説明

化学物質汚染の処理方法及び処理装置

【課題】本発明の目的は、過硫酸塩を用いた処理において、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質に汚染された地下水等の汚染水の浄化期間の短縮を図り、確実且つ安全に浄化することができる化学物質汚染の処理方法及び処理装置を提供することにある。
【解決手段】本発明は、化学物質に汚染された汚染水に過硫酸塩を添加して、前記汚染水を浄化する化学物質汚染の浄化方法であって、前記過硫酸塩を添加して、前記汚染水を浄化する前に、前記汚染水のpHを5以下にした後、炭酸ガス以外のガスにて曝気処理をして、前記汚染水に溶存する無機炭素を除去又は減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質により汚染された汚染水を浄化するための処理方法及び処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トリクロロエチレン(TCE)、テトラクロロエチレン(PCE)等の有機塩素化合物は、洗浄剤として各種工場やクリーニング店等で、また、ベンゼン等の芳香族炭化水素は、化成品の原料として各種工場等で広く使用されている。その一方で、これら有機塩素化合物及び芳香族炭化水素等の化学物質は発癌等、健康を害する疑いがあるため、近年、上記有機塩素化合物及び芳香族炭化水素等の化学物質による土壌、地下水等の汚染が、大きな社会問題となっている。
【0003】
従来、有機塩素化合物等で汚染された土壌の処理方法としては、汚染土壌の封じ込め処理、汚染土壌の掘削・封じ込め処理等が主に行われている。また、地下水の処理方法としては、地下水を揚水し、地下水中の汚染化学物質を気相中に移行させて、地下水を浄化し(揚水曝気処理)、その後活性炭により気相中の化学物質を吸着処理する(活性炭処理)ポンプ・アンド・トリート法等が主に行われている。なお、浄化後の水は地表に流すことが可能となる。また、汚染された土壌中に生息する微生物に対して薬剤注入や温度管理を行い、微生物を活性化させて化学物質を分解するバイオスティミュレーション法等も行われている。
【0004】
しかし、上記封じ込め処理、掘削・封じ込め処理、ポンプ・アンド・トリート法は、汚染化学物質を積極的に分解して無害化する技術ではないこと、また、莫大なコスト、エネルギー及び手間を要すること、浄化期間が10〜20年と長いこと等の問題がある。
【0005】
これに対し、近年では、酸化剤を直接井戸に注入する原位置化学酸化の開発が行われている。酸化剤としては、過マンガン酸カリウム、過酸化水素、過硫酸塩、次亜塩素酸、過塩素酸、塩素、オゾン等が存在するが、水への溶解性、操作性等の点から、現状では過マンガン酸カリウムや過酸化水素を用いる方法が主に実用化されている。
【0006】
しかし、過マンガン酸カリウムを用いる方法では、過マンガン酸カリウム溶液が濃い紫色を呈しているため、過マンガン酸カリウム溶液を地下水等に直接注入するのは好ましくないという問題がある。また、過酸化水素を用いる方法は、地中内で急激に過酸化水素が分解するため、浄化範囲が小さいという問題がある。
【0007】
また、近年では、過硫酸塩を使用した汚染化学物質の分解研究事例を増えてきている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−136961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の過硫酸塩の濃度(40〜100ppmの範囲)では、添加した過硫酸塩が地下水及び土壌中に含まれる被酸化性の物質(有機物や無機物)によって消費されてしまう。また、あるいは過硫酸塩の反応過程で生成する酸化力の高い過硫酸ラジカル等を補足する物質(ラジカルスカベンジャー)により、分解反応が抑制されてしまう。そのため、目的としている有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質を効率よく分解することができないと考えられる。すなわち、実際の現場適用において、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質に汚染されている地下水を浄化することは実質的に困難である。
【0010】
そこで、本発明の目的は、過硫酸塩を用いた処理において、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質に汚染された地下水等の汚染水の浄化期間の短縮を図り、確実且つ安全に浄化することができる化学物質汚染の処理方法及び処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、化学物質に汚染された汚染水に過硫酸塩を添加して、前記汚染水を浄化する化学物質汚染の浄化方法であって、前記過硫酸塩を添加して、前記汚染水を浄化する前に、前記汚染水のpHを5以下にした後、炭酸ガス以外のガスにて曝気処理をして、前記汚染水に溶存する無機炭素を除去又は減少させる。
【0012】
また、本発明は、化学物質に汚染された汚染水に過硫酸塩を添加して、前記汚染水を浄化する化学物質汚染の浄化方法であって、前記過硫酸塩を添加して、前記汚染水を浄化する前に、前記汚染水のpHを5以下にした後、脱気処理をして、前記汚染水に溶存する無機炭素を除去又は減少させる。
【0013】
また、本発明は、化学物質に汚染された地下水に過硫酸塩を添加して、前記地下水を原位置で浄化する化学物質汚染の浄化方法であって、前記過硫酸塩を添加して、前記地下水を浄化する前に、前記地下水のpHを5以下にした後、炭酸ガス以外のガスにて曝気処理をして、前記地下水に溶存する無機炭素を除去又は減少させる。
【0014】
また、本発明は、化学物質に汚染された地下水に過硫酸塩を添加して、前記地下水を原位置で浄化する化学物質の浄化方法であって、前記過硫酸塩を添加して、前記地下水を浄化する前に、前記地下水のpHを5以下にした後、脱気処理をして、前記地下水に溶存する無機炭素を除去又は減少させる。
【0015】
また、前記化学物質汚染の処理方法において、曝気処理又は脱気処理により排出されるガスを活性炭処理することが好ましい。
【0016】
また、前記化学物質汚染の処理方法において、前記過硫酸塩を添加した汚染水又は地下水を中和することが好ましい。
【0017】
また、前記化学物質汚染の処理方法において、前記化学物質は有機塩素化合物又は芳香族炭化水素である。
【0018】
また、本発明は、化学物質に汚染された地下水を原位置で浄化する化学物質汚染の処理装置であって、前記地下水に過硫酸塩を添加する過硫酸塩添加手段と、前記過硫酸塩添加手段によって前記地下水に過硫酸塩を添加する前に、前記地下水のpHを5以下にした後、炭酸ガス以外のガスにて、曝気処理をして、前記地下水に溶存する無機炭素を除去又は減少させる無機炭素処理手段と、を備える。
【0019】
また、本発明は、化学物質に汚染された地下水を原位置で浄化する化学物質汚染の処理装置であって、前記地下水に過硫酸塩を添加する過硫酸塩添加手段と、前記過硫酸塩添加手段によって前記地下水に過硫酸塩を添加する前に、前記地下水のpHを5以下にした後、脱気処理をして、前記地下水に溶存する無機炭素を除去又は減少させる無機炭素処理手段と、を備える。
【0020】
また、前記化学物質汚染の処理装置において、前記無機炭素処理手段における曝気処理又は脱気処理により排出されるガスを活性炭処理する活性炭処理手段を備えることが好ましい。
【0021】
また、前記化学物質汚染の処理装置において、前記過硫酸塩添加手段により前記過硫酸塩が添加された地下水を中和する中和手段を備えることが好ましい。
【0022】
また、前記化学物質汚染の処理装置において、前記化学物質は、有機塩素化合物又は芳香族炭化水素である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、過硫酸塩を用いた処理において、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質に汚染された地下水等の汚染水の浄化期間の短縮を図り、確実且つ安全に浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。
【図3】地下水A〜Dに溶存する塩化物イオン濃度に対する反応速度定数の関係を示す図である。
【図4】地下水A〜Dに溶存する硫酸イオン濃度に対する反応速度定数の関係を示す図である。
【図5】地下水A〜Dに溶存する硝酸イオン濃度に対する反応速度定数の関係を示す図である。
【図6】地下水A〜Dに溶存する無機炭素濃度に対する反応測定数の関係を示す図である。
【図7】地下水A〜Dに溶存するTOC濃度に対する反応速度定数の関係を示す図である。
【図8】実施例3〜5及び比較例1〜4の時間経過とTCEの濃度との関係を示す図である。
【図9】実施例6〜8及び比較例5〜8の時間経過とベンゼンの濃度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、化学物質汚染の処理装置1は、揚水ポンプ10、揚水ライン12及び揚水井戸14を備える揚水装置と、固液分離装置16と、pH調整槽18、pHメータ20、pH調整剤タンク22及びpH調整剤ポンプ24を備えるpH調整装置と、曝気装置26と、第1ラインミキサ28、過硫酸塩タンク30及び過硫酸塩ポンプ32を備える過硫酸塩添加装置と、活性炭処理塔34及び吸引ポンプ36を備える活性炭処理装置と、第2ラインミキサ38、試薬貯槽40及び薬剤ポンプ42を備える中和装置と、注入ライン44及び注入井戸46を備える注入装置と、配管48,50,52,54,56,58,60,62と、を備える。
【0027】
揚水井戸14内に設置された揚水ライン12の一端は揚水ポンプ10に接続され、他端は固液分離装置16に接続されている。配管48の一端は固液分離装置16に接続され、その他端はpH調整槽18に接続され、配管50の一端はpH調整槽18に接続され、その他端は第1ポンプ64を介して曝気装置26に接続され、配管52の一端は曝気装置26に接続され、その他端は第1ラインミキサ28に接続され、配管54の一端は第1ラインミキサ28に接続され、その他端は第2ポンプ66を介して第2ラインミキサ38に接続され、配管56の一端は曝気装置26に接続され、その他端は活性炭処理塔34に接続されている。また、配管58の一端はpH調整剤タンク22に接続され、その他端はpH調整剤ポンプ24を介してpH調整槽18に接続されている。また、配管60の一端は過硫酸塩タンク30に接続され、その他端は過硫酸塩ポンプ32を介して第1ラインミキサ28に接続されている。また、配管62の一端は試薬貯槽40に接続され、その他端は試薬ポンプを介して第2ラインミキサ38に接続されている。また、注入ライン44の一端は第2ラインミキサ38に接続され、その他端は注入井戸46内に開放されている。
【0028】
揚水装置(揚水ポンプ10、揚水ライン12及び揚水井戸14)は、化学物質に汚染された地下水を地表へ揚水することができる構成であれば、その構成は特に制限されるものではない。本実施形態の揚水井戸14は、少なくとも注入井戸46より地下水の下流側に配置される必要があり、また、汚染領域Xより下流側に配置されることが好ましい。
【0029】
固液分離装置16は、揚水手段により揚水した地下水中の固形物を取り除くためのものであり、例えば、スクリーン、沈殿ろ過装置、膜分離装置等が挙げられる。
【0030】
pH調整装置(pH調整槽18、pHメータ20、pH調整剤タンク22及びpH調整剤ポンプ24)は、(揚水装置により揚水した)地下水のpHを5以下に調整するものであれば、その構成は特に制限されるものではない。地下水のpHは、経済性、確実性並びに安全性の点で、3〜5の範囲に調整されることが好ましい。本実施形態のように、地下水のpHを5以下にすることにより、地下水中に溶存する無機炭素をその後の曝気処理により効率的に減少又は除去することができる。無機炭素には、二酸化炭素(炭酸ガスを含む)、炭酸イオン、重炭酸イオンが含まれ、pHによって上記それらの存在比は変化する。ここで、地下水のpHを5以下にすると、地下水中の無機炭素は二酸化炭素の状態で存在する比率が高くなるため、その後の曝気処理により、地下水から容易に無機炭素を減少又は除去することができる。本実施形態におけるpH調整の具体的方法として、地下水中の無機炭素濃度が変動する場合には、pHメータ20により地下水のpHを検出しながら、pH調整剤ポンプ24によりpH調整剤量を調節し、添加して、地下水のpHを5以下にすることが好ましい。また、地下水中の無機炭素濃度がほとんど一定の場合には、pHメータ20により地下水のpHを検出することなく、所定量のpH調整剤をpH調整剤ポンプ24により添加して、地下水のpHを調整すればよい。pH調整剤としては、塩酸、硫酸、硝酸等の酸剤等が用いられる。
【0031】
曝気装置26は、地下水を炭酸ガス以外のガスで曝気処理し、地下水から無機炭素を減少又は除去することができるものであれば、その構成は特に制限されるものではない。具体的には、pH調整後の地下水を曝気装置26に下向流で流し、その地下水に炭酸ガス以外のガス(例えば、空気等)にて曝気して、地下水に溶存している無機炭素を気相中に移行させ、地下水から無機炭素を減少又は除去する。
【0032】
本実施形態において、pH調整装置及び曝気装置26が、地下水に溶存する無機炭素を減少又は除去する無機炭素処理手段として機能する。pH調整装置及び曝気装置26により無機炭素処理した地下水中の溶存無機炭素濃度は、例えば、10ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがより好ましい。地下水中の溶存無機炭素濃度が上記範囲を超えると、地下水を汚染する有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質の分解が抑制される場合がある。これは、過硫酸の分解から生じる有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質の分解に有効な硫酸アニオンや硫酸ラジカルが無機炭素により阻害を受けるからである。
【0033】
なお、従来から、OHラジカルを用いた酸化反応では、無機炭素等がOHラジカルを捕捉するラジカルスカベンジャーであることは知られているが、過硫酸塩の分解から生じる硫酸アニオンや硫酸ラジカルの場合には、無機炭素がラジカルスカベンジャーに相当する阻害因子であり、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質の分解に影響を及ぼすかは不明であった。しかし、本発明者らによって、無機炭素が上記化学物質の分解を抑制する阻害因子であることが見出され、この無機炭素を除去することで、地下水を短期間で浄化することができることが明らかにされた。
【0034】
過硫酸塩添加装置(第1ラインミキサ28、過硫酸塩タンク30及び過硫酸塩ポンプ32)は、無機炭素を減少又は除去した地下水に過硫酸塩を添加する過硫酸塩添加手段としての機能を有するものであれば、その構成は特に制限されるものではない。具体的には、図1の化学物質汚染の処理装置1のように、化学物質に汚染された地下水を揚水して、その地下水に過硫酸塩が添加されることとなる。そして、添加した過硫酸塩の分解から生じる硫酸アニオンや硫酸ラジカルにより、地下水中の有機塩素化合物や芳香族炭化水素等の化学物質が分解され、化学物質に汚染された地下水の原位置浄化が行われる。ここで、原位置浄化とは、汚染領域X及びその周辺の土壌を掘削等によって移動させないで、化学物質に汚染された地下水等の汚染水を浄化することである。地下水の浄化は、このような原位置浄化が好ましいが、化学物質に汚染された地下水や排水等の汚染水は、必ずしも原位置浄化に制限されるものではない。例えば、汚染領域X及びその周辺の土壌を掘削し、場外の処理施設において地下水を浄化するオフサイト浄化等である。
【0035】
本実施形態では、化学物質に汚染された地下水に添加する過硫酸塩濃度は、化学物質を分解し、地下水を浄化することができれば特に制限されるものではないが、過硫酸塩濃度が5000mg/L〜25000mg/Lの範囲となるように、過硫酸塩を添加することが好ましい。過硫酸塩濃度が5000mg/L未満では、実浄化施工を想定した場合に、土壌や地下水中に存在する還元物質等による分解を受け過硫酸塩が消費されてしまうため、有機塩素化合物、芳香族炭化水素等の化学物質を十分に分解することができず、浄化期間の短縮を図ることが困難となる。また、過硫酸塩濃度が50000mg/L超では、薬品使用量が増加するため、コストが高くなる。
【0036】
本実施形態に用いられる過硫酸塩は、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
活性炭装置(活性炭処理塔34及び吸引ポンプ36)は、曝気装置26から排出される気相中の化学物質(二酸化炭素や揮発性有機化合物等)を吸着処理するものである。活性炭装置に使用する活性炭は、排出される気相中の化学物質を吸着処理することができるものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、ヤシ殻、木質、石炭系の粒状活性炭、粉末活性炭、円柱状活性炭等が挙げられる。
【0038】
中和装置(第2ラインミキサ38、試薬貯槽40及び薬剤ポンプ42)は、過硫酸塩が添加された地下水にアルカリ剤等の薬剤を添加して、中和処理を行うものであれば、その構成は特に制限されるものではない。過硫酸塩が添加された地下水は、過硫酸塩による化学物質の分解過程によって、pHが低下する場合がある。本実施形態のように、後段の注入装置によって、pHが低下した地下水を汚染領域Xに戻したり、地表に散布したりすると、汚染領域X又はその周辺の土壌等から重金属が溶出する等の2次的な汚染を引き起こす虞がある。そこで、本実施形態のように、過硫酸塩が添加された地下水を中和して、2次的な汚染を防止することが好ましい。
【0039】
中和装置に使用する薬剤は、地下水を中和処理することができるものであれば特に制限されるものではないが、上記でも説明したように、過硫酸塩が添加された地下水のpHは低下する場合が多いため、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤等が使用される。
【0040】
注入装置(注入ライン44及び注入井戸46)は、過硫酸塩(及びアルカリ剤)が添加された地下水を循環させて汚染領域Xに注入するものであれば、その構成は特に制限さるものではない。地下水に添加される過硫酸塩は、化学物質の分解のために消費されるが、通常、地下水には未反応の過硫酸塩が残存している場合が多いため、注入装置により、地下水を汚染領域Xに注入することにより、未反応の過硫酸塩を汚染領域Xの地下水の浄化に再利用することができる。なお、過硫酸塩の添加により化学物質が確実に分解処理されていれば、注入装置を設置せず、その分解処理水を地表に流すか又は放流してもよい。
【0041】
以下に、本実施形態に係る処理装置を用いた化学物質の処理方法について説明する。
【0042】
揚水ポンプ10により、汚染領域Xの化学物質に汚染された地下水が揚水ライン12から揚水され、固液分離装置16に供給される。固液分離装置16により、揚水した地下水中の固形物が除去され、配管48からpH調整槽18に送液される。そして、pH調整剤ポンプ24により、pH調整剤が配管58からpH調整槽18に添加され、地下水のpHが5以下に調整される。この時、地下水中に溶存する無機炭素は主に二酸化炭素(炭酸ガスも含む)の状態に変換される。pH調整された地下水は、第1ポンプ64により、配管50を通り曝気装置26に送液され、曝気装置26にて地下水中の無機炭素が気相中へ移行され、地下水から無機炭素が減少又は除去される。無機炭素が除去された地下水は、配管52を通り第1ラインミキサ28に送液され、また、過硫酸塩ポンプ32により、過硫酸塩が配管60から第1ラインミキサ28に添加され、第1ラインミキサ28により、過硫酸塩と無機炭素が除去された地下水とが混合される。これにより、過硫酸塩の分解から生じる硫酸アニオンや硫酸ラジカルにより、地下水中の有機塩素化合物や芳香族炭化水素の分解反応が開始され、化学物質を含む地下水の浄化が行われる。
【0043】
過硫酸塩が添加された地下水は、第2ポンプ66により、配管54を通り第2ラインミキサ38に送液され、また、薬剤ポンプ42により、アルカリ剤が配管62から第2ラインミキサ38に添加され、第2ラインミキサ38により、pHが低下した地下水の中和処理が行われる。そして、アルカリ剤が添加された地下水は、注入ライン44を通して、汚染領域Xに注入される。この際、地下水中に残留している過硫酸塩は汚染領域Xの化学物質に汚染された地下水の浄化に利用される。
【0044】
一方、曝気装置26から排出されるガス(無機炭素等の化学物質を含む)は、配管56から活性炭処理塔34に供給され、気相中の化学物質が吸着除去される。そして、化学物質が除去されたガスは吸引ポンプ36により、大気中に放出される。
【0045】
本実施形態では、有機塩素化合物、芳香族炭化水素に汚染された水、排水、地下水等の汚染水の浄化を対象としている。特に、本実施形態の処理方法は、有機塩素化合物、芳香族炭化水素に汚染された地下水の原位置浄化に対して好適に使用される。また、本実施形態の処理方法は、TCE、PCE、ダイオキシン類、PCB類等の有機塩素化合物、ベンゼン等の芳香族炭化水素による汚染の浄化のみならず、油等の他の化学物質に汚染された汚染水の浄化にも適用可能である。
【0046】
図2は、本発明の他の実施形態に係る化学物質汚染の処理装置の構成の一例を示す模式図である。図2に示す化学物質汚染の処理装置2において、図1に示す化学物質汚染の処理装置1と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
図2に示す化学物質汚染の処理装置2では、図1に示す装置で用いた曝気装置26に代えて膜脱気装置、真空脱気装置、加熱脱気装置等の脱気装置68が用いられている。すなわち、pH調整装置及び脱気装置68が、地下水等の汚染水に溶存する無機炭素を減少又は除去する無機炭素処理手段として機能する。脱気装置68には、第3ポンプ70及び第4ポンプ72が設置されており、第3ポンプ70により、無機炭素が減少又は除去された地下水等が配管52を通り第1ラインミキサ28に供給され、また、第4ポンプ72により、地下水等から分離された無機炭素等の化学物質を含むガスが配管56から活性炭処理塔34に供給される。
【0048】
脱気装置68としては、地下水等の汚染水中の無機炭素を脱気することができる限りにおいてどのような装置を用いてもよいが、例えば、膜脱気装置、真空脱気装置、加熱脱気装置等のうち、特にコンパクトで連続処理が行い易い膜脱気装置を採用することが好ましい。
【0049】
なお、本実施形態の脱気装置68として好ましく用いることができる膜脱気装置の構成は特に制限されるものではないが、例えば、膜の両面間を連通する孔を有する多孔質膜構造、かかる連通孔が無い均質膜構造、多孔質膜の片表面にかかる連通孔が無いスキン層を有する非対称膜構造などが挙げられる。また、膜脱気装置に使用される脱気膜の形態としては、例えば、中空糸膜の形態、シート状膜を巻いて形成したスパイラル状膜の形態のもの等を使用することができる。
【0050】
脱気膜の材質は、例えば、均質シリコーンゴム膜等のシリコーン系膜、多孔質ポリ弗化ビニリデン膜、多孔質PTFE膜等の弗素樹脂系膜、多孔質PE膜、多孔質PP膜、均質ポリ−4−メチルペンテン−1膜等のポリオレフィン系膜、その他のポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系、ポリエーテル系、ポリチオエーテル系等の樹脂膜、更には複合膜(例えば、ポリスルフォンをベースとしてその上にシリコンコーティングしたもの)等が挙げられる。
【0051】
図1及び図2に示す化学物質汚染の処理装置では、第1ラインミキサ28と第2ラインミキサ38の間の配管54に、過硫酸塩を添加した地下水等の汚染水の滞留時間を確保するための反応槽を介装することが好ましい。これにより、さらなる化学物質に汚染された地下水等の汚染水の浄化期間の短縮化を図ることが可能となる。また、必要に応じて反応槽内の地下水を加温することができる加熱器を反応槽に設置する等してもよい。
【実施例】
【0052】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
(実施例1)
実施例1では、地下水に溶存する物質の中で、過硫酸塩による化学物質の分解を阻害する可能性の高い因子を確認する試験を行った。
【0054】
異なる4種類の地下水(A〜D)にTCEを添加して、濃度を2mg/Lに調整した汚染地下水(A〜D)を準備した。これらの汚染地下水20mLを60mLのバイアルビンにそれぞれ分注し、そこに過硫酸ナトリウムを濃度5000mg/Lとなるように添加して、分解試験を行った。この時の汚染地下水それぞれのpHを7に調整した。また、分解試験における水温は15〜20℃の範囲とした。分解試験中、経時的にTCE濃度をガスクロマトグラフにより測定し、反応速度定数を求めた。具体的には、TCE濃度の経時変化を経過時間の一次反応式と仮定して、下式(1)に示す関数により反応速度定数を求めた。
=C×e−kt ・・・(1)
t:経過時間(hr)
:経過時間tにおけるTCE濃度(mg/L)
:TCEの初期濃度(mg/L)
k:反応速度定数(hr−1
【0055】
4種類の地下水に対するTCEの分解実験の結果として、各地下水に溶存する物質である塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、無機炭素、全有機炭素(TOC)、溶存鉄、マンガン毎に、それらの濃度に対する反応速度定数をまとめた。図3は、地下水A〜Dに溶存する塩化物イオン濃度に対する反応速度定数の関係を示す図であり、図4は、地下水A〜Dに溶存する硫酸イオン濃度に対する反応速度定数の関係を示す図であり、図5は、地下水A〜Dに溶存する硝酸イオン濃度に対する反応速度定数の関係を示す図であり、図6は、地下水A〜Dに溶存する無機炭素濃度に対する反応測定数の関係を示す図であり、図7は、地下水A〜Dに溶存するTOC濃度に対する反応速度定数の関係を示す図である。また、表1に地下水A〜Dに溶存する溶存鉄濃度及びマンガン濃度それぞれに対する反応速度定数の関係をまとめた。
【0056】
【表1】

【0057】
図3〜7及び表1から判るように、地下水A〜D中に溶存する物質の濃度と反応速度定数との間で最も相関性の高い因子は無機炭素であった。すなわち、図6に示すように、無機炭素の濃度の上昇に伴い、反応速度定数が低くなっている(TCEの分解反応速度が遅くなっていると云える)。したがって、無機炭素が過硫酸塩による有機塩素化合物等の化学物質の分解を抑制する阻害因子であると云える。
【0058】
(実施例2)
実施例2では、膜脱気処理して無機炭素を除去する前の地下水のpHを変化させ、その変化させたpH値で、膜脱気処理を行った。具体的には、異なる2種類の地下水(E,F)に硫酸を添加して、pHを7,6,5,4,3に調整した。各pH調整後の地下水に膜脱気処理を行い、無機炭素を除去した。表2に、地下水EのpH調整後の無機炭素濃度と膜脱気処理後の無機炭素濃度をまとめた。また、表3に地下水FのpH調整後の無機炭素濃度と膜脱気処理後の無機炭素濃度をまとめた。なお、pH未調整の地下水E,Fの無機炭素濃度はそれぞれ117.3mg/L、75.3mg/Lであり、pH未調整の地下水E,Fの膜脱気処理後の無機炭素濃度はそれぞれ115.8mg/L、74.0mg/Lであった。
【0059】
【表2】

【表3】

【0060】
表2及び3から判るように、地下水のpHを5以下に調整した後に、膜脱気処理を行うことにより、地下水中の無機炭素を効率的に除去することができた。これは、地下水のpHを5以下にすると、地下水中の無機炭素は二酸化炭素(炭酸ガス)の状態で存在する比率が高くなるため、その後の膜脱気処理によって、地下水から容易に無機炭素を除去することができるからである。
【0061】
(実施例3〜5)
実施例3〜5では、TCEの分解試験を行った。まず、地下水Eに硫酸を添加して、pHを5,4,3に調整した後、各pH調整後の地下水に膜脱気処理を施し、無機炭素を除去した。そして、これらの地下水EにTCEを添加して、濃度を6.6mg/Lに調整した。これらの地下水20mLを60mLのバイアルビンにそれぞれ分注し、そこに過硫酸ナトリウムを濃度25000mg/Lとなるように添加して、分解試験を開始した。また、分解試験における水温は15〜20℃の範囲とした。分解試験中、経時的にTCE濃度をガスクロマトグラフにより測定した。
【0062】
(比較例1〜4)
比較例1では、地下水EにTCEを添加して、濃度を6.6mg/Lに調整し、経時的にTCE濃度をガスクロマトグラフにより測定した。比較例2では、地下水EにTCEを添加して、濃度を6.6mg/Lに調整し、そこに過硫酸ナトリウムを濃度25000mg/Lとなるように添加して、分解試験を開始した。そして、経時的にTCE濃度をガスクロマトグラフにより測定した。比較例3及び4は、地下水Eに硫酸を添加して、pHを7,6に調整した後、各pH調整後の地下水に膜脱気処理を施し、無機炭素を除去した。そして、これらの地下水EにTCEを添加して、濃度を6.6mg/Lに調整し、そこに過硫酸ナトリウムを濃度25000mg/Lとなるように添加して、分解試験を開始した。分解試験中、経時的にTCE濃度をガスクロマトグラフにより測定した。
【0063】
図8は、実施例3〜5及び比較例1〜4の時間経過とTCEの濃度との関係を示す図である。図8に示すように、地下水のpHを5以下に調整後、膜脱気処理を行って、無機炭素を除去することにより、TCEの分解時間を短縮することができた。
【0064】
(実施例6〜8)
実施例6〜8では、ベンゼンの分解試験を行った。まず、地下水Fに硫酸を添加して、pHを5,4,3に調整した後、各pH調整後の地下水に膜脱気処理を施し、無機炭素を除去した。そして、これらの地下水Fにベンゼンを添加して、濃度を5.5mg/Lに調整した。これらの地下水20mLを60mLのバイアルビンにそれぞれ分注し、そこに過硫酸ナトリウムを濃度5000mg/Lとなるように添加して、分解試験を開始した。また、分解試験における水温は15〜20℃の範囲とした。分解試験中、経時的にベンゼン濃度をガスクロマトグラフにより測定した。
【0065】
(比較例5〜8)
比較例5では、地下水Fにベンゼンを添加して、濃度を5.5mg/Lに調整し、経時的にベンゼン濃度をガスクロマトグラフにより測定した。比較例6では、地下水Fにベンゼンを添加して、濃度を5.5mg/Lに調整し、そこに過硫酸ナトリウムを濃度5000mg/Lとなるように添加して、分解試験を開始した。そして、経時的にベンゼン濃度をガスクロマトグラフにより測定した。比較例7及び8は、地下水Fに硫酸を添加して、pHを7,6に調整した後、各pH調整後の地下水に膜脱気処理を施し、無機炭素を除去した。そして、これらの地下水Fにベンゼンを添加して、濃度を5.5mg/Lに調整し、そこに過硫酸ナトリウムを濃度5000mg/Lとなるように添加して、分解試験を開始した。分解試験中、経時的にベンゼン濃度をガスクロマトグラフにより測定した。
【0066】
図9は、実施例6〜8及び比較例5〜8の時間経過とベンゼンの濃度との関係を示す図である。図9に示すように、地下水のpHを5以下に調整後、膜脱気処理を行って、無機炭素を除去することにより、ベンゼンの分解時間を短縮することができた。
【符号の説明】
【0067】
1,2 化学物質汚染の処理装置、10 揚水ポンプ、12 揚水ライン、14 揚水井戸、16 固液分離装置、18 pH調整槽、20 pHメータ、22 pH調整剤タンク、24 pH調整剤ポンプ、26 曝気装置、28 第1ラインミキサ、30 過硫酸塩タンク、32 過硫酸塩ポンプ、34 活性炭処理塔、36 吸引ポンプ、38 第2ラインミキサ、40 試薬貯槽、42 薬剤ポンプ、44 注入ライン、46 注入井戸、48,50,52,54,56,58,60,62 配管、64 第1ポンプ、66第2ポンプ、68 脱気装置、70 第3ポンプ、72 第4ポンプ、X 汚染領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学物質に汚染された汚染水に過硫酸塩を添加して、前記汚染水を浄化する化学物質汚染の浄化方法であって、
前記過硫酸塩を添加して、前記汚染水を浄化する前に、前記汚染水のpHを5以下にした後、炭酸ガス以外のガスにて曝気処理をして、前記汚染水に溶存する無機炭素を除去又は減少させることを特徴とする化学物質汚染の処理方法。
【請求項2】
化学物質に汚染された汚染水に過硫酸塩を添加して、前記汚染水を浄化する化学物質汚染の浄化方法であって、
前記過硫酸塩を添加して、前記汚染水を浄化する前に、前記汚染水のpHを5以下にした後、脱気処理をして、前記汚染水に溶存する無機炭素を除去又は減少させることを特徴とする化学物質汚染の処理方法。
【請求項3】
化学物質に汚染された地下水に過硫酸塩を添加して、前記地下水を原位置で浄化する化学物質汚染の浄化方法であって、
前記過硫酸塩を添加して、前記地下水を浄化する前に、前記地下水のpHを5以下にした後、炭酸ガス以外のガスにて曝気処理をして、前記地下水に溶存する無機炭素を除去又は減少させることを特徴とする化学物質汚染の処理方法。
【請求項4】
化学物質に汚染された地下水に過硫酸塩を添加して、前記地下水を原位置で浄化する化学物質汚染の浄化方法であって、
前記過硫酸塩を添加して、前記地下水を浄化する前に、前記地下水のpHを5以下にした後、脱気処理をして、前記地下水に溶存する無機炭素を除去又は減少させることを特徴とする化学物質汚染の処理方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学物質汚染の処理方法であって、曝気処理又は脱気処理により排出されるガスを活性炭処理することを特徴とする化学物質汚染の処理方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化学物質汚染の処理方法であって、前記過硫酸塩を添加した汚染水又は地下水を中和することを特徴とする化学物質汚染の処理方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化学物質汚染の処理方法であって、前記化学物質は有機塩素化合物又は芳香族炭化水素であることを特徴とする化学物質汚染の処理方法。
【請求項8】
化学物質に汚染された地下水を原位置で浄化する化学物質汚染の処理装置であって、
前記地下水に過硫酸塩を添加する過硫酸塩添加手段と、
前記過硫酸塩添加手段によって前記地下水に過硫酸塩を添加する前に、前記地下水のpHを5以下にした後、炭酸ガス以外のガスにて、曝気処理をして、前記地下水に溶存する無機炭素を除去又は減少させる無機炭素処理手段と、を備えることを特徴とする化学物質汚染の処理装置。
【請求項9】
化学物質に汚染された地下水を原位置で浄化する化学物質汚染の処理装置であって、
前記地下水に過硫酸塩を添加する過硫酸塩添加手段と、
前記過硫酸塩添加手段によって前記地下水に過硫酸塩を添加する前に、前記地下水のpHを5以下にした後、脱気処理をして、前記地下水に溶存する無機炭素を除去又は減少させる無機炭素処理手段と、を備えることを特徴とする化学物質汚染の処理装置。
【請求項10】
請求項8又は9記載の化学物質汚染の処理装置であって、前記無機炭素処理手段における曝気処理又は脱気処理により排出されるガスを活性炭処理する活性炭処理手段を備えることを特徴とする化学物質汚染の処理装置。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項に記載の化学物質汚染の処理装置であって、前記過硫酸塩添加手段により前記過硫酸塩が添加された地下水を中和する中和手段を備えることを特徴とする化学物質汚染の処理装置。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか1項に記載の化学物質汚染の処理装置であって、前記化学物質は、有機塩素化合物又は芳香族炭化水素であることを特徴とする化学物質汚染の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−161345(P2011−161345A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25256(P2010−25256)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】