説明

包装箱

【課題】 組み立て時の手間を少なくすると共に、箱本体上部の開口を再び天面で閉じることを可能にした改ざん防止用の包装箱を提供する。
【解決手段】
箱本体10の上部開口11を塞ぐ天面21と、天面21の先端に備えられた差込フラップ22と、左右の内フラップ24,25と、差込フラップ22の先端に破断線12で備えられた破断フラップ23を有し、当該破断フラップ23が開口内側にV字状に折り畳まれた状態で差込フラップ22が前記左右の内フラップ24,25の前縁近傍位置において差し込まれる包装箱1において、破断フラップ23の形状や大きさを、開封時において、破断フラップ23の上向きの動きが左右の内フラップ24,25によって抑えられると共にV字状に折り畳まれた破断フラップ23の開く動きが包装箱1に収納された物品30によって妨げられる形状・大きさとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱、より具体的に言うと、購入時に開封したことが一見して判別することができ、しかも差込フラップによって再度封ができる包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商品売り場等において、異物を混入し、あたかも未開封のように見せかけるという事態が生じている。これを防ぐため、種々の改ざん防止用包装箱が提案されている。
【0003】
例えば、特開2003−137277号公報(特許文献1)には、左右の内フラップが切断可能に箱本体上部の開口に備えられ、両内フラップが天面裏面に接着された構造の包装箱が開示されている。この包装箱では、天面を開くと左右の内フラップが切断される。
【0004】
特開2003−327242号公報(特許文献2)には、天面と差込フラップを仕切る折り目線上に切れ目が備えられるとともに、箱本体正面に破断線が設けられ、この破断線で囲まれた部分から上方に延設した差し込み片が設けられた包装箱が開示されている。この包装箱では、天面と差込フラップを仕切る折り目線上の切れ目に差み込み片が挿入されるので、天面を開く際に破断線が破られる。
【0005】
特開2004−269031号公報(特許文献3)には、差込フラップが天面に切断可能に備えられるとともに、天面と差込フラップの接続部分に切れ目が設けられ、左右の内フラップの一方に当該切れ目に差し込み可能な突起が設けられた包装箱が開示されている。この包装箱では、内フラップの突起が切れ目に挿入されているので、天面を開く際に差込フラップが切り取られる。
【0006】
特開2003−137274号公報(特許文献4)には、箱本体上部の開口を閉じる天面と、当該天面の裏面と糊付けされる外受けフラップを有し、天面に切断予定部が備えられた包装箱が開示されている。この包装箱では、切断予定部を切断して開封する。
【0007】
特開2003−165529号公報(特許文献5)には、天面と差込フラップを仕切る折り目線上の両端近傍及びその中央に切り目が設けられ、左右の内フラップに前記両端の切れ目に挿入される突起が備えられるとともに、前記折り目線の中央切れ目に挿入される差込片が箱本体の開口に延設された包装箱が開示されている。
【0008】
この包装箱では、左右内フラップに設けられた突起が切れ目に挿入されるので蓋がしっかりと固定され、開封時には差込片が損傷されるか、箱がくずれ、改ざんが容易に判別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−137277号公報
【特許文献2】特開2003−327242号公報
【特許文献3】特開2004−269031号公報
【特許文献4】特開2003−137274号公報
【特許文献5】特開2003−165529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の包装箱では天面と内フラップを、特許文献4の包装箱では天面と外受けフラップをそれぞれ糊付けする必要があり、組み立てが面倒である。
【0011】
一方、特許文献2や特許文献3、特許文献5の包装箱ではそれぞれ切れ目に差込片を挿入する必要があり、やはり組み立てに手間を要するという問題点があった。
【0012】
そして、これらの包装箱では、開封された後には包装箱が破壊されたり、差込フラップが切断されているので、箱本体上部の開口を再び天面で閉じることができないという問題点があった。
【0013】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は組み立て時の手間を少なくすると共に、箱本体上部の開口を再び天面で閉じることを可能にした改ざん防止用の包装箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、本発明では、差込フラップの先端に、それと部分的に接続された状態で切り離し可能に差込フラップに備えられた切断フラップを備え、差込フラップに対して切断フラップを箱本体の開口内側にV字状に折り畳まれた状態で差込むようにしている。
【0015】
この包装箱では、開封時には、差込フラップに対してV字状に折り畳まれた切断フラップはV字状に折り畳まれた状態で上に移動しようとするが、この動きは内フラップによって抑えられる。また、差込フラップが上に移動するにつれてV字状に折り畳まれた破断フラップが開こうとするが、包装箱に収納された物品によってその動きが妨げられる。その結果、差込フラップと切断フラップの接続部分には、差込フラップから上向きの力が加わると共に破断フラップから半ば下向きの力が加わるので、その接続部分が切断される。
【0016】
従って、本発明の包装箱においては、切断フラップが適切に切断されるかどうかは、物品と包装箱との関係、例えば物品と箱本体内側との距離、差込フラップの大きさや内フラップの大きさなどにも影響されるものであり、これらの作用が発揮されるように、破断フラップの大きさや形状が定められる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の包装箱では、組み立て時に糊付けしたり、差込片を切れ目に挿入したりすることなく、簡単に組み立てられる。また、開封時には天面を開封すれば、破断フラップが切除され、開封されたことがすぐにわかる。そして、開封後にも差込フラップが備わっているので、再封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の包装箱の斜視図である。
【図2】図2はその展開図である。
【図3】図3は封をした状態を示す断面図である。
【図4】図4は開封する様子を示す説明図である。
【図5】図5は本発明の別の実施形態に係る包装箱を一部破断した展開図である。
【図6】図6は本発明のさらに別な実施形態に係る包装箱を一部破断した展開図である。
【図7】図7は本発明のさらに別な実施形態に係る包装箱を一部破断した展開図である。
【図8】図8は本発明のさらに別な実施形態に係る包装箱を一部破断した展開図である。
【図9】図9は本発明のさらに別な実施形態に係る包装箱の斜視図である。
【図10】図10は図9の包装箱の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の包装箱は、天面の先端縁と箱本体の正面内面との間に差込フラップを挿入するタイプの包装箱において、差込フラップの先端にそれと切り離し可能に開口内側にV字状に折り畳まれる破断フラップを備え、開封時に天面を持ち上げることによって破断フラップが切断除去されるようにした包装箱である。この包装箱においては、開封動作により天面が持ち上げられると、破断フラップは差込フラップに対してV字状に折り畳まれた状態で持ち上げられるが、破断フラップが持ち上がる動きは内フラップによって妨げられる。一方、V字状に折り畳まれた破断フラップが開こうとする動きは収納された物品によって妨げられる。本発明の包装箱は、このような作用が発揮されるように、破断フラップの大きさや形状が定められる。以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の一実施形態である包装箱1の斜視図、図2は当該包装箱1の展開図である。展開図には図面の裏面側に山折りされる山折り線が一点鎖線で示される。この包装箱1は、箱本体10と、箱本体10の上部の開口11の蓋となる天面21と、天面21が備えられた開口縁に隣接する左右の開口縁に備えられた左右の内フラップ(左内フラップ24及び右内フラップ25)と、箱本体10の下部開口の蓋となる4つの底フラップ27を有している。箱本体10は、連続する4つの側面26と一つののりしろ片28とから作製される。包装箱1は打ち抜き加工等によって展開図に示す状態で作製された一枚の紙状片20から組み立てられる。この紙状片20は、可撓性を有する紙やプラスチックシートから作製される。なお、以下においては、組み立て時において差込フラップの正面が見える面を前面、前面側に位置する方を前方、前面に対して左右の方向を幅方向、この幅方向に対して垂直な方向(前後方向、鉛直方向を問わず)を長さ方向として説明する。また、各フラップについては、箱本体との折り目線から遠位にある縁を先端縁として説明する。
【0021】
天面21は、組み立て時に背面に位置する側面26の上縁(開口11の背面側にある開口縁)に備えられ、折り目線14で山折りされる。天面21の先端には差込フラップ22が備えられ、折り目線13で山折りされる。差込フラップ22は、箱本体10の上部開口11の内幅とほぼ同じ幅を有する。図示された差込フラップ22は先端のコーナーが円弧状に加工され、先端縁の幅長さが天面21との折り目線13の長さよりも短くなるように作製されている。
【0022】
差込フラップ22の先端には、差込フラップ22と切り離し可能に破断フラップ23が備えられている。この破断フラップ23は差込フラップ22と部分的に接続され他の部分は切り離された状態で差込フラップ22に備えられている。図1に示す包装箱1ではミシン線のような破断線12を介して破断フラップ23が備えられている。破断フラップ23は、開封時に破断線12において切除され、開封したことが判る目印となる。破断フラップ23は包装箱1の組み立て時に破断線12において山折りされ、箱本体の開口内側に差込フラップ22に対してV字状に折り畳まれた状態で箱本体10に差し込まれる。図示する破断フラップ23は山折りされた際に差込フラップ22先端のコーナーと重なるように、破断フラップ23の後端のコーナーが円弧状に加工されている。
【0023】
破断フラップ23が設けられる位置は、破断フラップ23を切断する力ができる限り大きくなる位置が好ましい。この位置は、収納された物品30との関係、例えば、物品30の形状、キャップ31の形状、箱本体10の内面との距離、さらに内フラップ24,25の大きさなどによっても異なる。実施例1に示された包装箱1では、その先端縁(V字状に折り畳まれた状態ではその上縁)23aはほぼ箱本体10の幅とほぼ同じ幅に作製されている。
【0024】
本発明の包装箱1では、内フラップ24及び内フラップ25から破断フラップ23が受ける力と、物品30と接触することによって物品30から受ける力によって破断フラップ23が差込フラップ22から切り離される。内フラップ24,25から受ける力を大きくするには、内フラップ24,25の開口縁への取付位置に近い位置、つまり、左内フラップ24の折り目線15の近傍又は右内フラップ25の折り目線16の近傍に破断フラップ23を設けることが好ましい。
【0025】
一方、物品30から力を受けるために、破断フラップ23は少なくとも物品30と接触することが必要である。物品30から大きな力を受けるためには物品30と接触する領域が広いほど好ましく、また、確実に物品30と接触することが望まれる。ところで、化粧品用の包装箱1では、円柱状のキャップ(平面視した際にいわゆる頭が円形をしたキャップ)と円筒状の本体からなる物品30が収納されることが多い。図3には、収納される物品として化粧品を代表し、頭が円形をしたキャップ31と円筒状の本体32とからなる物品30が納められた状態が示されている。物品30と切断フラップ23が接触する位置は、物品30が箱本体10の内面に最も近づく位置、すなわち、箱本体10の幅方向中央近傍である。従って、破断フラップ23は箱本体10の幅方向中央近傍に備えられている。そして、図示されたように、箱本体10の内法幅と、少なくとも破断フラップ23の先端縁23aにおける幅をほぼ同じ幅にしておくと、破断フラップ23の左右端には左内フラップ24及び右内フラップ25の双方から力が加わり、また、破断フラップ23の中央において、物品30のキャップ31の頭(場合によっては本体32のショルダーや本体32側面)から力が確実に掛かることになるので、破断フラップ23の形状として好ましい形状、大きさと言える。
【0026】
破断線12は開封時に切断されることが必要である。開封時に破断フラップ23が確実に切除されるためには、破断線12の長さ、すなわち、差込フラップ22と破断フラップ23との接続域はできる限り短いことが望まれる。しかしながら、短すぎると、組み立て時や封をする際に切り離される可能性が高くなるので、破断線12における強度等を考慮しながら適宜決定される。従って、例えば図示するように差込フラップ22先端のコーナー又は破断フラップ23の後端のコーナーあるいはその双方を円弧状に切除加工すれば、破断線12の長さを短くできる。
【0027】
破断線12はV字状に折り畳まれた破断フラップ23が展開された状態に戻ろうとする力、つまり破断フラップ23が開こうとする力を失わないことが必要である。そうでなければ、差込フラップ22を差し込んだ場合に破断フラップ23が物品30と接触しなくなる。その結果、物品30による力が破断フラップ23に加わらず、破断線12が切断されないことが考えられるからである。このような観点から、紙状片20は適度な可撓性を有するのが好ましく、山折りも完全に山折りされたものではなく、十分すぎない程度に山折りすることが望まれる。
【0028】
左内フラップ24と右内フラップ25はそれぞれ開口縁への取り付け部位である折り目線15,16にて山折りされる。左内フラップ24と右内フラップ25はほぼ同じ大きさを有し、左内フラップ24の先端縁24aの長さが折り目線15の長さに比べて短く、また右内フラップ25の先端縁25aの長さが折り目線16の長さに比べて短くなった略台形状に作製されている。このとき、その前縁における幅は開口11の幅よりもわずかに短く、各内フラップ24,25の前縁において幅方向のほぼ全域において重なっている。左右の内フラップ24,25の前縁は箱本体11の前方開口縁の近傍に位置し、左右の内フラップ24,25の前縁と箱本体11の前方開口縁との間に前記差込フラップ22とV字状に折り畳まれた破断フラップ23の双方が差し込まれる。
【0029】
本発明の包装箱1においては、物品30の収納時において開口内側にV字状に折り畳まれた破断フラップ23がわずかに開き、破断フラップ23の先端縁23aが内フラップ24,25の裏面下方に位置する。開封時、天面21が持ち上げられるにつれて折り畳まれた破断フラップ23も持ち上げられるが、この上方への移動とこの移動に伴って生じる破断フラップ23が開こうとする動きを、包装箱1の中に収納された物品と左右の内フラップ24,25が妨げることを利用する。すなわち、図4に示すように、例えば同図(a)に示された頭が円形をしたキャップ31を有するほぼ円筒状の物品30が包装箱1に収納された状態では、上記したように破断フラップ23の先端23aは内フラップ24,25の下面に位置し、破断フラップ23はキャップ31に接触した状態で差込フラップ22に対してV字状に開いた状態で保持される。この包装箱1を開封しようとして、天面21を持ち上げると、差込フラップ22が上方向に移動して、それとともに破断フラップ23はV字状をしたままで上方向に移動する。しかしながら、破断フラップ23の先端縁23aには内フラップ24,25が位置するので、破断フラップ23の先端縁23aが内フラップ24,25に突き当たり、破断フラップ23はそれ以上上方に移動できない。一方、破断フラップ23は上方向に移動するについて、差込フラップ22となす角度が大きくなる方向に破断フラップ23が開こうとするが、破断フラップ23は物品30と接触しているために大きく開くことができず、この動きも制約される。そして、さらに天面21が持ち上げられると、前記制限のために、破断線12には差込フラップ22から上方に引き上げられる力が加わると共に、破断線12には破断フラップ23からいわば下方に向かう力が加わる。その結果、破断線12が破られ、破断フラップ23のみが切断される(同図(c))。そして、差込フラップ22は、内フラップ24,25の前縁と開口11の前方開口縁との間から上方に抜け、封が開かれる(同図(d))。
【0030】
なお、本発明においては、上記の如く破断フラップ23の開く動きが物品30によって妨げられると考えられるが、物品30が破断フラップ23の開く動きを妨げる作用とは、差込フラップ22に対して破断フラップ23が、箱本体10の開口11に差し込まれた際のV字状をそのまま維持するという意味ではなく、自由に開くことができないという意味で用いられる。すなわち、物品30が収納されていない状態では、破断フラップ23が物品30による制約を受けることがないので、大きく開いてしまい、破断フラップ23が切断されずに開封される。本発明は、このように破断フラップ23が差込フラップ22に対して大きく開くことがないように収納された物品30を利用し、破断フラップ23に対していわば下向き力を生じさせる。
【0031】
本発明の包装箱1は上記のような作用によって破断フラップ23のみが破断される。従って、このような作用が発揮されるように、破断フラップ23の形状や破断フラップ23の長さL2、差込フラップ22の長さL1は、包装箱1に収納される物品30(本体やキャップ31)の大きさや形状等によって適宜設計される。特にV字状に折り畳まれた破断フラップ23が物品30に接触してその動きが制約される必要があるので、差し込まれた際には物品30と接触する長さL2が必要となる。
【0032】
物品30と内フラップ24,25の下面との間が大きく開きすぎると、破断フラップ23が開く動きが抑えられない場合も考えられる。物品30と内フラップ24,25との間に破断フラップ23が入り込み、破断フラップ23が内フラップ24,25と平行になってしまうために、破断フラップ23に力が掛からなくなるからである。従って、本発明においては、物品30と内フラップ24,25下面との間が大きく開きすぎないことも必要である。もっとも、差込フラップ22が持ち上げられる際に、破断フラップ23が物品30と内フラップ24,25下面との間に侵入し、破断フラップ23が大きく開いたとしても、破断フラップ23の動きが物品30と内フラップ24,25下面との間で制約される結果、破断線12に破断フラップ23から半ば下向き力が加わり、破断線12が切断される場合もある。本発明の包装箱1は、このような作用を果たすものであって差し支えない。
【0033】
また、左右の内フラップ24,25はV字状に折り畳まれた破断フラップ23が上方に移動するのを抑えなければならないので、右内フラップ25の先端縁25aが左の側面26と左内フラップ24の折り目線15から離れる(幅長さが短くなる)と当該機能を果たすことができないことがある。同様に、左内フラップ24の先端縁24aが右の側面26と右内フラップ25の折り目線16から離れると当該機能を果たすことができないこともある。また、差込フラップ22を有する従来の包装箱と同様に、破断フラップ23が除去された差込フラップ22が浮き上がるのを防止する必要がある。このために、左内フラップ24の先端を折り目線16の近傍に、また右内フラップ25の先端を折り目線15の近傍に位置させ、両内フラップ24,25の重なり幅を大きくし、両内フラップ24,25の浮き上がりを少なくすることが好ましい。差込フラップ22が持ち上げられる距離に対して、両内フラップ24,25が持ち上げられる距離が少ない方が、破断線12を破断しようとする力が大きくなるからである。
【0034】
一方、これらの機能を果たすことができれば、左右の内フラップ24,25が重ならないように内フラップ24,25の形状を定めてもよく、左内フラップ24,右内フラップ25の一方の内フラップのみを備えてもよい。しかしながら、この場合には、左右の内フラップ24,25がたやすく開く場合がある。この結果、V字状に折り畳まれた破断フラップ23が容易に開いてしまい、破断フラップ23が切り離されずに、内フラップ24,25の前縁と箱本体11の前方開口縁との間から上方に抜けることが考えられる。実施例1の包装箱1では、左右の内フラップ24,25は左右対称の形状に作製されているので、左内フラップ24と右内フラップ25は、箱本体10のほぼ中央位置において重なることになり、開封時における左右のバランスが取りやすくなっている。
【0035】
この包装箱1においては、上記したように開封された後には、破断フラップ23が切断されているので、一見して開封されたことがわかる。また、開封された後にも、天面21の先端には天面21に対して山折りされた差込フラップ22が備わることになるので、再度封をすることができる。
【実施例2】
【0036】
本発明の包装箱1は、上記したように、左右の内フラップ24,25と収納された物品30がV字状に折り畳まれた破断フラップ23が開く動きを妨げることによって破断フラップ23が切断されればよく、差込フラップ22の形状や破断フラップ23の形状は問われるものでもない。
【0037】
図5に示す差込フラップ22は、天面21の幅長さとほぼ幅長さを有する矩形状に作製されている。また、破断フラップ23は差込フラップ22の幅長さよりも短い幅長さを有する略矩形状に作製され、差込フラップ22のほぼ中央位置に設けられた破断線12を介して、差込フラップ22の先端に備えられている。破断フラップ23は図示されたような単純な矩形状でも差し支えなく、破断フラップ23の開きが包装箱1に納められた物品30によって抑えられる。
【実施例3】
【0038】
図6に示す破断フラップ23は平面視で略凹の字形状に作製され、その先端中央部分に矩形状の切欠き23cを有し、先端両側に突出部23bを有している。この破断フラップ23の突出部23bが内フラップ24,25に抑えられて破断フラップ23の上向きの動きが抑えられる。また、破断フラップ23の切欠き23cの先端縁が収納された物品30に接触して破断フラップ23の開く動きが妨げられる。このような形状の破断フラップ23でも差し支えない。上記と同様な作用により破断フラップ23のみが切断される。
【0039】
このように、破断フラップ23は、内フラップ24,25の下面で上向きの動きが抑えられ、破断フラップ23と収納された物品30とが接触して破断フラップ23が開く動きを抑えられるような形状を有していればよい。
【実施例4】
【0040】
図7は本発明のさらに別な実施形態である包装箱1の一部を破断した展開図である。この包装箱1では、破断フラップ23の左右端の近傍のみが破断線12を介して差込フラップ22と接続されている。このように、差込フラップ22と破断フラップ23を部分的に接続し、残る領域を切断線18として破断フラップ23を差込フラップ22の先端に備えても差し支えない。この場合、破断線12とする領域は、図7に示すように破断フラップ23の左右端が好ましい。内フラップ24,25の折り目線15,16に近い方が、内フラップ24,25から受ける力が大きく、確実に切断されやすくなるからである。
【実施例5】
【0041】
図8は本発明のさらに別な実施形態である包装箱1の一部を破断した展開図である。この包装箱1では、破断フラップ23の両端部のみが差込フラップ22に極めて短い実線で接続され、破断フラップ23の中央には幅方向の切り込み19が備えられている。このように、ミシン線のような破断線12によることなく幅の狭い実線と幅の広い切断線との組み合わせにより破断フラップ23を差込フラップ22の先端に設け、両者を切り離し可能にしてもよい。また、図示はしないが、両者が切り離される限り、切り込み19を備える必要はない。破断フラップ23と差込フラップ22をほとんどの部分を切断線18として、ごく短い幅、例えば点に近い線となった部分を幅方向に数カ所設け、両者を接続してもよい。
【実施例6】
【0042】
図9は本発明のさらに別な実施形態である包装箱1の斜視図、図10はこの包装箱1の展開図である。この包装箱1においては、右フラップ25のみが折り目線16によって箱本体10に備えられている。破断フラップ23の幅は、差込フラップ22に比べて短く作製されている。この破断フラップ23は、当該右フラップ25の取り付け部位である折り目線16に近接して備えられている。この包装箱1においても、開封時に天面21が持ち上げられると破断フラップ23が上方に移動しようとするが、内フラップ25によってその動きが抑えられる。また、破断フラップ23が開こうとする動きは収納された物品によって妨げられる。平面視で矩形状をしたキャップを有する物品(図示せず)には、このような破断フラップ23を備えた包装箱1でも差し支えない。
【0043】
この実施例6の包装箱1のように、破断フラップ23の先端縁23aに対して、内フラップ25から大きな力が加わり、物品30によって破断フラップ23が開く動作が抑えられる構造であれば、左内フラップ24又は右フラップ25の何れか一枚の内フラップを備えることでも差し支えない。
【0044】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形例が考えられるのは言うまでもない。例えば、上記実施例においては、箱本体10の上部開口11における差込フラップ22に破断フラップ23を設けた場合について説明を加えたが、箱本体の下部開口において差込フラップを設けた場合についても同様に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によると、差込フラップを備えた従来の一般的な包装箱と同じような組み立て方法によって、開封したことが一見して判る改ざん防止用の包装箱が提供される。特に、天面と内フラップを糊付けしたり、差込片を差し込むことなく組み立てることができる。また、一旦開封された後も差込フラップによって再封することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 包装箱
10 箱本体
11 箱本体上部の開口
12 差込フラップと破断フラップを切断するため破断線
13 天面と差込フラップの折り目線
15 側面と左内フラップの折り目線
21 天面
22 差込フラップ
23 破断フラップ
23a 破断フラップの先端縁
24 左内フラップ
24a 左内フラップの先端縁
25 右内フラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱本体の開口を塞ぐ天面と、当該天面の先端に備えられた差込フラップと、天面が備えられた開口縁に隣接する左右開口縁の少なくとも一方の開口縁に備えられた内フラップを有する包装箱であって、
前記差込フラップと部分的に接続され、残る部分において前記差込フラップと切り離された状態にて前記差込フラップの先端に切り離し可能に設けられた破断フラップを備えたことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
箱本体の開口を塞ぐ天面と、当該天面の先端に備えられた差込フラップと、天面が備えられた開口縁に隣接する左右開口縁の少なくとも一方の開口縁に備えられた内フラップと、前記差込フラップと部分的に接続され、残る部分において前記差込フラップと切り離された状態にて前記差込フラップの先端に切り離し可能に設けられた破断フラップを有し、当該破断フラップが前記差込フラップに対して開口内側にV字状に折り畳まれた状態で前記内フラップの前縁近傍位置において差し込まれる包装箱であって、
前記破断フラップは、開封時において、前記破断フラップの上向きの動きが前記内フラップによって抑えられると共にV字状に折り畳まれた前記破断フラップが開く動作が包装箱に収納された物品によって妨げられる形状・大きさを有することを特徴とする包装箱。
【請求項3】
前記破断フラップは破断線を介して前記差込フラップに接続されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記破断フラップは、前記破断線の両端から幅方向外側において、差込フラップと切断されていることを特徴とする請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記破断フラップは当該破断フラップの左右端近傍においてのみ前記差込フラップに接続されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の包装箱。
【請求項6】
前記破断フラップが内フラップの開口縁への取り付け位置の近くに位置するように設けられたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の包装箱。
【請求項7】
天面が備えられた開口縁に隣接する左右の開口縁に、前縁の一部が重なるように内フラップが備えられたことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−184713(P2010−184713A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28398(P2009−28398)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】