説明

包装用箱

【課題】開封時に細かいブランク片が分離せず、しかも開封した後に商品を一時的に収納するための再封止機能を有し、加えて商品を取り出した後の折り畳んだ状態を開かないように保持する。
【解決手段】端外フラップ7の両側部7b、7bとその中央部7a及び上パネル2との間に切断しやすい切断補助線11、13を設けると共に、これら両側部7b、7bのみを端内フラップ8、9に接着し、これら端外フラップ7の中央部7aは上パネル2と連ねると共に、端内フラップ8、9に接着しない。端外フラップ6の両側部6b、6bとその中央部6a及び底パネル1との間に切断しやすい切断補助線12を設けると共に、これら両側部6b、6bのみを端内フラップ8、9に接着し、端外フラップ6の中央部6aは底パネル1と連ねると共に、端内フラップ8、9に接着しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシート等からなる原材料シートからブランクを打ち抜き、折り曲げて作られ、飲料ボトル等の商品を収納して包装する包装用箱に関し、商品の物流のための梱包用箱としての機能と、小売店等での商品の取り出しのための開封時の容易さ、細かいブランクの屑片が分離しない整理容易性等を有する包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
瓶、缶、箱等に収納された商品の梱包用の包装用箱(カートン)は、段ボールシート等からなる原材料シートからブランクを打ち抜き、折り曲げて作られる。商品を梱包した包装用箱は、段積みされ、交通手段を利用して製造地或いは一時ストック地から卸、小売等の販売地へ搬送される。従って、このような包装用箱には、商品の梱包用として商品を収納して保護すると共に、その状態で交通手段による搬送や積み込み、積み降ろし等の荷役に耐えることが出来ることが要請される。
【0003】
今日の日本では工場から出荷される容器入飲料水の多くの割合が、通称「ペットボトル (PET bottle)」と称される合成樹脂(プラスチック)の一種であるポリエチレンテレフタレート (PET) を材料として作られているプラスチック容器(plastic bottle)に収納されて販売されている。これらは複数本の単位で包装用箱に収納されて工場から直接または間接的に小売店に出荷される。小売店では包装用箱を開梱してその中から容器入飲料を取り出し、店頭に陳列して販売する。一部は包装用箱に梱包されたまま容器入飲料水が販売されることもあるが、遅くとも消費の際には開梱される。
【0004】
開梱した後の包装容器は一部再利用されるものもあるが、今日のリサイクル推進化事業により多くの割合の使用済包装容器が古紙として回収され、再生段ボール原紙用の古紙原料等として再利用される。しかし問題なのは、開梱の際に出る細かい段ボール板片である。このような屑片は古紙として回収されることなく、多くがゴミとなる。従って、包装用容器の開封時の手数を少なくし、しかも使用済包装容器の古紙としての回収率を高めるためには、開梱時に出来るだけ細かい段ボール板片、いわゆる屑片が分離しないことが望ましい。
【0005】
下記の特許文献1(特開2007−46145号公報)には、直方体形をなす箱の端面のフラップの接着を解除して開口しやすいように工夫された一般的な包装用箱が記載されている。この種の包装用箱は、箱の側面を形成する対向する一対の側パネルからそれぞれ延設された内端フラップと箱の上パネル及び底パネルからそれぞれ延設された外端フラップとを箱の端面で重ね合わせてその端面を閉じ、重ね合わせた内端フラップと外端フラップとをそれらの重ね合わせた部分で接着して端面を封止する。このような包装用箱では、箱の端面を開封するときに、接着した外端フラップを内端フラップから引き剥がす手順が必要であり、開封に力が必要である。しかも、外端フラップを内端フラップから引き剥がす時に、力が入ってフラップの一部を破断することが多く、いわゆる屑片が生じやすい。
【0006】
下記の特許文献2(特開2007−55630号公報)、特許文献3(特開2004−292023号公報)及び特許文献4(特開2003−165533号公報)には、ブランクに予め入れられた細かい切れ目の列により帯状の切断しやすい部分を形成し、箱を開封するときはこの帯状部を切り離して開封する包装用箱が記載されている。このような包装用箱は比較的小さな力で包装用箱を開封出来るが、前記の帯状部が屑片として発生するという欠点がある。
【0007】
下記の特許文献5(特開2002−370728号公報)と特許文献6(特開2002−166927号公報)には、前記の細かい切れ目の列の代わりに、箱の内側にブランクより引張強度の高いテープを貼っておき、箱を開封するときはこのテープに沿って箱を切断して開封する包装用箱が記載されている。このような包装用箱も比較的小さな力で包装用箱を開封出来るが、テープに沿って切断される部分がやはり屑片として発生するという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−46145号公報
【特許文献2】特開2007−55630号公報
【特許文献3】特開2004−292023号公報
【特許文献4】特開2003−165533号公報
【特許文献5】特開2002−370728号公報
【特許文献6】特開2002−166927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来の包装用箱における課題に鑑み、商品の物流のための梱包用箱としての機能と、小売店等での商品の取り出しのための開封時の容易さ、細かいブランク片が分離しない整理容易性に加え、開封した後に商品を一時的に収納するための再封止機能を有し、加えて商品を取り出した後の折り畳んだ状態を開かないように保持する機能を有する包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、前記の目的を達成するため、直方体形の箱の端面で内側の端フラップの上に重ねられる外側の端フラップの両側部を底パネルや上パネルから切断しやすい切断補助線を設けると共に、その両側部のみ内端フラップに接着し、両側部の間の中央部は内端フラップに非接着にすると共に、底パネルと上パネルと切り離さずに連ねておくようにしたものである。
【0011】
すなわち、本発明による包装用箱は、基本的には、直方体形の箱の側面を形成する対向する一対の側パネル3、4からそれぞれ延設された一対の端内フラップ8、9を箱の端面側に折り曲げて同端面の両側を閉じ、箱の底面と上面をそれぞれ形成する底パネル1と上パネル2からそれぞれ延設された端外フラップ6、7を箱の端面側に折り曲げて前記端内フラップ8、9に重ねて接着することにより、箱の端面を閉じる構造の箱である。
【0012】
このような包装用箱の上部側では、端外フラップ7の両側部7b、7bとその中央部7a及び上パネル2との間に切断しやすい切断補助線11、13を設けると共に、これら両側部7b、7bのみを端内フラップ8、9に接着し、これら端外フラップ7の中央部7aと上パネル2との間に切断補助線を設けず連ねると共に、同中央部7aは端内フラップ8、9に非接着とする。
【0013】
他方、包装用箱の上部側では、端外フラップ6の両側部6b、6bとその中央部6a及び底パネル1との間に切断しやすい切断補助線12を設けると共に、これら両側部6b、6bのみを端内フラップ8、9に接着し、端外フラップ6の中央部6aと底パネル1との間に切断補助線を設けず連ねると共に、同中央部6aは端内フラップ8、9に非接着としする。
【0014】
このような包装用箱の端面を開くとき、特にその上部側においては、切断補助線11、13に沿って端外フラップ7の両側部7b、7bを中央部7aと上パネル2から切り離す。この状態では端外フラップ7の両側部7b、7bは端内フラップ8、9に接着したまま箱から分離しない。また、端外フラップ7の中央部7aも上パネル2と切断されずに連なったままになるためにやはり箱から分離しない。
【0015】
また包装用箱の下部側においても、切断補助線12に沿って端外フラップ6の両側部6b、6bを中央部6aと底パネル1から切り離す。この状態では端外フラップ6の両側部6b、6bは端内フラップ8、9に接着したまま箱から分離しない。また、端外フラップ6の中央部6aも底パネル1と切断されずに連なったままとなっているためやはり箱から分離しない。
【0016】
このようにして箱の端面を開き、箱内の商品を開いた端面から取り出す時に上パネル2に連なった端外フラップ7の中央部7aが上パネル2から延びた状態となる。また底パネル1に連なった端外フラップ6の中央部6aも底パネル1から延びた状態となる。これら端外フラップ6、7の中央部6a、7aは箱内の商品を取り出すときに商品を案内する機能を有する。
【0017】
さらに、上側の端外フラップ7の中央部7aは先端にタブ17を有し、箱の端面が閉じられたときに端内フラップ8、9の前記タブ17と対応する位置に同タブ17を挿入可能な切欠き15を有する。同様にして下側の端外フラップ6の中央部6aは先端にタブ21を有し、箱の端面が閉じられたときに端内フラップ8、9の前記タブ21と対応する位置に同タブ21を挿入可能な切出し部19を有する。
【0018】
こうすることにより、箱の端面が閉じられたときに端外フラップ6、7の中央部6a、7aの先端のタブ17、21を端内フラップ8、9の切欠き15や切出し部19に差し込むことで、端外フラップ6、7の中央部6a、7aで端内フラップ8、9が開かないように仮固定出来る。すなわち仮に再封止が可能である。
【0019】
さらに、箱が開梱して折り畳まれたときに端内フラップ8、9に別の端内フラップ8、9に設けた切欠き15に挿入可能な切出し部19を設ける。
こうすることにより、使用済みの包装用箱を折り畳んで古紙として回収する時に、折り畳まれた状態が仮固定され、開きにくい。古紙を纏めて搬送する作業がしやすくなる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明した通り、本発明による包装用箱では、切断しやすい切断補助線11、12、13に沿って端外フラップ6、7を切断すれば端面を容易に開封出来る。しかも切断された端外フラップ6、7の両側部6b7bは側パネル3、4から延設された端内フラップ8、9に接着されたままで分離しない。また、端外フラップ6、7の中央部6a、7aも底パネル1、や上パネル2に連なったままで分離しない。このため、開封時の切断によって細かい屑片が生じない。
【0021】
さらに、箱の端面が閉じられたときに端外フラップ6、7の中央部6a、7aの先端のタブ17、21を端内フラップ8、9の切欠き15や切出し部19に差し込むことを可能にしたものでは、端面を開封した後の再封止のための仮固定も可能である。
また、箱が開梱して折り畳まれたときに端内フラップ8、9に別の端内フラップ8、9に設けた切欠き15に挿入可能なタブ状の切出し部19を有するものでは、使用済みの折り畳んだ箱の仮固定も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明による包装用箱の一実施例を示す展開図である。
【図2】図2は、本発明による包装用箱の一実施例を示す図1のA部とB部の拡大図である。
【図3】図3は、本発明による包装用箱の一実施例を示す閉じた状態の斜視図である。
【図4】図4は、本発明による包装用箱の一実施例を示す端面を開いた状態の斜視図である。
【図5】図5は、本発明による包装用箱の一実施例を示す一旦開いた端面を再封止した状態の斜視図である。
【図6】図6は、本発明による包装用箱の一実施例を示す使用済みの箱を折り畳んだ状態の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明では、切断しやすい切断補助線に沿って端外フラップを切断して直方体形の箱の端面を容易に開封出来るようにする一方で、切断したときの屑片が箱から遊離しないように内端フラップや上下のパネルに付いたままの状態に維持されるようにした。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は、箱の展開図の一例である。これら箱のブランクは紙製の波状のシートからなる中芯をライナーでラミネートした段ボール板が一般に使用される。段ボール板を図1に実線で示すように打ち抜くと共に、切れ目を入れ、かつ細破線で示すように折線を入れることにより、箱として組み立てる前のブランクが出来上がる。
【0025】
まず、図1に示す箱のブランクについて説明する。図1に実線で示されている線はブランクの外形線と切断補助線である。破線はミシン目を示す。また、細破線で示されている線は折線である。図1に示す箱のブランクは箱の内面側を示しており、前記折線は何れも図1の紙面に対して谷折りされる。図1においてブランク上にハッチングを施した部分は、コルク等の転圧ローラでブランクの中芯を潰し、他の部分より薄くした部分を示している。
【0026】
折線で四方を囲まれた長方形の底パネル1は箱の底面を形成するための部分であり、その一対の長辺側の折線から直方体の箱の側面として互いに対向すべき側パネル3、4がそれぞれ延設されている。この側パネル3、4の幅、すなわち図1においてその左右の寸法は底パネル1の長辺の長さより若干狭い。また、側パネル3、4の高さ、すなわち図1においてその上下の寸法は互いに等しい。一方の側パネル3からは折線を介して接着フラップ5が延設されている。また他方の側パネル4からは前記底パネル2と対向して上パネル2が延設されており、この底パネル2は直方体の箱の上面を形成するための部分である。
【0027】
底パネル1は、商品を適当な数だけ並べて動かないように配置出来る平面寸法を有している。箱の中に仕切りパネル等を挿入する場合は、その仕切りパネルの厚さを見込んだ平面寸法が必要である。側パネル3、4は、それらの商品が収まるだけの高さを有する。もし商品が包装用箱の中で段積みされる場合は、側パネル3、4はその商品の段数の高さに見合った高さを必要とする。
【0028】
前記底パネル1の短辺側の折線からは、端外フラップ6、6が延設されている。この端外フラップ6、6の高さ、すなわち図1において左右の寸法は前記側パネル3、4の約1/3程度或いはそれよりやや低い。この側パネル3、4の幅、すなわち図1においてその上下の寸法は底パネル1の短辺の長さより若干狭い。
【0029】
この端外フラップ6、6は、中央部6a、6aと両側部6b、6b、6b、6bとに分けられており、これら中央部6a、6aと両側部6b、6b、6b、6bとの間には、それらを切断、分離しやすいように細かいL字形の切断線の列により形成された切断補助線12、12、12、12が設けられている。さらにこの切断補助線12、12、12、12は、端外フラップ6、6の両側部6b、6b、6b、6bを底パネル1との間で切断しやすいようにも形成されている。すなわち、切断補助線12、12、12、12は、底パネル1との境界側で両側に湾曲し、端外フラップ6、6と底パネル1との境界線の両端に延びている。端外フラップ6、6と底パネル1との境界線の前記切断補助線12、12、12、12の間の中央部は折線となっている。
【0030】
図2(A)は図1のA部拡大図であり、端外フラップ6、6の中央部6a、6aを中心とする部分を示している。この端外フラップ6、6の中央部6a、6aと底パネル1との間には、その部分で両者を切断するような切断補助線は設けられておらず、両者は折線を介して連なっている。この中央部6a、6aの先端は、角が丸くカットされており、それより基部側に折線が形成され、この折線の先の先端部がタブ21、21となっている。
【0031】
直方体の箱として前記底パネル1と対向すべき前記上パネル2は、図1において一方の側パネル4の上側に折線を介して連なっている。
この上パネル2の短辺側の折線からは、端外フラップ7、7が延設されている。この端外フラップ7、7の高さ、すなわち図1において左右の寸法は前記側パネル3、4の約1/3程度或いはそれよりやや低い。この端外フラップ7、7の幅、すなわち図1においてその上下の寸法は上パネル2の短辺の長さより若干狭い。
【0032】
この端外フラップ7は中央部7a、7aと両側部7b、7b、7b、7bとに分けられており、この中央部7a、7aと両側部7b、7b、7b、7bとの間には、それらを切断しやすいように細かいL字形の切断線の列により形成された切断補助線11、11が設けられている。さらにこれらの切断補助線11、11の先は、端外フラップ7、7の両側部7b、7b、7b、7bを上パネル2との間で切断しやすいよう上パネル2との境界の折線の両側にL字形の切断線の列により形成した折線13、13と連なっている。
【0033】
図2(B)は図1のB部拡大図であり、端外フラップ7、7の中央部7a、7aを中心とする部分を示している。この端外フラップ7、7の中央部7a、7aは上パネル2との間で切断するような切断補助線は設けられておらず、折線を介して連なっている。中央部7a、7aの先端には、両側が半円弧状となった長円形の切断線により切り出されるタブ17が折線を介して連なっている。このタブ17の最も幅広となった中間部にも折線が設けられている。このタブ17の先には、その中央位置から端外フラップ7、7の先端辺の中央位置に向けて切断線24が設けられている。
【0034】
図1に示すように、前記側パネル3、4の両側の折線からはそれぞれ端内フラップ8、8、9、9が延設されている。この端内フラップ8、8、9、9の高さ、すなわち図1においてその左右の寸法は前記底パネル1と上パネル2の幅、すなわち図1において底パネル1と上パネル2の端フラップ6、6の上下の寸法の1/2弱である。また、この端内フラップ8、8、9、9の幅、すなわち図1においてその上下の寸法は側パネル3、4より若干狭い。
【0035】
両側の端内フラップ8、8、9、9の両側辺には、その高さ方向、すなわち図1において上下方向の中間高さよりやや低い位置に上下一対の短い切断線によって切り出された切出起点タブ18、18が設けられている。さらにこの両側の切出起点タブ18、18の間には、両側の端内フラップ8、8、9、9と側パネル3、4を直線的に通るようにブランクより引っ張り強度が高い樹脂テープ等からなるカットテープ23、23が貼られている。前記切出起点タブ18、18の何れか一方を起点としてカットテープ23、23の端を手で摘んで引き起こし、このカットテープ23、23を両側の端内フラップ8、8、9、9と側パネル3、4とにわたって強く引くことにより、端内フラップ8、8、9、9と側パネル3、4その位置で容易に切断し、上下に分離することが出来る。
【0036】
両側の端内フラップ8、8、9、9の両側辺の前記切出起点タブ18、18より低い位置には、図1において横凸字形状に端内フラップ8、8、9、9の内側に向けて切り込まれて切出し部19、19が設けられている。この切出し部19、19により端内フラップ8、8、9、9の両側に切り出されるタブ状の部分は折線を介して端内フラップ8、8、9、9に連なっている。この切出し部19、19の高さは、後述するようにブランクから箱を組み立てたとき、前記端外フラップ6、6の中央部6a、6a、のタブ21、21の位置に対応するよう設計される。
【0037】
両側の端内フラップ8、8、9、9の両側辺の前記切出起点タブ18、18より高い位置には、横に長い長円状の孔を形成するため、図1において横U字形をなす半長円状の切欠き15、15が設けられている。この切欠き15、15により端内フラップ8、8、9、9の両側に切り出される半長円状の部分は両側の2つが合わさって長円状の孔となる。この孔を形成するための切欠き15、15の上には、同切欠き15、15の角を斜めに折るための折線16、16が設けられている。この孔を形成するための切欠き15、15の高さは、後述するようにこのブランクから箱を組み立てたとき、前記端外フラップ7、7の中央部7a、7aのタブ17、17の位置に対応するよう設計される。
【0038】
次に、このようなブランクを箱として組み立てる手順について説明するが、この組立手順は一例であり、手順を若干変えても箱の組み立てが可能であれば、それでも構わない。
まず、図1に示すブランクの状態から、底パネル1に対して側パネル3、4をそれらの折線に沿って90゜谷折りし、底パネル1に対して側パネル3、4を立ち上げ、箱の側面とする。次に、一方の側パネル4に対して折線に沿って上パネルを90゜谷折りし、底パネル1に対向させ、箱の上面とする。また他方の側パネル3に対して折線に沿って接着フラップ5を90゜谷折りし、上パネル2の端辺近くの下側に差し込み、接着する。この接着する部分は図1においてハッチングを施した部分であり、ここは中芯が潰されて薄くされている部分である。以上により、直方体の上下両側面が閉じた筒状の半組み立て状態の箱が得られる。
【0039】
次に、図3に示すように、側パネル3、4の両側の端内フラップ8、8、9、9をそれらの折線に沿って90゜図1において谷折りし、底パネル1と上パネル2の短辺側に折り曲げ、箱の端面を閉じる。さらに、底パネル1に対して端外フラップ6、6をそれらの折線に沿って90゜谷折りする。また、上パネル2に対して端外フラップ7、7をそれらの折線に沿って90゜谷折りする。これにより端外フラップ6、6、7、7の両側部6b、6b、7b、7bが端内フラップ8、8、9、9の下部と上部の外面にそれぞれ重ね合わせられるので、この重ね合わせた両側部6b、6b、7b、7bのみを端内フラップ8、8、9、9に接着する。端外フラップ6、6、7、7の中央部6a、6a、7a、7aは接着しない。これにより図3に示すような閉じた箱が完成する。なお図3では商品が図示されていないが、箱の組み立て中にその内部に容器入り飲料等の商品が収納されることは言うまでもない。
【0040】
これらの箱の組み立てと商品の収納は、自動機械により行われるのが通常であるが、特別に少数の製品の梱包は手動で行われることもある。
この状態において、端外フラップ6、6の中央部6a、6aの先端のタブ21、21は、端内フラップ8、8の切出し部19、19の位置に対応し、端外フラップ7、7の中央部7a、7aの先端のタブ17、17は、端内フラップ9、9の切欠き15、15の位置に対応する。
【0041】
次に図3の箱が閉じた状態から図4に示すようにその端面を開く手順について説明する。図4では片側の端面のみを開いた状態を示しているが、他方の端面も同様である。
まず、下側の端外フラップ6をその切断補助線12、12に沿って切断し、同端外フラップ6の両側部6b、6bをその中央部6aと底パネル1とから切り離す。この切り離しに際しては、中央部6aの先端のタブ21を指で摘んで引き起こすとよい。このタブ21は、端内フラップ8、8の切出し部19、19の位置に対応しているため、箱の外側から指が容易に挿入できる。また、上側の端外フラップ7をその切断補助線11、13に沿って切断し、同端外フラップ7の両側部7b、7bをその中央部7aと上パネル2とから切り離す。この切り離しに際しては、中央部7aの先端のタブ17を指で摘んで引き起こすとよい。このタブ17は、端内フラップ9、9の切欠き15、15の位置に対応しているため、箱の外側から指が容易に挿入できる。
【0042】
これにより端外フラップ6、7の中央部6a、7aを底パネル1、上パネル2に対してそれぞれ折線に沿って開くことが出来る。また、端内フラップ8、9も側パネル3、4に対してそれぞれ折線に沿って開くことが出来る。このとき切り取った端外フラップ6、7の両側部6b、6b、7b、7bは側パネル3、4に接着されたままなので、こられ端外フラップ6、7の両側部6b、6b、7b、7bがいわゆる屑片となって分離しない。また、端外フラップ6、7の中央部6a、7aはそれぞれ底パネル1と上パネル2の延長面上に展開されるため、商品を取り出すときのガイドとすることが出来る。
【0043】
次にこの端面を開いた状態から図5に示すように端面を再び閉じて仮固定する手順について説明する。
まず、図4に示すように端面が開いた状態から図5に示すように側パネル3、4に対して折線から端内フラップ8、9を箱の端面側に折り曲げ、端面を閉じる。その後、底パネル1に対して折線から端外フラップ6の中央部6aを箱の端面側に折り曲げ、端内フラップ8、9の上に重ねる。さらに端外フラップ6の中央部6aの先端のタブ21を端内フラップ8、9の切出し部19の中に押し込み、同タブ21を端内フラップ8、9の内側に折り返し固定する。また同様にして、上パネル2に対して折線から端外フラップ7の中央部7aを箱の端面側に折り曲げ、端内フラップ8、9の上に重ねる。さらに端外フラップ7の中央部7aの先端のタブ17を端内フラップ8、9の切欠き15の中に押し込み、同タブ17を端内フラップ8、9の内側に折り返し固定する。これにより、図5に示すように、端面が再び閉じられ、なお且つそれが仮固定された状態となる。
【0044】
図示の例の包装用箱では、前記のような箱の開封の他、カットテープ23を用いて上下に分離することも出来る。すなわち、端内フラップ8、8、9、9の切出起点タブ18、18の一方を起点としてカットテープ23、23の端を手で摘んで引き起こし、このカットテープ23、23を強く引く。これにより端内フラップ8、8、9、9と側パネル3、4がその位置で切断されるので、箱を上下に開くことが出来る。
【0045】
さらに、図3に示すように箱の一方の端面を開き、さらに他方の端面を開いた後、箱を折り畳んで古紙原料等として回収する状態の例を図6に示す。この状態は内部から商品を取り出した空の包装用箱を展開し、中央の折線から2つに折り畳んだ状態である。前記カットテープ23を用いないで開封した場合のものである。この状態では、一方の端内フラップ8、9のタブ状の切出し部19、19が他方の端内フラップ8、9の切欠き15、15の位置に対応する。このため、その切出し部19、19を切欠き15、15に差し込んで掛けることが出来、折り畳まれた状態を仮固定することが出来る。すなわち、折り畳まれたものが開かないように保持することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明による包装用箱は、商品の取り出しのための開封が容易であると共に、開封時に細かいブランクの屑片が分離せず、加えて再封止機能や折畳み保持機能を有するため、包装用箱からの商品の取り出し、その再利用、利用済みのものの古紙原料としての回収等が容易となり、各分野の包装資材として広く利用出来る。
【符号の説明】
【0047】
1 底パネル
2 上パネル
3 側パネル
4 側パネル
6 端外フラップ
7 端外フラップ
8 端内フラップ
9 端内フラップ
6a 端外フラップの中央部
7a 端外フラップの中央部
6b 端外フラップの両側部
7b 端外フラップの両側部
11 切断補助線
12 切断補助線
15 切欠き
17 タブ
21 タブ
19 切出し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形の箱の側面を形成する対向する一対の側パネル3、4からそれぞれ延設された一対の端内フラップ8、9を箱の端面側に折り曲げて同端面の両側を閉じ、箱の底面と上面をそれぞれ形成する底パネル1と上パネル2からそれぞれ延設された端外フラップ6、7を箱の端面側に折り曲げて前記端内フラップ8、9に重ねて接着することにより、箱の端面を閉じる包装用箱において、端外フラップ7の両側部7b、7bとその中央部7a及び上パネル2との間に切断しやすい切断補助線11、13を設けると共に、これら両側部7b、7bのみを端内フラップ8、9に接着し、これら端外フラップ7の中央部7aと上パネル2との間に切断補助線を設けず連ねると共に、同中央部7aを端内フラップ8、9に非接着としたことを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
端外フラップ7の中央部7aは先端にタブ17を有し、箱の端面が閉じられたときに端内フラップ8、9の前記タブ17と対応する位置に同タブ17を挿入可能な切欠き15を有することを特徴とする請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
直方体形の箱の側面を形成する対向する一対の側パネル3、4からそれぞれ延設された一対の端内フラップ8、9を箱の端面側に折り曲げて同端面の両側を閉じ、箱の底面と上面をそれぞれ形成する底パネル1と上パネル2からそれぞれ延設された端外フラップ6、7を箱の端面側に折り曲げて前記端内フラップ8、9に重ねて接着することにより、箱の端面を閉じる包装用箱において、端外フラップ6の両側部6b、6bとその中央部6a及び底パネル1との間に切断しやすい切断補助線12を設けると共に、これら両側部6b、6bのみを端内フラップ8、9に接着し、端外フラップ6の中央部6aと底パネル1との間に切断補助線を設けず連ねると共に、同中央部6aを端内フラップ8、9に非接着としたことを特徴とする包装用箱。
【請求項4】
端外フラップ6の中央部6aは先端にタブ21を有し、箱の端面が閉じられたときに端内フラップ8、9の同タブ21と対応する位置に同タブ21を挿入可能な切出し部19を有することを特徴とする請求項3に記載の包装用箱。
【請求項5】
箱が開梱して折り畳まれたときに端内フラップ8、9に別の端内フラップ8、9に設けた切欠き15、15に挿入可能な切出し部19、19を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の包装用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−16571(P2011−16571A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163956(P2009−163956)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(391058381)キリンビバレッジ株式会社 (94)
【出願人】(000191869)森紙業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】