説明

包装機の横シール装置

【課題】超音波シール方式を用いる包装機の横シール装置であって、大型化を抑制した横シール装置を提供する。
【解決手段】横シール機構では、第1ホーン51a及び第1アンビル51bと、第2ホーン52b及び第2アンビル52aとが旋回しながら筒状フィルムを搬送方向と交差する方向に沿って挟み超音波シールを行なう。第1ホーン51aは、複数の振動素子511が連結され状態で第1回転体50aに取り付けられている。第2ホーン52bは、複数の振動素子521が連結され状態で第2回転体50bに取り付けられている。固定部材は、各ホーンおよび複数の振動素子を含むホーンユニットを超音波振動の節近傍で、ホーンユニットをその回転方向前方側および後方側の両側で把持して第1回転体50a及び第2回転体50bそれぞれに固定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機の横シール装置に関し、特に、搬送されてくる包材が筒状に成形され、その内部に被包装物が充填された後に超音波シール機構によって横シールされる包装機の横シール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(WO2007/012917A1)には、超音波シール機構によって包材を横シールするシール装置が開示されている。このシール装置では、1対の回転体それぞれに超音波用のホーンとアンビルとが取り付けられており、ホーンとアンビルとが回転しながら筒状包材をその搬送方向と交差する方向に沿って挟み超音波シールする。
【0003】
このような、超音波シール方式では、安定したホーンの駆動が重要であるが、特許文献1にはその点について何ら記載はない。
【0004】
他方、特許文献2(特許第4147309)に開示されている超音波シール装置では、ホーン組立体が超音波振動の節近傍で移動体に固定されることによって、ホーンの安定した駆動を実現している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示されている超音波シール装置は、ホーンを振動素子が配置されている側から片持ち支持する構成であるので、振動素子よりもさらに後方に固定スペースが必要となり、仮に回転式の横シール装置に採用した場合、回転径が大きくなり、装置全体が大型化する。
【0006】
本発明の課題は、超音波シール方式を用いる包装機の横シール装置であって、大型化を抑制した横シール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1観点に係る包装機の横シール装置は、超音波用のホーンとアンビルとが旋回しながら包材を搬送方向と交差する方向に沿って挟み横シールを行なう、包装機の横シール装置であって、一対の回転体と、複数の振動素子と、固定部材とを備える。一対の回転体は、ホーンとアンビルとが配置されている。複数の振動素子は、ホーンに連結されてホーンに振動エネルギーを伝える。固定部材は、ホーンおよび複数の振動素子を含むホーン組立体の超音波振動の節近傍に配置され、ホーン組立体をその回転方向前方側および後方側の両側で把持して回転体に固定する。
【0008】
この横シール装置では、固定部材によってホーン組立体をその回転方向前方側および後方側の両側で把持して回転体に固定するので、振動素子の後方に固定部材が占有する空間は小さく、装置の大型化が抑制される。
【0009】
本発明の第2観点に係る包装機の横シール装置は、第1観点に係る包装機の横シール装置であって、固定部材が、共振部と、保持部と、固定部とを有している。共振部は、振動素子の両側に隣接してホーンに連結される。保持部は、共振部を保持する。固定部は、保持部を固定する。
【0010】
本発明の第3観点に係る包装機の横シール装置は、第2観点に係る横シール装置であって、共振部の外周にはフランジが設けられている。保持部はフランジを挟んで保持している。
【0011】
本発明の第4観点に係る包装機の横シール装置は、第3観点に係る包装機の横シール装置であって、フランジと保持部とはパッキンを介して締結されている。
【0012】
本発明の第5観点に係る包装機の横シール装置は、第1観点に係る包装機の横シール装置であって、固定部材が、ホーン組立体の超音波振動の2つ節のいずれか一方の近傍に配置される。
【0013】
この横シール装置では、シール面に近い側の節に固定部材を配置する場合、振動素子の後方に固定部材が突出しないので、装置の小型化が図れる。
【0014】
本発明の第6観点に係る包装機の横シール装置は、第1観点に係る包装機の横シール装置であって、ホーンとアンビルとが、旋回しながら近づき、包材を挟んだ位置から包材を挟んだまま旋回方向に沿って直線的に進行することによって包材に横シールを行い、その後に互いに離れる方向に旋回する。
【0015】
この横シール装置では、ホーンとアンビルとは直線的に進行する区間で横シールするので、一定のシール時間が確保されており、シールが確実に行なわれる。
【0016】
本発明の第7観点に係る包装機の横シール装置は、第6観点に係る包装機の横シール装置であって、ホーンとアンビルとが、直線的に進行する区間で進行方向前後に所定角度の振れが許容される振れ機構を介して、回転体に取り付けられている。
【0017】
この横シール装置では、ホーンおよびアンビルの運動が、包材を挟み始める点で旋回運動から直線運動へ変換され、包材から離れる点で直線運動から旋回運動へ変換される、いわゆるDモーションであるので、振れが許容されることによってホーンおよびアンビルのシール面を平面で構成することができる。つまり、特許文献1に記載のホーンおよびアンビルのようにシール面を円弧形状にする必要がない。
【0018】
本発明の第8観点に係る包装機の横シール装置は、第7観点に係る包装機の横シール装置であって、ホーン組立体の後端が回転体の回転軸よりもさらに後方に位置している。また、ホーン組立体の後端の周囲に、ホーンの振れに伴うホーンの後端の振れを許容する空間が設けられている。
【0019】
この横シール装置では、横シール時のホーンの振れが、ホーン組立体の後端で増幅されるが、その振れを許容できるだけの空間が確保されているので、他の部位と干渉することは防止される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の横シール装置では、固定部材によってホーン組立体をその回転方向前方側および後方側の両側で把持して回転体に固定するので、振動素子の後方に固定部材が占有する空間は小さく、装置の大型化が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装機1の斜視図。
【図2】包装機の製袋包装ユニット5の概略構成を示す斜視図。
【図3】横シール機構17の側面図。
【図4】ホーンとアンビルの軌跡の側面図。
【図5】第1回転体50a及び第2回転体50bの斜視図。
【図6】第1回転体50aに取り付けられた第1ホーン51aおよびその周辺部材の斜視図。
【図7】共振体513の長軸に沿ったホーンユニット51の断面図。
【図8】第1回転体50aのトランス搭載部の斜視図。
【図9】第1回転体50a側の第1スリップリング101、3つのトランス111、及び3つの振動素子511の電気的接続状態の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0023】
(1)包装機1の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る包装機1の斜視図である。また、図2は、包装機の製袋包装ユニット5の概略構成を示す斜視図である。図1及び図2において、包装機1は、組合せ計量機2、製袋包装ユニット5及びフィルム供給ユニット6を備えている。
【0024】
組合せ計量機2は、被包装物を計量し所定の合計重量になるよう排出する。製袋包装ユニット5は、被包装物の袋詰めを行う本体部分である。フィルム供給ユニット6は、製袋包装ユニット5に袋となるフィルムFを供給する。
【0025】
また、製袋包装ユニット5の前面には操作スイッチ類7が配置されている。操作スイッチ類7を操作する作業者が視認できる位置には、操作状態を示すタッチパネル式ディスプレイ8が配置されている。
【0026】
組合せ計量機2、製袋包装ユニット5及びフィルム供給ユニット6は、操作スイッチ類7やタッチパネル式ディスプレイ8から入力された操作および設定に従って制御される。なお、操作スイッチ類7やタッチパネル式ディスプレイ8は、CPU、ROM、RAMなどから構成される制御部(図示せず)に接続されており、その制御部が組合せ計量機2および製袋包装ユニット5に設置されている各種センサから必要な情報を取り込み、その情報を各種制御において利用する。
【0027】
(2)詳細構成
(2−1)組合せ計量機2
組合せ計量機2は、製袋包装ユニット5の上部に配置されており、商品Cを計量ホッパで計量した後、これらの計量値を所定の合計重量になるように組み合わせて順次排出する。
【0028】
(2−2)フィルム供給ユニット6
フィルム供給ユニット6は、製袋包装ユニット5の成形機構13に対してシート状のフィルムFを供給するユニットであって、製袋包装ユニット5に隣接して設けられている。また、フィルム供給ユニット6にはフィルムFが巻かれたロールがセットされ、このロールからフィルムFが繰り出される。
【0029】
(2−3)製袋包装ユニット5
製袋包装ユニット5は、成形機構13と、プルダウンベルト機構14と、縦シール機構15と、横シール機構17と、横方向駆動機構55とで構成されている。
【0030】
成形機構13は、シート状で送られてくるフィルムFを筒状に成形する。プルダウンベルト機構14は、筒状となったフィルムF(以下、筒状フィルムFmとよぶ)を下方に搬送する。縦シール機構15は、筒状フィルムFmの重ね合わせ部分(合せ目)を縦方向にシールする。
【0031】
横シール機構17は、筒状フィルムFmを横方向にシールすることで袋の上下端を封止する。横方向駆動機構55は、横シール機構17を往復運動させる。
【0032】
これらの機構は支持フレーム12によって支えられている。その支持フレーム12の周囲は、ケーシング9によって覆われている。
【0033】
(2−3−1)成形機構13
成形機構13は、チューブ13bと、フォーマ13aとを有している。チューブ13bは、筒形状の部材であり、上下端が開口している。このチューブ13bの上端の開口部には、組合せ計量機2で計量された商品Cが投入される。フォーマ13aは、チューブ13bを取り囲むように配置されている。フィルムロールから繰り出されてきたシート状のフィルムFは、フォーマ13aとチューブ13bとの間を通るときに筒状に成形される。成形機構13のチューブ13bやフォーマ13aは、製造する袋の大きさに応じて取り替えることができる。
【0034】
(2−3−2)プルダウンベルト機構14
図2に示すように、プルダウンベルト機構14は、チューブ13bに巻き付いた筒状フィルムFmを吸着して下方に連続搬送する機構であって、チューブ13bを挟んで左右両側にそれぞれベルト14cが設けられている。プルダウンベルト機構14では、吸着機能を有するベルト14cが駆動ローラ14aおよび従動ローラ14bによって回転し、筒状フィルムFmを下方に運ぶ。なお、図2においては、駆動ローラ14a等を回転させるローラ駆動モータの図示を省略している。
【0035】
(2−3−3)縦シール機構15
縦シール機構15は、チューブ13bに巻き付いた筒状フィルムFmの重なり部分(合せ目)を一定の圧力でチューブ13bに押しつけながら縦に超音波シールする機構である。縦シール機構15は、チューブ13bの正面側に位置しており、チューブ13bに近づけたり遠ざけたりするための駆動装置(図示せず)も備えている。
【0036】
(2−3−4)横シール機構17
図3は横シール機構17の側面図である。また、図4はホーンとアンビルとの軌跡の側面図である。図4において、横シール機構17は、第1回転体50aおよび第2回転体50bを有している。なお、図3における筒状フィルムFmの左側に位置する方を第1回転体50a、右側に位置する方を第2回転体50bとする。
【0037】
第1回転体50aには超音波シール用の第1ホーン51aが、第2回転体50bには超音波用の第1アンビル51bが取り付けられており、第1ホーン51aと第1アンビル51bとをD字状に旋回させながら(例えば、図4の点線で示すホーンとアンビルとの軌跡を参照)、筒状フィルムFmを挟み込む。
【0038】
第1ホーン51aには3つの振動素子511(図5参照)がシール方向に沿って並ぶように連結されており、この3つの振動素子511よって第1ホーン51aのシール面が振動し、第1ホーン51aと第2アンビル52aとによって挟み込まれた筒状フィルムFmの一部がシールされる。
【0039】
また、第1回転体50aの回転軸回りに第1ホーン51aから180°離れた位置に第2アンビル52aが配置され、第2回転体50bの回転軸回りに第1アンビル51bから180°離れた位置に第2ホーン52bが配置されている。
【0040】
第2ホーン52bにも3つの振動素子521(図5参照)がシール方向に沿って並ぶように連結されており、この3つの振動素子521よって第2ホーン52bのシール面が振動し、第2ホーン52bと第2アンビル52aとによって挟み込まれた筒状フィルムFmの一部がシールされる。
【0041】
なお、振動素子511及び振動素子521それぞれの数量は、3つに限定されるものではなく、第1ホーン51a及び第2ホーン52bそれぞれの幅が狭い場合は、2つで構成されることも可能である。
【0042】
また、図4に示すように、第1ホーン51a及び第1アンビル51bとは別に固定された場所に、フィルム検知センサ59が配置されている。フィルム検知センサ59には、光電センサや、超音波センサなどが適用される。
【0043】
なお、フィルム検知センサ59は、必ずしも第1ホーン51a及び第1アンビル51bとは別に固定された場所に配置される必要はなく、第1ホーン51a側および第1アンビル51b側それぞれに配置されてもよい。その際、フィルム検知センサ59及びそのセンサ信号の受信機は、第1ホーン51aを支持する構造体および第1アンビル51bを支持する構造体それぞれに搭載される。
【0044】
第1ホーン51a及び第1アンビル51bによるシール段階において、加圧動作に入る直前に筒状フィルムFmの有無を確認する。フィルム検知センサ59のセンサ信号から筒状フィルムFmが無いと判断されたとき、第1ホーン51aと第1アンビル51bとの隙間が保たれたまま旋回動作するように調節される。それゆえ、第1ホーン51aと第1アンビル51bとが接触によって破損するような事態は、回避される。
【0045】
なお、図4には記載していないが、フィルム検知センサ59及びそのセンサ信号の受信機は、第2ホーン52bを支持する構造体および第2アンビル52aを支持する構造体それぞれにも搭載されており、第2ホーン52bと第2アンビル52aとが接触によって破損するような事態は回避される。
【0046】
第1回転体50aと第2回転体50bは、駆動モータ(図示せず)によって軸C1,C2を中心に回転する。すなわち、第1ホーン51aと第2アンビル52aとは軸C1を中心として、第1アンビル51bと第2ホーン52bとは軸C2を中心として回転する。
【0047】
また、図3において、第1回転体50aは第1水平移動板61aに、第2回転体50bは第2水平移動板61bに支持されている。第1水平移動板61aおよび第2水平移動板61bは、図3に示す横方向駆動機構55によって互いに近接又は離反する。横方向駆動機構55は、ボールねじ80a、第1ナット81、第2ナット82、第3連結ロッド85、及び第4連結ロッド86を有している。
【0048】
ボールねじ80aは、サーボモータ80(図3参照)によって回転する。第1ナット81及び第2ナット82は、ボールねじ80aに螺合する。1対の第3連結ロッド85は、第1水平移動板61a及び第2水平移動板61bの移動方向に沿って設けられている。第4連結ロッド86は、第3連結ロッド85と平行に設けられている。
【0049】
また、第3連結ロッド85の先端は第2水平移動板61bの側端面に固定されている。なお、第3連結ロッド85は、第1水平移動板61aをスライド自在に貫通している。第4連結ロッド86の先端は第1水平移動板61aの側端面に固定されている。
【0050】
また、ボールねじ80aにおいては、第1ナット81が螺合する部分と、第2ナット82が螺合する部分とは、互いに逆ねじになっている。
【0051】
上記の横方向駆動機構55によって、ボールねじ80aが回転することにより、第1水平移動板61a及び第2水平移動板61bが互いに近接したり、離反したりすることが可能となる。
【0052】
なお、第1水平移動板61aから、図3の紙面と垂直方向に所定距離はなれた位置に、もう1つの第1水平移動板62aが設けられており、第1水平移動板61aと同じ動作をする。同じく、第2水平移動板61bから、図3の紙面と垂直方向に所定距離はなれた位置に、もう1つの第2水平移動板62bが設けられており、第2水平移動板61bと同じ動作をする。
【0053】
(3)横シール機構17の詳細構成
(3−1)第1回転体50a及び第2回転体50b
図5は、第1回転体50a及び第2回転体50bの斜視図である。図5において、第1回転体50aは、旋回中心C1を中心として回転する旋回軸94及び旋回軸95と、旋回軸94に相対回転可能に支持されているレバー91d及びレバー92dと、旋回軸95に相対回転可能に支持されているレバー91e及びレバー92eを含む。
【0054】
第1ホーン51aは、一端がレバー91dの先端に、他端がレバー91eの先端によって支持されており、レバー91d及びレバー91eが旋回中心C1を中心として回転するときに共に回転する。
【0055】
また、第2アンビル52aは、一端がレバー92dの先端に、他端がレバー92eの先端によって支持されており、レバー92d及びレバー92eが旋回中心C1を中心として回転するときに共に回転する。
【0056】
第2回転体50bは、旋回中心C2を中心として回転する旋回軸96及び旋回軸97と、旋回軸96に相対回転可能に支持されているレバー91f及びレバー92fと、旋回軸97に相対回転可能に支持されているレバー91g及びレバー92gを含む。
【0057】
第1アンビル51bは、一端がレバー91fの先端に、他端がレバー91gの先端によって支持されており、レバー91f及びレバー91gが旋回中心C2を中心として回転するときに共に回転する。
【0058】
また、第2ホーン52bは、一端がレバー92fの先端に、他端がレバー92gの先端によって支持されており、レバー92f及びレバー92gが旋回中心C2を中心として回転するときに共に回転する。
【0059】
第1ホーン51aは、筒状フィルムFmの幅寸法より長く延び、3つの振動素子511がシール方向に沿って並ぶように連結されており、第1ホーン51aと第1アンビル51bとに挟み込まれた筒状フィルムFmが第1ホーン51aの振動によって超音波シールされるようになっている。
【0060】
また、第2ホーン52bは、筒状フィルムFmの幅寸法より長く延び、3つの振動素子521がシール方向に沿って並ぶように連結されており、第2ホーン52bと第2アンビル52aとに挟み込まれた筒状フィルムFmが第2ホーン52bの振動によって超音波シールされるようになっている。
【0061】
また、旋回軸94は第1水平移動板61aに、旋回軸95は第1水平移動板62a(図3の奥側)に、旋回軸96は第2水平移動板61b、旋回軸97は第2水平移動板62b(図3の奥側)に軸支されている。そして、図3に示す横方向駆動機構55によって、第1水平移動板61a,62aが互いに同じ動きをし、第2水平移動板61b,62bが互いに同じ動きをする。
【0062】
(3−2)第1ホーン51a及び第2ホーン52bの取り付け構造
図6は、第1回転体50aに取り付けられた第1ホーン51aおよびその周辺部材の斜視図である。図6において、第1ホーン51a、3つの振動素子511、及び4つの円柱状の共振体513が1つのユニットとして組み立てられている。説明の便宜上、このユニットをホーンユニット51と呼ぶ。
【0063】
3つの振動素子511は第1ホーン51aの後方にシール方向に沿って等間隔で並ぶように連結されている。そして、共振体513が、振動素子511を両側から挟むように隣接する位置で第1ホーン51aに連結されている。
【0064】
図7は、共振体513の長軸に沿ったホーンユニット51の断面図である。図7において、本実施形態では、共振体513の長軸方向の中央に超音波振動の節が位置しており、この節近傍を保持して第1回転体50aの固定することによって、第1ホーン51aの安定した駆動を実現している。
【0065】
具体的には、共振体513外周の超音波振動の節位置から径方向にフランジ513aが突出しており、このフランジ513aを介してホーンユニット51が第1回転体50aに固定される。
【0066】
フランジ513aはパッキン531によって側面方向から挟まれている。さらに、フランジ513a及びパッキン531は、ブロック533によって覆われている。そして、ブロック533の外周面は保持部515によって上下から挟まれている。また、ブロック533の両側面の一方には保持部515が対峙し、他方には保持板519が対峙し、保持部515と保持板519とはブロック533を両側から挟むようにネジ止めされている。
【0067】
さらに、この保持部515が固定部517にネジ止めされている。固定部517は、板状の部材であり、保持部515は固定部517の後端にネジ止めされている。なお、固定部517の後端とは、第1ホーン51aから遠い側の端である。
【0068】
なお、本実施形態では、フランジ513aと保持部515とはパッキン531及びブロック533を介して連結されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、パッキン531及びブロック533を介在させずに、フランジ513aの外周面を保持部515によって上下から挟み、フランジ513aの両面の一方には保持部515を対峙させ、他方には保持板519を対峙させ、保持部515と保持板519とでフランジ513aを両面から挟むようにネジ止めする、という構成でもよい。
【0069】
説明の便宜上、共振体513、保持部515及び固定部517をまとめて固定部材510と呼ぶ。なお、図5の第1回転体50a側および図6では、固定部材510から固定部517が外されているので、具体的形状は、図5の第2回転体50b側を参照されたい。
【0070】
図5及び図7に示す通り、固定部材510は、ホーンユニット51を超音波振動の節近傍で、その回転方向前方側および後方側の両側で把持して第1回転体50a及び第2回転体50bそれぞれに固定する。それゆえ、各振動素子の後方に固定部材510が占有する空間は小さく、装置の大型化が抑制される。
【0071】
一般に、振動素子511の長さは、第1ホーン51aを振動させる波長に対応させているので、任意に変えられるものではない。それゆえ、必要なパワーを確保するには振動素子511の長さが大きくなり、横シール装置が大型化する傾向にある。特に、生産性(横シールの速度)を上げる目的で2対のホーン&アンビルが交互に筒状フィルムFmを挟んで超音波シールするようにした場合、装置がさらに大型化する。
【0072】
本実施形態では、既に説明の通り、第1回転体50aの回転軸回りに第1ホーン51aから180°離れた位置に第2アンビル52aが配置され、第2回転体50bの回転軸回りに第1アンビル51bから180°離れた位置に第2ホーン52bが配置されている。その結果、1つの回転体に占有空間の大きいホーンと占有空間の小さいアンビルとが互いに必要空間を補うように配置されるので、装置の大型化が抑制されている。
【0073】
第1ホーン51aと第1アンビル51bとは、或いは、第2ホーン52bと第2アンビル52aとは、旋回しながら近づき、筒状フィルムFmを挟んだ位置から筒状フィルムFmを挟んだまま旋回方向に沿って直線的に進行することによって筒状フィルムFmに横シールを行い、その後に互いに離れる方向に旋回する。この動作は、一定のシール時間が確保されるので、シールが確実に行なわれる。
【0074】
また、図4に示すように、第1ホーン51aと第1アンビル51bとが、或いは、第2ホーン52bと第2アンビル52aとが、筒状フィルムFmを挟み始める点で旋回運動から直線運動へ変換され、筒状フィルムFmから離れる点で直線運動から旋回運動へ変換される、いわゆるDモーションを行う。
【0075】
本実施形態の第1回転体50aでは、第1ホーン51aは軸受機構によって、一端がレバー91dの先端に、他端がレバー91eの先端に振れ自在に支持されている。また、第2アンビル52aも軸受機構によって、一端がレバー92dの先端に、他端がレバー92eの先端に振れ自在に支持されている。
【0076】
同様に、第2回転体50bでは、第1アンビル51bは軸受機構によって、一端がレバー91fの先端に、他端がレバー91gの先端に振れ自在に支持されている。また、第2ホーン52bも軸受機構によって、一端がレバー92fの先端に、他端がレバー92gの先端に振れ自在に支持されている。
【0077】
その結果、第1ホーン51a及び第1アンビル51bのシール面を平面で構成し、且つ、第2ホーン52b及び第2アンビル52aのシール面を平面で構成することができる。
【0078】
なお、第1ホーン51a及び第2ホーン52bの振れが、固定部材510の後端で増幅されるが、その振れを許容できるだけの空間が第1回転体50a及び第2回転体50bの周囲に確保されているので、他の部位と干渉することは防止される。
【0079】
(3−3)電力供給部
第1回転体50aの旋回中心C1の延長上には、第1スリップリング101が設けられている。また、第2回転体50bの旋回中心C2の延長上にも、第2スリップリング102が設けられている。
【0080】
第1スリップリング101及び第2スリップリング102は、回転導体と固定された導体との間を連続的に電気的に接続する導電回転リングであり、第1スリップリング101は、第1回転体50aと共に回転する振動素子511に電力を供給し、第2スリップリング102は、第2回転体50bと共に回転する振動素子521に電力を供給する。
【0081】
一般に、複数の振動素子にスリップリングを介して電力が供給される場合、各振動素子の両極に電力を供給するため複数極に対応可能なスリップリングが必要なるが、メンテナンスフリーで安価なうえに、高耐圧、且つ高速対応可能な水銀型式スリップリングは、2極タイプしか現存しない。
【0082】
そこで、本実施形態では、第1回転体50aに3つのトランス111を搭載し、1つの第1スリップリング101と各振動素子511との間にトランス111を介在させた。そして、3つのトランス111の一次側巻き線を直列に接続して2極とし、そこに2極タイプの第1スリップリング101を介して電力を供給する。そして、2次側では巻き線ごとに振動素子511を対応させ、独立した駆動電圧を供給するようにしている。
【0083】
図8は、第1回転体50aのトランス搭載部の斜視図である。図8において、3つのトランス111は、板状のトランスホルダ121に保持されている。トランスホルダ121の対向する長辺それぞれの中央からアーム131が旋回中心C1と平行に延びている。2つのアーム131の端部は、板状のスリップリングホルダ141を両端から挟むように固定している。スリップリングホルダ141には、旋回中心C1と同心の孔が予め設けられており、その孔の第1スリップリング101が保持されている。このような構成によって、非回転側から第1スリップリング101を介して回転する3つのトランス111に電力を供給している。
【0084】
なお、第2回転体50b側の第2スリップリング102、3つのトランス112、トランスホルダ122、アーム132、及びスリップリングホルダ142の構成も第1回転体50a側と同様であるので、説明は省略する。
【0085】
図9は、第1回転体50a側の第1スリップリング101、3つのトランス111、及び3つの振動素子511の電気的接続状態の模式図である。図8に示すように、複数のトランス111の一次側巻き線が直列に接続されているので、非回転側から電力供給すべき対象が2極となり、1つの2極型スリップリング、つまり第1スリップリング101だけで対応できる。なお、第2回転体50b側の第2スリップリング102、3つのトランス112、及び3つの振動素子521の構成も第1回転体50a側と同様であるので、説明は省略する。
【0086】
(3−4)切断機構
切断機構は、第1アンビル51b及び第2アンビル52aの先端部に設けられたカッター72と、第1ホーン51a及び第2ホーン52bに設けられたスライド溝73とによって構成されている。カッター72は、筒状フィルムFmをシールするタイミングに合わせて、エアシリンダなどの駆動機構によってスライド溝73に向かって前進させられる。このとき、シール部分の幅方向のほぼ中心位置にカッター72が押し当てられるので、シールされた部分が切断される。この結果、袋は1個ずつ分割されてシュートコンベア19(図1参照)に排出される。
【0087】
(4)包装機1の動作
以下、包装機1の一連の動作について説明する。組合せ計量機2で計量された被包装物(以後、商品Cとよぶ)は、チューブ13bの上開口端に順次投下される。このとき、チューブ13bの外周は、商品Cを包装するための筒状フィルムFmで覆われている。
【0088】
商品Cは、チューブ13bを通過し、チューブ13bの下開口端から排出される。下開口端の下方では、先行して第1ホーン51aと第1アンビル51bとが筒状フィルムFmを挟んで横シールしており、袋の上部および後続の袋の底部が形成されている。
【0089】
商品Cは、底部がシールされて待機している筒状フィルムFmに充填され、第1ホーン51aと第1アンビル51bとがその上方を挟んで横シールし、袋の上部および後続の袋の底部を形成する。横シール部は、シールの直後にその中央が切断されて、商品Cが詰まった袋が完成する。
【0090】
(5)特徴
(5−1)
横シール機構17では、第1ホーン51a及び第1アンビル51bと、第2ホーン52b及び第2アンビル52aとが旋回しながら筒状フィルムFmを搬送方向と交差する方向に沿って挟み超音波シールを行なう。第1ホーン51aは、複数の振動素子511が連結され状態で第1回転体50aに取り付けられている。第2ホーン52bは、複数の振動素子521が連結され状態で第2回転体50bに取り付けられている。固定部材510は、各ホーンおよび複数の振動素子を含むホーンユニット51を超音波振動の節近傍で、ホーンユニット51をその回転方向前方側および後方側の両側で把持して第1回転体50a及び第2回転体50bそれぞれに固定している。それゆえ、各振動素子の後方に固定部材510が占有する空間は小さく、装置の大型化が抑制される。
【0091】
(5−2)
固定部材510は、各振動素子の両側に隣接して各ホーンに連結される共振体513と、共振体513を保持する保持部515と、保持部515を固定する固定部517とを有する。共振体513の外周にはフランジ513aが設けられており、保持部515がフランジ513aを挟んで保持している。また、フランジ513aと保持部515とはパッキン531を介して締結されている。
【0092】
(5−3)
第1ホーン51aと第1アンビル51bとは、及び第2ホーン52bと第2アンビル52aとは、旋回しながら近づき、包材を挟んだ位置から包材を挟んだまま旋回方向に沿って直線的に進行することによって包材に横シールを行い、その後に互いに離れる方向に旋回する。それゆえ、一定のシール時間が確保されており、シールが確実に行なわれる。
【0093】
(5−4)
第1回転体50aでは、第1ホーン51aは、一端がレバー91dの先端に、他端がレバー91eの先端に振れ自在に支持されている。また、第2アンビル52aも、一端がレバー92dの先端に、他端がレバー92eの先端に振れ自在に支持されている。同様に、第2回転体50bでは、第1アンビル51bは、一端がレバー91fの先端に、他端がレバー91gの先端に振れ自在に支持されている。また、第2ホーン52bも、一端がレバー92fの先端に、他端がレバー92gの先端に振れ自在に支持されている。それゆえ、第1ホーン51a及び第1アンビル51bのシール面を平面で構成し、且つ、第2ホーン52b及び第2アンビル52aのシール面を平面で構成することができる。
【0094】
(5−5)
第1ホーン51a及び第2ホーン52bの振れが、固定部材510の後端で増幅されるが、その振れを許容できるだけの空間が第1回転体50a及び第2回転体50bの周囲に確保されているので、他の部位と干渉することは防止される。
【0095】
(6)その他の実施形態
上記実施形態では、固定部材510が、ホーンユニット51の超音波振動の2つ節のうちのシール面から遠い側の節に配置されているが、それに限定されるものではない。
【0096】
例えば、シール面に近い側の節に固定部材が配置される場合、振動素子の後方に固定部材510が突出しないので、装置の小型化が図れるというメリットがある。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように本発明によれば、ホーンとアンビルとが旋回しながら超音波シールする装置の小型化に有用である。
【符号の説明】
【0098】
17 横シール機構
50a 第1回転体
50b 第2回転体
51 ホーンユニット(ホーン組立体)
51a 第1ホーン
51b 第1アンビル
52a 第2アンビル
52b 第2ホーン
510 固定部材
511 振動素子
521 振動素子
513、共振体
513a フランジ
515 保持部
517 固定部
531 パッキン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】WO2007/012917A1
【特許文献2】特許第4147309

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波用のホーンとアンビルとが旋回しながら包材を搬送方向と交差する方向に沿って挟み横シールを行なう、包装機の横シール装置であって、
前記ホーンと前記アンビルとが配置される一対の回転体と、
前記ホーンに連結されて前記ホーンに振動エネルギーを伝える複数の振動素子と、
前記ホーンおよび前記複数の振動素子を含むホーン組立体の超音波振動の節近傍に配置され、前記ホーン組立体をその回転方向前方側および後方側の両側で把持して前記回転体に固定する、固定部材と、
を備える、
包装機の横シール装置。
【請求項2】
前記固定部材は、
前記振動素子の両側に隣接して前記ホーンに連結される共振部と、
前記共振部を保持する保持部と、
前記保持部を固定する固定部と、
を有する、
請求項1に記載の包装機の横シール装置。
【請求項3】
前記共振部の外周にはフランジが設けられており、
前記保持部は前記フランジを挟んで保持する、
請求項2に記載の包装機の横シール装置。
【請求項4】
前記フランジと前記保持部とはパッキンを介して締結されている、
請求項3に記載の包装機の横シール装置。
【請求項5】
前記固定部材は、前記ホーン組立体の超音波振動の2つ節のいずれか一方の近傍に配置される、
請求項1に記載の包装機の横シール機構。
【請求項6】
前記ホーンと前記アンビルとは、旋回しながら近づき、前記包材を挟んだ位置から前記包材を挟んだまま旋回方向に沿って直線的に進行することによって前記包材に横シールを行い、その後に互いに離れる方向に旋回する、
請求項1に記載の包装機の横シール装置。
【請求項7】
前記ホーンと前記アンビルとは、前記直線的に進行する区間で進行方向前後に所定角度の振れが許容される振れ機構を介して、前記回転体に取り付けられている、
請求項6に記載の包装機の横シール装置。
【請求項8】
前記ホーン組立体の後端は前記回転体の回転軸よりもさらに後方に位置し、
前記ホーン組立体の後端の周囲に、前記ホーンの振れに伴う前記ホーンの後端の振れを許容する空間が設けられている、
請求項7に記載の包装機の横シール機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−236619(P2012−236619A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106040(P2011−106040)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】