説明

包装箱

【課題】 物品を搬送する際に使用される包装箱において、この箱に振動や衝撃が加えられたときに、蓋部が開くことを防止できるようにする。
【解決手段】 包装箱1においては、各短辺蓋部側フラップ23に折曲片24が形成され、各長辺蓋部側フラップ13に挿通孔14が形成されている。折曲片24は、短辺蓋部側フラップ23の一部を折線にて折り曲げ可能に構成されており、折曲片24の根元側に位置する本体部24aと、本体部24aの両側に位置する羽根部24cとを有している。挿通孔14は、隣接する2枚の蓋部側フラップが重ねられた状態における折曲片24の幅方向に沿った長さが、本体部24aの幅よりも長く、羽根部24cと本体部24aとの幅を足し合わせた長さよりも短く設定されている。従って、この包装箱1の搬送中に蓋部が開いてしまうことを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する際に使用される包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の包装箱として、この箱の側壁に連接された底部側フラップおよび蓋部側フラップを4枚ずつ備え、これらのフラップを折り曲げることにより、底部および蓋部が形成されるものが広く知られている。
【0003】
このような包装箱においては、各底部側フラップを折り曲げ、この状態でステープラーや粘着テープ等を用いて各底部側フラップ同士を固定することにより、底部が形成される。そして、この包装箱の内容物を詰めた後で、各蓋部側フラップを折り曲げることにより、蓋部が形成される。
【0004】
ここで、この包装箱の蓋部においては、包装箱の内部への異物混入を防止するために、ステープラーや粘着テープ等を用いることなく蓋部を形成することができるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
即ち、この包装箱は、互いに対向する蓋部側フラップに、隣接するフラップの角部を挿通可能な挿通孔が形成されており、この挿通孔に隣接するフラップの角部を挿通し、フラップ同士を係合することにより、蓋部を固定するよう構成されている。
【特許文献1】実用新案登録第3090618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記包装箱を用いて物品を搬送すると、搬送時にこの包装箱に与えられる振動や衝撃により、フラップ同士の係合状態が解除され、蓋部が開いてしまう虞がある。
【0007】
このように蓋部が完全に開いてしまうと、箱としての剛性が小さくなるので、搬送する際に不安定となり、荷崩れを起こす虞がある。
そこで、このような問題点を鑑み、物品を搬送する際に使用される包装箱において、この箱に振動や衝撃が加えられたときに、蓋部が開くことを防止できるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために成された請求項1に記載の発明は、矩形の底部と、該底部の周囲に立設された4枚の側壁部と、前記各側壁部の上端部にそれぞれ連接され、内側に折り曲げられることにより蓋部を形成する蓋部側フラップと、を備えた包装箱であって、前記各蓋部側フラップのうち、隣接する2枚の蓋部側フラップには、この2枚の蓋部側フラップが重ねられた状態で、互いに噛合する噛合部が形成され、前記隣接する2枚の蓋部側フラップが重ねられた状態において下側に位置する蓋部側フラップに形成された噛合部は、該蓋部側フラップの一部を切り欠くことによってフラップ本体に対して折り曲げ可能に構成された折曲片からなり、該折曲片は、該折曲片の根元側に位置する幅狭部と、該幅狭部よりも該折曲片の先端側に位置し、前記幅狭部の幅よりも幅が広く設定された幅広部と、を有し、前記隣接する2枚の蓋部側フラップが重ねられた状態において上側に位置する蓋部側フラップに形成された噛合部は、前記折曲片を挿通するための挿通孔からなり、該挿通孔は、前記隣接する2枚の蓋部側フラップが重ねられた状態における折曲片の幅方向に沿った長さが、前記幅狭部の幅よりも長く、前記幅広部の幅よりも短く設定されていることを特徴としている。
【0009】
即ち、この包装箱において、噛合部が互いに噛合した状態では、折曲片の幅広部の幅は挿通孔の長さよりも広く構成されているので、折曲片が挿通孔から抜ける方向への力が加わった場合であっても、この幅広部が挿通孔に引っ掛かる。
【0010】
従って、このような包装箱によれば、この包装箱の搬送中に蓋部が開いてしまうことを防止することができる。
ところで、包装箱に内容物を大量に詰めてから蓋部を形成する場合には、蓋部側フラップが盛り上がった状態で噛合部を噛合させる必要がある。このため、請求項1に記載の包装箱において、噛合部は、請求項2に記載のように、上側に位置する蓋部側フラップと、この蓋部側フラップが連接された側壁部との連接部近傍に配置されていることが好ましい。
【0011】
このような包装箱によれば、ある蓋部側フラップの位置が変化した場合であっても、各蓋部側フラップ同士の距離の変化を小さくすることができるので、蓋部側フラップが盛り上がった場合においても、噛合部を良好に噛合させることができる。
【0012】
また、請求項1または請求項2に記載の包装箱において、噛合部は1箇所に配置されていればよいが、蓋部が、互いに対向する一組の蓋部側フラップを折り曲げ、互いに対向する他の一組の蓋部側フラップを、既に折り曲げられた蓋部側フラップに重ねて折り曲げることにより構成される場合には、請求項3に記載のように、噛合部は、隣接する蓋部側フラップ同士が重なる箇所に、それぞれ配置されていることが望ましい。
【0013】
このような包装箱によれば、噛合部は最低4箇所に配置されるので、全ての蓋部側フラップ同士を噛合することができる。従って、包装箱の剛性を向上させることができる。
さらに、請求項1〜請求項3の何れかに記載の包装箱においては、請求項4に記載のように、折曲片は、下側に位置する蓋部側フラップにおいて、挿通孔が形成されたフラップ側の辺から切込を入れることにより形成され、挿通孔は、上側に位置する蓋部側フラップと、このフラップが連接された側壁部とに跨って配置されていることが望ましい。
【0014】
このような包装箱によれば、この包装箱を組み立てる者が挿通孔に指を入れた場合に、折曲片に触れ易くすることができるので、包装箱の組み立てを容易にすることができる。
また、請求項1〜請求項4の何れかに記載の包装箱において、折曲片は、請求項5に記載のように、幅狭部のフラップ本体から幅広部までの長さが、上側に位置する蓋部側フラップの厚み以上の長さに設定されていることが好ましい。
【0015】
このような包装箱によれば、噛合部が形成された蓋部側フラップの噛合状態を緩くすることができるので、包装箱の内容物の量が多く、蓋部が内容物により持ち上げられる状態であっても、良好に蓋部側フラップを噛合することができる。また、噛合部が噛合しているので、箱としての剛性を高く維持することができる。
【0016】
さらに、請求項1〜請求項5の何れかに記載の包装箱において、折曲片の幅広部は、請求項6に記載のように、幅狭部の外縁の延長線上に折線を備えていることが望ましい。
このような包装箱によれば、折曲片の幅広部を折線に沿って折り曲げることにより、幅広部の幅は、挿通孔の長さよりも狭くなるので、幅広部を挿通孔に容易に挿通することができる。このため、包装箱の組立てを容易に行うことができる。
【0017】
また、請求項1〜請求項6の何れかに記載の包装箱において、底部には、請求項7に記載のように、水抜き穴が形成されていることが好ましい。
このような包装箱によれば、この包装箱に、野菜や果物のように水滴が出る虞がある内容物を収納する場合であっても、これらの内容物から出る水滴を良好に排出することができる。
【0018】
さらに、請求項1〜請求項7の何れかに記載の包装箱においては、請求項8に記載のように、各側壁部の下端部にそれぞれ連接された4枚の底部側フラップを備え、底部は、各底部側フラップを対向する側壁部側に折り曲げることにより形成されていることが望ましい。
【0019】
このような包装箱によれば、底部の少なくとも一部分を複数の底部側フラップにより多重構造にすることができるので、底部の強度を向上させることができる。
加えて、請求項8に記載の包装箱において、この包装箱を予め定められた形状に切断された1枚のシート材から組み立てる場合には、請求項9に記載のように、4枚の側壁部は、シート材において、直線的に連接されていることが望ましい。
【0020】
このような包装箱によれば、連接された各側壁部の一方側に蓋部側フラップが配置され、他方側に底板側フラップがそれぞれ配置されるので、シート材の形状を略長方形にすることができる。このため、シート材を効率的に使用でき、シート材の使用量を必要最小限にすることができる。
【0021】
また、請求項1〜請求項9の何れかに記載の包装箱においては、請求項10に記載のように、段ボールから構成されていることが好ましい。
このような包装箱によれば、強度および加工容易性をバランスよく維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された包装箱1を示す展開図である。
包装箱1は、段ボールからなる1枚のシート材2を予め定められた折線に沿って折り曲げることにより組み立てられる。
【0023】
このシート材2は、図1に示すように、2枚の長辺側側壁部11と、2枚の短辺側側壁部21と、各長辺側側壁部11に連接された長辺底部側フラップ12および長辺蓋部側フラップ13(本発明でいう上側に位置する蓋部側フラップに相当)と、各短辺側側壁部21に連接された短辺底部側フラップ22および短辺蓋部側フラップ23(本発明でいう下側に位置する蓋部側フラップに相当)と、を備えている。
【0024】
このシート材2において、各長辺側側壁部11と、各短辺側側壁部21とは、交互に直線状に連接されている。
また、このシート材2は、このシート材2の端部に位置する、長辺側側壁部11および短辺側側壁部21を接続するための接続部材5を備えている。この接続部材5は、壁面部接続部5aと、フラップ接続部5bとを備え、壁面部接続部5aが、このシート材2の端部に位置する長辺側側壁部11に連接されている。
【0025】
また、各長辺蓋部側フラップ13は、長辺側側壁部11との接続辺近傍に、後述する折曲片24を挿通するための2つの挿通孔14を備えている。
この挿通孔14は、挿通された折曲片24を保持する保持部14aと、折曲片24を挿通し易くするために切り欠かれた切欠部14bと、折線より折り曲げられることにより開閉可能な扉部14cとを備えている。
【0026】
ここで、切欠部14bは、長辺蓋部側フラップ13と、長辺側側壁部11とに跨って形成されている。
また、扉部14cは、長辺蓋部側フラップ13と、長辺側側壁部11との接続辺の近傍に配置されており、この接続片側の領域が切り欠かれている。即ち、扉部14cは、略台形形状を有するよう切り欠かれており、この扉部14cを開閉するための折線となる辺が、台形形状の下底側の辺(平行をなす辺のうちの長辺)となるよう設定されている。この扉部14cが略台形形状に切り欠かれていることにより、切欠部14bの形状は、長辺蓋部側フラップ13と長辺側側壁部11との接続辺近傍の領域が広く開いたものとなっている。
【0027】
次に、長辺底部側フラップ12は、水抜き穴16と取手部17とを備えている。
水抜き穴16は、例えば、野菜や果物等の水分を多く含んだ内容物をこの包装箱1に詰め、この内容物から水滴が出てきた場合に、この水滴を排除するために形成されている。
【0028】
取手部17は、組み立てられた状態の包装箱1の蓋部を解体する際に、この包装箱1を解体する者が手を挿通するために使用される。この取手部17が形成されていることにより、蓋部に手を引っ掛け易くすることができるので、この包装箱1を解体する者は、包装箱1の解体を容易に行うことができる。
【0029】
短辺蓋部側フラップ23は、前述の挿通孔14に挿通可能な2つの折曲片24(挿通孔14と共に、本発明でいう噛合部に相当)を備えている。
折曲片24は、各側壁部11,21同士の接続部の延長線上に位置する短辺蓋部側フラップ23の辺から、切込を入れることにより形成されている。また、この折曲片24の根元に位置する折線(折曲部)により折り曲げ可能な本体部24aと、この本体部24aの両端に繋がる羽根部24cとを備えている。
【0030】
羽根部24cは、本体部24aとの接続辺を折線として折り曲げ可能に構成されている。
ここで、本体部24aの幅は、挿通孔14の保持部14aの幅よりも狭く設定されており(本発明でいう幅狭部に相当)、本体部24aと2枚の羽根部24cとを合わせた幅(本発明でいう幅広部に相当)は、挿通孔14の保持部14aの幅よりも広く設定されている。この構成により、一旦、折曲片24が挿通孔14に挿通されると、この折曲片24は抜け難くなる。
【0031】
また、折曲片24の本体部14aを短辺蓋部側フラップ23より折り曲げるための折線から羽根部24cまでの長さ(即ち、折曲片24における挿通孔14の幅よりも狭い部分の長さ)は、シート材2の厚み(詳しくは、長辺蓋部側フラップの厚み)の約2倍に設定されている。
【0032】
次に、短辺底部側フラップ22は、水抜き穴26を備えている。この水抜き穴26は、この包装箱1が組み立てられる際に、長辺底部側フラップ12に形成された水抜き穴16と重なる位置に形成されている。
【0033】
そして、各長辺側側壁部11および各短辺側側壁部21は、通気孔15,25を備えている。これらの通気孔15,25は、包装箱1の内部の通気性をよくするために形成されているものである。
【0034】
なお、長辺側側壁部11に形成された通気孔15は、この長辺側側壁部11の中央付近において、所定の間隔を隔てた2箇所に配置されている。また、短辺側側壁部21に形成された通気孔25は、短辺側側壁部21の中央よりやや上方の1箇所に配置されている。この短辺側側壁部21に形成された通気孔25は、この包装箱1を搬送するときの取手としても使用される。
【0035】
次に、このシート材2から包装箱1を組み立てる手順について図2〜図6を用いて説明する。図2は包装箱1の壁面部および底部を組み立てた状態を示す斜視図、図3は折曲片24を挿通孔14に挿通する際の様子を示す説明図、図4は図3に示す領域Aの拡大図である。また、図5は一方側の長辺蓋部側フラップ13と短辺蓋部側フラップ23とを固定した状態を示す斜視図、図6は包装箱1の完成図である。
【0036】
包装箱1は、図1に示すシート材2より、以下に示す手順により組み立てられる。
まず、シート材2において、各側壁部11,21の境界線を折線として、各側壁部11,21を直角に折り曲げる。そして、接続部材5に接着剤を塗布し、この接続部材5とシート材2の端部に位置する短辺側側壁部21とを接着剤を介して接着する。
【0037】
なお、このとき、壁面部接続部5aは、短辺側側壁部21と接着され、フラップ接続部5bは、一方が短辺蓋部側フラップ23と接着され、他方が短辺底部側フラップ22と接着される。
【0038】
そして、この状態において、短辺底部側フラップ22と長辺蓋部側フラップ13とが重なるように、この包装箱の内側に順に折り込んだ状態で、例えば、ステープラーにより蓋部側フラップ13,22を互いに接続する。
【0039】
ここまでの手順を終了すると、包装箱1は、図2に示すような状態になる。即ち、包装箱1の底部が組み立てられ、各蓋部側フラップ13,23は、各側壁部11,21と平行に立てられた状態となっている。
【0040】
なお、通常は、この状態において、包装箱1に内容物を詰める作業が行なわれる。
そして、図2に示す状態から、各短辺蓋部側フラップ23を、短辺側側壁部21と直角に包装箱1の内側に折り込み、折り込んだ短辺蓋部側フラップ23の上に重ねるように、一方の長辺蓋部側フラップ13を折り込む。
【0041】
さらに、この状態から、短辺蓋部側フラップ23に形成された折曲片24を、長辺蓋部側フラップ13に形成された挿通孔14から引き上げる。
一方の折曲片24を途中まで引き上げると、図3に示す状態になる。
【0042】
なお、このとき、この包装箱1を組み立てる者は、指を折曲片24の切欠部14bに挿通し、折曲片24の本体部24aに指を引っ掛けることに、容易に折曲片24を引き上げることができる。
【0043】
ここで、折曲片24が引き上げられるときには、図4に示すように、本体部24aの両側に形成された羽根部24cは、挿通孔14の扉部14cと接触することにより、包装箱1の内側に折り曲げられた状態となる。また、挿通孔14の扉部14cは、折曲片24と接触することにより、包装箱1の外側に押し広げられた状態となる。このように、挿通孔14は、扉部14cが開閉可能に構成されているので、折曲片24は、扉部14cを開きながら、スムーズに移動することができる。特に、この包装箱1の扉部14cは、長辺側側壁部11側の一部を切り欠いた略台形形状とされているので、折曲片24は扉部14cに引っかかり難い。このため、この包装箱1を組み立てる者は、余分な力を加えることなく折曲片24を挿通孔14に挿通することができる。
【0044】
次に、さらに折曲片24が包装箱1の上方に引き上げられると、図5に示すような状態となる。即ち、折曲片24の羽根部24cは、挿通孔14を通過し、挿通孔14の保持部14aにて支持される。このとき、折曲片24の本体部24aと羽根部24cとは、略同一平面上に位置し、羽根部24cの下端部は挿通孔14の幅よりも広がった状態となっており、長辺蓋部側フラップ13と接触する状態となっている。このため、折曲片24が挿通孔14から抜けることはない。
【0045】
また、折曲片24は、包装箱1の外側(図3では上方)に引き上げられることにより、短辺蓋部側フラップ23と長辺蓋部側フラップ13とを固定する。つまり、折曲片24と挿通孔14とを噛合するときに、折曲片24は、内容物が位置する方向とは反対側に移動させられる。このため、この包装箱1によれば、内容物を多く詰めた状態であっても、折曲片24により内容物が傷つけられることがない。
【0046】
次に、図5に示す状態から、反対側の長辺蓋部側フラップ13についても、同様に、この長辺蓋部側フラップ13を既に折り込まれた短辺蓋部側フラップ23に重ねるように折り曲げ、この状態において、この長辺蓋部側フラップ13に形成された挿通孔14に折曲片24を挿通する。
【0047】
すると、図6に示すように、包装箱1が完成する。
ここで、この包装箱1に大きな内容物や、多くの内容物を入れた状態で蓋部を組み立てた場合には、包装箱1は、図7に示すような状態となる。なお、図7は、包装箱1の内容物が多い状態を示す斜視図である。
【0048】
包装箱1の内容物が多い場合には、図7に示すように、包装箱1の各蓋部側フラップ13,23は、蓋部の中央部分が押し上げられ、各蓋部側フラップは、傾斜した状態となる。
【0049】
このとき、折曲片24の羽根部24cは、長辺蓋部側フラップ13の傾斜に沿うように折り曲げられる。このため、折曲片24全体に無理な荷重がかかることがなく、折曲片24が損傷することを防止している。また、羽根部24cが折り曲げられた状態において、折曲片24は、挿通孔14の保持部14aに支持されていると共に、折曲辺24の羽根部24cが扉部14cにより係止された状態となるので、この状態においても、折曲片24が挿通孔14から抜けてしまうことはない。
【0050】
上記に詳述したように、包装箱1においては、各短辺蓋部側フラップ23に折曲片24が形成され、各長辺蓋部側フラップ13に挿通孔14が形成されている。
折曲片24は、短辺蓋部側フラップ23の一部を折線にて折り曲げ可能に構成されており、折曲片24の根元から支持する本体部24aと、本体部24aの両側に位置する羽根部24cとを有している。
【0051】
挿通孔14は、隣接する2枚の蓋部側フラップが重ねられた状態における折曲片24の幅方向に沿った長さが、本体部24aの幅よりも長く、羽根部24cの幅と本体部24aの幅とを足し合わせた長さよりも短く設定されている。
【0052】
従って、この包装箱1によれば、挿通孔14と折曲片24とが互いに噛合した状態では、折曲片24の羽根部24cの幅は挿通孔14の長さよりも広く構成されており、この羽根部24cが挿通孔14に引っ掛かるので、この包装箱1の搬送中に蓋部が開いてしまうことを防止することができる。
【0053】
加えて、内容物を傷つけることなく折曲片24と挿通孔14とを噛合することができる。
また、包装箱1は、長辺蓋部側フラップ13と、この長辺蓋部側フラップ13が連接された長辺側側壁部11との連接部近傍に配置されている。
【0054】
従って、この包装箱1によれば、ある蓋部側フラップ13または23の位置が変化した場合であっても、各蓋部側フラップ13,23同士の距離の変化を小さくすることができるので、各蓋部側フラップ13,23が盛り上がった場合においても、挿通孔14と折曲片24とを良好に噛合させることができる。
【0055】
さらに、包装箱1においては、蓋部が、互いに対向する一組の蓋部側フラップ13または23を折り曲げ、互いに対向する他の一組の蓋部側フラップ23または13を、既に折り曲げられた蓋部側フラップ13または23に重ねて折り曲げることにより構成されており、挿通孔14と折曲片24とは、長辺蓋部側フラップ13と短辺蓋部側フラップ23とが重なる箇所に、それぞれ配置されている。
【0056】
従って、この包装箱1によれば、全ての蓋部側フラップ13,23同士を噛合することができる。このため、包装箱1の剛性を向上させることができる。
また、折曲片24は、短辺蓋部側フラップ23において、挿通孔14が形成されたフラップ(長辺蓋部側フラップ13)側の辺から切込を入れることにより形成され、挿通孔14は、長辺蓋部側フラップ13と、この長辺蓋部側フラップ13が連接された長辺側側壁部11とに跨って配置されている。
【0057】
従って、この包装箱1によれば、この包装箱1を組み立てる者が挿通孔14に指を入れた場合に、折曲片24に触れ易くすることができるので、包装箱1の組み立てを容易にすることができる。
【0058】
また、折曲片24は、本体部24aが折り曲げられる折線から羽根部24cまでの長さ(本体部24aの短辺蓋部側フラップ23本体から羽根部24cまでの長さ)が、長辺蓋部側フラップ13の厚み以上の長さに設定されている。
【0059】
従って、この包装箱1によれば、各蓋部側フラップ13,23の噛合状態を緩くすることができるので、包装箱1の内容物の量が多く、蓋部が内容物により持ち上げられる状態であっても、良好に蓋部側フラップ13,23を噛合することができる。また、挿通孔14と折曲片24とが噛合しているので、箱としての剛性が高い状態で維持することができる。
【0060】
さらに、折曲片24において、羽根部24cと本体部24aとの間に形成された折線は、折曲片24の幅が狭くなった部分の外縁に沿った延長線上に位置している。
従って、この包装箱1によれば、折曲片24を羽根部24cと本体部24aとの間に形成された折線に沿って折り曲げることにより、折曲片24の幅は、挿通孔14の長さよりも狭くなるので、羽根部24cを挿通孔14に容易に挿通することができる。このため、包装箱1の組立てを容易に行うことができる。
【0061】
また、各側壁部11,21の下端部にそれぞれ連接された4枚の底部側フラップ12,22を備え、底部は、各底部側フラップ12,22を対向する側壁部11,21側に折り曲げることにより形成されている。そして、これらの各底部側フラップ12,22には、水抜き穴が形成されている。
【0062】
従って、この包装箱1によれば、底部の少なくとも一部分を複数の底部側フラップ12,22により多重構造にすることができるので、底部の強度を向上させることができる。
また、この包装箱1に、野菜や果物のように水滴が出る虞がある内容物を収納する場合であっても、これらの内容物から出る水滴を良好に排出することができる。
【0063】
さらに、この包装箱1は、予め定められた形状に切断された1枚のシート材から組み立てられ、4枚の側壁部は、シート材2において、直線的に連接されている。
従って、この包装箱1によれば、連接された各側壁部11,21の一方側に蓋部側フラップ13,23が配置され、他方側に底板側フラップ12,22がそれぞれ配置されるので、シート材2の形状を略長方形にすることができる。このため、シート材2を効率的に使用でき、シート材2の使用量を必要最小限にすることができる。
【0064】
また、シート材2は、段ボールから構成されているので、強度および加工容易性をバランスよく維持することができる。
なお、本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0065】
例えば、本実施例において、挿通孔14と折曲片24とは各蓋部側フラップ13,23同士を噛合するよう4箇所に配置したが、少なくとも1箇所に配置されていればよい。
また、折曲片24の本体部14aを折り曲げるための折線から羽根部24cまでの長さは、シート材2の厚みの約2倍に設定したが、1倍以上であればよい。このように、特に、折曲片24の本体部14aを折り曲げるための折線から羽根部24cまでの長さが1倍から2倍までの範囲であれば、蓋部が盛り上がった状態であっても、良好に蓋部を形成することができ、且つ、蓋部の開きが極端に大きくならないようにすることができる。
【0066】
さらに、本実施形態において、この包装箱1の底部は4枚の底部側フラップ12,22を組み合わせることにより構成したが、例えば、何れか1箇所の側壁部11,21に連接された1枚の底板から構成されていてもよい。
【0067】
また、本実施形態におけるシート材2は、段ボールから構成したが、例えば、厚紙や、アルミ板等であっても、組立て可能であれば材料は何でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】包装箱1を示す展開図である。
【図2】包装箱1の壁面部および底部を組み立てた状態を示す斜視図である。
【図3】折曲片24を挿通孔14に挿通する際の様子を示す説明図である。
【図4】図3に示す領域Aの拡大図である。
【図5】一方側の長辺蓋部側フラップ13と短辺蓋部側フラップ23とを固定した状態を示す斜視図である。
【図6】包装箱1の完成図である。
【図7】包装箱1の内容物が多い状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
1…包装箱、2…シート材、5…接続部材、5a…壁面部接続部、5b…フラップ接続部、11…長辺側側壁部、12…長辺底部側フラップ、13…長辺蓋部側フラップ、14…挿通孔、14a…保持部、14a…本体部、14b…切欠部、14c…扉部、15…通気孔、16…水抜き穴、21…短辺側側壁部、22…短辺底部側フラップ、23…短辺蓋部側フラップ、24…折曲片、24a…本体部、24c…羽根部、25…通気孔、26…水抜き穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の底部と、
該底部の周囲に立設された4枚の側壁部と、
前記各側壁部の上端部にそれぞれ連接され、内側に折り曲げられることにより蓋部を形成する蓋部側フラップと、
を備えた包装箱であって、
前記各蓋部側フラップのうち、隣接する2枚の蓋部側フラップには、この2枚の蓋部側フラップが重ねられた状態で、互いに噛合する噛合部が形成され、
前記隣接する2枚の蓋部側フラップが重ねられた状態において下側に位置する蓋部側フラップに形成された噛合部は、該蓋部側フラップの一部を切り欠くことによってフラップ本体に対して折り曲げ可能に構成された折曲片からなり、
該折曲片は、
該折曲片の根元側に位置する幅狭部と、
該幅狭部よりも該折曲片の先端側に位置し、前記幅狭部の幅よりも幅が広く設定された幅広部と、
を有し、
前記隣接する2枚の蓋部側フラップが重ねられた状態において上側に位置する蓋部側フラップに形成された噛合部は、前記折曲片を挿通するための挿通孔からなり、
該挿通孔は、前記隣接する2枚の蓋部側フラップが重ねられた状態における折曲片の幅方向に沿った長さが、前記幅狭部の幅よりも長く、前記幅広部の幅よりも短く設定されていること
を特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記噛合部は、前記上側に位置する蓋部側フラップと、この蓋部側フラップが連接された側壁部との連接部近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記蓋部は、互いに対向する一組の蓋部側フラップを折り曲げ、互いに対向する他の一組の蓋部側フラップを、既に折り曲げられた蓋部側フラップに重ねて折り曲げることにより構成され、
前記噛合部は、隣接する蓋部側フラップ同士が重なる箇所に、それぞれ配置されていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記折曲片は、前記下側に位置する蓋部側フラップにおいて、前記挿通孔が形成されたフラップ側の辺から切込を入れることにより形成され、
前記挿通孔は、前記上側に位置する蓋部側フラップと、このフラップが連接された側壁部とに跨って配置されていること
を特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の包装箱。
【請求項5】
前記折曲片は、前記幅狭部のフラップ本体から幅広部までの長さが、前記上側に位置する蓋部側フラップの厚み以上の長さに設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の包装箱。
【請求項6】
前記折曲片の幅広部は、前記幅狭部の外縁の延長線上に折線を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の包装箱。
【請求項7】
前記底部には、水抜き穴が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の包装箱。
【請求項8】
前記各側壁部の下端部にそれぞれ連接された4枚の底部側フラップを備え、
前記底部は、前記各底部側フラップを対向する側壁部側に折り曲げることにより形成されていること
を特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載の包装箱。
【請求項9】
当該包装箱は、予め定められた形状に切断された1枚のシート材から組み立てられており、
前記4枚の側壁部は、前記シート材において、直線的に連接されていること
を特徴とする請求項8に記載の包装箱。
【請求項10】
当該包装箱は、段ボールから構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項9の何れかに記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−82859(P2006−82859A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271345(P2004−271345)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000229494)日本ハイパック株式会社 (4)
【出願人】(000201641)全国農業協同組合連合会 (69)
【Fターム(参考)】