説明

包装用容器

【課題】収納商品の形状形態を損なうことなく、品質を維持し、きのこ類の生育状況に似た形態をもって陳列・販売に供し得るように構成した包装用容器を提供すること。
【解決手段】適度の剛直性を有する一枚の型抜きシート材Sからなり、底壁1と、該底壁の周囲から折り線2、4を介して連続する周囲側壁3、5とを有し、該周囲側壁を折り線に沿って折り曲げ、周囲側壁間を連結する連結フラップ7を介して互いに連結することによって、前記周囲側壁の上縁側において、前記底壁より拡張された容器開口部8を形成する箱状容器Pであって、前記周囲側壁の少なくとも一つに折り線を介して連続する弾発的に起伏自在な可動フラップ10を設けてなることを特徴とする包装用容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ほんしめじ等のきのこ類を包装梱包するための包装用容器であって、特に、収納商品の形状形態を損なうことなく、品質を維持して包装でき、きのこ類の生育状況に似た形態をもって陳列・販売に供し得るように構成した包装用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば、ほんしめじ等のきのこ類は、下端に石突きをもつ軸部分と、この軸部分の上部に径方向に大きく生育する傘部分とを有するものであって、該傘部分が大型化したものでは、その軸部分に対する前記傘部分の径方向の嵩比率が極めて大きくなるため、包装に不便であり、且つ、流通搬送の際などの物理的衝撃によって、特に、傘部分が損傷してしまい、商品価値を著しく低減してしまうという大きな問題点を有していた。このように、商品の各部分の比率が大きく異なり、しかも、比率が大きな部分の形状形態を損なうことなく、見栄えよく包装するためには、種々の工夫が必要であり、従来は、特許文献1あるいは特許文献2に記載されているような包装用容器が開発され、提供されてきている。
【0003】
この特許文献1に記載のきのこの包装方法は、きのこを、該きのこが収納される内面に耐水処理が施された吸水性材によって形成したソフトケースに収納し、該ソフトケースにきのこを収納した状態できのこを包装するというものであり、図1および図5からも明らかなように、きのこ類の傘部分の形状形態維持のための工夫については、何らの対策もなされていないものであり、商品搬送中などにおけるきのこ傘部分の損傷を防止することができないというものであった。
【0004】
特許文献2に記載のきのこ用包装容器は、包装時に、きのこの傘部分が、容器上部の開口縁に噛み込みが生じないように、且つ、きのこの軸が見え易く、安定して積み重ね可能にすることを目的とするものであり、容器本体の向かい合う一対の側壁に高低差を設け、高い方の側壁の上端と底部との間に、容器本体の内側に膨出して底部に対する傾斜面を有する傾斜支持部を形成したものからなっている。この特許文献2に記載のきのこ用包装容器は、きのこの軸が良く見えるように株状きのこを傾斜状に寝かせて包装し、店頭等において展示販売を可能にしたものである。
【0005】
このように、株状きのこを傾斜状に寝かせて包装するタイプの包装容器は、容器上部の開口部が比較的大きくなってしまうものであり、容器内に株状きのこを収納した後、フィルムで包む際、フィルムが株状きのこに触れる量が多くなってしまい、株状きのこの傘の形態を損ね、品質を維持することが困難であるという問題点を有している。
【0006】
【特許文献1】特開2000−264386号公報(要約、図1および図5)
【特許文献2】特開2001−031166号公報(要約、図1および図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、例えば、ほんしめじ等のようなきのこ類を、その比較的嵩の大きなきのこ傘部分の形状形態を損ねることなく、品質を維持して、当該容器内に安定した状態で収納しておくことができ、さらに、該容器内に収納物を収納する際には、開口部を大きくして、収納を容易にし、収納物の収納後には、弾発的に起伏自在な可動フラップの作用によって、収納物の前倒れを防止し、収納物を安定した状態に維持収納することができ、さらには、店頭陳列時には、収納したきのこ類の生育状況に似た形態をもって、見栄えよく陳列販売に供し得る包装用容器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記する目的を達成するにあたって、請求項1に記載の発明は、適度の剛直性を有する一枚の型抜きシート材からなり、底壁と、前記底壁の周囲から折り線を介して連続する周囲側壁とを有し、前記周囲側壁を折り線に沿って折り曲げ、該周囲側壁間を連結する連結フラップを介して互いに連結することによって、前記周囲側壁の上縁側において、前記底壁より拡張された容器開口部を形成する箱状容器であって、
前記周囲側壁の少なくとも一つに折り線を介して連続する弾発的に起伏自在な可動フラップを設けてなることを特徴とする包装用容器を構成するものである。
【0009】
さらに、この発明において請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の包装用容器であって、前記包装用容器内に収納物を収納して、該包装用容器ごとラップフィルムによりラップ掛け梱包した際、前記ラップフィルムの梱包テンションによって前記可動フラップを押し込み、前記容器開口部の一部を覆うように構成したことを特徴とするものである。
【0010】
さらにまた、この発明において請求項4に記載の発明は、請求項1あるいは請求項2に記載の包装用容器であって、前記周囲側壁のうち、前記可動フラップを有する周囲側壁を、陳列接地面とした際、前記可動フラップが、内部収納物の前倒れ防止に寄与するものからなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明になる包装用容器は、適度の剛直性を有する一枚の型抜きシート材からなり、底壁と、前記底壁の周囲から折り線を介して連続する周囲側壁とを有し、前記周囲側壁を折り線に沿って折り曲げ、該周囲側壁間を連結する連結フラップを介して互いに連結することによって、前記周囲側壁の上縁側において、前記底壁より拡張された容器開口部を形成する箱状容器であって、周囲側壁の少なくとも一つに折り線を介して連続する弾発的に起伏自在な可動フラップを設けたものであり、
(1)まず、第1には、低価格で入手可能な素材により、紙取り良く構成でき、極めて簡単な加工手順により省力的に製造でき、多量生産に適合するという点において、経済的に極めて有効に作用するものである。
(2)第2には、例えば、ほんしめじ等のきのこ類を、その比較的嵩の大きな傘部分の形状形態を損ねることなく、品質を維持して、包装用容器内に安定した状態で収納しておくことができるという点において、極めて有効に作用するものといえる。
(3)第3には、当該包装用容器に収納物を収納する際には、開口部を大きくして収納を容易にし、収納物の収納後には、弾発的に起伏自在な可動フラップの作用によって、収納物の前倒れを防止し、収納物を安定した状態に維持収納できるという点においても極めて有効に作用するものといえる。
(4)第4には、当該包装用容器内に収納物を収納して店頭陳列する際、収納物の生育状況に似た形態をもって見栄え良く陳列販売に供し得るという点においても極めて有効に作用するものといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明になる包装用容器について、図面に示す具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明になる包装用容器の具体的な実施例を示す概略的な斜視図であり、図2は、図1におけるX−X線に沿って断面にして矢視方向にみた概略的なX−X線断面図である。
一方、図3は、当該包装用容器内に収納物を収納して、ラップ掛けをし、これを店頭などに陳列する陳列販売の一形態を説明するための概略的な側断面図である。図4は、この発明になる包装用容器のための一枚の型抜きシート材の一実施例を示す概略的な展開平面図である。
【0013】
この発明になる包装用容器Pは、例えば、厚さ0.5〜2mm程度の厚紙、段ボール紙、合成紙などからなる適度の剛直性を有する一枚の型抜きシート部材Sによって構成されている。一枚の型抜きシート部材Sは、図4に示すように、適宜多角形形状、好ましくは矩形形状でなる底壁1を有し、この底壁1に対し、互いに対向する第1の組の各谷折り辺2、2を介して第1の周囲側壁3、3が連続して形成されており、互いに対向する第2の組の各谷折り辺4、4を介して第2の周囲側壁5、5が連続して形成されている。
【0014】
前記第1の周囲側壁3の谷折り線2に沿った両端部分3a、3bに対し、谷折りの傾斜折り線6、6を介して、各周囲側壁3、5を連結するための側壁連結フラップ7、7が連続して設けてある。前記傾斜折り線6は、底壁1から離れる方向に、一端部6aから他端部6bに向けて側壁3が拡がるように傾斜状に形成されており、前記側壁連結フラップ7によって周囲側壁3、5を四隅で接着連結した際、底壁1から容器開口部8に向けて、平面視拡張された箱体(概して、逆台形状の箱体)を形成するようになっている。
【0015】
さらに、前記第1の周囲側壁3のうちの一方の側壁3に対し、谷折り線9、9を介して、弾発的に起伏自在な可動フラップ10が連続して形成されている。前記可動フラップ10の谷折り線9に沿った両端部分10a、10bに対し、任意に、谷折り線11、11を介して両翼補助フラップ12、12を設けたものであってもよい。
【0016】
一方、前記第1の周囲側壁3のうちの他方の側壁3における開放端縁3e、並びに、前記第2の周囲側壁5、5における開放端縁5e、5eは、例えば、図4において実線で示すように、直線状に形成したものであってもよいし、あるいは、仮想線で示すように、大きな波形をなす波形縁13によって形成したものであってもよい。開放端縁3e、5eを波形縁13により形成したものによれば、ラップフィルム掛けした際、波形の山部がラップフィルムFを支え、該ラップフィルムFに適度のテンションを与え、内部収納物であるきのこに対してラップフィルムが直接的に触れることがないよう、ラップ掛け包装をすることができるようになっている。
【0017】
この発明では、まず、図4に示すように型抜きした一枚の型抜きシート材Sが準備される。図4からも明らかなように、この一枚の型抜きシート材Sは、極めて紙取りの良い設計でなり、加えて、低価格で入手可能な素材によることから、極めて経済的にも有利なものである。
【0018】
この一枚の型抜きシート材Sについて、その谷折り線2、4、6に沿って谷折りし、側壁連結フラップ7を介して、周囲側壁3、5をそれぞれ四隅で接着連結することにより、底壁1側の平面視面積に対し、容器開口部8側の平面視面積が拡張した逆台形状の上方が開口した箱状容器を形成する。
【0019】
さらに、前記可動フラップ10を前記谷折り線9に沿って谷折り方向に折りぐせを付けておく。さらに、前記両翼補助フラップ12、12を設けた場合には、これを谷折り線11、11に沿って谷折り方向に折りぐせを付けておく。
【0020】
上記するようにして準備した包装用容器Pに対し、まず、可動フラップ10を谷折り線9に沿って折り曲げない状態(容器開口部8側を拡げた状態)で、容器内部にきのこなどの収納物Mを収納する。しかる後、ラップフィルムFにより、当該包装用容器Pの全体をその外部からラップ掛けする。このラップ掛けの際、ラップフィルムFのテンションにより、折りぐせの付いた可動フラップ10が弾発的に折り曲がって、図3に示すように、収納物Mのパッケージングを完了する。
【0021】
このようにしてパッケージングが完了した包装用容器Pは、図3に示すように、一方の周囲側壁3が店頭などのテーブル面Tに接するように店頭陳列すると、ラップフィルムF越しに、例えば、きのこなどのような内部収納物Mが、あたかも生育環境にあるように起立した状態で陳列することができる。この場合、前記可動フラップ10は、内部収納物Mの前倒れを防止し、内部収納物Mを安定した状態で維持することができる。
【0022】
さらに、この発明になる包装用容器Pは、その容器内面並びに容器外面に対して、きのこなどの収納物Mの生育環境に即したイメージ図などを予め印刷処理により表しておけば、より効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、この発明になる包装用容器の具体的な実施例を示す概略的な斜視図である。
【図2】図2は、図1におけるX−X線に沿って断面にして矢視方向にみた概略的なX−X線断面図である。
【図3】図3は、当該包装用容器内に収納物を収納して、ラップ掛けをし、これを店頭などに陳列する陳列販売の一形態を説明するための概略的な側断面図である。
【図4】図4は、この発明になる包装用容器のための一枚の型抜きシート材の一実施例を示す概略的な展開平面図である。
【符号の説明】
【0024】
P 包装用容器
S 型抜きシート材
M 収納物
T テーブル
1 底壁
2 谷折り線
3 第1の周囲側壁
4 谷折り線
5 第2の周囲側壁
6 傾斜折り線
7 側壁連結フラップ
8 容器開口部
9 谷折り線
10 可動フラップ
11 谷折り線
12 両翼補助フラップ
13 波形縁
F ラップフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適度の剛直性を有する一枚の型抜きシート材からなり、底壁と、前記底壁の周囲から折り線を介して連続する周囲側壁とを有し、前記周囲側壁を折り線に沿って折り曲げ、該周囲側壁間を連結する連結フラップを介して互いに連結することによって、前記周囲側壁の上縁側において、前記底壁より拡張された容器開口部を形成する箱状容器であって、
前記周囲側壁の少なくとも一つに折り線を介して連続する弾発的に起伏自在な可動フラップを設けてなることを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記包装用容器内に収納物を収納して、該包装用容器ごとラップフィルムによりラップ掛け梱包した際、前記ラップフィルムの梱包テンションによって前記可動フラップを押し込み、前記容器開口部の一部を覆うように構成したことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記周囲側壁のうち、前記可動フラップを有する周囲側壁を、陳列接地面とした際、前記可動フラップが、内部収納物の前倒れ防止に寄与するものからなることを特徴とする請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載の包装用容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−132289(P2010−132289A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307140(P2008−307140)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(302019245)タカラバイオ株式会社 (115)
【Fターム(参考)】