説明

包装箱

【課題】箱の4隅を補強する補強用の角部支柱を簡易に形成できると共に、形成した角部支柱を接合手段を用いることなく容易に保持できる包装箱を提供する。
【解決手段】矩形形状の底板11と、この底板11の4方の辺部に各々連設された周壁板12,13とを含む1枚の板状部材14に折曲げ加工を施して形成される包装箱10であって、第1周壁板12には、当該第1周壁板12よりも小幅の折重ねフラップ15が連設されており、この折重ねフラップ15の両側の側辺部15bには、角部支柱形成フラップ16が第1周壁板12の側辺部12bを越えて延設して連設されている。周壁板12,13を折り曲げて立設させ、折重ねフラップ15を内側に折り返して第1周壁板12に重ねて配置すると共に、角部支柱形成フラップ16の先端側辺部16aを第2周壁板13の内側面に沿って立設方向に延設させて、箱の4隅を補強する角部支柱23を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関し、特に、矩形形状の底板と該底板の4方の辺部に連設される周壁板とを含む一枚の板状部材に折曲げ加工を施して形成される包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の日用雑貨品等の物品を梱包するための箱として、ダンボール箱等の包装箱が多用されている。これらの包装箱は、ダンボール板等のシート状の平坦な板状部材に切断加工や折曲げ加工等を施すと共に、必要に応じて接着剤等による接合手段を用いることにより、箱形の立体形状に組み立てられる。
【0003】
一方、洗剤やシャンプー等の日用雑貨品では、例えば詰替用の商品として、パウチやガセット袋等の袋状の柔包装体によるものが多数製造販売されている。また、食品や飲料品等の商品形態として、レトルト食品パウチ、スパウト付きパウチ等といった袋状の柔包装体が本品となった商品も多数存在する。
【0004】
これらの柔包装体をダンボール箱等の包装箱に直接箱詰めして梱包する場合、例えばボトル容器等の固い容器類を梱包する場合と異なり、箱の中の商品に強度を持たせることは困難である。このため、ダンボール箱等の包装箱の強度を高める工夫が必要になる。
【0005】
包装箱の強度を高める方法としては、包装箱の構成材料の強度を高めることが考えられるが、材料の強度を高める場合、材料の使用量や重量を増加させてコストアップとなる上、環境への負荷も増大する。これに対して、包装箱の4隅に補強用の支柱部を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらの補強用の支柱部を設ける技術では、底板に連設される周壁板の両側に支柱部形成用のフラップを設けておき、この支柱部形成用のフラップを、複数の折曲り線を介して三角形の中空断面を有するように内側に折込むことによって、三角柱形状の中空の支柱部を包装箱の4隅に形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−23630号公報
【特許文献2】特開2005−15019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の包装箱の4隅に補強用の支柱部を設ける技術では、複数の折曲り線を介して支柱部形成用のフラップを三角柱形状となるように内側に折込んで支柱部を形成する作業に手間がかかる。また、支柱部形成用のフラップが元の平坦な形状に戻ろうとするので、このような復元力に抗して三角柱形状の支柱部を保持しておくには、接着剤等の接合手段を用いる必要があるため作業工程が複雑になる。
【0008】
本発明は、箱の4隅を補強する補強用の角部支柱を簡易に形成することができると共に、形成した角部支柱を接合手段を用いることなく容易に保持することのできる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、矩形形状(正方形を含む)の底板と、該底板の4方の辺部に各々連設された矩形形状(正方形を含む)の4箇所の周壁板とを含む1枚の板状部材に折曲げ加工を施して形成される包装箱であって、前記4箇所の周壁板は、前記底板の一方の対向する辺部に各々連設された一対の第1周壁板と、他方の対向する辺部に各々連設された一対の第2周壁板とからなり、前記第1周壁板には、その先端辺部に当該第1周壁板よりも小幅の矩形形状(正方形を含む)の折重ねフラップが連設されていると共に、該折重ねフラップの両側の側辺部には、角部支柱形成フラップが前記第1周壁板の側辺部を越えて延設して各々連設されており、前記第2周壁板には、その両側の側辺部に折込み内フラップが各々連設されており、前記底板に対して前記4箇所の周壁板を折り曲げて立設させ、前記折重ねフラップを内側に折り返して前記第1周壁板に重ねて配置すると共に、前記角部支柱形成フラップの先端側辺部を前記第1周壁板と前記第2周壁板との角部から離れた位置において前記第2周壁板の内側面に沿って立設方向に延設させることにより、箱の4隅を補強する角部支柱が形成されている包装箱を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装箱によれば、箱の4隅を補強する補強用の角部支柱を簡易に形成することができると共に、形成した角部支柱を接合手段を用いることなく容易に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の好ましい第1実施形態の係る包装箱を形成する板状部材を展開状態で示す斜視図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の好ましい第1実施形態に係る包装箱を1枚の板状部材から形成する作業工程を例示する斜視図である。
【図3】本発明の好ましい第2実施形態の係る包装箱を形成する板状部材を展開状態で示す斜視図である。
【図4】(a)〜(e)は、本発明の好ましい第2実施形態に係る包装箱を1枚の板状部材から形成する作業工程を例示する斜視図である。
【図5】第1周壁板に差込みフラップと、折込み内フラップと、折重ねフラップ及び角部支柱形成フラップとを重ねて配置した状態を説明する部分断面図である。
【図6】角部支柱形成フラップ及び角部支柱の他の形態を例示する部分断面図である。
【図7】角部支柱形成フラップ及び角部支柱のさらに他の形態を例示する部分断面図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明の好ましい第2実施形態に係る包装箱を1枚の板状部材から形成する他の作業工程を例示する斜視図である。
【図9】(a),(b)は、他の形態の差込みフラップを用いて包装箱を形成する状況を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び図2に示す本発明の好ましい第1実施形態に係る包装箱10は、収容物として、例えばパウチやガセット袋等の袋状の柔包装体を、箱の上面を開放させた状態で梱包するための箱体として形成される。また、本第1実施形態の包装箱10は、例えば収容物を梱包して上下に積み重ねた場合でも容易に押し潰されないように補強する角部支柱を、簡易に且つ容易に形成させて、箱形の立体形状を安定した状態で保持する機能を備える。
【0013】
そして、本第1実施形態の包装箱10は、矩形形状の底板11と、この底板11の4方の辺部に各々連設された矩形形状の4箇所の周壁板12,13とを含む、図1に示すような1枚の板状部材14に折曲げ加工を施して形成される包装用の箱体であって、4箇所の周壁板12,13は、底板11の一方の対向する辺部に各々連設された一対の第1周壁板12と、他方の対向する辺部に各々連設された一対の第2周壁板13とからなる。第1周壁板12には、その先端辺部に当該第1周壁板12よりも小幅の矩形形状の折重ねフラップ15が連設されていると共に、この折重ねフラップ15の両側の側辺部15bには、角部支柱形成フラップ16が第1周壁板12の側辺部12bを越えて延設して各々連設されている。第2周壁板13には、その両側の側辺部13bに折込み内フラップ17が各々連設されている。図2(a)〜(d)に示すように、底板11に対して4箇所の周壁板12,13を折り曲げて立設させ、折重ねフラップ15を内側に折り返して第1周壁板12に重ねて配置すると共に、角部支柱形成フラップ16の先端側辺部16aを第1周壁板12と第2周壁板13との角部19から離れた位置において第2周壁板13の内側面に沿って立設方向に延設させることにより(図2(d)参照)、箱の4隅を補強する角部支柱23が形成されている。
【0014】
本第1実施形態では、包装箱10を構成する板状部材14は、図1に示すように、例えばシート状の平坦な1枚のダンボール板からなり、後述する所定の平面形状を備えるように裁断される。板状部材14には、中央部分に縦長矩形形状の底板11が配置され、底板11の4方の辺部には、折曲げ線18a,18bを介して一対の第1周壁板12と一対の第2周壁板13とが各々連設配置される。
【0015】
第1周壁板12は、底板11の対向する一対の短辺部に沿って当該短辺部と同じ幅で各々連設配置される。第1周壁板12の先端辺部には、折曲げ線18cを介して折重ねフラップ15が連設配置される。
【0016】
折重ねフラップ15は、図1に示すように、第1周壁板12よりも狭い幅b1を有し、且つ第1周壁板12の高さと実質的に同じ高さh1を有する矩形形状を備える。折重ねフラップ15は、第1周壁板12の先端辺部12aの中央部分から外側に張り出して設けられる。これによって、折重ねフラップ15の両側の側辺部15bは、第1周壁板12の両側の側辺部12bから各々同じ間隔をおいた位置に配置される。また、折重ねフラップ15の両側の側辺部15bには、折曲げ線18dを介して角部支柱形成フラップ16が各々連設配置される。さらに、折重ねフラップ15の先端辺部15aの中央部分には、外側に突出して差込みタブ20が設けられる。この差込みタブ20は、後述するように板状部材14を折曲げ加工して包装箱10を形成する際に、底板11の第1周壁板12と近接する位置に形成されたスリット孔21に差込まれて係止される(図2(d)参照)。
【0017】
角部支柱形成フラップ16は、本第1実施形態では、第1周壁板12及び折重ねフラップ15の高さと実質的に同じ高さを有する矩形形状を備える。また角部支柱形成フラップ16は、折重ねフラップ15と連設する側とは反対側の先端側辺部16aが、第1周壁板12の側辺部12bを越えて延設するような幅b2で、折重ねフラップ15の側辺部15bから側方に張り出して設けられる。なお、角部支柱形成フラップ16と第1周壁板12との間の部分には切込みスリット22aが形成される。
【0018】
第2周壁板13は、底板11の対向する一対の長辺部に沿って当該長辺部と同じ幅で、且つ第1周壁板12の高さと実質的に同じ高さで各々連設配置される。第2周壁板13の両側の側辺部13bには、折曲げ線18eを介して折込み内フラップ17が各々連設される。
【0019】
折込み内フラップ17は、本第1実施形態では、第1周壁板12及び第2周壁板13の高さと実質的に同じ高さとして、好ましくは第1周壁板12及び第2周壁板13の高さよりも板状部材14の厚み程度低い高さを有する矩形形状を備える。折込み内フラップ17の高さを第1周壁板12及び第2周壁板13の高さよりも板状部材14の厚み程度低い高さとすることにより、後述する如く折重ねフラップ15を折返す際、折り曲げ線18cの高さ方向への飛び出しを抑制でき、実質的には第1周壁板12の高さを第2周壁板13と概同等の高さとできる(図2(d)参照)。また折込み内フラップ17は、第1周壁板12の半分の幅を超えない幅b3で第2周壁板13の側辺部13bからから側方に張り出して設けられる。なお、折込み内フラップ17と第1周壁板12との間の部分には切込みスリット22bが形成される。
【0020】
上述の構成を備える板状部材14を用いて包装箱10を形成するには、好ましくは図2(a)〜(d)に示すように、まず第1周壁板12を折曲げ線18aを介して折り曲げて、底板11に対して垂直に立設させる(図2(a)参照)。また、折込み内フラップ17を折曲げ線18eを介して第2周壁板13に対して内側に垂直に折り曲げると共に(図2(b)参照)、第2周壁板13を折曲げ線18bを介して折り曲げて、底板11に対して垂直に立設させる(図2(c)参照)。これによって、折込み内フラップ17は、各々第1周壁板12の内側に重ねて配置される。
【0021】
しかる後に、立設した両側の第2周壁板13の間に折重ねフラップ15を挿入できるように、角部支柱形成フラップ16を折重ねフラップ15に対して折曲げ線18dを介して外側に折り曲げる。この状態で、折重ねフラップ15を折曲げ線18cを介して第1周壁板12の内側に折り返して、折り返した折重ねフラップ15を第1周壁板12及び折込み内フラップ17の内側に重ねて立設配置させる(図2(d)参照)。これによって、角部支柱形成フラップ16は、折重ねフラップ15に対して内側に折り曲げられた状態で、両側の第2周壁板13の間に配置される。また角部支柱形成フラップ16の先端側辺部16aは、第1周壁板12と第2周壁板13との角部19から離れた位置において第2周壁板13の内側面に沿って立設方向に延設配置される。
【0022】
また、角部支柱形成フラップ16は、折重ねフラップ15に対して内側に折り曲げられた状態で両側の第2周壁板13の間に配置されるので、折り曲げられた状態から折重ねフラップ15に沿った元の形状に戻ろうとする復元力によって、角部支柱形成フラップ16には、先端側辺部16aを第2周壁板13の内側面に近づける方向への付勢力が生じる。本第1実施形態では、この付勢力によって、角部支柱形成フラップ16の先端側辺部16aが第2周壁板の内側面に接触した状態で立設方向に延設することになる。これによって、包装箱10の4隅には、角部支柱形成フラップ16を斜辺部として、第1周壁板12と第2周壁板13との角部19と共に直角三角形状の中空断面の角部支柱23が形成される。
【0023】
そして、上述の構成を有する本第1実施形態の包装箱10によれば、箱の4隅を補強する補強用の角部支柱を簡易に形成することが可能になると共に、形成した角部支柱を接合手段を用いることなく容易に保持することが可能になる。
【0024】
すなわち、本第1実施形態によれば、第1周壁板12の先端辺部12aに小幅の折重ねフラップ15を連設すると共に、この折重ねフラップ15の両側の側辺部15bには、角部支柱形成フラップ16が第1周壁板12の側辺部12bを越えて延設して設けられているので、角部支柱形成フラップ16を折重ねフラップ15に対して外側に折り曲げた状態で、折重ねフラップ15を第1周壁板12の内側に折り返すだけで、箱の4隅を補強する角部支柱23を簡易に形成することが可能になる。また、折重ねフラップ15に対して内側に折り曲げられた状態で両側の第2周壁板13の間に配置された角部支柱形成フラップ16は、折重ねフラップ15に沿った元の形状に戻ろうとする復元力によって、先端側辺部16aを第2周壁板13の内側面に近づける方向への付勢力を生じるので、この付勢力を利用して、接合手段を用いることなく形成した角部支柱23を容易に保持することが可能になる。
【0025】
さらに、本第1実施形態の包装箱10は、1枚の板状部材14から形成されるので、材料の使用量を少なく留めることができ、材料の準備も容易になる。また接着剤等の接合手段を用いることなく折曲げ加工のみによって形成できるので、組立作業の作業負荷も低減することが可能になり、自動化も容易となる。
【0026】
さらにまた、本第1実施形態の包装箱10は、解体作業も容易に行うことができる。また接着剤等の接合手段を用いることなく折曲げ加工のみによって組み立てられているので、板状部材14を損傷させることなく解体することができる。これによって解体後の板状部材14の再利用(リユース)を容易に図ることが可能になる。また解体後は平坦な形状に容易に展開することができるので嵩をとらず、包装箱10を店舗等から、再度包装箱10に柔包装体等を詰める工場や袋詰め作業所等へ返却するといったリターナブル性にも優れる。
【0027】
そして、上述のように箱の4隅を角部支柱23によって補強された本第1実施形態の包装箱10は、縦方向の強度が大きく、収容物として強度を持たせることができない柔包装体を収容して上下方向に段複数積み重ねた場合でも、押し潰されることなくその梱包形状を強固に保持することが可能でなる。また、本第1実施形態の包装箱10は、上端が上端開口面となった形状に形成されており、一般消費者は、上端開口面から収容物を取り出すことができるので、包装箱10に収容物を収容したまま例えば店頭に陳列することにより、陳列作業を軽減することが可能になる。
【0028】
図3及び図4(a)〜(e)は、本発明の好ましい第2実施形態に係る包装箱30について説明するものである。本第2実施形態の包装箱30は、上記第1実施形態の包装箱10と同様の構成に加えて、第2周壁板13には、その先端辺部13aに側部天面部形成フラップ31が各々連設される。また、これらの側部天面部形成フラップ31の両側の側辺部には、差込みフラップ32が各々連設される。図4(a)〜(e)に示すように、側部天面部形成フラップ31を上端開口面の両側部において当該上端開口面に沿うように内側に折り曲げ、且つ差込みフラップ32を第2周壁板13に連設する折込み内フラップ17と第1周壁板12との間に差し込む。この状態では、側部天面部形成フラップ31は、その両端部分が、下方から支持されることが可能となっている。すなわち、側部天面部形成フラップ31の両側の側辺部の差込みフラップ32が、第2周壁板13に連設する折込み内フラップ17と第1周壁板12との摩擦により支持されることが可能となっている。また、差込みフラップ32は、折曲げ線18cの両端部の摩擦の影響によっても支持されている。
【0029】
本第2実施形態では、包装箱30を構成する板状部材33は、図3に示すように、上記第1実施形態の包装箱10の板状部材14と同様に、例えばシート状の平坦な1枚のダンボール板からなる。また板状部材33は、上記第1実施形態の板状部材14における第2周壁板13の先端辺部13aに、両側に差込みフラップ32が連設された側部天面部形成フラップ31を配置した形状に裁断される。
【0030】
すなわち、本第2実施形態では、側部天面部形成フラップ31は、各々、第2周壁板13の幅b4と同じ長さで、且つ底板の短辺方向の幅b5の10%〜40%程度の幅で、第2周壁板13の先端辺部13aから折曲げ線34aを介して外側に張り出して設けられる。また、側部天面部形成フラップ31の両側の側辺部には、折曲げ線34bを介して差込みフラップ32が各々連設配置される。差込みフラップ32は、側部天面部形成フラップ31と同様の幅を有すると共に、第2周壁板13の側辺部13bに連設する折込み内フラップ17の幅b3と同様の長さで、側部天面部形成フラップ31の側辺部から側方に張り出して設けられる。なお、差込みフラップ32と折込み内フラップ17との間の部分には切込みスリット35aが形成される。
【0031】
上述の構成を備える板状部材33を用いて包装箱30を形成するには、好ましくは図4(a)〜(e)に示すように、まず第2周壁板13を折曲げ線18bを介して折り曲げて、底板11に対して垂直に立設させる(図4(a)参照)。また、折込み内フラップ17を折曲げ線18eを介して第2周壁板13に対して内側に垂直に折り曲げると共に(図4(b)参照)、差込みフラップ32を折曲げ線34bを介して側部天面部形成フラップ31に対して内側に垂直に折り曲げた状態で、側部天面部形成フラップ31を折曲げ線34aを介して第2周壁板13に対して内側に折り曲げる。これによって、差込みフラップ32を折込み内フラップ17の外側面に沿って配置する(図4(c)参照)。
【0032】
さらに、第1周壁板12を折曲げ線18aを介して折り曲げ、折込み内フラップ17の外側面と間に差込みフラップ32を挟み込みながら、底板11に対して垂直に立設させて、当該第1周壁板12を折込み内フラップ17の外側に配置する(図2(d)参照)。この状態では、第1周壁板12に連設する折重ねフラップ15の幅b1は、上端開口面に沿って配置された両側の側部天面部形成フラップ31の間の間隔bと同等もしくは僅かに小さくなっている。
【0033】
しかる後に、両側の側部天面部形成フラップ31の間に折重ねフラップ15を挿入できるように、角部支柱形成フラップ16を折重ねフラップ15に対して折曲げ線18dを介して外側に略垂直に折り曲げる。この状態で、折重ねフラップ15を、両側の側部天面部形成フラップ31の間を通過させつつ、折曲げ線18cを介して第1周壁板12の内側に折り返す。また折り返した折重ねフラップ15を、第1周壁板12及び折込み内フラップ17の内側に重ねて立設配置させる(図2(e)参照)。これによって、角部支柱形成フラップ16は、折重ねフラップ15に対して内側に折り曲げられた状態で、両側の第2周壁板13の間に配置される。また角部支柱形成フラップ16の先端側辺部16aは、第1周壁板12と第2周壁板13との角部19から離れた位置において第2周壁板13の内側面に沿って立設方向に延設配置される。
【0034】
さらに、本第2実施形態では、角部支柱形成フラップ16は、側部天面部形成フラップ31の両端部分の下方において、折重ねフラップ15に対して内側に折り曲げられた状態で両側の第2周壁板13の間に配置されるので、折り曲げられた状態から折重ねフラップ15に沿った元の形状に戻ろうとする復元力によって、角部支柱形成フラップ16には、先端側辺部16aを第2周壁板13の内側面に近づける方向への付勢力が生じる。この付勢力によって、角部支柱形成フラップ16の先端側辺部16aが第2周壁板の内側面に接触した状態で立設方向に延設することになる。これによって、包装箱30の4隅には、角部支柱形成フラップ16を斜辺部として、第1周壁板12と第2周壁板13との角部19と共に直角三角形状の中空断面の角部支柱23が形成される。
【0035】
そして、本第2実施形態の包装箱30によっても、4隅に形成された角部支柱23の機能によって、上記第1実施形態の包装箱10と同様の作用効果が奏される。また、本第2実施形態の包装箱30によれば、上端開口面の両側部に沿って側部天面部形成フラップ31が設けられているので、包装箱30を上下に積み上げて重ねた際の安定感が向上すると共に、側部天面部形成フラップ31の長手方向、すなわち底板11の長辺方向の強度も向上する。
【0036】
さらに、本第2実施形態の包装箱30によれば、図5に示すように、長手方向の両端部において、第1周壁板12と、差込みフラップ32と、折込み内フラップ17と、折重ねフラップ15及び角部支柱形成フラップ16とが重ねて配置されるので、これらの間の摩擦力によって、接着剤等による接合手段を用いなくても、組み立てた箱型形状をさらに安定した状態で保持することが可能になる。例えば、第1周壁板12と、折重ねフラップ15及び角部支柱形成フラップ16との間に差込みフラップ32や折込み内フラップ17が挟み込まれることで、差込みフラップ32や折込み内フラップ17を効果的に抑えることが可能になる。また、差込みフラップ32を、第1周壁板12と折込み内フラップ17との間に挟んで押え込むことで、側部天面部形成フラップ31を上端開口面に沿って配置した状態を効果的に保持することが可能になる。
【0037】
図6(a)〜(c)は、角部支柱形成フラップ16’及び角部支柱23’の他の形態を例示するものである。図6(a)〜(c)に示す角部支柱形成フラップ16’は、立設方向に延設する複数の折曲り線40を介して折れ曲がっていることにより、角部支柱23’は、第1周壁板12と第2周壁板13との角部19と共に三角形以上の多角形の中空断面形状を備える。図6(a)〜(c)に示す角部支柱形成フラップ16’や角部支柱23’によっても、上記第1実施形態や上記第2実施形態の角部支柱形成フラップ16や角部支柱23と同様に、包装箱10や包装箱30の4箇所の隅部を効果的に補強することが可能になる。
【0038】
図7(a)〜(d)は、角部支柱形成フラップ16”及び角部支柱23”のさらに他の形態を例示するものである。図7(a)〜(d)に示す角部支柱形成フラップ16”は、第1周壁板12と第2周壁板13との角部19から離れた位置において、その先端側辺部16a”が第2周壁板13の内側面と離間した状態で立設方向に延設していることにより、当該角部支柱形成フラップ16”によって板壁状の角部支柱23”を形成している。図7(a)〜(d)に示す角部支柱形成フラップ16”や角部支柱23”によっても、上記第1実施形態や上記第2実施形態の角部支柱形成フラップ16や角部支柱23と同様に、包装箱10や包装箱30の4箇所の隅部を効果的に補強することが可能になる。
【0039】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、底板は、縦長矩形形状を有している必要は必ずしも無く、正方形であっても良い。また、矩形形状の底板11に対する、一方の対向する辺部に各々連設された一対の第1周壁板12と、他方の対向する辺部に各々連設された一対の第2周壁板13の関係を逆にしても良い。すなわち、折重ねフラップや角部支柱形成フラップを備える第1周壁板は、矩形形状の底板の長辺部に連設して設けることもできる。さらに、包装箱を構成する板状部材は、ダンボール板である必要は必ずしも無く、板紙、プラスチックダンボール、樹脂フィルムを表面に貼ったダンボール板紙、樹脂板、金属板、ゴム板や、これらを組み合わせたもの等の、折曲げ可能な平坦なシート状の種々の板状部材を用いることができる。さらにまた、折重ねフラップが連設されていない第2周壁板に、収容物を見えるようにするための窓状の切欠きを設けておくこともできる。また、収容される収容物は、パウチやガセット袋等の袋状の柔包装体である必要は必ずしも無く、ボトル容器等の固い容器類等であっても良い。さらに、必要に応じてホットメルト等の接着剤や粘着テープ等を用いて包装箱を補強することもできる。店頭における見栄え感を高めるため、第1周壁板や第2周壁板を加飾しても良い。
【0040】
上記第2実施形態の包装箱30は、図4(a)〜(e)に示す手順とは異なる手順で板状部材33から組み立てることもできる。すなわち、例えば図8(a)〜(d)に示すように、第1周壁板12を折曲げ線18aを介して折り曲げて、底板11に対して垂直に立設させる(図8(a)参照)。また折込み内フラップ17を折曲げ線18eを介して第2周壁板13に対して内側に垂直に折り曲げると共に、差込みフラップ32を折曲げ線34bを介して側部天面部形成フラップ31に対して外側に折り曲げた状態で、第2周壁板13を折曲げ線18bを介して折り曲げて、底板11に対して垂直に立設させる(図8(b)参照)。これによって、折込み内フラップ17は、第1周壁板12の内側に各々重ねて配置される。
【0041】
次に、角部支柱形成フラップ16を折重ねフラップ15に対して折曲げ線18dを介して外側に折り曲げた状態で、折重ねフラップ15を、折曲げ線18cを介して第1周壁板12の内側に折り返して、第1周壁板12及び折込み内フラップ17の内側に重ねて立設配置させる(図8(c)参照)。これによって、角部支柱形成フラップ16は、折重ねフラップ15に対して内側に折り曲げられた状態で、両側の第2周壁板13の間に配置される。また角部支柱形成フラップ16の先端側辺部16aは、第1周壁板12と第2周壁板13との角部19から離れた位置において第2周壁板13の内側面に沿って立設方向に延設配置される。
【0042】
しかる後に、例えば第1周壁板12をバキュームパット等を用いて外側に引っ張った状態で、差込みフラップ32を側部天面部形成フラップ31に対して内側の折り返すと共に、側部天面部形成フラップ31を折曲げ線34aを介して第2周壁板13に対して内側に折り曲げることで、差込みフラップ32を第1周壁板12と折込み内フラップ17との間に押し込むようにしながら(図8(c)参照)、側部天面部形成フラップ31を上端開口面に沿って配置する。これによって、上記第2実施形態の包装箱30が形成される(図4(d)参照)。
【0043】
なお、第1周壁板12と折込み内フラップ17との間に差込みフラップ32を押し込む作業をスムースに行うことができるように、差込みフラップ32の長さを適宜短めに調整しておくことが好ましい。また、差込みフラップ32’を、図9(a),(b)に示すように、例えば略4半円形状に形成しておくことにより、第1周壁板12及び折込み内フラップ17の間に差込みフラップ32’を差し込んで包装箱30を形成する作業をさらに容易に行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0044】
10,30 包装箱
11 底板
12 第1周壁板
13 第2周壁板
14,33 板状部材
15 折重ねフラップ
16,16’,16” 角部支柱形成フラップ
16a,16a” 角部支柱形成フラップの先端側辺部
17 折込み内フラップ
18a,18b,18c,18d,18e 折曲げ線
19 第1周壁板と第2周壁板との角部
20 差込みタブ
21 スリット孔
22a,22b 切込みスリット
23,23’,23” 角部支柱
31 側部天面部形成フラップ
32,32’ 差込みフラップ
34a,34b 折曲げ線
35a 切込みスリット
40 折曲り線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形形状の底板と、該底板の4方の辺部に各々連設された矩形形状の4箇所の周壁板とを含む1枚の板状部材に折曲げ加工を施して形成される包装箱であって、
前記4箇所の周壁板は、前記底板の一方の対向する辺部に各々連設された一対の第1周壁板と、他方の対向する辺部に各々連設された一対の第2周壁板とからなり、
前記第1周壁板には、その先端辺部に当該第1周壁板よりも小幅の矩形形状の折重ねフラップが連設されていると共に、該折重ねフラップの両側の側辺部には、角部支柱形成フラップが前記第1周壁板の側辺部を越えて延設して各々連設されており、
前記第2周壁板には、その両側の側辺部に折込み内フラップが各々連設されており、
前記底板に対して前記4箇所の周壁板を折り曲げて立設させ、前記折重ねフラップを内側に折り返して前記第1周壁板に重ねて配置すると共に、前記角部支柱形成フラップの先端側辺部を前記第1周壁板と前記第2周壁板との角部から離れた位置において前記第2周壁板の内側面に沿って立設方向に延設させることにより、箱の4隅を補強する角部支柱が形成されている包装箱。
【請求項2】
前記角部支柱形成フラップの先端側辺部が前記第2周壁板の内側面に接触した状態で立設方向に延設しており、前記角部支柱形成フラップを斜辺部として、前記第1周壁板と第2周壁板との角部と共に直角三角形状の中空断面の角部支柱が形成されている請求項1記載の包装箱。
【請求項3】
前記角部支柱形成フラップの先端側辺部が前記第2周壁板の内側面と離間した状態で立設方向に延設していることにより、当該角部支柱形成フラップによって板壁状の角部支柱が形成されている請求項1記載の包装箱。
【請求項4】
前記角部支柱形成フラップは、立設方向に延設する折曲り線を介して折れ曲がっていることにより、1又は2以上の折曲り角部を備えた状態で角部支柱を形成している請求項1〜3のいずれかに記載の包装箱。
【請求項5】
前記第2周壁板には、その先端辺部に側部天面部形成フラップが各々連設されていると共に、該側部天面部形成フラップの両側の側辺部には差込みフラップが各々連設されており、前記側部天面部形成フラップを上端開口面に沿うように内側に折り曲げ、且つ前記差込みフラップを前記第2周壁板に連設する前記折込み内フラップと前記第1周壁板との間に差し込んだ状態で、前記側部天面部形成フラップは、その両端部分が下方から支持されることが可能となっている請求項1〜4のいずれかに記載の包装箱。
【請求項6】
前記第1周壁板に連設する前記折重ねフラップの先端辺部に差込みタブが設けられており、該差込みタブは、前記底板の前記第1周壁板と近接する位置に形成されたスリット孔に差込まれている請求項1〜5のいずれかに記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−42376(P2011−42376A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190338(P2009−190338)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】