説明

包装箱および包装方法

【課題】包装コストを低減することができる包装箱および包装方法を提供する。
【解決手段】底面部21Aおよび底面部21Aを囲むように配設される内壁面部22A〜24Aを有する本体部37と、本体部37に対し開閉可能であり閉状態で底面部21Aに天井面部38Aを対向させる蓋部38とを備えた箱体12と、各端縁部13a〜13dをそれぞれ内壁面部22A〜24Aの対向するものに線接触させた状態で底面部21A上に載置される中袋13と、中袋13に収容された被包装物1を挟んで両側位置に配置され、閉状態にある蓋部38の天井面部38Aに押圧されて中袋13を底面部21Aとで挟持する押さえ部材14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱および包装方法に関し、特に包装コストの低減に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール箱に梱包される部材を固定する位置固定材に関する技術がある(例えば、特許文献1参照)。この技術では、段ボール紙からなる第1の板部材に、縦切り込みと、縦切り込みの両端で漏斗断面を突き合わせた形状の二本の横切り込みを入れて2カ所の対向する凸部を形成する。そして、金属板からなる第2の板部材の2カ所の対向する凸部を上記横切り込みの直線部の辺と密接するようにして第1の板部材と第2の板部材とを重ね合わせるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−234616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば電気機器に実装されるプリント基板等の被包装物を包装する際には、各被包装物の形状と一致した内装部と外装部とを有する包装箱が用いられている。そのため、少量多品種の被包装物を包装する場合には、品種の数だけ包装箱の種類が必要であり、包装コストが増大してしまう。
【0005】
したがって、本発明は、包装コストを低減することができる包装箱および包装方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、底面部および該底面部を囲むように配設される複数の内壁面部を有する本体部と、該本体部に対し開閉可能であり閉状態で前記底面部に天井面部を対向させる蓋部とを備えた箱体と、各端縁部をそれぞれ対向する前記内壁面部に線接触させた状態で前記底面部上に載置される中袋と、該中袋に収容された被包装物を挟んで両側位置に配置され、閉状態にある前記蓋部の前記天井面部に押圧されて前記中袋を前記底面部とで挟持する押さえ部材とを備えてなることを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記押さえ部材は、前記中袋に収容された被包装物の対角位置の延長外側に配置され、互いに交差すると共にそれぞれが前記天井面部および前記中袋に当接可能な一対の板状部と、これら板状部を交差位置以外で連結する連結部とを有し、前記一対の板状部のなす角が小さい側を前記被包装物の角部に対向させて配置されることを特徴としている。
【0008】
請求項3に係る発明は、底面部および該底面部を囲むように配設される複数の内壁面部を有する本体部と、該本体部に対し開閉可能であり閉状態で前記底面部に天井面部を対向させる蓋部とを備えた箱体と、各端縁部をそれぞれ対向する前記内壁面部に線接触させた状態で前記底面部上に載置される中袋と、を有する包装箱を用いた包装方法であって、前記中袋に収容された被包装物を挟んで両側位置に配置され、閉状態にある前記蓋部の前記天井面部に押圧されて前記中袋を前記底面部とで挟持する押さえ部材を用意し、前記被包装物の大きさに応じて前記押さえ部材の有無および位置を変更することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、被包装物を収容した中袋が、各端縁部をそれぞれ、箱体の本体部の対向する内壁面部に線接触させながら底面部上に載置される。そして、押さえ部材が、中袋に収容された被包装物を挟んで両側位置に配置されることになり、その後、箱体の蓋部が閉状態とされると、蓋部の天井面部が、押さえ部材を押圧して、押さえ部材と本体部の底面部とに中袋を挟持させる。この状態では、押さえ部材と本体部の底面部とで挟持されることと各端縁部がそれぞれ対向する内壁面部に線接触していることとにより、中袋の箱体に対する移動が規制されることになる。また、中袋内に収容された被包装物は、その両側位置に配置された押さえ部材と本体部の底面部とで中袋が挟持されることにより、中袋との摩擦力が効果的に高められて、中袋に対する移動が抑制されることになる。加えて、被包装物を挟んで両側に配置された押さえ部材が中袋を本体部の底面部に押し付けるため、中袋内の被包装物の天井面部の方向への移動も抑制されることになる。その結果、被包装物をその移動を抑制しつつ箱体内に保持することができる。そして、箱体、中袋および押さえ部材の種類を増やさなくても、押さえ部材の位置を被包装物の大きさに応じて変更すれば、大きさの異なる複数種類の被包装物のそれぞれを、不用意な移動を規制しつつ振動や落下等の衝撃から保護するように包装できることになる。したがって、包装コストを低減することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、押さえ部材は、中袋内に収容された被包装物の対角位置の延長外側に配置されることになり、しかも、一対の板状部のなす角が小さい側を、被包装物の角部に対向させて配置されるため、押さえ部材と被包装物との距離を全体的に短縮でき、効果的に中袋を包装物に押し付けることができる。また、押さえ部材は、これを越える被包装物の移動を直接規制することになることから、一対の板状部のなす角が小さい側を、被包装物の角部に対向させることで、被包装物の各方向への移動を効果的に規制できることになる。加えて、一対の板状部を連結部で連結するため、一対の板状部の所定の交差状態を良好に維持することができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、被包装物を収容した中袋が、各端縁部をそれぞれ、箱体の本体部の対向する内壁面部に線接触させながら底面部上に載置される。そして、押さえ部材が、中袋に収容された被包装物を挟んで両側位置に配置されることになり、その後、箱体の蓋部が閉状態とされると、蓋部の天井面部が、押さえ部材を押圧して、押さえ部材と本体部の底面部とに中袋を挟持させる。この状態では、押さえ部材と本体部の底面部とで挟持されることと各端縁部がそれぞれ対向する内壁面部に線接触していることとにより、中袋の箱体に対する移動が規制されることになる。また、中袋内に収容された被包装物は、その両側位置に配置された押さえ部材と本体部の底面部とで中袋が挟持されることにより、中袋との摩擦力が効果的に高められて、中袋に対する移動が抑制されることになる。加えて、被包装物を挟んで両側に配置された押さえ部材が中袋を本体部の底面部に押し付けるため、中袋内の被包装物の天井面部の方向への移動も抑制されることになる。その結果、被包装物をその移動を抑制しつつ箱体内に保持することができる。そして、箱体、中袋および押さえ部材の種類を増やさなくても、押さえ部材の有無および位置を被包装物の大きさに応じて変更すれば、大きさの異なる複数種類の被包装物のそれぞれを、不用意な移動を規制しつつ振動や落下等の衝撃から保護するように包装できることになる。したがって、包装コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装箱および被包装物を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る閉状態の包装箱を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る包装箱の箱体を示す展開図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る包装箱を示す平面図であって、(a)は箱体を、(b)は箱体に中袋をセットした状態を、(c)はさらに押さえ部材をセットした状態を示すものである。
【図5】本発明の一実施形態に係る包装箱のL型アングルを示す展開図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る包装箱の梁部材を示す正面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る閉状態の包装箱を示す正断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る包装箱に別の被包装物を収容した状態を示すもので、(a)は蓋部を開状態とした平面図、(b)は蓋部を閉状態とした正断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る包装箱にさらに別の被包装物を収容した状態を示すもので、(a)は蓋部を開状態とした平面図、(b)は蓋部を閉状態とした正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態を図面を参照して以下に説明する。
図1は、被包装物1と、この被包装物1を包装する本実施形態の包装箱11とを示している。被包装物1は、平面視矩形状、具体的には長方形状のプリント基板となっている。
【0014】
包装箱11は、箱体12と中袋13と一対の押さえ部材14,14とからなっている。本実施形態では、包装箱11が、その一つによって被包装物1を一つのみ包装するようになっており、大きさの異なる複数種類の被包装物1を包装可能となっている。この包装箱11は、例えばB7サイズ(9.1mm×128mm)〜B3サイズ(364mm×515mm)の大きさで100g〜1kgの重さの被包装物1を包装する。なお、以下では、便宜上、図1に示すように前後方向を規定して説明する。また、前後方向に直交する水平方向を左右方向とする。
【0015】
箱体12は、一枚の段ボール紙から形成されるもので、長方形状の底板部21と、底板部21の前端縁部から垂直に立ち上がる前壁部22と、底板部21の後端縁部から垂直に立ち上がる後壁部23と、底板部21の左右両側の端縁部からそれぞれ垂直に立ち上がる左右一対の側壁部24,24とを有する四角筐体形状をなしている。
【0016】
また、箱体12は、左右一対の側壁部24,24の底板部21とは反対側の端縁部からそれぞれ延出する左右一対のフラップ板部25,25と、後壁部23の底板部21とは反対側の端縁部から延出する蓋板部26と、蓋板部26の後壁部23とは反対側の端縁部の中間所定範囲から延出する差込板部27と、前壁部22の底板部21とは反対側の端縁部の中間所定範囲から後壁部23の方向に延出する舌板部28とを有している。
【0017】
前壁部22には、左右方向の中間所定範囲の前後方向の中央部に、下方に凹む差込溝31が形成されている。蓋板部26の差込板部27側の端縁部には、これらの境界線に沿って延びる差込溝32が形成されている。
【0018】
上記の箱体12は、両側のフラップ板部25,25が相互近接側に側壁部24,24に対し折り曲げられた状態で、蓋板部26が後壁部23に対して前方に折り曲げられながら、差込板部27が前壁部22の差込溝31に差し込まれる。この状態で、さらに蓋板部26の差込溝32に舌板部28が差し込まれることで、図2に示すように閉状態とされる。この状態では、図1に示す底板部21に対し、蓋板部26およびフラップ板部25,25が平行になる。
【0019】
下側に位置する底板部21と、この底板部21から立ち上がる前壁部22、後壁部23および左右一対の側壁部24,24とが、上部開口部35を有する収容空間36を形成する本体部37を構成している。また、上記閉状態で上側に配置される蓋板部26と両側のフラップ板部25,25とが、本体部37に対し開閉可能であって閉状態で収容空間36の上部開口部35を覆う蓋部38を構成している。
【0020】
図3は、箱体12の組み立て前の展開した展開体12’を示している。この展開体12’は、一枚の段ボール紙からなるもので、上記した底板部21、一対の側壁部24,24、一対のフラップ板部25,25、蓋板部26、差込板部27および舌板部28が、そのまま形成されている。よって、これら底板部21、側壁部24,24、フラップ板部25,25、蓋板部26、差込板部27および舌板部28は、すべて段ボール紙一枚分の厚さとなっている。
【0021】
また、展開体12’において、底板部21の前端縁部に前壁前面板部41が、この前壁前面板部41の底板部21とは反対の左右両側に一対の前壁上面板部42,42が、これら前壁上面板部42,42の前壁前面板部41とは反対側に前壁後面板部43が、前壁後面板部43の前壁上面板部42,42とは反対側の左右両側に一対の嵌合突部44,44が、それぞれ形成されている。また、底板部21の前壁前面板部41側の端縁部近傍には左右両側に一対の嵌合穴45,45が形成されている。
【0022】
そして、展開体12’は、前壁前面板部41が底板部21から上側に垂直に折り曲げられ、前壁上面板部42,42が前壁前面板部41から内側に垂直に折り曲げられ、前壁後面板部43が前壁上面板部42,42から垂直下側に折り曲げられ、一対の嵌合突部44,44が前壁前面板部41側に折り曲げられて底板部21の一対の嵌合穴45,45に嵌合される。これにより、図1に示すように、前壁前面板部41、一対の前壁上面板部42,42および前壁後面板部43が、前壁部22を形成することになり、前壁前面板部41と前壁後面板部43との間が差込溝31となる。
【0023】
図3に示すように、展開体12’は、両側の側壁部24,24のそれぞれの長さ方向の前壁前面板部41側の端部から長さ方向に沿って延出する左右一対の介装板部48,48と、両側の側壁部24,24のそれぞれの長さ方向の蓋板部26側から長さ方向に沿って延出する左右一対の後壁前面板部49,49とを有している。左右一対の介装板部48,48は、前壁前面板部41と前壁後面板部43の間に差し込まれてこれらに挟持されることになり、前壁部22を構成するとともに側壁部24,24を支持する。また、展開体12’において、底板部21と蓋板部26との間に後壁後面板部50が形成されており、図1に示すように、左右一対の後壁前面板部49,49は、底板部21から垂直に立ち上がる後壁後面板部50の前側で、後壁後面板部50に当接する。よって、これら後壁後面板部50および左右一対の後壁前面板部49,49が後壁部23を形成することになる。左右一対の後壁前面板部49,49は、後壁後面板部50の内側への倒れ込みを規制する。
【0024】
図4(a)に示すように、収容空間36の内のり部分の前端となる内壁面部22Aは、前壁後面板部43によって形成されることになる。また、収容空間36の内のり部分の後端となる内壁面部23Aは、左右一対の後壁前面板部49,49によって形成されることになる。さらに、収容空間36の内のり部分の左右方向の一端となる一方の内壁面部24Aは、一方の側壁部24によって形成されることになり、収容空間36の内のり部分の左右方向の他端となる他方の内壁面部24Aは、他方の側壁部24によって形成されることになる。これら内壁面部22A,23A,24A,24Aは、いずれも平坦面となっている。
【0025】
また、図1に示すように、底板部21の上面のうち、前壁部22、後壁部23および左右一対の側壁部24,24の内のり部分、つまり、内壁面部22A,23A,24A,24Aで囲まれる矩形状、具体的には長方形状の部分が、収容空間36の上下方向の内のり部分の下端となる底面部21Aとなっている。言い換えれば、底面部21Aは、直線状の前端縁部と、直線状の後端縁部と、直線状の左右方向両側の一対の側端縁部とを有しており、矩形状、具体的には長方形状となっている。よって、本体部37は、矩形状の平坦な底面部21Aと、この底面部21Aの各端縁部から立ち上がり全体として底面部21Aを囲む平面視矩形状をなすように配設される複数の内壁面部22A,23A,24A,24Aとを有している。なお、底面部21Aの大きさ、つまり内壁面部22A,23A,24A,24Aで囲まれる部分の大きさは、複数種類の被包装物1のうち最大の大きさのものを収容可能な大きさとなっており、例えばB3サイズとなっている。
【0026】
また、左右一対のフラップ板部25,25に蓋板部26を重ねつつ蓋部38が収容空間36の上部開口部35を閉じた状態では、左右一対のフラップ板部25,25の下面が底面部21Aに対向することになる。底面部21Aに対向するこれらの下面が、収容空間36の上下方向の内のり部分の上端となる天井面部38Aとなっている。
【0027】
中袋13は、箱体12の底面部21Aと同等の大きさおよび形状の一対の長方形状のシート状部55,55を袋状(具体的には封筒状)に連結することで形成されている。中袋13は、短円柱状のエア封入部56が面方向に多数均等に配置されてなる変形容易な合成樹脂製の気泡緩衝材、いわゆるエアクッションシートで形成されている。一対のシート状部55,55は、それぞれ一枚分のエアクッションシートで形成されている。なお、シート状部55,55は、いずれも一方の面のみにエア封入部56を有しており、シート状部55,55を、互いのエア封入部56を対向させて連結しても、相反する側に配置して連結しても良い。
【0028】
具体的に、中袋13は、一対のシート状部55,55を面方向の位置を合わせて厚さ方向に重ね合わせ、この状態で、長辺となり互いに面方向の位置が合う一方の端縁部同士、長辺となり互いに面方向の位置が合う他方の端縁部同士、および短辺となり互いに面方向の位置が合う一方の端縁部同士を、それぞれの全長にわたって接着等で繋ぐことにより袋状に形成されている。なお、短辺となり互いに面方向の位置が合う他方の端縁部同士は繋がっておらず、この部分が開口部57となっている。つまり、中袋13は、箱体12の底面部21Aと同等の平面形状をなしており、一方の長辺を構成する閉塞された直線状の端縁部13aと、他方の長辺を構成する閉塞された直線状の端縁部13bと、一方の短辺を構成する閉塞された直線状の端縁部13cと、他方の短辺を構成する開放された直線状の一対の端縁部13d,13dとを有している。言い換えれば、連続する三辺を構成する端縁部13a,13c,13bが閉塞されており、残りの一辺は開口可能な端縁部13d,13dとなっている。
【0029】
この中袋13は、開口部57から挿入された被包装物1を一対のシート状部55,55が相互間に収容することになり、この状態で、箱体12の底面部21Aと水平方向の位置を合わせるようにして本体部37内に挿入されることになる。そして、その際に、図4(b)に示すように、端縁部13aを前壁部22の内壁面部22Aに、端縁部13bを後壁部23の内壁面部23Aに、端縁部13cを一方の側壁部24の内壁面部24Aに、端縁部13d,13dを他方の側壁部24の内壁面部24Aに、それぞれ線接触で当接させるようになっている。最終的には、端縁部13aを内壁面部22Aに、端縁部13bを内壁面部23Aに、端縁部13cを一方の内壁面部24Aに、端縁部13d,13dを他方の内壁面部24Aに、同時に線接触させた状態で、図1に示す一方の下側のシート状部55にて底面部21Aに載置される。つまり、中袋13は、平面視で箱体12の底面部21Aと同等の大きさおよび形状をなしており、各端縁部13a,13b,13c,13d,13dをそれぞれ内壁面部22A,23A,24A,24Aの対向するものに線接触させた状態で底面部21A上に載置可能となっている。言い換えれば、中袋13は、端縁部13a,13b,13c,13d,13dにて内壁面部22A,23A,24A,24Aに嵌合可能となっている。なお、中袋13は、エアクッションシート以外で形成することも可能であり、例えばエアクッションシートよりも厚さの薄い紙で形成してもよい。
【0030】
押さえ部材14は、箱体12と同様、段ボール紙から形成されるもので、直線状の交差部60において互いに交差する一対の板状部61,61を有するL字状のL型アングル62と、このL型アングル62に連結される梁部材63とからなっている。
【0031】
L型アングル62は、一対の板状部61,61が、同じ大きさの長方形状をなしていて、互いの短辺位置において交差状態となるように繋がっている。これら板状部61,61には、交差部60に沿う方向の同じ一端側に、交差部60の延在方向に沿う切込部64が、それぞれの長辺方向の中間位置に一カ所ずつ形成されている。
【0032】
図5は、L型アングル62の組み立て前の展開した展開体62’を示している。この展開体62’は、一枚の段ボール紙からなり、図1に示す一対の板状部61,61の外側を構成する外側構成部65と、一対の板状部61,61の内側を構成する内側構成部66とを有している。外側構成部65の内側構成部66とは反対側には、図1に示す一対の切込部64,64を構成する一対の切込部構成部67,67が形成され、内側構成部66の外側構成部65とは反対側にも一対の切込部64,64を構成する一対の切込部構成部68,68が形成されている。
【0033】
そして、外側構成部65と内側構成部66とを重ね合わせるように、これらの境界となる破線Xの中央位置が折り曲げられ、その後、外側構成部65および内側構成部66のそれぞれの中央部が一点鎖線Yの位置で折り曲げられることで、交差する一対の板状部61,61を交差部60にて連結した形状の図1に示すL型アングル62が形成される。よって、板状部61,61は、それぞれ段ボール紙二枚分の厚さとなっている。
【0034】
梁部材63は、その短辺長さがL型アングル62の短辺長さと同じ長方形状をなしており、図6に示すように、短辺に沿う方向の同じ一端側に、長辺方向に間隔をあけて一対の切込部70,70が、短辺方向に沿って形成されている。梁部材63は、一枚の段ボール紙からなっている。
【0035】
そして、図1に示すように、この梁部材63が、L型アングル62に、一方の切込部70をL型アングル62の一方の切込部64に、他方の切込部70をL型アングル62の他方の切込部64に、それぞれ位置を合わせて、互いの切込部に相手を嵌合させるようにして組み付けられる。すると、L型アングル62の一対の板状部61,61が梁部材63によって繋がれることになる。言い換えれば、梁部材63に、一対の板状部61,61を交差位置である交差部60以外で連結する連結部71が形成される。なお、図5に示すL型アングル62の展開体62’および図6に示す梁部材63は、例えば、一枚の段ボール紙から上記した箱体12の図3に示す展開体12’を形成する際に余分となる、この段ボール紙の展開体12’の周辺部分に形成されることになる。
【0036】
図1に示すように、L型アングル62に梁部材63が一体に組み付けられた状態で、L型アングル62の板状部61,61と梁部材63とは、交差部60に沿う方向の同じ一側の端縁部を一の同一平面に配置することになり、交差部60に沿う方向の同じ逆側の端縁部を他の同一平面に配置することになる。これら二つの同一平面は互いに平行であって交差部60に直交することになり、これらの間隔が押さえ部材14,14のそれぞれの高さとなる。
【0037】
ここで、押さえ部材14,14の高さは、本体部37の底面部21A上に載置された中袋13のうち被包装物から水平方向にずれた位置、言い換えれば被包装物1を収容していない位置に載置された場合に、図7に示すように、閉状態の蓋部38の天井面部38Aに当接し天井面部38Aで押圧されて中袋13を底面部21Aとで挟持可能な高さとされている。言い換えれば、押さえ部材14,14の高さは、底面部21Aから天井面部38Aまでの高さから、中袋13の二枚のシート状部55,55の厚さを減算した値に、締め代分の長さを加えた高さとなっている。このとき、L型アングル62の一対の板状部61,61および梁部材63は、それぞれが天井面部38Aおよび中袋13に当接可能な高さとなっている。例えば、被包装物1の最大高さが40mmである場合、底面部21Aから天井面部38Aまでの高さを、この40mmに中袋13の厚さを加えた値にすることになり、その場合に、押さえ部材14,14の高さを38mm〜40mmにすることになる。
【0038】
以上の構成の包装箱11で被包装物1を包装する場合、作業者は、図1に示すように、中袋13に被包装物1を、互いの厚さ方向を揃え、互いの長さ方向を揃える姿勢で挿入することになり、このように被包装物1を収容した中袋13を、図4(a)に示すように蓋部38が開放された状態の本体部37の収容空間36に、上部開口部35から挿入し、図4(b)に示すように端縁部13aを内壁面部22Aに、端縁部13bを内壁面部23Aに、端縁部13cを一方の内壁面部24Aに、端縁部13d,13dを他方の内壁面部24Aに、同時に線接触させた状態で、図1に示す一方の下側のシート状部55にて底面部21Aに載置させる。このようにして、被包装物1を収容した中袋13を本体部37にセットする。なお、このとき、図4(b)に示すように、被包装物1を中袋13のほぼ中央位置に各端縁部が内壁面部22A,23A,24A,24Aの対向するものに沿う姿勢となるように配置する。
【0039】
次に、作業者は、図4(c)に示すように、中袋13に収容された被包装物1を挟んで両側位置となる被包装物1の対角位置の延長外側に、押さえ部材14,14をそれぞれ配置する。つまり、中袋13の被包装物1とは重ならない位置に、押さえ部材14,14を載置させる。このとき、押さえ部材14,14を、一対の板状部61,61のなす角が小さい側が、被包装物1の直角状の角部2,2の対応する一方に対向するように配置する。また、このとき、一方の押さえ部材14の板状部61,61と、他方の押さえ部材14の板状部61,61と、それぞれの延長面とで形成される矩形の範囲よりも外側に被包装物1が移動しようとしても、これを規制できるように押さえ部材14,14を配置するのが好ましい。例えば、平面視で、一方の押さえ部材14の一対の板状部61,61の交差部60とは反対端同士を結んだ線よりも内側範囲に被包装物1の一の角部2が入り込み、他方の押さえ部材14,14の同様の内側範囲に被包装物1の他の角部2が入り込むように配置する。勿論、もう一対の押さえ部材14,14を加え、これらの押さえ部材14,14を被包装物1の残りの対角位置の延長外側に配置するようにしても良い。つまり、被包装物1の四カ所すべての角部2の外側に押さえ部材14,14を配置するようにしても良い。
【0040】
そして、作業者は、蓋部38を閉状態とする。つまり、まず、一対のフラップ板部25,25をそれぞれ、押さえ部材14,14の対応する一方に当接するように閉じ、次に、図2に示すように、差込板部27を前壁部22の差込溝31に差し込みつつ、蓋板部26を、一対の側壁部24,24および前壁部22に当接させる。この状態で舌板部28を差込溝32に差し込むことで、蓋部38を閉状態で本体部37に係止し固定する。すると、図7に示すように、蓋部38の一方のフラップ板部25の天井面部38Aで押圧されて一方の押さえ部材14が中袋13を底面部21Aとで挟持することになり、蓋部38の他方のフラップ板部25の天井面部38Aで押圧されて他方の押さえ部材14が中袋13を底面部21Aとで挟持することになる。その結果、中袋13および一対の押さえ部材14,14が箱体12に対し摩擦により移動が規制された状態となる。
【0041】
他方で、図8に示すように、上記の被包装物1よりも大きい被包装物1を包装する場合は、上記と同様にして中袋13に被包装物1を収納しこの中袋13を本体部37にセットした後、一対の押さえ部材14,14を、中袋13に収容された被包装物1の対角位置の延長外側に配置する。このとき、被包装物1との位置関係が上記と同様になるように、一対の押さえ部材14,14を被包装物1の大きさに合わせて位置を調整しつつ配置することになる。その後、蓋部38を閉状態として本体部37に係止する。
【0042】
さらに、最大サイズであり、収容空間36の水平方向の内のりにほぼ近い被包装物1を包装する場合は、上記と同様にして中袋13に被包装物1を収納しこの中袋13を本体部37にセットする。この場合、被包装物1は、壁面部22A,23A,24A,24Aによって上下前後左右の移動が抑えられることになるため、押さえ部材14,14を用いることなく、蓋部38を閉状態として本体部37に係止する。
【0043】
つまり、一対(あるいは二対でも可)の押さえ部材14,14を用意し、被包装物1の大きさに応じて押さえ部材14,14の有無および位置を変更して、被包装物1を包装箱11に収容する。この場合、押さえ部材14,14を箱体12に接着したり、押さえ部材14,14を中袋13に接着したり、中袋13を箱体12に接着したりすることはない。つまり、箱体12、中袋13および押さえ部材14,14を、互いに接着することなく、これらで被包装物1を包装する。
【0044】
以上に述べた本実施形態によれば、被包装物1を収容した中袋13が、各端縁部13a,13b,13c,13d,13dをそれぞれ、本体部37の内壁面部22A,23A,24A,24Aの対向するものに線接触させながら本体部37の底面部21A上に載置される。そして、押さえ部材14,14が、中袋13に収容された被包装物1を挟んで両側位置に配置されることになり、その後、箱体12の蓋部38が閉状態とされると、蓋部38の天井面部38Aが押さえ部材14,14を押圧して、押さえ部材14,14と本体部37の底面部21Aとに中袋13を挟持させる。この状態では、押さえ部材14,14と本体部37の底面部21Aとで挟持されることと各端縁部13a,13b,13c,13d,13dがそれぞれ、本体部37の内壁面部22A,23A,24A,24Aの対向するものに線接触していることとにより、中袋13の箱体12に対する移動が規制されることになる。また、中袋13内に収容された被包装物1は、その両外側位置に配置された押さえ部材14,14と本体部37の底面部21Aとで中袋13が挟持されることにより、中袋13との摩擦力が効果的に高められて、中袋13に対する移動が抑制されることになる。加えて、被包装物1を挟んで両側に配置された押さえ部材14,14が中袋13を本体部37の底面部21Aに押し付けるため、中袋13内の被包装物1の天井面部38Aの方向への移動も抑制されることになる。その結果、被包装物1をその移動を抑制しつつ箱体12内に保持することができる。そして、箱体12、中袋13および押さえ部材14,14の種類を増やさなくても、押さえ部材14,14の位置および有無を被包装物1の大きさに応じて変更すれば、大きさの異なる複数種類の被包装物1のそれぞれを、不用意な移動を規制しつつ振動や落下等の衝撃から保護するように包装できることになる。したがって、箱体12、中袋13および押さえ部材14,14を一種類だけ用意すれば、大きさの異なる複数種類の被包装物1を包装できることになり、包装コストを低減することができる。つまり、大きさ・形状の異なる少量多品種の被包装物1を標準化された一の形状を有する箱体12、中袋13および押さえ部材14,14を用いて安価に包装することができる。
【0045】
また、押さえ部材14,14は、中袋13に収容された被包装物1の対角位置の延長外側に配置されることになり、しかも、一対の板状部61,61のなす角が小さい側を、被包装物1の角部2に対向させて配置されるため、押さえ部材14,14と被包装物1との距離を全体的に短縮でき、効果的に中袋13を包装物1に押し付けることができる。また、一対の板状部61,61は、これらを越える被包装物1の移動を直接規制することになることから、一対の板状部61,61のなす角が小さい側を、被包装物1の角部2に対向させることで、被包装物1の各方向への移動を効果的に規制できることになる。加えて、一対の板状部61,61を連結部71で連結するため、一対の板状部61,61を所定の交差状態に維持することができる。
【0046】
また、中袋13が、三カ所の端縁部13a,13b,13cにてシート状部55,55を繋いでいることから、実験により比較したところ、二カ所以下の端縁部で繋ぐ場合と比べて被包装物1の移動をより抑制できるという結果が得られた。
【0047】
なお、以上において、被包装物1あるいはフラップ板部25,25が小さく、蓋部38のフラップ板部25,25の間に押さえ部材14が配置される場合、フラップ板部25,25の間の蓋板部26が、蓋部38において押さえ部材14を中袋13に押し付ける天井面部38Aとなり、この蓋板部26の天井面部38Aで押圧されて中袋13を底面部21Aとで挟持できる高さの押さえ部材14を用いることになる。
【0048】
また、以上において、押さえ部材14の形状を変更することも可能である。特に、被包装物の二方向の対角位置の延長外側に合計四つの押さえ部材を配置する場合、各押さえ部材の形状を他の形状に変更しても被包装物の移動を抑制する効果は十分に得られる。
【符号の説明】
【0049】
1…被包装物、2…角部、11…包装箱、12…箱体、13…中袋、13a,13b,13c,13d…端縁部、14…押さえ部材、21A…底面部、22A,23A,24A…内壁面部、37…本体部、38…蓋部、38A…天井面部、55…シート状部、61…板状部、71…連結部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部および該底面部を囲むように配設される複数の内壁面部を有する本体部と、該本体部に対し開閉可能であり閉状態で前記底面部に天井面部を対向させる蓋部とを備えた箱体と、
各端縁部をそれぞれ対向する前記内壁面部に線接触させた状態で前記底面部上に載置される中袋と、
該中袋に収容された被包装物を挟んで両側位置に配置され、閉状態にある前記蓋部の前記天井面部に押圧されて前記中袋を前記底面部とで挟持する押さえ部材とを備えてなることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記押さえ部材は、前記中袋に収容された被包装物の対角位置の延長外側に配置され、互いに交差すると共にそれぞれが前記天井面部および前記中袋に当接可能な一対の板状部と、これら板状部を交差位置以外で連結する連結部とを有し、前記一対の板状部のなす角が小さい側を前記被包装物の角部に対向させて配置されることを特徴とする請求項1記載の包装箱。
【請求項3】
底面部および該底面部を囲むように配設される複数の内壁面部を有する本体部と、該本体部に対し開閉可能であり閉状態で前記底面部に天井面部を対向させる蓋部とを備えた箱体と、
各端縁部をそれぞれ対向する前記内壁面部に線接触させた状態で前記底面部上に載置される中袋と、を有する包装箱を用いた包装方法であって、
前記中袋に収容された被包装物を挟んで両側位置に配置され、閉状態にある前記蓋部の前記天井面部に押圧されて前記中袋を前記底面部とで挟持する押さえ部材を用意し、
前記被包装物の大きさに応じて前記押さえ部材の有無および位置を変更することを特徴とする包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−43689(P2013−43689A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184566(P2011−184566)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】