説明

化粧シート及びその製造方法

【目的】 常温で小R曲げ加工が可能であり、深み、塗装感のある外観を呈し、多彩な外観を有する化粧シートを得る。
【構成】 熱可塑性樹脂フィルムと、非結晶性ポリエステル樹脂フィルムの間に、ビニルエステル樹脂含浸紙が積層一体化された化粧シートであり、熱可塑性樹脂フィルムとビニルエステル樹脂含浸紙をラミネートした後、該ビニルエステル樹脂含浸紙側に非結晶性ポリエステル樹脂フィルムが当接するように、対向し同一方向に走行する2つのベルトの間に挿入し、熱圧成形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絵柄の印刷やエンボス賦与などの装飾加工を施した熱可塑性樹脂からなる化粧材が知れており、構成するプラスチックとして塩化ビニル樹脂(PVC)が着色性、エンボス加工性に優れていることから主に使用されているが、近年、焼却廃棄処分時に有毒ガスが発生するといった環境上の問題や、基材に接着した場合、可塑剤が接着剤層に移行し接着不良になるといった問題から塩化ビニル樹脂が敬遠され、代替品としてPO系(ポリオレフィン)及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが使用されている。
【0003】
例えば、特開2004−243627号公報には、非晶質ポリエステルを主成分とする基材層と、該基材層の表面に形成された印刷層と、該印刷層の表面に形成された抗ブロッキング性ホットメルト型接着剤層と、該接着剤層の表面に形成された、非晶質ポリエステルを主成分とする透明層とを有する化粧シートが開示されている。また、特開平7−24979号公報には、基材シートに印刷インキ層を形成した不透明なポリオレフィン系樹脂フィルムを用い、印刷インキ層の保護シートとして透明な非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いた化粧シートが開示されている。更に、特開平11−286086号公報には、ポリオレフィンフィルムと、熱可塑性ポリエステル樹脂フィルムとがインク層を介して積層されてなる複合フィルムが開示されている。更にまた、特開平9−248892号公報には、分子中に塩素基を有しない熱可塑性合成樹脂フイルムよりなる基材シートの片面に印刷層、表面保護層を順に設け、もう一方の面に接着剤層を介して樹脂含浸紙からなる裏打ち材が積層された木口用化粧材が開示されている。
【特許文献1】特開2004−243627号公報
【特許文献2】特開平7−24979号公報
【特許文献3】特開平11−286086号公報
【特許文献4】特開平9−248892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フィルムであるがゆえに伸びやすく、基材に貼り合せたとき異物があるとフィルム表面に現れ易い欠点があった。
【0005】
また、紙に樹脂加工を施した強化化粧シート、例えばエンドレスメラミン、DAP(ジアリルフタレート)化粧シートや、強化化粧シートの裏面にPVCフィルムを貼り合わせたものがあるが、紙を基材にしたものは強度が不充分で折り曲げ加工を施すと破れやすい欠点があった。
【0006】
更に、意匠的にも表面コート層が薄いため塗装感がない、深み感に欠けるといった問題があった。
【0007】
かかる問題を解決するため化粧紙に紙間強化用樹脂を含浸し、熱可塑性樹脂透明フィルムと積層一体化する試みがなされているが、紙間強度、フィルムとの密着性に問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる状況に鑑み検討されたもので、以下のことを特徴とする化粧シート及びその製造方法である。すなわち、請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムと、非結晶性ポリエステル樹脂フィルムの間に、ビニルエステル樹脂含浸紙が積層一体化されてなることを特徴とする化粧シートである。また、請求項2記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムとビニルエステル樹脂含浸紙をラミネートした後、該ビニルエステル樹脂含浸紙側に非結晶性ポリエステル樹脂フィルムが当接するように、対向し同一方向に走行する2つのベルトの間に挿入し、熱圧成形することを特徴とする化粧シートの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、折り曲げ加工性、意匠性に優れ、平面用途はもちろんのこと、木口材としても好適に用いることができ、常温で180°折り曲げ加工が可能であり、深み、塗装感のある外観を呈する。また、紙を抄造する際、他の物質と混抄すれば立体感を有するなど多彩な外観を呈するものとなる。また、表層にフィルムを用いているため耐湿性、ガスバリア性、防汚性、耐洗浄性などの物理的性質、化学的性質に優れたものとなる更に、顔料でフィルムを着色し、同系色の化粧紙を用いれば切り口の色が目立つことなく、違和感のないものになる。加えて2つの金属ベルト間に挟み連続プレスのより安定的にフィルムを加熱・冷却する生産方式であるため、多段プレス方式と比較して内部気泡や、艶ムラ、変色が発生しにくいといった特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に用いるビニルエステル樹脂含浸紙は、熱硬化性樹脂化粧板用の化粧紙に、数1で示す含浸率が20〜120%になるように含浸し、乾燥したものが用いられる。
【0011】
【数1】

【0012】
ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とを反応して得られ、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールAとエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとの付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0013】
一塩基酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノメチルマレート、モノプロピルマレート、ソルビン酸あるいはモノ(2−エチルヘキシル)マレートなどが挙げられ、不飽和一塩基酸と併用される多塩基酸としては、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,12−ドデカン二酸の他ダイマー酸などが挙げられる。ニ塩基酸無水物として無水マレイン酸、無水フタル酸などが挙げられる。三塩基酸無水物として無水トリメリット酸を使用した変性品も使用可能である。
【0014】
また、ビニルエステル樹脂は、フェノール変性、酸、酸無水物変性、酸ペンダント、ウレタン変性、シリコーン変性、アリルエーテル変性、アセトアセチル化変性、部分エステル変性がなされてもよく、不飽和ポリエステル、(メタ)アクリル酸エステルモノマー或いはオリゴマー等とブレンドしてもよい。
【0015】
表層として用いられる熱可塑性樹脂シートは、透明性があれば、着色されていてもよく、従来公知の合成樹脂フィルムが用いられる。具体的には、飽和ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム等か使用される。
【0016】
前記フィルムの中でも、耐熱性、耐汚染性、耐溶剤性、透明性、機械的強度、寸法安定性などが優れる2軸延伸ポリエステルフィルムが好ましく用いられる。ポリエステルフィルムは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子化合物からなるフィルムの総称であり、特に好ましいポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレン−2、6ナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレン−2、6ナフタレートフィルムなどを挙げることができ、これらの中でも建材用として安価で汎用的なポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0017】
また、上記の合成樹脂フィルムはビニルエステル樹脂含浸紙と接する面には接着性を改良する目的で表面に処理が施される。接着性付与処理としては、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理などの表面活性化法、酸、アルカリ、アミン水溶液などの薬剤による表面エッチング法、或いは各種プライマーを塗布するなどが採用される。
【0018】
プライマーとしては、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、アクリル系樹脂、塩素化ポリオレフィン、ポリアミド樹脂が使用できる。
【0019】
前記合成樹脂フィルムの表面となる面には耐擦傷性、硬度、耐汚染性を向上させる目的でハ−ドコート層が紫外線、電子線などにより硬化する電離放射線硬化型樹脂を主成分とする樹脂液を塗布することにより設けられる。樹脂液は、電離放射線硬化型樹脂の他に、光開始剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含み、電離放射線硬化型樹脂の架橋硬化により形成されたハードコート層は、JIS鉛筆硬度がH〜7Hと非常に高い硬度を示すものである。
【0020】
電離放射線硬化型樹脂は、透明な樹脂であれば特に限定されるものではないが、透明性が優れる点でアクリル系樹脂を用いることが好ましい。アクリル系樹脂としては、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂及びエポキシアクリレート系樹脂等を用いることができる。電離放射線硬化型樹脂としては、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化可能な多官能(メタ)アクリレートからなるものが挙げられる。分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、(メタ)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレートなどのエポキシ(メタ)アクリレート、多価アルコールと多価カルボン酸及び/またはその無水物と(メタ)アクリル酸とをエステル化することによって得ることが出来るポリエステル(メタ)アクリレート、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレート、ポリシロキサンポリ(メタ)アクリレート等を挙げられ、多官能(メタ)アクリレートは単独で用いても、または2種以上を混合して用いてもよい。
【0021】
多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい理由としては、(メタ)アクリレート密度を上げ、有機物の架橋度を上げることで硬さ特性が向上するからである。官能基数は3〜6が耐溶剤性が向上することから望ましく、6官能より多いと低出力ランプでの硬化が可能となるが塗工、硬化後に不飽和基が残存し変色など耐光性に欠け、逆に3官能より少ないと高照射線量が必要となり架橋密度低下につながり硬さ特性が低下しやすくなる。前記の多官能(メタ)アクリレートの中でも、とりわけジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)が、ハードコート層の耐殺傷性、透明性に優れることから好ましい。
【0022】
また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレートを配合しても良い。
【0023】
光開始剤としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノンなどのアセトフェノン類、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p′−ビスジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2−イソピルチオキサンソンなどのイオウ化合物、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノンなどのアントラキノン類、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールなどのチオール化合物、その他、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキサイドなどの有機過酸化物が例示され、重合性プレポリマー、重合性モノマーと相溶性のあるものを適宜選択し、単独で使用もしくは複数種を併用することができる。
【0024】
放射線硬化性樹脂により形成されるハ−ドコート層の厚みは特に規定されるものではないが、硬化性やコスト、硬化後の透明性等の加工を考慮すると、1〜20μm、より好ましくは3〜15μmである。下限に満たないとハ−ドコート層としても機能を発揮せず、上限を超えるとクラックなどが入りやすくなる。
【0025】
塗布方法についても特に規定されるものではなく、従来公知の方法で塗布可能であり、グラビアロールコ−ティング法、フロ−コ−ティング法、バーコーティング法、ナイフコーティング法などを採択すればよい。
【0026】
紫外線の照射により硬化するときの紫外線源としては、高圧水銀灯、炭素アーク灯、メタルハライド灯等が挙げられる。照射量、照射時間等は樹脂の性状に応じて適宜調整される。
【0027】
裏面層として用いる非結晶性ポリエチレンテレフタレートフィルムは、化粧シートのカール防止と接着適正及び折り曲げ加工性を向上させ、曲面部に貼り合わせた時折れ曲がったり破損しないことを目的とするものである。このフィルムは、単軸押出機や二軸押出機によるTダイ押出法或いはカレンダー方式によりポリエステル樹脂を溶融し、所定の幅、厚さのフィルムとして得ることができる。
【0028】
ここで非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂とは、ジカルボン酸成分とジオール成分のエステル結合で得られるポリエステル樹脂であり、JIS K7121の「プラスチックスの転移温度測定方法」に基づき、DSCの測定により明確な融点ピークが認められないことを意味するものであり、A−PET、PETG(Polyethylene Terephthalate Glycol)と称せられるものである。
【0029】
本発明において裏面に特に非結晶性共重合ポリエステルを採用する理由は、結晶性ポリエステル樹脂では前記のビニルエステル樹脂含浸化粧紙との密着性が劣り、プライマー処理、事前の貼り合わせ処理が必要であり、製造工程が複雑になる。また、折り曲げ加工時に化粧シートの反発が強くなるためである。
【0030】
非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂は、具体的には、テレフタル酸を主とする二塩基酸成分と、1,4−シクロヘキサンジメタノール(1,4CHD M)を10〜50モル%をジオール成分として含み、更にエチレングリコールを90〜50モル%を含むグリコール成分とを共重合させたポリエステル樹脂である。エチレングリコールが上限を超える場合、及び下限に満たない場合は、製膜したシートの結晶性が顕著になり、加工性、接着性に劣る。
【0031】
組成物中には必要に応じて各種添加剤が含有されていてもよく、添加剤としては、二酸化チタン、微粒子シリカ、カオリン、炭酸カルシウムなどの滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、酸素吸収剤、紫外線防止剤、顔料、染料などの着色剤などが挙げられる。
【0032】
顔料としては特に限定されず、着色顔料、メタリック顔料、干渉色顔料、蛍光顔料、体質顔料および防錆顔料などの公知慣用の顔料を使用することができる。
【0033】
着色顔料としては、例えば、キナクリドンレッド等のキナクリドン系、ピグメントレッド等のアゾ系、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンおよびペリレンレッド等のフタロシアニン系等の有機顔料;酸化チタンやカーボンブラック等の無機顔料が挙げられ、メタリック顔料としては、例えば、アルミニウム粉、ニッケル粉、銅粉、真鍮粉およびクロム粉等が挙げられる。
【0034】
ビニルエステル樹脂含浸化粧紙に接する面には密着性を向上させる目的でプライマーを塗布してもよい。プライマーとしては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の樹脂を溶媒に溶解した塗工液が使用されるが、特にポリウレタン樹脂が望ましい。
【0035】
プライマーは、通常公知の塗工方法、例えば、ブレードコート、エアナイフコート、リバースロールコート、グラビアコート、キスコート、カーテンコート、スプレーコート、ロッドコートなどを用いて塗布すればよく、プライマー層の厚さは、0.005〜3μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.01〜2μmの範囲である。厚さが0.005μmより薄い場合は、接着力の向上に寄与せず、3μmよりも厚い場合は、プライマー層の凝集破壊が起りやすくなる。
【0036】
以下、実施例、比較例を挙げて詳細に説明する。
【実施例1】
【0037】
表層シート
両面が易接着処理が施された高透明、高平滑な厚み125μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製 コスモシャイン)の片面にUVハードコート処理をしたものを使用した。UVハードコート処理には下記のハードコート組成物を用いて塗布し、乾燥して溶剤を除去した後、塗布面側から紫外線を照射線量1500mJ/cm2で照射して硬化させ、厚み5μmのハードコート層を形成した。
ハードコート組成物
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 5重量部
光開始剤 ベンジルジメチルケタール 0.25重量部
(商品名 イルガキュア651 日本チバガイギー(株)製)
メチルイソブチルケトン 94.75重量部
樹脂含浸化粧紙の製造
ビニルエステル樹脂を主成分とする樹脂液
ビニルエステル樹脂 100重量部
(商品名 リポキシRF313、昭和高分子株式会社製)
イソシアネートオリゴマー 5重量部
(商品名 コロネートHX、日本ポリウレタン工業株式会社製)
硬化剤(BPO) 2重量部
酢酸ブチル 100重量部
木目柄が印刷された80g/mの化粧紙に樹脂液を数1で示す算出方法で50%となるように含浸し、乾燥してビニルエステル樹脂含浸化粧紙を得た。
裏面シート
厚み100μmで、テレフタル酸を主とする二塩基酸成分と、1,4−シクロヘキサンジメタノール(1,4CHD M)主とするグリコール成分とを共重合させたポリエステル樹脂を用いたPETGフィルム(イーストマンケミカル社製 EastarPETG)を使用した。
化粧シートの製造
表層シートの易接着処理面に2液タイプのドライラミネート用接着剤(タケラック/タケネート 三井武田ケミカル株式会社製)を固形分換算で20g/mになるように塗布、乾燥した後、ビニルエステル樹脂含浸化粧紙と貼り合わせた。次いで、裏面シートが該ビニルエステル樹脂含浸化粧紙に接するようにして、対向し同一方向に走行する2つの鏡面金属ベルトの間に挿入し、温度150℃、圧力25kg/cm、時間30秒の条件で連続的に熱圧・冷却成形して厚さ0.3mmの実施例1の化粧シートを得た。
【0038】
比較例1
樹脂液
不飽和ポリエステル樹脂 100重量部
硬化剤(BPO) 2重量部
酢酸ブチル 100重量部
実施例1において、ビニルエステル樹脂を主成分とする樹脂液に代えて上記の不飽和ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂液を用いた以外は同様に実施した。
【0039】
比較例2
60g/mの化粧コート紙と、紙間強化ラテックスコア紙とをエチレン酢ビ系接着剤で貼り合せ厚さ0.3mmの化粧シートを得た。
【0040】
評価結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
試験方法は以下の通りとした。
外観;目視にて確認し深み感ありを○、深み感なきを×とした。
層間強度;基材のMDFを用いポリウレタン系ホットメルト接着剤で貼り合わせた後、平面引張試験(JISA5908準拠)を実施した。[kgf/cm]
耐煮沸;JISK6902(耐煮沸性)に基づいて実施し、異常なきを○、層間剥離有りを×、表面が変色したものを××とした。
耐溶剤;塗料シンナーを含ませた布で化粧表面を擦り異常なきを○とし、柄落ちしたものを×とした。
Vカット;MDF基材に貼り合せた後、裏面から表面層に至る深さでV溝を切削し、パーチクルボードの角にあてがい90°曲げた時、異常なきを○、表面にクラックが入ったものを×とした。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の化粧シートを示す構成断面図。
【図2】化粧シートの製造方法を示す正面図。
【符号の説明】
【0044】
1 表層シート
2 ビニルエステル樹脂含浸化粧紙
3 裏面シート
4 表層シートとビニルエステル樹脂含浸化粧紙をラミネートしたシート
7 ベルト
7´ ベルト
8 成形機
20 化粧シート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂フィルムと、非結晶性ポリエステル樹脂フィルムの間に、ビニルエステル樹脂含浸紙が積層一体化されてなることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
熱可塑性樹脂フィルムとビニルエステル樹脂含浸紙をラミネートした後、該ビニルエステル樹脂含浸紙側に非結晶性ポリエステル樹脂フィルムが当接するように、対向し同一方向に走行する2つのベルトの間に挿入し、熱圧成形することを特徴とする化粧シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−90657(P2007−90657A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282933(P2005−282933)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】