説明

包装用容器

【課題】サラダおよび豆腐をセットにして販売する際に、サラダおよび豆腐をそれぞれ見栄え良く収容することのできる包装用容器が望まれていた。
【解決手段】豆腐は内容器4に入れてトップシールにより封入する。豆腐の入った内容器4を所定の位置に固定的に収容するために、容器本体2には、4つの突起8が形成されている。各突起8には、それぞれ、水平方向に延び、内容器4を載せる設置面9、内容器4が水平方向へ動かないようにする固定面10、および、内容器4の収容を案内するための傾斜面11が備えられている。
【効果】容器本体2内に入れられた内容器4は、突起8の設置面9で支えられ、かつ、固定面10で移動しないように規制される。よって、豆腐およびサラダを見栄え良く収容できる包装用容器1となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品を収納して販売するための包装用容器に関し、特に、トップシールされた内容器に別添品が入れられていて、その別添品が入った内容器を他の食品とともに容器内に収容して販売する包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニ等で、たとえば透明な樹脂容器に収容されたサラダが販売されている。樹脂容器内には、複数種類の野菜(一口大にちぎったレタス、輪切りにしたきゅうり、千切りにした人参など)と共に、ドレッシングが封入された内容器が別添品として収容されているものがある。
【0003】
また、特許文献1には、容器本体の蓋に対して、別添品のための容器を設けた構成が示されている。
【特許文献1】特開平9−86571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように別添品が収容された包装用容器では、内容器(別添品)が容器内で動き、野菜の中に埋もれてしまう等により、商品としての見栄えが悪いという課題があった。
【0005】
サラダのドレッシングの例に限らず、内容器に封入される別添えの食品としては、ところてんにかける蜜、ゼリー状食品、豆腐等を例示することができるが、いずれの場合も、別添品を入れた内容器が包装用容器内で動くという課題がある。
【0006】
より具体的に、たとえば、サラダと豆腐をセットにして販売する場合、内容器に入れた別添品としての豆腐をサラダと一緒に1つの包装用容器に収容しなければならないが、現状では、次のような問題点がある。
(1)1つの容器にサラダおよび豆腐を収容すると、販売場所等へ商品を搬送する流通時等に、包装用容器内で豆腐が動いてサラダの中に隠れたり、サラダが片寄ったりするという問題がある。
(2)サラダおよび豆腐を別々の容器に収容すると、容器コストが高くなる。
【0007】
また、セット販売をするサラダおよび豆腐を常に一緒に扱わねばならず、商品の取り扱いも不便である。
(3)サラダおよび豆腐を、それぞれ、見栄え良く1つの包装用容器に収容する必要があるが、このような課題を解消した包装用容器は未だ開発されていない。
【0008】
一方、特許文献1に記載の構成では、別添品の容器は動かないが、蓋に上面から収容する凹部を設け、そこに別添品を収容するため、蓋の上をさらに覆わなければならず、構成が複雑になる。
【0009】
この発明は、係る背景のもとになされたもので、サラダおよび豆腐をセットにして販売する際に、サラダおよび豆腐をそれぞれ見栄え良く収容することのできる包装用容器を提供することを1つの目的とする。
【0010】
この発明は、また、内容器内にトップシールにより封入されたドレッシング、ゼリー状食品、豆腐等の液状、ゲル状または形状が崩れ易い食品を、別添品として包装用容器の中に収容し、包装用容器の中に収容された食品と、別添品とが、包装用容器内で見栄え良く配置され、かつ、別添品が動かない包装用容器を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、底面および底面の周囲から立ち上がった側壁を備え、上面が開放されている、内容物を収容するための容器本体と、前記容器本体の上面を閉じるための蓋と、前記容器本体の側壁に形成された突起であって、別添品が入れられてトップシールされた内容器を載せるために、水平方向に延びる設置面、および設置面に載せられた内容器が水平方向へ動かないように、設置面の外縁から上方へ延びる固定面を含む、側壁から容器本体内方へ突出する突起と、を含むことを特徴とする包装用容器である。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記突起は、少なくとも側壁の3箇所に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の包装用容器である。
【0013】
請求項3記載の発明は、前記固定面の上端には、容器本体の外方へ向かって斜め上方へ延びる傾斜面が連続していることを特徴とする、請求項1または2記載の包装用容器である。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記内容器は、シール用フィルムでトップシールされる開口の周囲に、当該シール用フィルムが貼り付けられるフランジを有し、内容器の前記フランジが前記設置面に載せられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の包装用容器である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、容器本体には、別添品が入れられてトップシールされた内容器を載せるための突起が備えられている。突起は、側壁に形成され、側壁から容器本体内へ突出している。突起には、内容器を載せるための設置面と、内容器が動かないように規制する固定面とが含まれている。それゆえ、容器本体内に入れられた内容器は、突起の設置面で支えられ、かつ、固定面で移動しないように規制される。
【0016】
従って、容器本体内に収容された内容物と、内容器に封入された別添品とが容器本体内で混ざらず、容器本体内に収容された内容物および内容器に封入された別添品が、見栄え良く容器本体内に配置された状態が保たれる。
【0017】
よって、購買意欲を減少させないように、食品を見栄えよく収容できる包装用容器とすることができる。
【0018】
請求項2記載の発明では、突起は、少なくとも側壁の3箇所に形成されているから、内容器は少なくとも3箇所で受け取められ、動かないように安定して保持される。
【0019】
なお、側壁の突起は、3箇所以上であればよく、たとえば平面視が略四角形の包装用容器であれば、4つの側壁にそれぞれ突起が設けられ、合計4箇所の突起が設けられている構成が好ましい。
【0020】
請求項3記載の発明では、突起には、設置面および固定面が備えられているのに加え、固定面の上端から容器本体の外方へ向かって斜め上方へ延びる傾斜面が備えられている。この傾斜面は、容器本体内へ内容器を収める際に、内容器を案内して設置面上に導く働きをする。従って、請求項3記載の発明によれば、内容器を容器本体に入れる際に、作業性が良い包装用容器とすることができる。
【0021】
請求項4記載の発明では、内容器は、トップシール用のフランジを備え、このフランジ部が突起の設置面に載せられる。従って、内容器は突起の設置面に安定して載置され、内容器が容器本体内で動いたりがたつくことを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下には、図面を参照して、この発明の一実施形態として、内容器に入れられた別添品が豆腐で、容器本体に収容される食品がサラダの場合を例にとって説明する。
【0023】
しかしながら、この発明は、容器本体に収容される第1の食品と、内容器に入れられた第2の食品とが、容器本体内に一緒に収容されて販売される包装用容器を広く対象としており、食品は、上述のように、豆腐およびサラダに限定されるものではない。
【0024】
図1は、この発明の一実施形態に係る包装用容器であって、蓋が省略された分解斜視図であり、図2は、その包装用容器の中央縦断面図であり、図3は、図2に示す包装用容器を線A−Aに沿って切断した状態を示す斜視図(但し、蓋は省略されている。)である。
【0025】
図1〜図3を参照して、包装用容器1は、容器本体2、蓋3、および内容器4を有している。
【0026】
容器本体2は、この実施形態では、平面視が略正方形状で、上面開口に比べて底面がやや狭くなった全体形状をしている。具体的には、容器本体2は、平面視略正方形状の底面5を形成している底板と、底面5の周囲から斜め上方へ外側に向かって立ち上がった4つの側壁6とを備えている。容器本体2は、4つの側壁6の上端縁で区画された上面が開放されていて、上面から4つの側壁6および底面5で区画された収容庫7内に内容物を自由に出し入れできる形状をしている。
【0027】
4つの側壁6には、それぞれ、側壁6の幅方向中央部に、上下方向に長手の突起8が形成されている。各突起8には、それぞれ、水平方向に延びる設置面9と、設置面9の外縁から上方へ延びる固定面10と、固定面10の上縁から斜め上方へ向かって外側へ延びる傾斜面11とが含まれている。
【0028】
設置面9は、収容庫7の深さ方向に見て、ほぼ中央部に位置している。各突起8に設けられた各設置面9により、内容器4は受け取められる。また、各突起8に形成された固定面10は、設置面9により受け取められた内容器4が、水平方向にずれたり移動するのを阻止する。
【0029】
この実施形態では、設置面9の収容庫7内方への張り出し寸法Dは、2.0〜7.0mm程度であり、設置面9の幅W1は2.0〜30.0mm程度である。
【0030】
また、固定面10の高さHは1.0〜20.0mm程度であり、固定面10の幅W2は、2.0〜30.0mm程度である。
【0031】
また、各突起8は、その上部に傾斜面11を有している。傾斜面11は、容器本体2の上部開口縁12から収容庫7内に向かって斜めに傾斜している。このため、傾斜面11は収容庫7内に内容器4を入れる際に、内容器4を案内する働きをし、内容器4を設置面9上に載せる際に、作業をし易くしている。
【0032】
この実施形態では、容器本体2は樹脂シートが熱成型されて作られており、底面5、4つの側壁6および4つの突起8等は全て一体的に形成されている。
【0033】
なお、容器本体2の成型方法は、シートの熱成型ではなく、射出成型を採用することも可能である。
【0034】
内容器4は、この実施形態では透明な樹脂シートが熱成型により平面視円形のボウル状に作られている。内容器4は、その底面13が上になるように、逆さまにされて容器本体2内に収められる。内容器4の開口(図1〜3では下方に位置している。)14の周囲には水平方向に張り出したフランジ15が備えられている。内容器4に別添品としての豆腐が入れられ、開口14がシール用フィルムで覆われて、シール用フィルムの周縁がフランジ15に貼り付けられることによって、内容器4はトップシールされる。そしてトップシールされた内容器4は、逆さまに向けられ、容器本体2の収容庫7内に入れられる。
【0035】
よって、内容器4のフランジ15が、設置面9に載せられる。フランジ15は水平方向に張り出しており、設置面9は水平方向に延びているから、両者は水平面同士で対向し、内容器4は安定して設置面9に受け取められる。
【0036】
内容器4は透明な樹脂で形成されており、その中に入れられた別添品(この実施形態では豆腐)が目視可能である。そして、収容庫7内において、内容器4は収容庫7の上半分の領域に浮き上がるように配置されており、収容庫7内の下方領域に収容されるサラダを圧迫したり押し潰したりすることがない。
【0037】
また、内容器4の水平方向への移動は、固定面10により阻止されており、内容器4は収容庫7内で変位したり移動しない。よって、収容庫7内に収容された内容物(サラダ)と内容器4(豆腐)との位置関係やバランス関係が変わらず、容器本体2に収容された食品(サラダおよび豆腐)の見栄えが良い。また、その見栄えの良い状態を維持することができる。
【0038】
容器本体2内に内容器4が収容された後、容器本体2に蓋3が被せられる。その際、容器本体2の上部開口縁12に対して、蓋3の外周縁を構成する張り出し部16が嵌め合わされて、容器本体2の上面開口が塞がれる。かかる容器本体2に対する蓋3の嵌め合わせ構造は、公知の種々の構成を採用することができる。
【0039】
この実施形態では、容器本体2が蓋3で塞がれた状態において、収容された内容器4の底面13と蓋3との隙間Gは、0.5〜5.0mm程度となるように設計されている。内容器4の底13と蓋3との隙間Gを上述のように狭く設計することにより、容器本体2内に収容された内容器4が上下方向にも変位するのが阻止される。これにより、包装用容器1が、運搬時や商品棚に配置される際に、包装用容器1が斜めにされたり多少乱暴な扱いを受けても、容器本体2内の内容器4が変位したり移動したりするのを防止することができる。
【0040】
この発明に係る包装用容器には、次のような実施形態(変形例)も含まれる。
【0041】
図4Aに示すように、容器本体2の平面形状は、たとえば略円形であってもよい。そして、平面視略円形の包装用容器2には、側壁6から収容庫7内に突出するたとえば3つの突起8が設けられていてもよい。突起8には、それぞれ、設置面9、固定面10および傾斜面11が備えられている。
【0042】
また、図4Bに示すように、容器本体2の平面形状は、たとえば略長方形状であってもよい。そして、収容庫7の中央部に内容器4が収められる構成ではなく、収容庫7の一方側面寄りに内容器4が配置される構成とすることもできる。
【0043】
この場合には、容器本体2の側壁6に形成された突起8のうち、少なくとも2つの突起8は、内容器4が図4Bにおいて右方向へ移動するのを阻止するための固定面10が備えられている。
【0044】
これらの変形例から、容器本体2の平面形状は任意形状(たとえば、楕円形、多角形などでもよい)でよく、また、突起8の数も3箇所以上に設けられていればよいことが理解できる。
【0045】
また、蓋3は、容器本体2の上部開口を塞ぐものであればよく、容器本体2の上部開口に対して外嵌合するもの、内嵌合するもの等種々の形式が採用できる。
【0046】
その他、この発明は、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の一実施形態に係る包装用容器であって、蓋が省略された包装用容器の分解斜視図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る包装用容器の中央縦断面図である。
【図3】図2に示す包装用容器を線A−Aに沿って切断した状態を示す斜視図であり、蓋が省略された図である。
【図4】この発明に係る包装用容器の他の実施形態(変形例)を説明するための図である。
【符号の説明】
【0048】
1 包装用容器
2 容器本体
3 蓋
4 内容器
5 容器本体の底面
6 容器本体の側壁
7 収容庫
8 突起
9 設置面
10 固定面
11 傾斜面
15 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面および底面の周囲から立ち上がった側壁を備え、上面が開放されている、内容物を収容するための容器本体と、
前記容器本体の上面を閉じるための蓋と、
前記容器本体の側壁に形成された突起であって、別添品が入れられてトップシールされた内容器を載せるために、水平方向に延びる設置面、および設置面に載せられた内容器が水平方向へ動かないように、設置面の外縁から上方へ延びる固定面を含む、側壁から容器本体内方へ突出する突起と、
を含むことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記突起は、少なくとも側壁の3箇所に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
前記固定面の上端には、容器本体の外方へ向かって斜め上方へ延びる傾斜面が連続していることを特徴とする、請求項1または2記載の包装用容器。
【請求項4】
前記内容器は、シール用フィルムでトップシールされる開口の周囲に、当該シール用フィルムが貼り付けられるフランジを有し、
内容器の前記フランジが前記設置面に載せられることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の包装用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−276844(P2007−276844A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107334(P2006−107334)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】