説明

包装袋

【課題】 容易に引裂き開封でき、引裂き開口部が美麗であると共に引裂き開口部に段差を生じさせて手指で容易に摘んで開口することができる包装袋を提供することである。
【解決手段】 対向する端縁に端縁熱接着部を有する外層と中間層と内層とを有する積層体からなり、前記積層体の一方の外層に、前記端縁熱接着部の一方の外縁を起点として、当該起点と前記端縁熱接着部に平行する方向の位置を同じくする他方の外縁を終点として連続する第1切目線と、前記積層体の他方の外層に、前記第1切目線と同様にして第2切目線を形成し、前記第1切目線および第2切目線はいずれも起点側と終点側が複数本の切目線と、その間を繋ぐ一本の切目線とから構成され、前記第1切目線と前記第2切目線に沿って包装袋を引裂き開口した際に、引裂き開口部に段差を生じさせるように構成されたことを特徴とする包装袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易に引き裂いて開封することができ、引き裂いて開封した際の引裂き開口部が美麗であると共に引裂き開口部の外郭が異なることにより、手指で容易に開口するための段差が形成できる包装袋、さらには、包装袋の内面の対向する位置に、相互に咬合し合う雄部材と雌部材とからなる合成樹脂製の咬合具を備えることで再封機能を備える包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、三方シールタイプや四方シールタイプ、あるいは、スタンディングタイプの包装袋において、前記包装袋を構成する表側の積層体の外層に、左側端縁熱接着部の外縁を起点とし、右側端縁熱接着部の外縁を終点(起点と終点の高さ方向[左右の側端縁熱接着部に平行な方向]の位置が同じ)として連続する第1切目線を形成し、前記包装袋を構成する裏側の積層体の外層に、左側端縁熱接着部の外縁を起点とし、右側端縁熱接着部の外縁を終点(起点と終点の高さ方向[左右の側端縁熱接着部に平行な方向]の位置が同じ)として連続する第2切目線を形成し、包装袋を平面視した状態で積層体の矩形平面上における前記第1切目線と前記第2切目線の形成位置を一部異なるものとすることで、前記第1切目線と前記第2切目線に沿って包装袋の上端側を幅方向(左右の側端縁熱接着部に直交する方向)に引裂き開口した際に、引裂き開口部を形成する表側の積層体の切断面の外郭と裏側の積層体の切断面の外郭とを異ならしめることで、引裂き開口部に段差を生じさせて内容物を取り出す際の開口を容易にした包装袋が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに、同種の引裂き開口部に段差を生じさせて内容物を取り出す際の開口を容易にした包装袋であって、再封機能を備えた包装袋も提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
しかし、特許文献1に記載された包装袋の第1〜第4実施形態のように第1切目線と第2切目線が一本の切目線で構成され、開封開始端部に視覚的にも機能的にも開封をより容易成らしめる切欠(I字、V字、亀甲等の切欠)を形成した場合、打抜き形成される切欠と切目線を同時に形成することはできないために、切欠と切目線の間に位置ズレ(切欠の先端部と切目線が一致しない)の危険性が生じる。
【0005】
これに対し、特許文献1に記載された包装袋の第5実施形態や特許文献2に記載された包装袋のように第1切目線と第2切目線が複数の切目線で始点から終点まで構成されている場合、切欠と切目線の位置ズレの危険性を相当に抑制できるが、たとえば、包装袋の上端側の領域を摘んで第1切目線に沿って手前側(表側)に捻るように引裂いた場合、包装袋を構成する表側の積層体は第1切目線に沿って全層(外層、中間層、内層)が引裂かれるのに対し、包装袋を構成する裏側の積層体は、その一部の層が帯状に残留して一種のヒゲのような状態で開口部を構成する裏側の積層体の切り口に残る場合があり、また、同様に、包装袋の上端側の領域を摘んで第2切目線に沿って奥側(裏側)に捻るように引裂いた場合には、包装袋を構成する裏側の積層体は第2切目線に沿って全層(外層、中間層、内層)が引裂かれるのに対し、包装袋を構成する表側の積層体は、その一部の層が帯状に残留して一種のヒゲのような状態で開口部を構成する表側の積層体の切り口に残る場合があり、美観や衛生の面から好ましいものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−289396号公報
【特許文献2】特開2003−104394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、容易に引き裂いて開封することができ、引き裂いて開封した際の引裂き開口部が美麗であると共に引裂き開口部の外郭が異なることにより、手指で容易に開口するための段差が形成される包装袋、具体的には、切目線の形状や組み合わせを工夫することにより、開封時に切欠と切目線の位置ズレやヒゲが生じない包装袋乃至は包装袋の内面の対向する位置に、相互に咬合し合う雄部材と雌部材とからなる合成樹脂製の咬合具を備えることで再封機能を備える包装袋を提供することを課題とする。
【0008】
本発明者は、開封時にヒゲが生じるメカニズムを検討した結果、包装袋の上端側の領域を摘んで第1切目線に沿って手前側(表側)に捻るように引裂いた場合、包装袋を構成する表側の積層体は第1切目線に沿って全層(外層、中間層、内層)が引裂かれる傾向にあるが、包装袋を構成する裏側の積層体は第2切目線に沿って全層(外層、中間層、内層)が概ね引裂かれるものの、包装袋を構成する裏側の積層体の複数本の第2切目線で挟まれた外層の帯状領域のみが中間層から剥離して開口部を構成する裏側の積層体の切り口に残ることにより、同様に、包装袋の上端側の領域を摘んで第2切目線に沿って奥側(裏側)に捻るように引裂いた場合には、包装袋を構成する表側の積層体の複数本の第1切目線で挟まれた外層の帯状領域のみが中間層から剥離して開口部を構成する表側の積層体の切り口に残ることにより、ヒゲが発生しているとの結論に達した。
【0009】
そこで、本発明者は、ヒゲは生じないが切欠と切目線の位置ズレが発生し易くなる一本の切目線(第1切目線と第2切目線)と、切欠と切目線の位置ズレが生じないがヒゲが発生し易くなる複数本の切目線(第1切目線と第2切目線)を適切な配置で組み合わせることにより、外層の切目線に追従した良好な引裂き線(切欠と切目線の位置ズレとヒゲが発生しない)を形成できるとの知見に基づき、本発明を成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、外層とアルミニウムからなる中間層と熱接着性樹脂からなる内層とを少なくとも有する矩形状の積層体の前記内層同士を重ね合わせて、対向する一組の端縁の対向する位置に少なくとも端縁熱接着部を形成し、前記積層体の一方の外層に、前記端縁熱接着部の一方の外縁を起点として、当該起点と前記端縁熱接着部に平行する方向の位置を同じくする他方の外縁を終点として連続する第1切目線を形成し、前記積層体の他方の外層に、前記端縁熱接着部の一方の外縁を起点として、当該起点と前記端縁熱接着部に平行する方向の位置を同じくする他方の外縁を終点として連続する第2切目線を形成し、前記積層体の平面視状態における前記第1切目線と前記第2切目線の形成位置を異なるものとすることで、前記第1切目線と前記第2切目線に沿って包装袋の上端側を前記端縁熱接着部に直交する方向に引裂き開口した際に、引裂き開口部を形成する前記積層体の一方の切断面の外郭と前記積層体の他方の切断面の外郭とを異ならしめることで、引裂き開口部に段差を生じさせる包装袋であって、前記第1切目線および第2切目線は、起点から端縁熱接着部に直交する方向に進行し起点側の端縁熱接着部の内縁の手前にまで達する起点側の複数本の切目線と、終点から端縁熱接着部に直交する方向に進行し終点側の端縁熱接着部の内縁の手前にまで達する終点側の複数本の切目線と、前記起点側の複数本の切目線の終端から収斂して前記終点側の複数本の切目線の終端に分岐する一本の切目線とから構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の包装袋において、前記一本の切目線は前記起点側あるいは前記終点側の複数本の切目線を構成する一本の切目線の線幅よりも幅広に形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1、2のいずれかに記載の包装袋において、前記第1切目線と第2切目線より下端側の包装袋の内面の対向する位置に、相互に咬合し合う凸条の雄部材と凹条の雌部材とからなる合成樹脂製の咬合具が設けられ、前記雄部材と前記雌部材とを咬合することで再封機能を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
かかる発明によれば、ヒゲが発生し易い複数本の切目線が存在する起点側と終点側の領域における積層体を、端縁熱接着部で強固に積層することで、剥離が生じないようにしておき、さらに、端縁熱接着部より内側に入ると一本に収斂させることで、帯状領域そのものが生じないようにできる。また、起点側の切目線と終点側の切目線の数を複数に設定することにより、開封開始端として切欠を形成した場合、打抜きによる切欠とレーザー加工に代表される切目線を同時に形成することができないために生じる切欠と切目線の間の位置ズレの危険性を低減することができる。
【0014】
また、起点側と終点側の複数本の切目線を構成する一本の切目線の線幅よりも端縁熱接着部より内側に入って起点側と終点側の複数本の切目線を収斂させた一本の切目線の線幅を幅広とすることにより、起点側あるいは終点側の複数本の切目線から一本の切目線への引裂き開封線のスムーズな移行が達成できる。すなわち、起点側と終点側のいずれの複数本の切目線から引裂いてもスムーズに引裂くことができる。
【0015】
また、包装袋の前記切目線の下端側の包装袋の内面の対向する位置に、相互に咬合し合う凸条の雄部材と凹条の雌部材とからなる合成樹脂製の咬合具を備えており、前記雄部材と前記雌部材とを咬合することで再封機能を備える包装袋とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかる包装袋の切目線と咬合具の位置関係を図解的に示す平面図である。
【図2】図1のX−X線断面を図解的に示す図である。
【図3】本発明にかかる包装袋に形成する切目線の実施例を図解的に示す要部拡大平面図である。
【図4】図4(a)は図3のY−Y線断面を図解的に示す図,(b)は図3のZ−Z線断面を図解的に示す図である。
【図5】図3に示す包装袋の一方の側端熱接着部を残した状態の開封図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかる包装袋の切目線と咬合具の位置関係を図解的に示す平面図、図2は図1のX−X線断面を図解的に示す図、図3は本発明にかかる包装袋に形成する切目線の実施例を図解的に示す要部拡大平面図、図4(a)は図3のY−Y線断面を図解的に示す図,(b)は図3のZ−Z線断面を図解的に示す図、図3に示す包装袋の一方の側端熱接着部を残した状態の開封図であり、図中の1は包装袋、2は端縁熱接着部、2’は側端縁熱接着部、2”は上・下端縁熱接着部、3は第1切目線、3’は第2切目線、10は積層体、11は外層、12は中間層、13は内層、20は合成樹脂製の咬合具、21は凸条の雄部材、22は凹条の雌部材、30A,30B,30C,30a,30b,30cは第1直線状切目線、30D,31Dは略コ字状切目線、31A,31B,31C,31a,31b,31cは第2直線状切目線、αは切目線形成領域、βが咬合具形成領域をそれぞれ示す。
【0018】
図1は本発明にかかる包装袋の切目線と咬合具の位置関係を図解的に示す平面図、図2は図1のX−X線断面を図解的に示す図であって、包装袋1は外層11とアルミニウム箔からなる中間層12と熱接着性樹脂層からなる内層13とを積層した矩形状の積層体10の前記内層13同士を重ね合わせて四周端縁を熱接着して端縁熱接着部2で密封した四方シールタイプ包装袋である。なお、本明細書においては、前記端縁熱接着部2の中で、図1等において左右方向に位置する一組の前記端縁熱接着部2を側端縁熱接着部2’と呼称し、図1等において上下方向に位置する一組の前記端縁熱接着部2を上・下端縁熱接着部2”と呼称する。前記包装袋1は前記包装袋1を構成する矩形状の積層体10の一方の外層と、他方の外層にそれぞれ、前記包装袋1の平面視状態において形成位置を異なるように第1切目線3と第2切目線3’が形成された切目線形成領域αと該切目線形成領域αよりも下端側(下端縁熱接着部2”側)に相互に咬合し合う凸条の雄部材21と凹条の雌部材22とからなる合成樹脂製の咬合具20が設けられる咬合具形成領域βとから構成される。
【0019】
次に、包装袋1に形成する切目線(第1切目線3と第2切目線3’)の実施形態について具体的に詳述する。図3は本発明にかかる包装袋に形成する切目線の実施例を図解的に示す要部拡大平面図、図4(a)は図3のY−Y線断面を図解的に示す図,(b)は図3のZ−Z線断面を図解的に示す図であって、切目線は包装袋1を構成する積層体10の一方の外層11に、前記側端熱接着部2’の一方の外縁と他方の外縁とからそれぞれ前記側端縁熱接着部2’に直交する方向に前記包装袋1の前記側端縁熱接着部2’に直交する方向の位相(位置)(たとえば、上端縁熱接着部2”の外縁からの距離)を同じにして延びると共に、その終端がそれぞれの前記側端縁熱接着部2’の内縁の手前にまで達する複数本(図3上は3本)の第1直線状切目線30A、30B、30Cおよび30a、30b、30cと、それぞれの終端を繋ぐ一本の略コ字状切目線30Dとからなる第1切目線3と、包装袋1を構成する積層体10の他方の外層に、前記側端縁熱接着部2’の一方の外縁と他方の外縁とからそれぞれ前記側端縁熱接着部2’に直交する方向に前記第1直線状切目線30A、30B、30Cおよび30a、30b、30cとそれぞれ位相(位置)および長さを同じくして延びる複数本(図3上は3本)の第2直線状切目線31A、31B、31Cおよび31a、31b、31cと、それぞれの終端を繋ぐ一本の略コ字状切目線31Dとからなる第2切目線3’とで構成される。なお、前記第1直線状切目線および第2直線状切目線はいずれも同じ線幅で形成するのが好ましい。
【0020】
また、図3においては第1直線状切目線(30A、30B、30Cおよび30a、30b、30c)および第2直線状切目線(31A、31B、31Cおよび31a、31b、31c)を等間隔に3本設けたものを記載したが、これに限定するものではなく、2本以上であればよいものであるが、好ましくは3本以上である。また、図3においては第1直線状切目線(30A、30B、30Cおよび30a、30b、30c)および第2直線状切目線(31A、31B、31Cおよび31a、31b、31c)の一本の線幅に対し、略コ字状切目線(30D、31D)の線幅を幅広に形成したものを示したが、略コ字状切目線(30D、31D)の線幅は第1直線状切目線および第2直線状切目線の線幅より幅狭にならない線幅、すなわち、同じ線幅か、より好ましくは幅広に形成することである。また、図3において、平面視状態における前記略コ字状切目線30Dと前記略コ字状切目線31Dの最も乖離している幅(乖離幅)は少なくとも3mm以上が好ましい。このように構成することにより、どちら側の直線状切目線から引裂いても引裂き開封線がスムーズに略コ字状切目線へ移行し、引裂き開口部が美麗であると共に引裂き開口部の外郭が異なることにより、開口部に手指で容易に開口するための段差が形成される。
【0021】
また、第1直線状切目線あるいは第2直線状切目線の切目線の間隔は、概ね0.5〜1.0mmが適当である。このように構成することにより、引裂き開封線が第1直線状切目線あるいは第2直線状切目線から外れる危険性を低減することができる。また、第1直線状切目線あるいは第2直線状切目線の各切目線の線幅としては概ね0.1〜0.3mmであり、略コ字状切目線の線幅は第1直線状切目線あるいは第2直線状切目線の線幅の1.5倍以上の線幅が好ましい。
【0022】
上記のように構成した包装袋1は、前記第1切目線3が交差する前記側端縁熱接着部2’の外縁、たとえば、図3上の左側から前記第1切目線3の前記第1直線状切目線30Aが交差する前記側端縁熱接着部2’および前記第2切目線3’の前記第2直線状切目線31Aに沿って引裂くと直線的に一体的に引裂かれ、引裂き開封線が前記略コ字状切目線30Dおよび前記略コ字状切目線31Dに至って、前記第1直線状切目線30Aは前記略コ字状切目線30Dに沿って、また、前記第2直線状切目線31Aは前記略コ字状切目線31Dに沿って、それぞれ引裂かれて、図5に示すように、引裂き開封線は、外層の切目線に追従した良好な引裂き線となり、引裂き開口部はヒゲが発生することなく美麗であると共に引裂き開口部の外郭が異なることにより段差(略コ字状切目線30Dと31Dによる段差)が形成されるので、手指で段差部を容易に摘むことができて容易に開口することができる。
【0023】
また、図示はしないが、複数本の第1直線状切目線(あるいは第2直線状切目線)を設けた対向する前記側端縁熱接着部2’の外縁であって、少なくとも両側に切目線を有する外縁の位置(奇数本の切目線の場合は、センターの切目線に合致するように、また、偶数本の切目線の場合は、両側に切目線が位置する適宜の位置)にI字、V字、亀甲等の切欠
を、また、複数本の第1直線状切目線(あるいは第2直線状切目線)を包含すると共に複数本の第1直線状切目線(あるいは第2直線状切目線)のセンターの切目線の方向に誘導
する形状、たとえば、前記側端縁熱接着部2’の外縁から内縁に向かう方向に先細り形状の傷痕群を開封開始手段として設けることで、視覚的にも機能的にも開封をより容易なものとしてもよいものである。
【0024】
また、図3において、対向する前記側端縁熱接着部2’にそれぞれ形成した複数本(図3上は3本)の第1直線状切目線(あるいは第2直線状切目線)のそれぞれの終端を繋ぐ一本の略コ字状切目線(30Dあるいは31D)は略コ字状に限るものでなく、たとえば、円弧状であってもよいものであるし、また、複数本の第1直線状切目線(あるいは第2直線状切目線)と、その終端を繋ぐ一本の切目線は、本発明の趣旨を逸脱しない範疇の構成は全て本発明に含まれるものである。
【0025】
次に、包装袋1を構成する積層体10について説明する。前記積層体10の外層としては、包装袋1を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂製フィルムを用いることができ、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系等の樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂を用いたフィルムとしては、二軸方向に延伸した延伸フィルムが好適である。この理由としては、通常、前記外層11には印刷が施されることが多く、印刷適性が求められるからである。また、前記外層11を構成するフィルムの厚さとしては、コストなどを勘案して決めればよいが、概ね12〜25μm程度である。
【0026】
また、前記積層体10の中間層12に用いるアルミニウム箔としては、焼鈍処理されたアルミニウム箔が適当であり、その厚みとしては6〜15μm程度である。
【0027】
また、前記積層体10の内層13としては、熱により溶融して相互に溶着し得る熱接着性樹脂から形成された層であればいのであって、包装袋1に要求される物性により適宜選択して用いればよいものであるが、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンとアクリル酸との酸コポリマー、エチレンとアクリル酸エステルとのエステルコポリマー等で形成することができる。また、前記内層13を構成するフィルムの厚さとしては、求められる物性とコスト等を勘案して決めればよいものである。
【0028】
また、前記積層体10は、前記中間層12と前記内層13の間に包装袋とした際に必要とされる物性、たとえば、機械的強靭性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等の物性を付与するために、たとえば、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン等のフィルムや樹脂層からなる強度補強層を設けることができ、この強度補強層は上記フィルムや樹脂層を組み合わせてもよいものであり、その厚さとしては求められる物性やコスト等
勘案して決めればよいものである。
【0029】
また、本発明の包装袋1を構成する前記積層体10の各層の積層方法としては、サンドイッチラミネーション法、ドライラミネーション法等の周知の積層方法を適宜用いて積層すればよいものである。また、前記第1切目線3や第2切目線3’の形成は、ロータリーダイカッターを用いて物理的に形成してもよいが、好ましくはパルス発振型レーザー等を用いて積層体10とした後に前記外層11に形成する。これに用いるレーザーの種類としては、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、アルゴンイオンレーザー等が可能であり、特に限定するものではない。
【0030】
また、今までは四方シールタイプの包装袋で説明してきたが、要するに対向する一組の端縁の対向する位置に少なくとも端縁熱接着部が形成されてなる態様の包装袋、具体的には、3方シールタイプであっても、スタンディングタイプの包装袋であってもよいものである。
【符号の説明】
【0031】
1 包装袋
2 端縁熱接着部
2’ 側端縁熱接着部
2” 上・下端縁熱接着部
3 第1切目線
3’ 第2切目線
10 積層体
11 外層
12 中間層
13 内層
20 合成樹脂製の咬合具
21 凸条の雄部材
22 凹条の雌部材
30A,30B,30C 第1直線状切目線
30a,30b,30c 第1直線状切目線
30D,31D 略コ字状切目線
31A,31B,31C 第2直線状切目線
31a,31b,31c 第2直線状切目線
α 切目線形成領域
β 咬合具形成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層とアルミニウムからなる中間層と熱接着性樹脂からなる内層とを少なくとも有する矩形状の積層体の前記内層同士を重ね合わせて、対向する一組の端縁の対向する位置に少なくとも端縁熱接着部を形成し、前記積層体の一方の外層に、前記端縁熱接着部の一方の外縁を起点として、当該起点と前記端縁熱接着部に平行する方向の位置を同じくする他方の外縁を終点として連続する第1切目線を形成し、前記積層体の他方の外層に、前記端縁熱接着部の一方の外縁を起点として、当該起点と前記端縁熱接着部に平行する方向の位置を同じくする他方の外縁を終点として連続する第2切目線を形成し、前記積層体の平面視状態における前記第1切目線と前記第2切目線の形成位置を異なるものとすることで、前記第1切目線と前記第2切目線に沿って包装袋の上端側を前記端縁熱接着部に直交する方向に引裂き開口した際に、引裂き開口部を形成する前記積層体の一方の切断面の外郭と前記積層体の他方の切断面の外郭とを異ならしめることで、引裂き開口部に段差を生じさせる包装袋であって、前記第1切目線および第2切目線は、起点から端縁熱接着部に直交する方向に進行し起点側の端縁熱接着部の内縁の手前にまで達する起点側の複数本の切目線と、終点から端縁熱接着部に直交する方向に進行し終点側の端縁熱接着部の内縁の手前にまで達する終点側の複数本の切目線と、前記起点側の複数本の切目線の終端から収斂して前記終点側の複数本の切目線の終端に分岐する一本の切目線とから構成されていることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記一本の切目線は前記起点側あるいは前記終点側の複数本の切目線を構成する一本の切目線の線幅よりも幅広に形成されていることを特徴とする請求項1記載の包装袋。
【請求項3】
前記第1切目線と第2切目線より下端側の包装袋の内面の対向する位置に、相互に咬合し合う凸条の雄部材と凹条の雌部材とからなる合成樹脂製の咬合具が設けられ、前記雄部材と前記雌部材とを咬合することで再封機能を備えることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−96840(P2012−96840A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247301(P2010−247301)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】