説明

包装箱

【課題】開封作業(トレー作製作業)を容易に行うことができ、かつ複数段積み重ねた場合に胴膨れの発生を抑制し得る程度の強度を少なくとも有するラップアラウンド式の段ボール製包装箱を提供する。
【解決手段】ラップアラウンド式の段ボール製包装箱1は、上面板2と、底面板3と、上面板2及び底面板3を連結する2つの側面板4,5と、各側面板4,5の両端縁に連続する内フラップ13,14と、上面板2及び底面板3のそれぞれの両端縁に連続する外フラップ11,12とを備え、各側面板4,5には、その略中央部に一対の引裂開始片41,42が設けられているともに、内フラップ13,14まで相互に略平行に延伸する略直線状の2本のライナーカットL1,L2が形成されており、少なくとも側面板4,5のライナーカットL1,L2上には、段潰し部51が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶製品等の容器製品物を包み込むように収納するいわゆるラップアラウンド式の段ボール製包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるラップアラウンド式の包装箱は、一般に、矩形状の一対の上面板及び底面板と、これらを連結する一対の側面板と、各側面板の端縁に連続する内フラップと、上面板及び底面板のそれぞれの端縁に連続する外フラップとを備える。かかる構成を有するラップアラウンド式の包装箱の中には、各側面板に切り取りライン(ミシン目状ジッパー)が形成されてなるものがあり、このような包装箱は、切り取りラインによって構成される引裂帯体を当該切り取りラインに沿って引き裂くことによって上箱及び下箱に分断され、下箱をそのまま商品を載せる紙トレーとして利用することができる。
【0003】
具体的には、図6に示すように、従来のラップアラウンドカートンケース300は、その側面板320の中央部に、略台形状にミシン目状のカットにより実質的に密接する一対の引裂開始片321,325が形成されているとともに、当該側面板320の内側(裏ライナー)にのみ、内フラップまで至るミシン目状の2本のライナーカットが形成されている。そして、この2本のライナーカットにより引裂帯体が構成される。
【0004】
このような構成を有するラップアラウンドカートンケース300においては、一対の台形状の引裂開始片321,325のそれぞれを把持して、側面板320の中央から両端縁(矢印方向)に向かって各引裂開始片321,325を互いに遠ざけるように引っ張り、ライナーカットに沿って引裂帯体を引き裂くことにより、最終的に箱体がトレー状の上箱及び下箱に分断されるようになっている(例えば、特許文献1等)。
【0005】
このような従来のラップアラウンドカートンケースにおいては、ライナーカットが内側(裏ライナー)にのみ形成されており、外側(表ライナー)及び中芯にはライナーカットが形成されていないため、当該ケースを開封する際に、引裂帯体をライナーカットに沿って引き裂き難く、引裂帯体を引き裂くのに相当な力を要してしまう。また、無理に引裂帯体を引き裂こうとすると、引裂帯体がライナーカットに沿って引き裂かれずに引裂帯体の帯幅が漸減的に収束し、それにより引裂き不全が生じてしまったり、引裂帯体が引裂き途中で断絶してしまったりして、トレーを安定的に、かつ確実に形成することができない場合がある。
【0006】
このような状態で開封作業が中断してしまった場合、新たに何らかの手法を用いて残存する引裂帯体の端部に把持し得る部分を形成した上で、ライナーカットに沿って引裂帯体を引き裂き、トレー作製作業を継続する必要がある。このように、一旦引裂帯体が千切れてしまった後にトレー作製作業を継続するのは非常に煩雑であり、また、作業の仕方次第では内容物を傷つけるおそれが生じたり、引裂面の外観も悪くなったりする。
【0007】
一方、側面板の内側(裏ライナー)と同様に、中芯及び外側(表ライナー)にもミシン目状のライナーカットを形成すれば、すなわち、側面板を貫通するミシン目状のカット線を形成すれば、引裂帯体をライナーカット(カット線)に沿って容易に引き裂くことができるものの、ラップアラウンドカートンケースの側面板の短手方向にかかる荷重に対する強度が低下してしまい、特にケースを複数段積み重ねた場合に胴膨れ(側面板の膨れ)が顕著に生じてしまうという問題がある。
【0008】
このような問題を解決するために、従来、包装箱の側面板の内側(裏面側のライナー)に形成された2本のライナーカット(切目線)に沿って、両ライナーカット(切目線)の外側近傍を側面板の内側(裏面側)からつぶしてなる押圧線を有する包装箱が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−171172号公報
【特許文献2】実開平4−41825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2に記載の包装箱は、2本のライナーカット(切目線)の外側近傍を側面板の内側(裏面側)からつぶしてなる押圧線を有することで、押圧線を有しない(ライナーカットの外側近傍がつぶされていない)包装箱よりもライナーカット(切目線)に沿って引裂帯体が引き裂かれやすくなっているものの、さらに容易に引き裂くことのできる包装箱が要望されているという現状がある。
【0011】
また、ライナーカット(切目線)と押圧線とは、それぞれ別工程にて形成されることで、押圧線がライナーカット(切目線)よりもさらに外側に離れた位置に形成されてしまう可能性を否定することはできない。そのような場合には、ライナーカット(切目線)に沿って引き裂くことがより困難になるおそれがある。
【0012】
さらに、ライナーカット(切目線)に沿って、それぞれのライナーカット(切目線)の外側近傍を側面板の内側(裏面側)からつぶすことにより押圧線が形成されているため、押圧線を形成する工程においてライナーカット(切目線)の少なくとも一部が破断してしまうおそれがある。このように、ライナーカット(切目線)の少なくとも一部が破断してしまうと、包装箱としての商品価値が低下してしまうし、最悪の場合には包装箱の強度が低下して、複数段積み重ねた場合に胴膨れが発生してしまう可能性も否定することができない。
【0013】
このような実情に鑑みて、本発明は、開封作業(トレー作製作業)をより容易に行うことができ、かつ複数段積み重ねた場合に胴膨れの発生を抑制し得る程度の強度を少なくとも有するラップアラウンド式の段ボール製包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、上面板と、底面板と、前記上面板及び前記底面板を連結する2つの側面板と、前記各側面板の両端縁に連続する内フラップと、前記上面板及び前記底面板のそれぞれの両端縁に連続する外フラップとを備えるラップアラウンド式の段ボール製包装箱であって、前記各側面板には、その略中央部に一対の引裂開始片が設けられているとともに、前記内フラップの端縁まで相互に略平行に延伸する略直線状の2本のライナーカットが形成されており、少なくとも前記側面板の前記ライナーカット上には、段潰し部が設けられていることを特徴とする包装箱を提供する(発明1)。
【0015】
なお、本発明において「段潰し部」とは、包装箱を構成する段ボールの中芯が座屈する程度に潰されている部分を意味し、例えば、段潰し部が設けられている部分の厚みは、段潰し加工が施される前の当該部分の厚みの20〜80%程度であるものとする。
【0016】
上記発明(発明1)においては、前記段潰し部は、前記ライナーカット上に連続的に設けられていてもよいし(発明2)、前記ライナーカット上に断続的に複数設けられていてもよい(発明3)。
【0017】
上記発明(発明1〜3)においては、前記2本のライナーカットにより構成され、当該2本のライナーカット間に位置する引裂帯体上に、前記2本のライナーカットに重なるようにして段潰し加工を施すことで、前記段潰し部が設けられているのが好ましい(発明4)。
【0018】
上記発明(発明1〜4)においては、前記2本のライナーカットは、前記引裂開始片上を通るように形成されており、前記段潰し部は、前記ライナーカットのうちの前記引裂開始片上に重なる部分以外のライナーカット上に少なくとも設けられているのが好ましい(発明5)。
【0019】
上記発明(発明1〜5)においては、前記段潰し部は、前記側面板の前記ライナーカットが形成されている面側に段潰し加工が施されることにより設けられてなる第1の段潰し部と、当該第1の段潰し部を設けるための段潰し加工が施された面の反対面側に段潰し加工がさらに施されることにより設けられてなる第2の段潰し部とを有するのが好ましい(発明6)。
【0020】
上記発明(発明6)においては、前記第2の段潰し部が、前記ライナーカットに交差する波線形状を有するものであってもよいし(発明7)、前記第2の段潰し部が、断続的に複数設けられていてもよい(発明8)。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、開封作業(トレー作製作業)をより容易に行うことができ、かつ複数段積み重ねた場合に胴膨れの発生を抑制し得る程度の強度を少なくとも有するラップアラウンド式の段ボール製包装箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る包装箱を示す展開図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る包装箱の段潰し部の構成を示す部分断面斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る包装箱を示す概略斜視図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る包装箱の段潰し部の他の構成例を示す部分平面図である。
【図5】図5は、試験例1における被験試料の作製及び試験方法の工程を示すフロー図である。
【図6】図6は、従来の包装箱を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る包装箱について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る包装箱を示す展開図であり、図2は、本実施形態に係る包装箱の段潰し部の構成を示す部分断面斜視図である。また、図3は、本実施形態に係る包装箱(図1の展開図に示される箱オリジナル紙を組み立てた状態のもの)を示す斜視図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る包装箱1は、上面板2、底面板3、及びそれらを連結する2つの側面板4,5を有する帯状の胴部と、上面板2及び底面板3のそれぞれの端縁に連設される外フラップ11,12と、2つの側面板4,5のそれぞれの端縁側に連設される内フラップ13,14とを備えるラップアラウンド式の段ボール製包装箱であって、上面板2及び底面板3が8角形のコーナーカット形状をなし、2つの側面板4,5のそれぞれと内フラップ13,14とを連結する折り曲げ連接片15,16を有する、いわゆるコーナーカットカートンと称されるラップアラウンド式の包装箱である。
【0025】
かかる包装箱1は、上面板2、底面板3、及び2つの側面板4,5を有する帯状の胴部で容器製品物(缶ビール等の缶製品群)を包み込むように収納した後、一の側面板4に連続する糊代片17により筒状に一体固着し、折り目線21,22から4つの折り曲げ連接片15,16が内側に折り込まれ、さらに折り目線23,24から4つの内フラップ13,14が内側に折り込まれ、さらに折り目線25,26から4つの外フラップ11,12が内側に折り込まれ、内フラップ13,14と外フラップ11,12とが固着されることで、図3に示すような包装箱1が完成する。この状態は、いわゆる出荷箱に相当する。なお、組み立て手法は、上記手法に限定されるものではない。
【0026】
本実施形態に係る包装箱1において、2つの側面板4,5の内面(裏ライナー)の略中央部には、側面板4,5の長手方向に延伸する略直線状の2本のライナーカットL1,L2が互いに略平行に形成されており、かかるライナーカットL1,L2は、側面板4,5に折り目線21〜24を介して連設される折り曲げ連接片15,16及び内フラップ13,14まで連続して形成されている。また、2つの側面板4,5のそれぞれの略中央部には、側面板4,5の短手方向に略平行なミシン目状のカット線と、当該カット線の両端部から側面板4,5の両端縁側(側面板4,5に連設される折り曲げ連接片15,16側)に向けて、かつ2本のライナーカットL1,L2に近づくようにミシン目状のカット線が設けられ、それらのカット線により略台形状の引裂開始片41,42が形成される。そして、2本のライナーカットL1,L2により、引裂開始片41,42のそれぞれに連続する引裂帯体31,32が構成される。なお、本実施形態において、側面板4,5の略中央部とは、側面板4,5の幾何学的な中心位置から距離換算で側面板4,5長手方向及び短手方向のそれぞれの全長に対して30%以内の領域を意味する。
【0027】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る包装箱1は、2つの側面板4,5のそれぞれの内面側から段潰し加工を施すことにより設けられた、2本のライナーカットL1,L2に重なる段潰し部51を有する。
【0028】
本実施形態において、段潰し部51は、2本のライナーカットL1,L2に重なるようにして引裂帯体31,32上に段潰し加工を施すことにより形成されている。すなわち、段潰し部51は、側面板4,5の短手方向における段潰し部51の幅が当該方向における引裂帯体31,32の幅よりも大きくなるように、かつ引裂帯体31,32上及び2本のライナーカットL1,L2上に重なるようにして、所定の領域(図1中の斜線で示される略方形状の領域)に設けられている。なお、段潰し部51の幅及び引裂帯体31,32の幅は、包装箱1の大きさ、包装箱1に包装される容器製品物の重さ等に応じて適宜設定することができる。
【0029】
上記のような構成を有する本実施形態に係る包装箱1は、側面板4,5の略中央部に形成されているカット線に沿ってカットし、略台形状の一対の引裂開始片41,42を把持して一対の引裂開始片41,42を相互に遠ざけるように側面板4,5の端縁側に向かって引っ張ることで、引裂帯体31,32がライナーカットL1,L2に沿って引き裂かれ、上箱と下箱とに分断され得る。本実施形態に係る包装箱1においては、ライナーカットL1,L2に重なるようにして段潰し部51が設けられていることで、一対の引裂開始片41,42を把持してそれらを相互に遠ざけるように側面板4,5の端縁側に向かって引っ張ったときに、ライナーカットL1,L2に沿って引裂帯体31,32が引き裂かれやすくなっている。そのため、引裂帯体31,32が途中で断絶することなく、ライナーカットL1,L2に沿って容易に引き裂くことができる。したがって、包装箱1を開封し、段ボール製トレーを作製する作業をより容易に、かつ確実に行うことができる。
【0030】
また、上記実施形態に係る包装箱1においては、段潰し部51が2本のライナーカットL1,L2上に重なるようにして形成されるため、段潰し部51を形成する過程においてライナーカットL1,L2が破断してしまうおそれはない。そのため、包装箱としての商品価値を低下させることがない。また、ライナーカットL1,L2の破断による包装箱1の強度低下を顕著に防止することができ、結果として包装箱1を複数段積み重ねたとしても胴膨れの発生を顕著に抑制することができる。
【0031】
さらに、一般には、ライナーカットL1,L2と平行な方向に引裂開始片41,42を引っ張ることにより、引裂帯体31,32をライナーカットL1,L2に沿って引き裂きやすくなるが、実際に包装箱1を開封するときには、包装箱1を床等に載置したまま、屈んだ状態で引裂開始片41,42を相互に遠ざけるように引っ張ることが多い。この場合、ライナーカットL1,L2と平行な方向に対して若干斜め上方に向かって引裂開始片41,42を引っ張ることになるため、引裂帯体31,32の途中断絶等の引裂不全が生じることがある。しかしながら、本実施形態に係る包装箱1によれば、ライナーカットL1,L2上に段潰し部51が設けられていることで、引裂開始片41,42をライナーカットL1,L2と平行な方向に対して若干斜め上方に向かって引っ張ったとしても、引裂不全が生じることなく、引裂帯体31,32をライナーカットL1,L2に沿って容易に引き裂くことができる。
【0032】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0033】
上記実施形態においては、側面板4,5の2本のライナーカットL1,L2に重なる段潰し部51が設けられているが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、内フラップ13,14及び折り曲げ連接片15,16のライナーカットL1,L2に重なる段潰し部51がさらに設けられていてもよい。
【0034】
上記実施形態においては、2本のライナーカットL1,L2により構成される引裂帯体31,32及び一対の引裂開始片41,42の一体に当該ライナーカットに重なる段潰し部51が設けられているが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、2本のライナーカットL1,L2のうちの引裂開始片41,42上に重なる部分以外のライナーカットL1,L2上に少なくとも設けられていればよく、ライナーカットL1,L2のうちの引裂開始片41,42上に重なる部分には段潰し部51が設けられていなくてもよい。
【0035】
上記実施形態においては、側面板4,5の内面(裏ライナー)の2本のライナーカットL1,L2に重なるように、引裂帯体31,32上に段潰し加工を施すことにより段潰し部51が形成されているが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、図4に示すように、2本のライナーカットL1,L2のそれぞれ上に段潰し加工を施すことにより2つの段潰し部51が形成されていてもよいし(図4(A)参照)、所定のパターン形状を有する段潰し部51が複数断続的に形成されていてもよいし(図4(B)〜(D)参照)、2本のライナーカットL1,L2に重なるようにして波線形状の段潰し部51が形成されていてもよい(図4(E),(F))。また、側面板4,5の段潰し部51が形成された面(例えば内面)と反対側の面(例えば外面)に、図4(A)〜(F)に示す態様の段潰し部52がさらに形成されていてもよい。これにより、一対の引裂開始片41,42を把持してそれらを相互に遠ざけるように側面板4,5の端縁側に向かって引っ張ったときに、ライナーカットL1,L2に沿って引裂帯体31,32がさらに引き裂かれやすくなるという効果を奏し得る。
【0036】
上記実施形態においては、側面板4,5と内フラップ13,14とをそれぞれ連結する折り曲げ連接片15,16を有し、それにより上記実施形態に係る包装箱1は、上面板2(又は底面板3)側から見た平面形状が、角部が切り取られた八角形状を有するものであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、折り曲げ連接片15,16を有さず、側面板4,5の端縁に内フラップ13,14が直接連設されてなる、上面板2(又は底面板3)側から見た平面形状が方形状を有するものであってもよい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
【0038】
[試験例1]引裂強度(引張荷重)試験
〔実施例1〕
500mL缶ビール24本(6本パック×4個)を包装するための包装箱1(図1に示す展開状態のものを組み立ててなる包装箱1)を作製し(図5(A)参照)、当該包装箱1の一の折り曲げ連接片15を含むようにして1/4(図5(A)において二点破線で示す部分)を切り出して被験試料とした(図5(B)参照)。そして、一の引裂開始片41を内フラップ13の端縁側に向けて引張速度200mm/minで引っ張り(図5(C)参照)、引裂帯体31がライナーカットL1,L2に沿って内フラップ13の端縁まで引き裂かれるまでの引張荷重(N)を、ロードセル(島津製作所社製,製品名:精密万能試験機オートグラフ AG−IS)を用いて測定し、得られた測定値の平均値(算術平均)を算出した。
【0039】
〔実施例2〕
包装箱1が、350mL缶ビール24本を包装するための包装箱1である以外は上記実施例1と同様の構成を有する包装箱1を作製し、実施例1と同様にして引張荷重(N)を測定し、得られた測定値の平均値(算術平均)を算出した。
【0040】
〔比較例1〕
段潰し部51が設けられていない以外は上記実施例1と同様の構成を有する包装箱1を、上記実施例1と同一材質の段ボールを用いて作製し、実施例1と同様にして引張荷重(N)を測定し、得られた測定値の平均値(算術平均)を算出した。
【0041】
〔比較例2〕
段潰し部51が設けられていない以外は上記実施例2と同様の構成を有する包装箱1を、上記実施例2と同一材質の段ボールを用いて作製し、実施例2と同様にして引張荷重(N)を測定し、得られた測定値の平均値(算術平均)を算出した。
【0042】
〔比較例3〕
実開平4−41825号公報の図3に記載の包装箱(350mL缶ビール24本を包装可能)のように2本のライナーカット(切目線)に沿って、それらの外側に段潰し部(押圧線)が設けられている以外は上記実施例2と同様の構成を有する包装箱を、上記実施例1と同一材質の段ボールを用いて作製し、実施例2と同様にして引張荷重(N)を測定し、得られた測定値の平均値(算術平均)を算出した。
【0043】
上記測定の結果、実施例1の包装箱1は、比較例1の包装箱1に対して55.1%の引張荷重で引裂帯体を引き裂くことが可能であった。また、実施例2の包装箱1は、比較例2の包装箱1に対して74.3%の引張荷重で引裂帯体31(32)を引き裂くことが可能であった。このことから、実施例1及び2の包装箱は開封作業が容易であることが確認された。
【0044】
さらに、比較例3の包装箱は、比較例2の包装箱1に対して91.7%の引張荷重で引裂帯体を引き裂くことが可能であった。この結果から、実施例1及び2の包装箱は、比較例3の包装箱に比して顕著に開封作業が容易であることが確認された。なお、比較例3の包装箱は、段潰し部(押圧線)を形成する工程において2本のライナーカット(切目線)の一部が破断してしまった。
【0045】
[試験例2]引き裂き角度試験
実施例1〜2、比較例1〜2の包装箱1に関し、引裂開始片41,42を引っ張る方向の、側面板4,5の長手方向に対するなす角度によって、引裂帯体31,32の断絶等の引裂不全が生じるか否かについて試験した。
【0046】
その結果、実施例1及び2の包装箱1においては、当該角度が15度においてもライナーカットL1,L2に沿って引裂帯体31,32を引き裂くことができたが、比較例1及び2の包装箱1においては、当該角度が15度になると、引裂帯体31,32をライナーカットL1,L2に沿って引き裂くことができず、引裂不全が生じてしまった。
【0047】
上記の試験結果から本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は、2本のライナーカット上に段潰し部が設けられているという構成を有していることで、包装箱の開封作業(トレー作製作業)を容易に行うことができるという効果を奏し得るとともに、引裂開始片をライナーカットと平行な方向に対して若干斜め上方に向かって引っ張ったとしても、引裂不全が生じることなく、引裂帯体をライナーカットに沿って容易に引き裂くことができるという効果をも奏し得る。特に、本発明によれば、段潰し部51がライナーカットL1,L2上に設けられていることで、開封作業を極めて容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の包装箱は、一定数量の缶ビール、缶入り発泡酒、缶入りチューハイ、缶ジュース、缶コーヒー、缶入り紅茶、缶入り緑茶等の飲料缶(容器詰飲料)をまとめて包装するための包装箱として有用である。
【符号の説明】
【0049】
1…包装箱
2…上面板
3…底面板
4,5…側面板
11,12…外フラップ
13,14…内フラップ
41,42…引裂開始片
L1,L2…ライナーカット
51,52…段潰し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面板と、底面板と、前記上面板及び前記底面板を連結する2つの側面板と、前記各側面板の両端縁に連続する内フラップと、前記上面板及び前記底面板のそれぞれの両端縁に連続する外フラップとを備えるラップアラウンド式の段ボール製包装箱であって、
前記各側面板には、その略中央部に一対の引裂開始片が設けられているとともに、前記内フラップの端縁まで相互に略平行に延伸する略直線状の2本のライナーカットが形成されており、
少なくとも前記側面板の前記ライナーカット上には、段潰し部が設けられていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記段潰し部は、前記ライナーカット上に連続的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記段潰し部は、前記ライナーカット上に断続的に複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項4】
前記2本のライナーカットにより構成され、当該2本のライナーカット間に位置する引裂帯体上に、前記2本のライナーカットに重なるようにして段潰し加工を施すことで、前記段潰し部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の包装箱。
【請求項5】
前記2本のライナーカットは、前記引裂開始片上を通るように形成されており、
前記段潰し部は、前記ライナーカットのうちの前記引裂開始片上に重なる部分以外のライナーカット上に少なくとも設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の包装箱。
【請求項6】
前記段潰し部は、前記側面板の前記ライナーカットが形成されている面側に段潰し加工が施されることにより設けられてなる第1の段潰し部と、当該第1の段潰し部を設けるための段潰し加工が施された面の反対面側に段潰し加工がさらに施されることにより設けられてなる第2の段潰し部とを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の包装箱。
【請求項7】
前記第2の段潰し部が、前記ライナーカットに交差する波線形状を有することを特徴とする請求項6に記載の包装箱。
【請求項8】
前記第2の段潰し部が、断続的に複数設けられていることを特徴とする請求項6に記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−254821(P2012−254821A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130203(P2011−130203)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】