説明

化粧フィルム、その化粧フィルムを積層した化粧板及びその化粧板からなる製品

【課題】静電気による埃付着等が少なく、帯電防止性などの特性に優れた化粧フィルム、およびその化粧フィルムを積層した化粧板を提供する。
【解決手段】下層として接着樹脂層3と、芯層として顔料を含有したポリエステル樹脂からなる基材樹脂層4と、上層として顔料を含有したポリエステル樹脂からなる表面層5とからなり、かつ共押出法により製膜された化粧フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧フィルムおよびその化粧フィルムを積層した化粧板に係り、より詳しくは室内家具、電気冷蔵庫のドア、エアコンカバー等の家庭電化製品の筐体、金属製家具、エレベータ、間仕切り、カーテンレール、真空設備の壁材、建築物等の内装パネルのように、特に意匠性を要求される用途に用いられる、帯電防止性あるいは抗菌性などの機能性に優れ、かつ薄膜成形性に優れた化粧フィルムおよびその化粧フィルムを積層した化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内家具、家電製品の外装材、建築物の内装材等に使用される化粧板としては、
(1)基材となる樹脂層に通常の方法を用いて印刷を施し、印刷層の表面保護のために、アクリル系樹脂等のコート層を設けた化粧フィルム、
(2)ポリ塩化ビニルフィルムの上に通常の方法を用いて印刷を施した後、透明なポリ塩化ビニルフィルムや二軸延伸ポリエステルフィルムを積層した化粧フィルム
などの化粧フィルムを、接着剤を介して亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、ステンレス鋼板などの金属板、木質合板、無機質ボードに積層したものが知られている。
【0003】
さらに、これらの化粧フィルムには、静電気を帯びて埃の付着が生じやすい為に帯電防止を目的とし、帯電防止剤を表面にコーティングしたものもある。しかしながら、金属板に上記(1)の化粧フィルムを積層した化粧金属板は、化粧フィルムの強度が不十分であるため、加工時に化粧フィルムが割れたり、コーナー部のインキが剥離し易いという欠点を有しており、高加工用途には適していない。金属板に上記(2)の化粧フィルムを積層した化粧金属板は、ポリ塩化ビニルフィルムが用いられているため、耐汚染性、耐溶剤性などの表面物性が劣り、また焼却して廃棄処理する際に、塩化水素ガスのような有毒ガスおよびそれに起因する有害物質が発生して環境を汚染したり、焼却する際に焼却炉を傷めたりするおそれがあるなどの問題を抱えている。
【0004】
また、上記のいずれのフィルムについても、静電気の発生により、埃がフィルムに付着し、汚れの問題が発生する。この静電気による埃の付着を防ぐために、帯電防止剤をフィルム表面にコーティングする方法が検討されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
しかし、表面の光沢が変化することもあり、また、加工時や使用時にコーティング層が剥離することもあり、意匠性を損なうことになる。
さらに、単層のフィルムにエンボス加工を施したり、あるいは顔料、帯電防止剤、滑剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤または芳香剤などの添加剤が含ませることにより種々の機能を付与する場合、優れたエンボス性あるいは製膜性を有するためには、フィルムの厚みを厚くする必要があり、これらの添加剤の機能を効果的にするためには、添加量が多量必要となり、高価なものになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−028728号公報
【特許文献2】特開平03−255139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題を解決することを目的として、静電気発生による埃付着の少ない帯電防止性、滑り性、耐抗菌性、耐酸化性、吸臭性、光触媒作用、撥水性、親水性、撥油性、紫外線吸収性または/及び芳香性などの機能性に優れ、かつ薄膜での製膜性あるいはエンボス加工性に優れた化粧フィルムおよびその化粧フィルムを積層した化粧板、その化粧板を用いた内装パネル、家庭電化製品の筐体、カーテンレール、真空設備の壁材、金属製家具あるいは間仕切り等の製品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の化粧フィルムは、下層として接着樹脂層と、芯層として顔料を含有したポリエステル樹脂からなる基材樹脂層と、上層として顔料を含有したポリエステル樹脂からなる表面層とからなり、かつ共押出法により製膜されてなる化粧フィルムであって、前記接着樹脂層を基板と当接することを特徴とする(請求項1)。
本発明の化粧フィルムは、下層として接着樹脂層と、上層として顔料を含有したポリエステル樹脂からなる表面層とからなり、かつ共押出法により製膜されてなる化粧フィルムであって、前記接着樹脂層を基板と当接することを特徴とする(請求項2)。
前記化粧フィルム(請求項1〜2)は、前記表面層の表面に、下から順次印刷層、ポリエステル樹脂からなる保護層を有することを特徴とする(請求項3)。
前記化粧フィルム(請求項3)は、前記ポリエステル樹脂からなる保護層が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂あるいはポリブチレンテレフタレート樹脂からなることを特徴とする(請求項4)。
前記化粧フィルム(請求項1〜4)は、表面層、基材樹脂層または/及び接着樹脂層が帯電防止剤、滑剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を含有することを特徴とする(請求項5)。
前記化粧フィルム(請求項3〜5)は、保護層が帯電防止剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を含有することを特徴とする(請求項6)。
前記化粧フィルム(請求項1〜6)は、ポリエステル樹脂からなる表面層が、ポリブチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする(請求項7)。
前記化粧フィルム(請求項1〜7)は、接着樹脂層が、ポリエステル樹脂からなることを特徴とする(請求項8)。
前記化粧フィルム(請求項8)は、前記接着樹脂層を構成するポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートの多価酸成分もしくは多価アルコール成分の一部を他の成分で置き換えた結晶性の共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする(請求項9)。
前記化粧フィルム(請求項1〜9)は、前記表面層にエンボス加工、鏡面仕上加工のいずれかが施されてなることを特徴とする(請求項10)。
前記化粧フィルム(請求項1〜10)は、前記表面層の上にさらに艶調整層を設けてなることを特徴とする(請求項11)。
【0008】
本発明の化粧板は、前記化粧フィルム(請求項1〜11)を、当該化粧フィルムの接着樹脂層を基板表面に接するようにして積層してなることを特徴とする(請求項12)。
本発明の化粧板は、化粧フィルム(請求項1〜11)の接着樹脂層の面を、接着剤を介して基板に積層してなることを特徴とする(請求項13)。
前記化粧板(請求項12〜13)は、前記基板が金属板であることを特徴とする(請求項14)。
前記化粧板(請求項12〜14)を加工して成る本発明の製品(請求項15)としては特に内装パネル、家庭電化製品の筐体、カーテンレール、真空設備の壁材、間仕切りあるいは金属製家具を挙げることができる。
本発明の化粧板の製造方法は、下層として接着樹脂層と、芯層として顔料を含有したポリエステル樹脂からなる基材樹脂層と、上層として顔料を含有したポリエステル樹脂からなる表面層とからなる溶融状態の複層樹脂を、当該複層樹脂の接着樹脂層を基板表面に接するようにして積層して成ることを特徴とする(請求項16)。
本発明の化粧板の製造方法は、下層として接着樹脂層と、上層として顔料を含有したポリエステル樹脂からなる表面層とからなる溶融状態の複層樹脂を、当該複層樹脂の接着樹脂層を、基板に接するように積層してなることを特徴とする(請求項17)。
前記化粧板の製造方法(請求項16〜17)は、表面層、基材樹脂層または/及び接着樹脂層が、帯電防止剤、滑剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を含有することを特徴とする(請求項18)。
前記化粧板の製造方法(請求項16〜18)は、前記溶融状態の複層樹脂を基板に積層した後、表面層にエンボス加工を施すことを特徴とする(請求項19)。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化粧フィルムは、焼却時に有毒ガスおよびそれに起因する有害物質が発生して環境を汚染するおそれがあるポリ塩化ビニル樹脂フィルムを含まないので、環境に優しいフィルムである。また、本発明の化粧フィルムは、下層から順に接着樹脂層、基材樹脂層及び、帯電防止剤、滑剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を含有した表面層からなっているので、該化粧フィルムの表面が静電荷を帯びることなく、埃、汚れ、カビ、油が付着しにくく、撥水しやすいので錆が発生しにくく、好ましい香りを発するなどの機能を有する。また、表面層は、化粧フィルムの表面に薄く形成されているので、高価な帯電防止剤、抗菌剤、撥水剤、紫外線吸収剤あるいは芳香剤などをより少ない添加量で、効果的に帯電防止作用、抗菌作用、撥水作用、撥油作用、吸臭作用、酸化防止作用あるいは芳香作用などの機能を多岐に亘って発揮することができる。
また、表面層及びその下層の基材樹脂層が顔料を含んでいる場合、隠蔽性に優れた化粧フィルムとすることができる。基材樹脂層は表面層と接着樹脂層との中間にあるので、顔料をより多く含ませることが可能となり、耐衝撃性、耐薬品性及び耐汚れ性などの特性を維持するとともに、より薄い膜厚で隠蔽性を持たせることができる。
さらに、薄い膜厚でも、本発明の化粧フィルムは、優れた製膜性、隠蔽性及びエンボス加工性を有する。
このように隠蔽性、耐衝撃性、耐薬品性、耐汚れ性などの特性に優れた化粧フィルムを積層した化粧板は、ほとんど帯電することがなく、経済的であり、内装パネルあるいは真空設備の壁材などに適用できる。特に、真空設備の壁材などに適用した場合には、壁材に埃、汚れが付着しにくいために、真空度をより高くすることができる。
また、表面層の上に、下層として印刷層と、上層としてその印刷層を保護する保護層を設けることによって、さらに意匠性を付与することができる。この場合、帯電防止剤、滑剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤は、保護層に添加した方がより効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の化粧フィルムの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の化粧フィルムの他の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の化粧フィルムの他の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の化粧板の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明においては、焼却時に有毒ガスおよびそれに起因する有害物質が発生して環境を汚染するおそれがあるポリ塩化ビニル樹脂フィルムに替わる意匠性や耐汚染性、耐溶剤性などの表面物性に優れ、カビが発生しにくく、さらに埃が付着しにくく、抗菌性、帯電防止性、芳香性、吸湿性、撥水性、撥油性、吸臭性などに優れている化粧板に積層する化粧フィルムおよびそのフィルムを積層した化粧板について鋭意検討した結果、選択的に積層される接着樹脂層3としてポリエステルフィルムを用い、基材樹脂層4として顔料を含有したポリエステルフィルムを用い、さらに帯電防止剤、滑剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を含有し、かつ顔料を含有した表面層5を、選択的に下から順次積層することにより、上記の要求特性を満足する化粧板に積層する化粧フィルムが得られることが判明した。例えば、帯電防止剤を表面層5に添加する場合、表面層5の中に帯電防止剤を1〜25重量%含有させることにより、帯電防止剤をフィルム表面にコーティングした場合と同等以上の帯電防止効果が得られることが判明した。より好ましくは、10〜25重量%添加するとより効果的である。この他、抗菌剤を表面層5に添加することにより、優れた抗菌性を有する化粧板も得られることが判明した。また、表面層5の表面に、下から順次印刷層7、保護層8を設けることにより、優れた意匠性を有することが判明した。
また、薄い膜厚でも、優れた製膜性及びエンボス加工性を有する化粧フィルム1が得られることが判明した。
【0012】
以下に本発明についてその内容を説明する。図1〜図3はそれぞれ本発明の化粧フィルムの例を示す断面図、図4は本発明の化粧板の例を示す断面図である。1は化粧フィルム、2は基板、3は接着樹脂層、4は基材樹脂層、5は表面層、6はエンボス凹部、10は化粧板をそれぞれ表している。本発明の化粧フィルム1の1実施形態は、図1に示すように、接着樹脂層3の上面に基材樹脂層4が積層されており、基材樹脂層4の上面に表面層5が積層されて形成されている。表面層5の表面には図示するようにエンボス加工が施され、エンボス凹部6が設けられていてもよい。図示していないが、表面層5には、艶調整層を設けても良い。また、本発明の化粧フィルム1の他の実施形態は、図2に示すように、接着樹脂層3の上面に表面層5が積層されて形成されている。表面層5の表面には図示するようにエンボス加工が施され、エンボス凹部6が設けられていてもよい。図示していないが、表面層5には、艶調整層を設けても良い。
本発明の化粧フィルム1の他の実施形態は、図3に示すように、下層から順次、接着樹脂層3、基材樹脂層4、表面層5、印刷層7.保護層8が積層されて形成されている。印刷層7を設けることにより、意匠性を付与することができる。
【0013】
図4は、図1に示した化粧フィルム1を基板2に積層した化粧板10を示す。この場合、図示しないが、接着剤を基板2と接着樹脂層3の間に介して接着しても良い。なお、図2に示した化粧フィルム1を基板2に積層する場合、図示しないが、接着樹脂層3を基板2側に向け、接着樹脂層3を介して化粧フィルム1を積層して化粧板10を得る。また、この場合、図示しないが、接着剤を基板2と接着樹脂層3の間に介して化粧フィルム1を接着しても良い。
また、図3に示した化粧フィルム1を基板2に積層する場合、図示しないが、接着樹脂層3を基板2側に向け、接着樹脂層3を介して化粧フィルム1を積層して化粧板10を得る。また、この場合、接着剤を基板2と接着樹脂層3の間に介して化粧フィルム1を接着しても良い。
【0014】
本発明の接着樹脂層3に用いる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートを用いることができる。特に、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートの多価酸成分、または多価アルコール成分の一部を他の成分で置き換えた結晶性の共重合ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。より好ましくは、共重合のポリエチレンテレフタレート樹脂が好ましい。接着樹脂層3、基材樹脂層4と表面層5の3層からなる化粧フィルムの場合、接着樹脂層3の厚みは、基板との接着性およびフィルムの形状を補正するために、少なくとも5μm以上必要である。この場合、厚い方は経済性を損なわない限り厚くてもかまわない。あえて経済性を考慮すると、厚みの上限は10μmである。なお、接着樹脂層3と表面層5の2層からなる化粧フィルムの場合、接着樹脂層3の厚みは、基板2との接着性およびフィルムの形状を補正する以外に、製膜性及びエンボス加工性のために、少なくとも15μm以上必要である。この場合、厚い方は経済性を損なわない限り厚くてもかまわない。あえて経済性を考慮すると、厚みの上限は35μmである。
この共重合ポリエステル樹脂を構成する材料の―例としては、以下の組成を有する共重合ポリエステル樹脂などが好適に用いられる。すなわち、樹脂を形成するソフトセグメントとして、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、あるいはポリε−カプロラクトン、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸などのHOOC−[CH]n−COOHの分子構造を有する脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族および/または脂環族ジオールからなる脂肪族ポリエステルなどが好適に用いられる。
【0015】
また、樹脂を構成するハードセグメントとしては、エチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート、シクロへキサンジメチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメチレンシクロへキサンジカルボキシレート、ブチレン2,6ナフタレンジカルボキシレートなどの芳香族および/または脂環族エステルユニットから選ばれた少なくとも一つから構成されていることが好ましい。さらに、テレフタル酸の一部をイソフタル酸で置き換えても良い。この場合、イソフタル酸の添加量は、20モル%以下の範囲が望ましい。イソフタル酸を添加することにより、接着温度を下げることができるが、20モル%を超えると、製膜性が困難になる点で問題がある。
【0016】
さらに、アルコール成分として、1,4ブタンジオール残基を含有していることが耐溶剤性の点で好ましく、共重合ポリエステルを形成する全アルコール成分に占める1,4ブタンジオール残基が40モル%以上、65モル%以下であることが好ましい。40モル%未満であると耐溶剤性が悪くなり、65モル%を超えるとアルコール成分が過剰となるからである。
【0017】
最下層が接着樹脂層3である化粧フィルム1を直接基板2に積層する際に、基板2との密着力がより強く要求される場合には、樹脂成分の一部にアイオノマー樹脂成分を含有させると好適な密着性が得られる。この場合、アイオノマー樹脂成分を全体樹脂成分の1〜50重量%とすることが密着力維持のために好ましい。その他、基板2との密着力がより強く要求される場合に適用する方法として、接着樹脂層3と基板2の間に接着剤層を設ける。
機能を発現させるための添加剤として、顔料、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を0.1重量%以上含有させても良い。その場合、添加剤の含有率は最大50重量%とする。また、帯電防止剤を1〜25重量%添加しても良い。より好ましくは、10〜25重量%添加するとより効果的である。さらに、滑剤としては平均粒径が0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの微細粉末を用いて添加する。この微細粉末は化粧フィルム1の接着樹脂層中に0.05〜5重量%含有させる。より好ましくは0.1〜0.5重量%含有させる。
なお、これらの添加剤の明細は基材樹脂層4及び表面層5を説明する項で述べ、基材樹脂層4及び表面層5と同じ添加剤を使うことができる。
【0018】
接着樹脂層3と表面層5とからなる2層の化粧フィルム1を基板2に積層する場合、接着樹脂層3を基板2に接するように行うが、接着樹脂層3と基板2の間に接着剤層を介して接着させても良い。なお、表面層5、基材樹脂層4、接着樹脂層3の3層の化粧フィルム1を基板2に積層する場合にも、接着樹脂層3と基板2の間に接着剤層を介して接着させても良い。
接着剤層に用いる接着剤としては、一般的な接着剤、例えば、ポリエステル系、アクリル系、酢酸ビニル樹脂系、エチレン−ビニルアセテート樹脂系、尿素樹脂系、ウレタン樹脂系などのエマルジョン型接着剤が、火気に対して安全で、臭気もなく、価格的にも安価なため好ましく用いられる。
【0019】
本発明の基材樹脂層4に用いる樹脂としては、0.7〜2.0の固有粘度(IV値)を有するポリブチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましいが、固有粘度は製膜性の面から1.70以下、耐水経時性(耐水劣化性)の面から1.35以上であることがより好ましい。ポリブチレンテレフタレート以外にポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエチレンテレフタレートあるいは共重合ポリブチレンテレフタレートを用いることができる。
【0020】
また、基材樹脂層4は、押出機を用いて製膜する際に、樹脂中に着色顔料を混練する。顔料として、公知の無機顔料または有機顔料を使用することができるが、製膜時、耐熱性が要求される場合は無機顔料が望ましい。無機顔料としては、例えば群青、紺青、酸化コバルト、二酸化チタン、チタニウム・イエロー、チタンブラック、コバルト青あるいは、モリブデン赤などが適用できる。また、有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、溶性アゾ顔料、フタロシアニンブルー、キナクリドン、ジオキサジンバイオレットあるいは、ペリノン・ペリレンなどが適用できる。
顔料は、40重量%以下含有することが望ましい。40重量%を越えると、製膜性、下層の接着樹脂層3との密着性の点で問題がある。
【0021】
また、機能を発現させるための添加剤として、顔料の他に、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を0.1重量%以上含有させても良い。その場合、添加剤の含有率は最大50重量%とする。また、帯電防止剤を1〜25重量%添加しても良い。より好ましくは、10〜25重量%添加するとより効果的である。さらに、滑剤としては平均粒径が0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの微細粉末を用いて添加する。この微細粉末は化粧フィルムの基材樹脂層中に0.05〜5重量%含有させる。より好ましくは0.1〜0.5重量%含有させる。
なお、これらの添加剤の明細は表面層5を説明する項で述べ、表面層5に用いた添加剤を適用することができる。
基材樹脂層4の厚みは、薄くしても製膜性及びエンボス性の点で困難となる。すなわち薄すぎる場合、フィルムに成形しにくく、エンボス加工を施しても表面の凹凸のばらつきが大きく、顔料を添加しても顔料の色を忠実に示さない。また、顔料などの添加剤が樹脂の中に入っていると、オリゴマーが形成しやすく、製膜の点で問題となる。
発明者らが鋭意検討した結果、製膜性及びエンボス性を考慮すると、厚みは少なくとも15μm必要である。この厚み未満の場合、製膜性及びエンボス性の点で問題がある。厚みの上限は、経済性を考慮しなければ厚くても構わない。経済性をあえて考慮すると、厚みの上限は25μmである。
【0022】
表面層5としてはポリエチレンテレフタレートをはじめとするポリエステル樹脂のフィルム、ポリカーボネートフィルム、またはアクリル樹脂フィルムを用いることが好ましく、なかでも無延伸ポリエステルフィルムを用いることがより好ましい。ポリエステル樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートや、ポリエチレンテレフタレートの多価酸成分、または多価アルコール成分の一部を他の成分で置き換えた結晶性の共重合ポリエステル樹脂であることが好ましい。特に、無延伸のポリブチレンテレフタレートを用いた場合、エンボス加工が施しやすい。さらに、基材樹脂層4を同じポリブチレンテレフタレートにすると、基材樹脂層4との接着性およびエンボス加工性等の点でより望ましい。このポリエステル樹脂フィルムは、可塑剤及びハロゲン属元素を含まないポリエステル樹脂からなることを特徴とする。さらに、表面層5の表面に選択的にエンボス加工を施してエンボス凹部6を形成させてもよい。エンボス加工は、2層あるいは3層の化粧フィルム1に製膜し、これらの化粧フィルムを基板上に積層した後に加熱して行う。
【0023】
表面層5には、基材樹脂層4に添加した同一の顔料を添加する。顔料の含有率は、30重量%以下が良い。30重量%を越えると、製膜性が困難になる点で問題がある。顔料は、基材樹脂層4の項で説明したものを用いる。
また、機能を発現させるための添加剤として、顔料の他に、滑剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を0.1重量%以上含有させても良い。その場合、添加剤の含有率は最大50重量%とする。上記以外に、帯電防止剤を1〜25重量%添加しても良い。より好ましくは、10〜25重量%添加するとより効果的である。
【0024】
表面層5に添加する帯電防止剤については、表面層5の固形分に対してノニオン系、カチオン系、アニオン系の界面活性剤などの帯電防止剤を固形分として1〜25重量%以下含有させる。25重量%を超えて含有させても帯電防止効果の向上は認められず、また接着性が劣化して基材樹脂層4との好適な密着性が得られなくなるからである。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステルあるいはソルビタン脂肪酸エステルなどが適用できる。アニオン性界面活性剤としては、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェートあるいはアルキルホスフェートなどが適用できる。カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウムサルフェートあるいは第4級アンモニウムナイトレートなどが適用できる。両性界面活性剤としては、アルキルペタイン型両性界面活性剤、アルキルイミダゾリン型両性界面活性剤あるいはアルキルアラニン型両性界面活性剤などが挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
【0025】
また、上記以外の帯電防止剤として、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミドあるいはポリエーテルエステルアミドが適用できる。特に、ポリエーテルエステルアミドが望ましい。特定分子量のポリアミドと芳香環含有ポリエーテルから誘導される高粘度のポリエーテルエステルアミドが、耐熱性および帯電防止性に優れており、またこのポリエーテルエステルアミドと熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物が耐熱性、永久帯電防止性および機械的特性に優れる。
すなわち、両末端にカルボキシル基を有する数平均分子量500〜5,000のポリアミドと数平均分子量500〜5,000の芳香環含有ポリエーテルから誘導されるポリエーテルエステルアミド、ならびに該ポリエーテルエステルアミドと熱可塑性樹脂からなる樹脂組成物を帯電防止剤として用いるとよい。
【0026】
ポリエーテルエステルアミドを構成する両末端にカルボキシル基を有するポリアミドは、(1)ラクタム開環重合体、(2)アミノカルボン酸の重縮合体もしくは(3)ジカルボン酸とジアミンの重縮合体である。上記(1)のラクタムとしては、カプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム、ウンデカノラクタム等が挙げられる。上記(2)のアミノカルボン酸としては、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。上記(3)のジカルボン酸としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸、イソフタル等酸が挙げられ、またジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン等が挙げられる。上記アミド形成性モノマーとして例示したものは二種以上を併用してもよい。これらのうち好ましいものは、カプロラクタム、12−アミノドデカン酸およびアジピン酸−ヘキサメチレンジアミンであり、特に好ましいものはカプロラクタムである。
【0027】
両末端にカルボキシル基を有するポリアミドは、炭素数4〜20のジカルボン酸を分子量調整剤として使用し、これの存在下に上記アミド形成性モノマーを常法により開環重合あるいは重縮合させることによって得られる。炭素数を4〜20のジカルボン酸にすることにより、ポリアミドの分子量を容易に調整することができる。また、炭素数3以下であると、アミド形成ポリマーとの反応によりポリアミドを作製する際、酸性が比較的強く出て反応性の点で問題があり、炭素数21以上であると、アミド形成ポリマーとの反応によりポリアミドを作製する際、酸性が弱くなり反応性の点で問題がある。炭素数4〜20のジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;3−スルホイソフタル酸ナトリウム、3−スルホイソフタル酸カリウム等の3−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩;およびこれらの二種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および3−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩であり、特に好ましいものはアジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸および3−スルホイソフタル酸ナトリウムである。
【0028】
上記両末端にカルボキシル基を有するポリアミドの数平均分子量は、通常500〜5,000、好ましくは500〜3,000である。数平均分子量が500未満ではポリエーテルエステルアミド自体の耐熱性が低下し、5,000を超えると反応性が低下するためポリエーテルエステルアミド製造時に多大な時間を要する。
【0029】
上記ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミドあるいはポリエーテルエステルアミドからなる帯電防止剤の樹脂組成物に非イオン性、アニオン性、カチオン性もしくは両性の界面活性剤を含有させ、帯電防止性を一層向上させてもよい。非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキサイド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットおよびソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤などが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩類、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩類などが挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩類などが挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。これらのうち好ましいものはアニオン性界面活性剤であり、特に好ましいものはアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩類である。
【0030】
上記界面活性剤の使用量は、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミドあるいは、ポリエーテルエステルアミドからなる帯電防止剤の樹脂組成物の合計重量に対して通常0.1〜5重量%、好ましくは0.4〜3重量%である。界面活性剤の量が0.1重量%未満では効果が発現せず、5重量%を超えると樹脂表面に析出し樹脂の外観を損ねたり、樹脂物性が阻害されたりするので好ましくない。界面活性剤を添加する方法についても特に限定はないが、組成物中へ効果的に分散させるためには、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミドあるいはポリエーテルエステルアミドからなる帯電防止剤の樹脂組成物中に予め分散させておくことが好ましい。
表面層5に帯電防止剤を含有させ、化粧板10の切断端面から静電気を逃がすことにより、表面層5の表面に埃などが付着したり、髪の毛や紙が吸い寄せられたりすることのない、優れた帯電防止効果が得られるようになる。帯電防止剤の含有量が1重量%未満の場合は十分な帯電防止効果が得られず、25重量%を超えて含有させても帯電防止効果の向上は認められず、また接着性が劣化して基材樹脂層4との好適な密着性が得られなくなる。より好ましくは、10〜25重量%添加するとより効果的である。
【0031】
耐電防止剤は高価なため、製造コストの面から添加量が少ない方が望ましいが、表面の単位面積当たりの添加量が少ないと帯電防止効果が小さい。このため、帯電防止剤の添加量をできるだけ少なくして、単位表面積当たりの帯電防止効果を大きくするには、表面層5をできる限り薄くする必要がある。しかし、帯電防止剤を含んだ表面層5だけの単独層では、均一な厚みで無延伸フィルムを連続で製膜するためには少なくとも厚みが50μm必要であり、帯電防止剤を含んだ表面層5を薄膜化することは困難である。
【0032】
表面層5あるいは接着樹脂層4に添加する滑剤としては、脂肪族炭化水素系、高級脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸のエステルあるいはアミド誘導体、たとえば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルシン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドなどの有機系滑剤、あるいは二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどのシリカ系、ゼオライト、炭酸カルシウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム、硫酸バリウムなどの無機系滑剤などの一般的な市販の滑剤を用いることができる。
また、押出機を用いて樹脂中に滑剤を混練する際に、押出機内のフィルターの目詰まりを防止する観点からは不定形滑剤よりも真球滑剤の方が好ましいが、不定形滑剤の方が滑剤を用いた効果が顕著に現れる。
上記の滑剤としては平均粒径が0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの微細粉末を用いる。この微細粉末は化粧フィルムの接着樹脂層3、基材樹脂層4または/及び表面層5中に0.05〜5重量%含有させる。より好ましくは0.1〜0.5重量%含有させる。このような好適範囲の粒径を有する微細粉末を好適範囲の含有比率で樹脂中に含有させることにより、優れた意匠性を損なうことなく、フィルムの巻き取り形状を改善し、しわ発生の防止効果が得られる。
【0033】
表面層5に添加する抗菌剤としては、無機系として銀、銅、亜鉛を含有した化合物、有機系として合成抗菌剤、天然抗菌剤などがある。
【0034】
表面層5に添加する酸化防止剤としては、銅系酸化防止剤、銅塩系酸化防止剤、ハロゲン化銅系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、芳香族アミン、キレート化剤からなる金属不活性化剤等から選ばれるものが使用され、好ましくはフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤の組み合わせの使用が粘度保持率、気密性能保持の点から望ましい。
【0035】
フェノール系酸化防止剤として、2,6−ジ−t−ブチルフェノール誘導体、2−メチル−6−t−ブチルフェノール誘導体、オクタデシル3(3,5−ジブチル−4−ビトロキシフェニル)プロピオネート、4,4−ブチリデン−ビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、ペンタエリスリチル・テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、2{1−(2−ヒドロキシ−3,5―ジ−t−ペンチルフェニル)−エチル}−4,6ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートなどがある。
【0036】
リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトラビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト、ドステアリルペンタンエリスリトールジホスファイト、リン酸2水素ナトリュウム、リン酸1水素2ナトリュウムなどが挙げられる。
【0037】
イオウ系酸化防止剤としては、3,3−チオビスプロピオン酸ジドデシルエステル、3,3−チオビスプロピオン酸ジオクタデシルエステル、ペンタエリスリトールテトラキス−(3−ラウリルプロピオネート)などが挙げられる。
【0038】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としてはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,3,4−テトラキス(2,2,6,6)テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)ブタン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシルエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合体、1−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)ペンタン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(オクチロン−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどが挙げられる。これらは単独で使用されてもよいが、併用されても構わない。
【0039】
表面層5に添加する吸湿剤としては、シリカ、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、アルミナ、アパタイト、酸化チタン、炭、炭化物、窒化物、金属等の多孔物質がある。
表面層5に添加する吸臭剤としては、シリカ、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、アルミナ、アパタイト、酸化チタン、炭、炭化物、窒化物、金属等の多孔物質がある。
【0040】
表面層5に添加する光触媒としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化銀、酸化マンガン、酸化銅、酸化鉄、酸化錫、酸化バナジウム、酸化ニオブ、硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化インジウム、硫化鉛、硫化銅、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化アンチモン、硫化ビスマスなどがある。
【0041】
表面層5に添加する撥水剤としては、シリコン系あるいはフッ素系の撥水剤が適用できる。
表面層5に添加する親水剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン系界面活性剤、シリカあるいはアルミナなどが適用できる。
表面層5に添加する撥油剤としては、フッ素系化合物、ケイ素系化合物などがある。
表面層5に添加する芳香剤としては、2−メチルシクロペンタデカノン、α―ヨノン、β―フェニルエチルアルコール、ジヒドロジャスモン、9−ヘキサデセン酸、ジャスモン、3−メチル−2−ヘキセニルアセテート、3−メチル−2−ヘプテニルアセテート、3−メチル−2−ヘキセニルプロパノエート、1−エチル 2−(3−メチル−2−ヘキセニル)オキサレート、3−メチル−2−ヘキセニルベンゾエート及び3−メチル−2−ヘキセニルサリチレートなどがある。
【0042】
表面層5に添加する紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレートあるいはp−オクチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−5−スルフォベンゾフェノンあるいはビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタンなどのベンゾフェノン系、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・tert―アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール}あるいは2(2’−ヒドロキシ−5’−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートあるいはエチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートなどのシアノアクリレート系などが含まれる。
表面層5の厚みは、薄くしても製膜性の点で困難が伴うので、発明者らが鋭意検討した結果、厚みは0.5〜10μmの範囲が望ましいことが判明した。厚みは0.5〜8μmの範囲がより好ましい。その場合、表面層5を主に構成する樹脂は、その下層にある基材樹脂層4と同じ組成を持つかまたは組成が似た樹脂フィルムであることが表面層5の薄膜化の点で望ましい。すなわち基材樹脂層4としてポリエステル樹脂フィルムを用いた場合、表面層5はポリエステル樹脂であることが望ましい。樹脂フィルムの替わりに、表面層5に塗料を用いた場合、表面層5の薄膜化は可能であるが、低温衝撃試験または高温衝撃試験による加工を行った場合、塗膜にクラックが入りやすく、また、塗膜剥離が起こり、品質上望ましくない。後述するように、本発明の化粧フィルムは樹脂フィルムで構成されているので、このような問題は起こらない。特に、化粧フィルムがポリエステル系樹脂フィルムで構成されている場合、低温衝撃試験または高温衝撃試験による加工しても、フィルムの剥離が認められない。
厚みが0.5μm未満では、製膜が困難であり製膜性の点で問題がある。逆に、厚みが10μmを超えると、耐電防止剤などの添加剤を最適濃度添加するには多量の添加量が必要となり、かつ表面層5の皮膜が厚いので製造コストが高くなる。
【0043】
図1に示す化粧フィルム1は、次のようにして作製することができる。すなわち、接着樹脂層3、基材樹脂層4と表面層5とをそれぞれの融点以上に加熱溶融し、共押出しにより、3層フィルムとして製膜する。基板2に積層する前に、エンボス加工を施す場合は、共押出後、表面層5の表面をエンボス加工したロールに当接して、フィルム表面にエンボス加工を施す。
また、3層フィルムに製膜した後、予め基板2を接着樹脂層3の融点以上に加熱後、3層フィルムの接着樹脂層3の面を基板2に当接し、ラミネートロールを用いて基板2にラミネートする。また、他の方法として、接着剤を介し、3層フィルムの接着樹脂層3の面を基板2に当接してラミネートロールを用いてラミネートする。基板2にフィルムを積層した後エンボス加工を施す場合、3層フィルムを積層した基板2を、表面層5と基材樹脂層4のうち高い融点を有する方の融点以上に加熱して、エンボス加工したロールを当接し、フィルムを積層した基板2の表面にエンボス加工を施し、さらに水冷等により急激に冷却する。
その他の積層方法として、接着樹脂層3、基材樹脂層4と表面層5との3層からなる溶融状態の複層樹脂を、当該複層樹脂の接着樹脂層面を基板表面に接するようにして積層し、水冷により急冷する。エンボス加工を施す場合、溶融状態の複層樹脂を基板2に積層した後、エンボス加工したロールを複層樹脂の表面に当接して、複層樹脂の表面にエンボス加工を施し、さらに水冷等により急冷する。この場合、エンボス加工は、溶融状態の複層樹脂を基板2に積層した直後あるいは、基板2に溶融状態の複層樹脂を積層し、積層した基板2を再度加熱した後行っても良い。
【0044】
図2に示す化粧フィルム1は、次のようにして作製することができる。すなわち、接着樹脂層3と表面層5とを共押出して2層フィルムとして製膜する。金属板に積層する前に、エンボス加工を施す場合は、共押出後、表面層5の表面をエンボス加工したロールに当接して、フィルム表面にエンボス加工を施す。
また、上記3層フィルムの場合と同様に、2層フィルムに製膜後、予め接着剤をフィルムの積層面に塗布し、加熱した基板2に2層フィルムをラミネートロールを用いてラミネートする。エンボス加工を施す場合、2層フィルムを積層した基板2を、表面層5と接着樹脂層3のうち高い融点を有する方の融点以上に加熱して、エンボス加工したロールを当接し、フィルムを積層した基板2の表面にエンボス加工を施し、さらに水冷等によりフィルム積層基板を急激に冷却する。
【0045】
上記のようにして製膜して得られた化粧フィルム1を、接着樹脂層3の表面を直接に基板2と貼合わせることによっても、化粧板10が得られる。また、図示していないが、上記のようにして得られた化粧フィルム1を、接着剤層を介在させて基板2と貼合わせことによっても、化粧板10が得られる。
また、基板2にラミネートによりフィルムを積層した後エンボスロールによって、表面層5の表面にエンボス凹部6を形成させ、立体感のある高意匠性を付与することができる。
その他の積層方法として、接着樹脂層3と表面層5とからなる溶融状態の複層樹脂を、当該複層樹脂の接着樹脂層面を基板表面に接するようにして積層し、水冷により急冷する。エンボス加工を施す場合、溶融状態の複層樹脂を基板に積層した後、エンボス加工したロールを複層樹脂表面に当接して、複層樹脂の表面にエンボス加工を施し、さらに水冷等により急冷する。この場合、エンボス加工は、溶融状態の複層樹脂を基板に積層した直後あるいは、基板2に溶融状態の複層樹脂を積層し、当該基板を再度加熱した後行っても良い。
上記に説明したように、接着樹脂層3、基材樹脂層4と表面層5との3層あるいは、接着樹脂層3と表面層5との2層からなる化粧フィルムは、厚みが20.5〜45μmと薄膜であるにもかかわらず、製膜性及びエンボス加工性に優れたフィルムである。
上記化粧フィルム1は、基板2の片面または両面に積層する。基板2の片面に化粧フィルムを積層する場合、化粧フィルム1を積層しない面には、ウレタンン系、アクリル系あるいはポリエステル系などの塗料を塗布するか、または、単層のポリエステル樹脂フィルムを積層しても良い。単層のポリエステル樹脂フィルムを積層する場合、化粧フィルム1を積層すると同時に、化粧フィルムの非積層面に積層すると経済的である。また、化粧フィルムを溶融状態の樹脂で積層する際に、化粧フィルムの非積層面に溶融状態のポリエステル樹脂を同時に積層すると経済的である。
表面層5が単色の場合は、上記の構成で良いが、印刷要求がある場合、図3に示すように、表面層5の上に、印刷層7と保護層8を設ける。この場合、表面層5には、帯電防止剤、滑剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤あるいは芳香剤を含有しない方が望ましい。表面層5がこれらの添加剤を含まない場合、保護層8に帯電防止剤、滑剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を含有させる。これらの添加剤及びその添加量は、基材樹脂層4あるいは表面層5の項で説明した内容と同様である。保護層8へのこれらの添加剤の効果は、表面層5に添加する場合と同様の効果が得られる。
印刷層7としては、下層となる表面層5の前面を隠蔽するベタ印刷層、または木目、石目、天然皮革の表面柄、布目、抽象柄などの模様を表現した絵柄印刷層、もしくはベタ印刷層を印刷下地とし、その上に絵柄印刷層を重ねて意匠性を向上させる、いずれの構成としてもよい。印刷層7は表面層5と保護層8の熱接着性を付与する層でもある。印刷層7を形成するインキのビヒクルとしては、例えばニトロセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリエステルウレタン樹脂などの公知のものが使用できるが、なかでも密着及び熱接着性の両観点からニトロセルロース−アルキド樹脂系インキが好ましい。印刷層7は、3層(接着樹脂層、基材樹脂層、表面層)または2層(接着樹脂層、表面層)からなる製膜したフィルムの表面層5の表面に設け、その後、保護層8を印刷層7の表面にフィルムを積層して、化粧フィルム1を作製する。印刷層7はグラビア印刷によって表面層5上に設ける。
印刷層7を保護する保護層8としては、ポリエステル樹脂が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、変性ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレートである。
保護層8の表面には、艶調整層を設けても良い。艶調整層としては、無色透明であってもまたは着色透明であっても、さらに艶消しの透明であってもよく、化粧フィルムの表面の光沢度を調整するために設けるものであるが、表面を保護する層としての役割も兼ねる。艶消は、表面粗さが小さく、一定の面積当たりの凹凸を多くして行っても良い。艶調整層は適宜のビヒクルを用いた塗料を塗布することにより形成することができる。ビヒクルとしてはフェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン系樹脂などの熱硬化性樹脂の1種または2種以上の混合樹脂を用いることが出来る。艶調整層を形成する塗料には通常適量の艶消剤を分散させて所望の光沢度を付与しているが、艶消剤としてはマイカ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイソウ土、ケイ砂、シラスバルーンなどが用いられる。上記塗料の塗布方法としては、グラビアコート、ロールコート、エアナイフコートなど、公知の塗布方式を用いることができる。このようにして作製した5層(基板に積層する面から順に、接着樹脂層、基材樹脂層、表面層、印刷層、保護層)または4層(基板に積層する面から順に、接着樹脂層、表面層、印刷層、保護層)からなる化粧フィルム1を、接着樹脂層3が基板2に接するように基板2の表面に積層して、接着樹脂層3の熱接着性を利用して化粧板10を作製する。この場合、接着樹脂層3と基板2の界面に接着剤を介して積層しても良い。
基板2としては、例えば、鋼板、ティンフリースチール、アルミニウム合金板、亜鉛めっき鋼板、亜鉛―コバルトーモリブデン複合めっき鋼板、亜鉛―ニッケル合金めっき鋼板、亜鉛―鉄合金めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板、ニッケルめっき鋼板、銅めっき鋼板あるいはステンレス鋼板などの金属板が適用できる。これらの金属板の表面にクロメート処理、リン酸塩処理などの公知の化成処理を施したものも適用できる。また、石膏ボード、珪酸カルシウムボードあるいは石綿スレートボードなどの無機質からなるボードが用いることができる。その他の基板2としては、例えば、木材単板、木材合板、パーチクルボードあるいはMDF等の木質板が適用できる。
【実施例】
【0046】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。実施例及び比較例の作製条件は表1に示す。
(実施例1)
帯電防止剤(化合物名:ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、表1ではAと表す)10重量%と顔料(化合物名:酸化チタン)20重量%を含んだ無延伸ポリブチレンテレフタレート樹脂(表1では、PBTと示す)からなる表面層5(製膜後の厚み:7μm)と、顔料(化合物名:酸化チタン)を30重量%含んだ無延伸ポリブチレンテレフタレート樹脂(表1ではPBTと示す、固有粘度:1.35)からなる基材樹脂層4(製膜後の厚み:25μm)と、エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合ポリエステル樹脂(エチレンイソフタレート:15モル%、表1ではPETI15と示す)からなる接着樹脂層3(製膜後の厚み:8μm)の加熱溶融した3層樹脂を共押出により押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して化粧フィルム1を作製した。
次に、厚さ0.4mm のティンフリースチール(皮膜量;金属クロム量:100mg/m、Crox量(Cr量として):15mg/m)に、前記の化粧フィルム1をPETI15(接着樹脂層)面が当接するようにして、加熱温度:240℃、接着圧力:15kgf/cm、圧着時間:5秒の条件で加熱圧着し、化粧板10を得た。圧着後、表面層のPBT樹脂の融点以上に表面層のPBTを加熱した後、凹状に加工したエンボス加工ロールで表面層5の表面を圧下してエンボス加工を施した。
【0047】
(実施例2)
エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合ポリエステル樹脂(エチレンイソフタレート:19モル%、表1ではPETI19と示す)からなる接着樹脂層3(製膜後の厚み:10μm)、顔料(化合物名:群青)を40重量%含んだ無延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂(表1ではPETと示す、固有粘度:1.69)からなる基材樹脂層4(製膜後の厚み:25μm)と、帯電防止剤(化合物名:第4級アンモニウムクロライド、表1ではBで表す)25重量%と顔料(化合物名:群青)を10重量%含んだ無延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂(表1ではPETと示す)からなる表面層5(製膜後の厚み:10μm)の加熱溶融した3層樹脂を共押出により押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して化粧フィルム1を作製した。
次に、3層フィルムのPETI19面が厚さ0.4mm のティンフリースチール(皮膜量;金属クロム量:100mg/m、Crox量(Cr量として):15mg/m)に当接するようにして、前記の化粧フィルム1を実施例1と同様の条件で加熱圧着し、化粧板10を得た。
【0048】
(実施例3)
帯電防止剤(化合物名:ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー3重量%と第4級アンモニウムクロライド2重量%との混合物、表1ではCと表す)5重量%と顔料(化合物名:キナクリドン)3重量%を含んだ無延伸ポリブチレンテレフタレート樹脂(表1では、PBTと示す)からなる表面層5(製膜後の厚み:7μm)と、顔料(化合物名:キナクリドン)を10重量%含んだ無延伸ポリブチレンテレフタレート樹脂(表1ではPBTと示す、固有粘度:1.43)からなる基材樹脂層4(製膜後の厚み:25μm)と、エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合ポリエステル樹脂(エチレンイソフタレート:10モル%)(表1ではPETI10と示す)からなる接着樹脂層3(製膜後の厚み:8μm)の加熱溶融した3層樹脂を共押出により押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して化粧フィルム1を作製した。
次に、厚さ0.4mm のティンフリースチール(皮膜量;金属クロム量:100mg/m、Crox量(Cr量として):15mg/m)に、3層フィルムからなる前記の化粧フィルムのPETI10(接着樹脂層)面が当接するようにして、加熱温度:240℃、接着圧力:15kgf/cm、圧着時間:5秒の条件で加熱圧着し、化粧板10を得た。圧着後、表面層5のPBT樹脂の融点以上に表面層5のPBTを加熱した後、凹状に加工したエンボス加工ロールで表面層5の表面を圧下してエンボス加工を施した。
【0049】
(実施例4)
帯電防止剤(化合物名:ポリエーテルエステル、表1ではDと表す)1重量%と酸化チタン3重量%を含んだ無延伸ポリブチレンテレフタレート樹脂(表1では、PBTと示す)からなる表面層5(製膜後の厚み:0.5μm)と、酸化チタン30重量%を含んだ無延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂(表1ではPETと示す、固有粘度:1.62)からなる基材樹脂層4(製膜後の厚み:15μm)と、エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合ポリエステル樹脂(エチレンイソフタレート:3モル%、表1ではPETI3と示す)からなる接着樹脂層3(製膜後の厚み:5μm)の加熱溶融した3層樹脂を共押出により押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して化粧フィルム1を作製した。
次に、厚さ0.4mm のティンフリースチール(皮膜量;金属クロム量:100mg/m、Crox量(Cr量として):15mg/m)に、前記の化粧フィルム1を、PETI15(接着樹脂層)面が当接するようにして、加熱温度:240℃、接着圧力:15kgf/cm、圧着時間:5秒の条件で加熱圧着し、化粧板10を得た。圧着後、表面層5のPBT樹脂の融点以上に表面層5のPBTを加熱した後、凹状に加工したエンボス加工ロールで表面層5の表面を圧下してエンボス加工を施した。
【0050】
(実施例5)
帯電防止剤(化合物名:ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、表1ではAと表す)20重量%と顔料(化合物名:モリブデン赤)20重量%を含んだ無延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下PETという)からなる表面層5(製膜後の厚み:2μm)と、顔料(化合物名:モリブデン赤)を40重量%含んだ無延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下PETという)からなる接着樹脂層3(製膜後の厚み:15μm)の加熱溶融した2層樹脂を共押出により押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して化粧フィルム1を作製した。
次に、Zn−Co−Moめっき鋼板(めっき量:20g/m、クロメート処理:有(Cr量として40mg/m))にポリエステル系接着剤を5g/mの乾燥後の塗布量で塗布し、接着樹脂層4の表面がZn−Co−Moめっき鋼板の接着剤塗布面に当接するようにして、板温240℃、接着圧力:15kgf/cm、圧着時間:5秒の条件で加熱圧着し、化粧板10を得た。
【0051】
(実施例6)
帯電防止剤(化合物名:ポリオキシエチレンアルキルアミド、表1ではEと表す)15重量%と顔料(化合物名:チタンブラック)を15重量%含んだ共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(イソフタル酸3mol%、以下PBTI3という、)からなる表面層5(製膜後の厚み:5μm)と、顔料(化合物名:チタンブラック)を20重量%含んだ共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下PBTI3という)からなる接着樹脂層3(製膜後の厚み:25μm)の加熱溶融した2層樹脂を共押出により押出機のTダイからキャスティングロール上に押出し、製膜中の前記樹脂を、板温235℃の亜鉛めっき鋼板(板厚:0.5mm、めっき量:20g/m、リン酸塩処理:有(P量として1000mg/m))に、PBTI3(接着樹脂層)面が当接するようにして、転写しながら圧着して亜鉛めっき鋼板に前記樹脂を積層した後、水冷により急冷して化粧板10を得た。
【0052】
(実施例7)
基板2として厚さ8mmの石膏ボードを用い、ポリウレタン系接着剤を50g/mの乾燥後の塗布量で塗布して化粧フィルム1を加熱圧着した以外は、実施例5と同様の化粧フィルム1を作製し、実施例5と同様の条件で前記石膏ボードに加熱圧着し、化粧板10を得た。
【0053】
(実施例8)
帯電防止剤(化合物名:ポリオキシエチレンアルキルアミド、表1ではEと表す)15重量%と顔料(化合物名:チタンブラック)を15重量%含んだ共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(イソフタル酸3mol%、以下PBTI3という、)からなる表面層5(製膜後の厚み:5μm)と、顔料(化合物名:チタンブラック)を20重量%含んだ共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下PBTI3という)からなる接着樹脂層3(製膜後の厚み:25μm)の加熱溶融した2層樹脂を共押出により押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して化粧フィルム1を作製した。
基板2して厚さ6mmの木質合板を用い、ポリウレタン系接着剤を50g/mの乾燥後の塗布量で塗布し、PBTI3面が木質合板に当接するようにして、加熱温度:240℃、接着圧力:15kgf/cm、圧着時間:5秒の条件で加熱圧着し、化粧板10を得た。
【0054】
(実施例9)
銀系抗菌剤0.5重量%と顔料(化合物名:酸化チタン)30重量%を含んだ無延伸ポリブチレンテレフタレート樹脂(表1では、PBTと示す)からなる表面層5(積層後の厚み:7μm)と、顔料(化合物名:酸化チタン)を30重量%含んだ無延伸ポリブチレンテレフタレート樹脂(表1ではPBTと示す、固有粘度:1.58)からなる基材樹脂層4(積層後の厚み:20μm)と、エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合ポリエステル樹脂(エチレンイソフタレート:15モル%、表1ではPETI15と示す)とからなる接着樹脂層3(積層後の厚み:8μm)の加熱溶融した3層樹脂を共押出により押出機のTダイからキャスティングロール上に押出し、製膜中の前記樹脂を、板温235℃のティンフリースチール(板厚:0.4mm、皮膜量;金属クロム量:100mg/m、Crox量(Cr量として):15mg/m)に、PETI15(接着樹脂層)面が当接するようにして、転写しながら圧着してティンフリースチールに積層した後、水冷により急冷して化粧板10を得た。
【0055】
(実施例10)
顔料(化合物名:酸化チタン)30重量%を含んだ無延伸ポリブチレンテレフタレート樹脂(表1では、PBTと示す)からなる表面層5(製膜後の厚み:7μm)と、顔料(化合物名:酸化チタン)を30重量%含んだ無延伸ポリブチレンテレフタレート樹脂(表1ではPBTと示す、固有粘度:1.48)からなる基材樹脂層4(製膜後の厚み:20μm)と、エチレンテレフタレート/イソフタレート共重合ポリエステル樹脂(エチレンイソフタレート:15モル%、表1ではPETI15と示す)からなる接着樹脂層3(製膜後の厚み:8μm)の加熱溶融した3層樹脂を共押出により押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して3層フィルムを作製した。
ついで、3層フィルムの表面層の表面に絵柄印刷を施し、更に絵柄印刷の表面に、銀系抗菌剤0.5重量%と帯電防止剤(化合物名:ポリオキシエチレンアルキルアミド)15重量%とを含んだ厚み20μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層し、化粧フィルム1を得た。
次に、厚さ0.4mm のティンフリースチール(皮膜量;金属クロム量:100mg/m、Crox量(Cr量として):15mg/m)に、前記の化粧フィルム1をPETI15(接着樹脂層)面が当接するようにして、加熱温度:230℃、接着圧力:15kgf/cm、圧着時間:5秒の条件で加熱圧着し、化粧板10を得た。
【0056】
(実施例11)
顔料(化合物名:チタンブラック)を15重量%含んだ共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(イソフタル酸3mol%、以下PBTI3という、)からなる表面層5(製膜後の厚み:5μm)と、顔料(化合物名:チタンブラック)を20重量%含んだ共重合ポリブチレンテレフタレートフィルム(以下PBTI3という)からなる接着樹脂層3(製膜後の厚み:25μm)の加熱溶融した2層樹脂を共押出により押出機のTダイからキャスティングロール上に押出して2層フィルムを作製した。
ついで、2層フィルムの表面層の表面に絵柄印刷を施し、更に絵柄印刷の表面に、銀系抗菌剤0.5重量%と帯電防止剤(化合物名:ポリオキシエチレンアルキルアミド)15重量%とを含んだ厚み20μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層し、化粧フィルム1を得た。
次に、厚さ0.5mm の亜鉛めっき鋼板(めっき量:20g/m、リン酸塩処理:有(P量として1000mg/m))にポリウレタン系接着剤を5g/mの乾燥後の塗布量で塗布し、PBTI3面が亜鉛めっき鋼板に当接するようにして、前記の化粧フィルム1を実施例1と同様の条件で加熱圧着し、化粧板10を得た。
【0057】
(比較例1)
表面層5に帯電防止剤を含有させない以外、実施例1と同様にして化粧フィルムを作製し、実施例1と同様の条件でティンフリースチールに加熱圧着し、化粧板を得た。
【0058】
(比較例2)
表面層5に帯電防止剤を含有させない以外、実施例4と同様にして化粧フィルムを作製し、実施例4と同様の条件でティンフリースチールに加熱圧着し、化粧板を得た。
【0059】
【表1】

【0060】
[特性評価]
実施例1〜11および比較例1〜2で作製した化粧板を、下記の特性について評価した。特性の評価結果は表2に示す。
【0061】
(抗菌性)
表面層の表面に大腸菌を含んだ水溶液を塗布し、37℃で24時間放置し、大腸菌の数の増減を調べた。評価方法は、大腸菌の増加が認められた場合を×、減少した場合を○として評価した。
【0062】
(帯電性)
絶縁抵抗測定器SMB8220(東亜電波工業(株)製)を用いて、化粧板の化粧フィルムにコロナ放電で生成した空気イオンを照射して電圧1000Vで10秒帯電させ、帯電停止後60秒後の表面抵抗率σ(単位:Ω/□)を測定した。表面抵抗率σの値が小さいほど帯電性が良好であることを示す。表面抵抗率σが1013Ω/□以下を良好とし、表2では○で表した。表面抵抗率σが1013Ω/□を越えると不良とし、表2では×で表した。
【0063】
(高温衝撃性)
各化粧板から60×60mmの試験片を10枚ずつ採取し、試験片を100℃の熱水に3時間浸漬後、デュポン衝撃試験(1/2インチ(12.7mm)、1000g、高さ:50cm)を行い、化粧フィルムの密着性を評価した。表2中において○△×は下記の意味である。○:10枚の試験片の全てにおいて、化粧フィルム層間や金属板との接着界面における化粧フィルム層の剥離は認められない。△:10枚の試験片のうち、1〜2枚の試験片で化粧フィルム層間や金属板との接着界面における化粧フィルム層の剥離が認められる。×:10枚の試験片のうち、3枚以上の試験片で化粧フィルム層間や金属板との接着界面における化粧フィルム層の剥離が認められる。
【0064】
(低温衝撃性)
各化粧板から60×60mmの試験片を10枚ずつ採取し、試験片を−30℃の冷蔵庫に24時間放置後、デュポン衝撃試験(1/2インチ、1,000g、高さ:50cm)を行い、樹脂フィルムの密着性を評価した。表2中において○△×は下記の意味である。○:10枚の試験片の全てにおいて、化粧フィルム層間や金属板との接着界面における化粧フィルム層の剥離は認められない。△:10枚の試験片のうち、1〜2枚の試験片で化粧フィルム層間や金属板との接着界面における化粧フィルム層の剥離が認められる。×:10枚の試験片のうち、3枚以上の試験片で化粧フィルム層間や金属板との接着界面における化粧フィルム層の剥離が認められる。
【0065】
(耐薬品性)
各化粧板から60×60mmの試験片を10枚ずつ採取し、試験片を温度20℃の5体積%塩酸溶液中に浸漬し、化粧フィルム層の外観変化で評価した。表2中において○△×は下記の意味である。○:10枚の試験片の全てにおいて、化粧フィルム層間や金属板との接着界面における化粧フィルム層の剥離は認められず、外観変化もない。△:10枚の試験片のうち、1〜2枚の試験片で化粧フィルム層間や金属板との接着界面における化粧フィルム層の剥離が認められる。あるいは、外観変化が認められる。×:10枚の試験片のうち、3枚以上の試験片で化粧フィルム層間や金属板との接着界面における化粧フィルム層の剥離が認められる。あるいは、外観変化が著しく認められる。
【0066】
(汚れ性)
各化粧板から60×60mmの試験片を10枚ずつ採取し、試験片に口紅及びマジック(赤、青、黒の3色)を塗りつけ、2時間放置した。2時間放置後、中性洗剤及びエタノールを含んだガーゼで試験片の口紅及びマジック(赤、青、黒の3色)拭き取った。表2中において○△×は下記の意味である。○:試験片に口紅またはマジックの跡が全く残らなかった。△:試験片に口紅またはマジックの跡が一部残った。×:試験片に口紅またはマジックの跡が著しく残った。
【0067】
【表2】

【0068】
表2に示すように、本発明の化粧フィルム1は耐帯電性に優れ帯電率が低く、また樹脂層間の密着性にも優れており、それを金属板に加圧圧着した化粧金属板を加工しても樹脂層間や樹脂層と金属板との接着界面で樹脂層が剥離することはない。さらに、真空設備の壁材などに適用した場合には、壁材に埃、汚れが付着しにくいために、真空度をより高くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の化粧フィルム1は、下から順に接着樹脂層3としてポリエステルフィルム、基材樹脂層4として顔料を含有したポリエステルフィルムを用い、さらに顔料、帯電防止剤、滑剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を含有した表面層5からなるか、あるいは、下から順に、接着樹脂層3として顔料を含有したポリエステルフィルムを用い、さらに顔料、帯電防止剤、滑剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を含有した表面層5からなっているので、該化粧フィルムの表面が静電荷を帯びることなく、埃、汚れ、カビ、油が付着しにくく、撥水しやすいので錆が発生しにくく、好ましい香りを発するなどの機能を有する。また、表面層5は、化粧フィルムの表面に薄く形成されているので、高価な帯電防止剤、抗菌剤、撥水剤、紫外線吸収剤あるいは芳香剤などをより少ない添加量で、効果的に帯電防止作用、抗菌作用、撥水作用、撥油作用、吸臭作用、酸化防止作用あるいは芳香作用などの機能を多岐に亘って発揮することができる。
本発明の化粧フィルム1を接着剤を介在あるいは介在させないで金属板等の基板に積層した化粧板10は、上記機能性の他に、密着性にも優れ、加工を施しても樹脂層間や樹脂層と基板の接着界面で剥離を生じることがない。
本発明の化粧フィルム1は、薄膜での製膜性、エンボス加工性に優れた化粧フィルムであり、その化粧フィルムを積層した化粧板10は、静電荷を帯びることなく、埃、汚れ、カビ、油が付着しにくく、撥水しやすいので錆が発生しにくく、好ましい香りを発するなどの多機能を有するので、内装パネル、家庭電化製品の筐体、カーテンレール、真空設備の壁材、金属製家具あるいは間仕切りなど広く適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1:化粧フィルム
2:基板
3:接着樹脂層
4:基材樹脂層
5:表面層
6:エンボス凹部
7:印刷層
8:保護層
10:化粧板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下層として接着樹脂層と、芯層として顔料を含有したポリエステル樹脂からなる基材樹脂層と、上層として顔料を含有したポリエステル樹脂からなる表面層とからなり、かつ共押出法により製膜されてなる化粧フィルムであって、前記接着樹脂層を基板と当接することを特徴とする化粧フィルム。
【請求項2】
下層として接着樹脂層と、上層として顔料を含有したポリエステル樹脂からなる表面層とからなり、かつ共押出法により製膜されてなる化粧フィルムであって、前記接着樹脂層を基板と当接することを特徴とする化粧フィルム。
【請求項3】
前記表面層の表面に、下から順次印刷層、ポリエステル樹脂からなる保護層を有することを特徴とする請求項1または2記載の化粧フィルム。
【請求項4】
前記ポリエステル樹脂からなる保護層が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂あるいはポリブチレンテレフタレート樹脂からなることを特徴とする請求項3記載の化粧フィルム。
【請求項5】
表面層、基材樹脂層または/及び接着樹脂層が帯電防止剤、滑剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の化粧フィルム。
【請求項6】
保護層が帯電防止剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の化粧フィルム。
【請求項7】
ポリエステル樹脂からなる表面層が、ポリブチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の化粧フィルム。
【請求項8】
接着樹脂層が、ポリエステル樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の化粧フィルム。
【請求項9】
前記接着性樹脂を構成するポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートの多価酸成分もしくは多価アルコール成分の一部を他の成分で置き換えた結晶性の共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の化粧フィルム。
【請求項10】
前記表面層にエンボス加工、鏡面仕上加工のいずれかが施されてなる請求項1乃至9の何れかに記載の化粧フィルム。
【請求項11】
前記表面層の上にさらに艶調整層を設けてなる請求項1乃至10の何れかに記載の化粧フィルム。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載の化粧フィルムを当該化粧フィルムの接着樹脂層を基板表面に接するようにして積層してなることを特徴とする化粧板。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れかに記載の化粧フィルムの接着樹脂層の面を、接着剤を介して基板に積層してなることを特徴とする化粧板。
【請求項14】
前記基板が金属板であることを特徴とする請求項12又は13記載の化粧板。
【請求項15】
請求項12乃至14の何れかに記載の化粧板を加工してなる製品。
【請求項16】
下層として接着樹脂層と、芯層として顔料を含有したポリエステル樹脂からなる基材樹脂層と、上層としてポリエステル樹脂からなる顔料を含有した表面層とからなる溶融状態の複層樹脂を、当該複層樹脂の接着樹脂層を基板表面に接するようにして積層して成ることを特徴とする化粧板の製造方法。
【請求項17】
下層として接着樹脂層と、上層として顔料を含有したポリエステル樹脂からなる表面層とからなる溶融状態の複層樹脂を、当該複層樹脂の接着樹脂層を、基板に接するように積層して成ることを特徴とする化粧板の製造方法。
【請求項18】
前記表面層、基材樹脂層または/及び接着樹脂層が帯電防止剤、滑剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、吸臭剤、光触媒、撥水剤、親水剤、撥油剤、紫外線吸収剤及び芳香剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項16又は17記載の化粧板の製造方法。
【請求項19】
前記溶融状態の複層樹脂を基板に積層した後、表面層にエンボス加工を施すことを特徴とする請求項16乃至18記載の何れかに記載の化粧板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−774(P2011−774A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144936(P2009−144936)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(390003193)東洋鋼鈑株式会社 (265)
【Fターム(参考)】