説明

化粧建築板

【課題】立体感が大きくて意匠性の高い化粧建築板を提供する。
【解決手段】基材1の表面に複数本の凹溝4を形成すると共に隣り合う凹溝4,4の間を凸条5として形成する。凸条5の表面に化粧凸部20と化粧凹部21とを形成する。化粧凸部20、化粧凹部21、凹溝4の順で解像度が低くなるように、基材1の表面にインクジェット塗装を施す。凹溝4と凸条5による立体感の付与に加えて、化粧凸部20と化粧凹部21とによる立体感とインクジェット塗装の解像度の変化による立体感とを付与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット塗装(印刷を含む)により所望の絵柄や模様が施された化粧建築板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット塗装により所望の絵柄が施された化粧建築板としては、種々のものが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。図8に示すものはその一例であり、この化粧建築板は、次のようにして形成されている。すなわち、セメント板等の基材1の表面に受理層2を形成した後、この受理層2の表面にインクジェット塗装することによってインクジェット塗装層3を形成すると、図8に示すような化粧建築板を得ることができるものである。そして、このような化粧建築板では、基材1の表面に複数本の凹溝4、4…を形成すると共に隣り合う凹溝4,4の間を凸条5として形成することによって、化粧建築板のインクジェット塗装面を凹凸面として形成し、立体感を付与するようにしている。
【0003】
しかし、凹溝4や凸条5のみでは立体感が小さく、意匠性の高い化粧建築板を得るために、更なる立体感の大きなものが望まれていた。
【特許文献1】特開2004−60241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、立体感が大きくて意匠性の高い化粧建築板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の化粧建築板は、基材1の表面に複数本の凹溝4を形成すると共に隣り合う凹溝4,4の間を凸条5として形成し、凸条5の表面に化粧凸部20と化粧凹部21とを形成し、化粧凸部20、化粧凹部21、凹溝4の順で解像度が低くなるように、基材1の表面にインクジェット塗装を施して成ることを特徴とするものである。
【0006】
本発明にあっては、凸条5の表面に複数個の化粧凸部20、20…を形成し、化粧凸部20以外の部分を化粧凹部21として形成することができる。
【0007】
また、本発明にあっては、凸条5の表面に複数個の化粧凹部21、21…を形成し、化粧凹部21以外の部分を化粧凸部20として形成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、化粧凸部20、化粧凹部21、凹溝4の順でインクジェット塗装層3の解像度を徐々に低くすることによって、インクジェット塗装層3により形成された絵柄や模様を化粧凸部20、化粧凹部21、凹溝4の順で徐々に不鮮明にすることができる。従って、インクジェット塗装層3により形成された絵柄や模様は、凹溝4よりも化粧凹部21の部分で表面側に突出したように見え、且つ化粧凹部21よりも化粧凸部22の部分で表面側に突出したように見えるものであり、この結果、凹溝4と凸条5による立体感の付与に加えて、化粧凸部20と化粧凹部21とによる立体感とインクジェット塗装の解像度の変化による立体感とを付与することができ、立体感が大きくて意匠性の高い化粧建築板を形成することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
本発明に係る化粧建築板は、図2に示すように、基材1の表面に、水性塗料等で形成される受理層2、水性インク等で形成されるインクジェット塗装層3をこの順に積層することによって形成されている。絵柄や模様は上記インクジェット塗装層3により形成するものである。
【0011】
基材1としては、窯業系基材や金属系基材のように無機質のものであっても、樹脂系基材のように有機質のものであっても、いずれでもよい。窯業系基材の外装材は、瓦や外壁材等の用途に使用されるものである。窯業系基材は、無機質硬化体の原料となる水硬性膠着材に無機充填剤、繊維質材料等を配合し、成形した後に養生硬化させて作製されるものであり、水硬性膠着材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、高炉スラグ、ケイ酸カルシウム、石膏等から選ばれたものの一種あるいは複数種を用いることができる。また、無機充填剤としては、フライアッシュ、ミクロシリカ、珪砂等を、繊維質材料としては、パルプ、合成繊維等の無機繊維や、スチールファイバー等の金属繊維を、それぞれ単独であるいは複数種併せて用いることができる。成形は押出成形や注型成形、抄造成形、プレス成形等の方法により行うことができ、成形の後、必要に応じてオートクレーブ養生、蒸気養生、常温養生を行って、外装材として使用される窯業系基材を作製することができる。このように作製される窯業系基材の外装材の表面には、溶剤系、水溶性あるいはエマルション系のシーラーにより目止めを行い、基材1表面への吸い込みのばらつきを調整するようにしてもよい。使用されるシーラーとしては、特に限定されるものではないが、アクリル系やラテックス系のものを使用することができる。このシーラーの上には意匠性や耐久性の向上のために、アクリル系やラテックス系の有機塗膜を形成するようにしてもよい。その他、基材1としては、例えば、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグパーライト板、木片セメント板、プレキャストコンクリート板、ALC板、石膏ボード等の無機質板を用いることができる。
【0012】
本発明で用いる基材1の塗装面となる上面(表面)は凹溝4と凸条5により凹凸面に形成されている。凹溝4は複数本が略平行に形成されており、隣り合う凹溝4,4の間が凸条5として形成されている。また、凹溝4の深さ寸法は1.5〜15mm、凹溝4の上面開口幅は2〜100mm、隣り合う凹溝4,4の間隔(凸条5の幅寸法)は5〜500mmとすることができるが、これに限定されるものではない。さらに、凸条5の表面(上面)には複数個の化粧凸部20、20…が間隔を介して設けられており、凸条5の表面において化粧凸部20以外の部分が化粧凹部21として形成されている。この化粧凹部21の底面は細かい凹凸からなる梨地面(艶消し面)として形成されている。尚、本発明において、凹溝4と化粧凹部21及び梨地面は平板状の基材1の表面に金型を押し付けるなどしてプレス加工を施すことにより形成することができる。また、凹溝4よりも浅く形成された化粧凹部21の深さ寸法は0.5〜10mmとすることができる。
【0013】
そして、化粧建築板を製造するにあたっては、上記のような基材1の表面(凹溝4の側面と底面及び凸条5の上面)にまず、必須ではないが、一般的にはシーラー(図示省略)を塗った後に受理層2を形成する。受理層2は、この上に形成されるインクジェット塗装層3のインクを定着させるために必要な層であり、水性塗料で形成する。このように、水性塗料で受理層2を形成することによって、環境負荷を低減することができるものである。
【0014】
上記水性塗料としては、アクリル系エマルションをベースにしたアクリル樹脂塗料や、アクリルシリコン系エマルションをベースにしたアクリルシリコン樹脂塗料を用いることができる。水性塗料には、体質顔料と吸湿性樹脂のうちの少なくとも一方を配合しておくのが好ましい。これにより、インクの定着性を向上させることができると共に、発色性も向上させることができるものである。ここで、体質顔料としては、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、多孔質シリカ、珪藻土等を用いることができ、吸湿性樹脂としては、酢酸ビニル、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール等のインキ吸収性ポリマー等を用いることができる。また、水性塗料には、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の着色顔料を配合することもできる。また、受理層2を水性塗料で形成するにあたっては、基材1の表面に水性塗料を塗布量30〜200g/m・wetで塗布するのが好ましい。尚、水性塗料の塗布は、スプレーガン、ロールコーター、フローコーター、カーテンコーター等を用いて行うことができる。
【0015】
そして、受理層2の表面に水性インクをインクジェット印刷することによってインクジェット塗装層3を形成する。そうすると、図1に示すような化粧建築板を得ることができる。ここで、インクジェット印刷するためのインクジェット装置としては、例えば、図3に示すようなものを用いることができる。このインクジェット装置は、噴射ノズル7を設けた塗装ノズルヘッド8、塗装ノズルヘッド8の噴射ノズル7に水性インクを供給する塗料供給タンク9、塗装ノズルヘッド8の噴射ノズル7からの水性インクの噴射を制御する塗装制御システム10などを設けたインクジェット式塗装機11と、基材1を搬送する搬送コンベア12とを備えて形成されるものである。
【0016】
塗装ノズルヘッド8は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色の水性インクを噴出する4種類の塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kから形成されており、フルカラー印刷による塗装を行うことができるようにしてある。塗料供給タンク9も同様に4種類のものからなるものであり、イエローの水性インクを供給する塗料供給タンク9yは塗装ノズルヘッド8yに、シアンの水性インクを供給する塗料供給タンク9cは塗装ノズルヘッド8cに、マゼンタの水性インクを供給する塗料供給タンク9mは塗装ノズルヘッド8mに、ブラックの水性インクを供給する塗料供給タンク9kは塗装ノズルヘッド8kに、それぞれ接続してある。また、各塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kは基材1の搬送方向に沿って配列してある。
【0017】
塗装制御システム10は、各種のCPU、ROM、RAM等から構成されるものであり、塗装データ作成部、塗装制御部、噴射ノズル制御部等を備えて形成してある。塗装データ作成部は、原画をスキャナ等して得た色柄パターンのデータを入力して保存するものであり、塗装制御部は、塗装を行う基材1に応じた色柄パターンのデータを塗装データ作成部から取り出し、この色柄のパターンのデータに基づいて、噴射ノズル制御部に制御信号を出力するものである。また、噴射ノズル制御部は、塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kの各噴射ノズル7に接続してあり、噴射ノズル制御部から入力される制御信号に基づいて各噴射ノズル7を制御するものである。各噴射ノズル7は例えばピエゾ制御方式や光熱交換素子にレーザー光を照射して制御する方式により噴射を行ったり噴射を停止したりするようになっており、噴射ノズル制御部で各噴射ノズル7を制御することによって、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各水性インクの噴射と停止を個別に制御して、色柄パターンに対応したフルカラー印刷による塗装を行うことができるものである。
【0018】
搬送コンベア12は、インクジェット式塗装機11の下側に配置されるものであり、ベルトコンベアで形成することができる。
【0019】
塗装ノズルヘッド8の下面には図4のように複数(例えば30個)の単体ヘッド16が、塗装ノズルヘッド8の長手方向に一列に配列して取り付けてある。単体ヘッド16は下面形状が矩形に形成してあり、単体ヘッド16の下面に開口して多数の噴射ノズル7が形成してある。噴射ノズル7は所定の一定間隔で単体ヘッド16の長手方向に配列されるものであり、図5の実施の形態では噴射ノズル7は単体ヘッド16に4列設けるようにしてある。このように噴射ノズル7を設けた単体ヘッド16を塗装ノズルヘッド8にその長手方向に複数取り付けることによって、塗装ノズルヘッド8の長手方向に配列されるように多数の噴射ノズル7を塗装ノズルヘッド8に設けることができるものである。ここで、単体ヘッド16はその長手方向を基材1の送り方向に対して所定角度で傾斜させた状態で塗装ノズルヘッド8に取り付けてあり、このように単体ヘッド16を傾斜させることで基材1の送り方向に対して垂直な方向(基材1の幅方向)での隣り合う噴射ノズル7のピッチを小さくして、高密度のdpiで塗装を行なうことができるようにしてある。
【0020】
そして、上記のように形成されるインクジェット装置でインクジェット塗装するにあたっては、まず、受理層2を形成した基材1を搬送コンベア12上に導入する。導入された基材1はそのまま送られてインクジェット式塗装機11の塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kの下を順に通過する。このように、基材1を搬送コンベア12で送りながら、塗装ノズルヘッド8y、8c、8m、8kから水性インクを噴射させて塗着させることによって、受理層2の表面にインクジェット塗装層3を形成し、このインクジェット塗装層3により絵柄や模様を形成することができるものである。このように塗装された基材1はさらに送られ、次工程に搬出されるものである。
【0021】
ここで、本発明においては、受理層2に4〜20重量%の揮発分が残存している状態で、受理層2の表面に水性インクをインクジェット印刷するのが好ましく、これにより、受理層2もインクジェット塗装層3も共に水性であるため、受理層2に対する水性インクの馴染みが良くなり、良好な発色性を得ることができるものである。しかも、受理層2を十分に乾燥させておかなくても、この表面にインクジェット塗装層3を形成することができるので、化粧建築板の製造効率を高く得ることができるものである。しかし、受理層2に残存している揮発分が4重量%未満である場合には、水性インクの吸収性が悪く、水性インクを弾いてしまうおそれがあり、逆に、受理層2に残存している揮発分が20重量%を超える場合には、過度に湿潤しており、水性インクが滲んでしまうおそれがあり、揮発分が少な過ぎても多過ぎてもいずれの場合も発色性が悪くなるおそれがある。なお、揮発分とは、多量の水と、水に可溶な少量の溶剤とを意味する。
【0022】
上記のようにして形成される化粧建築板にあっては、水性塗料で形成される受理層2の表面に、水性インクでインクジェット塗装層3を形成することによって、溶剤系塗料で受理層2を形成する場合に比べて、良好な発色性を得ることができるものである。また、従来は、受理層2が完全に乾いた状態で、この表面に水性インクをインクジェット印刷するようにしていたので、この場合には、水性インクが受理層2の表面で跳ね返され、この水性インクでノズルアレイ8が汚染される恐れがあった。しかし、本発明では、受理層2に15重量%以上の揮発分が残存している状態で、インクジェット印刷するようにしているので、未乾燥状態の受理層2で水性インクを捕捉して、水性インクの跳ね返りを抑制することができ、その結果、水性インクによるノズルアレイ8の汚染を防止することができるものである。
【0023】
本発明にあっては、上記のようにインクジェット塗装層3により絵柄や模様を形成するものであるが、このインクジェット塗装層3は、化粧凸部20、化粧凹部21、凹溝4の側面及び底面の順で解像度が低くなるように形成されている。ここで、解像度とは単位長さあたりのインクドットの密度のことであり、例えば、化粧凸部20におけるインクジェット塗装層3の解像度を100〜600dpiにして高解像度領域とし、化粧凹部21におけるインクジェット塗装層3の解像度を50〜300dpiにして中解像度領域とし、凹溝4の側面及び底面におけるインクジェット塗装層3の解像度を10〜150dpiとして低解像度領域とすることができる。このように化粧凸部20、化粧凹部21、凹溝4の順でインクジェット塗装層3の解像度を低くすることによって、化粧凸部20、化粧凹部21、凹溝4の全てにおいて解像度を同じにするよりも、化粧凹部21が化粧凸部20よりも凹んでいて視覚的に遠方に見えるのを強調することができると共に、凹溝4が化粧凹部21や化粧凸部20よりも凹んでいて視覚的に遠方に見えるのを強調することができ、化粧建築板の表面を立体感が高くて深みのあるものとすることができる。
【0024】
本発明において、化粧凸部20と化粧凹部21と凹溝4との間で解像度を異ならせるにあたっては、インクジェット塗装層3のインクドットピッチとインクドット径の一方あるいは両方を互いに異ならせることにより行うことができる。すなわち、化粧凸部20、化粧凹部21、凹溝4の順でインクドットピッチを大きくすることにより、この順で解像度が低くすることができ、また、化粧凸部20、化粧凹部21、凹溝4の順でインクドット径を大きくすることにより、この順で解像度が低くなるのである。例えば、凹溝4におけるインクドットピッチは150〜500μm、化粧凹部21におけるインクドットピッチを40〜160μm、化粧凸部20におけるインクドットピッチを10〜80μmとすることができ、凹溝4におけるインクドット径は5〜20μm、化粧凹部21におけるインクドット径を3〜10μm、化粧凸部20におけるインクドット径を0.5〜5μmとすることができるが、これらの数値は凹溝4の深さ寸法(凹溝4と凸条5の高低差)や凹溝4の上面開口幅寸法などに応じて適宜設定可能である。
【0025】
本発明において、インクドットピッチを上記のように変える方法としては、図4に示すように、一の塗装ノズルヘッド8には多数の単体ヘッド16が設けられており、図5に示すように、各単体ヘッド16に多数の噴射ノズル7が形成されているので、例えば、これら噴射ノズル7の中でインクを噴射するものと噴射しないものとを制御して行うことができる。つまり、凹溝4の部分では多数の噴射ノズル7の中の一部のみを用いてインクジェット塗装層3を形成し、化粧凹部21の部分では凹溝4よりも多い噴射ノズル7を用いてインクジェット塗装層3を形成し、化粧凸部20の部分では噴射ノズル7の全部あるいは化粧凹部21よりも多い個数の噴射ノズル7を用いてインクジェット塗装層3を形成するものである。また、一の塗装ノズルヘッド8に形成する噴射ノズル7のピッチが異なる複数のインクジェット装置を用いて、噴射ノズル7のピッチが広いインクジェット装置で凹溝4におけるインクジェット塗装層3の塗装を行い、これよりも噴射ノズル7のピッチが狭いインクジェット装置で化粧凹部21におけるインクジェット塗装層3の塗装を行い、これよりさらに噴射ノズル7のピッチが狭いインクジェット装置で化粧凸部20におけるインクジェット塗装層3の塗装を行うようにすることができる。
【0026】
本発明において、インクドット径を上記のように変化させるには、例えば、噴射ノズル7から噴射するインクの液滴量(体積)を増減させるように制御することによって行うことができる。噴射ノズル7から噴射するインクの液適量を制御するにあたっては、例えば、噴射ノズル制御部から噴射ノズル7の圧電素子(ピエゾ素子など)に入力される制御信号の電圧や波形を制御して圧電素子の膨張伸縮量を調整することにより行うことができる。そして、塗装制御システム10において、基材1の搬送速度や噴射ノズル7と基材1との距離などを総合的に制御して、凹溝4には凸条5の化粧凹部21よりも少ない液滴量でインクの粒子を噴射すると共に凸条5の化粧凹部21には化粧凸部20よりも少ない液適量のインクの粒子を噴射するようにしている。また、一の塗装ノズルヘッド8に形成する噴射ノズル7の径が異なる複数のインクジェット装置を用いて、噴射ノズル7の径が大きいインクジェット装置で凹溝4におけるインクジェット塗装層3の塗装を行い、これよりも噴射ノズル7の径が小さいインクジェット装置で化粧凹部21におけるインクジェット塗装層3の塗装を行い、これよりさらに噴射ノズル7の径が小さいインクジェット装置で化粧凸部20におけるインクジェット塗装層3の塗装を行うようにすることができる。
【0027】
図6、7に他の実施の形態を示す。図1に示す実施の形態では、凸条5の表面に複数個の化粧凸部20、20…を設け、凸条5の表面において化粧凸部20以外の部分を化粧凹部21として形成しているが、図6に示す化粧建築板では、凸条5の表面に複数個の化粧凹部21、21…が間隔を介して形成されており、凸条5の表面において化粧凹部21以外の部分が化粧凸部20として形成している。その他の構成は図1のものと同様である。
【0028】
尚、本発明において、インクジェット塗装層3は基材1の表面の全面に亘って連続するように形成してもよいし、基材1の表面に不連続で部分的に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示し、一部の概略の斜視図である。
【図2】同上の一部の断面図である。
【図3】本発明の製造に用いるインクジェット装置の一例を示す概略正面図である。
【図4】本発明の製造に用いるインクジェット装置の塗装ノズルヘッドの一例を示す概略図である。
【図5】同上の塗装ノズルヘッドに設けたノズル単体ヘッドの一例を示す概略図である。
【図6】同上の他の実施の形態を示す一部の斜視図である。
【図7】同上の一部の断面図である。
【図8】従来例を示す概略の断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 基材
4 凹溝
5 凸条
20 化粧凸部
21 化粧凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に複数本の凹溝を形成すると共に隣り合う凹溝の間を凸条として形成し、凸条の表面に化粧凸部と化粧凹部とを形成し、化粧凸部、化粧凹部、凹溝の順で解像度が低くなるように、基材の表面にインクジェット塗装を施して成ることを特徴とする化粧建築板。
【請求項2】
凸条の表面に複数個の化粧凸部を形成し、化粧凸部以外の部分を化粧凹部として形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の化粧建築板。
【請求項3】
凸条の表面に複数個の化粧凹部を形成し、化粧凹部以外の部分を化粧凸部として形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の化粧建築板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−231586(P2007−231586A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53796(P2006−53796)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(503367376)クボタ松下電工外装株式会社 (467)
【Fターム(参考)】