説明

化学プロセスにおける制御方法および化学プロセスを制御するためのプログラム

【課題】原料を反応器内での存在量が所定の範囲となるように継続的に供給しながら、触媒を添加することで反応を進行させる化学プロセスにおいて、何らかの外乱により触媒の性能が変化した場合であっても、安定した制御を行なうことが可能な化学プロセスにおける制御方法および化学プロセスを制御するためのプログラムを提供する。
【解決手段】ステップS120では、触媒の追加投入条件が成立しているか否かが判断される。触媒の追加投入条件が成立していると判断された場合には、2回目以降の触媒の投入を行なう(ステップS122)。2回目以降の触媒は、評価された触媒活性比scaleの値に応じて決定される投入量xで、必要期間(たとえば、0.5hr)にわたって投入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、化学プロセスにおける制御方法および化学プロセスを制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原料を反応器内での存在量が所定の範囲となるように継続的に供給しながら、触媒を添加することで反応を進行させる化学プロセスが知られている。一般に、反応器に供給された触媒はある一定の速度で失活し、反応器内の有効触媒(失活していない触媒)の量は時間の経過とともに減少するため、適宜追加投入する必要があり、このような化学プロセスでは、反応器に投入する触媒の量を適切に調整することで、反応速度が制御される。
【0003】
この反応速度は、主として、反応器の周囲に設けられた温度制御(除熱または加熱)装置の性能を考慮してその範囲が決定される。より具体的には、反応によって生じる熱(発熱または吸熱)により反応器内の温度が変化した場合であっても、当該温度を一定の温度範囲に制御できるように反応速度は制限される。すなわち、投入する触媒の量は、この反応速度が適切な範囲に制御可能なようにその上限値を算出した上で、この上限値を超えないような投入計画として予め決定される。これは、運転の安定化および生成される製品品質の維持を図るためである。
【0004】
このように反応の進行に伴って生じる熱の大きさに応じて、反応速度を制御する方法がいくつか提案されている。
【0005】
たとえば、特開2001−294603号公報(特許文献1)には、モノマー、触媒及び乳化剤の連続投入開始時点から一定時間経過後にその時点の反応熱を計測し、その反応熱から製品ポリマーの粒径を予測した上で、製品ポリマーの予測粒径が所定の範囲内にない場合には、ポリマー、触媒及び乳化剤の投入量を調整して、製品ポリマーの最終粒径を目標値に近づける、ポリマー粒子の製造方法が開示されている。
【0006】
また、特開2004−283780号公報(特許文献2)には、化学プロセスの反応温度制御で反応器の温度と、原料または触媒の反応熱に影響するデータを有する外乱データベースからのデータとに基づいて、ジャケットの温度補正量を算出する演算手段と、操作手順制御の実行の有無、該反応器の内部圧力を計測した圧力値及び温度に基づいて該ジャケットの温度補正の要否を判定する判定手段と、判定手段で該温度補正を必要と判断した場合に温度補正量により補正する補正手段を備える、化学プロセスの反応温度制御装置が開示されている。
【0007】
また、特表2007−522311号公報(特許文献3)には、バッファータンクから反応装置へ触媒スラリーを供給するために各管路にポンプ手段を設け、反応装置中の反応物質の濃度の関数で触媒の流量を調整することが開示されている。
【特許文献1】特開2001−294603号公報
【特許文献2】特開2004−283780号公報
【特許文献3】特表2007−522311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、何らかの外乱によって投入する触媒の性能、代表的に触媒活性が変化すると、予め決定された投入計画に従って触媒を投入しても、所望の反応速度を維持することができないという課題がある。例えば、投入する触媒の触媒活性が計画値より低い側に変動した場合には、反応終了までの所要時間が長くなり、その結果、生産性が低下するという課題を生じる。一方、投入する触媒の触媒活性が計画値より高い側に変動した場合には、反応によって生じる熱が大きくなり、反応器の温度制御が不安定化し、その結果、製品品質が低下するという課題を生じる。
【0009】
これらの課題は、原料を反応器内での存在量が所定の範囲となるように継続的に供給しながら、触媒を添加することで反応を進行させる化学プロセスにおける反応速度が、反応器内の有効触媒量と触媒活性の積に比例することを考慮していないことに起因する。すなわち、触媒の性能が変化した場合には、投入する触媒の性能を適切に評価した上で、予め決定された投入計画を見直す必要がある。
【0010】
上述した特許文献1〜3は、いずれもこのような課題を解決するものではない。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、原料を反応器内での存在量が所定の範囲となるように継続的に供給しながら、触媒を添加することで反応を進行させる化学プロセスにおいて、何らかの外乱により触媒の性能が変化した場合であっても、安定した制御を行なうことが可能な化学プロセスにおける制御方法および化学プロセスを制御するためのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明のある局面によれば、反応器内での存在量が所定の範囲となるように第1原料を供給する原料供給手段と、第1原料と反応器内に予め仕込まれている第2原料との化学反応を促進するための触媒を投入する触媒投入手段とを含む化学プロセスにおける制御方法を提供する。化学プロセスにおける制御方法は、処理開始後に所定量の触媒を投入するステップと、触媒の投入後における第1原料の供給累積値の時間的変化に基づいて、触媒の触媒活性を評価するステップと、反応器内の温度および第1原料の供給量に基づいて、触媒の追加投入の条件が成立しているか否かを判断するステップと、追加投入の条件が成立している場合に、評価した触媒の性能に応じた量の触媒を追加投入するステップとを含む。触媒を追加投入するステップでは、触媒活性を示す値に応じて、追加投入する触媒の量を決定する。
【0012】
好ましくは、化学プロセスにおける制御方法は、触媒を追加投入するステップの実行後に所定期間だけ待機し、触媒の追加投入の条件が成立しているか否かを再度判断するステップをさらに含む。ここで、待機する所定期間は、触媒活性を示す値に応じて決定される。
【0013】
好ましくは、触媒の追加投入の条件が成立しているか否かを判断するステップは、反応器内の温度が所定のしきい温度以下であるか否かを判断するステップと、第1原料の供給量が所定のしきい量以下であるか否かを判断するステップとを含み、反応器内の温度が所定のしきい温度以下であり、かつ第1原料の供給量が所定のしきい量以下である場合に、触媒の追加投入の条件が成立していると判断される。
【0014】
好ましくは、触媒の触媒活性を評価するステップは、処理開始後に触媒が最初に投入されてから第1原料の供給累積値が所定のしきい累積値に到達するまでに要した時間を触媒の反応誘導時間として算出するステップと、第1原料の供給累積値が所定のしきい累積値に到達した後から規定期間が経過した時点における第1原料の供給累積値を、標準累積値で除算して触媒の触媒活性比として算出するステップとを含む。
【0015】
この発明の別の局面によれば、反応器内での存在量が所定の範囲となるように第1原料を供給する原料供給手段と、第1原料と反応器内に予め仕込まれている第2原料との化学反応を促進するための触媒を投入する触媒投入手段とを含む化学プロセスを制御するためのプログラムを提供する。プログラムは、処理開始後に所定量の触媒を投入する手段と、触媒の投入後における第1原料の供給累積値の時間的変化に基づいて、触媒の触媒活性を評価する手段と、反応器内の温度および第1原料の供給量に基づいて、触媒の追加投入の条件が成立しているか否かを判断する手段と、追加投入の条件が成立している場合に、評価した触媒の性能に応じた量の触媒を追加投入する手段としてコンピュータを機能させる。ここで、触媒を追加投入する手段は、触媒活性を示す値に応じて、追加投入する触媒の量を決定する。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、原料を反応器内での存在量が所定の範囲となるように継続的に供給しながら、触媒を添加することで反応を進行させる化学プロセスにおいて、何らかの外乱により投入する触媒の性能が変化した場合であっても、安定した制御を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
<対象プロセス>
図1は、本発明の実施の形態に従う化学プロセスを処理するためのシステムSYSの概略構成図である。
【0019】
図1を参照して、本実施の形態に従うシステムSYSは、反応器2を含み、この反応器2においてセミバッチ方式の化学プロセスを処理する。処理開始前において、反応器2内には、溶媒中に溶解している仕込み原料が規定量だけ予め仕込まれている(液相LP)とともに、気相の原料1がその圧力が一定となるように充填されている(気相GP)ものとする。また、セミバッチ処理中には、触媒が反応器2内に適宜投入される。
【0020】
この化学プロセスでは、気相の原料1(気相GP)がその分圧に応じて溶媒(液相LP)に吸収される。液相LPに吸収された原料1は、反応器2内に存在する有効触媒の量と触媒活性の積に応じた反応速度で仕込み原料と反応し、溶媒中に製品が生成される。この製品の生成に伴って、原料1は、この製品の量に見合う量だけ液相LPに吸収されることになる。この原料1の液相LPへの吸収に伴って、原料1の圧力が低下するが、後述するように原料1はその圧力が一定となるように供給量(供給速度)を制御されるので、原料1は生成される製品に見合う供給速度で反応器2に継続的に供給され、反応器内における原料1の存在量は所定の範囲に調整されることになる。すなわち、原料1として気相の物質を用いる場合には、その反応器2内での存在量を所定の範囲に調整するために、圧力制御を行なう。なお、原料1として液相の物質を用いる場合には、圧力制御に代えて、別の制御方法を採用してもよい。
【0021】
このように、本実施の形態に従うシステムSYSは、反応器2に原料の一部を継続的に供給しながら、触媒を添加することで反応を進行させるセミバッチ方式の化学プロセスである。なお、反応器2には、原料1と仕込み原料との反応を促進させ、また生成された製品を均一化する目的で、液相LPを攪拌するためのインペラ4が挿入されている。
【0022】
反応器2には、供給ライン12を通じて気相の原料1が供給可能に構成される。この供給ライン12の経路上には、流調弁10および流量計56が設けられる。流調弁10は、圧力コントローラ16によってその開度(原料1の流量)を制御される。圧力コントローラ16は、代表的にPID調節計であり、反応器2内に設けられた圧力センサ14で検出される反応器内圧力検出値が予め設定される反応器内圧力目標値と一致するように、流調弁10に対して開度指令を与える。すなわち、圧力コントローラ16は、反応器2内の圧力についてのフィードバック制御を行う。この圧力コントローラ16の制御動作によって、反応器2内の原料1の圧力はほぼ一定に維持される。
【0023】
さらに、反応器2には、供給ライン20を通じて不活性ガスが供給可能に構成され、供給ライン24を通じて仕込み原料が供給可能に構成される。また、供給ライン20および24の経路上には、それぞれ開閉弁18および22が設けられる。
【0024】
さらに、反応器2の周囲には、反応器2内の温度制御を行うためのジャケット6が設けられており、このジャケット6の内部には、反応器2を除熱するための冷媒、または反応器2を加熱するための熱媒(これらを総称して、「冷熱媒」とも称す。)がポンプ40により供給される。すなわち、冷熱媒を反応器2の周囲に供給することで、反応器2内の温度が適切に制御される。
【0025】
ポンプ40には、流調弁30を介して冷媒が供給可能に構成されるとともに、流調弁32を介して熱媒が供給可能に構成される。これらの流調弁30および32の出側は、ジャケット6から戻された冷熱媒の戻りライン54と合流しており、これらの合流点とポンプ40の入側とは供給ライン38を介して接続される。
【0026】
このようなライン構成を採用することで、ジャケット6において反応器2の温度制御に用いられた後の冷熱媒に、必要な冷媒または熱媒を供給することで、反応器2に対する温度制御に適した温度の冷熱媒を再生することができる。
【0027】
より具体的には、このような冷熱媒の温度制御は、第1温度コントローラ26および第2温度コントローラ28によるいわゆるカスケード制御によって実現される。第1温度コントローラ26は、代表的にPID調節計であり、予め設定される反応器内温度目標値に対する反応器2内に設けられた温度センサ60で検出される反応器内温度検出値の偏差に応じた制御出力を、第2温度コントローラ28へ出力する。第2温度コントローラ28は、第1温度コントローラ26からの制御出力を自身の制御目標値として扱い、供給ライン38の経路上に設けられた温度センサ36で検出される冷熱媒温度検出値がこの制御目標値と一致するように、流調弁30または32に対して開度指令を与える。この温度コントローラ26および28の制御動作によって、反応器2内の温度が温度目標値となるように、適切な温度の冷熱媒がジャケット6に供給される。
【0028】
さらに、反応器2には、投入ライン50を通じて触媒が投入可能に構成される。この投入ライン50の経路上には、流調弁52および流量計58が設けられる。流調弁52は、後述する触媒投入コントローラによってその開度(触媒の投入量)を制御される。
【0029】
さらに、反応器2の底部8には、液相LP内に生成される製品を取り出すための製品ライン42が接続されている。また、製品ライン42の経路上には、開閉弁44が設けられる。
【0030】
さらに、反応器2の上部には、反応器2内の気体を排出するためのベントライン46が接続されている。また、ベントライン46の経路上には、開閉弁48が設けられている。
【0031】
<触媒の触媒活性に応じた投入量の制御>
一般的に、反応期間の全体に亘って、反応速度を一定に維持するように触媒を投入することが好ましい。本発明に関連する制御方法では、触媒の性能(触媒活性)が予め定められた標準値であることを前提とする投入計画に従って、触媒の投入量および投入タイミングが定められていた。そのため、触媒の触媒活性が何らかの外乱(代表的に、環境温度や溶媒中の不純物の量など)によって変化し、当該標準値から大きく外れてしまった場合には、同じ投入計画に従って触媒を投入したとしても、反応器2で生じる反応速度は大きく異なったものとなってしまう。
【0032】
そこで、本実施の形態に従う制御方法では、処理開始後の触媒の初回投入時に、対象の触媒の触媒活性を評価し、この評価した触媒活性に基づいて、触媒の投入量および投入タイミングを適切に制御する。このような処理によって、触媒の触媒活性が何らかの外乱により変化した場合であっても、反応を安定化させることができる。以下、触媒活性を評価する処理について説明する。
【0033】
本実施の形態に従う制御方法では、触媒活性を示す値として、反応誘導時間dTおよび触媒活性比scaleという2つのパラメータを考える。
【0034】
反応誘導時間dTは、触媒の最初の投入開始から、実質的な反応が始まるまでに要する時間を意味する。投入された触媒は、その触媒活性の度合いが高いほど、原料1と仕込み原料との反応を短時間で開始させる。そのため、この反応誘導時間dTが小さいほど、触媒の触媒活性が高いと評価できる。
【0035】
触媒活性比scaleは、原料1と仕込み原料との間で実質的な反応が開始した後、規定期間内にどの程度の量の製品が生成されたか、言い換えれば、規定期間内に原料1がどの程度供給されたかを、標準の触媒における原料1の供給累積量を基準に評価したものである。この触媒活性比scaleは、標準の触媒における触媒活性に比較して、対象の触媒の触媒活性がどの程度変化しているかを評価できる。
【0036】
図2は、この発明の実施の形態に従う触媒活性の評価手順を説明するための図である。図2には、図1に示すシステムSYSにおいて、触媒の最初の投入前後における原料1の供給累積値の時間的変化が示される。
【0037】
図2を参照して、時刻T1において処理が開始、すなわち触媒の投入が開始されたとする。触媒の投入によって、原料1と仕込み原料とは徐々に反応が進行し始める。そして、この反応による生成物(製品)の増加にほぼ比例して、原料1の供給累積値も増加する。そして、この原料1の供給累積値が所定のしきい累積値Th1に到達した時点(時刻T2)で、原料1と仕込み原料との実質的な反応が開始したと判断する。すなわち、時刻T1から時刻T2までの時間Tが、対象の触媒の反応誘導時間dTに比例することになる。
【0038】
時刻T2以降、原料1と仕込み原料との反応に伴って、原料1の供給累積値は増加し続ける。そして、この時刻T2から規定期間経過後(時刻T3)の原料1の供給累積値Sが取得される。この時刻T3における原料1の供給累積値は、対象の触媒の触媒活性比scaleに比例することになる。
【0039】
このように、処理開始後の触媒の初回投入後における原料1の供給累積値の時間的変化に基づいて、触媒の触媒活性を評価することができる。
【0040】
パイロットデータを用いて上述の関係を検証した結果を図3および図4に示す。
図3は、触媒投入開始から原料1の供給累積値が所定のしきい累積値に到達するまでに要した時間Tと既知の反応誘導時間dTとの関係をプロットした図である。図4は、反応開始から規定期間が経過するまでの間に供給された原料1の供給累積値と既知の触媒活性比との関係をプロットした図である。
【0041】
図3に示すように、触媒の反応誘導時間dTは、触媒投入開始から原料1の供給累積値が所定のしきい累積値に到達するまでに要した時間Tと強い比例関係にあることが分かる。また、図4に示すように、触媒の触媒活性は、反応開始から規定期間が経過するまでの間に供給された原料1の供給累積値と強い比例関係にあることが分かる。
【0042】
<処理手順>
以下、図5を用いて、触媒の触媒活性(反応誘導時間dTおよび触媒活性比scale)を評価した上で、化学プロセスの制御を行なうための処理手順について説明する。
【0043】
図5は、この発明の実施の形態に従う化学プロセスの制御に係る処理手順を示すフローチャートである。なお、図5に示すフローチャートの開始前の前提として、反応器2(図1)内には、溶媒中に溶解された仕込み原料が規定量だけ仕込まれているとともに、気体の原料1がその圧力が一定となるように充填されているものとする。
【0044】
図5を参照して、操業開始の指令が与えられると、流調弁52(図1)が開けられて、投入ライン50(図1)を通じて反応器2への触媒の投入が開始される(ステップS100)。なお、触媒の投入は継続的に行なわれるので、たとえば、5kgの触媒を投入する場合には、流調弁52の開度が規定の投入速度(たとえば、10kg/hr)となるように必要期間(たとえば、0.5hr)にわたって指令が与えられる。触媒の規定量の投入が完了すると、後述する触媒活性の評価が完了するまで、所定期間(たとえば、0.5hr)だけ待機する(ステップS102)。この待機後、処理はステップS120へ進む。
【0045】
一方、この触媒の投入開始と並行して、原料1の供給累積値のカウンタがゼロリセットされた上で、供給ライン12(図1)を通じて反応器2内に供給される原料1の供給量の累積が開始される(ステップS110)。
【0046】
続いて、触媒の反応誘導時間dTの評価が行なわれる。具体的には、順次算出される原料1の供給累積値がしきい累積値Th1(たとえば、0.5kg)に到達したか否かが判断される(ステップS112)。算出される原料1の供給累積値が所定のしきい累積値Th1に到達したと判断された場合(ステップS112においてYESの場合)には、処理の開始指令が与えられてから現時点までの経過時間を触媒の反応誘導時間dTとして算出する(ステップS114)。
【0047】
さらに続いて、触媒活性比scaleの評価が行なわれる。具体的には、規定期間(たとえば、0.25hr)だけ待機(ステップS116)し、その直後における原料1の供給累積値を取得し、この取得した供給累積値を標準累積値で除算した結果を、触媒の触媒活性比scaleとして算出する(ステップS118)。なお、この待機中にも、原料1の供給量の累積は継続している。その後、処理はステップS120へ進む。
【0048】
ステップS120では、2回目以降の触媒の投入条件(触媒の追加投入条件)が成立しているか否かが判断される。具体的には、反応器内温度検出値が所定のしきい温度(たとえば、50.1℃)以下であるか否か(ステップS120a)、および原料1の供給量が所定のしきい量(たとえば、24kg/hr)以下であるか否か(ステップS120b)が判断される。そして、これらの条件がいずれも満足された場合、すなわち反応器内温度検出値が所定のしきい温度以下であり、かつ原料1の供給量が所定のしきい量以下である場合に、2回目以降の触媒の投入条件が成立していると判断される。
【0049】
これは、原料1と仕込み原料との反応によって生じる熱により反応器2内の温度は外乱を受けるが、反応器内温度検出値が所定のしきい温度以下であることは、この外乱の影響を受けることなく、反応器2内の温度制御が適切に実行されているとみなすことができる。また、原料1の供給量は反応器2内での反応速度に応じたものとなるので、原料1の供給量が所定のしきい量以下であることは、反応器2内での反応速度が低下しているとみなすことができる。したがって、上述のような条件を設定することで、反応器2内の温度制御が適切に実行されており、かつ反応器2内での反応速度が低下している場合に限って、2回目以降の触媒の投入(追加投入)を許可する。
【0050】
この2回目以降の触媒の投入を許可する条件の成立タイミングは、触媒の触媒活性に応じて変動する。言い換えれば、ステップS120に示すような条件を設定することで、触媒活性が何らかの外乱により変化した場合であっても、反応を安定的に制御することができる。
【0051】
2回目以降の触媒の投入条件が成立していると判断された場合(ステップS120においてYESの場合)には、2回目以降の触媒の投入を行なう(ステップS122)。ここで、2回目以降の触媒は、評価された触媒活性比scaleの値に応じて決定される投入量xで、必要期間(たとえば、0.5hr)にわたって投入される。具体的には、標準の触媒活性をもつ場合の投入量(標準値)をbaseとすると、2回目以降の触媒の投入量xは、以下のような数式で算出される。
【0052】
投入量x=投入量(標準値)base/触媒活性比scale
このように、2回目以降の触媒の投入量を触媒活性比scaleに応じて変化させることで、触媒活性が何らかの外乱により変化した場合であっても、反応を安定的に制御することができる。
【0053】
この触媒の投入完了後、反応器2内での反応が進行するまで、反応誘導時間dTに応じた期間だけ待機する(ステップS124)。これは、投入された触媒によって引き起こされた反応が継続している間は、次の触媒の投入を抑制するための処理である。具体的には、安全係数α(通常、1より大きい値)を用いて、待機期間Twは、以下のような数式で算出される。
【0054】
待機期間Tw=α×反応誘導時間dT
ステップS124による待機後、触媒を追加投入する必要があるか否かが判断される(ステップS126)。触媒を追加投入する必要があると判断された場合(ステップS126においてYESの場合)に、処理はステップS120に戻る。一方、触媒を追加投入する必要がないと判断された場合(ステップS126においてNOの場合)には、触媒の追加投入を行なわず、処理を終了する。
【0055】
この触媒を追加投入する必要があるか否かの判断の具体的な内容としては、原料1の供給累積値が所定の上限値に到達しているか否かで判断される。
【0056】
原料1の供給累積値が所定の上限値に到達しており、触媒を追加投入する必要がない場合には処理は終了し、その後、開閉弁44が開放されて生成された製品が製品ライン42を通じて搬出される。
【0057】
<制御構造>
図6は、この発明の実施の形態に従うプロセス制御に係る処理手順を提供するための機能ブロック図である。なお、図6に示す各機能ブロックは、代表的に、後述するようにコンピュータがプログラムを実行することで実現される。
【0058】
図6を参照して、本実施の形態に従うシステムSYSは、圧力コントローラ(PID)16と、第1温度コントローラ(PID)26と、第2温度コントローラ(PID)28と、触媒投入コントローラ80と、反応誘導時間算出部82と、触媒活性比算出部84と、累積加算部86とをその制御機能として含む。
【0059】
上述したように、圧力コントローラ16は、反応器2内に設けられた圧力センサ14(図1)で検出される反応器内圧力検出値が予め設定される反応器内圧力目標値と一致するようにフィードバック制御を行なうことで、流調弁10の開度指令を出力する。
【0060】
第1温度コントローラ26は、予め設定される反応器内温度目標値に対する反応器2内に設けられた温度センサ60(図1)で検出される反応器内温度検出値の偏差に応じた値を制御出力として第2温度コントローラ28へ出力する。また、第2温度コントローラ28は、供給ライン38の経路上に設けられた温度センサ36(図1)で検出される冷熱媒温度検出値が、第1温度コントローラ26からの制御出力(制御目標値)と一致するように、流調弁30または32の開度指令を出力する。
【0061】
累積加算部86は、供給ライン12の経路上に設けられた流量計56(図1)で検出される原料1供給量検出値を所定周期に加算することで、原料1の供給量の累積を行なう。この累積加算部86は、内部カウンタを有しており、この内部カウンタのカウントアップにより累積演算を行なう。また、操業開始指令が与えられると、この累積加算部86の内部カウンタはゼロリセットされる。
【0062】
反応誘導時間算出部82は、累積加算部82aとタイマ82bとを含んでいる。操業開始の指令が与えられると、累積加算部82aが原料1の供給量の累積を開始するとともに、タイマ82bが時間計測を開始する。そして、反応誘導時間算出部82は、累積加算部82aで累積される原料1の供給累積値が所定のしきい累積値Th1に到達すると、その時点においてタイマ82bで計測されている時間を取得する。さらに、反応誘導時間算出部82は、当該タイマ82bにおける計測時間を反応誘導時間dTとして、触媒投入コントローラ80へ出力する。
【0063】
触媒活性比算出部84は、タイマ84aと累積加算部84bと除算器84cとを含んでいる。タイマ84aは、反応誘導時間算出部82から反応誘導時間dTが出力されると、時間計測を開始する。また、累積加算部84bは、原料1の供給量の累積を行なう。そして、タイマ84aで計測されている時間が規定期間に到達すると、除算器84cは、その時点において累積加算部84bで累積されている原料1の供給累積値を標準累積値で除算する。触媒活性比算出部84は、この除算結果を触媒の触媒活性比scaleとして、触媒投入コントローラ80へ出力する。
【0064】
触媒投入コントローラ80は、操業開始の指令、反応器内温度検出値、反応誘導時間dT、触媒活性比scaleなどに基づいて、反応器2内に触媒を投入するための流調弁52の開度を制御する。具体的には、操業開始の指令が与えられると、流調弁52の開度を大きくし、反応器2内に所定量の触媒を投入する(1回目の触媒投入)。その後、反応誘導時間算出部82および触媒活性比算出部84からそれぞれ反応誘導時間dTおよび触媒活性比scaleが入力されると、触媒投入コントローラ80は、2回目以降の触媒の投入条件(追加投入条件)が成立しているか否か判断し、この追加投入条件が成立している場合に、触媒の触媒活性に応じた量だけ触媒が追加投入されるように、流調弁52の開度を大きくする。このように、触媒投入コントローラ80は、流調弁52の開度制御を反応完了まで継続的に実行する。
【0065】
<適用例>
上述した本実施の形態に従う制御方法を図1に示すセミバッチ式の化学プロセスに適用した場合のシミュレーション結果を、本発明に関連する制御方法と比較して以下に示す。
【0066】
図7は、本発明に関連する制御方法を図1に示すセミバッチ式の化学プロセスに適用した場合の時間的変化を示すグラフである。図7(a)には、本発明に関連する制御方法における触媒の投入計画が示される。図7(a)に示す投入計画では、標準の触媒活性に基づいて算出された投入量が間欠的に反応器2内に投入される。すなわち、初回の触媒投入量は、約40kg/hrの供給速度で15分間行なわれ、10kgの触媒が投入される。そして、2回目以降は、約100分間隔で、約30kg/hrの供給速度で6分間行なわれ、3kgの触媒が投入される。投入された触媒は時間の経過とともに失活するので、反応器2内の有効触媒重量は、図7(a)に示すような時間的変化を生じる。
【0067】
図7(a)に示す投入計画は、触媒の触媒活性が一定であるとの前提で定められたものであり、この触媒活性が何らかの外乱によって変化した場合には、反応速度を適切に制御することができない。
【0068】
図7(b)には、図7(a)に示す投入計画に従って触媒が投入された場合の原料1の供給量(∝反応器2内の反応速度)の時間的変化が示されており、図7(c)には、図7(a)に示す投入計画に従って触媒が投入された場合における製品の生成量の時間的変化が示されている。なお、図7(b)および図7(b)の符号「50%」および「−50%」は、触媒の触媒活性が標準値に比較して、50%増加した場合、および50%低下した場合をそれぞれ示す。
【0069】
図7(b)に示すように、触媒の触媒活性が高くなれば、反応器2内の反応速度は増加するので、原料1の供給量も増大し、反対に、触媒の触媒活性が低くなれば、反応器2内の反応速度は低下するので、原料1の供給量も減少する。この原料1の供給量の増大、すなわち反応に伴って発生する熱の増大によって、反応器2内の温度制御が乱されて、製品の品質に悪影響を与えるおそれがある。また、図7(c)に示すように、単位時間当たりの製品生成量は、この触媒活性の程度に依存して大きく変動するため、安定的に生産を行なうことができない。
【0070】
このように、予め投入量を固定した投入計画に従ってプロセス制御を行なった場合には、触媒活性の程度に依存して、その製品品質および生産効率が影響を受ける。
【0071】
図8は、本実施の形態に従う制御方法を図1に示すセミバッチ式の化学プロセスに適用した場合の時間的変化を示すグラフである。図8(a)には、本実施の形態に従う制御方法において投入される触媒の時間的変化を示す。本実施の形態に従う制御方法によれば、触媒の投入タイミングおよび投入量は、対象プロセスの状態に依存して定まる。その結果、図8(a)に示すように、初回の触媒の投入量は同一であっても、触媒の触媒活性が高くなれば、その投入量はより低減され、かつその投入間隔も長くなる。一方、触媒の触媒活性が低くなれば、その投入量はより増大され、かつその投入間隔も短くなる。
【0072】
このように触媒の投入タイミングおよび投入量を対象プロセスの状態に応じて変更することで、図8(b)に示すように、触媒の触媒活性の程度に影響されることなく、原料1の供給量(∝反応器2内の反応速度)を均質化することができる。その結果、図8(c)に示すように、単位時間当たりの製品生成量についても、触媒の触媒活性の程度に影響されることなく均質化できる。
【0073】
上述したように、本実施の形態に従う制御方法によれば、触媒の触媒活性の程度に影響されることなく、反応器2内の温度制御を安定的に行なうことができるとともに、製品を安定的に生産することもできる。
【0074】
<ハードウェア構成>
上述した本実施の形態に従う制御方法を実行するための制御機能は、代表的に、コンピュータによって提供される。
【0075】
図9は、この発明の実施の形態に従う制御機能を提供するための代表的なハードウェア構成であるコンピュータ100のハードウェア構成を示す概略構成図である。
【0076】
図9を参照して、コンピュータ100は、FD(Flexible Disk)駆動装置111およびCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)駆動装置113を搭載したコンピュータ本体101と、モニタ102と、キーボード103と、マウス104とを含む。
【0077】
コンピュータ本体101は、FD駆動装置111およびCD−ROM駆動装置113に加えて、相互にバスで接続された、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)105と、メモリ106と、記憶装置である固定ディスク107と、通信インターフェース109とを含む。
【0078】
本実施の形態に従う制御機能は、CPU105がメモリ106などのコンピュータハードウェアを用いて、プログラムを実行することで実現される。一般的に、このようなプログラムは、FD112やCD−ROM114などの記録媒体に格納されて、またはネットワークなどを介して流通する。そして、このようなプログラムは、FD駆動装置111やCD−ROM駆動装置113などにより記録媒体から読取られて、または通信インターフェース109にて受信されて、固定ディスク107に格納される。さらに、このようなプログラムは、固定ディスク107からメモリ106に読出されて、CPU105により実行される。
【0079】
CPU105は、様々な数値論理演算を行なう演算処理部であり、プログラムされた命令を順次実行することで、本実施の形態に従う制御機能を提供する。メモリ106は、CPU105のプログラム実行に応じて各種の情報を記憶する。
【0080】
モニタ102は、CPU105が出力する情報を表示するための表示部であって、一例としてLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などから構成される。すなわち、モニタ102には、プロセス制御の状態などが表示される。
【0081】
マウス104は、クリックやスライドなどの動作に応じたユーザから指令を受付ける。キーボード103は、入力されるキーに応じたユーザから指令を受付ける。
【0082】
通信インターフェース109は、コンピュータ100と他の装置との間の通信を確立するための装置であり、各種データを外部から受付可能である。
【0083】
なお、上述したようなコンピュータに代えて、その一部または全部を専用のハードウェアによって実現してもよい。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態に従う化学プロセスを処理するためのシステムの概略構成図である。
【図2】この発明の実施の形態に従う触媒活性の評価手順を説明するための図である。
【図3】触媒投入開始から原料1の供給累積値が所定のしきい累積値に到達するまでに要した時間Tと既知の反応誘導時間dTとの関係をプロットした図である。
【図4】反応開始から規定期間が経過するまでの間に供給された原料1の供給累積値と既知の触媒活性との関係をプロットした図である。
【図5】この発明の実施の形態に従う化学プロセスの制御に係る処理手順を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態に従うプロセス制御に係る処理手順を提供するための機能ブロック図である。
【図7】本発明に関連する制御方法を図1に示すセミバッチ式の化学プロセスに適用した場合の時間的変化を示すグラフである。
【図8】本実施の形態に従う制御方法を図1に示すセミバッチ式の化学プロセスに適用した場合の時間的変化を示すグラフである。
【図9】この発明の実施の形態に従う制御機能を提供するための代表的なハードウェア構成であるコンピュータのハードウェア構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0086】
2 反応器、4 インペラ、6 ジャケット、8 底部、10,30,32,52 流調弁、12,20,24,38 供給ライン、14 圧力センサ、16 圧力コントローラ、18,44,48 開閉弁、26 第1温度コントローラ、28 第2温度コントローラ、36,60 温度センサ、40 ポンプ、42 製品ライン、46 ベントライン、50 投入ライン、54 戻りライン、56,58 流量計、80 触媒投入コントローラ、82 反応誘導時間算出部、82a 累積加算部、82b タイマ、84 触媒活性比算出部、84a タイマ、84b 累積加算部、84c 除算器、86 累積加算部、100 コンピュータ、101 コンピュータ本体、102 モニタ、103 キーボード、104 マウス、106 メモリ、107 固定ディスク、109 通信インターフェース、111 FD駆動装置、113 CD−ROM駆動装置、dT 反応誘導時間、GP 気相、LP 液相、SYS システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器内での存在量が所定の範囲となるように第1原料を供給する原料供給手段と、前記第1原料と前記反応器内に予め仕込まれている第2原料との化学反応を促進するための触媒を投入する触媒投入手段とを含む化学プロセスにおける制御方法であって、
処理開始後に所定量の前記触媒を投入するステップと、
前記触媒の投入後における前記第1原料の供給累積値の時間的変化に基づいて、前記触媒の触媒活性を評価するステップと、
前記反応器内の温度および前記第1原料の供給量に基づいて、前記触媒の追加投入の条件が成立しているか否かを判断するステップと、
前記追加投入の条件が成立している場合に、評価した前記触媒の性能に応じた量の前記触媒を追加投入するステップとを備え、
前記触媒を追加投入するステップでは、前記触媒活性を示す値に応じて、追加投入する前記触媒の量を決定する、化学プロセスにおける制御方法。
【請求項2】
前記触媒を追加投入するステップの実行後に所定期間だけ待機し、前記触媒の追加投入の条件が成立しているか否かを再度判断するステップをさらに備え、
待機する前記所定期間は、前記触媒活性を示す値に応じて設定される、請求項1に記載の化学プロセスにおける制御方法。
【請求項3】
前記触媒の追加投入の条件が成立しているか否かを判断するステップは、
前記反応器内の温度が所定のしきい温度以下であるか否かを判断するステップと、
前記第1原料の供給量が所定のしきい量以下であるか否かを判断するステップとを含み、
前記反応器内の温度が所定のしきい温度以下であり、かつ前記第1原料の供給量が所定のしきい量以下である場合に、前記触媒の追加投入の条件が成立していると判断される、請求項1または2に記載の化学プロセスにおける制御方法。
【請求項4】
前記触媒の触媒活性を評価するステップは、
処理開始後に前記触媒が最初に投入されてから前記第1原料の供給累積値が所定のしきい累積値に到達するまでに要した時間を前記触媒の反応誘導時間として算出するステップと、
前記第1原料の供給累積値が所定のしきい累積値に到達した後から規定期間が経過した時点における前記第1原料の供給累積値を、標準累積値で除算して前記触媒の触媒活性比として算出するステップとを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化学プロセスにおける制御方法。
【請求項5】
反応器内での存在量が所定の範囲となるように第1原料を供給する原料供給手段と、前記第1原料と前記反応器内に予め仕込まれている第2原料との化学反応を促進するための触媒を投入する触媒投入手段とを含む化学プロセスを制御するためのプログラムであって、
前記プログラムは、
処理開始後に所定量の前記触媒を投入する手段と、
前記触媒の投入後における前記第1原料の供給累積値の時間的変化に基づいて、前記触媒の触媒活性を評価する手段と、
前記反応器内の温度および前記第1原料の供給量に基づいて、前記触媒の追加投入の条件が成立しているか否かを判断する手段と、
前記追加投入の条件が成立している場合に、評価した前記触媒の性能に応じた量の前記触媒を追加投入する手段としてコンピュータを機能させ、
前記触媒を追加投入する手段は、前記触媒活性を示す値に応じて、追加投入する前記触媒の量を決定する、化学プロセスを制御するためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−22934(P2010−22934A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187421(P2008−187421)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】