説明

包装装置用データ換算装置

【課題】温室効果ガスの排出量とともに、包装装置における生産損失および稼動エネルギーを正確に表示することができる包装装置用データ換算装置を提供することである。
【解決手段】包装装置用データ換算装置においては、制御部120により商品を製造する各アクチュエータの消費電力およびその他の製造ロスおよびフィルムロスFWが検知され、流量センサ135、電力メータ131,132,133により各アクチュエータの消費エネルギーが検知される。そして、制御部301により制御部120、流量センサ135、電力メータ131,132,133により検知された検知結果が二酸化炭素の排出量または金額等に換算され、当該換算された換算結果である温室効果ガスの排出量または金額と、検知結果とが表示部305により表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の包装を行う包装装置における包装装置用データ換算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品の包装を行う包装装置については、日々研究および開発が行われている。例えば、特許文献1には、縦シール装置及び横シール装置への電力供給を総合的に制御することにより、電力負荷の効果的な低減が可能な製袋包装機について開示されている。
【0003】
特許文献1記載の製袋包装機においては、下方に搬送される帯状の包材の左右両側縁部を重ね合わせて筒状に曲成し、該筒状包材の重ね合わせ部を縦シール手段によって長さ方向にシールすると共に横シール手段によって幅方向にシールして袋に成形しつつ、該袋内へ物品を投入する製袋包装機であって、縦シール手段は、筒状包材の重ね合わせ部を溶着するための加熱手段を有すると共に、横シール手段は、筒状包材を挟み付ける一対のシールジョーと、該シールジョーの対接時に筒状包材を溶着するように該シールジョーを加熱する加熱手段とを有し、かつ、これらの加熱手段への電力供給期間が互いにオーバラップしないように、各シール手段への電力供給を制御する制御手段が備えられているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−155465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、特許文献1記載の製袋包装機においては、縦シール装置及び横シール装置への電力供給を総合的に制御することにより、電力負荷の効果的な低減を実現することができる。
【0006】
また、近年、地球温暖化対策のために、温室効果ガスの排出量の削減についての法的拘束力のある約束等を定めるものとして1997(平成9)年12月に採択された“気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書”が、2005(平成17)年2月16日に発効されている。
【0007】
しかしながら、各国(日本を含み)においては、温室効果ガスの排出量を第一約束期間に基準年と比べて数%削減させるという条約上の約束がありながら、実際の排出量は増加傾向となっており、更なる取組みが求められている。
【0008】
また、一部の企業または自治体においては、温室効果ガスの排出量の算定、報告、公表制度も確立されている。
【0009】
本発明の目的は、包装装置における温室効果ガスの排出量とともに、包装装置における生産損失および稼動エネルギーを正確に表示することができる包装装置用データ換算装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)
一の局面に従う包装装置用データ換算装置は、商品を製造する複数のアクチュエータの生産損失を検知する第1検知部と、複数のアクチュエータの稼動エネルギーを検知する第2検知部と、第1検知部および第2検知部により検知された検知結果を温室効果ガスの排出量または金額に換算する換算部と、第1検知部および第2検知部により検知された結果と、換算部により換算された換算結果とを合せて表示する表示部とを含むものである。
【0011】
包装装置用データ換算装置においては、第1検知部により商品を製造する複数のアクチュエータの生産損失が検知され、第2検知部により複数のアクチュエータから稼動エネルギーが検知される。そして、換算部により第1検知部および第2検知部により検知された検知結果が温室効果ガス(二酸化炭素)の排出量または金額に換算され、当該換算された換算結果である温室効果ガスの排出量または金額と、検知結果とが表示部により表示される。
【0012】
この場合、複数の単位を統一された単位に換算することにより、生産損失および稼動エネルギーの表示を統合して表示することができる。その結果、管理者に生産損失および稼動エネルギーを、統一された単位で認識および把握を行うことができる。
【0013】
(2)
包装装置用データ換算装置は、記録部をさらに備え、記録部は、換算部により換算された換算結果の履歴を記録し、表示部は、記録部に記録された換算結果を表示することが好ましい。
【0014】
この場合、記録部により換算結果である温室効果ガスの排出量および金額の履歴が記録されるので、温室効果ガスの排出量および金額の変動を表示し、当該変動を容易に認識することができる。
【0015】
(3)
包装装置用データ換算装置は、複数のアクチュエータで使用する部材および原料に対する生産エネルギー消費量および運搬エネルギー消費量を記録部に入力する入力部をさらに備え、換算部は、生産エネルギー消費量および運搬エネルギー消費量を温室効果ガスの排出量または金額に換算することが好ましい。
【0016】
この場合、複数のアクチュエータで使用する部材および原料に対する生産エネルギー消費量および運搬エネルギー消費量を記録部に入力することができる。例えば、部材とは、袋包装のフィルム、ラップ、容器等であり、商品の原料とは、油等の加工原料、塩等の調味料、さらに商品の主を成す原料を含む。その結果、製造現場のみならず、部材の生産現場および商品の原料を生産する生産現場、さらには部材および原料の運送時を含めたエネルギー消費量に基づいて換算を行うことができる。その結果、製造現場以外の要因も含めて、累積された温室効果ガスの排出量、または金額等のエネルギー損失を容易に把握することができる。
【0017】
(4)
記録部は、複数のアクチュエータの運転条件を記録してもよい。
【0018】
この場合、記録部に複数のアクチュエータの運転条件を記録することにより、温室効果ガスの排出量の変化を運転条件にあわせて、比較することができる。また、いずれの工程で不良品が発生して歩留まりを下げることとなっているか原因特定が容易であるため、歩留まり向上対策を容易に行うことができる。
【0019】
(5)
換算部は、複数のアクチュエータ毎に換算を実施し、表示部は、複数のアクチュエータ毎に換算結果を表示することが好ましい。
【0020】
この場合、表示部に複数のアクチュエータ毎の換算結果である温室効果ガス(二酸化炭素)の排出量または金額が表示される。その結果、いずれの複数のアクチュエータにおいて温室効果ガスの排出量または金額を確実に認識することができる。
【0021】
(6)
換算部は、温室効果ガスの排出量を当該温室効果ガスの取引率で換算した金額を換算結果として算出し、表示部は、当該換算結果を表示することが好ましい。
【0022】
この場合、温室効果ガスの排出量を換算結果として金額で表示することができる。その結果、商品製造における監督者または作業者に対して認識しやすい金額で明示することができる。
また、温室効果ガスの排出量に関して目標値を下回った場合、または、温室効果ガスの排出量を削減できた場合、排出量削減分を売買することができる。その結果、地球環境に優しく、かつコスト低減を実現することができる。
【0023】
(7)
第2検知部は、非接触方式により複数のアクチュエータの稼動エネルギーを検知することが好ましい。
【0024】
この場合、第2検知部は、非接触方式により複数のアクチュエータの稼動エネルギーを検知することができるので、既存の設備に対しても容易に包装装置用データ換算装置を導入することができる。
【0025】
(8)
第2検知部は、接触方式により複数のアクチュエータの稼動エネルギーを検知することが好ましい。
【0026】
この場合、第2検知部は、接触方式により複数のアクチュエータの稼動エネルギーを検知することができるので、確実に複数のアクチュエータの稼動エネルギーを検知することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る包装装置用データ換算装置によれば、温室効果ガスの排出量とともに、包装装置における生産損失および稼動エネルギーを正確に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る製袋包装装置の一例を示す模式的外観図である。
【図2】図1に示した製造包装装置のアクチュエータの一例を示す模式図
【図3】図2におけるコントローラの内部構成の一例を示す図
【図4】コントローラにおける表示部の一例を示す模式図
【図5】コントローラにおける表示部の他の例を示す模式図
【図6】コントローラにおける表示部の他の例を示す模式図
【図7】コントローラにおける表示部の他の例を示す模式図
【図8】二酸化炭素の排出量に関する目標値および実績の例を示す模式図
【図9】図2に示した製造包装装置のアクチュエータの他の例を示す模式図
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態に係る包装装置用データ換算装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る製袋包装装置100の一例を示す模式的外観図である。
【0030】
図1に示すように、製袋包装装置100は、組合せ計量装置101、成形機構102、プルダウンベルト103、縦シール装置104、横シール装置105、製袋包装ユニット106、フィルム供給ユニット107および操作スイッチ類108を主として備える。
【0031】
組合せ計量装置101は商品について計量ホッパにおいて所定重量ずつ計量した後、これらの計量値を所定の合計重量になるように組み合わせて順次排出して、所定の合計重量の商品について長尺フィルムFにより袋詰めする。
【0032】
製袋包装ユニット106は、商品の袋詰めを行う本体部分である。また、フィルム供給ユニット107は、製袋包装ユニット106に袋となる長尺フィルムFを供給する。製袋包装ユニット106の前面には操作スイッチ類108が配設されている。
【0033】
フィルム供給ユニット107は、製袋包装ユニット106の成形機構102にシート状の長尺フィルムFを供給するユニットであって、製袋包装ユニット106に隣接して設けられている。フィルム供給ユニット107には長尺フィルムFが巻回されたフィルムロールがセットされ、当該フィルムロールから長尺フィルムFが繰り出される。
【0034】
次に、図2は図1に示した製造包装装置100のアクチュエータの一例を示す模式図であり、図3は図2におけるコントローラ300の内部構成の一例を示す図である。
【0035】
図2に示すように、製袋包装装置100は、制御部120と、主にバキュームポンプ121、ヒータ122、サーボモータ123のアクチュエータとを含む。また、製袋包装装置100は、エアシリンダ等を駆動するエア機器134を含む。制御部120は、バキュームポンプ121、ヒータ122、サーボモータ123およびエア機器134の各アクチュエータの動作を制御する。
【0036】
また、バキュームポンプ121は電力メータ131を介してコントローラ300に接続される。また、ヒータ122は電力メータ132を介してコントローラ300に接続される。サーボモータ123は電力メータ133を介してコントローラ300に接続される。
さらに、製袋包装装置100において使用されているエアシリンダ等のエア機器134は、流量センサ135を介してコントローラ300に接続される。
【0037】
バキュームポンプ121は、図1で示したプルダウンベルト103で使用される負圧を供給する。またヒータ122は、複数のヒータからなり、一のヒータは図1の縦シール装置104のシールジョーに設けられ、他のヒータは図1の横シール装置105のシールジョーに設けられる。
【0038】
さらに、サーボモータ123は、複数のモータからなり、一のモータが図1の横シール装置105に内蔵され、当該モータによりDモーション動作が行われる。さらに他のモータは、図1のフィルム供給ユニット107に内蔵され、当該モータによりフィルム搬送動作が行われる。以下、サーボモータ123は、複数のモータの総称として使用する。
【0039】
本実施の形態に係る製袋包装装置100においては、バキュームポンプ121における消費電力量について、電力メータ131を用いて計測を行う。また、ヒータ122における消費電力量について、電力メータ132を用いて計測を行う。さらに、サーボモータ123における消費電力量について、電力メータ133を用いて計測を行う。また、エアシリンダ等のエア機器134は、流量センサ135を用いてエア使用量を計測する。
【0040】
さらに、制御部120は、生産商品の商品情報および総生産商品個数および不良品個数をコントローラ300に送信する。ここで、制御部120がコントローラ300に送信する不良品個数とは、単に製造中に不良であると判定されたもののみならず、以下のものが含まれる。例えば、製造ロスPWとなるオーバスケールによる物品の損失、零点の物品の損失に関するもの、さらにフィルムロスFWとなるフィルム交換に係るフィルム量、試運転時の調整のためのフィルム量、シール不良によるフィルム量等が含まれる。
【0041】
次に、図3に示すように、コントローラ300は、制御部301、通信部302、入力部303、出力部304、表示部305および記録部310を含む。
【0042】
図3に示すように、記録部310には、商品の価格、消費期限、原材料コスト、使用する調味料および包装部材の種別およびコスト等を記録した商品マスタデータベース311、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量に換算する温室効果ガス換算率データ312、消費電力量および二酸化炭素の排出量を金額に換算する金額換算率データ313、二酸化炭素の排出量を売買して取引される費用に換算する費用換算率データ314と、各種商品処理装置の運転状況を記録した運転状況履歴データ315を含む。これらの詳細については後述する。また、記録部310には、後述する換算を行った各種履歴データが記録される。
【0043】
具体的に、コントローラ300の制御部301は、通信部302を介して流量センサ135から受信するエア使用量、電力メータ131,132,133から得られる消費電力量、および制御部120から受信する生産商品の商品情報および総生産商品個数および不良品個数を記録部310に記録する。
【0044】
コントローラ300の制御部301は、制御部120から受け取った生産商品の商品情報に基づいて、記録部310に記録された商品マスタデータベース311から該当する商品情報を抽出し、当該商品マスタデータベース311に記録された当該商品の中身である単価と、不良品個数とを積算し製造ロスPWとして換算する。さらに、コントローラ300の制御部301は、計量ミス(オーバスケール)による物品の損失、零点の物品の損失に関するものを製造ロスPWとして加算する。
【0045】
具体的に、代表的な製造ロスPWとして計量ミスおよびフィルムロスFWが挙げられる。
当該計量ミスについては、計量ミスが生じた商品の中身の重量が計測されているので、当該重量計測値Lに当該商品マスタデータベース311に記録された当該商品の中身である単価(係数ML1)を積算し、計量ミスの金額M1を算出する(重量計測値L×単価ML1=金額M1)。また、当該重量計測値Lに当該温室効果ガス換算率データ312に記録された二酸化炭素排出量に換算する係数KL1を積算し、二酸化炭素排出量K1を算出する(重量計測値L×係数KL1=二酸化炭素排出量K1)。
【0046】
また、フィルムロスFWについては、フィルムロスFWが生じた商品に使用されたフィルム量Kが計測されているので、当該フィルム量Kと当該商品マスタデータベース311に記録されたフィルムの単価(係数MK2)を積算し、製造ロスPWの金額M2を算出する(フィルム量K×単価MK2=金額M12)。また、当該フィルムロスFWに伴って生じた商品の中身の重量が計測されているので、当該重量計測値L1に当該商品の中身である単価(係数ML1)を積算し、製造ロスPWの金額M11を算出する(重量計測値L1×単価ML1=金額M11)。
そして、フィルムロスFWの金額の小計(M11+M12)が算出される。
【0047】
さらに、フィルムロスFWについては、フィルムロスFWが生じた商品に使用されたフィルム量Kが計測されているので、当該フィルム量Kと当該温室効果ガス換算率データ312に記録された二酸化炭素排出量に換算する係数KK12を積算し、製造ロスPWの二酸化炭素排出量K12を算出する(フィルム量K×単価KK12=二酸化炭素排出量K12)。また、当該フィルムロスFWに伴って生じた商品の中身の重量が計測されているので、当該重量計測値L1に温室効果ガス換算率データ312に記録された二酸化炭素排出量に換算する係数KK11を積算し、二酸化炭素排出量K11を算出する(重量計測値L1×単価KK11=二酸化炭素排出量K11)。
そして、フィルムロスFWの二酸化炭素排出量の小計(K11+K12)が算出される。
【0048】
以上により、製造ロスPWの金額は、計量ミスの金額M1およびフィルムロスFWの金額の小計(M11+M12)が加算された金額となり、製造ロスPWの二酸化炭素排出量の小計は、計量ミスの二酸化炭素排出量K1およびフィルムロスFWの二酸化炭素排出量の小計(K11+K12)が加算された排出量となる。
【0049】
なお、コントローラ300の制御部301は、フィルムの取換え作業において生じるフィルム損失、試運転時におけるフィルム調整に係るフィルム量、シール不良によるフィルム量も加算し、フィルムロスFWとして換算してもよい。
【0050】
また、ここで、商品マスタデータベース311に記載された単価とは、例えば、製造工場においてのみ発生する物品の単価であるため、本来であれば、二酸化炭素を含む温室効果ガスは、それだけにとどまらない。そのため、入力部303を操作し、物品の生産に係るコスト、例えば、物品を製造工場まで運搬する際にかかる費用、物品を調理する際に使用する設備機器(フライヤなど)、調味料等、さらにはフィルムを製造し運搬する費用等を入力し、製造ロスPWおよびフィルムロスFWに加算してもよい。
【0051】
また、コントローラ300の制御部301は、記録部310に記録された金額換算率データ313を用いて各アクチュエータから受け取った消費電力量およびエア使用量を個々に計算し、総合消費電力量およびコストを算出し、さらにそれらを合算して、一般的な総合電力コストに換算する。同時に、コントローラ300の制御部301は、オーバスケール、零点、フィルム交換、フィルム調整、シール不良の発生した状態において費やした不良品消費電力量を不良品電力コストとして算出する。
【0052】
具体的には、ヒータ122の消費電力量、バキュームポンプ121の消費電力量、サーボモータ123の消費電力量、外部からのエア消費量等がある。
各種の消費電力量は、上述した電力メータ131,132,133により計測することができ、エア消費量は、流量計から計測することができる。
【0053】
ここで、ヒータ122の消費電力量については、計測された消費電力量PP1に金額換算率データ313に記録された電力単価CC1を積算し、ヒータ122の消費ロス金額MP1を算出する(消費電力量PP1×電力単価CC1=ロス金額MP1)。同様に、バキュームポンプ121の消費電力量については、計測された消費電力PP2に金額換算率データ313に記録された電力単価CC1を積算し、バキュームポンプ121の消費ロス金額MP2を算出し(消費電力量PP2×電力単価CC1=ロス金額MP2)、サーボモータ123の消費電力量については、計測された消費電力量PP3に金額換算率データ313に記録された電力単価CC1を積算し、サーボモータ123の消費ロス金額MP3を算出する(消費電力量PP3×電力単価CC1=ロス金額MP3)。
また、外部からのエア消費量については、計測された流量PF4に流量単価CC2を積算し、エア消費量のロス金額MP4を算出する(流量PF4×流量単価CC2=ロス金額MP4)。
【0054】
さらに、ヒータ122の消費電力量については、計測された消費電力量PP1に当該温室効果ガス換算率データ312に記録された二酸化炭素排出量に換算する係数KK21を積算し、消費ロスの二酸化炭素排出量K21を算出する(消費電力量PP1×係数KK21=二酸化炭素排出量K21)。同様に、バキュームポンプ121の消費電力量については、計測された消費電力量PP2に当該温室効果ガス換算率データ312に記録された二酸化炭素排出量に換算する係数KK21を積算し、消費ロスの二酸化炭素排出量K22を算出し(消費電力量PP2×係数KK21=二酸化炭素排出量K22)、サーボモータ123の消費電力量については、計測された消費電力量PP3に当該温室効果ガス換算率データ312に記録された二酸化炭素排出量に換算する係数KK21を積算し、消費ロスの二酸化炭素排出量K23を算出する(消費電力量PP3×係数KK21=二酸化炭素排出量K23)。
【0055】
また、外部からのエア消費量については、計測された流量PF4に当該温室効果ガス換算率データ312に記録された二酸化炭素排出量に換算する係数KK22を積算し、エア消費量の二酸化炭素排出量K24を算出する(流量PF4×係数KK22=二酸化炭素排出量K24)。
【0056】
以上により、消費電力量の小計は、ヒータ122の消費ロス金額MP1、バキュームポンプ121の消費ロス金額MP2、サーボモータ123の消費ロス金額MP3およびロス金額MP4を積算し、不良品電力コストMP(MP1+MP2+MP3+MP4)として算出される。また、消費電力量における二酸化炭素の排出量の小計は、ヒータ122の二酸化炭素排出量K21、バキュームポンプ121の二酸化炭素排出量K22、サーボモータ123の二酸化炭素排出量K23およびエア消費量の二酸化炭素排出量K24を積算し、不良品二酸化炭素排出量KP(K21+K22+K23+K24)として算出される。
【0057】
また、コントローラ300の制御部301は、総合二酸化炭素の排出量に対して、費用換算率データ314を用いて二酸化炭素の排出量を売買して取引される費用に換算する。以下に上記の換算結果をコントローラ300の表示部305に表示する例について具体的に説明を行う。
【0058】
図4は、コントローラ300における表示部305の一例を示す模式図である。
【0059】
まず、図4に示すように、コントローラ300の制御部301は、表示部305に商品マスタデータベース311に記載された商品マスタの情報320を含む表示305aを表示させる。
【0060】
また、表示305aには、総合電力コスト321、総合消費電力量322、温室効果ガスである総合二酸化炭素の排出量323が表示される。
【0061】
すなわち、総合電力コスト321は、商品の生産(良品および不良品を含む)に費やした合計の電力コストを示し、総合消費電力量322は、商品の生産(良品および不良品を含む)に費やした合計の消費電力量を示し、温室効果ガスである総合二酸化炭素の排出量323は、商品の生産(良品および不良品を含む)に費やした合計の二酸化炭素の排出量を示す。
【0062】
ここで、総合消費電力量322は、制御部301において集計された電力量の積算値(積算電力量)であり、総合電力コスト321は、制御部301において集計された総合消費電力量322に金額換算率データ313に記録された電気代の単価を積算したもの(総合電力コスト321=総合消費電力量322×電気代単価)であり、二酸化炭素の排出量323は、総合消費電力量322に温室効果ガス換算率データ312に記録された二酸化炭素排出係数を積算したもの(二酸化炭素の排出量323=総合消費電力量322×二酸化炭素排出係数)である。
【0063】
さらに、表示305aには、製造ロスPW330およびフィルムFのフィルムロスFW331が円グラフを用いて表示され、かつ製造ロスPW332およびフィルムFのフィルムロスFW333が数値で表示される。これらの製造ロスPW330,332は、全体における製造ロスPWの小計(M1)の割合を示したものであり、フィルムロスFW331,333は、全体におけるフィルムロスFWの金額の小計(M11+M12)の割合を示したものである。
【0064】
ここで、表示305aの製造ロスPW330、332においては、製造ロスPWが0%と表示されており、物品の損失が0%であることを示している。一方、フィルムロスFW331においては、フィルムロスFWが5%と表示されている。そして、A(フィルム交換)において全体の2%の損失があり、B(試運転におけるフィルム調整)において全体の1%の損失があり、C(シール不良)において全体の2%の損失があることを示している。
【0065】
続いて、表示305aには、不良品電力コスト341、不良品消費電力量342、不良品二酸化炭素の排出量343が数値で表示される。
【0066】
ここで、不良品消費電力量342は、制御部301において集計された無駄に使ったと判定された電力量の積算値(積算電力量)であり、不良品電力コスト341は、制御部301において集計された不良品消費電力量342に金額換算率データ313に記録された電気代の単価を積算したもの(不良品電力コスト341=不良品消費電力量342×電気代の単価)を示したものである。また、M1+M11+M12+MPを表示してもよい。
【0067】
また、不良品二酸化炭素の排出量343は、不良品消費電力量342に温室効果ガス換算率データ312に記録された二酸化炭素排出係数を積算したもの(不良品二酸化炭素の排出量343=不良品消費電力量342×二酸化炭素排出係数)または、(K1+K11+K12+KP)を示したものである。なお、KP=K21+K22+K23+K24である。
【0068】
その結果、管理者は、表示305aを確認することにより、製造工程において製造ロスPWおよびフィルムロスFWの生じた割合、および不良品電力コスト、不良品消費電力量、不良品二酸化炭素の排出量に換算した場合の値を認識することができる。また、商品の生産に費やされた総合電力コスト、総合消費電力量、総合二酸化炭素の排出量に換算した場合の値を認識することができる。
【0069】
なお、本実施の形態においては、図4に示すように、不良品に関する総合の金額(M1+M11+M12+MP)および不良品に関する総合の二酸化炭素排出量(K1+K11+K12+KP)を数値で表示することとしたが、これに限定されず、金額M1のみ、金額M11のみ、金額M12のみ、金額MPのみ、またはそれらの複数の組合せの数値表示、全体に対する割合表示、同様に、金額K1のみ、金額K11のみ、金額K12のみ、金額KPのみ、またはそれらの複数の組合せの数値表示、全体に対する割合表示を表示305aに表示させてもよい。
【0070】
続いて、図5は、コントローラ300における表示部305の他の例を示す模式図である。なお、図5は、総合消費電力量を制御部301および制御部120の少なくとも一方により制御する前後の状態を示す図である。図5においては、縦軸が消費電力量を示し、横軸が時間を示す。
【0071】
このように、図5の表示部305の表示305bにおいては、製袋包装装置100における消費電力量、特に電力メータ131から得られたバキュームポンプ121の消費電力量、電力メータ132から得られたヒータ122の消費電力量、電力メータ133から得られたサーボモータ123の消費電力量の変化が表示される。
【0072】
この場合、制御部301および制御部120の少なくとも一方により、総合消費電力量を下げるよう、バキュームポンプ121の駆動の立ち上がりを早くし、サーボモータ123の駆動の立ち上がりを遅く制御する。それにより、総合消費電力量(MAXα)が制御後の総合消費電力量(C−MAXβ)まで下げることができ、製袋包装装置100内部における許容電力を低下させることができる。その結果、許容電力の低い低価格の部品を用いることができ、コストダウンを図ることができる。
【0073】
また、総合消費電力量を制御することにより、電力会社との契約電力を下げることができ、コストダウンを図ることもできる。
【0074】
次に、図6および図7は、コントローラ300における表示部305の他の例を示す模式図である。図6においては、縦軸が電力コストを示し、横軸が時間を示す。さらに、図7においては、縦軸が二酸化炭素の排出量を示し、横軸が時間を示す。
【0075】
図6に示すように、制御部301は、記録部310に記録された電力コストを用いて表示部305に表示305cを表示させる。
【0076】
ここで、表示部305の表示305cには、バキュームポンプ121の電力コストの変化、ヒータ122の電力コストの変化、サーボモータ123の電力コストの変化、および製袋包装装置100の電力コストの変化が表示される。
【0077】
さらに図7に示すように、制御部301は、記録部に記録された二酸化炭素の排出量を用いて表示部305に表示305dを表示させる。
【0078】
ここで、表示部305の表示305dには、バキュームポンプ121の二酸化炭素の排出量、ヒータ122の二酸化炭素の排出量、サーボモータ123の二酸化炭素の排出量、および製袋包装装置100の二酸化炭素の排出量の変化が表示される。
【0079】
管理者は、表示305c,305dを確認することにより、製袋包装装置100における消費電力量、電力コスト、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量のそれぞれの単位において消費している状況を認識することができる。
【0080】
続いて、図8は、二酸化炭素の排出量に関する目標値および実績の例を示す模式図である。図8の縦軸は二酸化炭素の排出量を示し、横軸は月を示す。
【0081】
図8に示すように、制御部301は、記録部310に記録された二酸化炭素の排出量を用いて表示部305に表示305eを表示させる。
【0082】
ここで、表示部305の表示305eには、月毎の二酸化炭素の排出量が表示され、昨年度の実績(LAST YEAR)および今年の目標値ライン(TARGET)が表示され、さらに、今年度における実績の割合が90%であることが表示される。
【0083】
また、コントローラ300の制御部301は、記録部310に記録された費用換算率データ314を用いて制御目標値90%の達成時における残りの10%の二酸化炭素排出量の売買価格を500ユーロと表示する。
【0084】
管理者は、表示305eを確認することにより、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を低減する目標を高く維持することができ、製袋包装装置100における歩留まり向上の指示を行うことができる。
【0085】
以上のように、本発明に係る製袋包装装置100用データ換算装置においては、消費電力量、電力コスト、二酸化炭素の排出量等の複数の単位を統一された単位で表示することができる。
【0086】
また、記録部310により履歴が記録されるので、消費電力量、電力コスト、二酸化炭素の排出量および金額の変動を表示することができる。さらに、入力部303を使用することにより製袋包装装置100以外の要因も含めて、累積された二酸化炭素の排出量、または金額等のエネルギー損失を勘案し、表示部305に表示させることができる。その結果、製袋包装装置100におけるバキュームポンプ121、ヒータ122、サーボモータ123のいずれの装置において二酸化炭素の排出量または金額が増加しているかを表示させることができる。
【0087】
また、記録部310に各種商品処理装置の運転条件を記録することにより、二酸化炭素の排出量の変化を運転条件にあわせて、比較することができる。また、いずれの工程で不良品が発生して歩留まりを下げることとなっているか原因特定が容易であるため、歩留まり向上対策を容易に行うことができる。
【0088】
また、二酸化炭素の排出量に関して目標値を下回った場合、または、二酸化炭素の排出量を削減できた場合、排出量削減分を売買することができる。その結果、地球環境に優しく、かつコスト低減を実現することができる。
【0089】
以上により、管理者に製造ロスPW、フィルムロスFWおよび消費電力量、エア使用量、二酸化炭素の排出量等を、容易に好みの単位、すなわち、金額の単位か、二酸化炭素の排出量の単位(kg-CO2)の単位等のうち決まった一つの単位で、全ての消費エネルギー、またはロスが生じている分の消費エネルギーを表示させて認識することができ、さらには、当該消費エネルギーの変動を把握することができる。
【0090】
<請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係>
上記実施形態においては、バキュームポンプ121、ヒータ122、サーボモータ123がアクチュエータに相当し、製造ロスPWおよびフィルムロスFWが生産損失に相当し、制御部120が第1検知部に相当し、消費電力エネルギーおよびエア使用量が稼動エネルギーに相当し、電力メータ131,132,133が第2検知部でかつ接触方式に相当し、電力メータ131a,132a,133aが第2検知部でかつ非接触方式に相当し、制御部301が換算部に相当し、表示部305が表示部に相当し、コントローラ300、制御部120、電力メータ131,132,133が包装装置用データ換算装置に相当し、記録部310が記録部に相当し、費用換算率データ314が温室効果ガスの取引率に相当する。
【0091】
<他の例>
図9は、図2に示した製造包装装置100のアクチュエータの他の例を示す模式図である。
【0092】
図9に示すように、製袋包装装置100aは、制御部120と、主にバキュームポンプ121、ヒータ122、サーボモータ123のアクチュエータとを含む。また、製袋包装装置100aは、エア機器134を含む。制御部120は、バキュームポンプ121、ヒータ122、サーボモータ123および各種のエア機器134の各アクチュエータの動作を制御する。
【0093】
図9の電力メータ131aは、バキュームポンプ121と非接触方式で消費電量を検知する。また、電力メータ132aは、ヒータ122と非接触方式で消費電量を検知する。さらに、電力メータ133aは、サーボモータ123と非接触方式で消費電量を検知する。具体的には、電力メータ131a,132a,133aとして非接触のクランプ電力計等を使用することができる。さらに、外部から供給されるエア供給箇所に設けられた流量センサ135aを用いてエア使用量を検知する。
【0094】
この場合、既に設置されている製袋包装装置100aに対しても、本発明に係る包装装置用データ換算装置を追加して使用することができる。また、流量センサ135aについては、外部からのエア供給箇所に設けられるので、既設機器への改造を行うことなく、外部からのエア供給箇所に容易に取り付けることができる。
【0095】
なお、上記の実施の形態においては、温室効果ガスの一例として二酸化炭素について説明を行ったが、他の温室効果ガス、メタン、亜酸化窒素、六フッ化硫黄等、他の温室効果ガスについて適用することができる。
【0096】
さらに、本発明の好ましい実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の主旨と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0097】
100 製袋包装装置
121 バキュームポンプ
122 ヒータ
123 サーボモータ
131 流量センサ
132,133 電力メータ
300 コントローラ
301 制御部
305 表示部
310 記録部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装装置における複数のアクチュエータの生産損失を検知する第1検知部と、
前記複数のアクチュエータの稼動エネルギーを検知する第2検知部と、
前記第1検知部および前記第2検知部により検知された検知結果を温室効果ガスの排出量または金額に換算して換算結果とする換算部と、
前記第1検知部および前記第2検知部により検知された結果と、前記換算部により換算された換算結果とを合せて表示する表示部とを含むことを特徴とする包装装置用データ換算装置。
【請求項2】
記録部をさらに備え、
前記記録部は、前記換算部により換算された換算結果の履歴を記録し、
前記表示部は、前記記録部に記録された換算結果を表示することを特徴とする請求項1記載の包装装置用データ換算装置。
【請求項3】
前記複数のアクチュエータで使用する部材および原料に対する生産エネルギー消費量および運搬エネルギー消費量を前記記録部に入力する入力部をさらに備え、
前記換算部は、前記生産エネルギー消費量および運搬エネルギー消費量を前記温室効果ガスの排出量または金額に換算することを特徴とする請求項1または2に記載の包装装置用データ換算装置。
【請求項4】
前記記録部は、前記複数のアクチュエータの運転条件を記録することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の包装装置用データ換算装置。
【請求項5】
前記換算部は、前記複数のアクチュエータ毎に換算結果を算出し、
前記表示部は、前記複数のアクチュエータ毎に前記換算結果を表示することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の包装装置用データ換算装置。
【請求項6】
前記換算部は、前記温室効果ガスの排出量を当該温室効果ガスの取引率で換算した金額を前記換算結果として算出し、
前記表示部は、当該換算結果を表示することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の包装装置用データ換算装置。
【請求項7】
前記第2検知部は、非接触方式により前記複数のアクチュエータの稼動エネルギーを検知することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の包装装置用データ換算装置。
【請求項8】
前記第2検知部は、接触方式により前記複数のアクチュエータの稼動エネルギーを検知することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の包装装置用データ換算装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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