説明

包装構造体

【課題】機器の設置作業時に機器単体では姿勢維持が不安定だったり、作業時に受面側にキズなどをつけたくない場合に、包装材を作業台として利用し機器をのせて作業することがある。包装材単体は梱包時には機器を振動・衝撃から守るための柔軟性を求められるので、単体では作業台としては不安定であるので、従来は箱に包装材を入れた状態で作業台としていた。しかし、箱に包装材を入れた状態では、製品の作業面が箱の間口から奥まっていて作業性が悪いという問題があった。そこで作業性のよい作業台を提供することを可能にした包装構造体を提供する。
【解決手段】梱包状態での箱に対する包装材の高さ位置と、開梱後の箱に対する包装材の高さ位置を変更可能にしたことを特徴とする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装材に関し、特に設置時の準備作業などで包装材を機器を保持する作業台に利用する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
監視カメラ等の電気機器を梱包するための梱包体として特許文献1のものが知られている。従来、監視カメラなどの製品は、設置現場におけるカバーの開け閉め、配線作業などを行う必要があり、その場合に、機器をのせる作業台として包装材を利用することがあった。梱包時には機器を包装している包装材を利用して、開梱後の作業時に包装材に機器をのせて作業するのである。
【0003】
監視カメラは、円形ドームかつ鏡面のキズ、汚れを嫌う外装面があるので、梱包時に包装材が円形ドームに触れないように、包装材にはこの部分を逃げる形状が施されている。
【0004】
設置作業時にも、ドーム部にキズ、汚れが付かないようにするためには、包装材を利用することは、すでにその部分を逃がしてあるので好都合である。
【0005】
ただし、包装材は、梱包状態で輸送時の振動・衝撃から機器を守るために、柔軟性を要求されているので、図3(a)で示すように包装材を単体で作業台として使用するには剛性が不足し、図中の矢印の方向に傾きやすく作業台が不安定で作業がしずらい。
【0006】
そのため、図3(b)に示すように箱から包装材を取り出さず、包装材の周りを箱で固定することで剛性を上げて、箱の中に置いた包装材に機器を載せて作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−120424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、箱の中に置いた包装材に機器を載せて作業すると、箱の間口から作業面が奥まってしまい、作業がやりにくいという問題があった。例えば図3(b)に示すH寸法が箱の間口から作業面までの距離であり、ドライバー7でネジ105をまわす作業のときに、箱の間口からネジまでの距離Hが手元を狂わせるので、作業者は時間をかけて慎重に作業を行う必要があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、箱に入れた包装材を利用しながら、作業性を改善した作業台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、
梱包時には本体の機器を包装材で保持し、それを箱に梱包するとともに、
開梱後には包装材が箱に対して上げ底となる位置でとまるストッパーが形成できるようにした包装構造体とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、箱と包装材を利用して、作業性のよい作業台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1を示す図
【図2】本発明の実施例2を示す図
【図3】従来例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を以下の実施例1、実施例2で説明する。
【実施例1】
【0014】
以下、図1を参照して、本発明の第1の実施例について説明する。
【0015】
監視カメラ100の外観は、円形ドーム部101、取付面102、取付面についているネジ105でとまる裏蓋103、表面カバー104で構成されている。包装材1はPP(ポリプロピレン)シートを真空成型で製作した厚さ0.8mmで薄肉の緩衝材であり、円形ドーム部101の形状を逃げる形状が施されている(図1(c)のX部)。包装材2は板厚3mmの段ボールを折り曲げて組み立てた緩衝材である。梱包時には図1(c)に示すように箱3に包装材1、監視カメラ100、包装材2の順で梱包する。梱包状態では、柔軟性を有する薄肉形状の包装材1と柔軟性を有する薄板を折り曲げた包装材2によって、振動、衝撃を吸収するので監視カメラ100は保護される。このときの箱3に対する包装材1の位置は、図3(b)に示すものと同じように、箱3の底面に包装材1が収まっている。
【0016】
包装材1は板厚0.8mmのPPシートを真空成型で製造しており、包装材1は弾性体で撓みやすい構造である。
【0017】
開梱後に、作業台にするときには、包装材2と監視カメラ100を箱3から取り出しておく。
【0018】
箱3の稜線には切り込み5が施してあり、切り込み部5の下側を内側に向けて押すと、箱の内側に凸形状6が形成される。包装材1は柔軟性のある薄板であるので、凸形状6によって弾性変形する。
【0019】
包装材1には指掛り用の穴4があいており、作業者は穴4に指を引っ掛けて上に引き上げる。包装材1は弾性変形しながら凸形状6を乗り越えて、十分に乗り越えた位置で作業台としての位置となる(図1(b)の状態)。
【0020】
また、箱3の切り込み5の下側を押して箱の内側に凸形状6を形成する前に、包装材1を箱3の外に取り出しておいて、凸形状6を形成した後に、箱3の中に包装材1を入れて、凸形状6が包装材6の底面を支持することで作業台としての位置としてもよい。
【0021】
包装材1の外周は箱3によって固定されているので、充分な剛性が保たれている。
【0022】
監視カメラ100を載せると、作業面は箱の間口よりも上に露出するので、作業者は、ドライバー7をもちいて監視カメラの裏蓋103を外して、ケーブルの配線作業、その他調整作業などを安定して行うことができる。
【実施例2】
【0023】
以下、図2を参照して、本発明の第2の実施例について説明する。図2(a)のように箱3のフラップにはミシン目8が施されている。
【0024】
梱包時はミシン目8を破かないで、作業台に利用する際にミシン目8を破り、図2(b)の矢印Yの方向に折り曲げて、立ち曲げ部9を作る。
【0025】
図2(c)のように、フラップを箱の内側に折りこんた後、図2(d)のように包装材1を箱3の中に入れると、立ち曲げ部9で包装材1の底面が支えられて、上げ底となる。
【0026】
包装材1の外周は箱3によって固定されているので、充分な剛性が保たれている。
【0027】
監視カメラ100を載せると、作業面は箱の間口よりも上に露出するので、作業者は、ドライバー7でネジ105を回し、監視カメラの裏蓋103を外して、ケーブルの配線作業、その他調整作業などを安定して行うことができる。
【0028】
実施例2ではミシン目を施した例を示したが、スリット、切り込みなどでも同様である。
【0029】
本実施例1、実施例2の包装材1はそれぞれポリプロピレンを用いた例であるが、その他の材料でも適用可能である。
【0030】
本実施例1、実施例2の製品は監視カメラを例に説明したが、その他の機器についても適用可能である。
【0031】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1:包装材1
3:箱
5:切り込み
6:凸形状
8:ミシン目
9:立ち曲げ部
100:監視カメラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包状態での箱に対する包装材の高さ位置と、開梱後の箱に対する包装材の高さ位置を変更可能にする手段を有することを特徴とする包装構造体。
【請求項2】
箱の一部を内側へ凸となる形状を形成する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の包装構造体。
【請求項3】
箱の一部を内側に凸とする手段は、予め化粧箱の外面に入れておいた切れ目を裂いたり、変形させることである請求項2に記載の包装構造体。
【請求項4】
箱の一部を内側に凸とする手段は、予め箱のフラップ部分を切れ目に沿って裂いたり、変形させることである請求項2に記載の包装構造体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−86886(P2012−86886A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237278(P2010−237278)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】