説明

化粧板積層発泡体及びそれを用いた天板

【課題】 環境負荷の小さなポリオレフィン系硬質発泡体を用いた化粧板積層発泡体であって、化粧板と芯材との接着性に優れ、軽量で高剛性の構造体を得ることが可能な化粧板積層発泡体及びそれを用いた天板を提供する。
【解決手段】 個々の気泡が厚み方向に配向しているポリオレフィン系樹脂発泡体シートの両面に、前記ポリオレフィン系樹脂発泡性シート原反を加熱発泡する際に生じる面内方向の発泡力を抑制するための面材が積層されてなる芯材の少なくとも片面に、化粧板が積層一体化されてなる化粧板積層発泡体であって、化粧板が面材にアンカー効果により積層一体化されている化粧板積層発泡体及びそれを用いた天板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧板積層発泡体及びそれを用いた天板に関し、より詳細には、発泡体を構成する気泡の長軸が厚み方向に配向しているポリオレフィン系樹脂発泡体を用いた化粧板積層発泡体及びそれを用いた天板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧パネルは、テーブルやカウンターなどの天板用途に使用され、主として家具、住宅器材又はオフィス器具などに利用されている。これらの化粧パネルは、例えば特許文献1に記載されているように、合板、パーチクルボード又は中質繊維板(MDF)などの木質板材をそのまま芯材として使用し化粧面材を接合する方法や、木質材料の枠材と、その枠材と同じ高さ(厚さ)のペーパーハニカムや樹脂発泡体を組合せたフラッシュ構造の芯材に合板など板材を介して化粧面材を貼り合わせたサンドイッチ構造体などが用いられている。
【0003】
上記化粧面材としては、通常、メラミン化粧板、化粧合板、ポリエステル化粧合板などが用いられ、片面のみにしか化粧面材を使用しない場合には、裏打ち材としてフェノール積層板(樹脂含侵紙積層体)が多用されている。
【0004】
【特許文献1】実開平6−17927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1にあるようにフラッシュ構造の芯材としてペーパーハニカムを使用すると、化粧面材や裏打ち材などの面材を接合する際に、面材との接合面は線接触になる。従って、接着面積が実際の面材面積と比較して小さく、面全体の接着強度は低くなりやすいという問題があった。
【0006】
また、フラッシュ芯材として圧縮強度が高く品質的にも安定しているペーパーハニカム、若しくはアルミハニカムなどを用いれば、天板として機能する曲げ剛性を保持することが可能であるが、一般的に流通している天板用途においては、コスト面でアルミハニカムの使用は難しく、更に、ペーパーハニカムを使用する場合においても、コスト面から圧縮強度が低い紙材料を使用することが一般的でり、従って、化粧面材と芯材との接合面の接着強度が低いことは、サンドイッチ構造体として必ずしも十分な曲げ剛性を保持することができず、天板として利用できる十分な剛性を保持することが難しいという問題があった。
【0007】
また十分な剛性を保持するため、フラッシュ構造の代わりに木質系パネルを芯材として用いた場合には、構造体の重量が増加するので、天板を支える脚や取付金具などのアセンブリ部品について、荷重を支える為の補強する必要性が生じるという問題や、携帯用掲示板等の携帯機能を備える製品には使用が困難であるという問題に加えて、木質系材料の吸水による形状変化や腐食が顕著になり易いという問題があった。更に、使用する材料によって、リサイクル性が損なわれ環境負荷が大きくなるという問題もあった。
【0008】
本発明の目的は、上記の諸問題を解決し、環境負荷の小さなポリオレフィン系硬質発泡体を用いた化粧板積層発泡体であって、化粧板と芯材との接着性に優れ、軽量で高剛性の構造体を得ることが可能な化粧板積層発泡体及びそれを用いた天板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の化粧板積層発泡体は、個々の気泡が厚み方向に配向しているポリオレフィン系樹脂発泡体シートの両面に、前記ポリオレフィン系樹脂発泡性シート原反を加熱発泡する際に生じる面内方向の発泡力を抑制するための面材が積層されてなる芯材の少なくとも片面に、化粧板が積層一体化されてなる化粧板積層発泡体であって、化粧板が面材にアンカー効果により積層一体化されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の化粧板積層発泡体は、請求項1記載の化粧板積層発泡体であって、化粧板が、メラミン化粧板であり、裏打ち材としてフェノール積層板が用いられたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の化粧板積層発泡体は、請求項1又は2記載の化粧板積層発泡体であって、枠材により囲まれる空間に前記芯材が充填されたフラッシュ構造を有し、化粧板と芯材との間に合板を介して積層一体化されてなることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の天板は、請求項1〜3の何れか1項記載の化粧板積層発泡体が用いられたことを特徴とする。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
[発泡体シートの製造法]
本発明による化粧板積層発泡体の発泡体の製造方法は、特に限定されないが、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂およびジオキシム化合物、ビスマレイミド、ジビニルベンゼン、アリル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマーおよびキノン化合物から選択される少なくとも1種類の変性用モノマーと溶融混和して得られる変性ポリオレフィン100重量部に対して、アゾジカルボンアミド等の熱分解型化学発泡剤を2〜20重量部を分散させ、これを一旦シート状に成形した後、得られた発泡性シート原反の少なくとも片面に面材を融着させ、原反を熱分解型化学発泡剤の分解温度以上に加熱して、該面材によって面内方向に生じる発泡力を抑制しつつこれを厚み方向にのみ発泡させる。
【0015】
ポリオレフィン系樹脂を上記のように変性させることで、成形された発泡性シート原反は架橋度が低いにも拘らず、これを常圧で発泡させ、さらに発泡方向に異方性を持たせることが可能となる。
【0016】
ここで架橋度が低いとはゲル分率が25%以下であることをいう。一般的にゲル分率の測定は、サンプルの初期重量と、サンプルを120℃の熱キシレン中で24時間で溶解させたもののゲル分を乾燥させたものとの重量比で表現する。
【0017】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂とは、オレフィン性モノマーの(共)重合体であり、特に限定されるものではないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ホモタイプポリプロピレン、ランダム
タイプポリプロピレン、ブロックタイプポリプロピレン等のポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等のエチレンを主成分とする共重合体などから選ばれる1種もしくは2種以上の単体および混合物を意味する。尚、ここで言う「(共)重合体」とは「重合体」または「共重合体」を意味する。
【0018】
上記ポリオレフィン系樹脂には30重量%を下回る範囲で、他の樹脂、例えば、ポリスチレン、スチレン系エラストマーなどがブレンドされていても良い。しかし30重量%を上回るとポリオレフィンの特徴(軽量、耐薬品性、柔軟性、弾性等)が発揮できないばかりか、発泡に必要な溶融粘度を確保することが困難となる場合がある。本発明でのポリオレフィン系樹脂としては、特にポリエチレンやポリプロピレンの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0019】
熱分解型化学発泡剤は、加熱により分解ガスを発生するもので有れば特に限定されるものではなく、次ぎのものが例示される。アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)。これらは単独であるいは2種以上が混合されて用いられる。その中でもアゾジカルボンアミドが好適に用いられる。
【0020】
発泡性シート原反の賦形方法としては、押出成形の他、プレス成形、ブロー成形、カレンダリング成形、射出成形など、プラスチックの成形加工で一般的に行われる方法が適用可能である。しかしスクリュー押出機より吐出する発泡性樹脂組成物を直接賦形する方法が、生産性の観点から好ましい。この場合は、一定寸法幅の連続発泡性シートを得ることができる。
【0021】
発泡性シート原反の少なくとも片面に面材を積層する方法は特に限定されるものではないが、例えば、(イ)一旦冷却固化した発泡性シートに面材を加熱しながら貼付する方法、(ロ)発泡性シートを溶融状態になるまで加熱しておき、これを面材に熱融着する方法、(ハ)発泡性シートに面材を接着剤で貼り合わせる方法などが挙げられる。
【0022】
発泡性複合シートすなわち芯材の厚み精度を確保するには方法(イ)または(ハ)が最も好ましい。方法(ロ)の熱融着法としては、例えば、Tダイから押し出された直後の溶融状態の発泡性シート原反の少なくとも片面に面材を軽く積層した状態で、これらを対向状の冷却ロール間を通過させ、ロールの押圧力で両者を一体化する方法が好ましい。なお、上記のように発泡性シート原反と面材を積層して一体化するとは、原反と面材を両者の界面において剥離しようとした場合に、高い割合で材料破壊が生じる程度に両者が固着されている状態を意味するものとする。
【0023】
ポリオレフィン系樹脂発泡性シート原反の発泡方向を規制するのに使用される面材は、厚さ1mm未満のシート材である。その具体例は以下のものがある。
【0024】
1)ガラスクロス
ガラスクロスの代表例は、ガラス繊維を抄造して得られるサーフェイスマット、ガラスロービングが織られて作成されるものである。サーフェイスマットは、ガラス短繊維同士を結着するためのバインダーを含んでいてもよい。該バインダーは、面材の引張強度が上記範囲を満たすものであれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、飽和ポリエステル、アクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0025】
2)カーボンマット
3)織布、不織布、寒冷紗、ニードルパンチ
これらを構成する有機繊維としてはポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられる。また、綿やケナフ等の天然繊維等がある。
【0026】
4)紙類
紙類としては、パルプ系(セルロース含有量90%以上)等がある。
【0027】
5)薄い鉄系金属シート
薄い鉄系金属シートとしては、溶融亜鉛鋼板や溶融亜鉛アルミニウム合金鋼板、ステンレス鋼板等がある。
【0028】
6)薄い非鉄金属シート
薄い非鉄金属シートとしては、アルミニウム板、チタン板、銅板等がある。
【0029】
本発明においては、上記化粧板が面材にアンカー効果により積層一体化されている。ここで、アンカー効果とは、面材の表面に微細な凹凸形状を有し、その凹凸形状のオーバーハング形状(碇形状)や網目形状によって、接着剤や溶融樹脂などが凹凸形状に入り込み引っ掛かることによって、強固に一体化される効果をいう。
【0030】
したがって、本発明における面材は、上記アンカー効果をもたらすものであれば特に限定されないが、中でも、ガラスクロス、カーボンマット、紙類、不織布などが優れたアンカー効果をもたらす点で好ましい。
【0031】
また、上記のように面材がアンカー効果を有する場合には、接着剤に溶剤が用いられた場合に、表面の凹凸形状の働きによって、溶剤成分を高速に揮発させる効果を発揮することができ、養生時間を短くすることができる。
【0032】
面材の厚みは好ましくは1mm以下、より好ましくは0.3mm以下である。厚みが1mm以上あると、面材の柔軟性が損なわれ、これを芯材に連続的に貼り付けることが困難となり、また面材を介して発泡性シートを加熱することが難しくなるため面材と発泡性シートが均一に融着せず剥離等により気泡構造が不均一となる。また、厚みが0.3mm以下の場合、上記のようなアンカー効果をもたらす凹凸が得られ難くなることがある。
【0033】
発泡性シート原反の発泡は、通常、熱分解型化学発泡剤の分解温度以上、熱可塑性樹脂の熱分解温度以下の温度範囲で行われる。特に連続式発泡装置としては、加熱炉の出口側で発泡体を引き取りながら発泡させる引き取り式発泡器の他、ベルト式発泡器、縦型または横型発泡炉、熱風恒温槽など、あるいは熱浴中で発泡を行うオイルバス、メタルバス、ソルトバスなどが使用される。
【0034】
上記方法で製造された発泡体は、気泡径の長軸が厚み方向に配列しており、圧縮強度に優れた物性を示す。
【0035】
本発明の化粧板積層発泡体は、上記の発泡体を芯材とし、芯材の少なくとも片面に、化粧板が積層一体化されてなるものである。即ち、上記化粧板積層発泡体は、芯材の両面に化粧板が積層されても良いし、また、片面に裏打ち材が積層されたものであってもよい。
【0036】
上記化粧板としては、特に限定されず、例えば、メラミン化粧板、化粧合板、ポリエステル化粧合板などが挙げられる。
【0037】
上記裏打ち材としては、特に限定されず、例えば、フェノール積層版、メラミン化粧板、化粧合板、ポリエステル化粧板、合板、金属系板などが挙げられる。
【0038】
上記において、化粧板がメラミン化粧板であり、裏打ち材としてフェノール積層板が用いられた場合には、軽量性及び剛性のバランスに優れるとともに、化粧板の耐傷性にも優れる点で好ましく、天板として好適な化粧板積層発泡体を得ることができる。
【0039】
上記化粧板を積層一体化する方法としては、特に限定されないが、上記芯材と化粧板を接着剤(ホットメルト接着剤を含む)を介して接着する方法が一般的である。
【0040】
接着方法としては、特に限定されないが、冷間プレス機等を用い、プレス処理することが好ましい。プレス圧としては、通常1〜10kgf/cm程度とされ、加圧時間は2時間程度とされる。プレス圧が1kgf/cm以下であると面全体に対し平均的に加圧することが困難になり、接着ムラやそり等が生じやすくなることがある。また、プレス圧が10kgf/cm以上であると芯材自体が圧縮荷重によりつぶれる可能性がある。
【0041】
上記接着剤としては、特に限定されす、例えば、酢酸ビニルエ樹脂マルジョン接着剤、アクリルエマルジョン接着剤、酢酸ビニル共重合エマルジョン接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、酢酸ビニル樹脂マスチック接着剤、ドープセメント、モノマーセメント、塩化ビニル樹脂接着剤、EVA系ホットメルト接着剤、ポリアミド系ホットメルト接着剤、ポリエステル系ホットメルト接着剤、熱可塑ゴム系接着剤、合成ゴムラテックス系接着剤、ウレタンホットメルト接着剤、合成ゴムSIS系ホットメルト接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、天然ゴム系接着剤、ユリア樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤、エポキシ樹脂接着剤、ポリウレタン系接着剤などが挙げられる。
【0042】
本発明の化粧板積層発泡体が、枠材により囲まれる空間に上記芯材が充填されたフラッシュ構造を有し、上記化粧板と芯材との間に合板を介して積層一体化されてなる場合には、得られる構造体の剛性が更に向上する点で好ましく、天板として更に好適な化粧板積層発泡体を得ることができる。
【0043】
上記フラッシュ構造においては、重量増加が容認される場合には、枠材により囲まれる空間に、更に所定の高さの木質系枠が挿入されたものであってもよい。この場合には得られる構造体の剛性が更に向上する。
【発明の効果】
【0044】
個々の気泡が厚み方向に配向しているポリオレフィン系樹脂発泡体シートの両面に、前記ポリオレフィン系樹脂発泡性シート原反を加熱発泡する際に生じる面内方向の発泡力を抑制するための面材が積層されてなる芯材の少なくとも片面に、化粧板が積層一体化されてなる化粧板積層発泡体であって、化粧板が面材にアンカー効果により積層一体化されていることを特徴とするので、環境負荷の小さなポリオレフィン系硬質発泡体を用いた化粧板積層発泡体であって、化粧板と芯材との接着性に優れ、軽量で高剛性の構造体を得ることが可能な化粧板積層発泡体を提供することができる。
【0045】
上記化粧板が、メラミン化粧板であり、裏打ち材としてフェノール積層板が用いられた場合には、軽量性及び剛性のバランスに優れるとともに、化粧板の耐傷性にも優れ、上記効果は更に確実なものとなる。
【0046】
また、枠材により囲まれる空間に上記芯材が充填されたフラッシュ構造を有し、上記化粧板と芯材との間に合板を介して積層一体化されてなる場合には、得られる構造体の剛性が更に向上し、上記効果は更に確実なものとなる。
【0047】
本発明の天板は、上記化粧板積層発泡体が用いられたことを特徴とするので、上記同様の効果を発揮する天板が得られる。このため、天板自体の軽量化によるアセンブリ部品の簡略化、製造工程の簡略化、コストダウンが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明を実施例によってより具体的に説明する。
【0049】
(実施例1)
i)発泡性樹脂組成物の製造
(1)変性ポリオレフィン系樹脂の調製
変性用スクリュー押出機として、BT40(プラスチック工学研究所社製)同方向回転2軸スクリュー押出機を用いた。これはセルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは35、Dは39mmである。シリンダーバレルは押出機の上流から下流側へ第1〜4バレルからなり、ダイは3穴ストランドダイであり、揮発分を回収するため第4バレルに真空ベントが設置されている。
【0050】
操作条件は下記の通りである。
【0051】
・シリンダーバレル設定温度:第1バレル;180℃
第2バレル;220℃
第3バレル;220℃
第4バレル;220℃
ダ イ;220℃
・スクリュー回転数:150rpm
【0052】
上記構成の変性用スクリュー押出機に、まず、ポリオレフィン系樹脂およびジオキシム化合物をその後端ホッパーから別々に投入し両者を溶融混和し、変性樹脂を得た。このとき、押出機内で発生した揮発分は真空ベントにより真空引きした。
【0053】
ポリオレフィン系樹脂はポリプロピレンランダム共重合体(三菱化学製「EG8」、MI;0.8g/10分、密度;0.9g/cm)であり、その供給量は10kg/hとした。
【0054】
変性用モノマーはp−キノンジオキシム(大内新興化学社製「バルノックGM−P」)であり、その供給量はポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.75重量部とした。
【0055】
ポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物の溶融混和によって得られた変性樹脂を、ストランドダイから吐出し、水冷し、ペレタイザーで切断して、変性樹脂のペレットを得た。
【0056】
(2)発泡性樹脂組成物の調製と複合シートの調製
発泡剤混練用スクリュー押出機はTEX−44型(日本製鋼所社製)同方向回転2軸スクリュー押出機であり、これはセルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは45.5、Dは47mmである。シリンダーバレルは押出機の上流から下流側へ第1〜12バレルからなり、成形ダイは出口幅500mm、出口隙間3.5mmのTダイである。
【0057】
温度設定区分は下記の通りである。
【0058】
第1バレルは常時冷却
第1ゾーン;第2〜4バレル
第2ゾーン;第5〜8バレル
第3ゾーン;第9〜12バレル
第4ゾーン;ダイおよびアダプター部
【0059】
発泡剤を供給するために第6バレルにサイドフィーダーが設置され、揮発分を回収するため第11バレルに真空ベントが設置されている。
【0060】
操作条件は下記の通りである。
【0061】
・シリンダーバレル設定温度:第1バレル;150℃
第2バレル;170℃
第3バレル;180℃
第4バレル;160℃
・スクリュー回転数:40rpm
【0062】
上述のようにして得られた変性樹脂を反応用スクリュー押出機から発泡剤混練用スクリュー押出機に供給した。変性樹脂の供給量は20kg/hとした。また、同押出機にそのサイドフィーダーから発泡剤を供給し、分散させた。発泡剤はアゾジカルボンアミド(ADCA)であり、その供給量は1.2kg/hとした。
【0063】
こうして変性樹脂と発泡剤の混練によって得られた発泡性樹脂組成物を、Tダイから押し出し、3本冷却ロールに通す際に、発泡性樹脂組成物シートの表面、裏面の両面に、アンカー効果をもたらす面材として、ポリエチレンテレフタレート製の不織布(東洋紡績社製、「スパンポンドエクーレ6301A」、秤量30g/m、引張り強度:縦1.6kg/cm、横1.2kg/cm)を熱融着し、幅460mm、厚さ3.4mmのポリオレフィン系樹脂発泡性複合シートを得た。
【0064】
(3) 発泡
得られたポリオレフィン系樹脂発泡複合シートを加熱ゾーンを有する連続発泡機にて、230℃で約8分間加熱発泡させ、複合発泡体を得た。
【0065】
得られた複合発泡体(厚さ12mm)を芯材とし、この芯材の両面にロールコーターを用いて接着剤(コニシ社製「CH7WN」)を塗布した後、表面に化粧板、裏面に裏打ち材を重ね、冷間プレス機にてプレス処理(プレス圧1〜10kgf/cm加圧時間:2時間)を行った。
【0066】
上記化粧板としてはメラミン化粧板(厚さ1.2mm)使用した。また、裏打ち材としてはフェノール積層板(厚さ0.8mm)を使用した。
【0067】
次いで、プレス機から積層体を取り出し、所定の時間[夏季(4〜9月):2時間、冬季(10〜3月):4時間]養生して完全に一体化して化粧板積層発泡体を作成した。得られた化粧板積層発泡体を所定の形状に切断して天板を得た。
【0068】
(実施例2)
芯材と化粧板、及び、芯材と裏打ち材の間に厚さ3.0mmのMDF板材を介して積層したこと以外は実施例1と同様にして天板を得た。
【0069】
(比較例1)
厚さ21mmのペーパーハニカムを芯材として使用し、表面にメラミン化粧板(厚さ0.8mm)、裏面にフェノール積層板が用いられ、芯材と化粧板及び芯材と裏打ち材の間に厚さ3.0mmのMDF板材を介して積層一体化されたオフィステーブルの天板からサンプルを採取した。
【0070】
(比較例2)
厚さ15mmのペーパーハニカムを芯材として使用し、表面にメラミン化粧板(厚さ0.8mm)、裏面にフェノール積層板が用いられ、芯材と化粧板、及び、芯材と裏打ち材の間に厚さ3.0mmのMDF板材を介して積層一体化されたオフィステーブルの天板からサンプルを採取した。
【0071】
上記実施例及び比較例について、JIS K7221に準拠し、3点曲げ試験を行い、曲げ弾性率、曲げ強度を測定するとともに、接着界面の剥離状況を評価した。
評価結果は表1に示した。
【0072】
【表1】

【0073】
表1より明らかなように、本発明の天板は、極めて高い曲げ弾性率及び曲げ強度を有し、接着界面の剥離がないことが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々の気泡が厚み方向に配向しているポリオレフィン系樹脂発泡体シートの両面に、前記ポリオレフィン系樹脂発泡性シート原反を加熱発泡する際に生じる面内方向の発泡力を抑制するための面材が積層されてなる芯材の少なくとも片面に、化粧板が積層一体化されてなる化粧板積層発泡体であって、化粧板が面材にアンカー効果により積層一体化されていることを特徴とする化粧板積層発泡体。
【請求項2】
化粧板が、メラミン化粧板であり、裏打ち材としてフェノール積層板が用いられたことを特徴とする請求項1記載の化粧板積層発泡体。
【請求項3】
枠材により囲まれる空間に前記芯材が充填されたフラッシュ構造を有し、化粧板と芯材との間に合板を介して積層一体化されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の化粧板積層発泡体。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項記載の化粧板積層発泡体が用いられたことを特徴とする天板。


【公開番号】特開2006−123283(P2006−123283A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313050(P2004−313050)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】