説明

化粧料原料組成物及び化粧料原料組成物の防腐方法

【課題】化粧品に配合される化粧品原料組成物の防腐剤配合量を低減させる。
【解決手段】化粧料原料成分(但し、一般式(1)で表されるアミンオキシドを除く)、水30質量%以上、及び防腐剤として一般式(1)で表されるアミンオキシド界面活性剤0.1〜30質量%を配合してなる化粧料原料組成物、前記化粧料原料組成物の防腐方法。


[式中、R1は炭素数8〜24の一価炭化水素基、又は下記構造式(2)


(式中、R4は炭素数8〜24の一価炭化水素基、R5は水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
で表される置換基を示し、R2,R3はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、又は下記構造式(3)


(式中、R6は水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、pは1〜3の整数を示す。)
で表される置換基を示し、mは0又は5以下の整数を示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料原料組成物及び化粧料原料組成物の防腐方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品の防腐については、「化粧品の汚染菌と化学的防腐に関する研究」(政本ら、日本化粧品技術者連合会会誌、第8巻、第2号、1973年)に取り上げられているように、市販化粧品からブドウ球菌や緑膿菌等の病原性の微生物が分離されることが問題となっている。例えば、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)、バーコルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)等のセパシア菌は、水環境を好む細菌(バクテリア)で、グラム陰性桿菌類(gram−positive cocci)に分類されるが、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)等と同様に、毒素を産生する株があり、下痢や嘔吐の原因ともなることがある。また、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に感染すると、呼吸器系の疾患等の症状を引き起こすことがある。
【0003】
また、化粧品の微生物汚染は、商品の物理化学性質の劣化を引き起こすだけでなく、使用者に対する感染や皮膚障害を引き起こすため、単一ではなく多種の菌を対象に対して抗菌・防腐効果を確保する設計が必要になる。その対策として、2種類以上の防腐剤を組み合わせたり、防腐剤の配合量を多くする等の方法で複数の菌に対する抗菌・防腐効果を向上させることができるが、防腐剤に対する皮膚トラブルの増加の原因になる場合がある。
【0004】
この化粧品に使用される防腐剤は、一般的には安全性の確認された成分の中から選択されており、配合上限量を遵守することで問題なく使用されている。しかし、アトピー性皮膚炎等の症状があるような皮膚の弱い消費者は、皮膚本来のバリア機能が弱いことから、防腐剤に過敏に反応してかゆみ等を引き起こす場合がある。また、間違った使い方によっても不具合が発生することが考えられ、お湯で洗い流すシャンプー等の製品であれば、すすぎ方が不十分であったり、すすぎ流さない製品についても過剰量使用した場合等に、かゆみ等が出る場合が懸念される。上記事情から、防腐剤の配合量がより少ない化粧品が望まれていた。
なお、本発明に関連する先行技術文献としては下記が挙げられる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−246310号公報
【特許文献2】特開昭62−42908号公報
【特許文献3】特開昭63−22502号公報
【特許文献4】特開平2−184609号公報
【特許文献5】特表2003−500371号公報
【特許文献6】特表2003−500372号公報
【特許文献7】特表2003−500373号公報
【特許文献8】特開昭58−198403号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、化粧品に配合される化粧品原料組成物の防腐剤配合量を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、化粧品に配合される化粧品原料成分を含有する組成物に着目した。化粧品に配合される化粧品原料成分は、その物性に応じて、液体、固体、ゲル状等の状態をとっている。その中で、固体やゲル状の水溶性成分は、取り扱いやすくするために水に溶解・分散して液体の組成物にすることがある。また、もともと液体であっても、粘度が高い原料や消防法上危険物に分類されて取り扱いにくい原料は、水に溶解・分散して組成物にすることがある。その際に問題となるのは化粧品原料組成物の防腐力であり、一般的にはパラベンや安息香酸塩等の防腐剤が添加されている。しかしながら、化粧品原料成分組成物に防腐剤が含まれていては、化粧品製品中の防腐剤量を少なくするのに限界がある。また、pH=1レベルの強酸やpH=14レベルの強アルカリに原料のpHを調整すれば、防腐力が強くなり、防腐剤の添加は必要なくなる。しかし、化粧品原料成分そのものが分解等の影響を受けやすく変質しやすいため、pHを強酸や強アルカリに調整することが困難なケースが多い。
【0008】
そこで、化粧品原料組成物中の防腐剤の配合量をできるだけ少なく、可能であれば防腐剤を使用することなく、複数の菌に対して原料の抗菌・防腐効果効果を向上させる方法を鋭意検討した。その結果、化粧料原料成分、及び水30質量%以上を含有する化粧料原料組成物に、特定のアミンオキシド1〜30質量%配合することにより、化粧料原料組成物が抗菌力を有し、化粧品原料組成物中の防腐剤の配合量低減が可能となることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
従って、本発明は、化粧料原料成分(但し、下記一般式(1)で表されるアミンオキシドを除く)、水30質量%以上、及び防腐剤として下記一般式(1)で表されるアミンオキシド界面活性剤0.1〜30質量%を配合してなる化粧料原料組成物、ならびに化粧料原料成分(但し、下記一般式(1)で表されるアミンオキシドを除く)、及び水30質量%以上を含有する化粧料原料組成物に、下記一般式(1)で表されるアミンオキシド0.1〜30質量%を配合する前記化粧料原料組成物又は化粧料原料成分の防腐方法を提供する。
【化1】

[式中、R1は炭素数8〜24の一価炭化水素基、又は下記構造式(2)
【化2】

(式中、R4は炭素数8〜24の一価炭化水素基、R5は水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
で表される置換基を示し、R2,R3はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、又は下記構造式(3)
【化3】

(式中、R6は水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、pは1〜3の整数を示す。)
で表される置換基を示し、mは0又は5以下の整数を示す。]
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、化粧品に配合される化粧品原料組成物の抗菌・防腐効果を向上させ、防腐剤配合量を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、化粧料原料成分(但し、下記一般式(1)で表されるアミンオキシドを除く)、水30質量%以上、及び防腐剤として下記一般式(1)で表されるアミンオキシド界面活性剤0.1〜30質量%を配合してなる化粧料原料組成物、化粧料原料成分(但し、下記一般式(1)で表されるアミンオキシドを除く)、及び水30質量%以上を含有する化粧料原料組成物に、下記一般式(1)で表されるアミンオキシド0.1〜30質量%を配合する前記化粧料原料組成物又は化粧料原料成分の防腐方法である。
【化4】

[式中、R1は炭素数8〜24の一価炭化水素基、又は下記構造式(2)
【化5】

(式中、R4は炭素数8〜24の一価炭化水素基、R5は水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
で表される置換基を示し、R2,R3はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、又は下記構造式(3)
【化6】

(式中、R6は水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、pは1〜3の整数を示す。)
で表される置換基を示し、mは0又は5以下の整数を示す。]
【0012】
本発明のアミンオキシドは一般式(1)で表されるものであり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。本発明のアミンオキシドとしては、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、オレイルジメチルアミンオキシド等が挙げられ、この中でも、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドが好ましい。これらは化粧品配合成分規格に収載されている一般的によく使用される安全性の高い界面活性剤である。本発明のアミンオキシドは、水溶性のため、水30質量%以上を含有する化粧料原料組成物によく溶解し、非イオン界面活性剤であるため、非イオン性、カチオン性、アニオン性及び両性の化粧料原料組成物のいずれにも使用することができる。
【0013】
一般式(1)で表されるアミンオキシドの具体的な例としては、ラウリルジメチルアミンオキシドとしては、アロモックスDM12D−W(ライオン(株)製)、スタンダモックス(Standamox)C1214(コグニス社製)、アンヒトール20N(花王(株)製)、カチナールAOC(東邦化学工業(株)製)が挙げられる。ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドとしては、アロモックスDMC−W(ライオン(株)製)が挙げられる。ミリスチルジメチルアミンオキシドとしては、アロモックスDM14D−N(ライオン(株)製)が挙げられる。オレイルジメチルアミンオキシドとしては、スタンダモックス(Standamox)O1(コグニス社製)が挙げられる。ラウロイルアミドプロピルアミンオキシドとしては、ソフタゾリンLAO(川研ファインケミカル(株)製)が挙げられる。
【0014】
本発明のアミンオキシドの配合量は、化粧料原料組成物中1〜30質量%、好ましくは1〜5質量%である。1質量%未満だと菌の抑制効果に劣り、30質量%を超えるとコストが高くなり経済的に好ましくない。
【0015】
化粧料原料成分(但し、一般式(1)で表されるアミンオキシドを除く)としては、特に限定されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。化粧料原料成分としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、テトラデセンスルホン酸塩、N−アシルカルボン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン界面活性剤、アルキル三級アミン塩、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖エステル、脂肪酸アルカノールアミド等の非イオン界面活性剤、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩、カチオン化セルロース、カチオン化グァーガム、アラビアガム、カラヤガム、キャロブガム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、ポリビニルアルコール、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール等の高分子化合物、ビタミン類、カロチン、タール色素、パンテノール、ホルモン類、パール分散液に適用可能である。なお、パール分散液とは、エチレングリコールジステアレート等の水不溶性の物質を10〜40質量%含有し、それを水中に分散安定化させた液で、分散安定化剤としてアニオン界面活性剤や非イオン界面活性剤等を含むものである。この中でも、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、モノあるいはジアルキル第4級アンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、カチオン化セルロース、カチオン化グァーガム、パール分散液等の防腐に好適である。
【0016】
化粧料原料成分(但し、一般式(1)で表されるアミンオキシドを除く)配合量は、化粧料原料組成物中、通常0.1質量%以上であり、好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。
【0017】
化粧品原料組成物は水を30質量%以上含むものであり、前記化粧品原料成分が水に溶解していても、ペースト状、ゲル状でも、あるいは水に分散しているものでもよい。このような水を30質量%以上含む化粧品原料組成物は防腐対策が必要であり、本発明のアミンオキシド系界面活性剤を配合することにより抗菌・防腐効果を有し、防腐剤配合量を低減させることができる。水分を30%以上含む原料には防腐対策が必要になることが多いが、水分量30質量%より50質量%の方が防腐力が弱くなり、水分量が70質量%を超えるとさらに防腐力が弱くなるので、水分量の多い原料組成物の方が本発明の技術をより効果的に活かすことができる。なお、配合量の上限は95質量である。
【0018】
本発明の化粧品原料組成物及び化粧料原料組成物の防腐方法によれば、防腐剤の配合量が少ない場合、又は防腐剤未配合でも、化粧品原料組成物として有効な抗菌・防腐効果を有する。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等のパラベン、安息香酸及びその塩、サルチル酸及びその塩、イソプロピルメチルフェノール、ソルビン酸及びその塩、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、フェノキシエタノール、ならびにホルムアルデヒド等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。防腐剤の配合量は、化粧料原料組成物中1質量%以下にすることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.01質量%もしくは防腐剤未配合である。
【0019】
化粧品原料組成物には、上記必須成分及び任意成分の他に、化粧品原料の安定化等を目的として通常用いられる成分の1種又は2種以上を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。このような成分としては、例えば、可溶化剤としての、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類等、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等のpH緩衝剤、EDTA、NTA等の金属キレート剤、防腐・防黴剤等を、対象となる化粧品原料中に必要に応じて適宜配合することができる。さらに、化粧品原料組成物に配合され得る成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することもできる。
【0020】
本発明の化粧品原料組成物のpH(25℃)は2.5〜11.5の範囲が好ましい。より好ましくは2.5〜8.0、さらに好ましくは3.0〜5.0の範囲にすると、抗菌・防腐効果が向上する。pH調整剤として、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、塩酸、硫酸、リン酸等の酸や、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを任意に配合することができる。これらの中で、酸ではグリコール酸、クエン酸が好ましく、アルカリでは水酸化ナトリウムが好ましい。
【0021】
本願発明の化粧料原料組成物及び化粧料原料組成物の防腐方法によれば、防腐剤の配合量が少ない場合や防腐剤未配合でも、化粧品原料組成物として有効な抗菌・防腐効果を有する。対象の菌としては、腸内細菌(Eschericia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、酵母、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)、バーコルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)等のセパシア菌、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、カビ(Aspergillus niger)等が挙げられる。化粧料原料組成物は、抗菌剤、防腐剤として、化粧料原料組成物の防腐方法は化粧料原料組成物の保存方法として好適である。
【0022】
本発明の化粧品原料組成物は、防腐力の優れた化粧品原料として、流通、保管させることができる。また、化粧品原料を化粧品組成物の製造ラインあるいは製造工場の敷地等で貯蔵タンク等に一時保管する場合、保管時の防腐力を高めるために本発明の技術を活用することも有効である。
【実施例】
【0023】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、各例中の組成の%は質量%であり、純分換算した数値(AI)である。pHの測定はいずれも25℃で行った。
【0024】
抗菌・防腐力試験方法について説明する。
下記分離菌A〜Eを用いて評価した。
分離菌A:腸内細菌(Eschericia coli)
分離菌B:緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)
分離菌C:酵母
分離菌D:セパシア菌
分離菌E:カビ(Aspergillus niger)
【0025】
(1)分離菌A・B・Dに対する試験方法
細菌を凍結保護剤入りの滅菌生理食塩水で108〜109cfu/mLに調整し、懸濁液を得て、これを細菌用供試菌液とした。
液体試料20g中に細菌用供試菌液0.2mLを添加し、十分に混合して、評価用混合液を調製した後、設定温度(25℃あるいは40℃)で暗所に保存した。次に、第14改正日本薬局方 微生物限度試験法の生菌数試験に従い、所定の保存日数(4〜28日)を経た後に、前記評価用混合液から1gを無菌的に採取し、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト・レシチン・ポリソルベート80液体培地9mLにそれぞれ希釈混合した。希釈混合して得た液1mLをそれぞれシャーレに取り、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト・レシチン・ポリソルベート80寒天培地で混釈して試料とした。前記試料を30℃で4日間培養し、前記試料中の生残菌数を測定した。
【0026】
(2)分離菌C・Eに対する試験方法
真菌を凍結保護剤入りの滅菌生理食塩水で108〜109cfu/mLに調整し、懸濁液を得て、これを真菌用供試菌液とした。
液体試料20g中に真菌用供試菌液を0.2mL添加し、十分に混合して、評価用混合液を調製した後、設定温度(25℃あるいは40℃)で暗所に保存した。次に、第14改正日本薬局方 微生物限度試験法の生菌数試験に従い、所定の保存日数(4〜28日)を経た後に、前記評価用混合液から1gを無菌的に採取し、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト・レシチン・ポリソルベート80液体培地9mLにそれぞれ希釈混合した。希釈混合して得た液1mLをそれぞれシャーレに取り、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト・レシチン・ポリソルベート80寒天培地で混釈して試料とした。前記試料を25℃で7日間培養し、前記試料中の生残菌数を測定した。
【0027】
[実施例1,2、比較例1〜4]
表1に示す組成のポリクオタニウム−7(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体)5.5%配合の溶液を調製し、抗菌・防腐力試験を行った。試験の評価温度は分離菌D以外はいずれも室温(20〜25℃)に、分離菌Dは40℃に設定した。また、ポリクオタニウム−7(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体)の5.5%水溶液の液外観は透明な粘性溶液であり、ラウリルジメチルアミンオキシド等を添加した表中各溶液の10〜40℃での液外観も、添加前と同じ透明な粘性溶液であった。
【0028】
【表1】

*各分離菌の菌数の単位はcfu/g
【0029】
[実施例3,4、比較例5〜8]
表2に示す組成のポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(3E.O.)27%配合の溶液を調製し、抗菌・防腐力試験を行った。試験の評価温度はいずれも室温(20〜25℃)に設定した。また、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(3E.O.)27%水溶液の液外観は透明溶液であり、ラウリルジメチルアミンオキシド等を添加した表中各溶液の10〜40℃での液外観も、添加前と同じ透明溶液であった。なお、pHは微量のクエン酸で調整した。
【0030】
【表2】

*各分離菌の菌数の単位はcfu/g
【0031】
[実施例5〜7、比較例9〜12]
表3に示す組成の塩化ステアリルトリメチルアンモニウム28%配合の溶液を調製し、抗菌・防腐力試験を行った。試験の評価温度はいずれも40℃に設定した。また、実施例5,6の10〜20℃未満の液外観は、ラウリルジメチルアミンオキシド添加前と同じ白濁沈殿を伴う溶液で、20〜40℃の液外観は、添加したラウリルジメチルアミンオキシドに白色沈殿が溶解したため、透明溶液であった。実施例7、比較例9〜11の水溶液の10〜35℃未満での液外観は、いずれもラウリルジメチルアミンオキシド等添加前と同じ白濁沈殿を伴う溶液であり、35〜40℃での液外観は、いずれも添加前と同じ透明溶液であった。比較例12の水溶液の10〜40℃での液外観は、添加したエタノールに白色沈殿が溶解したため透明溶液であった。なお、pHは微量のクエン酸で調整した。
【0032】
【表3】

*各分離菌の菌数の単位はcfu/g
【0033】
実施例及び比較例で使用した原料を下記に示す。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料原料成分(但し、下記一般式(1)で表されるアミンオキシドを除く)、水30質量%以上、及び防腐剤として下記一般式(1)で表されるアミンオキシド界面活性剤0.1〜30質量%を配合してなる化粧料原料組成物。
【化1】

[式中、R1は炭素数8〜24の一価炭化水素基、又は下記構造式(2)
【化2】

(式中、R4は炭素数8〜24の一価炭化水素基、R5は水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
で表される置換基を示し、R2,R3はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、又は下記構造式(3)
【化3】

(式中、R6は水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、pは1〜3の整数を示す。)
で表される置換基を示し、mは0又は5以下の整数を示す。]
【請求項2】
化粧料原料成分が、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、及び高分子化合物から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の化粧料原料組成物。
【請求項3】
化粧料原料成分が、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、及び第4級アンモニウム塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の化粧料原料組成物。
【請求項4】
化粧料原料成分(但し、下記一般式(1)で表されるアミンオキシドを除く)、及び水30質量%以上を含有する化粧料原料組成物に、下記一般式(1)で表されるアミンオキシド0.1〜30質量%を配合する前記化粧料原料組成物の防腐方法。
【化4】

[式中、R1は炭素数8〜24の一価炭化水素基、又は下記構造式(2)
【化5】


(式中、R4は炭素数8〜24の一価炭化水素基、R5は水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
で表される置換基を示し、R2,R3はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、又は下記構造式(3)
【化6】

(式中、R6は水素原子、メチル基、又はエチル基を示し、pは1〜3の整数を示す。)
で表される置換基を示し、mは0又は5以下の整数を示す。]
【請求項5】
化粧料原料組成物のpH(25℃)が2.5〜11.5の範囲である請求項4記載の防腐方法。

【公開番号】特開2007−106727(P2007−106727A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301538(P2005−301538)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】