断面図である。
【図2】実施例1、2、及び3並びに比較例1の包装材のヒートシール強度を測定した結果を示す図である。
【図3】実施例1、2、及び3並びに比較例1及び2の包装材のフルルビプロフェン吸着量を測定した結果を示す図である。
【図4】実施例1、2、及び3並びに比較例1の包装材のフルルビプロフェン吸着量を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態は、本発明を適用した非吸着性包装材である。
図1は、本実施形態の非吸着性包装材1の構成例を示す図である。
図1に示すように、非吸着性包装材1は、基材フィルム2及び非吸着性シーラントフィルム3が順次積層された包装材である。
【0017】
基材フィルム2は、包装材の主たる層であり、包装材1に機械的強度、テアー性、スリップ性、耐熱性という性質を与える。好ましい材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミドフィルム、あるいはポリプロピレンフィルムなどの、機械的強度に優れた材料を使用できる。特に、これらの1軸又は2軸延伸フィルムを使用することが好ましい。また、これらのフィルムには、必要に応じて周知の添加剤、例えば、静電防止剤やスリップ剤、防曇剤、紫外線吸収剤などを添加することができる。また、必要に応じて、周知の処理、例えば、コロナ放電処理やオゾン処理、フレーム処理等を施すことができる。
【0018】
この基材フィルム2の厚さは、特に制限はないが、12μm以上から40μm以下の範囲とすることが好ましい。
また、包装材1には、通常、印刷層7が形成されるが、図1に示すように、基材フィルム2の非吸着性シーラントフィルム3が積層される面に形成することが好ましい。この印刷層7の形成方法は、特に制限されることはなく、例えばオフセット印刷やグラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷、パッド印刷など、様々な印刷方法から適宜選択すれば良い。また、図1中、8は、接着剤層又はアンカーコート層を示す。
【0019】
また、基材フィルム2は、風合いの付与や剛度付与目的のために、フィルムの外面側又は内面側に紙又は不織布を積層する2層構成や、内容物の化学的反応防止目的のためにアルミニウム箔を積層する2層構成としても良い。
基材フィルム2に積層されている非吸着性シーラントフィルム3は、ポリオレフィン樹脂4、接着性樹脂5、及びアクリロニトリル共重合体樹脂6により構成される。具体的には、非吸着性シーラントフィルム3は、ポリオレフィン樹脂4、接着性樹脂5、及びアクリロニトリル共重合体樹脂6の順序で共押出製膜される。
【0020】
また、本実施形態では、基材フィルム2上にこの非吸着性シーラントフィルム3を共押出ラミネート、又はニーラムラミネートして非吸着性包装材1を得ている。
ここで、ポリオレフィン樹脂4としては、アクリロニトリル共重合体樹脂6との共押出適性及び基材フィルム2との接着性を考慮して、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレン等とすることが好ましい。
【0021】
また、接着性樹脂5としては、ポリオレフィン樹脂4とアクリロニトリル共重合体樹脂6との接着が良好な、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系接着性樹脂を採用することが好ましい。
そして、本実施形態では、アクリロニトリル共重合体樹脂6の平均分子量が60000以上から140000以下の範囲内であることが好ましい。
【0022】
これは、アクリロニトリル共重合体樹脂6の平均分子量が60000より小さい場合には、溶融粘度が低まり、ポリオレフィン樹脂等との共押出製膜に対する適性が向上するものの、シーラントフィルムとしての膜強度が低下し、アクリロニトリル共重合体の持つ本来の非吸着性を十分発揮することができないからである。一方、アクリロニトリル共重合体樹脂6の平均分子量が140000を超える場合には、溶融粘度が極端に高まり、共押出製膜の際に他樹脂と溶融粘度の整合が保てず、包み込み現象やネックイン、膜割れが発生し満足に製膜することができないからである。
【0023】
また、前述のように、非吸着性包装材1の製造に際して、共押出ラミネート、又はニーラムラミネートを適用することにより、従来広く行われているドライラミネートといった、各フィルムの接着のみを目的とする工程が省略でき、したがって、包装材の製造コストを抑えることができる。
また、ラミネートに先立ち、積層面へのアンカーコート剤の塗布や、必要に応じて、前処理、例えば、コロナ処理やオゾン処理等を行うことができる。
【0024】
また、非吸着性シーラントフィルム3の各層に、必要に応じて、周知の添加剤、例えば、静電防止剤やスリップ剤、防曇剤等を添加しても良い。また、必要に応じて、周知の処理、例えば、コロナ放電処理やオゾン処理、フレーム処理等を施すことができる。特に、本実施形態では、非吸着性シーラントフィルム3を共押出ラミネート、又はニーラムラミネートによって積層するため、基材フィルム2や非吸着性シーラントフィルム3に使用する樹脂の種類によっては、非吸着性シーラントフィルム3に対するコロナ放電処理やオゾン処理等の接着性改善処理が必要となる。
【0025】
また、非吸着性シーラントフィルム3、ポリオレフィン樹脂4、接着性樹脂5、及びアクリロニトリル共重合体樹脂6の膜厚については特に制限されないが、ポリオレフィン樹脂4は10μm以上から20μm以下の範囲内、接着性樹脂5は3μm以上から10μm以下の範囲内、アクリロニトリル共重合体樹脂6は10μm以上から20μm以下の範囲内、積層体としての非吸着性シーラントフィルム3は、23μm以上から50μm以下の範囲内とすることが好ましい。
【0026】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項1により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【実施例】
【0027】
以下に、本発明の非吸着性包装材の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
基材フィルムとして厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、基材フィルム上に、ポリウレタン系樹脂をビヒクルとするインキで印刷層を形成した。この印刷層上に、ポリウレタン系樹脂を主成分とするアンカーコート剤を4g/mの塗布量で塗布した。さらにその上に、3種3層共押出機により、ポリオレフィン樹脂として直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を15μm、接着性樹脂として酸変性ポリオレフィン系樹脂を5μm、平均分子量100000のアクリロニトリル共重合体樹脂aを10μmとなるよう、押出温度200℃にて共押出し非吸着性シーラントフィルムを製膜した。その後、非吸着性シーラントフィルムの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の面が基材フィルムに対して積層されるよう、ニーラムラミネートにより基材フィルムと非吸着性シーラントフィルムをラミネートして、前述の実施形態の非吸着性包装材を得た。
【0028】
(実施例2)
実施例1において、アクリロニトリル共重合体樹脂aから、平均分子量50000のアクリロニトリル共重合体樹脂bへと変更した以外は、実施例1と同様とし、前述の実施形態の非吸着性包装材を得た。
(実施例3)
実施例1において、アクリロニトリル共重合体樹脂aから、平均分子量150000のアクリロニトリル共重合体樹脂cへと変更した以外は、実施例1と同様とし、前述の実施形態の非吸着性包装材を得た。
【0029】
(比較例1)
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、ポリウレタン系樹脂をビヒクルとするインキで印刷層を形成した。この印刷層上に、ポリウレタン系樹脂を主成分とするアンカーコート剤を4g/mの塗布量で塗布し、シーラントとして厚さ30μmのアクリロニトリル共重合体フィルム(タマポリ(株)ハイトロンBX)を貼り合わせたドライラミネートフィルムを得た。
【0030】
(比較例2)
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、ポリウレタン系樹脂をビヒクルとするインキで印刷層を形成した。この印刷層上に、ポリウレタン系樹脂を主成分とするアンカーコート剤を4g/mの塗布量で塗布し、シーラント層として厚さ30μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(二村化学(株)XMTN)を貼り合わせたドライラミネートフィルムを得た。
【0031】
<外観検査>
実施例1、2、及び3で得た非吸着性包装材について、外観及び巾方向の断面膜厚調査を実施した。
その結果では、実施例1及び2については、外観、膜厚共に異常は見受けられず、基材フィルムの印刷層についても良好な視認性を保っていた。しかし、実施例3では、ポリエチレン樹脂の包み込み現象のため、アクリロニトリル共重合体樹脂cがフィルム巾方向の中央部に寄り、ポリエチレン樹脂が外周へと逃げ、巾方向の膜厚分布が不均一となり、基材フィルムの印刷層にも歪みが生じた。さらに、所々で膜割れが生じており、満足な品質の包装材を得ることができなかった。
【0032】
<ヒートシール強度>
続いて、実施例1、2、及び3並びに比較例1の包装材について、ヒートシール強度試験を実施した。強度測定には、引張・圧縮試験機((株)AandDテンシロン)を用い、JIS−Z0238試験法に基づいて行った。その結果を図2に示す。
図2の結果から明らかなように、アクリロニトリル共重合体フィルムをドライラミネートして得た比較例1と比較し、平均分子量100000のアクリロニトリル共重合体aを使用した実施例1、及び平均分子量150000のアクリロニトリル共重合体cを使用した実施例3は、ヒートシール強度に対して同等の強度を示すが、平均分子量50000のアクリロニトリル共重合体bを使用した実施例2のヒートシール強度は、比較例1の強度より劣っていた。
【0033】
<非吸着性>
続いて、実施例1、2、及び3並びに比較例1及び2の包装材を使用し、非吸着性評価を目的とした実包、保存テストを実施した。
実施例1、2、及び3並びに比較例1及び2の包装材を所定の大きさにカットし、シーラントフィルムが内面となるよう対向させ3方をヒートシールし袋状とした後、内容物としてフルルビプロフェンを20mg含有する貼付剤(三笠製薬(株)ゼポラステープ)を7枚挿入し、開口部をヒートシールして封入した。さらに、それらを40℃、75%RHの温湿度下で1ヶ月間保存した後、袋の単位面積あたりのフルルビプロフェン吸着量をHPLC(液体クロマトグラフィー)によって測定した。その結果を図3、図4に示す。
【0034】
図3の結果から明らかなように、シーラントフィルムとしてアクリロニトリル共重合体を使用した実施例1、2、及び3並びに比較例1については、シーラントフィルムとしてポリエチレンを使用した比較例2と比較し、フルルビプロフェンに対する優れた非吸着性を示した。
一方、図4の結果から明らかなように、アクリロニトリル共重合体フィルムをドライラミネートして得た比較例1と比較し、平均分子量100000のアクリロニトリル共重合体aを使用した実施例1、及び平均分子量150000のアクリロニトリル共重合体cを使用した実施例3は、フルルビプロフェンに対して同等、もしくはそれ以上の非吸着性を示すが、平均分子量50000のアクリロニトリル共重合体bを使用した実施例2のフルルビプロフェンに対する非吸着性は、比較例1よりも劣っていた。
【0035】
以上のことから、本実施形態の非吸着性包装材1は、基材フィルム及び非吸着性シーラントフィルムが順次積層された包装材であって、非吸着性シーラントフィルムが、ポリオレフィン樹脂、接着性樹脂、及びアクリロニトリル共重合体樹脂の順に積層されており、アクリロニトリル共重合体樹脂の平均分子量を60000以上から140000以下の範囲内とすることで、アクリロニトリル共重合体の非吸着性を十分維持しつつ、シーラントフィルムの強度低下や、包み込み現象、ネックイン等の押出外観不良のない、アクリロニトリル共重合体を含む複数種樹脂を多層共押出製膜した非吸着シーラントフィルムを得ることができる。
【0036】
また、基材フィルムと非吸着性シーラントフィルムを別工程にてラミネートした非吸着性包装材と同等以上の非吸着性を保ちつつ、基材フィルムと非吸着性シーラント多層共押出フィルムとを同一工程にて、共押出ラミネートあるいはニーラムラミネートすることによって、包装材の製造コストを抑えることができる。
また、基材フィルムを延伸フィルムとし、基材フィルムの非吸着性シーラントフィルムが積層される面に印刷層を形成することによって、印刷層が保護され、医薬品等の包装に適した包装材を得ることができる。さらに、平滑な延伸フィルム面に印刷するため、意匠性の高い印刷層を形成することができる。
【符号の説明】
【0037】
1・・・非吸着性包装材、2・・・基材フィルム、3・・・非吸着性シーラントフィルム、4・・・ポリオレフィン樹脂、5・・・接着性樹脂、6・・・アクリロニトリル共重合体樹脂、7・・・印刷層、8・・・接着剤層(アンカーコート層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム及び非吸着性シーラントフィルムが順次積層された包装材であって、
前記非吸着性シーラントフィルムが、ポリオレフィン樹脂、接着性樹脂、及びアクリロニトリル共重合体樹脂の順序で積層されており、
前記アクリロニトリル共重合体樹脂の平均分子量が、60000以上から140000以下の範囲内であることを特徴とする包装材。
【請求項2】
前記非吸着性シーラントフィルムは、前記ポリオレフィン樹脂の面が前記基材フィルムに対して積層されていることを特徴とする請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
前記基材フィルムは、延伸フィルムからなり、
前記基材フィルムの前記非吸着性シーラントフィルムが積層される面に印刷層が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の包装材の製造方法であって、
前記非吸着性シーラントフィルムが、前記ポリオレフィン樹脂、前記接着性樹脂、及び前記アクリロニトリル共重合体樹脂の順で共押出製膜されており、
前記基材フィルムと前記非吸着性シーラントフィルムとを押出ラミネートすることを特徴とする包装材の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の包装材の製造方法であって、
前記非吸着性シーラントフィルムが、ポリオレフィン樹脂、前記接着性樹脂、及び前記アクリロニトリル共重合体樹脂の順で共押出製膜されており、
前記基材フィルムと前記非吸着性シーラントフィルムとをニーラムラミネートすることを特徴とする包装材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−71370(P2013−71370A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213106(P2011−213106)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】