説明

包装用積層体

【課題】特に輸液バッグ等に用いた場合に、残留溶剤からの内容物の汚染を防ぐことが可能な包装用積層体を提供する。
【解決手段】互いに積層される基材層10及びシーラント層30を有する包装用積層体100において、シーラント層30を、直鎖状低密度ポリエチレン31、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂32及び直鎖状低密度ポリエチレン31が順に積層された3層構造に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医薬品、食品、化粧品等を包装するための包装用積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品、食品、化粧品等を包装する際に用いられる包装用積層体として、合成樹脂のフィルムやシートを積層してなる種々のものが提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
特許文献1には、輸液バッグ等に使用される医薬品用包装材料として、基材と該基材の両方の面に順次押し出しラミネートされたポリエチレン層及びエチレン−酢酸ビニル共重合体層とからなるものが開示されている。
また、特許文献2には、基材層、中間層、内面層からなる積層体であって、中間層がプラスチックフィルムであるとともに、内面層が3層の熱可塑性樹脂層から構成されたものが開示されている。
さらに、特許文献3には、最外層、バリ回収層、接着層、バリア層及び最内層を有する多層中空容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2960519号公報
【特許文献2】特許第4139489号公報
【特許文献3】特開2007−152712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記包装材料においては、近年、特に残留溶剤の問題が顕著になってきている。また、この残留溶剤による異臭や残留溶剤による内容物の劣化や汚染も問題となっている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は残留溶剤に対する適応を想定したものではなく、該残留溶剤による内容物の劣化を回避することはできない。
【0006】
また、特許文献2に記載の技術は内容物にアルコール等の揮発成分の透過逸散を防止するためのものであり、やはり残留溶剤に適応することはできない。
さらに、特許文献3に記載の技術は金属溶出量が少ない低溶出のポリオレフィン系樹脂を用いた多層中空容器であり、特許文献1及び2に記載の技術同様、残留溶剤に適応することができない。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、特に輸液バッグ等に用いた場合に、残留溶剤からの内容物の汚染を防ぐことが可能な包装用積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る包装用積層体は、互いに積層される基材層及びシーラント層を有する包装用積層体であって、前記シーラント層が、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂に直鎖状低密度ポリエチレンを積層してなることを特徴とする。
【0009】
このような特徴の包装用積層体によれば、シーラント層がエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂と直鎖状低密度ポリエチレンとを互いに積層してなるため、該シーラント層のバリア化を図ることができる。
【0010】
また、本発明に係る包装用積層体においては、前記直鎖状低密度ポリエチレンが、前記エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を挟み込むように一対積層されていることが好ましい。
これによって、残留溶剤の溶出をより確実に防止することができる。
【0011】
さらに、本発明に係る包装用積層体においては、前記基材層が、アルミニウムを含むことが好ましい。
基材層がアルミニウムを含むことで該基材層のバリア化を図ることができる。これによって、包装用積層体の各層全体にバリア性を付与することができ、残留溶剤の溶出をより確実に防止することができる。
【0012】
また、本発明に係る包装用積層体においては、前記基材層が、ガスバリア性を有するバリアフィルムであることが好ましい。
これによっても、包装用積層体の各層全体にバリア性を付与することができ、残留溶剤の溶出をより確実に防止することができる。
【0013】
さらに、本発明に係る包装用積層体は、前記基材層と前記シーラント層との間に、アルミニウムを含む中間層を有することが好ましい。
これにより、中間層がバリア性を発揮し、包装用積層体全体としてより確実に残留溶剤の溶出を防止することができる。
【0014】
また、本発明に係る包装用積層体は、積層方向に光を透過することが好ましい。
これにより、包装用積層体の外部より内容物を視認することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の包装用積層体によれば、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂と直鎖状低密度ポリエチレンとを互いに積層することでシーラント層を構成したため、該シーラント層のバリア化を図ることができる。これにより、例えば印刷インキや接着剤等に含まれる残留溶剤が内容物に溶出してしまうことを回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態及び実施例1、2に係る包装用積層体の縦断面図である。
【図2】本発明の第二実施形態及び実施例3、4に係る包装用積層体の縦断面図である。
【図3】本発明の第三実施形態及び実施例5、6及び7に係る包装用積層体の縦断面図である。
【図4】比較例1、2に係る包装用積層体の縦断面図である。
【図5】比較例3、4に係る包装用積層体の縦断面図である。
【図6】比較例5、6及び7に係る包装用積層体の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の包装用積層体の第一実施形態について図1を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、包装用積層体100は、例えば医療用の輸液バックにおける包装材、あるいは、輸液バック等の医薬品を複数個詰めた二次外装袋として用いられるものであって、基材層10、接着層20、シーラント層30が順次積層されることで構成されている。
【0018】
基材層10としては、例えば厚さ7μmのアルミニウム箔や厚さ12μmのアルミ蒸着PETフィルム等のアルミニウムを含む材料が用いられる。基材層10がアルミニウムを含むことで、該基材層10のバリア性を担保することができる。
【0019】
接着層20は、基材層10とシーラント層30とを強固に積層させるためにこれら基材層10及びシーラント層30間に介在されている。この接着層20としては、例えば有機溶剤型の接着剤、特にエステル系の接着剤を用いることができる。このような接着層20を用いてドライラミネートを施すことにより、基材層10とシーラント層30とが積層一体化される。
【0020】
シーラント層30は、上記接着層20を介して基材層10と互いに積層されており、本実施形態では3層構造とされている。このシーラント層30は、基材層10側から順に、直鎖状低密度ポリエチレン31、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂32、直鎖状低密度ポリエチレン31のシートが積層された構成とされており、シーラント層30全体としての厚みは例えば60μm程度に設定されている。
即ち、シーラント層30は、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂32のシートを挟み込むようにして、一対の直鎖状低密度ポリエチレン31のシートが積層された構造をなしている。なお、直鎖状低密度ポリエチレン31はポリオレフィン系の樹脂のため、ヒートシール性に優れている。
【0021】
このような包装用積層体100によれば、シーラント層30がエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂32と直鎖状低密度ポリエチレン31とを互いに積層してなるため、該シーラント層30のバリア化を図ることができる。
また、特に本実施形態のシーラント層30は、直鎖状低密度ポリエチレン31が、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂32を挟み込むように一対積層されているため、シーラント層30のバリア化をより確実に図ることができる。これによって、例えば接着層20に包含された残留溶剤の溶出を確実に防止することができる。
【0022】
さらに、本実施形態では、基材層10がアルミニウムを含むことで該基材層10についてもバリア化を図ることができる。これによって、包装用積層体100の各層全体にバリア性を付与することができ、残留溶剤の溶出をより確実に防止することができる。
【0023】
次に、本発明の第二実施形態について図2を参照して詳細に説明する。この第二実施形態において第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図2に示すように、本実施形態の包装用積層体100は、基材層10、インキ層40、接着層20、中間層50、接着層20、シーラント層30が順次積層されることで構成されている。
【0024】
基材層10としては、無機化合物蒸着PETフィルムが用いられ、例えば厚さ12μmのアルミ蒸着PETフィルムを用いることが好ましい。
【0025】
インキ層40は基材層10におけるシーラント層30側の面に対して、例えばグラビア印刷等によって絵柄インキを塗工することによって形成される層である。
【0026】
中間層50としては、例えば厚さ7μmのアルミニウム箔や厚さ12μmのアルミ蒸着PETフィルム等のアルミニウムを含むシートを用いることができる。この中間層50は、接着層20を用いたドライラミネートが施されることによって、上記のようにインキ層40が塗工された基材層10と積層一体化される。
このような中間層50における基材層10と反対側の面には、接着層20によるドライラミネートが施されることによって第一実施形態と同様のシーラント層30が積層される。
【0027】
このような包装用積層体100おいても、第一実施形態同様、直鎖状低密度ポリエチレン31が、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂32を挟み込むように一対積層されているため、シーラント層30のバリア化をより確実に図ることができる。これによって、例えば接着層20やインキ層40に包含された残留溶剤の溶出を確実に防止することができる。
【0028】
さらに、基材層10がアルミニウムを含むことによる該基材層10のバリア化に加えて、アルミニウムを含む中間層50が基材層10とシーラント層30との間に介在されているため、当該中間層50がバリア性を発揮することにより、包装用積層体100全体としてより確実に残留溶剤の溶出を防止することができる。
【0029】
次に、本発明の第三実施形態について図3を参照して詳細に説明する。この第三実施形態において第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態の包装用積層体100は、基材層10、インキ層40、接着層20、シーラント層30が順次積層されることで構成されている。なお、本実施形態では、上記基材層10、インキ層40、接着層20及びシーラント層30がそれぞれ光透過性を有している。
【0030】
基材層10としては、例えば無機化合物蒸着PETフィルムが用いられ、例えば厚さ12μmの特にアルミ蒸着PETフィルムを用いることが好ましい。
またこの基材層10としては、例えばガスバリア性を有するバリアフィルムを用いることもできる。このバリアフィルムとしては、例えば二軸延伸してなる厚さ30μmのバリアOPPフィルムや厚さ15μmのバリアNyフィルムを用いることができる。これによって、基材層10のバリア性を確実に担保することができる。
【0031】
なお、バリアOPPフィルムは、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を挟み込むようにして一対のポリプロピレンを積層した構成をなしている。
また、バリアNyフィルムは、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を挟み込むようにして一対のナイロンを積層した構成をなしている。
【0032】
このような基材層10におけるシーラント層30側の面には、例えばグラビア印刷等によって塗工された絵柄インキによるインキ層40が形成されている。
そして、インキ層40における基材層10と反対側の面には、接着層20としての接着剤によるドライラミネートが施されることによって第一実施形態及び第二実施形態と同様のシーラント層30が積層されている。
【0033】
このような包装用積層体100おいても、第一実施形態及び第二実施形態同様、直鎖状低密度ポリエチレン31が、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂32を挟み込むように一対積層されているため、シーラント層30のバリア化をより確実に図ることができる。これによって、例えば接着層20やインキ層40に包含された残留溶剤の溶出を確実に防止することができる。
【0034】
さらに、基材層10、インキ層40、接着層20及びシーラント層30がそれぞれ光透過性を有しているため、当該包装用積層体100で内容物を包装した際に、外部から内容物を視認することができる。これによって、使い勝手の良い包装材を提供することが可能となる。
【0035】
以上のように、上記各実施形態の包装用積層体100によれば、印刷インキや包装材料に繁茂に使用されるドライラミネーション用の接着剤にも多く含まれている残留溶剤から内容物を守るために、インキを途工する基材層10及びインキや接着剤に接する層を全てバリア化することで、残留溶剤の溶出を抑え内容物を保護することが可能となる。
なお、基材層10及び中間層50としては、上記構成の他、プラスチックフィルムにアルミニウム、鉄などの金属あるいは、酸化アルミニウム、酸化珪素等の無機化合物の蒸着層を設けたもの、またポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドとポリビニルアルコールとの共押出しフィルムや積層フィルム、MXDナイロンフィルム等を採用することができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本実施形態の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく多少の設計変更等も可能である。
【0037】
例えば、実施形態ではシーラント層30を、直鎖状低密度ポリエチレン31、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂32及び直鎖状低密度ポリエチレン31が順次積層された3層構造のものとしたが、これに限定されることはなく、例えばシーラント層30を直鎖状低密度ポリエチレン31及びエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂32の2層構造としてもよい。これによっても、残留溶剤の溶出を防止することができる。
また、第一、第二実施形態において、各層の材料を適宜選定することにより、各層を光透過性を有するものとし、内容物が視認できるようにしてもよい。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の包装用積層体の効果について具体的な実施例に基づいて説明する。
まず、実施形態に対応する包装用積層体(実施例1〜7)100及びこれらの比較対象となる包装用積層体(比較例1〜7)110を作成した。なお、実施例ではいずれもシーラント層30が直鎖状低密度ポリエチレン31、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂32、直鎖状低密度ポリエチレン31の3層構造とされている一方、比較例ではシーラント層30が直鎖状低密度ポリエチレン31のみの単層構造とされている。
【0039】
(実施例1)
第一実施形態における図1に示すように、基材層10、接着層20及びシーラント層30からなる包装用積層体100を作成して実施例1とした。
具体的には、基材層10として、厚さ7μmのアルミニウム箔(住軽アルミ箔(株)、商品名:1N30)を使用し、ドライラミネート機を用いて接着層20としての接着剤(DICグラフィックス(株)、商品名:LX500)によってシーラント層30を積層することで実施例1の包装用積層体100を作成した。
シーラント層30としては実施形態で説明したものと同様の構成をなす厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂共押出しフィルム(タマポリ(株)、商品名:マルチトロン)を用いた。
【0040】
(実施例2)
第一実施形態における図1に示すように、基材層10、接着層20及びシーラント層30からなる包装用積層体100を作成して実施例2とした。
具体的には、実施例1の基材層10を厚さ12μmのアルミ蒸着PETフィルム(東レフィルム加工(株)、商品名:1010)とした包装用積層体100を実施例2とした。
【0041】
(実施例3)
第二実施形態における図2に示すように、基材層10、インキ層40、接着層20、中間層50、接着層20、シーラント層30からなる包装用積層体100を作成して実施例3とした。
具体的には、基材層10として、厚さ12μmのアルミナ蒸着PETフィルム(凸版印刷(株)、商品名:GL)を使用し、グラビア印刷機で絵柄インキ(東洋インキ(株)、商品名:ファインスター)を塗工してインキ層40を形成した。その後、ドライラミネート機を用いて接着層20としての接着剤(DICグラフィックス(株)、商品名:LX500)により、中間層50としての厚さ7μmのアルミニウム箔(住軽アルミ箔(株)、商品名:1N30)を積層した。続いて、ドライラミネート機を用いて接着層20としての接着剤(DICグラフィックス(株)、商品名:LX500)によってシーラント層30を積層することで実施例3の包装用積層体100を作成した。
シーラント層30としては実施形態で説明したものと同様の構成をなす厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂共押出しフィルム(タマポリ(株)、商品名:マルチトロン)を用いた。
【0042】
(実施例4)
第二実施形態における図2に示すように、基材層10、インキ層40、接着層20、中間層50、接着層20、シーラント層30からなる包装用積層体100を作成して実施例4とした。
具体的には、実施例1の中間層50を厚さ12μmのアルミ蒸着PETフィルム(東レフィルム加工(株)、商品名:1010)とした包装用積層体100を実施例4とした。
【0043】
(実施例5)
第三実施形態における図3に示すように、基材層10、インキ層40、接着層20、シーラント層30からなる包装用積層体100を作成して実施例5とした。
具体的には、基材層10として、厚さ12μmのアルミナ蒸着PETフィルム(凸版印刷(株)、商品名:GL)を使用し、グラビア印刷機で絵柄インキ(東洋インキ(株)、商品名:ファインスター)を塗工することでインキ層40を形成した。次いで、ドライラミネート機を用いて接着層20としての接着剤(DICグラフィックス(株)、商品名:LX500)により、インキ層40にシーラント層30を積層した。
シーラント層30としては実施形態で説明したものと同様の構成をなす厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂共押出しフィルム(タマポリ(株)、商品名:マルチトロン)を用いた。
【0044】
(実施例6)
第三実施形態における図3に示すように、基材層10、インキ層40、接着層20、シーラント層30からなる包装用積層体100を作成して実施例6とした。
具体的には、実施例1の基材層10を厚さ30μmのバリアOPPフィルム(フタムラ化学(株)、商品名:ECO-B)とした包装用積層体100を実施例6とした。
【0045】
(実施例7)
第三実施形態における図3に示すように、基材層10、インキ層40、接着層20、シーラント層30からなる包装用積層体100を作成して実施例7とした。
具体的には、実施例1の基材層10を厚さ15μmのバリアNyフィルム(グンゼ(株)、商品名:HP)とした包装用積層体100を実施例7とした。
【0046】
(比較例1)
図4に示すように、基材層10、接着層20及びシーラント層30からなる包装用積層体110を作成して比較例1とした。
具体的には、実施例1において、シーラント層30として厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)、商品名:TUX-FCX)を使用したものを比較例1とした。即ち、比較例1では、直鎖状低密度ポリエチレン31のみからなるシーラント層30を用いた。
【0047】
(比較例2)
図4に示すように、基材層10、接着層20及びシーラント層30からなる包装用積層体110を作成して比較例2とした。
具体的には、実施例2において、シーラント層30として厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)、商品名:TUX-FCX)を使用したものを比較例2とした。即ち、比較例2では、直鎖状低密度ポリエチレン31のみからなるシーラント層30を用いた。
【0048】
(比較例3)
図5に示すように、基材層10、インキ層40、接着層20、中間層50、接着層20、シーラント層30からなる包装用積層体110を作成して比較例3とした。
具体的には、実施例3において、基材層10を厚さ12μmのPETフィルム(東洋紡績(株)、商品名:E5100)とするとともに、シーラント層30を厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)、商品名:TUX-FCX)としたものを比較例3とした。即ち、比較例3では、直鎖状低密度ポリエチレン31のみからなるシーラント層30を用いた。
【0049】
(比較例4)
図5に示すように、基材層10、インキ層40、接着層20、中間層50、接着層20、シーラント層30からなる包装用積層体110を作成して比較例4とした。
具体的には、実施例4において、基材層10を厚さ12μmのPETフィルム(東洋紡績(株)、商品名:E5100)とするとともに、シーラント層30を厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)、商品名:TUX-FCX)としたものを比較例4とした。即ち、比較例4では、直鎖状低密度ポリエチレン31のみからなるシーラント層30を用いた。
【0050】
(比較例5)
図6に示すように、基材層10、インキ層40、接着層20、シーラント層30からなる包装用積層体110を作成して比較例5とした。
具体的には、実施例5において、基材層10を厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)、商品名:E5100)とし、シーラント層30を厚さ60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ(株)、商品名:TUX-FCX)としたものを比較例5とした。即ち、比較例5では、直鎖状低密度ポリエチレン31のみからなるシーラント層30を用いた。
【0051】
(比較例6)
図6に示すように、基材層10、インキ層40、接着層20、シーラント層30からなる包装用積層体110を作成して比較例6とした。
具体的には比較例5において、基材層10を厚さ30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ(株)、商品名:UB−1)としたものを比較例6とした。
【0052】
(比較例7)
図6に示すように、基材層10、インキ層40、接着層20、シーラント層30からなる包装用積層体110を作成して比較例6とした。
具体的には比較例5において、基材層10を厚さ15μmのナイロンフィルム(三菱樹脂(株)、商品名:SNR−W)としたものを比較例7とした。
【0053】
(評価方法)
上記構成の実施例1〜7の包装用積層体100及び比較例1〜7の包装用積層体110を各6袋(1袋の寸法155mm幅×275mm)ずつ用意し、超純水30mlを各外装袋に詰めた。その後、40℃の恒温槽に24時間保存し、保存後、超純水に含まれる残留溶剤(酢酸エチル)の量をGC/MSにて測定した。なお、溶剤の種類は多数あるため、インキやドライラミネーション用に使用される溶剤のうち比率の高い「酢酸エチル」を残留溶剤の管理指標をした。
【0054】
(GC/MS分析)
試料1mlを20mlのバイアル瓶に入れて密封し、80℃20分間加熱を行いガスタイトシリングでヘッドスペースガス1.0mlを採取して、GC/MSにて分析した。
結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
表から見て取れるように、シーラント層30として直鎖状低密度ポリエチレン31、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂32、直鎖状低密度ポリエチレン31の3層構造からなる実施例1〜7の包装用積層体100は、シーラント層30が直鎖状低密度ポリエチレン31のみからなる比較例1〜7の包装用積層体110に比べて酢酸エチルの溶出量が劇的に少なくなっている。
この結果より、本発明の実施形態に対応する実施例1〜7の包装用積層体100が残留溶剤に対して効果があることが判明した。
【符号の説明】
【0057】
10 基材層
20 接着層
30 シーラント層
31 直鎖状低密度ポリエチレン
32 エチレンビニルアルコール共重合体
40 インキ層
50 中間層
100 包装用積層体
110 包装用積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積層される基材層及びシーラント層を有する包装用積層体であって、
前記シーラント層が、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂に直鎖状低密度ポリエチレンを積層してなることを特徴とする包装用積層体。
【請求項2】
前記直鎖状低密度ポリエチレンが、前記エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を挟み込むように一対積層されていることを特徴とする請求項1に記載の包装用積層体。
【請求項3】
前記基材層が、アルミニウムを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用積層体。
【請求項4】
前記基材層が、ガスバリア性を有するバリアフィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用積層体。
【請求項5】
前記基材層と前記シーラント層との間に、アルミニウムを含む中間層を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の包装用積層体。
【請求項6】
積層方向に光を透過することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の包装用積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−28061(P2013−28061A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165339(P2011−165339)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】