説明

包装用箱

【課題】
収容物を容易に出し入れすることができ、しかも見栄えのよい包装用箱。
【解決手段】
底板3の周囲を囲む前側板4、後側板5、左側板6及び右側板7と、前側板4の上縁部に折り目8を介して一体に形成され、箱上面部を開閉可能に閉鎖する蓋板9と、蓋板9の後側縁部に折り目10を介して一体に形成され、後側板5の上内縁部に挿し込まれる挿し込み片11とを備え、後側板5は、収容物Aを出し入れする為の出入口38と、出入口38の左内縁、右内縁又は下内縁に折り目37を介して支持され、出入口38を開閉可能に閉鎖する扉板39とを有し、扉板39の上縁部に挿し込み片11と互いに係合する係止片40を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に花飾り等の収容物の包装に使用する包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店頭展示や贈答品としての見栄えを考慮して花等の収容物を外側から箱を開けることなく見ることができる包装用箱が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この包装用箱は、底板の周囲を囲む前側板、後側板、左側板及び右側板と、前側板の上縁部に折り目を介して一体に形成された蓋板とを備え、箱前面部、即ち前側板から蓋板および左右両側板にかけて透視窓が形成され、透視窓には透明なプラスチックフィルムが貼られている。
【0004】
このような構造の包装用箱の内部に収容物を出し入れするには、蓋板を開けて箱上面部より行うようになっていた。
【特許文献1】特開2003−312649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の如き従来の技術では、蓋板を開き箱上部より収容物を出し入れするようになっているため、出し入れが困難という問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上述の従来技術の問題を鑑み、収容物を容易に出し入れすることができ、しかも見栄えのよい包装用箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、底板の周囲を囲む前側板、後側板、左側板及び右側板と、前記前側板の上縁部に折り目を介して一体に形成され、箱上面部を開閉可能に閉鎖する蓋板と、該蓋板の後縁部に折り目を介して一体に形成され、後側板の上内縁部に挿し込まれる挿し込み片とを備え、前記後側板は、収容物を出し入れする為の出入口と、該出入口の左内縁、右内縁又は下内縁に折り目を介して支持され、前記出入口を開閉可能に閉鎖する扉板とを有し、該扉板の上縁部に前記挿し込み片と互いに係合する係止片を設けた包装用箱であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加え、挿し込み片は、扉板の上縁部に折り目を介して一体に形成された係止片が係止される係止孔を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成に加え、扉板は、内側面にメッセージカード等を保持する添付手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る包装用箱は、底板の周囲を囲む前側板、後側板、左側板及び右側板と、前記前側板の上縁部に折り目を介して一体に形成され、箱上面部を開閉可能に閉鎖する蓋板と、該蓋板の後縁部に折り目を介して一体に形成され、後側板の上内縁部に挿し込まれる挿し込み片とを備え、前記後側板は、収容物を出し入れする為の出入口と、該出入口の左内縁、右内縁又は下内縁に折り目を介して支持され、前記出入口を開閉可能に閉鎖する扉板とを有し、該扉板の上縁部に前記挿し込み片と互いに係合する係止片を設けたことにより、箱後面部が容易に開閉できるので容易に収容物の出し入れができ、また、蓋板を粘着テープ等を使用せずに容易に開かないようにすることができる。
【0011】
挿し込み片は、扉板の上縁部に折り目を介して一体に形成された係止片が係止される係止孔を備えたことにより、粘着テープ等を使用せずに扉板を閉じた状態を好適に維持することができる。
【0012】
扉板は、内側面にメッセージカード等を保持する添付手段を備えたことにより、荷物を送る相手にメッセージカード等を添付することができるとともに、相手が蓋板を開き収容物を取り出すと同時にそのメッセージカード等を手するようになり、相手へのアピール度が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明に係る包装用箱について説明する。
【0014】
図1、図2は、本発明に係る包装用箱の一例を示し、図中符号1は包装用箱、符号Aは花の鉢植え等の収容物、符号Bは収容物を保持する保持台である。
【0015】
包装用箱1は、段ボール紙や厚紙等の板紙材を、図3に示す展開図のように打ち抜き、それを切曲加工することにより形成され、底板3と、底板3の四辺を囲むように配置された前側板4、後側板5、左側板6及び右側板7と、前側板4の上縁部に折り目8を介して一体に形成された蓋板9と、蓋板9の折り目8とは反対側の縁部に折り目10を介して一体に形成された挿し込み片11とを備えている。
【0016】
また、この包装用箱1は、前部、即ち前側板4より左右両側板6,7及び蓋板9にかけて裏側に透明なプラスチックフィルム12が貼られた透視窓が形成され、取り出さずともこの透視窓を通して内部の収容物を見ることができるようになっている。
【0017】
尚、図中符号13は、帯紐状の持ち運び用手提げ部であり、この手提げ部13の両端がそれぞれ左右両側板6,7に取り付けられ、箱1を持ち運べるようになっている。
【0018】
底板3は、前側板4の下縁部に折り目14を介して一体に形成された前底板15と、後側板5の下縁部に折り目16を介して一体に形成された後底板17と、左右両側板6,7の下縁部に折り目18,19を介して一体に形成された左底板20及び右底板21とをもって構成されている。
【0019】
前底板15は、前後方向長さが箱前後方向幅の約半分の長さの長方形状に形成され、折り目14とは反対側の縁部の中央部分に矩形の切欠部22を備えている。
【0020】
後底板17は、折り目16を下底辺とし、高さ、即ち前後方向長さを箱の前後方向幅の約半分の長さとした左右対称な台形状に形成され、上底辺部に切欠部22の縁部に係止される挿し込み係止片23を一体に備えている。
【0021】
左右両底板20,21は、それぞれ折り目18,19を下底辺とし、後側側辺が下底辺と直角配置の台形状に形成され、その高さは箱の左右方向幅の約半分の長さとなっている。また、左右両底板20,21の前側斜辺の上端部に切欠部22の内縁部に係止される係止片24が一体に形成されている。
【0022】
そして、図4に示すように、前底板15の下側に左右両底板20,21を重ねて係止片24,24を切欠部22の内縁部に挿し込み係止させ、更にその下側に後底板17を重ねて挿し込み係止片23を切欠部22の縁部に挿し込み係止させることにより前後左右各底板15,17,20,21が相互に支持し合い底板3を形成するようになっている。
【0023】
右側板7、前側板4、左側板6及び後側板5は、折り目25〜27を介して連接され、後側板5の右側縁部に折り目28を介して接着片29が一体に形成され、その接着片29を右側板7の後側縁部に接着剤等により貼り付け、後側板5と右側板7とが連結されている。
【0024】
前側板4は、矩形状に形成され、前面窓部30が形成されている。
【0025】
左側板6は、前側板4の左縁部に折り目26を介して一体に形成され、上縁の前側部が斜め下向きに傾斜した形状に形成され、前面窓部30と連続して左面窓部31が形成されている。
【0026】
一方、右側板7は、前側板4介して左側板6と対称に形成され、前側板4の右縁部に折り目25を介して一体に形成され、上縁の前側部が斜め下向きに傾斜した形状に形成され、前面窓部30と連続して右面窓部32が形成されている。
【0027】
また、左右両側板6,7の上縁部には、折り目33を介して折り込み片34,35が一体に形成され、該折り込み片34,35が左右両側板6,7の上縁より内側に折り込まれ、蓋板9の裏面側縁に当接されるようになっている。
【0028】
後側板5は、矩形状に形成され、切れ目36及び折り目37を設けることにより中央部に出入口38及び扉板39が形成され、この扉板39が折り目37、即ち出入口38の下内縁に支持されて上下方向に回動し、出入口38を開閉できるようになっている。
【0029】
また、扉板39の上縁部には、後側板5に切れ目を入れることにより、蓋板9と一体に形成された挿し込み片11の係止孔46と互いに係合する係止片40が折り目41を介して一体に形成され、折り目41より扉板39側に切れ目を入れることにより係止片40と一体に掴み片42が形成されている。
【0030】
更に、この扉板39は、内側面にメッセージカード等の添付物43を保持する添付手段を備えている。
【0031】
添付手段には、例えば、扉板39内側面及び添付物43にそれぞれ貼着され、互いに剥離可能に貼り合わされる一対の微粘着性テープや、カード等を収容可能なケース等を用いることができる。
【0032】
尚、添付物43は、扉板39を閉じた状態で添付物43が逆向き、即ち下向きとなるように保持され、扉板39を開いた際に添付物43が取り出す人側に向けられるようになっている。
【0033】
蓋板9は、前側板4の上縁に折り目8を介して一体に形成され、前面窓部30と連続して上面窓部44が形成されている。
【0034】
また、蓋板9は、折り目8と平行に成形用折り目45が形成され、左右両側板6,7の上縁形状に合わせて折り曲げられるようになっている。
【0035】
この蓋板9の折り目8とは反対側の縁部には、折り目10を介して挿し込み片11が一体に形成され、この挿し込み片11が後側板5の上内縁部に差し込まれ、蓋板9の両側縁が左右両側板6,7の折り込み片34,35に当接することによって、箱1の上面部が閉鎖されるようになっている。
【0036】
挿し込み片11は、後側板5上内縁部に差し込まれた際に一部が後側板5の出入口38に露出するように形成されている。
【0037】
また、この挿し込み片11には、挿し込み片11を後側板5の上内側縁に差し込んだ際に、出入口38の上縁と略同じ高さに位置するように、スリット状の係止孔46が形成されている。
【0038】
そして、この係止孔46に扉板39の係止片40が挿入され、この挿し込み片11の係止孔46と、扉板39の係止片40とが互いに係合され、蓋板9と扉板39とが互いに開かないように保持される。
【0039】
このように構成された包装用箱1は、後側板5に出入口38及び扉板39を備えたことによって、蓋板9を開閉せずとも、扉板39を開くことによって容易に収容物Aを出し入れすることができるようになっている。
【0040】
また、扉板39を閉じた際に、図5に示すように、上縁部の係止片40が挿し込み片11の係止孔46に挿入され互いに係合することによって、扉板39と蓋板9とが互いに開かないようになっている。
【0041】
尚、上述の実施例では、前面部に透視窓を設けた例について説明したが、透視窓を有しない箱であってもよい。
【0042】
また、上述の実施例では、添付物としてメッセージカードを例に挙げたが、収容物に関する取り扱い説明書等、その他どのようなものであってもよく、添付手段は、後側板の内側面に直接メッセージ等を記入できるようにしてもよい。
【0043】
更に、上述の実施例では、扉板を後側板に切れ目を入れることにより後側板と一体に形成した例について説明したが、扉板を別個形成し、その縁部を出入口の左右又は下縁に回動可能に支持させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る包装用箱を示す斜視図である。
【図2】同上の後方からの斜視図である。
【図3】同上の包装用箱の展開図である。
【図4】同上の包装用箱の底面図である。
【図5】同上の包装用箱を示す部分拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0045】
A 収容物
B 保持台
1 包装用箱
3 底板
4 前側板
5 後側板
6 左側板
7 右側板
8 折り目
9 蓋板
10 折り目
11 挿し込み片
12 プラスチックフィルム
13 持ち運び用手提げ部
14 折り目
15 前底板
16 折り目
17 後底板
18,19 折り目
20 左底板
21 右底板
22 切欠部
23 挿し込み係止片
24 係止片
25〜27 折り目
28 折り目
29 接着片
30 前面窓部
31 左面窓部
32 右面窓部
33 折り目
34,35 折り込み片
36 切れ目
37 折り目
38 出入口
39 扉板
40 係止片
41 折り目
42 掴み片
43 添付物
44 上面窓部
45 成形用折り目
46 係止孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板の周囲を囲む前側板、後側板、左側板及び右側板と、前記前側板の上縁部に折り目を介して一体に形成され、箱上面部を開閉可能に閉鎖する蓋板と、該蓋板の前記折り目とは反対側の縁部に折り目を介して一体に形成され、後側板の上内縁部に挿し込まれる挿し込み片とを備え、
前記後側板には、収容物を出し入れする為の出入口と、該出入口の左内縁、右内縁又は下内縁に支持され、前記出入口を開閉可能に閉鎖する扉板とを有し、該扉板の上縁部に前記挿し込み片と互いに係合する係止片を設けたことを特徴としてなる包装用箱。
【請求項2】
挿し込み片は、扉板の上縁部に折り目を介して一体に形成された係止片が係止される係止孔を備えた請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
扉板は、内側面にメッセージカード等を保持する添付手段を備えた請求項1又は2に記載の包装用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−264753(P2006−264753A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88049(P2005−88049)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(395019889)中越テック株式会社 (14)
【出願人】(504167311)株式会社全農中日本センター (1)
【Fターム(参考)】