説明

化粧枠取り付け装置

【解決手段】 化粧枠取り付け装置1は、横転状態のドア2を搬送する搬送手段4と、化粧枠3をドア2に重合させる移送手段6と、化粧枠3に釘打ちする釘打ち手段7とを備えている。
接着剤塗布位置Aにおいてドア2の上面に接着剤が塗布され、その後、ドア2は取り付け位置Bに停止される。移送手段6はコ字形の化粧枠3を待機位置Eから取り付け位置Bまで移送して、停止中のドア2に重合させる。この後、釘打ち手段7によって化粧枠3が釘打ちされてドア2に固定される。その後、ドア2は反転位置Cで反転されてから再度接着剤塗布位置Aまで戻される。この後、反転後のドア2の新たな上面に第2の化粧枠3が取り付けられる。
【効果】 ドア2への化粧枠3の取り付けを効率的に処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドアに化粧枠を取り付ける化粧枠取り付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特に欧米諸国においては、表裏両面にコ字形の化粧枠を取り付けた住宅用ドアが一般家庭に普及している。こうした住宅用ドアへの化粧枠の取り付け作業は、従来では作業者が手作業で行っていたものである。
なお、住宅用ドアではないけれども、木枠の表面に板材を取り付けて木製パネルを製造する方法が提案されている(例えば特許文献1)。また、木製パネルを反転させる装置として例えば特許文献2が提案されている。
【特許文献1】特開平8−39516号公報
【特許文献2】特公平7−102547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述したように、従来では作業者が手作業で住宅用ドアに化粧枠を取り付けていたので、作業効率が悪いという欠点があった。そのため、従来から化粧枠をドアに取り付ける装置が要望されていたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した事情に鑑み、請求項1に記載した本発明は、ドアの上面に化粧枠を取り付ける化粧枠取り付け装置であって、
横転状態のドアを搬送する搬送手段と、上記搬送手段上のドアの上面に接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、上記搬送手段上を搬送されるドアを所定の位置に停止させる位置決め手段と、上記化粧枠を移送して上記位置決め手段によって位置決めされたドアの上面に化粧枠を重合させる移送手段と、上記化粧枠に釘打ちして該化粧枠をドアに固定する釘打ち手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0005】
このような構成によれば、従来と比較してドアへの化粧枠の取り付け作業を効率的に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、図1において1は化粧枠取り付け装置であり、この化粧枠取り付け装置1は木製のドア2の表裏両面に順次木製の化粧枠3を取り付けるようになっている。
化粧枠取り付け装置1は、横転状態のドア2を水平に支持して直線状の搬送経路で搬送する搬送手段4と、化粧枠3をコ字形に組み立てる組み立て手段5と、組み立てられた化粧枠3を停止中のドア2に重合させる移送手段6と、化粧枠3の上から複数箇所に釘打ちして該化粧枠3をドア2に固定する釘打ち手段7と、搬送手段4の搬送経路上においてドア2を上下反転させる反転手段8とを備えている。なお、この化粧枠取り付け装置1において、上記搬送手段4の搬送経路には、上流側から下流側にわたって横転状態のドア2の上面に接着剤を塗布する接着剤塗布位置A、コ字形に組み立てられた化粧枠3をドア2に取り付ける取り付け位置B、ドア2の上下を反転する反転位置Cが設定されるとともに、搬送手段4と並列に配置されるように、化粧枠3をコ字形に組み立てる組み立て位置Dと組み立てられた化粧枠3を取り付け位置Bへ移送するまで待機させる待機位置Eが設定されている。さらに待機位置Eの取り付け位置Bを挟んだ反対側に化粧枠3の移送時に釘打ち手段7を退避させる待機位置Fが設定されている。
【0007】
図2(a)および図2(b)に示すように、化粧枠取り付け装置1の処理対象となるドア2は、コ字状をした枠部材2Aとその内部で当該枠部材2Aに蝶番により開閉可能になっている本体部2Bとからなり、全体として縦長の長方形になっている。一方、図2(d)、図2(e)に示すように、化粧枠3は、左右一対の高さ方向部材3A、3Bとそれらを連結する幅方向部材3Cとからなり、これらの部材は組み立て位置Dにおいて組み立て手段5によりコ字形に連結されてから待機位置Eで待機するようになっている。
【0008】
ここで、まず本実施例の化粧枠取り付け装置1による処理工程を図1および図2により説明する。すなわち、ドア2が横転状態で搬送手段4上に供給されると、搬送手段4によって順次下流側へ搬送される。そして、ドア2は先ず接着剤塗布位置Aの第1位置決め手段11によって一次停止されて接着剤塗布手段12によってドア2の枠部材2Aの上面(上方を向けた面)の上辺部2cに接着剤が塗布される(図2(a))。その後、搬送手段4により第1位置決め手段11から解放されて取り付け位置Bへ搬送される過程において、ドア2の枠部材2Aの上面の両側辺部2a、2bに接着剤が塗布される。そして、ドア2は取り付け位置Bまで搬送されて第2位置決め手段13によってそこに停止位置決めされ、その停止中のドア2上に移送手段6によって化粧枠3が位置を合わせて重合される(図2(b))。これによりドア2の枠部材2Aと化粧枠3が接着剤によって接着され、そのようにドア2の枠部材2Aに重合された化粧枠3に対して釘打ち手段7の複数の釘打ち機10によって一斉に釘打ちがなされる(図2(b))。
これにより、ドア2の上面に化粧枠3が組み付けられ、この後、ドア2は搬送手段4により隣接下流側の反転位置Cまで搬送されてから反転手段8によって上下180度反転される(図2(c))。これにより、化粧枠3が取り付けられていない他面が新たな上面となり、その状態のドア2は搬送手段4により接着剤塗布位置Aまで逆送されて第3位置決め手段23により停止される。この接着剤塗布位置Aにおいてドア2の枠部材2Aの新たな上面の上辺部2cに上記接着剤塗布手段12により接着剤が塗布され(図2(a))、接着剤塗布位置Aから取り付け位置Bへ搬送手段4により搬送される過程において、ドア2の枠部材2Aの両側辺部2a、2bに接着剤が塗布される。この後、ドア2は再度取り付け位置Bまで搬送されて第2位置決め手段13によって停止位置決めされる(図2(b))。その状態においてドア2の新たな上面に移送手段6によって第2の化粧枠3が位置を合わせて重合され、その後、釘打ち手段7の釘打ち機10によって一斉に化粧枠3の上から釘打ちがなされる。
これにより、ドア2の表裏両面にそれぞれ化粧枠3が取り付けられたので、その後、化粧枠3の取り付けが完了したドア2は搬送手段4によって取り付け位置Bから反転位置Cを経由して下流側へ搬出されるようになっている。
【0009】
次に、この化粧枠取り付け装置1の各部について順に説明する。
図1に示すように、搬送手段4は、接着剤塗布位置Aの固定フレーム14に設けられた第1ローラコンベヤ15と、取り付け位置Bの固定フレーム16に設けられた第2ローラコンベヤ17と、反転位置Cの固定フレーム18に取り付けられた左右一対の第3ローラコンベヤ21とから構成されている。
各ローラコンベヤ15、17、21は、それぞれ図示しない駆動源に連動して独立して正逆に回転されるようになっている。各ローラコンベヤ15、17、21が正転されると、ドア2は接着剤塗布位置A、取り付け位置Bおよび反転位置Cという順序で上流側から下流側へ搬送される。これに対して、各ローラコンベヤ15、17、21が逆転されるとドア2は反転位置Cから接着剤塗布位置Aに向けて逆送されるようになっている。
接着剤塗布位置Aと取り付け位置Bの両ローラコンベヤ15、17の載置面は同じ高さに設定されている。また、反転位置Cの第3ローラコンベヤ21は、左右一組のエアシリンダ22に連動して上方の水平位置と下方の傾斜位置とに移動されるようになっている(図7、図9参照)。ドア2が反転位置Cに搬入される際および反転位置Cを通過する前には、左右のエアシリンダ22によって第3ローラコンベヤ21は上方の水平位置に支持されており、そのときの第3ローラコンベヤ21の載置面は他の各ローラコンベヤ15,17の載置面と同じ高さに維持される(図1、図7、図9参照)。これに対して、反転位置Cにドア2が搬入されてから反転手段8によりドア2が180度反転される際には、事前に左右各組のエアシリンダ22によって第3ローラコンベヤ21が傾斜位置まで下降されるようになっている(図9参照)。それにより、反転手段8によって反転されるドア2が第3ローラコンベヤ21と干渉しないようになっている。その後、反転手段8によるドア2の反転作動後に第3ローラコンベヤ21は各組のエアシリンダ22によって水平位置まで上昇されるので、反転されたドア2は第3ローラ21によって支持されるようになっている(図7、図9)。
【0010】
次に、接着剤塗布位置Aの接着剤塗布手段12は、第1ローラコンベヤ15の搬送方向と直交する方向に移動されつつ接着剤を吐出する可動吐出部12Aと、固定フレーム14の上面の両側に配置された一対の固定吐出部12Bとから構成されている。
第1位置決め手段11は、接着剤塗布位置Aにおける下流側に出没可能に設けられたストッパ11Aと、ドア2の左右両側部を挟み込んで幅方向の位置決めをする左右一組の位置決めシリンダ11Bとを備えている。接着剤塗布位置Aの所要箇所にはドア2を検出する図示しないドアセンサが配置されており、第1ローラコンベヤ15が正転しているときにドアセンサによってドア2が検出されると、ストッパ11Aが上昇されて、ドア2の前進端である下端部がストッパ11Aに当接し、その後、ドア2の両側部が左右の位置決めシリンダ11Bによって挟持されることによりドア2が接着剤塗布位置Aにおいて幅方向および搬送方向に位置決めされるようになっている。
この直後に、接着剤塗布手段12の可動吐出部12Aが図示しない可動部材に連動してドア2の枠部材2Aの上辺部2cに沿って移動されつつ接着剤を吐出するので、上辺部2cに接着剤が塗布されるようになっている。
可動吐出部12Aによるドア2の上辺部2cへの接着剤の塗布作業が終わると、位置決めシリンダ11Bによる挟持状態が解除されるとともに、ストッパ11Aが退没され、この時点で正転されている第1ローラコンベヤ15によってドア2は取り付け位置Bへ搬送される。上記ストッパ11Aが退没されてから所定時間だけ固定吐出部12Bから接着剤が吐出されるので、ドア2が接着剤塗布位置Aから取り付け位置Bへ移動される過程において上記ドア2の枠部材2Aの両側辺部2a、2bに接着剤が塗布されるようになっている(図2(a)参照)。
【0011】
次に、取り付け位置Bの第2位置決め手段13は、上記第1位置決め手段11と同様に、出没可能なストッパ13Aおよびドア2の両側を挟み込んで位置決めする左右一組の位置決めシリンダ13Bとを備えている。
取り付け位置Bの第2ローラコンベヤ17は、上記ドア2が接着剤塗布位置Aから搬入される際には正転されており、またその時には第2位置決め手段13のストッパ13Aは第2ローラコンベヤ17よりも上方に突出している。そのため、ドア2が取り付け位置Bに搬入されると、ドア2の下端部がストッパ13Aに当接して停止される。その後、左右の位置決めシリンダ13Bによりドア2が挟持される。これにより、ドア2は、取り付け位置Bにおいて幅方向および搬送方向に位置決めされ、その後に第2ローラコンベヤ17が停止されるようになっている。
このように取り付け位置Bにドア2を位置決めした状態において移送手段6によって化粧枠3を待機位置Eから取り付け位置Bまで移送して上記ドア2に位置合わせして重合させ、その後に釘打ち手段7によって化粧枠3に釘打ちを施すようになっている。
尚、接着剤塗布位置Aの上流側には、第3位置決め手段23として第1ローラコンベヤ15の搬送面から出没可能なストッパ23Aが設けられ、第1ローラコンベヤ15上を逆送されるドア2を接着剤塗布位置Aに停止させるようになっている。
【0012】
次に、図1、図3および図4に示すように、化粧枠3を組み立てる組み立て手段5は、化粧枠3を構成する左右の高さ方向部材3A、3Bをそれぞれ積層状態で保持するマガジン24A、24Bと、幅方向部材3Cを積層状態で保持するマガジン24Cと、マガジン24A、24Bの各最下部からそれぞれ高さ方向部材3A、3Bを各1枚ずつ同期して取り出すクランプ機構25A、25Bと、マガジン24Cの最下部から幅方向部材3Cを1枚ずつ取り出すクランプ機構25Cと、マガジン24Cに隣接させて配置された左右一対の支持部26と、組み立て完了後の化粧枠3を組み立て位置Dから待機位置Eの支持部材27上へ押し出す搬送ベルト28を備えている。
搬送ベルト28は、両支持部26の位置から幅方向部材3Cのマガジン24Cの下方側を経て待機位置Eに至る範囲に配置されており、この搬送ベルト28に沿って幅方向部材3Cを支持する一対の支持レール31が配置されている。さらに、組み立て位置Dの一端側から待機位置Eに至る両側部には左右一対のガイド部材32が配置されている。ガイド部材32は、高さ方向部材3A、3Bがクランプ機構25A、25Bによりマガジン24A、24Bから取り出されて下降された際に、両部材3A、3Bの端部を支持できるようになっている。また、組み立て完了後の化粧枠3が組み立て位置Dから待機位置Eに押し出される際には、両高さ方向部材3A,3Bはガイド部材32によって支持されるとともに、それらの移動を案内するようになっている。
【0013】
上記支持部26の上面には、L字形の位置決め部材26Aを対向させて取り付けてあり、各マガジン24A、24B、24Cから取り出された各部材3A〜3Cはこの位置決め部材26Aによって位置決めされるようになっている。
すなわち、先ず、クランプ機構25Cが所要量だけ昇降されることで、マガジン24C内の最下方の幅方向部材3Cがクランプ機構25Cにより1枚把持されて取り出された後、クランプ機構25Cが可動部材33によって位置決め部材26Aの位置まで前進される。これにより、幅方向部材3Cの両端である45度コーナー部が両位置決め部材26A内に位置決めされる(図1、図3)。この後、クランプ機構25A、25Bが所要量だけ昇降されることで、マガジン24A、24B内の最下方にある高さ方向部材3A,3Bがクランプ機構25A、25Bにより把持されて取り出された後に、可動部材34によってクランプ機構25A、25B全体が位置決め部材26Aに向けて前進される。これにより、両高さ方向部材3A,3Bの各45度コーナー部が両位置決め部材26Aに挿入されるとともに、幅方向部材3Cにおける両端部の45度コーナー部と突き合わされる(図2(d)、図2(e)参照)。このように隣り合う各部材3A〜3Cの45度コーナー部が付き合わされた状態において、隣り合う各部材3A〜3Cの45度コーナー部にわたって図示しない釘打ち機によって2箇所に釘打ちが施される(図2(e)参照)。これでコ字形をした化粧枠3の組み立てが完了するので、各クランプ機構25A、25B、25Cは各部材3A〜3Cの把持状態を解放してから所要量だけ下降され、さらに上記可動部材33,34によって各マガジン24A〜24Cの下方側の位置に復帰するようになっている。
【0014】
組み立て完了後の化粧枠3は、支持部材26と、ガイド部材32と支持レール31によって支持されており、また化粧枠3の幅方向部材3Cは停止中の搬送ベルト28上に載置される。
この状態から搬送ベルト28が図示しないモータによって所定量だけ正転方向に走行されると、搬送ベルト28に取り付けた係合爪28Aが化粧枠3の幅方向部材3Cに当接してそれを待機位置Eに向けて押し出す。そのため、この搬送ベルト28によって化粧枠3全体が両ガイド部材32に案内されて組み付け位置Dから待機位置Eの支持部材27上まで押し出される。この後、搬送ベルト28は図示しないモータによって所要量だけ逆転されるので、係合爪28Aは位置決め部材26Aよりも外方側の位置に復帰する。組み立て完了後のコ字形の化粧枠3は、移送手段6によって移送されるまでこの待機位置Eの支持部材27上に待機するようになっている。
本実施例の組み立て手段5は、以上のようにして組み立て位置Dにおいて各部材3A〜3Cを連結させてコ字形の化粧枠3を組み立て、その後、待機位置Eに化粧枠3を待機させるようになっている。
なお、組み立て手段5としては、上記待機位置Eの支持部材27以外は省略することも可能である。つまり、その場合には、予め別の場所でコ字形の化粧枠3を組み立てた後に、それを待機位置Eの支持部材27上に待機させればよい。
【0015】
次に図4ないし図6により移送手段6および釘打ち手段7について説明する。取り付け位置Bを挟んで設けられた両待機位置E、Fの上方にわたって搬送手段4の搬送方向と直交するように支持フレーム35が水平に配置されており、この支持フレーム35に長方形の可動枠36を載置している。この可動枠36は、駆動機構37に連動して支持フレーム35の長手方向に沿って移動されるようになっている。駆動機構37は、駆動源となるモータ38により、タイミングベルト39Aを介して支持フレーム35の可動枠36の移動路に沿って掛け渡されたタイミングベルト39Bを正逆に回転するように構成され、可動枠36の連結部36Aに連結されている。これにより、上記モータ38が正逆に回転されると、可動枠36は支持フレーム35の長手方向に沿って往復移動されるようになっている。
可動枠36の長手方向の一端(待機位置E)側に移送手段6を取り付けてあり、他端(待機位置F)側に釘打ち手段7を取り付けている。駆動機構37によって可動枠36が支持フレーム35に沿って所定量だけ往復移動されることで、移送手段6と釘打ち手段7は搬送手段4の直交方向に同期して同じ距離だけ移動されるようになっている。つまり、移送手段6が待機位置Eに位置し、かつ釘打ち手段7が取り付け位置Bに位置している状態から、駆動機構37によって可動枠36を介して移送手段6が待機位置Eから取り付け位置Bまで移動されると、釘打ち手段7は取り付け位置Bから待機位置Fへ移動される。他方、駆動機構37によって可動枠36を介して釘打ち手段7が待機位置Fから取り付け位置Bまで移動されるときには、移送手段6は取り付け位置Bから待機位置Eへ移動されるようになっている。
【0016】
移送手段6は、上記可動枠36に昇降機構43を介して昇降可能に支持された枠部材44と、この枠部材44の4箇所に配置されたクランプ部材45とを備えている。昇降機構43は、枠部材44に連結した4本のガイド部材43Aと、枠部材44を昇降させる昇降シリンダ43Bとを備えている。
移送手段6が待機位置Eに位置している状態で、昇降機構43によって枠部材44が下降位置まで下降されると、待機位置Eで待機中の化粧枠3における両高さ方向部材3A、3Bが4個のクランプ部材45によって把持されるようになっている。この状態から昇降機構43によって枠部材44が上昇位置まで上昇されることで、クランプ部材45に把持された化粧枠3が支持部材27の上方へ持ち上げられるようになっている。この後、駆動機構37により可動枠36が他方の待機位置Fに向けて所定距離だけ移動されることにより、移送手段6のクランプ部材45に保持された化粧枠3が取り付け位置B上に位置し、また釘打ち手段7は取り付け位置Bから待機位置Fに移動する。この時点までには、取り付け位置Bにドア2が搬入されて上記第2位置決め手段13によって位置決めされているので、移送手段6のクランプ部材45に保持された化粧枠3は、ドア2の近接上方に支持されたことになる。
この状態から移送手段6の昇降機構43により枠部材44およびクランプ部材45が下降位置まで下降されるので、コ字形の化粧枠3はドア2の枠部材2Aの上辺部2cと両側辺部2a、2bに重合される。ドア2の上面における両側辺部2a、2bおよび上辺部2cには既に接着剤が塗布されているので、化粧枠3とドア2は接着剤によって相互に接着される(図2(b)参照)。
【0017】
このあと、移送手段6のクランプ部材45による化粧枠3の把持状態が解放されるとともに、昇降機構43によって枠部材44およびクランプ部材45が上昇位置まで上昇される。このようにして、駆動機構37と移送手段6とにより、化粧枠3が待機位置Eから取り付け位置Bまで移送されてドア2上に位置決めされてそれに重合されるようになっている。
この後、化粧枠3を解放した移送手段6は駆動機構37によって取り付け位置B上から待機位置Eまで移動されて、該待機位置Eで新たな化粧枠3の上方に停止する。この後、移送手段6の昇降機構43によって枠部材44とクランプ部材45が下降されるので、該クランプ部材45によって新たな化粧枠3が把持されるようになっている。
一方、上述したように移送手段6が待機位置Eに復帰するのと同時に釘打ち手段7が待機位置Fから取り付け位置Bまで移動されて、ドア2と化粧枠3の近接上方位置に停止されるようになっている。そして、この釘打ち手段7が備える複数の釘打ち機10によって取り付け位置Bにある化粧枠3に釘打ちが施されるようになっている。
【0018】
図5および図6に示すように、釘打ち手段7は、上記可動枠36に昇降自在に取り付けられた長方形の枠部材46と、この枠部材46に取り付けられた合計8個の釘打ち機10と(図2(b)、図6参照)、枠部材46を昇降させる昇降機構47とを備えている。昇降機構47は、駆動源となるモータ48と、タイミングベルト49および一対のタイミングプーリー50とを介して正逆に回転されるナット部材51と、上方側のねじ部を上記ナット部材51に螺合されるとともに下方部を枠部材46に連結された昇降軸52と、枠部材46の昇降作動を案内する4箇所の昇降ガイド53とを備えている。この昇降機構47のモータ48を正逆に所要量だけ回転させることで、全ての釘打ち機10を上昇位置と下降位置とに昇降させることができる。本実施例においては、釘打ち機10は、枠部材46の一方の短辺に2箇所と、各長辺のそれぞれに3箇所に取り付けられている(図2(b)参照)。釘打ち機10そのものの構成は従来公知のものと同じである。
そして、前述したようにして釘打ち手段7が駆動機構37によって取り付け位置B上に位置すると、昇降機構47によって釘打ち手段7全体が下降位置まで下降される。これにより、合計8個の釘打ち機10は、ドア2に重合されたコ字形の化粧枠3の近接上方に位置するようになっている(図2(b)、図6)。この状態において、全ての釘打ち機10によって一斉に釘打ちが行われる。そしてさらに、枠部材6の長辺に配置された合計6箇所の釘打ち機10は、一度釘打ちを行った後に図示しない可動機構により所定量だけ枠部材46の長辺に沿って平行移動され、そこで再度一斉に釘打ちを行うように構成されている。
このようにして、取り付け位置Bに停止中のドア2と化粧枠3に対して釘打ち手段7の釘打ち機10により合計14箇所に釘打ちがなされて、化粧枠3はドア2の上面に強固に固定されるようになっている。
【0019】
この後に釘打ち手段7は昇降機構47により上昇位置まで上昇され、その後、次の化粧枠3を待機位置Eから取り付け位置Bへ移送する際に上記駆動機構37に連動して取り付け位置Bから待機位置Fまで移動され、そこで待機状態となる。
一方、上述したようにして取り付け位置Bにおいて化粧枠3の取り付けが完了したドア2は、この後、第2位置決め手段13による位置決め状態を解放されるとともに第2ローラコンベヤ17の正転動作によって取り付け位置Bから反転位置Cへ搬入される。
【0020】
前述したように反転位置Cには、上方の水平位置と下方の傾斜位置とに揺動可能な第3ローラコンベヤ21が配置されている。そして、第3ローラコンベヤ21が上方側の水平状態にあり、かつそれらが図示しない駆動源により正転されている状態において上記取り付け位置Bから反転位置Cにドア2が搬入されるようになっている。このとき、第3ローラコンベヤ21は所要量だけ正転されてから停止されるので、ドア2は第3ローラコンベヤ21上の搬送方向の所定位置内に停止されるようになっている。
図7〜図11に示すように、反転手段8は、固定フレーム18に搬送方向に所定距離を隔てて対向させて配置された一対の支持枠55と、各支持枠55の中央部に回転可能に設けられた各回転板56と、各回転板56に取り付けられたドア保持機構54と、両回転板56を水平な回転中心を中心として180度回転させる回転機構59とを備えている。
各支持枠55はその中空部が円形に形成された板状部材からなっている。各回転板56は支持枠55の円形中空部と略等しい大きさの円板形状をしており、各回転板56の中央部には、化粧枠3とドア2が余裕を持って通過可能な長方形の開口部56Aが形成されている。
各回転板56の外周部の3箇所に係合ローラ60を回転自在に取り付けてあり、これら係合ローラ60の外周部の溝を、支持枠55における円形の内周部55Aに係合させている。これにより、両回転体56は支持枠55の内周部55Aに案内されて正逆に回転できるようになっている。
【0021】
上記ドア保持機構54は、ドア2の上下方向を把持する第1把持機構57と、ドア2の左右方向を把持する第2把持機構58から構成される。
上記各回転板56の各開口部56Aにおける下方の縁部にそれぞれ板状部材61を水平に連結してあり、さらに各板状部材61に対向させて各回転板56の壁面に一対の昇降シリンダ62を取り付けている。各昇降シリンダ62の先端に弾性体からなる把持部材62Aを取り付けている。板状部材61と昇降シリンダ62および把持部材62Aによって第1把持機構57が構成されている。
また、各回転板56の各開口部56Aにおける側方の縁部にそれぞれ板状部材63を垂直に連結してあり、その板状部材63に対向させて各回転板56の壁面にシリンダ64を取り付け、このシリンダ64の先端にも弾性体からなる把持部材64Aを取り付けている。これら板状部材63とシリンダ64および把持部材64Aによって第2把持機構58が構成されている。
両回転板56が反転される前の通常位置にある時には、図7、図10に示すように、板状部材61が下方に位置して水平となり、把持部材62Aは上方側に位置する。そして、このときの板状部材61の高さは、水平状態にある第3ローラコンベヤ21の載置面の高さより僅かに低くなっている(図8)。
このように両回転板56が通常位置にあるときに、上述したようにドア2が取り付け位置Bから反転位置Cに搬入されるようになっている。そのため、上面に化粧枠3が固定されたドア2は上流側の回転板56の開口部56A内を通過して反転位置Cの第3ローラコンベヤ21上に搬入されてから所定位置で停止される(図7)。
【0022】
この後、図9に示すように、第3ローラコンベヤ21がエアシリンダ22によって下降されて傾斜状態となるので、ドア2の長手方向両端の下部が両回転板56の板状部材61によって支持される。その後、両回転板56の第2把持機構58のシリンダ64が前進されて、各把持部材64Aによりドア2の両側が挟み込まれる。この後、上記各回転板56の第1把持機構57の昇降シリンダ62が同期して前進されるので、上流側の回転板56の把持部材62Aと板状部材61によってドア2の長手方向の一端が把持されるとともに、下流側の回転板56の把持部材62Aと板状部材61によってドア2の長手方向の他端が把持されるようになっている。このようにして、ドア2は反転位置C内において幅方向および上下方向において位置決めされるようになっている(図8、図10、図11)。
これにより、反転位置Cのドア2は各回転板56のドア保持機構54により保持され、この状態において回転機構59によって両回転板56が一体となって図10において時計方向に180度反転されるようになっている。
回転機構59は、回転板56の壁面に連結された半円弧状に伸びるセクタギヤ75と、セクタギヤ75に噛合されるとともにモータ74に連動して正逆方向に回転されるピニオン76とを備えている。モータ74に連動してピニオン76が所定量だけ正転されると、両回転板56とドア保持機構54に保持されたドア2が180度反転される。この時、第3ローラコンベヤ21は下降されているので、ドア2は第3ローラコンベヤ21に当接することなく180度反転されて、それまで化粧枠3がついていない面が新たな上面となる。
この回転機構59によってドア2が180度反転される際の回転中心は、両回転板56の中心を結ぶ仮想の直線と一致し、その回転中心は水平でありかつ搬送手段4の搬送方向と平行になる。
【0023】
反転手段8の回転機構59によってドア2が反転されると、第3ローラコンベヤ21がエアシリンダ22によって傾斜位置から上方の水平位置まで上昇される。
この後、回転板56の第2把持機構58によるドア2の両側部の把持状態が解放され、その後、各回転板56の第1把持機構57の昇降シリンダ62の把持部材62Aが下降してドア2の把持状態が解除されることによって、ドア2は第3ローラコンベヤ21上に支持される。このようにして、反転位置Cの反転手段8によりドア2は180度反転されてから第3ローラコンベヤ21に支持されるようになっている。
この後、第3ローラコンベヤ21と上記両ローラコンベヤ15、17が逆転されるので、ドア2は反転位置Cから取り付け位置Bを経由して接着剤塗布位置Aまで逆送される。
反転位置Cからドア2が搬出されたら、反転手段8の回転機構59はモータ74を介してピニオン76を先程とは逆方向に回転させるので、両回転板56が先程とは逆方向に180度回転されて逆転位置から元の通常位置に復帰する。
一方、接着剤塗布位置Aまで戻されたドア2は、第3位置決め手段23のストッパ23Aに当接して停止されるとともに、第1位置決め手段11の位置決めシリンダ11Bによって搬送手段4の幅方向においても接着剤塗布位置Aに位置決めされる。
【0024】
この後、前述した最初の化粧枠3のドア2への処理工程と同様に、ドア2の新たな上面に化粧枠3が取り付けられる。つまり、先ず、接着剤塗布位置Aにおいて接着剤塗布手段12によってドア2の化粧枠2Aの上面に接着剤が塗布され(図2(a)参照)、その後、第2位置決め手段13により取り付け位置Bに停止されたドア2に対して移送手段6によって第2の化粧枠3が位置決めされて重合され、その後に釘打ち手段7によって第2の化粧枠3の所定位置へ釘打ちが施される(図2(b)参照)。
これにより、ドア2の表裏両面に対する化粧枠3の取り付けが完了する。このようにして、表裏両面に化粧枠3の取り付けが完了したドア2は、この後、第2ローラコンベヤ17および第3ローラコンベヤ21が正転方向に回転されることで、取り付け位置Bから反転位置Cを経由して、その下流側へ搬出されるようになっている。
【0025】
以上のように、本実施例の化粧枠取り付け装置1は、横転状態で搬送されるドア2の表裏両面に化粧枠3を取り付けることができる。したがって、本実施例によれば、ドア2への化粧枠3の取り付けを手作業で行っていた従来と比較して、ドア2への化粧枠3の取り付け作業を効率的に処理することができる。しかも化粧枠3の取り付けが完了した製品としてのドア2は、化粧枠3の取り付け位置や固定状態にむらがなく、外観および連結状態が均一となる。
【0026】
なお、上記実施例においては、ドア2を反転手段8で反転させてから再度接着剤塗布位置Aまで戻して、新たな上面に第2の化粧枠3を取り付けているが、次のような処理を行っても良い。すなわち、上記実施例と同様の接着剤塗布手段、移送手段および釘打ち手段等を反転手段8の下流側にももう一組配置する。そして、ドア2に最初の化粧枠3を連結してからドア2を反転手段8で反転させたら、該ドア2を下流側へ送り出し、そこに配置された接着剤塗布手段、移送手段および釘打ち手段によってドア2の新たな上面に第2の化粧枠3を取り付けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例を示す平面図。
【図2】図1に示した化粧枠取り付け装置1による処理工程を示す図。
【図3】図1の要部の拡大図。
【図4】図3の正面図。
【図5】図1の要部の拡大図。
【図6】図1の要部の右側面図。
【図7】図1の要部の正面図。
【図8】図7のVIII―VIIIに沿う断面図。
【図9】図7のIX―IXに沿う断面図。
【図10】図7の左側面図。
【図11】図7の右側面図。
【符号の説明】
【0028】
1…化粧枠取り付け装置 2…ドア
3…化粧枠 4…搬送手段
6…移送手段 7…釘打ち手段
12…接着剤塗布手段 13…第2位置決め手段
A…接着剤塗布位置 B…取り付け位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの上面に化粧枠を取り付ける化粧枠取り付け装置であって、
横転状態のドアを搬送する搬送手段と、上記搬送手段上のドアの上面に接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、上記搬送手段上を搬送されるドアを所定の位置に停止させる位置決め手段と、上記化粧枠を移送して上記位置決め手段によって位置決めされたドアの上面に化粧枠を重合させる移送手段と、上記化粧枠に釘打ちして該化粧枠をドアに固定する釘打ち手段とを備えることを特徴とする化粧枠取り付け装置。
【請求項2】
上記釘打ち手段によって化粧枠が固定されたドアを反転させる反転手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の化粧枠取り付け装置。
【請求項3】
上記搬送手段の搬送経路上に、上記接着剤塗布手段が設けられる接着剤塗布位置と、化粧枠がドアに取り付けられる取り付け位置と、上記反転手段が設けられる反転位置を順次設定してあり、上記反転位置において反転手段によってドアが反転されたら、上記搬送手段は該反転後のドアを再度上記接着剤塗布位置まで搬送するようになっており、反転後のドアの上面に第2の化粧枠が取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の化粧枠取り付け装置。
【請求項4】
複数の構成部材を連結して上記化粧枠を組み立てるとともに該化粧枠を所定の待機位置に待機させる組み立て手段を設けて、上記移送手段は上記待機位置から上記取り付け位置まで化粧枠を移送することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化粧枠取り付け装置。
【請求項5】
上記搬送手段の搬送方向と直交する方向に移動可能な可動部材を設けるとともに、該可動部材を搬送手段の搬送方向と直交する方向に移動させる駆動機構を設け、また、上記可動部材の一端側に上記移送手段を取り付けるとともに他端側に上記釘打ち手段を取り付けて、
上記移送手段が待機位置に位置した際には上記釘打ち手段が取り付け位置に位置し、上記移送手段が取り付け位置に位置した際には釘打ち手段は取り付け位置から外れた待機位置に位置することを特徴とする請求項4に記載の化粧枠取り付け装置。
【請求項6】
上記反転手段がドアを反転させる際の回転中心は、搬送手段の載置面とほぼ同じ高さで、かつ搬送手段の搬送方向と平行であることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の化粧枠取り付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−50985(P2009−50985A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222132(P2007−222132)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(390008305)エスアイ精工株式会社 (39)
【Fターム(参考)】