説明

化学物質の影響評価方法

【課題】 本発明は、被検水棲生物の生理状態を遺伝子発現により確認し、該被検生物の生理状態が化学物質暴露により影響を受けているか否かを評価する方法を提供することを課題とする。また、様々な化学物質暴露条件下における被検水棲生物の生理状態を遺伝子発現により確認し、被検飼育条件が化学物質に汚染されておらず、化学物質暴露試験に用いられる指標生物を飼育するための条件として適しているか否かを評価する方法を提供ことも課題とする。
【解決手段】 本発明者らは、上記課題を解決するために、被検水棲生物に対して、網羅的遺伝子発現解析を行い、化学物質暴露による生理状態の変化に関与する水棲生物の遺伝子の特定を行った。その結果、化学物質暴露による生理状態の変化に関与するメダカ遺伝子群を同定し、本遺伝子群の発現確認を行うことで被検生物の生理状態を確認できることを見出した。


Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)化学物質を暴露した被検水棲生物由来の生物学的試料において、生理状態に関与する水棲生物遺伝子の発現レベルを決定する工程、
(b)被検水棲生物由来の生物学的試料における該遺伝子の発現レベルと、該遺伝子の正常対照発現レベルを比較する工程、
(c)(b)における発現レベルの比較結果により、被検水棲生物の生理状態に対する化学物質の影響を評価する工程、
の3つの工程を含み、化学物質の暴露により正常対照発現レベルと比較して発現レベルがより大きい場合に、被検水棲生物の生理状態に対して該化学物質の影響があると評価する方法において、
該化学物質として、エタノール、メタノール、DMSO、SDS、ホルムアルデヒド、ジンクピリチオン、トリブチル錫、カドミウム、ラウンドアップ、チウラム、硫酸銅を用い、その化学物質のうち6種類以上が200%以上の発現をする水棲生物遺伝子を用いることを特徴とする化学物質の影響評価方法。
【請求項2】
該遺伝子が、本発明でいう遺伝子配列番号(1〜24)からなる群より選択された1又は複数の遺伝子である請求項1記載の化学物質の影響評価方法。
【請求項3】
その化学物質のうち9種類以上が200%以上の発現をする水棲生物遺伝子を用いるものである請求項1記載の化学物質の影響評価方法。
【請求項4】
該遺伝子が、本発明でいう遺伝子配列番号(1〜4)からなる群より選択された1又は複数の遺伝子である請求項3記載の化学物質の影響評価方法。
【請求項5】
(a)化学物質を暴露した被検水棲生物由来の生物学的試料において、生理状態に関与する水棲生物遺伝子の発現レベルを決定する工程、
(b)被検水棲生物由来の生物学的試料における該遺伝子の発現レベルと、該遺伝子の正常対照発現レベルを比較する工程、
(c)(b)における発現レベルの比較結果により、被検水棲生物の生理状態に対する化学物質の影響を評価する工程、
の3つの工程を含み、化学物質の暴露により正常対照発現レベルと比較して発現レベルがより小さい場合に、被検水棲生物の生理状態に対して該化学物質の影響があると評価する方法において、
該化学物質として、エタノール、メタノール、DMSO、SDS、ホルムアルデヒド、ジンクピリチオン、トリブチル錫、カドミウム、ラウンドアップ、チウラム、硫酸銅を用い、その化学物質のうち6種類以上が50%以下の発現をする水棲生物遺伝子を用いることを特徴とする化学物質の影響評価方法。
【請求項6】
該遺伝子が、本発明でいう遺伝子配列番号(25〜69)からなる群より選択された1又は複数の遺伝子である請求項5記載の化学物質の影響評価方法。
【請求項7】
その化学物質のうち9種類以上が50%以下の発現をする水棲生物遺伝子を用いるものである請求項5記載の化学物質の影響評価方法。
【請求項8】
該遺伝子が、本発明でいう遺伝子配列番号(25〜35)からなる群より選択された1又は複数の遺伝子である請求項7記載の化学物質の影響評価方法。
【請求項9】
(a)化学物質を暴露した被検水棲生物由来の生物学的試料において、生理状態に関与する水棲生物遺伝子の発現レベルを決定する工程、
(b)被検水棲生物由来の生物学的試料における該遺伝子の発現レベルと、該遺伝子の正常対照発現レベルを比較する工程、
(c)(b)における発現レベルの比較結果により、被検水棲生物の生理状態に対する化学物質の影響を評価する工程、
の3つの工程を含み、化学物質の暴露により正常対照発現レベルと比較して発現レベルがより大きい場合に、被検水棲生物の生理状態に対して該化学物質の影響があると評価する方法において、
該化学物質として、エタノール、メタノール、DMSO、SDS、ホルムアルデヒド、ジンクピリチオン、トリブチル錫、カドミウム、ラウンドアップ、チウラム、硫酸銅を用い、その化学物質のうち少なくとも1種類以上が400%以上の発現をする水棲生物遺伝子を用いることを特徴とする化学物質の影響評価方法。
【請求項10】
該遺伝子が、本発明でいう遺伝子配列番号(1〜3、5〜18、70〜125)からなる群より選択された1又は複数の遺伝子である請求項9記載の化学物質の影響評価方法。
【請求項11】
該発現レベルが800%(8倍)より大きいものである請求項9記載の化学物質の影響評価方法。
【請求項12】
該遺伝子が、本発明でいう遺伝子配列番号(1〜2、5〜10、70〜81)からなる群より選択された1又は複数の遺伝子である請求項11記載の化学物質の影響評価方法。
【請求項13】
(a)化学物質を暴露した被検水棲生物由来の生物学的試料において、生理状態に関与する水棲生物遺伝子の発現レベルを決定する工程、
(b)被検水棲生物由来の生物学的試料における該遺伝子の発現レベルと、該遺伝子の正常対照発現レベルを比較する工程、
(c)(b)における発現レベルの比較結果により、被検水棲生物の生理状態に対する化学物質の影響を評価する工程、
の3つの工程を含み、化学物質の暴露により正常対照発現レベルと比較して発現レベルがより小さい場合に、被検水棲生物の生理状態に対して該化学物質の影響があると評価する方法において、
該化学物質として、エタノール、メタノール、DMSO、SDS、ホルムアルデヒド、ジンクピリチオン、トリブチル錫、カドミウム、ラウンドアップ、チウラム、硫酸銅を用い、その化学物質のうち少なくとも1種類以上が25%以下の発現をする水棲生物遺伝子を用いることを特徴とする化学物質の影響評価方法。
【請求項14】
該遺伝子が、本発明でいう遺伝子配列番号(25〜33、36〜59、70、126〜243)からなる群より選択された1又は複数の遺伝子である請求項13記載の化学物質の影響評価方法。
【請求項15】
該発現レベルが12.5%(1/8倍)より小さいものである請求項14記載の化学物質の影響評価方法。
【請求項16】
該遺伝子が、本発明でいう遺伝子配列番号(36〜38、126〜137)からなる群より選択された1又は複数の遺伝子である請求項15記載の化学物質の影響評価方法。
【請求項17】
本発明でいう遺伝子配列番号(244〜267)からなる群より選択された1又は複数の遺伝子を、ネガティブコントロールとして使用するものである請求項1〜16記載の化学物質の影響評価方法。
【請求項18】
請求項1記載の遺伝子を有する水棲生物を、請求項1記載の化学物質の影響評価方法を実施できるよう飼育することを特徴とする水棲生物の飼育方法。
【請求項19】
請求項5記載の遺伝子を有する水棲生物を、請求項5記載の化学物質の影響評価方法を実施できるよう飼育することを特徴とする水棲生物の飼育方法。
【請求項20】
請求項9記載の遺伝子を有する水棲生物を、請求項9記載の化学物質の影響評価方法を実施できるよう飼育することを特徴とする水棲生物の飼育方法。
【請求項21】
請求項13記載の遺伝子を有する水棲生物を、請求項13記載の化学物質の影響評価方法を実施できるよう飼育することを特徴とする水棲生物の飼育方法。




【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate


【公開番号】特開2008−167699(P2008−167699A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4456(P2007−4456)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(597001372)ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社 (1)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000153281)株式会社日本紙パルプ研究所 (7)
【上記2名の代理人】
【識別番号】100080724
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 久喜
【Fターム(参考)】