説明

包装箱

【課題】壁面部の一部に窓孔が形成されて外側から収納物が視認可能な包装箱において、簡便な方法により、収納物の回転を防止することが可能な包装箱を提供することである。
【解決手段】包装箱10は、収納物である容器30の周囲を囲む6つの壁面部と、前方壁面部11に形成された窓孔16と、窓孔16の両側から内側に向かって折り込まれ、容器30に押し付けられる折り込み片17と、容器30と後方壁面部12との間に挿入され、容器30に接着されて、折り込み片17の先端部分と接触するリーフレット20と、を備え、窓孔16を通して容器30を外側から視認可能な状態で収納すると共に、店頭での陳列時等における容器30の回転を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関し、特に、収納物の周囲を囲む壁面部の一部に窓孔が形成されて外側から収納物が視認可能な包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品類、薬品類、食料品類などが充填された容器を収納する包装箱には、壁面部の一部に窓孔が形成され、その窓孔を通して収納物、特に、収納物に施された商品名や品質表示等の印刷を視認可能とした形態のものが広く使用されている。このような包装箱としては、例えば、前方壁面部に形成された窓孔と、窓孔の左右両側に設けられた折り込み板と、を備えるディスプレイパッケージが提案されている(特許文献1)。
【0003】
上記のような包装箱には、円筒形状等の回転し易い容器が収納されることがあり、このような場合には、店頭での陳列時に収納物が回転して、収納物に施された商品名や品質表示等の印刷が見え難くなることが起り得る。そこで、円筒容器等の回転し易い形状の容器を収納する包装箱には、収納物の回転を防止することが要求されていた。
【0004】
このような状況に鑑みて、収納物の回転を抑制することを目的とした包装箱が提案されている。例えば、特許文献2には、上端の開口部を内フラップおよび外フラップを用いて閉塞する透明なプラスチック製の包装箱であって、内フラップに連設させて押し付け片を形成し、該押し付け片を収納物に押し付けることによって、収納物の回転を阻止しようとした包装箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60‐62024号公報
【特許文献2】特開2007‐8560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の包装箱に形成された小さな押し付け片のみでは、収納物の回転防止効果は小さいことが想定される。特に、壁面部の一部に窓孔が形成されて収納物に外部から衝撃が加わり易い包装箱では、回転防止効果は殆ど期待できない。また、特許文献1の包装箱にも、収納物に接触する折り込み板が形成されているが、折り込み板のサイズが小さいことから、この折り込み板は単に窓孔を設けるための構造であって、収納物の回転防止効果は殆ど奏しないことが想定される。
【0007】
本発明の目的は、壁面部の一部に窓孔が形成されて外側から収納物が視認可能な包装箱において、簡便な方法により、収納物の回転を防止することが可能な包装箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る包装箱は、収納物の周囲を囲む壁面部と、前方壁面部に形成される窓孔と、を備え、窓孔を通して収納物を外側から視認可能な状態で収納する包装箱であって、窓孔の両側から箱の内側に向かって折り込まれ、収納物に押し付けられる折り込み片と、折り込み片と後方壁面部との間に挿入され、収納物に接着される固定部材とを備える。
【0009】
したがって、本発明に係る包装箱は、折り込み片が外側に向かって戻ろうとする弾性効果により、収納物が位置規制されて、収納物の回転が抑制され、さらに、折り込み片が固定部材の係合保持部材としても働くことから、折り込み片の弾性効果に加えて、折り込み片と固定部材による係合保持効果が働き、収納物の回転防止機能が向上する。固定部材は、折り込み片と接触している、或いは収納物が回転しようとすると折り込み片に接触するので、固定部材の幅が小さい場合であっても、収納物に接着された固定部材が折り込み片により押さえられて、収納物の回転が防止される。したがって、例えば、幅の狭いリーフレットを固定部材として用いることができるので、包装箱の部品点数を削減することも可能である。
【0010】
また、本発明に係る包装箱は、後方壁面部にも、収納物に施された賞味期限等の印刷を視認できるように、後方窓孔を形成することが好ましい。さらに、後方窓孔を、切り込み線により形成された後方折り込み片を内側に折り込んで設けてもよい。このようにすれば、後方折り込み片が収納物に押し付けられ、より収納物の回転抑制に寄与することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る包装箱によれば、簡便な構造により、収納物の回転を防止することが可能である。即ち、本発明に係る包装箱によれば、店頭での陳列時等において、収納物に施された商品名や品質表示等の印刷が見え難くなることを防止することができると共に、収納物を包装箱から取り出す際に面倒な操作を行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施形態における包装箱の前方側斜視図である。
【図2】図1に示す包装箱の展開図である。
【図3】図1において、容器が収納された状態を示す図である。
【図4】図3に示す容器が収納された包装箱の上面図であって、上方壁面部を開放した状態を示す図である。
【図5】図3のA‐A線断面図である。
【図6】本発明に係る別の実施形態における包装箱の展開図である。
【図7】図6に示す包装箱の断面図であって、図5に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を用いて、本発明に係る包装箱の実施形態について、以下詳細に説明する。なお、以下では、包装箱10の収納物として、包装箱10の中で回転し易い円筒形状の容器30を例に挙げて説明するが、収納物はこれに限定されるものではない。
【0014】
包装箱10に収納される容器30は、プラスチック製やガラス製の容器であって、例えば、容器30には、化粧品類、薬品類、食料品類などが充填される。そして、容器30の胴部には、通常、内容物の商品名や品質表示などが記載された印刷が施される。具体的には、胴部に印刷層が形成されたシュリンクラベルやタックラベル等のプラスチックラベルが巻き付けられる(図3参照)。
【0015】
包装箱10は、上記の容器30を包装する機能を有し、容器30の周囲を囲む6つの壁面部を備える。包装箱10は、例えば、厚さ0.1〜1mm程度の厚紙やプラスチックシートから構成され、その外観に印刷を施すこともできる。なお、以下では、包装箱10は、厚紙から構成されるものとして説明する。
【0016】
図1に、包装箱10の前方側斜視図を示す。図1に示すように、包装箱10は、前方壁面部11、前方壁面部11に対向する後方壁面部12、前方壁面部11に垂直な2つの側方壁面部13、上方壁面部14及び下方壁面部15の6つの壁面部を備える長方体形状の包装箱である。ここで、前方壁面部11とは、店頭での陳列時等において、前方に位置する面を意味し、後述の窓孔16が形成される面である。
【0017】
包装箱10は、一般的に、上方壁面部14が容易に開閉可能な構造となっており、容器30は、上方壁面部14を開放して出し入れすることができる。包装箱10の形状としては、長方体形状に限られず、収納物の形状やサイズに応じて任意に変更することができる。また、包装箱10のサイズとしては、容器30を収納できるサイズであることが要求される。なお、箱内における容器30の移動を防止するために、包装箱10の幅は、容器30の最大幅(最大直径)と略同等であることが好ましい。
【0018】
前方壁面部11には、その全幅に亘って切り抜かれた開口部が形成される。さらに、後述の折り込み片17が内側に折り込まれて、両側の側方壁面部13の略中央に亘る広い開口部が形成される。この開口部、即ち、切り抜かれた部分と折り込み片17の部分を合わせた部分が窓孔16となる。この窓孔16を通して、収納された容器30を外側から視認することができる。窓孔16の形状としては、図1に示すような単純な四角形状の他に、縁部に装飾的形状を施した形状や円形状など種々の形状とすることができる。なお、窓孔16の位置やサイズは、収納物の種類や形態、施された印刷等に応じて、任意に設定することができる。
【0019】
包装箱10は、店頭での陳列時等における容器30の回転を防止するために、窓孔16の両側から内側に向かって折り込まれ、容器30に押し付けられる折り込み片17を備える。さらに、包装箱10は、折り込み片17と後方壁面部12との間に挿入され、容器30に接着される固定部材を備える。
【0020】
折り込み片17は、上記のように、窓孔16の両側に形成される。折り込み片17は、上記前方壁面部11の切り抜き開口部を形成する切り込み線と、前方壁面部11の端部から側方壁面部13の略中央に亘り横方向に形成された切り込み線と、側方壁面部13の略中央に上下方向に沿って形成された折り曲げ線と、により囲まれた部分であって、この折り曲げ線を箱の内側に折り込むことにより、折り込み片17が形成される。ここで、切り込み線とは、完全に切断された切断線を意味する。
【0021】
折り込み片17の形状としては、図1に示すような矩形の他にも、例えば、切り込み線の角度を変化させて台形にするなど種々の形状とすることができる。折り込み片17のサイズとしては、弾性力向上等の観点から、箱の上下方向に沿って長いことが好ましく、且つ容器30の後方に当接して、後述の固定部材に接触する程度の幅(箱の横方向に沿った長さ)を有する必要がある。例えば、折り込み片17の上下方向に沿った長さは、窓孔16の長さと同等であることが好ましい。
【0022】
また、後方壁面部12にも、例えば、容器30の後方に施された賞味期限等の表示を視認可能とするように、後方窓孔18を形成することができる。後方窓孔18の形状、位置及びサイズについても、窓孔16と同様に、収納物の種類や形態、施された印刷等に応じて、任意に設定することができる。
【0023】
また、後方窓孔18を形成する際に、後方壁面部12を完全に切り抜くのではなく、切り込み線の一部を折り曲げ線として内側に折り込み、後方折り込み片19を形成することができる。この後方折り込み部19は、サイズが小さいものの、詳しくは後述する折り込み片17と同様に、容器30の後方に押し付けられて、容器30の回転防止に寄与し、さらに、固定部材の下端側係合保持部材としても作用し得るので、折り込み片17と共に固定部材との係合保持効果をより高めることができる。
【0024】
図2に、包装箱10の展開図を示す。ここで、実線は、切り込み線(包装箱10の外形線を含む)を、点線は、折り曲げ線を、それぞれ示している。なお、図2に示す展開図は、一例であって、包装箱10の展開形状は、これに限定されるものではない。
【0025】
図2に示すように、包装箱10は、上記6つの壁面部が繋がった1枚の厚紙から構成されている。具体的には、前方壁面部11に、2つの側方壁面部13、上方壁面部14及び下方壁面部15が繋がった展開形状を有している。そして、後方壁面部12には、側方壁面部13と接着される接着代28が設けられている。また、各側方壁面部13には、上方フラップ22及び下方フラップ23が設けられ、上方壁面部14及び下方壁面部15には、上方差込みフラップ24及び下方差込みフラップ25がそれぞれ設けられている。
【0026】
前方壁面部11には、中央部が大きく切り抜かれて窓孔16の一部である開口部が形成されている。また、該開口部の上端及び下端を形成する切り込み線が、側方壁面部13の略中央まで延長され、側方壁面部13の略中央に上下方向に沿った折り曲げ線が形成される。包装箱10を組み立てたときに、この折り曲げ線を箱の内側に折り込むことにより、折り込み片17が形成される。
【0027】
ここで、包装箱10の製造方法、特に、組み立て方法について説明する。まず初めに、図2に示す展開形状に厚紙を切り抜いて、切り抜かれた厚紙に、上記の窓孔16や後方窓孔18、折り込み片17等を形成するための切り込み線又は折り曲げ線を形成する。次に、前方壁面部11及び後方壁面部12が対向し、2つの側方壁面部13が対向するように折り曲げ線を折り曲げ、接着代28に接着剤を塗って接着代28を側方壁面部13の内面に接着する。そして、下方フラップ23、下方壁面部15の順で内側に折り曲げて、下方差込みフラップ25を後方壁面部12の内側に差し込む。上方フラップ22、上方壁面部14、上方差込みフラップ24についても同様の操作を行うことで、図1に示す包装箱10が組み立てられる。
【0028】
なお、後方壁面部12には、固定用フラップ26が設けられ、固定用フラップ26は、下方差込みフラップ25が差し込まれた後に、下方壁面部15に形成された差込み孔27に挿入される。これにより、下方壁面部15が容器30の重みにより開放することを防止することができる。
【0029】
図3〜図5を用いて、包装箱10の作用、特に、折り込み片17の作用について詳細に説明する。さらに、上記固定部材の構成及び作用について説明する。ここで、図3は、図1において、容器30が収納された状態を示す図である。図4は、図3に示す容器30が収納された包装箱10の上面図であって、上方壁面部14を開放した状態を示す図であり、図5は、図3のA‐A線断面図である。
【0030】
図3に示すように、包装箱10には、容器30が収納される。容器30は、上方壁面部14を開放して上方から包装箱10に挿入される。容器30を挿入するときには、折り込み片17が容器30の斜め後方側から、容器30を押し付けるように配置される。また、容器30の下部は、折り込み片17と前方壁面部11の内面とに当接して位置規制されている。なお、固定部材は、容器30に装着された状態で挿入されても良いし、容器30を挿入してから容器30に接着しても良い。
【0031】
詳しくは図4、図5に示すように、折り込み片17は、包装箱10に容器30が収納されたときに、容器30の斜め後方に押し付けられて、容器30の回転防止機能を発現する。即ち、容器30に押し付けられる折り込み片17には、外側(前方)に向かって戻ろうとする弾性力が働き、その弾性効果によって容器30が保持される。容器30の下部は、前方壁面部11の内面に接触していることから、折り込み片17と前方壁面部11とによって押さえられた容器30は位置規制されて、回転が抑制される。
【0032】
図4、図5に示すように、折り込み片17と共に容器30の回転防止機能を発現する固定部材としては、商品説明等を記載したリーフレット20を利用することができる。リーフレット20を固定部材として利用することにより、別途固定部材を準備する必要がないため、包装箱10の部品点数を削減することが可能である。
【0033】
リーフレット20は、L字状に折り曲げられて、接着部21により容器30の上面に接着される。このように、リーフレット20を接着することで、胴部が丸みを帯びた円筒形状等の収納物であっても広い接着面積を確保して強い接着力を得ることができる。接着部21は、例えば、容器30の上面に設けられた粘着テープや接着剤塗布部から構成することができる。
【0034】
図5に示すように、リーフレット20は、折り込み片17と接触している。このように、折り込み片17によって、リーフレット20が押さえられているので、後方壁面部12より幅の狭いリーフレット20であっても、容器30を係合保持する固定部材として機能する。即ち、容器30が回転しようとすると、リーフレット20も一緒に回転しようとするが、リーフレット20は、折り込み片17により押さえられているので回転できず、したがって、容器30の回転も防止されることになる。
【0035】
固定部材として利用できるリーフレット20としては、折り込み片17の押さえつけにより変形しない程度の剛性が必要であって、例えば、0.5mm以上の厚みを有することが好ましい。また、リーフレット20の幅は、少なくとも折り込み片17の先端部分と接触可能な幅であることが要求される。
【0036】
以上のように、包装箱10は、窓孔16の両側から内側に向かって折り込まれ、容器30の後方に押し付けられる折り込み片17と、容器30と後方壁面部12との間に挿入され、容器30に接着されて、折り込み片17と接触する固定部材(リーフレット20)と、を備える。したがって、包装箱10によれば、折り込み片17とそれに押さえられるリーフレット20との相乗効果によって、店頭での陳列時等における容器30の回転を高度に防止することができる。
【0037】
なお、上記では、前方壁面部11の中央部を大きく切り抜いて窓孔16(一部)を形成するものとして説明したが、図6に示すように、前方壁面部11を切り抜かず、前方壁面部11から側方壁面部13に亘る幅広の折り込み片17を内側に折り込んで窓孔16を設けることもできる。ここで、図6は、幅広の折り込み片17を有する別の実施形態における包装箱10の展開図であって、折り込み片17の形態を除き、図2に示す展開図と同一のものである。
【0038】
図6に示すように、前方壁面部11を通り両側の側方壁面部13の略中央に亘って横方向に形成された2本の切り込み線、及び各側方壁面部13の略中央において上下方向に沿って形成された折り曲げ線に囲まれた部分が、左右2つの折り込み片17となる部分である。これの中央部、即ち、前方壁面部11の中央部に、上下方向に沿った切り込み線を形成することで左右に分割し、各折り曲げ線を箱の内側に折り込むことにより、幅広の折り込み片17が形成される。なお、窓孔16は、上記のように、折り込み片17を内側に折り込むことで設けられる。
【0039】
図7に、別の実施形態における包装箱10の断面図であって、図5に対応する図(図6に示す展開された包装箱10を組み立てて容器30を収納した状態)を示す。図7に示すように、上記左右の幅広の折り込み片17は、収納された容器30の後方側でその先端部分が重なり合うと共に容器30に広く接触するため、外側(前方)に向かって戻ろうとする弾性力がより強く働き、容器30の位置規制機能が向上する。また、折り込み片17は、固定部材であるリーフレット20にも強く押し付けられるため、容器30の回転をより高度に防止することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 包装箱、11 前方壁面部、12 後方壁面部、13 側方壁面部、14 上方壁面部、15 下方壁面部、16 窓孔、17 折り込み片、18 後方窓孔、19 後方折り込み片、20 リーフレット、21 接着部、22 上方フラップ、23 下方フラップ、24 上方差込みフラップ、25 下方差込みフラップ、26 固定用フラップ、27 差込み孔、28 接着代、30 容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納物の周囲を囲む壁面部と、
前方壁面部に形成される窓孔と、
を備え、窓孔を通して収納物を外側から視認可能な状態で収納する包装箱であって、
窓孔の両側から内側に向かって折り込まれ、収納物に押し付けられる折り込み片と、
折り込み片と後方壁面部との間に挿入され、収納物に接着される固定部材と、
を備えることを特徴とする包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−46429(P2011−46429A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197968(P2009−197968)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】